JP2019060909A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体を提供すること。【解決手段】導電性基体4と、電荷発生層2と、ポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電荷輸送層3と、を有し、「|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)」|で表される|ΔI|が0以上0.25以下である電子写真感光体。ただし、IA1及びIA2はそれぞれ、電荷輸送層の内周面のうち導電性基体4の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおける電荷輸送材料のN−C結合及びポリカーボネート樹脂のC=O結合のピークの面積、IB1及びIB2はそれぞれ、電荷輸送層の内周面のうち導電性基体4の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおける電荷輸送材料のN−C結合及びポリカーボネート樹脂のC=O結合のピークの面積である。【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生層、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が、該電子写真感光体の表面層であり、該電荷輸送層が、特定の電荷輸送物質、および、特定の結着樹脂、を含有し、該電荷輸送層が、表面における電荷輸送物質(D)と該結着樹脂(B)との質量比(D/B)が、表面から膜厚の4/5倍の距離における電荷輸送物質(D)と該結着樹脂(B)との質量比(D/B)よりも小さい電子写真感光体が開示されている。
ポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電荷輸送層は、例えば、前記ポリカーボネート樹脂と前記電荷輸送材料と溶媒とを含む電荷輸送層形成用塗布液に導電性基体を浸漬し、引き上げながら溶媒が除去されて形成する。
このようにして形成された電荷輸送層においては、前記電荷輸送材料における膜厚方向の分布が、導電性基体における軸方向の一端と他端とで異なることがある。
そして、電荷輸送層の内周面における前記電荷輸送材料の含有量が、導電性基体における軸方向の一端と他端とで異なると、前記一端に形成された画像と前記他端に形成された画像とで濃度差が生じることがある。
このようにして形成された電荷輸送層においては、前記電荷輸送材料における膜厚方向の分布が、導電性基体における軸方向の一端と他端とで異なることがある。
そして、電荷輸送層の内周面における前記電荷輸送材料の含有量が、導電性基体における軸方向の一端と他端とで異なると、前記一端に形成された画像と前記他端に形成された画像とで濃度差が生じることがある。
本発明の課題は、導電性基体と電荷発生層と電荷輸送層とを有し、電荷輸送層がポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電子写真感光体において、電荷輸送層の内周面のうち導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルの1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIA1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIA2とし、かつ、前記電荷輸送層の内周面のうち導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルの1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIB1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIB2としたとき、「式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)|」で表される|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に配置された電荷発生層と、
前記電荷発生層上に配置され、ポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電荷輸送層と、
を有し、
前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIA1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIA2とし、かつ、前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIB1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIB2としたとき、下記式(1)で表される|ΔI|の値が0以上0.25以下である電子写真感光体。
式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)|
導電性基体と、
前記導電性基体上に配置された電荷発生層と、
前記電荷発生層上に配置され、ポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電荷輸送層と、
を有し、
前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIA1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIA2とし、かつ、前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIB1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIB2としたとき、下記式(1)で表される|ΔI|の値が0以上0.25以下である電子写真感光体。
式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)|
請求項2に係る発明は、
前記|ΔI|の値が0以上0.10以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
前記|ΔI|の値が0以上0.10以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
請求項3に係る発明は、
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項4に係る発明は、
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、35質量部以上50質量部以下である請求項3に記載の電子写真感光体。
請求項5に係る発明は、
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、40質量部以上50質量部以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項4に係る発明は、
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、35質量部以上50質量部以下である請求項3に記載の電子写真感光体。
請求項5に係る発明は、
前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、40質量部以上50質量部以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
請求項6に係る発明は、
前記電荷輸送層の厚みは、20μm以上80μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項7に係る発明は、
前記電荷輸送層の厚みは、30μm以上60μm以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
請求項8に係る発明は、
前記電荷輸送層の厚みは、40μm以上50μm以下である請求項7に記載の電子写真感光体。
請求項9に係る発明は、
前記電荷輸送層は、単層である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層の厚みは、20μm以上80μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項7に係る発明は、
前記電荷輸送層の厚みは、30μm以上60μm以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
請求項8に係る発明は、
前記電荷輸送層の厚みは、40μm以上50μm以下である請求項7に記載の電子写真感光体。
請求項9に係る発明は、
前記電荷輸送層は、単層である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項10に係る発明は、
前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’A1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’A2とし、かつ、前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’B1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’B2としたとき、下記式(2)で表される|ΔI’|の値が0以上0.25以下である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
式(2):|ΔI’|=|(I’A1/I’A2)−(I’B1/I’B2)|
