(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、検知対象物としてより小さい物体を検知するとともに、誤検知の発生を抑えるため、鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
まず、本発明者らは、電波センサを収納するセンサ収納部の樹脂製の側壁の外面に金属メッキを形成することを想到した。この構成によれば、金属メッキが電波を反射することによって電波が側方に拡散することを抑え、電波の指向性を高めることができる。その結果、簡単な構成で、検知対象物としてより小さい物体を検知できるとともに、誤検知の発生を抑えることができる。
しかしながら、この構成において、電波は、センサ収納部の側壁を介して金属メッキに反射され、再びセンサ収納部の側壁を介してセンサ収納部内に戻ることになる。すなわち、センサ収納部の側壁の厚み分(例えば、1.5mm〜3.0mm)、電波が側方に拡散することになる。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の点を知見した。すなわち、センサ収納部の側壁の内面に金属メッキを形成することで、当該側壁の外面に金属メッキを設ける構成に比べて、吐水口から約100mm下方の領域において、電波の幅方向の広がりを20mm〜30mm程度抑えられることを知見した。また、本発明者らは、金属メッキに代えて、センサ収納部の側壁の内面に塗装や蒸着等によって金属層を形成した場合でも、形成が容易であり且つ同様の効果を得られることを知見した。
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
本発明の第1態様によれば、水を吐出する吐水部と、
電波を送受信する電波センサと、
電波センサを収納する樹脂製のセンサ収納部と、
電波センサが送受信した電波に基づいて吐水部から吐出される吐水量を制御する制御部と、を備え、
センサ収納部の電波センサを囲む側壁の内面には、金属層が設けられている、自動水栓を提供する。
本発明の第2態様によれば、金属層は、金属メッキで構成されている、第1態様に記載の自動水栓を提供する。
本発明の第3態様によれば、設置台に立設するように取り付けられる基部と、
基部の先端部に基端部が接続されたU字形の管部と、
を更に備え、
吐水部は、管部の先端部に接続され、
センサ収納部は、管部又は吐水部に取り付けられている、
第1又は2態様に記載の自動水栓を提供する。
本発明の第4態様によれば、センサ収納部は、管部又は吐水部の先端部の側方に設けられ、
センサ収納部の側壁は、電波の送受信方向に対して直交する方向の断面がU字形に形成され、
金属層は、センサ収納部の側壁に沿うように断面U字形に形成されている、
第3態様に記載の自動水栓を提供する。
本発明の第5態様によれば、管部又は吐水部の内面には、センサ収納部が取り付けられる部分と対向する領域に金属層が形成されている、第3又は4態様に記載の自動水栓を提供する。
本発明の第6態様によれば、金属層は、センサ収納部の側壁の内面及び当該側壁の内面に連なる管部又は吐水部の内面に環状に形成されている、第3〜5態様のいずれか1つに記載の自動水栓を提供する。
本発明の第7態様によれば、センサ収納部の外面は、金属層で構成されている、第3〜6態様のいずれか1つに記載の自動水栓を提供する。
本発明の第8態様によれば、センサ収納部は、管部又は吐水部の半径方向と平行な前後方向の長さが、当該前後方向と直交する横方向の長さよりも長い、第3〜7態様のいずれか1つに記載の自動水栓を提供する。
本発明の第9態様によれば、前記センサ収納部は、前記管部の先端部の側方に設けられ、
前記管部と前記センサ収納部とは、それぞれの内面及び外面が滑らかに接続されるように一体に形成され、
前記管部と前記センサ収納部のそれぞれの内面には、金属層が設けられている、
第3〜8態様のいずれか1つに記載の自動水栓を提供する。
本発明の第10態様によれば、電波センサから発信された電波の半値角を小さくするとともに、電波センサに向かう電波の半値角を小さくする集束レンズを更に備える、第1〜9態様のいずれか1つに記載の自動水栓を提供する。
