JP2016188174A - 炭化珪素基板および炭化珪素インゴット - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板および炭化珪素インゴット、ならびにこれらの製造方法を提供する。【解決手段】炭化珪素基板2では、一方の主表面2a上において、<11−20>方向に沿った直線が交差することにより形成され、X線トポグラフィにより観察することが可能な交差模様が存在しない。【選択図】図3
Description
本発明は、炭化珪素基板および炭化珪素インゴットならびにこれらの製造方法に関するものであり、より特定的には、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板および炭化珪素インゴット、ならびにこれらの製造方法に関するものである。
従来、珪素に代わる次世代の半導体材料として炭化珪素が研究されている。この炭化珪素からなる基板を製造する方法としては、たとえば昇華法により種基板上に単結晶炭化珪素からなる炭化珪素層を成長させて炭化珪素インゴットを形成し、当該炭化珪素インゴットをスライスする方法が知られている。たとえば特開2004−323348号公報(以下、特許文献1という)では、(0001)面(いわゆるc面)または当該c面に対して所定のオフ角を有する面を成長面とした種基板を準備し、当該成長面上に炭化珪素層を成長させる方法が開示されている。また、このような方法により形成された炭化珪素インゴットには、螺旋成長により結晶成長した領域(いわゆるファセット領域)と、結晶のステップに沿ったステップフロー成長により結晶成長した領域とが形成されている。
従来の方法により炭化珪素インゴットを形成し、当該炭化珪素インゴットをスライスして得た炭化珪素基板を用いて半導体装置を製造した場合には、その歩留まりを十分に向上させることが困難であるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板および炭化珪素インゴット、ならびにこれらの製造方法を提供することである。
本発明に従った炭化珪素基板では、一方の主表面上において、<11−20>方向に沿った直線が交差することにより形成され、X線トポグラフィにより観察することが可能な模様が0.1個/cm2以下の数密度で存在している。
本発明者は、従来の方法により製造した炭化珪素基板を用いて半導体装置を製造した場合、その歩留まりを十分に向上させることが困難である原因について詳細な検討を行った。その結果、炭化珪素基板の一方の主表面において<11−20>方向に沿った直線が互いに交差して形成される模様が存在し、当該模様の存在と半導体装置の製造における歩留まりとの間に相関関係があることを見出し、本発明に想到した。
本発明に従った炭化珪素基板では、一方の主表面における当該模様の数密度が0.1個/cm2以下にまで低減されている。そして、当該模様の中心には転位などの欠陥が存在している。そのため、当該炭化珪素基板を用いて半導体装置を製造した場合には、当該模様に起因した歩留まりの低下を抑制することができる。したがって、本発明に従った炭化珪素基板によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板を提供することができる。また、本発明に従った炭化珪素基板は、後述する本発明に従った炭化珪素インゴットをスライスすることにより得られる炭化珪素基板であってもよい。
また、当該模様を構成する直線とは、連続的な直線として観察されるものに限定されず、互いに分離した複数の線分が仮想の直線を構成するように不連続に連なったものも含む。
本発明に従った炭化珪素インゴットでは、一方の表面上において、<11−20>方向に沿った直線が交差することにより形成された模様が、0.1個/cm2以下の数密度で存在している。
本発明に従った炭化珪素インゴットでは、一方の表面上に存在する当該模様の数密度が0.1個/cm2以下にまで低減されている。そして、当該模様の中心には転位などの欠陥が存在している。そのため、当該炭化珪素インゴットをスライスして得た炭化珪素基板を用いて半導体装置を製造した場合には、当該模様に起因した歩留まり低下を抑制することができる。したがって、本発明に従った炭化珪素インゴットによれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素インゴットを提供することができる。
上記炭化珪素インゴットのポリタイプは、4H型であってもよい。当該模様は、4H型ポリタイプの炭化珪素インゴットにおいて発生し易い。そのため、ポリタイプが4H型である場合には、当該模様の数密度を低減することができる上記本発明に従った炭化珪素インゴットを好適に採用することができる。
本発明の一の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法は、単結晶炭化珪素からなる種基板を準備する工程と、種基板の一方の表面が成長容器の上面と接触するように、種基板を成長容器内に配置する工程と、種基板が配置された後、成長容器を昇温する工程と、成長容器を昇温した後、種基板の一方の表面とは反対側の他方の表面上に炭化珪素層を成長させる工程とを備えている。成長容器を昇温する工程では、当該上面における温度をT1とし、当該上面に対向する成長容器の底面における温度をT2とし、当該底面から当該上面に向かう方向における当該上面と当該底面との間の距離をLとした場合に、(T2−T1)/Lの値が1より小さい状態が維持される。
