本明細書において、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、感光体の表面にステアリン酸亜鉛を含む潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、感光体の表面に接触するブレードを有し、該ブレードにより、トナー像を転写した後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置が備える感光体は、導電性基体と、該導電性基体上に配置された感光層とを有し、該感光層は、電荷発生材料と、一般式(CT1)で表される電荷輸送材料と、一般式(CT2)で表される電荷輸送材料と、分子量300以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種と、を含む。
本実施形態に係る画像形成装置によれば、感光体の偏摩耗が抑制される。その理由は、下記のように推測される。
感光体の外周面は、トナー像の転写時における記録媒体又は中間転写体との接触、帯電部材との接触、クリーニングブレードとの接触などにより徐々に摩耗する。摩耗には、感光層の外周面の劣化部を除去するという意義があるが、摩耗の偏りが生じた場合には、画像濃度ムラが発生してしまう。感光体の外周面の偏摩耗の原因としては、感光層の層厚ムラ、外周面の凹凸、画像部と非画像部との残トナー量の差などが考えられる。感光体の外周面への潤滑剤(例えば脂肪酸金属塩)の供給は、摩耗を抑制する観点では望ましいが、脂肪酸金属塩は正帯電性を有するので画像部と非画像部とで付着力が異なり、これも感光体の偏摩耗の一因と考えられる。
これに対して、本実施形態における前記成分を含む感光層を備えた感光体に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を組み合せると、偏摩耗が抑制される。この機序としては、下記が推測される。
感光層に含まれるヒンダードフェノール系酸化防止剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、分子構造中に炭素原子を介して2個の芳香族基が配置された構造を含んでおり、炭素原子を介する故これら芳香族基に存在するπ電子同士の電気的な反発が抑えられ安定的に負帯電化すると考えられる。そして、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤とステアリン酸亜鉛との間に電気的な吸引力がはたらき、画像部と非画像部とのステアリン酸亜鉛の付着力の差を緩和し、その結果、偏摩耗を抑制するものと推測される。
以下本実施形態に係る画像形成装置の構成を、より具体的に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前に感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;感光体の温度を上昇させ、相対湿度を低減させるための感光体加熱部材を備える装置;などの公知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
感光層が記録媒体に直接接触する直接転写方式の画像形成装置は、中間転写方式の画像形成装置に比べ、感光層の外周面が摩耗しやすいので、摩耗の偏りが蓄積して偏摩耗が発生しやすい。本実施形態に係る画像形成装置によれば、直接転写方式を採用した場合でも、感光体の偏摩耗が抑制される。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、感光体を備える部分が、画像形成装置に着脱されるカートリッジ構造であってもよい。該カートリッジ構造は、感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、潤滑剤供給手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示した画像形成装置100は、感光体7と、帯電装置8(帯電手段の一例)と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、現像装置10(現像手段の一例)と、感光体7上のトナー像を記録媒体Pに直接転写する転写装置20(転写手段の一例)と、感光体7の外周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置30(潤滑剤供給手段の一例)と、感光体7の外周面をクリーニングするクリーニングブレード41(クリーニング手段の一例)と、トナー像を記録媒体Pに定着させる定着装置50(定着手段の一例)と、を備える。帯電装置8、露光装置9、現像装置10、転写装置20、潤滑剤供給装置30、及びクリーニングブレード41は、感光体7の周囲に、感光体7の回転方向に順に配置される。潤滑剤供給装置30とクリーニングブレード41とは、例えば、ハウジングにより一体化されている。
図1には、補助クリーニング部材42を備えた画像形成装置を例示したが、補助クリーニング部材42は必要に応じて配置される。補助クリーニング部材42は、ブレード以外の形態の部材であり、例えば、平ブラシである。補助クリーニング部材42は、感光体7の表面(周面)に接触して配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
[感光体]
感光体7は、導電性基体と、導電性基体上に配置された感光層と、を有する。
図2は、感光体7の層構成の一例を示す概略部分断面図である。図2に示す感光体7Aは、導電性基体4上に、下引層1、電荷発生層2、及び電荷輸送層3が、この順序で積層された構造を有する。電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。
感光体7は、図2に示す感光体7Aのように電荷発生層2と電荷輸送層3とが分離した機能分離型であってもよいし、電荷発生層2と電荷輸送層3とが一体化した単層型感光層であってもよい。感光体7は、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。感光体7は、電荷輸送層3上に、さらに保護層が設けられた層構成であってもよい。
本実施形態において感光層は、電荷発生材料と、一般式(CT1)で表される電荷輸送材料(「ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)」ともいう。)と、一般式(CT2)で表される電荷輸送材料(「ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)」ともいう。)と、分子量300以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤(単に「ヒンダードフェノール系酸化防止剤」ともいう。)及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種と、を含む。
感光層が機能分離型の場合、電荷発生層に電荷発生剤を含み、電荷輸送層に、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)と、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種と、を含む。
本実施形態における感光体は、感光層に上記の成分を含むことにより、同一画像を連続して出力したときに生じる「焼付きゴースト」(連続露光された部分の画像濃度が濃くなる現象)の発生、及び、光暴露されたときに生じる「光疲労」(光暴露された部分の画像濃度が濃く浮き出る現象)の発生を抑制する。その理由は、下記のように推測される。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、電荷移動度が高く、電荷輸送能の高い感光層(又は電荷輸送層)を得る上で適している。一方で、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、溶剤に対する溶解性が低い性質がある。このため、電荷輸送能の高い感光層を得るためには、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)と共に、電荷移動度が比較的高く、溶剤に対する溶解性が高いベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を併用することがよい。
しかし、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を含む感光層を有する感光体を使用し、同一画像を連続出力(例えば3000枚連続出力)した後に、全面ハーフトーン画像を出力すると、同一画像出力により連続露光された部分の濃度が濃くなる「焼付きゴースト」が発生してしまうことがある。また、感光体を交換するとき等に感光体が室内光又は太陽光に光暴露されると、全面ハーフトーン画像を出力した際に光暴露された部分の画像濃度が濃く浮き出る「光疲労」が生じてしまう。