請求項11に係る発明は、
前記|ΔI’|の値が0以上0.10以下である請求項10に記載の電子写真感光体。
前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’A1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’A2とし、かつ、前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’B1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’B2としたとき、下記式(2)で表される|ΔI’|の値が0以上0.25以下である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
式(2):|ΔI’|=|(I’A1/I’A2)−(I’B1/I’B2)|
請求項11に係る発明は、
前記|ΔI’|の値が0以上0.10以下である請求項10に記載の電子写真感光体。
請求項12に係る発明は、
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項13に係る発明は、
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項13に係る発明は、
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、導電性基体と電荷発生層と電荷輸送層とを有し、電荷輸送層がポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、前記|ΔI|の値が0.10を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、電荷輸送層全体に含まれる電荷輸送材料の含有量が電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し30質量部以上60質量部以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、電荷輸送層全体に含まれる電荷輸送材料の含有量が電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し35質量部以上50質量部以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、電荷輸送層全体に含まれる電荷輸送材料の含有量が電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し40質量部以上60質量部以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、電荷輸送層全体に含まれる電荷輸送材料の含有量が電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し35質量部以上50質量部以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、電荷輸送層全体に含まれる電荷輸送材料の含有量が電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し40質量部以上60質量部以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項6に係る発明によれば、電荷輸送層の厚みが20μm以上80μm以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項7に係る発明によれば、電荷輸送層の厚みが30μm以上60μm以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項8に係る発明によれば、電荷輸送層の厚みが40μm以上50μm以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項9に係る発明によれば、電荷輸送層が単層であり、かつ、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、電子写真感光体の軸方向における偏摩耗を抑制するとともに、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項7に係る発明によれば、電荷輸送層の厚みが30μm以上60μm以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項8に係る発明によれば、電荷輸送層の厚みが40μm以上50μm以下である電子写真感光体において、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項9に係る発明によれば、電荷輸送層が単層であり、かつ、前記|ΔI|の値が0.25を超える場合に比べ、電子写真感光体の軸方向における偏摩耗を抑制するとともに、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項10に係る発明によれば、前記|ΔI’|の値が0.25を超える場合に比べ、電子写真感光体の軸方向における偏摩耗を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項11に係る発明によれば、前記|ΔI’|の値が0.10を超える場合に比べ、電子写真感光体の軸方向における偏摩耗を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項11に係る発明によれば、前記|ΔI’|の値が0.10を超える場合に比べ、電子写真感光体の軸方向における偏摩耗を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項12又は13に係る発明によれば、導電性基体と電荷発生層と電荷輸送層とを有し、電荷輸送層がポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含み、かつ、前記ΔIの値が0.25を超える電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジ又は画像形成装置に比べ、導電性基体の軸方向における画像の濃度差を抑制した電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性基体と、導電性基体上に配置された電荷発生層と、電荷発生層上に配置された電荷輸送層と、を有する。
また、電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂(以下「特定樹脂」ともいう)と、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料(以下「特定電荷輸送材料」ともいう)と、を含む。そして、上記電荷輸送層における下記式(1)で表される|ΔI|の値(以下「|ΔI|値」ともいう)が0以上0.25以下である。
式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)|
本実施形態に係る電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性基体と、導電性基体上に配置された電荷発生層と、電荷発生層上に配置された電荷輸送層と、を有する。
また、電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂(以下「特定樹脂」ともいう)と、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料(以下「特定電荷輸送材料」ともいう)と、を含む。そして、上記電荷輸送層における下記式(1)で表される|ΔI|の値(以下「|ΔI|値」ともいう)が0以上0.25以下である。
式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)|
ここで、上記式(1)中「IA1」は、電荷輸送層の内周面のうち導電性基体の軸方向(以下、単に「軸方向」ともいう)の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IA2」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IB1」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IB2」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IA2」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IB1」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「IB2」は、電荷輸送層の内周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
なお、「電荷輸送層の内周面」とは、電荷輸送層における導電性基体側の面をいう。
また、「軸方向の一端」及び「軸方向の他端」は、具体的には、電荷輸送層における軸方向の両端からそれぞれ50mmの位置をいう。
また、「軸方向の一端」及び「軸方向の他端」は、具体的には、電荷輸送層における軸方向の両端からそれぞれ50mmの位置をいう。