本発明の一の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法では、当該底面から当該上面に向かう方向における温度分布を均一にした状態で成長容器を昇温する。これにより、種基板の当該他方の表面に加わる熱応力が小さくなり、当該他方の表面上に成長する炭化珪素層において欠陥の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層の表面(種基板側とは反対側の面)において、<11−20>方向に沿った直線が交差して形成される当該模様の発生を抑制することができる。したがって、本発明の一の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素インゴットを製造することができる。
上記一の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法において、種基板を準備する工程では、マイクロパイプ密度が10個/cm2以下である種基板が準備されてもよい。これにより、炭化珪素層において当該模様の発生の原因となる貫通転位の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層の表面における当該模様の発生をより効果的に抑制することができる。
上記炭化珪素インゴットの製造方法において、炭化珪素層を成長させる工程では、炭化珪素層の成長方向側から見たときの幅方向における温度勾配が10℃/cm以下とされてもよい。これにより、炭化珪素層において成長方向に貫通する欠陥の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層の表面における当該模様の発生をさらに効果的に抑制することができる。
本発明の他の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法は、単結晶炭化珪素からなる種基板を準備する工程と、種基板の表面上に炭化珪素層を成長させる工程とを備えている。種基板を準備する工程では、マイクロパイプ密度が10個/cm2以下である種基板が準備される。
本発明の他の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法では、マイクロパイプ密度が低減された種基板上に炭化珪素層を成長させるため、炭化珪素層において当該模様の発生原因となる貫通転位の発生を抑制することができる。そのため、炭化珪素層の表面(種基板とは反対側の面)における当該模様の発生を抑制することができる。したがって、本発明の他の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素インゴットを製造することができる。
上記他の局面に従った炭化珪素インゴットの製造方法において、炭化珪素層を成長させる工程では、炭化珪素層の成長方向側から見たときの幅方向における温度勾配が10℃/cm以下とされてもよい。これにより、炭化珪素層において成長方向に貫通する欠陥の発生を抑制することができる。その結果、当該炭化珪素層の表面における当該模様の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明に従った炭化珪素基板の製造方法は、炭化珪素インゴットを準備する工程と、炭化珪素インゴットをスライスして炭化珪素基板を得る工程とを備えている。炭化珪素インゴットを準備する工程では、当該模様の発生を抑制することが可能な上記本発明に従った炭化珪素インゴットの製造方法により製造された炭化珪素インゴットが準備される。そのため、当該炭化珪素インゴットをスライスして得られる炭化珪素基板の主表面においては、当該模様の発生が抑制されている。したがって、本発明に従った炭化珪素基板の製造方法によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板を製造することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明に従った炭化珪素基板および炭化珪素インゴットによれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板および炭化珪素インゴットを提供することができる。また、本発明に従った炭化珪素基板および炭化珪素インゴットの製造方法によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板および炭化珪素インゴットを製造することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。また、本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
まず、本発明の一実施の形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板について説明する。図1を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素インゴット1は、単結晶炭化珪素からなる種基板10と、種基板10の表面10a上に形成された炭化珪素層12とを備えている。種基板10の表面10aは、(0001)面に対するオフ角が1°以下であり、好ましくは0.5°以下であり、より好ましくは0°である。炭化珪素インゴット1のポリタイプは、たとえば4H型である。
炭化珪素層12において種基板10とは反対側の表面12aには、インゴットの中央部を含むファセット面12bと、その外周部にある非ファセット面12cとが形成されている。炭化珪素層12においてファセット面12b下にある領域は螺旋転位を中心した螺旋成長により結晶成長した領域であり、一方非ファセット面12c下にある領域は、結晶のステップに沿ったステップフロー成長により結晶成長した領域となっている。