本発明の第11態様によれば、集束レンズは、センサ収納部の側壁に囲まれている、第10態様に記載の自動水栓を提供する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る自動水栓の斜視図である。図2は、図1の自動水栓の縦断面図である。図3は、図1の自動水栓を設置台に設置した状態を示す正面図である。図4は、図1の自動水栓を設置台に設置した状態を一部断面で示す斜視図である。
図1及び2に示すように、本実施形態に係る自動水栓1は、基部2と、管部3と、吐水部4とを備えている。
基部2は、図3及び4に示すように、設置台の一例であるシンクSに立設するように取り付けられる部分である。本実施形態において、基部2は、図4に示すように、基端部2aがシンクSの後方上部に取り付けられている。
本実施形態において、基部2の基端部2aには、基部2を回転自在に支持する支持部5が設けられている。基部2の基端部2a及び支持部5は、略円筒形状に形成されている。支持部5は、シンクSの後方上部に固定されている。基部2の基端部2aは、支持部5の外周面5a上を回転自在に取り付けられている。基部2が支持部5を回転軸として回転することで、基部2、管部3、及び吐水部4が一体的に回転する。
基部2には、操作パネル6が取り付けられている。本実施形態において、基部2は、下方に向かって外径が広がるようにテーパ状に形成された拡径部21を有している。操作パネル6は、図1に示すように、外面6aが管部3の基部2に隣接する外面3cに対して面一(flush)になるように、拡径部21に埋め込まれている。これにより、操作パネル6と管部3との間には段差がなく、清掃性が向上する。また、操作パネル6は、基部2の内側に突出している。
操作パネル6の外周部には、図2に示すように、基部2との隙間をシールするパッキン61が設けられている。本実施形態において、パッキン61は、操作パネル6の外周部の全周を囲むように環状に形成されている。
操作パネル6の外面6aには、図1に示すように、各種操作を行う操作ボタン62が設けられている。操作ボタン62は、例えば、吐水量変更ボタン、吐水温度変更ボタン、自動吐水モード入切ボタンなどのボタンである。吐水量変更ボタンは、吐水部4から吐出される吐水量を設定するためのボタンである。吐水温度変更ボタンは、吐水部4から吐出される水の温度を設定するためのボタンである。自動吐水モード入切ボタンは、自動吐水モードの入切(ON/OFF)を切り替えるためのボタンである。自動吐水モードでは、常時又は間欠的に吐水部4の下方の検知エリアに箸やスプーン等の検知対象物が存在するか否かを検知する。検知エリアに検知対象物が存在する場合、自動で吐水部4から水が吐出される。一方、検知エリアに検知対象物が存在しない場合、吐水部4から水が吐出されない。
また、基部2は、拡径部21の下端部21aから鈍角に屈曲し、基部2の基端部2aに向かって外径が小さくなる縮径部22を有している。縮径部22は、拡径部21よりも上下方向の長さが短く形成されている。縮径部22の下端部22aは、鈍角に屈曲し、基部2の基端部2aと接続されている。すなわち、基部2は、直角又は鋭角に屈曲する部分を有さないように構成されている。これにより、清掃性が向上する。
管部3は、U字形の筒状部材で構成されている。ここで、「U字形」とは、弓状に湾曲するものをいい、湾曲の程度は問わない。管部3の基端部3aは、基部2の先端部2bに接続されている。本実施形態において、管部3と基部2とは、それぞれの内面及び外面が滑らかに接続されるように一体に形成されている。すなわち、図1に示すように、管部3と基部2との間に継ぎ目がないように同一部材により構成されている。これにより、清掃性が向上する。
吐水部4は、下方に向けて水を吐出する部分である。本実施形態において、吐水部4は、管部3の先端部3bに着脱自在に接続されている。吐水部4の先端部4aには、水を吐出する吐水口4bが形成されている。吐水口4bは、シンクSに対向する位置に設けられている。吐水口4bからシンクS内へ水を吐出することにより、シンクS内の食器や調理器具、食材等の被洗浄物を洗浄することができる。