「1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積」とは、赤外吸収スペクトルの1535cm−1以上1650cm−1以下の領域に現れた吸収ピークのうち、特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークのみの面積を意味する。つまり、1535cm−1以上1650cm−1以下の領域に他の結合に由来する吸収ピークが重なる場合は、重なった吸収ピーク群のうち特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークのみの面積を求める。同様に、「1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積」とは、赤外吸収スペクトルの1675cm−1以上1860cm−1以下の領域に現れた吸収ピークのうち、特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークのみの面積を意味する。
また、|ΔI|値は、電荷輸送層の内周面に存在する特定電荷輸送材料の量が、軸方向の一端と他端とで、どの程度異なるかを示す値であり、その差が大きいほど|ΔI|値が大きな値を示す。
また、|ΔI|値は、電荷輸送層の内周面に存在する特定電荷輸送材料の量が、軸方向の一端と他端とで、どの程度異なるかを示す値であり、その差が大きいほど|ΔI|値が大きな値を示す。
前記「IA1」、「IA2」、「IB1」、及び「IB2」の測定は、以下の方法で行う。
具体的には、感光体の軸方向両端部からそれぞれ50cmの位置(すなわち、一端及び他端)で周方向に4点ずつにおいて、電荷輸送層を感光体から剥離させて内周面を露出させ、露出した電荷輸送層の内周面の赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定する。
なお、赤外吸収スペクトルは、全反射測定法(すなわちATR法)によりフーリエ変換赤外分光分析(FT−IR測定)を行うことで得られる。具体的には、測定装置として赤外分光分析装置(サーモフィッシャー社製NICOLET6700FT−IR)を用い、測定領域:650cm−1〜4000cm−1、分解能:4cm−1、積算回数:32回、屈折媒質:ZnSe、測定深度:2μmの条件で測定を行う。
具体的には、感光体の軸方向両端部からそれぞれ50cmの位置(すなわち、一端及び他端)で周方向に4点ずつにおいて、電荷輸送層を感光体から剥離させて内周面を露出させ、露出した電荷輸送層の内周面の赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定する。
なお、赤外吸収スペクトルは、全反射測定法(すなわちATR法)によりフーリエ変換赤外分光分析(FT−IR測定)を行うことで得られる。具体的には、測定装置として赤外分光分析装置(サーモフィッシャー社製NICOLET6700FT−IR)を用い、測定領域:650cm−1〜4000cm−1、分解能:4cm−1、積算回数:32回、屈折媒質:ZnSe、測定深度:2μmの条件で測定を行う。
上記測定で得られた赤外吸収スペクトルのうち、電荷輸送層の軸方向の一端における内周面の赤外吸収スペクトルから、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積及び1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をそれぞれ求めて平均したものを、それぞれ「IA1」及び「IA2」とする。
また、上記測定で得られた赤外吸収スペクトルのうち、電荷輸送層の軸方向の他端における内周面の赤外吸収スペクトルから、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積及び1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をそれぞれ求めて平均したものを、それぞれ「IB1」及び「IB2」とする。
また、上記測定で得られた赤外吸収スペクトルのうち、電荷輸送層の軸方向の他端における内周面の赤外吸収スペクトルから、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積及び1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をそれぞれ求めて平均したものを、それぞれ「IB1」及び「IB2」とする。
本実施形態に係る感光体は、|ΔI|値が0.25以下であることにより、軸方向における画像の濃度差が抑制される。その理由は定かでは無いが、以下のように推測される。
特定樹脂と特定電荷輸送材料とを含む電荷輸送層は、例えば、前記特定樹脂と前記特定電荷輸送材料と溶媒とを含む電荷輸送層形成用塗布液に塗布対象物(つまり、電荷発生層が形成された導電性基体)を浸漬し、引き上げて形成する。その場合、塗布対象物である導電性基体の下端部が電荷輸送層形成用塗布液に浸漬した状態で、導電性基体の上端部に形成された塗膜から溶媒が除去され始める。その一方で、導電性基体の下端部に形成された塗膜からの溶媒の除去は、導電性基体が引き上げられて電荷輸送層形成用塗布液に接触していない状態で行われる。
ここで、塗膜から溶媒が除去される際には、「溶媒の気化熱」として導電性基体から熱が奪われる。熱が奪われることで導電性基体の温度が下がると、塗膜のうち導電性基体側(すなわち内周面側)が特に冷却され、塗膜の内周面側における特定電荷輸送材料の溶解度が低下して先に固化することで、内周面側に特定電荷輸送材料が偏在しやすくなる。
そのため、導電性基体の上端部における塗膜から溶媒が除去される際には、導電性基体の下端部が浸漬している電荷輸送層形成用塗布液から熱が供給されるため、「溶媒の気化熱」として熱が奪われても、導電性基体の温度が下がりにくい。これに対し、導電性基体の下端部における塗膜から溶媒が除去される際には、導電性基体が電荷輸送層形成用塗布液に接触していないため、導電性基体の温度が下がりやすい。このように、導電性基体の上端部と下端部とで、塗膜から溶媒が除去される際における導電性基体の温度が大きく異なると、特定電荷輸送材料における膜厚方向の分布が大きく異なる(つまり、|ΔI|値が大きい)電荷輸送層が得られやすくなる。
そのため、導電性基体の上端部における塗膜から溶媒が除去される際には、導電性基体の下端部が浸漬している電荷輸送層形成用塗布液から熱が供給されるため、「溶媒の気化熱」として熱が奪われても、導電性基体の温度が下がりにくい。これに対し、導電性基体の下端部における塗膜から溶媒が除去される際には、導電性基体が電荷輸送層形成用塗布液に接触していないため、導電性基体の温度が下がりやすい。このように、導電性基体の上端部と下端部とで、塗膜から溶媒が除去される際における導電性基体の温度が大きく異なると、特定電荷輸送材料における膜厚方向の分布が大きく異なる(つまり、|ΔI|値が大きい)電荷輸送層が得られやすくなる。
そして、|ΔI|値が大きい電荷輸送層では、電荷輸送層の内周面側(すなわち電荷発生層側)における特定電荷輸送材料の含有量が、軸方向の一端と他端とで異なる。そのため、軸方向の一端と他端とで、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入性が異なり、その結果、得られた画像における濃度にも差が出ると推測される。
これに対して、本実施形態では、|ΔI|値が0.25以下である。つまり、電荷輸送層の内周面側における特定電荷輸送材料の含有量について、軸方向の一端と他端との差が小さい。そのため、従来のように特定電荷輸送材料における膜厚方向の分布が軸方向の一端と他端とで異なる(つまり、|ΔI|値が0.25を超える)電荷輸送層を有する感光体に比べて、軸方向における画像の濃度差が抑制される。
以上のようにして、本実施形態の感光体では、軸方向における画像の濃度差が抑制されるものと推測される。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る電子写真感光体を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を模式的に示す概略部分断面図である。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を模式的に示す概略部分断面図である。
図1に示す感光体7Aは、導電性基体4上に、下引層1、電荷発生層2、及び電荷輸送層3がこの順序で積層された構造を有する。そして、電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。
なお、感光体7Aは、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。また、感光体7Aは、必要に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては、例えば、電荷輸送層3の外周面に設けられる保護層等が挙げられる。
なお、感光体7Aは、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。また、感光体7Aは、必要に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては、例えば、電荷輸送層3の外周面に設けられる保護層等が挙げられる。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の一例として、図1に示す感光体7Aの各層について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m2/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、少なくとも、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(すなわち、特定樹脂)と、電荷輸送材料としてトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料(すなわち、特定電荷輸送材料)と、を含む層である。電荷輸送層は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