「焼付きゴースト」又は「光疲労」が生じる原因としては、同一画像の連続出力又は感光体の光暴露により、感光層中の電荷発生材料から電荷輸送材料への電荷の注入において、及び電荷輸送材料間の電荷の移動に預かる電子の非局在化領域において、電子が励起されやすい状態になるためと考えられる。つまり、この画像欠陥は、連続して露光された領域又は光暴露された領域において、電荷発生及び電荷注入が活性化されることにより帯電電位が低下し、画像の濃度上昇が生じることによると考えられる。
そして、この帯電電位の低下による画像の濃度上昇は、感光層がブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を共に含有する場合に顕著となる。これは、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)が分子構造上、高い電荷輸送能力を有するが故に、分子内の電子の非局在化領域が大きく、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)及び電荷発生材料との間で相互作用を生じ、同一画像の連続出力又は光暴露によって帯電電位の低下が顕著に生じるためと考えられる。
これに対して、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を含む感光層に、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有させると、同一画像の連続出力又は光暴露による帯電電位の低下が抑制される。これは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、電子の非局在化領域との間で電荷の授受等の相互作用を生じさせ、電子の非局在化領域において、電子のエネルギー状態の変化を抑制することによると考えられる。そして、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量を300以上とすると、感光層を形成するときの乾燥工程において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が揮発することが抑制される。つまり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量を300以上とすると、感光層中に上記機能を発現する量でヒンダードフェノール系酸化防止剤が残留すると考えられる。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を含む感光層に、さらに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有させても、同一画像の連続出力又は光暴露による帯電電位の低下が抑制される。これは、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が、感光層が受ける光エネルギーを吸収し、電子の非局在化領域において、電子のエネルギー状態の変化を抑制するためと考えられる。
以上の機序によって、本実施形態における感光体は、焼付きゴーストの発生及び光疲労の発生を抑制すると推測される。
感光層が、さらに、フッ素含有樹脂粒子及びフッ素含有分散剤を含む場合、感光層の耐摩耗性が向上する一方で、焼付きゴースト及び光疲労が発生しやすい。これは、フッ素含有分散剤が電荷のトラップサイト(電荷が蓄積されやすい領域)として働き、感光層中で電荷を過剰に蓄積するためと考えられる。本実施形態における感光体では、フッ素含有樹脂粒子及びフッ素含有分散剤を感光層に含む場合でも、焼付きゴーストの発生及び光疲労の発生を抑制する。
感光層が、結着樹脂として、ビフェニル骨格を有する構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂(「BPポリカーボネート樹脂」という。)を含む場合、感光層の耐摩耗性が向上する一方で、焼付きゴースト及び光疲労が発生しやすい。これは、BPポリカーボネート樹脂のビフェニル骨格のベンゼン環が電荷のトラップサイト(電荷が蓄積されやすい領域)として働き、感光層中で電荷を過剰に蓄積するためと考えられる。本実施形態における感光体では、BPポリカーボネート樹脂を感光層に含む場合でも、焼付きゴーストの発生及び光疲労の発生を抑制する。
感光層が、電荷発生材料として、電荷発生効率の高いヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含む場合、発生する電荷量が多いため、同一画像の連続出力又は光暴露による帯電電位の低下が顕著になり、焼付きゴースト及び光疲労が発生しやすい。本実施形態における感光体では、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を感光層に含む場合でも、焼付きゴーストの発生及び光疲労の発生を抑制する。
以下、感光体の各要素について説明する。
−導電性基体−
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染されやすく、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また、繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
−下引層−
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。無機粒子の中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m2/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法又は湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤を除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤の除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤の除去後には、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として、溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは18μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
−中間層−
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。
−電荷発生層−
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
本実施形態において電荷発生材料としては、電荷発生効率の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましく、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、600nmから900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810nmから839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が、分散性に優れる観点から好ましい。
810nmから839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより好ましく、BET比表面積が45m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましく、55m2/g以上120m2/g以下であることが更に好ましい。平均粒径は、体積平均粒径であり、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所LA−700)にて測定した値である。BET比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(島津製作所フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒径の最大値)は、1.2μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下であり、且つ、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、BET比表面積が45m2/g以上であることが好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜に回折ピークを有するV型であることが好ましい。
電荷発生材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択してもよく、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
−電荷輸送層−
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。