また、管部3及び基部2の内側には、図2に示すように、内部に水が流れるホース7が配置されている。本実施形態において、ホース7は、可撓性を有する蛇腹ホースである。ホース7の先端部7aは、略円筒形状の接続具71に接続されている。接続具71は、分離管8の先端部8bに着脱自在に保持されるとともに、吐水部4に固定されている。これにより、接続具71を分離管8の先端部8bから取り外すことで、ホース7を管部3の内側から引き出すことが可能になる。ホース7を流れる水は、接続具71の内側及び吐水部4の内側を通じて吐水口4bから吐出される。
ホース7は、分離管8に内包されている。分離管8は、ホース7よりも外径が大きく、ホース7が分離管8の内側を延在方向に移動可能に収容する。分離管8は、基部2の内側から管部3の先端部3bの内側まで延在するように形成されている。本実施形態において、分離管8の基端部8aは、支持部5よりも下方に伸びるように構成されている。分離管8の先端部8bには、環状のパッキン81が設けられている。このパッキン81により、分離管8の先端部8bと後述するセンサケース98の筒状部98B(図7及び図11参照)との隙間が水密シールされる。
分離管8は、図2に示すように、吐水部4側の部分が、硬質部材82で構成されている。本実施形態において、硬質部材82は、管部3の先端部3bから基端部3aの近傍まで延在するように設けられている。すなわち、硬質部材82は、管部3の湾曲部分に配置されている。これにより、分離管8の変形が抑えられるので、分離管8と管部3との隙間寸法が保持される。また、硬質部材82には、吐水部4に固定された接続具71を保持する保持部となる分離管8の先端部8bが一体に形成されている。これにより、接続具71を保持する保持部と分離管8とを別々の部品で構成する場合に比べて、接続部分がないので、当該接続部分から水が浸入することを抑えることができる。
前述したパッキン81は、図5に示すように、硬質部材82の先端部82bの周囲に取り付けられる。分離管8と管部3との隙間寸法の変化が抑えられているので、分離管8と管部3との隙間をパッキン81がしっかりとシールすることができる。
硬質部材82の上部には、図5に示すように、断面U字状の溝部82cが硬質部材82の略全長にわたって形成されている。溝部82cには、信号線などの電装部品が収容される。すなわち、信号線などの電装部品は、分離管8の外側のドライエリアに配置され、水濡れすることを抑えられている。
また、溝部82cには、側壁82dよりやや内側に複数のリブ82eが立設されている。信号線などの電装部品は、溝部82cの側壁82dとリブ82eとの間を通るように配置される。また、溝部82cの両方の側壁82dの上端部には、硬質部材82の長手方向において複数箇所に、溝部82cの上部開口を一部覆うように突出する突出片82fが設けられている。これらの突出片82fによって信号線などの電装部品が溝部82c内から離れることが抑えられている。
また、硬質部材82の内側は、摺動性の高い材質、例えば、ポリアセタールで構成されている。これにより、ホース7を管部3から引き出して使用する際、ホース7と硬質部材82とが接触する音を抑えることができる。
分離管8の基部2側の部分は、図2に示すように、可撓性部材83で構成されている。可撓性部材83は、例えば、ポリエチレンで構成されている。本実施形態において、可撓性部材83は、基部2に固定されている。より具体的には、可撓性部材83は、基部2の内側に突出する操作パネル6を避けるように、基部2の操作パネル6と対向する面に沿うように固定されている。可撓性部材83と基部2とは、例えば、ネジやボルトなどの締結部材により固定されている。これにより、可撓性部材83が延在方向に引き抜かれることが抑えられている。
また、本実施形態において、可撓性部材83は、図6に示すように、硬質部材82の基端部82aと接続される先端部83bの近傍部分が蛇腹状に形成されている。また、可撓性部材83は、図2に示すように、支持部5の先端部5bの近傍部分が蛇腹状に形成されている。すなわち、可撓性部材83は、先端部83bの近傍部分及び支持部5の先端部5bの近傍部分の可撓性が向上されている。これにより、可撓性部材83は、より容易に、基部2の操作パネル6と対向する面に沿うように固定することができる。
また、管部3の先端部3bの側方(基部2側)には、図2及び図7に示すように、電波を送受信する電波センサ9が設けられている。電波センサ9は、図7に示すように、センサ収納部91内に収納されて管部3に取り付けられている。