なお、電荷輸送層が他の成分として特定樹脂以外の樹脂を含む場合は、樹脂全体に対する特定樹脂の含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
また、電荷輸送層が他の成分として特定電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を含む場合は、電荷輸送材料全体に対する特定電荷輸送材料の含有量は70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
電荷輸送層は、少なくとも、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(すなわち、特定樹脂)と、電荷輸送材料としてトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料(すなわち、特定電荷輸送材料)と、を含む層である。電荷輸送層は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
なお、電荷輸送層が他の成分として特定樹脂以外の樹脂を含む場合は、樹脂全体に対する特定樹脂の含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
また、電荷輸送層が他の成分として特定電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を含む場合は、電荷輸送材料全体に対する特定電荷輸送材料の含有量は70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
−電荷輸送材料−
特定電荷輸送材料としては、例えば、下記一般式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体のほか、下記一般式(CT2)で示されるベンジジン系電荷輸送材料(CT2)等が挙げられる。これらの中でも、特定電荷輸送材料としては、ゴースト抑制、電荷輸送性の観点から、下記一般式(CT2)で示されるベンジジン系電荷輸送材料(CT2)が好ましい。
特定電荷輸送材料としては、例えば、下記一般式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体のほか、下記一般式(CT2)で示されるベンジジン系電荷輸送材料(CT2)等が挙げられる。これらの中でも、特定電荷輸送材料としては、ゴースト抑制、電荷輸送性の観点から、下記一般式(CT2)で示されるベンジジン系電荷輸送材料(CT2)が好ましい。
一般式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C6H4−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C6H4−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
次に、一般式(CT2)で示されるベンジジン系電荷輸送材料(CT2)について説明する。
一般式(CT2)中、RC21、RC22、及びRC23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は、炭素数6以上10以下のアリール基を表す。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルキル基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、tert−ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、tert−ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec−デシルオキシ基、tert−デシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表すアリール基としては、炭素数6以上10以下(好ましくは6以上9以下、より好ましくは6以上8以下)のアリール基が挙げられる。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中でも、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
なお、一般式(CT2)において、RC21、RC22、及びRC23が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、上記例示した原子および基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基など)が挙げられる。
一般式(CT2)において、特に、電荷輸送能の高い感光層(電荷輸送層)形成の点から、RC21、RC22、及びRC23が、各々独立に、水素原子、又は、炭素数1以上10以下のアルキル基を表すことが好ましく、RC21、及びRC23が水素原子を表し、RC22が炭素数1以上10以下のアルキル基(特に、メチル基)を表すことがより好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT2−2))であることが特に好ましい。
具体的には、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)は、下記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料(例示化合物(CT2−2))であることが特に好ましい。
以下に、ベンジジン系電荷輸送材料(CT2)の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。
なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。また、置換基の前に付す番号は、ベンゼン環に対する置換位置を示している。
・−CH3:メチル基
・−C2H5:エチル基
・−OCH3:メトキシ基
・−OC2H5:エトキシ基
・−CH3:メチル基
・−C2H5:エチル基
・−OCH3:メトキシ基
・−OC2H5:エトキシ基
特定電荷輸送材料は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
電荷輸送層全体における特定電荷輸送材料の含有量は、電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下が好ましく、35質量部以上50質量部以下がより好ましく、40質量部以上50質量部以下がさらに好ましい。
電荷輸送層全体における特定電荷輸送材料の含有量は、電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下が好ましく、35質量部以上50質量部以下がより好ましく、40質量部以上50質量部以下がさらに好ましい。
特定電荷輸送材料以外の電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン構造を有さないベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。
−結着樹脂−
特定樹脂は、ポリカーボネート樹脂(すなわち、カーボネート結合を有する高分子化合物)であれば特に限定されない。ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格及びビスフェノール骨格の少なくとも一方を有する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(以下「BPポリカーボネート樹脂」ともいう)が挙げられる。
すなわち、BPポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格を有する構造単位で構成された単独重合体、ビスフェノール骨格を有する構造単位で構成された単独重合体のほか、ビフェニル骨格を有する構造単位及びビスフェノール骨格を有する構造単位の少なくとも一種を含んで構成された共重合体が挙げられる。BPポリカーボネート樹脂は、その中でも耐磨耗性の観点からビスフェノール骨格を有する構造単位で構成された単独重合体が好ましい。
なお、ビスフェノール骨格としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールB骨格、ビスフェノールBP骨格、ビスフェノールC骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールZ骨格等が挙げられる。
特定樹脂は、ポリカーボネート樹脂(すなわち、カーボネート結合を有する高分子化合物)であれば特に限定されない。ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格及びビスフェノール骨格の少なくとも一方を有する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(以下「BPポリカーボネート樹脂」ともいう)が挙げられる。
すなわち、BPポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格を有する構造単位で構成された単独重合体、ビスフェノール骨格を有する構造単位で構成された単独重合体のほか、ビフェニル骨格を有する構造単位及びビスフェノール骨格を有する構造単位の少なくとも一種を含んで構成された共重合体が挙げられる。BPポリカーボネート樹脂は、その中でも耐磨耗性の観点からビスフェノール骨格を有する構造単位で構成された単独重合体が好ましい。
なお、ビスフェノール骨格としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールB骨格、ビスフェノールBP骨格、ビスフェノールC骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールZ骨格等が挙げられる。