図2を参照して、炭化珪素インゴット1(炭化珪素層12)の一方の表面12aのうちファセット面12bにおいては、<11−20>方向に沿った複数の直線が互いに交差することにより形成された交差模様20が存在している。交差模様20が形成された領域の最外周部は六角形の形状を構成し、より具体的には正六角形の形状を構成している。また、交差模様20を構成する複数の直線の各々は当該六角形の対角線となっている。
炭化珪素層12の表面12aにおける交差模様20の数密度は、0.1個/cm2となっており、好ましくは0個/cm2(交差模様20が存在しない状態)となっている。交差模様20の中心部(当該複数の直線の交差点)には螺旋転位やマイクロパイプが存在しており、交差模様20は目視観察することが可能である。また、交差模様20は、インゴットのポリタイプが4H型である場合には容易に観察することができるが、ポリタイプが4H型以外である場合(たとえば6H型)には観察することが困難である。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素基板について説明する。図3を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素基板2は、たとえば上記本実施の形態に係る炭化珪素インゴット1をスライスすることにより得られるものである。
炭化珪素基板2の一方の主表面2aにおいては、基板中央部を含むファセット面2bと、非ファセット面2cとが形成されている。また、図3および図4を参照して、主表面2aのうちファセット面2bにおいては、炭化珪素インゴット1の場合と同様に、<11−20>に沿った直線21,22,23が互いに交差することにより形成された交差模様20が存在している。交差模様20の主表面2aにおける数密度は0.1個/cm2以下となっており、好ましくは0個/cm2(交差模様20が存在しない状態)となっている。また、炭化珪素基板2においては交差模様20を目視観察することは困難であり、図4に示すようにX線トポグラフィにより交差模様20を観察することが可能である。
以上のように、本実施の形態に係る炭化珪素インゴット1においては、炭化珪素層12の表面12a(ファセット面12b)に存在する交差模様20の数密度が0.1個/cm2以下にまで低減されている。また、当該炭化珪素インゴット1をスライスすることにより得られる炭化珪素基板2においても、同様に主表面2aに存在する交差模様20の数密度が0.1個/cm2以下にまで低減されている。交差模様20は炭化珪素の結晶粒界となっているため、当該交差模様20が多数存在する炭化珪素基板を用いてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置を製造した場合には歩留まりが低下する。これに対して、炭化珪素インゴット1および当該炭化珪素インゴット1をスライスして得られる炭化珪素基板2においては交差模様20の発生数が低減されているため、当該炭化珪素基板2を用いて半導体装置を製造した場合に歩留まりの低下を抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る炭化珪素インゴット1および炭化珪素基板2によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりをより向上させることができる。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法では、上記本実施の形態に係る炭化珪素インゴット1および炭化珪素基板2がそれぞれ製造される。
まず、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法について説明する。図5を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法では、まず、工程(S10)として、種基板準備工程が実施される。この工程(S10)では、図7を参照して、単結晶炭化珪素からなる種基板10が準備される。種基板10の表面10aは、(0001)面に対するオフ角が10°以下であることが好ましく、5°以下であることがさらに好ましい。当該オフ角が0°である場合には、種基板10の表面10aは実質的に(0001)面となる。
この工程(S10)では、マイクロパイプ密度(MPD)が10個/cm2以下である種基板10が準備される。種基板10のマイクロパイプ密度(MPD)は、以下のように算出することができる。まず、加熱溶融させたKOHに種基板10を浸漬し、ノルマルスキー微分干渉顕微鏡で種基板10の表面を観察してピットの数をカウントする。そして、観察した領域の面積とピットのカウント数とにより単位面積当たりのピット数を算出することによりマイクロパイプ密度(MP)が得られる。
また、この工程(S10)では、鏡面研磨を実施した後に偏光顕微鏡により観察(クロスニコル)した場合に確認されるマイクロパイプ密度(MPD)が、5個/cm2以下である種基板10が準備されることが好ましい。また、当該マイクロパイプ密度(MPD)は、好ましくは2個/cm2以下であり、より好ましくは0個/cm2である。
次に、工程(S20)として、種基板配置工程が実施される。この工程(S20)では、図8を参照して、種基板10の表面10bが成長容器としての坩堝3の上面3aと接触するように、種基板10が坩堝3内に配置される。坩堝3は、たとえばグラファイト製である。また、坩堝3内には、多結晶炭化珪素などからなる原料粉末11が予め底面3b側に配置される。これにより、図8に示すように種基板10と原料粉末11とが坩堝3内において互いに対向するように配置された状態となる。