電荷輸送材料としては、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)が適用される。ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)を含む電荷輸送層は、さらに、分子量300以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含む。電荷輸送層は、フッ素含有樹脂粒子及びフッ素含有分散剤をさらに含んでもよい。
・ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、下記一般式(CT1)で表される電荷輸送材料である。
一般式(CT1)中、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。m及びnは、各々独立に、0、1又は2を表す。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が表すアルキル基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、sec−ウンデシル基、tert−ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec−ドデシル基、tert−ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、tert−トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1−イソブチル−4−エチルオクチル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、1−メチルペンタデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、1−メチルオクチル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。直鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等が挙げられる。分岐状のアルコキシ基としては、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基、イソウンデシルオキシ基、sec−ウンデシルオキシ基、tert−ウンデシルオキシ基、ネオウンデシルオキシ基、イソドデシルオキシ基、sec−ドデシルオキシ基、tert−ドデシルオキシ基、ネオドデシルオキシ基、イソトリデシルオキシ基、sec−トリデシルオキシ基、tert−トリデシルオキシ基、ネオトリデシルオキシ基、イソテトラデシルオキシ基、sec−テトラデシルオキシ基、tert−テトラデシルオキシ基、ネオテトラデシルオキシ基、1−イソブチル−4−エチルオクチルオキシ基、イソペンタデシルオキシ基、sec−ペンタデシルオキシ基、tert−ペンタデシルオキシ基、ネオペンタデシルオキシ基、イソヘキサデシルオキシ基、sec−ヘキサデシルオキシ基、tert−ヘキサデシルオキシ基、ネオヘキサデシルオキシ基、1−メチルペンタデシルオキシ基、イソヘプタデシルオキシ基、sec−ヘプタデシルオキシ基、tert−ヘプタデシルオキシ基、ネオヘプタデシルオキシ基、イソオクタデシルオキシ基、sec−オクタデシルオキシ基、tert−オクタデシルオキシ基、ネオオクタデシルオキシ基、イソノナデシルオキシ基、sec−ノナデシルオキシ基、tert−ノナデシルオキシ基、ネオノナデシルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、イソイコシルオキシ基、sec−イコシルオキシ基、tert−イコシルオキシ基、ネオイコシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が表すアリール基としては、炭素数6以上30以下(好ましくは6以上20以下、より好ましくは6以上16以下)のアリール基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニリル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子及び基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等)が挙げられる。
一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16から選ばれる2つの置換基、例えば、RC11とRC12、RC13とRC14、RC15とRC16は、結合して炭化水素環構造を形成してもよい。2つの置換基同士を連結する基としては、単結合、2,2’−メチレン基、2,2’−エチレン基、2,2’−ビニレン基等が挙げられ、これらの中でも単結合、2,2’−メチレン基が好ましい。炭化水素環構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルカンポリエン構造等が挙げられる。
一般式(CT1)において、m及びnは、1であることが好ましい。
感光層(電荷輸送層)の電荷輸送能を高める観点から、一般式(CT1)において、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が、各々独立に、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、m及びnが、各々独立に、1又は2を表することが好ましく、RC11、RC12、RC13、RC14、RC15及びRC16が水素原子を表し、m及びnが1を表すことがより好ましい。
つまり、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、下記構造式(CT1A)で表される電荷輸送材料(例示化合物(CT1−3))であることが好ましい。
以下に、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示す。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)
ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記一般式(CT2)で表される電荷輸送材料である。
一般式(CT2)中、RC21、RC22及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上10以下のアリール基を表す。
一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が表すアルキル基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。直鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。分岐状のアルコキシ基としては、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が表すアリール基としては、炭素数6以上10以下(好ましくは6以上9以下、より好ましくは6以上8以下)のアリール基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子及び基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等)が挙げられる。
感光層(電荷輸送層)の電荷輸送能を高める観点からは、一般式(CT2)において、RC21、RC22及びRC23が、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表すことが好ましく、RC21及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1以上10以下のアルキル基(特にメチル基)を表すことがより好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記構造式(CT2A)で表される電荷輸送材料(例示化合物(CT2−2))であることが好ましい。
以下に、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示す。
ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・分子量300以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール環を有し、且つ分子量が300以上の化合物である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤が有するヒンダードフェノール環は、例えば、炭素数4以上8以下のアルキル基(例えば炭素数4以上8以下の分岐状のアルキル基)が少なくとも一つ置換されたフェノール環である。具体的には、ヒンダードフェノール環は、例えば、フェノール性水酸基に対してオルトの位置が三級アルキル基(例えばtert−ブチル基)で置換されたフェノール環である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば下記が挙げられる。