センサ収納部91は、樹脂により構成されている。センサ収納部91の電波センサ9を囲む側壁91aの内面には、図7及び図8に示すように、金属層の一例である金属メッキ91bが設けられている。金属メッキ91bは、例えば、クロムメッキである。この金属メッキ91bにより、電波センサ9の電波が含む拡散方向の成分が反射され、電波センサ9の電波の幅方向の広がりが抑えられ、当該電波の指向性が向上する。
センサ収納部91の側壁91aの厚さは、例えば、1.5mm〜3.0mmである。また、金属メッキ91bの厚さは、例えば、0.04mmである。金属メッキ91bの厚さは、側壁91aの厚さに比べて非常に薄いので、センサ収納部91の全体としての厚さの増加を抑えることができる。
本実施形態において、センサ収納部91の側壁91aは、図8に示すように、電波の送受信方向に対して直交する方向の断面がU字形に形成されている。ここで、「U字形」とは、弓状に湾曲するもののみならず、3つの直線で構成されるものも含む。
金属メッキ91bは、センサ収納部91の側壁91aに沿うように断面U字形に形成されている。すなわち、管部3の先端部3bとセンサ収納部91との接続部分には、金属メッキ91bを設けないようにしている。これにより、電波センサ9から発信される電波は、吐水口4bに下方に配置される検知対象物となる物体により近づく方向に寄せられることになる。その結果、検知対象物となる物体の検知精度を向上させることができる。
管部3とセンサ収納部91とは、それぞれの外面が滑らかに接続されるように一体に形成されている。すなわち、図1に示すように、管部3とセンサ収納部91との間に継ぎ目がないように同一部材により構成されている。言い換えれば、管部3の先端部3bの直径がテーパ状に拡大され、当該拡大された部分でセンサ収納部91が形成されている。これにより、清掃性が向上する。
電波センサ9は、図7に示すように、吐水部4の下方に向けて電波を発信する発信部92と、吐水部4の下方に配置された物体によって反射された電波を受信する受信部93とを備えている。受信部93は、発信部92に隣接するように配置されている。本実施形態において、発信部92と受信部93とは、同一基板上に配置されている。電波センサ9は、吐水部4の下方に位置する検知エリアに検知対象物が存在するか否かを非接触で検知するとともに、発信部92が発信した電波の周波数と受信部93が受信した電波の周波数に基づいて検知対象物までの距離を測定可能なセンサである。
電波センサ9の下方には、電波センサ9から発信された電波の半値角を小さくするとともに、電波センサ9に向かう電波の半値角を小さくする集束レンズ94,95,97が設けられている。
より具体的には、発信部92の下方には、発信部92から発信された電波の半値角を小さくする発信用集束レンズ94が配置されている。受信部93の下方には、受信部93に受信される電波の半値角を小さくする受信用集束レンズ95が配置されている。電波センサ9は、吐水部4からの水の吐出方向と電波の送受信方向とが略平行になるように配置されている。
発信用集束レンズ94は、図7に示すように、発信用凸球面94aを備えている。発信用集束レンズ94は、発信部92から発信された電波を発信用凸球面94aにより屈折させることで、当該電波の半値角を小さくし、特定のエリアの電波の強度を強くするように機能する。受信用集束レンズ95は、受信用凸球面95aを備えている。受信用集束レンズ95は、物体によって反射されて入射した電波を受信用凸球面95aにより屈折させることで、当該電波の半値角を小さくし、受信部93に受信される電波の強度を強くするように機能する。その結果、発信部92から発信され受信部93に受信される電波は、図9に示すように、凹部96の中心を通り且つ電波の送受信方向に延在する軸Xに近づくように集束される。これにより、検知エリアE1は、電波の送受信方向に長くなり、軸X付近の電波の強度が強くなる。