次に、工程(S30)として、昇温工程が実施される。この工程(S30)では、種基板10が坩堝3内に配置された後、まず、坩堝3内を真空排気により減圧しつつ、ヒータ4を動作させて所定の温度(たとえば1500℃程度)にまで坩堝3を昇温する。そして、アルゴン(Ar)などの不活性ガスを導入することにより坩堝3内の所望の圧力(たとえば90kPa)を達成しつつ、結晶成長温度(たとえば種基板10の温度が2250℃、原料粉末11の温度が2290℃)にまでさらに坩堝3を昇温する。
この工程(S30)では、坩堝3の上面3aにおける温度をT1とし、上面3aに対向する底面3bにおける温度をT2とし、底面3bから上面3aに向かう方向における上面3aと底面3bとの間の距離をLとした場合に、(T2−T1)/Lの値が1より小さい状態が維持されつつ坩堝3を昇温する。また、坩堝3を1700℃以上にまで昇温した後は、坩堝3内の圧力が3kPa以上に維持されることが好ましい。温度T1およびT2は、坩堝3の外部に配置される石英管や断熱材(図示しない)などの部材に形成された測定孔より非接触式温度計(パイロメータ)を用いて測定することができる。上記測定孔より、坩堝3の上部および底部を観察することができる。また、(T2−T1)/Lの値は、たとえば坩堝3の上部および底部に配置される断熱材の厚みを変更し、または上記測定孔の大きさを変更することにより調整することが可能である。また、本実施の形態にように複数のヒータ4を用いた抵抗加熱により坩堝3を加熱する場合には、複数のヒータ4の各々の温度を変更することにより調整することが可能である。また、誘導加熱により坩堝3を加熱する場合には、誘導加熱コイル(図示しない)と坩堝3との位置関係を変更することにより調整することが可能である。
次に、工程(S40)として、結晶成長工程が実施される。この工程(S40)では、まず、坩堝3内を所定の圧力(たとえば1kPa)にまで減圧する。このとき、5kPa/h以下の速度で坩堝3内を減圧することが好ましい。これにより、原料粉末11を構成する炭化珪素が昇華し、昇華した炭化珪素が種基板10の表面10a(表面10bとは反対側の他方の表面)上において再結晶化する。その結果、表面10a上において単結晶炭化珪素からなる炭化珪素層12が成長し、種基板10と炭化珪素層12とを備える炭化珪素インゴット1が製造される。
この工程(S40)では、炭化珪素層12の成長方向側から見たときの幅方向における温度勾配が10℃/cm以下とされることが好ましい。具体的には、カーボンフェルトやカーボン成型断熱材などの断熱部材(図示しない)を坩堝3の上部に配置して坩堝3からの熱の漏れ量を少なくすることにより、炭化珪素インゴット1の径方向における温度分布が均一化されることが好ましい。
また、この工程(S40)では、炭化珪素インゴット1における中央部31、端部32および最外周部33における温度を以下のようにすることが好ましい。ここで、端部32とは、炭化珪素インゴット1の端部にある領域であって、坩堝3の内壁から炭化珪素インゴット1の直径の10%以内の距離にある領域である。そして、中央部31における温度をT3、端部32における温度をT4、最外周部33における温度をT5とした場合に、T5>T4≧T3の関係式が満たされ、さらにT4およびT3に関して、温度勾配((T3とT4との差の絶対値)/(中央部31と端部32との間の距離))が10℃/cm以下という関係が満たされることが好ましい。
この場合、種基板10の表面10b側における温度分布を均一にする必要がある。具体的には、坩堝3の上部に断熱部材(図示しない)を配置することにより坩堝3からの熱の局所的な発散を抑制し、坩堝3から均一に熱を発散させるという構成を採用することができる。これにより、炭化珪素インゴット1の表面12aにおける中央部31と端部32との間の曲率半径を炭化珪素インゴット1の半径の3倍以上とすることができる。ここで、曲率半径は、たとえば以下のようにして算出される。まず、中央部31と端部32との間において5mmピッチで炭化珪素インゴット1の高さ(種基板10の表面10aから炭化珪素インゴット1の表面12aまでの距離)を測定する。そして、各ピッチ間における炭化珪素インゴット1の高さの差から、各ピッチ間における炭化珪素インゴット1の表面12aに対応する円弧の半径を算出する。そして、中央部31と端部32との間の各ピッチ間について算出された円弧の半径のうち最小の半径を曲率半径とする。
また、T5とT4との関係については、T5とT4との差の絶対値が1℃以上10℃以下、より好ましくは5℃以下であること(たとえばT4に対してT5の方が高温であり、T4とT5との差が10℃以下、より好ましくは5℃以下であること)が好ましい。ここで、当該差の絶対値が1℃未満の場合は、グラファイト製の坩堝3の内壁面上に炭化珪素の多結晶が付着、成長しやすくなり、炭化珪素の結晶成長の妨げになる。さらに、当該差が10℃を超える場合は、坩堝3側からの輻射熱などの影響により、炭化珪素インゴット1の端部32の温度も上昇する。この結果、中央部31と端部32との間の温度差が大きくなる。
次に、工程(S50)として、後処理工程が実施される。この工程(S50)では、形成された炭化珪素インゴット1を坩堝3から取り出し、表面層を研削する。また、結晶方位を示すマークを炭化珪素インゴット1に形成する。以上のように工程(S10)〜(S50)が実施されることにより炭化珪素インゴット1が製造され、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法が完了する。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素基板の製造方法について説明する。図6を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素基板の製造方法では、まず、工程(S60)として、インゴット準備工程が実施される。この工程(S60)では、上記本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法が実施されることにより、炭化珪素インゴット1(図1および図2)が準備される。