1)ヒンダードフェノール環を1つ有する酸化防止剤。
2)ヒンダードフェノール環を2つ以上4つ以下有し、且つ直鎖又は分岐状の2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基からなる連結基、又は2価以上4価以下の脂肪族炭化水素基の炭素−炭素の結合間に、エステル結合(−C(=O)O−)及びエーテル結合(−O−)の少なくとも一方が介在した連結基で、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が連結された酸化防止剤。
3)2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環と、一つのベンゼン環(無置換ベンゼン環又はアルキル基等で置換された置換ベンゼン環)又はイソシアヌレート環とを有し、2つ以上4つ以下のヒンダードフェノール環が、各々、ベンゼン環又はイソシアヌレート環とアルキレン基を介して連結された酸化防止剤。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、下記一般式(HP)で表される酸化防止剤が好ましい。
一般式(HP)中、RH1及びRH2は、各々独立に、炭素数4以上8以下の分岐状のアルキル基を表し、RH3及びRH4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、RH5は、炭素数1以上10以下のアルキレン基を表す。
一般式(HP)中、RH1及びRH2が表すアルキル基としては、炭素数4以上8以下(好ましくは4以上6以下)の分岐状のアルキル基が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基が好ましく、tert−ブチル基がより好ましい。
一般式(HP)中、RH3及びRH4としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(HP)中、RH5は、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表す。直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基等が挙げられる。分岐状のアルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキレン基が好ましい。
一般式(HP)中、RH1、RH2、RH3、RH4及びRH5が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。
焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、一般式(HP)において、RH1及びRH2がtert−ブチル基を表すことが好ましく、RH1及びRH2がtert−ブチル基を表し、RH3及びRH4が炭素数1以上3以下のアルキル基(特にメチル基)を表し、RH5が炭素数1以上4以下のアルキレン基(特にメチレン基)を表すことが好ましい。
具体的には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例示化合物(HP−3)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、300以上1000以下が好ましく、300以上900以下がより好ましく、300以上800以下が更に好ましい。
以下に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン骨格を有する化合物である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば下記が挙げられる。
1)2つのベンゼン環が無置換の化合物。
2)2つのベンゼン環が、各々独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された化合物。
3)2つのベンゼン環の一方が、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された化合物。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、2つのベンゼン環の一方に、少なくとも水酸基が置換(特に、−C(=O)−基に対してオルトの位置に置換)されている化合物がよい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、下記一般式(BP)で表される紫外線吸収剤が好ましい。
一般式(BP)中、RB1及びRB2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上10以下のアリール基を表し、RB3は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下のアリール基、又は水酸基を表す。
一般式(BP)において、RB1、RB2及びRB3が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(BP)において、RB1、RB2及びRB3が表すアルキル基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(BP)において、RB1、RB2及びRB3が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。直鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。分岐状のアルコキシ基としては、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(BP)において、RB1、RB2及びRB3が表すアリール基としては、炭素数6以上10以下(好ましくは6以上9以下、より好ましくは6以上8以下)のアリール基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
一般式(BP)において、RB1、RB2及びRB3が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子及び基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等)が挙げられる。
焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、一般式(BP)において、RB1及びRB2が水素原子を表し、RB3が炭素数1以上4以下のアルコキシ基を表すことが好ましい。
具体的には、紫外線吸収剤は、下記構造式(BPA)で表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例示化合物(BP−3))であることが好ましい。
以下に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(一般式(BP)で表される紫外線吸収剤)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示す。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、電荷輸送材料、酸化防止剤及び紫外線吸収剤の含有量について説明する。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)の含有量は、感光層(電荷輸送層)の電荷輸送能を高める観点から、CT1と結着樹脂との配合比(質量比、CT1:結着樹脂)が、0.1:9.9から4.0:6.0までの範囲であることが好ましく、0.4:9.6から3.5:6.5までの範囲であることがより好ましく、0.6:9.4から3.0:7.0の範囲であることが更に好ましい。
ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)の含有量は、感光層(電荷輸送層)の電荷輸送能を高める観点から、CT2と結着樹脂の配合比(質量比、CT2:結着樹脂)が、1:9から7:3までの範囲であることが好ましく、2:8から6:4までの範囲であることがより好ましく、2:8から4:6の範囲であることが更に好ましい。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)とベンジジン系電荷輸送材料(CT2)の配合比(質量比、CT1の含有量/CT2の含有量)は、感光層(電荷輸送層)の電荷輸送能を高める観点から、1/9以上5/5以下が好ましく、1/9以上4/6以下がより好ましく、1/9以上3/7以下が更に好ましい。
ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)とベンジジン系電荷輸送材料(CT2)の配合比が上記範囲であると、焼付きゴースト及び光疲労が生じやすいが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種により、焼付きゴースト及び光疲労の発生が抑制される。