BPポリカーボネート樹脂として具体的には、例えば、ジヒドロキシビフェニル化合物の単独重合体、ジヒドロキシビスフェノール化合物の単独重合体、及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの重合体は、例えば、上記化合物を原料として用い、ホスゲン等の炭酸エステル形成性化合物との重縮合又はビスアリールカーボネートとのエステル交換反応等の方法によって得られる。
ジヒドロキシビフェニル化合物は、ビフェニル骨格を有し、ビフェニル骨格の2つのベンゼン環に、各々、一つのヒドロキシル基を有するビフェニル化合物である。ジヒドロキシビフェニル化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル等が挙げられる。
これらジヒドロキシビフェニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
これらジヒドロキシビフェニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
ジヒドロキシビスフェノール化合物は、ビスフェノール骨格を有し、ビスフェノール骨格の2つのベンゼン環に、各々、一つのヒドロキシル基を有するビスフェノール化合物である。ジヒドロキシビスフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
これらビスフェノール化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
これらビスフェノール化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
これらの中でも、BPポリカーボネート樹脂は、電荷輸送層の耐摩耗性の点から、下記一般式(PCA)で示される構造単位及び下記一般式(PCB)で示される構造単位の少なくとも1つを含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。つまり、好ましいBPポリカーボネート樹脂として、下記一般式(PCA)で示される構造単位で構成された単独重合体、下記一般式(PCB)で示される構造単位で構成された単独重合体、及びこれらの共重合体が挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は、炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すアルキレン基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基として具体的には、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基として具体的には、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、XP1が表すシクロアルキレン基としては、炭素数3以上12以下(好ましくは炭素数3以上10以下、より好ましくは炭素数5以上8以下)のシクロアルキレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基として具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
シクロアルキレン基として具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
なお、一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、RP4、及びXP1が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5以上7以下のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(PCA)において、RP1、及びRP2は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、RP1、及びRP2は、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(PCB)において、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、XP1がアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表すことが好ましい。
一般式(PCB)において、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、XP1がアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表すことが好ましい。
一般式(PCA)及び一般式(PCB)の具体例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
BPポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量としては、例えば20,000以上80,000以下が好ましい。
なお、BPポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法としては、次の方法により測定される値である。樹脂1gをメチレンクロライド100cm3に均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3))より極限粘度〔η〕(cm3/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
なお、BPポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法としては、次の方法により測定される値である。樹脂1gをメチレンクロライド100cm3に均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3))より極限粘度〔η〕(cm3/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
ここで、BPポリカーボネート樹脂の含有量は、例えば、電荷輸送層全体対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
電荷輸送層に用いる特定樹脂以外の結着樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
−電荷輸送層の形成−
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
上記電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法の中でも、継ぎ目が無く、軸方向全体にわたって均一に近い電荷輸送層を得る観点から、浸漬塗布法を用いることが好ましい。つまり、電荷輸送層が浸漬塗装皮膜であることが好ましい。
浸漬塗布法による浸漬塗装皮膜の形成方法としては、例えば、電荷発生層が形成された導電性基体を電荷輸送層形成用塗布液に浸漬させる工程と、前記電荷輸送層形成用塗布液に浸漬した前記導電性基体を前記電荷輸送層形成用塗布液から引き上げる工程と、引き上げられた前記導電性基体の下端部を拭き取る工程と、引き上げられた前記導電性基体を必要に応じて加熱する工程と、を経て、電荷発生層上に浸漬塗装皮膜である電荷輸送層を形成する方法が挙げられる。
浸漬塗布法による浸漬塗装皮膜の形成方法としては、例えば、電荷発生層が形成された導電性基体を電荷輸送層形成用塗布液に浸漬させる工程と、前記電荷輸送層形成用塗布液に浸漬した前記導電性基体を前記電荷輸送層形成用塗布液から引き上げる工程と、引き上げられた前記導電性基体の下端部を拭き取る工程と、引き上げられた前記導電性基体を必要に応じて加熱する工程と、を経て、電荷発生層上に浸漬塗装皮膜である電荷輸送層を形成する方法が挙げられる。
上記方法により電荷輸送層を形成する場合、例えば、導電性基体が電荷輸送層形成用塗布液から引き上げられる途中で、導電性基体の上部から乾燥(溶媒の除去)が始まる。そして、例えば、導電性基体の全体が電荷輸送層形成用塗布液から引き上げられた後、室温(例えば20℃以上30℃以下)で指触乾燥された後、加熱による乾燥が行われ、浸漬塗装皮膜である電荷輸送層が形成される。加熱による乾燥は、例えば、30℃以上200℃以下の温度域で、5分以上2時間以下の範囲で行う。
なお、電荷輸送層が浸漬塗装皮膜であることを確認する方法としては、例えば、電荷輸送層の軸方向における少なくとも一方の端部に拭き取り跡が存在することを確認する方法が挙げられる。
なお、電荷輸送層が浸漬塗装皮膜であることを確認する方法としては、例えば、電荷輸送層の軸方向における少なくとも一方の端部に拭き取り跡が存在することを確認する方法が挙げられる。
|ΔI|値が前記範囲の電荷輸送層を形成する方法は特に限定されないが、例えば上記浸漬塗布法を用いる場合、電荷輸送層形成用塗布液から導電性基体を引き上げる工程において、導電性基体に温風を供給しながら引き上げる方法が挙げられる。なお、温風の供給は、導電性基体の全体が電荷輸送層形成用塗布液から引き上げられた後も引き続き行ってもよい。
ここで、「温風」とは、導電性基体の温度よりも温度が高い気体を意味する。
温風の供給方法は、特に限定されず、例えば、導電性基体の内周面に温風が接触するように、導電性基体の上端部から温風を供給する方法が挙げられる。
温風の供給手段は、特に限定されず、例えば、導電性基体の塗液内面侵入を抑制する気流の温度を上げる方法等が挙げられる。
ここで、「温風」とは、導電性基体の温度よりも温度が高い気体を意味する。