次に、工程(S70)として、スライス工程が実施される。この工程(S70)では、炭化珪素インゴット1を所定の方法でスライスすることにより炭化珪素基板2(図3)が得られる。炭化珪素インゴット1をスライスする方法としては、たとえばワイヤソーを用いる方法や、ダイヤモンドなどの硬質の砥粒が表面に配置された切断部材(たとえば内周刃ブレード)を用いる方法を採用することができる。炭化珪素インゴット1をスライスする方向は特に限定されるものではなく、たとえば種基板10の表面10aに沿った方向であってもよいし、種基板10のオフ角方位と種基板10の表面10aに対する垂線とにより規定される平面に沿った方向であってもよい。
次に、工程(S80)として、後処理工程(S80)が実施される。この工程(S80)では、炭化珪素インゴット1をスライスして得られた炭化珪素基板2の主表面を研削、研磨することにより、鏡面状態または所定の表面状態に仕上げ加工する。以上の工程(S60)〜(S80)が実施されることにより炭化珪素基板2が製造され、本実施の形態に係る炭化珪素基板の製造方法が完了する。
以上のように、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法では、坩堝3内に種基板10を配置した後、底面3bから上面3aに向かう方向における温度分布を均一にした状態で坩堝3を昇温する。これにより、種基板10の表面10aに加わる熱応力が小さくなり、当該表面10a上に成長する炭化珪素層12において欠陥の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層12の表面12aにおいて、<11−20>方向に沿った直線が交差して形成される交差模様20(図2)の発生を抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法によれば、交差模様20の発生が抑制され、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素インゴット1を製造することができる。
また、上述のように、本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法において、工程(S10)では、マイクロパイプ密度(MPD)が10個/cm2以下である種基板10が準備される。これにより、炭化珪素層12において交差模様20の発生の原因となる貫通転位の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層12の表面12aにおける交差模様20の発生をより効果的に抑制することができる。
また、上述のように、上記本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法において、工程(S40)では、炭化珪素層12の成長方向側から見たときの幅方向における温度勾配が10℃/cm以下とされてもよい。このように炭化珪素層12の成長面(種基板10側とは反対側の面)における温度分布を均一にすることにより、当該炭化珪素層12において成長方向に貫通する欠陥の発生を抑制することができる。その結果、炭化珪素層12の表面12aにおける交差模様20の発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、上述のように、本実施の形態に係る炭化珪素基板の製造方法では、上記本実施の形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法により製造された炭化珪素インゴット1が準備される。そのため、炭化珪素インゴット1をスライスして得られる炭化珪素基板2では、主表面2aにおける交差模様20の発生が抑制されている。したがって、本実施の形態に係る炭化珪素基板の製造方法によれば、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが可能な炭化珪素基板2を製造することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の炭化珪素基板および炭化珪素インゴット、ならびにこれらの製造方法は、炭化珪素を構成材料とする半導体装置の歩留まりを向上させることが要求される炭化珪素基板および炭化珪素インゴット、ならびにこれらの製造方法において、特に有利に適用され得る。
1 炭化珪素インゴット、2 炭化珪素基板、2a 主表面、2b,12b ファセット面、2c,12c 非ファセット面、3 坩堝、3a 上面、3b 底面、4 ヒータ、10 種基板、10a,10b,12a 表面、11 原料粉末、12 炭化珪素層、20 交差模様、21,22,23 直線、31 中央部、32 端部、33 最外周部。
Claims (3)
- 一方の主表面上において、<11−20>方向に沿った直線が交差することにより形成され、X線トポグラフィにより観察することが可能な模様が存在しない、炭化珪素基板。
- 一方の表面上において、<11−20>方向に沿った直線が交差することにより形成された模様が存在しない、炭化珪素インゴット。
- ポリタイプが4H型である、請求項2に記載の炭化珪素インゴット。
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