感光層(電荷輸送層)には、ブタジエン系電荷輸送材料(CT1)及びベンジジン系電荷輸送材料(CT2)以外の他の電荷輸送材料を併用してもよい。但し、その場合、全電荷輸送材料に占める他の電荷輸送材料の含有量は、10質量%以下(好ましくは5質量%以下)であることがよい。
感光層(電荷輸送層)におけるヒンダーフェノール系酸化防止剤の含有量は、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、全電荷輸送材料の量に対して、0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.5以上9.0質量%以下が更に好ましい。
感光層(電荷輸送層)におけるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の含有量は、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、全電荷輸送材料の量に対して、0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.5以上9.0質量%以下が更に好ましい。
ヒンダーフェノール系酸化防止剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の含有量は、共に、30質量%以下とすることで、酸化防止剤及び紫外線吸収剤による電荷輸送材料の電荷輸送能力の阻害が抑制される。つまり、光照射による感光体表面への静電潜像形成の阻害が抑制され、目的とする濃度の画像が得られやすくなる。
・フッ素含有樹脂粒子
フッ素含有樹脂粒子としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体のいずれかからなる粒子の1種又は2種以上が好ましい。これらの中でも、フッ素含有樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
フッ素含有樹脂粒子の一次粒径は、0.05μm以上1μm以下であることがよく、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。
フッ素含有樹脂粒子の一次粒子は、感光層(電荷輸送層)から試料片を得て、これをSEM(走査型電子顕微鏡。例えば、日本電子JSM−6700F、加速電圧5kV)により例えば倍率5000倍以上で観察し、一次粒子状態のフッ素樹脂粒子の最大径を測定し、これを50個の粒子について行った平均値とする。
フッ素樹脂粒子の市販品としては、例えば、ルブロン(登録商標)シリーズ(ダイキン工業)、テフロン(登録商標)シリーズ(デュポン社)、ダイニオン(登録商標)シリーズ(3M社)等が挙げられる。
フッ素含有樹脂粒子の含有量は、感光層(電荷輸送層)の耐摩耗性を向上させる観点から、感光層(電荷輸送層)の全固形分に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
・フッ素含有分散剤
フッ素含有分散剤としては、フッ化アルキル基を有する重合性化合物を単独重合又は共重合した重合体(以下「フッ化アルキル基含有重合体」ともいう。)が挙げられる。
フッ素含有分散剤として具体的には、フッ化アルキル基を有する(メタ)アクリレートの単独重合体、フッ化アルキル基を有する(メタ)アクリレートとフッ素原子を有しないモノマーとのランダム又はブロック共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味する。フッ化アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アククリレート等が挙げられる。フッ素原子を有しないモノマーとしては、(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フッ素含有分散剤としては、米国特許5637142号明細書、特許第4251662号公報等に開示されたブロック又はブランチポリマー;フッ素系界面活性剤;も挙げられる。
フッ素含有分散剤としては、下記一般式(FA)で表される構造単位を有するフッ化アルキル基含有重合体が好ましく、下記一般式(FA)で表される構造単位と、下記一般式(FB)で表される構造単位とを有するフッ化アルキル基含有重合体がより好ましい。
一般式(FA)及び一般式(FB)中、RF1、RF2、RF3及びRF4は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。XF1は、アルキレン鎖(無置換アルキレン鎖)、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表す。YF1は、アルキレン鎖(無置換アルキレン鎖)、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(CfxH2fx−1(OH))−、又は単結合を表す。QF1は、−O−、又は−NH−を表す。fl、fm及びfnは、各々独立に、1以上の整数を表す。fp、fq、fr及びfsは、各々独立に、0又は1以上の整数を表す。ftは、1以上7以下の整数を表す。fxは1以上の整数を表す。
一般式(FA)及び一般式(FB)中、RF1、RF2、RF3及びRF4としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(FA)及び一般式(FB)中、XF1及びYF1としては、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖が好ましい。
YF1が−(CfxH2fx−1(OH))−の場合、fxは、1以上10以下の整数が好ましい。
fp、fq、fr及びfsは、各々独立に、0又は1以上10以下の整数が好ましい。
fnは、1以上60以下が好ましい。
フッ素含有分散剤において、一般式(FA)で表される構造単位と一般式(FB)で表される構造単位との比、つまり、fl:fmは、1:9から9:1までの範囲が好ましく、3:7から7:3までの範囲がより好ましい。
フッ素含有分散剤は、一般式(FA)で表される構造単位と一般式(FB)で表される構造単位とに加え、下記一般式(FC)で表される構造単位を更に有していてもよい。
一般式(FC)中、RF5及びRF6は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。fzは、1以上の整数を表す。
一般式(FC)中、RF5及びRF6としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(FC)で表される構造単位の含有比は、一般式(FA)及び一般式(FB)で表される構造単位の合計(fl+fm)との比(fl+fm:fz)で、10:0から7:3までの範囲が好ましく、9:1から7:3までの範囲がより好ましい。
フッ素含有分散剤の市販品としては、例えば、GF300、GF400(東亞合成)、サーフロン(登録商標)シリーズ(AGCセイミケミカル社)、フタージェントシリーズ(ネオス社)、PFシリーズ(北村化学社)、メガファック(登録商標)シリーズ(DIC社)、FCシリーズ(3M社)等が挙げられる。
フッ素含有分散剤の重量平均分子量は、例えば、2000以上250000以下が好ましく、3000以上150000以下がより好ましく、50000以上100000以下が更に好ましい。
フッ素含有分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される値である。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソーのGPC・HLC−8120を用い、カラムとして東ソーのTSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を用い、溶媒としてクロロホルムを用いる。この測定結果から、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を求める。
フッ素含有分散剤の含有量は、フッ素含有樹脂粒子の分散性や、焼付きゴースト及び光疲労の抑制の観点から、例えば、フッ素含有樹脂粒子の質量に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上7質量%以下がより好ましい。
フッ素含有分散剤は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
・結着樹脂
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、感光層(電荷輸送層)の耐摩耗性を向上させる観点から、ビフェニル骨格を有する構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂(「BPポリカーボネート樹脂」という。)が好ましい。
BPポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格を有する構造単位として、下記一般式(PCA)で表される構造単位と、他の構造単位とを有するビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。他の構造単位としては、ビスフェノール骨格(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールZ等)を有する構造単位等が挙げられる。
BPポリカーボネート樹脂としては、より具体的には、ジヒドロキシビフェニル化合物と、ジヒドロキシビスフェノール化合物との共重合体が挙げられる。この共重合体は、例えば、ジヒドロキシビフェニル化合物及びジヒドロキシビスフェノール化合物を原料として用い、ホスゲン等の炭酸エステル形成性化合物との重縮合又はビスアリールカーボネートとのエステル交換反応等の方法によって得られる。
ジヒドロキシビフェニル化合物は、ビフェニル骨格を有し、ビフェニル骨格の2つのベンゼン環に、各々、一つのヒドロキシル基を有するビフェニル化合物である。ジヒドロキシビフェニル化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル等が挙げられる。これらジヒドロキシビフェニル化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ジヒドロキシビスフェノール化合物は、ビスフェノール骨格を有し、ビスフェノール骨格の2つのベンゼン環に、各々、一つのヒドロキシル基を有するビスフェノール化合物である。ジヒドロキシビスフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらビスフェノール化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
BPポリカーボネート樹脂は、感光層(電荷輸送層)の耐摩耗性を向上させる観点から、下記一般式(PCA)で表される構造単位と、下記一般式(PCB)で表される構造単位と、を含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、RP1、RP2、RP3及びRP4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、RP1、RP2、RP3及びRP4が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下(好ましくは1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、RP1、RP2、RP3及びRP4が表すシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、RP1、RP2、RP3及びRP4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、XP1が表すアルキレン基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。分岐状のアルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すシクロアルキレン基としては、炭素数3以上12以下(好ましくは3以上10以下、より好ましくは5以上8以下)のシクロアルキレン基が挙げられる。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられ、シクロヘキシレン基が好ましい。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)中、RP1、RP2、RP3、RP4及びXP1が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5以上7以下のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(PCA)において、RP1及びRP2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、RP1及びRP2は、水素原子であることがより好ましい。
一般式(PCB)において、RP3及びRP4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、XP1はアルキレン基又はシクロアルキレン基であることが好ましい。
BPポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示化合物(PC−1)〜(PC−3)において、pm及びpnは共重合比(モル比)を示す。
BPポリカーボネート樹脂において、一般式(PCA)で表される構造単位の含有割合(共重合比)は、BPポリカーボネート樹脂を構成する全構造単位に対して5モル%以上95モル%以下の範囲がよく、感光層(電荷輸送層)の耐磨耗性を高める観点から、好ましくは5モル%以上50モル%以下の範囲、より好ましくは15モル%以上30モル%以下の範囲である。
例示化合物(PC−1)〜(PC−3)において、pm:pn(モル比)は、95:5から5:95までの範囲が好ましく、50:50から5:95までの範囲がより好ましく、15:85から30:70までの範囲が更に好ましい。
BPポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量としては、20000以上80000以下が好ましい。
BPポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、下記の方法により測定される値である。樹脂1gをメチレンクロライド100cm3に溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(但しcは濃度(g/cm3))から極限粘度〔η〕(cm3/g)を求め、H.Schnellによって与えられている関係式〔η〕=1.23×10−4Mv0.83から粘度平均分子量Mvを求める。
BPポリカーボネート樹脂は、他の結着樹脂と併用してもよい。ただし、他の結着樹脂は、全結着樹脂に対して10質量%以下(好ましくは5質量%以下)で併用することがよい。
BPポリカーボネート樹脂の含有量は、例えば、感光層(電荷輸送層)の全固形分に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
全結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(質量比、結着樹脂:電荷輸送材料)は10:1から1:5までの範囲が好ましい。
電荷輸送層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
−保護層−
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH2、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2)Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の公知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。中でも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基が好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、公知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
−単層型感光層−
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他公知の添加剤と、を含む層である。これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。単層型感光層中、電荷輸送材料、酸化防止剤及び紫外線吸収剤の含有量は、電荷輸送層中での含有量と同様である。また、単層型感光層中、フッ素含有樹脂粒子及びフッ素含有分散剤の含有量は、電荷輸送層中での含有量と同様である。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
[帯電装置]
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等も挙げられる。
[露光装置]
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザを利用してもよい。カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
[現像装置]
現像装置10としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置10としては、現像機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いる装置が好ましい。