発信用集束レンズ94及び受信用集束レンズ95の下方には、発信用集束レンズ94を通過した電波の半値角を小さくするとともに、受信用集束レンズ95に向かう電波の半値角を小さくする集束レンズ97が設けられている。集束レンズ97は、送受信用凸球面97aを備えている。集束レンズ97は、発信用集束レンズ94を通過した電波を送受信用凸球面97aにより屈折させることで、当該電波の半値角を小さくするように機能する。また、集束レンズ97は、受信用集束レンズ95に向かう電波を送受信用凸球面97aにより屈折させることで、当該電波の半値角を小さくするように機能する。その結果、発信部92から発信され受信部93に受信される電波は、図10に示すように、軸Xに、より近づくように集束される。これにより、検知エリアE2は、検知エリアE1よりも、電波の送受信方向に長くなり且つ軸X付近の電波の強度が強くなる。
また、本実施形態において、発信部92、受信部93、発信用集束レンズ94、受信用集束レンズ95、及び集束レンズ97は、図11に示す樹脂製のセンサケース98に収納されている。また、発信用集束レンズ94、受信用集束レンズ95、及び集束レンズ97は、少なくとも一部がセンサ収納部91の側壁91aに囲まれるように配置されている。
センサケース98は、図11に示すように、電波センサ9を収納する箱体部98Aと、分離管8の先端部8bを保持するための筒状部98Bとを備えている。
図7に示すように、センサ収納部91の先端部91cには、管部3の先端開口部3dと連通する先端開口部91dが形成されている。すなわち、センサ収納部91の先端開口部91dと管部3の先端開口部3dとで1つの開口部OPが形成されている。箱体部98Aはセンサ収納部91内に配置され、筒状部98Bは管部3の先端部3b内に配置される。筒状部98Bの開口部は、分離管8の先端開口部8cと連通している。すなわち、センサケース98は、分離管8の先端開口部8cを除いて開口部OPを閉塞するように設けられている。これにより、分離管8と管部3との隙間から水が浸入することが抑えられている。すなわち、分離管8の外側と管部3の内側との間の空間は、ドライエリアとなっている。一方、分離管8の内側の空間は、水が流れるホース7が通るウエットエリアとなっている。
筒状部98Bの内周上端部は、前述したパッキン81(図5参照)を介して分離管8の先端部8bを保持している。すなわち、センサケース98の筒状部98Bと分離管8の先端部8bとの隙間は、パッキン81により水密シールされている。
パッキン81は、図16に示すように、約90度の間隔で外方に突出するように設けられた4つの第1突起部81aと、互いに隣接する第1突起部81a,81aの間で外方に突出するように形成された第2突起部81bとを有している。言い換えれば、パッキン81は、断面がX形状のXリングに第2突起部81bを設けた構造を有している。図16に示すように、分離管8の先端部8bには、第1突起部81aと第2突起部81bとに対応する段差部8baが形成されている。組立時において、第1突起部81aと第2突起部81bとの間に段差部8baが位置するようにパッキン81が配置されることで、パッキン81のねじれを抑えて、パッキン81による抵抗を抑えることができる。また、パッキン81による水密シールを向上させることができる。このようなパッキン81の構造は、パッキン81を口径が小さい部分に配置する際に特に効果的である。
また、センサケース98の外周下端部には、図11に示すように、環状のパッキン99が設けられている。図7に示すように、センサケース98の外周下端部は、パッキン99を介して管部3の先端部3b又はセンサ収納部91の先端部91cの内面に保持されている。すなわち、センサケース98と管部3の先端部3b又はセンサ収納部91の先端部91cとの隙間は、パッキン99により水密シールされている。
パッキン99は、パッキン81と同様に構成されている。すなわち、パッキン99は、図17に示すように、約90度の間隔で外方に突出するように設けられた4つの第1突起部99aと、互いに隣接する第1突起部99a,99aの間に外方に突出するように形成された第2突起部99bとを有している。言い換えれば、パッキン99は、断面がX形状のXリングに第2突起部99bを設けた構造を有している。図17に示すように、センサケース98の筒状部98Bの外周下端部には、第1突起部99aと第2突起部99bとに対応する段差部98Aaが形成されている。組立時において、第1突起部99aと第2突起部99bとの間に段差部98Aaが位置するようにパッキン99が配置されることで、パッキン99のねじれを抑えて、パッキン99による抵抗を抑えることができる。また、パッキン99による水密シールを向上させることができる。このようなパッキン99の構造は、パッキン99を口径が小さい部分に配置する際に特に効果的である。