温風の供給方法は、特に限定されず、例えば、導電性基体の内周面に温風が接触するように、導電性基体の上端部から温風を供給する方法が挙げられる。
温風の供給手段は、特に限定されず、例えば、導電性基体の塗液内面侵入を抑制する気流の温度を上げる方法等が挙げられる。
温風の組成は、特に限定されず、空気でもよく、窒素等の不活性気体でもよい。
温風の供給量は、特に限定されず、例えば、10L/min以上50L/min以下の範囲が挙げられる。
温風の温度は、電荷輸送層形成用塗布液の温度によっても異なるが、例えば、電荷輸送層形成用塗布液の温度をT1としたとき、T1−25℃以上T1+25℃以下が挙げられ、T1−15℃以上T1+15℃以下が好ましく、T1−5℃以上T1+5℃以下がより好ましい。
なお、電荷輸送層形成用塗布液の温度としては、例えば25℃以上35℃以下が挙げられる。
温風の供給量は、特に限定されず、例えば、10L/min以上50L/min以下の範囲が挙げられる。
温風の温度は、電荷輸送層形成用塗布液の温度によっても異なるが、例えば、電荷輸送層形成用塗布液の温度をT1としたとき、T1−25℃以上T1+25℃以下が挙げられ、T1−15℃以上T1+15℃以下が好ましく、T1−5℃以上T1+5℃以下がより好ましい。
なお、電荷輸送層形成用塗布液の温度としては、例えば25℃以上35℃以下が挙げられる。
−電荷輸送層の特性−
電荷輸送層全体の厚みとしては、例えば、20μm以上80μm以下が挙げられ、電荷輸送性と感光体ライフの観点から、30μm以上60μm以下が好ましく、40μm以上50μm以下がより好ましい。
電荷輸送層全体の厚みとしては、例えば、20μm以上80μm以下が挙げられ、電荷輸送性と感光体ライフの観点から、30μm以上60μm以下が好ましく、40μm以上50μm以下がより好ましい。
電荷輸送層は、単層であってもよく、積層されたものであってもよい。
ここで「単層」とは、一度の塗布及び乾燥によって形成された層をいう。
なお、単層であり、かつ、|ΔI|値が前記範囲の(つまり、電荷輸送層の内周面側における特定電荷輸送材料の含有量について軸方向の一端と他端との差が小さい)電荷輸送層は、特定電荷輸送材料の膜厚方向の分布も軸方向の一端と他端との差が小さい。そのため、電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量についても、軸方向の一端と他端との差が小さいことにより、後述するように、感光体の軸方向における偏摩耗が抑制される。
なお、「電荷輸送層の外周面」とは、電荷輸送層における導電性基体と反対側の面をいう。
ここで「単層」とは、一度の塗布及び乾燥によって形成された層をいう。
なお、単層であり、かつ、|ΔI|値が前記範囲の(つまり、電荷輸送層の内周面側における特定電荷輸送材料の含有量について軸方向の一端と他端との差が小さい)電荷輸送層は、特定電荷輸送材料の膜厚方向の分布も軸方向の一端と他端との差が小さい。そのため、電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量についても、軸方向の一端と他端との差が小さいことにより、後述するように、感光体の軸方向における偏摩耗が抑制される。
なお、「電荷輸送層の外周面」とは、電荷輸送層における導電性基体と反対側の面をいう。
また、電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量についての軸方向の一端と他端との差を表す下記式(2)で表される|ΔI’|の値(以下「|ΔI’|値」ともいう)は、0以上0.25以下が好ましく、0以上0.10以下がより好ましい。
式(2):|ΔI’|=|(I’A1/I’A2)−(I’B1/I’B2)|
式(2):|ΔI’|=|(I’A1/I’A2)−(I’B1/I’B2)|
ここで、上記式(2)中「I’A1」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’A2」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’B1」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’B2」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’A2」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’B1」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる特定電荷輸送材料のトリアリールアミン構造におけるN−C結合に由来する吸収ピークの面積である。
「I’B2」は、電荷輸送層の外周面のうち軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる特定樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積である。
|ΔI’|値は、電荷輸送層の外周面に存在する特定電荷輸送材料の量が、軸方向の一端と他端とで、どの程度異なるかを示す値であり、その差が大きいほど|ΔI’|値が大きな値を示す。
また、前記「I’A1」、「I’A2」、「I’B1」、及び「I’B2」の測定方法及び測定条件は、電荷輸送層の内周面を測定する代わりに外周面を測定する以外は、前記「IA1」、「IA2」、「IB1」、及び「IB2」の測定と同様である。
また、前記「I’A1」、「I’A2」、「I’B1」、及び「I’B2」の測定方法及び測定条件は、電荷輸送層の内周面を測定する代わりに外周面を測定する以外は、前記「IA1」、「IA2」、「IB1」、及び「IB2」の測定と同様である。
上記のように電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量について軸方向の一端と他端との差が小さい(例えば、|ΔI’|値が0.25以下である)ことにより、感光体の軸方向における偏摩耗が抑制される。その理由は定かでは無いが、以下のように推測される。
特定電荷輸送材料は、結晶化しやすく、特定樹脂に含有させることで特定樹脂の層の硬度が高くなる。そのため、外周面側における特定電荷輸送材料の含有量が低くなると、電荷輸送層の外周面側の硬度が下がり、画像形成の開始後初期における摩耗が起こりやすくなることがある。そして、軸方向の一端と他端とで、電荷輸送層の外周面における特定電荷輸送材料の含有量が大きく異なると、電荷輸送層の外周面の硬度も大きく異なり、軸方向における偏摩耗が起こりやすくなる。
これに対して、電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量について、軸方向の一端と他端との差が小さいと、電荷輸送層の外周面の硬度差が小さくなり、感光体の軸方向における偏摩耗が抑制されると推測される。
特定電荷輸送材料は、結晶化しやすく、特定樹脂に含有させることで特定樹脂の層の硬度が高くなる。そのため、外周面側における特定電荷輸送材料の含有量が低くなると、電荷輸送層の外周面側の硬度が下がり、画像形成の開始後初期における摩耗が起こりやすくなることがある。そして、軸方向の一端と他端とで、電荷輸送層の外周面における特定電荷輸送材料の含有量が大きく異なると、電荷輸送層の外周面の硬度も大きく異なり、軸方向における偏摩耗が起こりやすくなる。
これに対して、電荷輸送層の外周面側における特定電荷輸送材料の含有量について、軸方向の一端と他端との差が小さいと、電荷輸送層の外周面の硬度差が小さくなり、感光体の軸方向における偏摩耗が抑制されると推測される。
なお、電荷輸送層における|ΔI|値は、前記の通り0以上0.25以下であり、軸方向における画像の濃度差を抑制する観点から、0以上0.10以下が好ましく、0以上0.05以下がより好ましい。
(保護層)
図示は省略するが、必要に応じて感光層上にさらに保護層を設けてもよい。
保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善したりする目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
図示は省略するが、必要に応じて感光層上にさらに保護層を設けてもよい。
保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善したりする目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH2、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2)Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図2におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図2には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に限定のないかぎり「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[電荷輸送層形成用塗布液の製造]
−電荷輸送層形成用塗布液1−
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(前記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料)75質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(前記PCB−1で示される構造単位で構成された単独重合体、粘度平均分子量:5万)100質量部と、をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液1を得た。
−電荷輸送層形成用塗布液1−