現像装置10に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、公知のものが適用される。
[転写装置]
転写装置20としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などが挙げられる。
[潤滑剤供給装置]
潤滑剤供給装置30は、例えば図1に示すように、固体の潤滑剤31と、潤滑剤31及び感光体7の外周面に接触して回転する回転ブラシ32と、を備えている。感光体7の回転に伴って回転ブラシ32が回転し、回転ブラシ32により潤滑剤31の一部が粉体としてかき取られ感光体7の表面に付与される。
潤滑剤31は、ステアリン酸亜鉛を含む。潤滑剤31は、潤滑剤成分として、ステアリン酸亜鉛以外の脂肪酸金属塩、フッ素樹脂、ポリオレフィン等を含んでいてもよい。
ステアリン酸亜鉛以外の脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸の、カルシウム、バリウム、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩;二塩基性ステアリン酸鉛:オレイン酸の、亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルト、銅、カルシウム等の金属塩;ラウリン酸の、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム等の金属塩;パルミチン酸の、アルミニウム、カルシウム等の金属塩;カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸コバルト、リシノール酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、リシノレイン酸カドミウム;が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、パラフィンワックス、パラフィンラテックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
潤滑剤31におけるステアリン酸亜鉛の含有割合は、例えば、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%である。
潤滑剤供給装置30は、潤滑剤31を(特にはステアリン酸亜鉛を)、感光体7に対してその単位面積当たり0.05μg/cm2以上1.8μg/cm2以下の供給量で供給することが好ましい。潤滑剤(特にはステアリン酸亜鉛)の供給量が0.05μg/cm2以上であると、感光体の偏摩耗をより効果的に抑制する。潤滑剤(特にはステアリン酸亜鉛)の供給量が1.8μg/cm2以下であると、ハーフトーン画像にムラが発生しにくい。上記の観点から、潤滑剤(特にはステアリン酸亜鉛)の供給量は、より好ましくは0.05μg/cm2以上1.8μg/cm2以下であり、更に好ましくは0.1μg/cm2以上1.5μg/cm2以下である。
潤滑剤31の供給量は、画像形成前後において潤滑剤31の重量を測って潤滑剤31の消費量を求め、該消費量を、画像形成の間に潤滑剤供給装置30を通過した感光体7外周面の累積面積で除することで求められる。
[クリーニング装置]
クリーニング装置は、クリーニングブレード41を備えるブレード方式の装置が用いられる。クリーニングブレード41は、感光体7の表面に接触するように配置されている。
クリーニングブレード41は、例えば、弾性材料で構成される。その弾性材料としては、熱硬化型ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、耐摩耗性、耐欠損性、耐クリープ性などの機械的性質に優れる観点から、熱硬化型ポリウレタンゴムが好ましい。
クリーニングブレード41の接触圧は、例えば1.0gf/mm以上5.0gf/mm以下である。クリーニングブレード41の接触幅(感光体の回転方向に沿った接触長)は、例えば0.5mm以上2.0mm以下である。クリーニングブレード41の接触角は、例えば5°以上30°以下である。
[定着装置]
定着装置50としては、例えば、加熱ロールと、該加熱ロールに押圧する加圧ロールとを備える加熱定着装置が挙げられる。
画像形成装置は、感光体7、帯電装置8、露光装置9、現像装置10、転写装置20、潤滑剤供給装置30、及びクリーニングブレード41を1つのユニットとし、このユニットが4つ並んで搭載されたタンデム方式の多色画像形成装置であってもよい。
画像形成装置は、感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置でもよい。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<実施例1>
[感光体の作製]
下記の材料を混合して攪拌を行い、2時間還流を行った。その後、10mmHgにてトルエンを減圧留去し、135℃で2時間焼き付けて、シランカップリング剤による酸化亜鉛の表面処理を行った。
・酸化亜鉛(テイカ社MZ300) 100部
・シランカップリング剤:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランの10質量%トルエン溶液 10部
・トルエン 200部
下記の材料Aを混合して30分間攪拌し、下記の材料Bを添加し、サンドミルにて3時間の分散を行い、下引層形成用塗布液を得た。下引層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径47mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム製基体の周面に塗布し、180℃で30分間の乾燥硬化を行い、膜厚25μmの下引層を得た。
−材料A−
・表面処理した酸化亜鉛 33部
・ブロック化イソシアネート(住友バイエルウレタン社スミジュール3175) 6部
・下記構造式(AK−1)で表される化合物 1部
・メチルエチルケトン 25部
−材料B−
・ブチラール樹脂(積水化学工業社エスレックBM−1) 5部
・シリコーン樹脂粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社トスパール120) 3部
・レベリング剤:シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社SH29PA)0.01部
下記の材料を、容量100mLのガラス瓶中に、1.0mmφガラスビーズと共に充填率50%で入れて、ペイントシェーカーを用いて2.5時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。電荷発生層形成用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間の乾燥を行い、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
・電荷発生材料:ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料。Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型。600nmから900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長820nm、平均粒径0.12μm、最大粒径0.2μm、BET比表面積60m2/g。
・結着樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂
・n−酢酸ブチル
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の混合比を55体積%:45体積%とし、電荷発生層形成用塗布液の固形分量を6質量%とした。上記の体積割合は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の比重を1.606g/cm3、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の比重を1.35g/cm3として計算した。
下記の材料を混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、150℃で40分間の乾燥を行い、膜厚34μmの電荷輸送層を形成した。以上の工程を経て、感光体を得た。
・結着樹脂:ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型、粘度平均分子量5万) 60.0部
・ブタジエン系電荷輸送材料:例示化合物(CT1−1) 8.0部
・ベンジジン系電荷輸送材料:例示化合物(CT2−1) 32.0部
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:例示化合物(HP−1) 3.2部
(分子量775。全電荷輸送材料の合計量に対して8.0質量%)
・テトラヒドロフラン 340部
[画像形成装置の構成]