また、箱体部98Aの集束レンズ97に下方に位置する面98aは、電波透過性を有する材質、例えば、金属やカーボンをほとんど含有しない材質で構成されている。箱体部98Aの面98aは、電波透過性を有するカバーとして機能する。なお、面98aに塗装や蒸着を行うことによって、面98aが電波透過性を有するように構成してもよい。
発信用凸球面94aと受信用凸球面95aとは、図8に示すように、凹部96を介して互いに隣接するように設けられている。本実施形態において、発信用凸球面94aと受信用凸球面95aとは、吐水部4の口径(外径)よりも狭い範囲内に配置されるように、平面視において円形の一部を切り欠いた外形を有している。また、集束レンズ97は、発信用集束レンズ94及び受信用集束レンズ95を包含する大きさに形成されている。
また、電波センサ9は、図12に示すように、信号線100により制御部101に接続されている。また、制御部101には、信号線(図示せず)により操作パネル6に接続されている。制御部101は、電波センサ9が検知した検知情報と操作パネル6に入力された入力情報とに基づいて吐水部4から吐出される水を制御する。
より具体的には、制御部101は、発信部92が発信した電波と受信部93が受信した電波とに基づいて吐水部4から吐出される吐水量を制御する。また、制御部101は、操作パネル6に入力された吐水量変更情報に基づいて吐水部4から吐出される吐水量を制御する。また、制御部101は、操作パネル6に入力された吐水温度変更情報に基づいて、吐水部4から吐出される水の温度を制御する。
本実施形態において、制御部101には、給湯量調整用の電動弁102と、給水量調整用の電動弁103と、電磁弁104とが電気的に接続されている。電動弁102は、湯が通る給湯管105に設けられている。電動弁103は、水が通る給水管106に設けられている。給湯管105と給水管106とは、湯と水とを混合した混合水が通る混合水管107と流体連通している。混合水管107は、電磁弁104を介してホース7と流体連通している。
制御部101は、操作パネル6に入力された入力情報に基づいて、電動弁102,103の開度を変更することで、給湯管105を通る湯の量及び給水管106を通る水の量を調整し、混合水管107を通る混合水の量及び温度を制御する。また、制御部101は、操作パネル6に入力された入力情報に基づいて、電磁弁104の開度を変更することで、混合水管107を通る混合水をホース7に供給するか否かを制御する。
なお、電波センサ9、操作パネル6、信号線100、制御部101を含む各種電装部品は、分離管8の外側に配置されている。これにより、それらの各種電装部品の水濡れが抑えられている。
本実施形態に係る自動水栓によれば、センサ収納部91の側壁91aの内面に金属メッキ91bが設けられているので、電波センサ9の電波の幅方向の広がりを抑えることができ、当該電波の指向性を向上させることができる。その結果、検知対象物としてより小さい物体を検知できるとともに、誤検知の発生を抑えることができる。
また、金属メッキ91bは、側壁91aの内面に別部品として金属板を設けるよりも、形成が容易であるとともに、厚さが薄くても電波を反射する機能を有するという利点がある。なお、金属メッキ91bに代えて、センサ収納部91の側壁91aの内面に塗装や蒸着等によって金属層を形成してもよい。これらの場合でも、形成が容易であり且つ同様の効果を得られる。
また、本実施形態に係る自動水栓によれば、センサ収納部91の側壁91aが、電波の送受信方向に対して直交する方向の断面がU字形に形成され、金属メッキ91bが、側壁91aに沿うように断面U字形に形成されている。この構成によれば、電波センサ9から発信される電波は、吐水口4bに下方に配置される検知対象物となる物体により近づく方向に寄せられることになる。その結果、検知対象物となる物体の検知精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る自動水栓によれば、電波センサ9から発信された電波の半値角を小さくするとともに、電波センサ9に向かう電波の半値角を小さくする集束レンズ94,95,97を備えている。この構成によれば、電波センサ9の電波の幅方向の広がりを一層抑えることができ、当該電波の指向性を一層向上させることができる。なお、集束レンズ94,95,97として、例えば、誘電率が低い樹脂製の集束レンズが用いられることが好ましい。誘電率が低い集束レンズを用いることで、電波センサ9の電波の屈折を抑えて、電波の幅方向の広がりを一層抑えることができる。