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(前記構造式(CT2A)で示される電荷輸送材料)75質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(前記PCB−1で示される構造単位で構成された単独重合体、粘度平均分子量:5万)100質量部と、をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液1を得た。
−電荷輸送層形成用塗布液2−
電荷輸送材料の添加量を78質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂の添加量を100質量部とした以外は、電荷輸送層形成用塗布液1と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液2を得た。
電荷輸送材料の添加量を78質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂の添加量を100質量部とした以外は、電荷輸送層形成用塗布液1と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液2を得た。
[実施例1]
−下引層の形成−
酸化亜鉛粒子(テイカ株式会社製、体積平均一次粒径:85mm、比表面積:12m2/g)55質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(表面処理剤)として、KBM603(信越化学工業製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を酸化亜鉛粒子100質量部に対し0.80質量部添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて除去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子を得た。
−下引層の形成−
酸化亜鉛粒子(テイカ株式会社製、体積平均一次粒径:85mm、比表面積:12m2/g)55質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(表面処理剤)として、KBM603(信越化学工業製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を酸化亜鉛粒子100質量部に対し0.80質量部添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて除去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子を得た。
前記シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子100質量部と、電子受容性化合物としてアントラキノン1質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)22.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業製)25質量部とを、メチルエチルケトン142質量部と混合した混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて5時間の分散(すなわち分散時間を5時間とする分散)を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.008質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)6.5質量部とを添加し、下引層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、硬化温度:183℃、硬化時間:24分、風速:1.1m/sの条件で乾燥硬化を行い、厚さ25μmの下引層を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.008質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)6.5質量部とを添加し、下引層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、硬化温度:183℃、硬化時間:24分、風速:1.1m/sの条件で乾燥硬化を行い、厚さ25μmの下引層を得た。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2゜)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、及び28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部、及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用の塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、150℃、5分で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2゜)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、及び28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部、及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用の塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、150℃、5分で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
−電荷輸送層の形成−
次に、得られた電荷輸送層形成用塗布液1を、下記方法により電荷発生層上に浸漬塗布し、膜厚が40μmである単層の浸漬塗装膜である電荷輸送層を形成した。
次に、得られた電荷輸送層形成用塗布液1を、下記方法により電荷発生層上に浸漬塗布し、膜厚が40μmである単層の浸漬塗装膜である電荷輸送層を形成した。
具体的には、下引層及び電荷発生層が形成されたアルミニウム基材の軸方向の一端を、温風供給管及び温風排出管を備えた密閉部材によってチャック(密閉)した。そして、アルミニウム基材の密閉されていない他端を下側に向けて、環境温度30℃の室内において30℃に維持された電荷輸送層形成用塗布液中に、アルミニウム基材の他端(下端)側から浸漬させた。
次いで、温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風(温度:30℃、供給量:25L/min)を供給し、温風排出管から温風を排出しながら、アルミニウム基材を電荷輸送層形成用塗布液から引き上げた。
アルミニウム基材の全体が電荷輸送層形成用塗布液から引き上げられた後、引き続き温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風を供給し続けながら、アルミニウム基材の他端(下端)の拭き取りを行った。
さらに、引き続き温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風を供給し続けながら、環境温度30℃の室内で2分間放置し、指触乾燥させた。
温風の供給を停止し、指触乾燥膜が形成されたアルミニウム基材を乾燥炉に入れ、140℃で40分の加熱乾燥を行い、電荷輸送層を得た。
以上のようにして、実施例1の感光体を得た。
次いで、温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風(温度:30℃、供給量:25L/min)を供給し、温風排出管から温風を排出しながら、アルミニウム基材を電荷輸送層形成用塗布液から引き上げた。
アルミニウム基材の全体が電荷輸送層形成用塗布液から引き上げられた後、引き続き温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風を供給し続けながら、アルミニウム基材の他端(下端)の拭き取りを行った。
さらに、引き続き温風供給管からアルミニウム基材の内部に温風を供給し続けながら、環境温度30℃の室内で2分間放置し、指触乾燥させた。
温風の供給を停止し、指触乾燥膜が形成されたアルミニウム基材を乾燥炉に入れ、140℃で40分の加熱乾燥を行い、電荷輸送層を得た。
以上のようにして、実施例1の感光体を得た。
[実施例2〜5]
温風の温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜実施例5の感光体を得た。
温風の温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜実施例5の感光体を得た。
[実施例6]
電荷輸送層全体の膜厚を32μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感光体を得た。
電荷輸送層全体の膜厚を32μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感光体を得た。
[実施例7]
電荷輸送層形成用塗布液1の代わりに、電荷輸送層形成用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感光体を得た。
電荷輸送層形成用塗布液1の代わりに、電荷輸送層形成用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の感光体を得た。
[比較例1〜2]
温風の温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、比較例1〜比較例2の感光体を得た。