直接転写方式の画像形成装置として、富士ゼロックス社Docu Centre−IIC7500の改造機を用意した。該画像形成装置に、上記で作製した感光体を装填した。該画像形成装置は、感光体に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置、及び感光体のクリーニング装置を搭載している。潤滑剤供給装置は、固体のステアリン酸亜鉛と回転ブラシとを備えており、クリーニング装置は、熱硬化型ポリウレタンゴム製クリーニングブレードを備えている。潤滑剤供給装置は、感光体に対してその単位面積当たり、表1に示す供給量のステアリン酸亜鉛を供給するように設定した。
潤滑剤の供給量は、画像形成前後において潤滑剤の重量を測って潤滑剤の消費量を求め、該消費量を、画像形成の間に潤滑剤供給装置を通過した感光体の外周面の累積面積で除することで求められる。
[摩耗の評価]
上記画像形成装置を用いて、温度28℃、相対湿度85%の環境下で、A3サイズの紙に、シアン色トナーにより、毎分75枚モードで、画像濃度7%の全面ハーフトーン画像を2.5万枚連続出力した(感光体50000回転に相当する。)。画像形成前後において感光体の最外層(電荷輸送層)の膜厚を、渦電流式膜厚測定装置(フィッシャー・インストルメンツ社)にて測定した。測定は、感光体の軸方向に21mm刻みで15点測定し、周方向に30°刻みで12点測定し、合計180点測定した。全測定点の測定値を平均し、感光体の回転数で除して、感光体1000回転当たりの平均摩耗量(nm/kcycle)を求めた。また、全測定点のうちの摩耗量の最大値と最小値との差を、偏摩耗の指標(nm/kcycle)として求めた。
[ハーフトーン画像の濃度ムラの評価]
2.5万枚の連続出力の次に画像濃度20%の全面ハーフトーン画像を出力し、目視で観察し、濃度ムラを下記の通りに分類した。
グレード1(G1):濃度ムラは認められない。
グレード2(G2):濃度ムラはあるが、極めて少ない。
グレード3(G3):濃度ムラはあるが、実用上の許容範囲である。
グレード4(G4):濃度ムラがあり、実用上許容できない程度である。
グレード5(G5):濃度ムラが激しく発生する。
[焼付きゴーストの評価]
未使用の感光体を用意し、前記画像形成装置に装填し、温度28℃、相対湿度85%の環境下で、A3サイズの紙に、格子模様チャートを3000枚連続出力した後、シアン色の画像濃度20%の全面ハーフトーン画像を1枚出力した。画像濃度20%の全面ハーフトーン画像を目視で観察し、格子模様に対応する部分と格子模様に対応しない部分との濃度差を官能評価した。官能評価は、G0からG5まで0.5刻みで行い、Gの数字が小さい程、濃度差が小さく、焼付きゴーストが発生していないことを示す。焼付きゴーストの許容グレードはG3.5以下である。
[光疲労の評価]
未使用の感光体を用意し、2cm四方の窓を開けた黒紙に巻き、窓開け部のみが光暴露されるようにして、白色蛍光灯(1000Lux)下で10分間放置し、感光体を光暴露させた。光暴露させた感光体を、前記画像形成装置に装填し、温度28℃、相対湿度85%の環境下で、A3サイズの紙に、シアン色の画像濃度50%の全面ハーフトーン画像を1枚出力した。出力した全面ハーフトーン画像を目視で観察し、光暴露部と非光暴露部との濃度差を官能評価した。官能評価は、G0からG5まで0.5刻みで行い、Gの数字が小さい程、濃度差が小さく、光疲労が発生していないことを示す。光疲労の許容グレードはG3.5以下である。
<実施例2〜7>
潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<比較例1>
潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給をなし(供給量ゼロ)に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<実施例8>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤に代えてベンゾフェノン系紫外線吸収剤:例示化合物(BP−1)3.2部(全電荷輸送材料の合計量に対して8.0質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<実施例9>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:例示化合物(BP−1)3.2部(全電荷輸送材料の合計量に対して8.0質量%)も用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<実施例10>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料として、フッ素含有樹脂粒子:4フッ化エチレン樹脂粒子(体積平均粒径200nm)8.0部、及びフッ素含有分散剤:GF400(東亜合成社、フッ化アルキル基を有するメタクリレートを少なくとも重合成分とした界面活性剤)0.24部も用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<実施例11>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤に代えてベンゾフェノン系紫外線吸収剤:例示化合物(BP−1)3.2部(全電荷輸送材料の合計量に対して8.0質量%)を用い、フッ素含有樹脂粒子:4フッ化エチレン樹脂粒子(体積平均粒径200nm)8.0部、及びフッ素含有分散剤:GF400(東亜合成社、フッ化アルキル基を有するメタクリレートを少なくとも重合成分とした界面活性剤)0.24部も用いた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<実施例12〜22>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
<比較例2〜7>
実施例1において、電荷輸送層形成用塗布液の材料を表3に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。そして、潤滑剤供給装置によるステアリン酸亜鉛の供給量を表3に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成を行った。
各実施例及び各比較例の電荷輸送層形成用塗布液の組成、並びに、各実施例及び各比較例の評価結果について、表1〜表3に示す。
比較例1のハーフトーン画像の濃度ムラは、G4であり、感光体の偏摩耗に起因するものと推測された。実施例7のハーフトーン画像の濃度ムラは、G2であり、潤滑剤の供給量が過剰なことに起因すると推測された。
表1〜表3の略称は、下記の化合物を意味する。
・ZnSt:ステアリン酸亜鉛
・PCZ500:ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZの単独重合型、粘度平均分子量5万。
・PC−1:BPポリカーボネート樹脂の例示化合物(PC−1)、pm:pn=25:75、粘度平均分子量4万。
・PC−2:BPポリカーボネート樹脂の例示化合物(PC−2)、pm:pn=25:75、粘度平均分子量4万。
・PC−3:BPポリカーボネート樹脂の例示化合物(PC−3)、pm:pn=25:75、粘度平均分子量4万。
・CT1−1:ブタジエン系電荷輸送材料の例示化合物(CT1−1)。
・CT1−2:ブタジエン系電荷輸送材料の例示化合物(CT1−2)。
・CT1−3:ブタジエン系電荷輸送材料の例示化合物(CT1−3)。
・CT2−1:ベンジジン系電荷輸送材料の例示化合物(CT2−1)。
・CT2−2:ベンジジン系電荷輸送材料の例示化合物(CT2−2)。
・HP−1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例示化合物(HP−1)、分子量775。
・HP−2:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例示化合物(HP−2)、分子量784。
・HP−3:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例示化合物(HP−3)、分子量340。
・CAO−1:下記構造式(CAO−1)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、分子量220。酸化防止剤の比較化合物。
・CAO−2:下記構造式(CAO−2)で表されるヒンダードアミン系酸化防止剤。酸化防止剤の比較化合物。
・BP−1:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例示化合物(BP−1)。
・BP−2:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例示化合物(BP−2)。
・BP−3:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例示化合物(BP−3)。
・CUA−1:下記構造式(CUA−1)で表されるベンゾエート系紫外線吸収剤。紫外線吸収剤の比較化合物。