得られた各感光体における電荷輸送層全体の膜厚(表中の「膜厚(μm)」、電荷輸送層全体における樹脂100質量部に対する特定電荷輸送材料の含有量(表中の「電荷輸送材料含有量(質量部)」)、並びに電荷輸送層における|ΔI|値(表中の「|ΔI|値」)及び|ΔI’|値(表中の「|ΔI’|値」)を表1に示す。
温風の温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、比較例1〜比較例2の感光体を得た。
得られた各感光体における電荷輸送層全体の膜厚(表中の「膜厚(μm)」、電荷輸送層全体における樹脂100質量部に対する特定電荷輸送材料の含有量(表中の「電荷輸送材料含有量(質量部)」)、並びに電荷輸送層における|ΔI|値(表中の「|ΔI|値」)及び|ΔI’|値(表中の「|ΔI’|値」)を表1に示す。
[感光体の評価]
各実施例及び比較例で得られた感光体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた感光体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(画像の濃度差の評価)
各例で得られた感光体を、電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:DocuCentre f1100)に搭載し、A3サイズの用紙に画像濃度70%の全面ハーフトーン画像(シアン色の全面ハーフトーン画像)を1000枚出力した。なお、画像出力は全て10℃、15%RHの環境下で実施した。
1000枚目における全面ハーフトーン画像について、感光体の軸方向の両端(つまり、一端及び他端)に対応する領域それぞれ5箇所ずつについて、画像濃度計(X−Rite938:X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定して平均し、その画像濃度差(すなわち、「一端の平均画像濃度−他端の平均画像濃度」の絶対値)を求め、以下の評価基準で判定した。なお、G3までが許容される範囲である。
各例で得られた感光体を、電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:DocuCentre f1100)に搭載し、A3サイズの用紙に画像濃度70%の全面ハーフトーン画像(シアン色の全面ハーフトーン画像)を1000枚出力した。なお、画像出力は全て10℃、15%RHの環境下で実施した。
1000枚目における全面ハーフトーン画像について、感光体の軸方向の両端(つまり、一端及び他端)に対応する領域それぞれ5箇所ずつについて、画像濃度計(X−Rite938:X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定して平均し、その画像濃度差(すなわち、「一端の平均画像濃度−他端の平均画像濃度」の絶対値)を求め、以下の評価基準で判定した。なお、G3までが許容される範囲である。
−評価基準−
G1:0 ≦ 画像濃度差 ≦ 0.05
G2:0.05 < 画像濃度差 ≦ 0.1
G3:0.1 < 画像濃度差 ≦ 0.2
G4:0.2 < 画像濃度差 ≦ 0.25
G5:0.25 < 画像濃度差
G1:0 ≦ 画像濃度差 ≦ 0.05
G2:0.05 < 画像濃度差 ≦ 0.1
G3:0.1 < 画像濃度差 ≦ 0.2
G4:0.2 < 画像濃度差 ≦ 0.25
G5:0.25 < 画像濃度差
(偏摩耗の評価)
各例で得られた感光体を、電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:DocuCentre f1100)に搭載し、2cm×2cmのハーフトーン画像(画像密度70%)を1枚につき2箇所、1000000枚形成した。
そして、感光体の軸方向の両端(つまり、一端及び他端)について、上記画像形成を行う前における電荷輸送層の膜厚と上記画像形成を行った後における電荷輸送層の膜厚とを測定してその差から摩耗量を求め、一端における摩耗量と他端における摩耗量との差(すなわち、「一端の摩耗量(μm)−他端の摩耗量(μm)」の絶対値)を算出して「偏摩耗(μm)」とした。
なお、画像形成は全て10℃、15%RHの環境下で実施した。
各例で得られた感光体を、電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製:DocuCentre f1100)に搭載し、2cm×2cmのハーフトーン画像(画像密度70%)を1枚につき2箇所、1000000枚形成した。
そして、感光体の軸方向の両端(つまり、一端及び他端)について、上記画像形成を行う前における電荷輸送層の膜厚と上記画像形成を行った後における電荷輸送層の膜厚とを測定してその差から摩耗量を求め、一端における摩耗量と他端における摩耗量との差(すなわち、「一端の摩耗量(μm)−他端の摩耗量(μm)」の絶対値)を算出して「偏摩耗(μm)」とした。
なお、画像形成は全て10℃、15%RHの環境下で実施した。
上記結果から、本実施例の感光体は、比較例の感光体に比べ、軸方向における画像の濃度差が抑制されていることがわかる。また、本実施例の感光体は、比較例の感光体に比べ、軸方向における偏摩耗が抑制されていることがわかる。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、7 電子写真感光体、7A 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ
Claims (13)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に配置された電荷発生層と、
前記電荷発生層上に配置され、ポリカーボネート樹脂とトリアリールアミン構造を有する電荷輸送材料とを含む電荷輸送層と、
を有し、
前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIA1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIA2とし、かつ、前記電荷輸送層の内周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をIB1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をIB2としたとき、下記式(1)で表される|ΔI|の値が0以上0.25以下である電子写真感光体。
式(1):|ΔI|=|(IA1/IA2)−(IB1/IB2)| - 前記|ΔI|の値が0以上0.10以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、35質量部以上50質量部以下である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層全体に含まれる前記電荷輸送材料の含有量は、前記電荷輸送層全体に含まれる樹脂100質量部に対し、40質量部以上50質量部以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の厚みは、20μm以上80μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の厚みは、30μm以上60μm以下である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の厚みは、40μm以上50μm以下である請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層は、単層である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の一端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’A1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’A2とし、かつ、前記電荷輸送層の外周面のうち前記導電性基体の軸方向の他端における赤外吸収スペクトルにおいて、1535cm−1以上1650cm−1以下に現れる前記電荷輸送材料のN−C結合に由来する吸収ピークの面積をI’B1、1675cm−1以上1860cm−1以下に現れる前記ポリカーボネート樹脂のC=O結合に由来する吸収ピークの面積をI’B2としたとき、下記式(2)で表される|ΔI’|の値が0以上0.25以下である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
式(2):|ΔI’|=|(I’A1/I’A2)−(I’B1/I’B2)| - 前記|ΔI’|の値が0以上0.10以下である請求項10に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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JP2017183045A JP2019060909A (ja) | 2017-09-22 | 2017-09-22 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 |
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JP7484451B2 (ja) | 2020-06-08 | 2024-05-16 | コニカミノルタ株式会社 | 有機感光体、電子写真画像形成装置及び有機感光体の製造方法 |
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2017
- 2017-09-22 JP JP2017183045A patent/JP2019060909A/ja active Pending
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