また、本実施形態に係る自動水栓によれば、集束レンズ94,95,97は、センサ収納部91の側壁91aに囲まれている。この構成によれば、電波センサ9の電波の幅方向の広がりを一層抑えることができ、当該電波の指向性を一層向上させることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記では、センサ収納部91は、管部3に取り付けられるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、センサ収納部91は、吐水部4に取り付けられてもよい。
また、前記では、基部2、管部3、及びセンサ収納部91は、それぞれの内面及び外面が滑らかに接続されるように一体に形成されるものとしたが、本発明は、各部が同一の材料で構成されることのみに限定されない。例えば、基部2、管部3、及びセンサ収納部91のそれぞれの内面及び外面を、図13に示すように、同一材料の金属層110で構成し、それぞれの内面及び外面以外の部分は別々の部材で構成されてもよい。
なお、センサ収納部91の側壁91aの内面のみならず、当該側壁91aの外面も金属層で構成することにより、電波センサ9の電波の漏洩を一層防止することができる。その結果、電波センサ9の電波の幅方向の広がりを一層抑えることができ、当該電波の指向性を一層向上させることができる。また、側壁91aの内面及び外面の金属層(金属メッキを含む)は、同一材料により同時に形成することが可能であり、容易に形成することができる。
また、管部3の内面には、図14に示すように、センサ収納部91が取り付けられる部分と対向する領域E3に金属層111が形成されることが好ましい。この構成によれば、金属メッキ91bにより反射され、領域E3に到達した電波センサ9の電波を、更にセンサ収納部91側に反射することができる。その結果、吐水口4bに下方に配置される検知対象物となる物体への指向性を一層向上させることができる。なお、センサ収納部91が吐水部4に取り付けられる場合、金属層111は、吐水部4の内面に形成すればよい。
また、金属層111は、図15に示すように、センサ収納部91の側壁91aの内面及び当該側壁91aの内面に連なる管部3の内面に環状に形成されることがより好ましい。この構成によれば、金属メッキ91bと同時に金属層111(金属メッキを含む)を形成することができ、容易に形成することができる。また、吐水口4bに下方に配置される検知対象物となる物体への指向性を一層向上させることができる。なお、センサ収納部91が吐水部4に取り付けられる場合、金属層111は、吐水部4の内面に形成すればよい。
また、センサ収納部91は、図8に示すように、管部3の半径方向と平行な前後方向FBの長さが、当該前後方向FBと直交する横方向TRの長さよりも長いことが好ましい。この構成によれば、電波センサ9の電波は、横方向TRよりも前後方向FBに長く広がることになり、横方向TRへの電波の漏れを抑えて、誤検知の発生を抑えることができる。
また、前記では、基部2の基端部2aは、支持部5の外周面5a上を回転自在に取り付けられるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図18に示すように、基部2の基端部2aを、基部2の本体2cとは別部材とし、支持部5の外周面5aに固定的に取り付けてもよい。この場合、基部2の基端部2aは回転しないので、基端部2aとシンクSとの接触抵抗を無くすことができる。また、基端部2aと本体2cとの間に隙間を設けることで、基端部2aと本体2cとの接触抵抗を無くすことができる。その結果、基部2の本体2cの回転をスムーズにするとともに、接触による異音の発生を抑えることができる。
また、図18に示すように、支持部5の先端部5bに上方へ突出する突起部5cを設け、当該突起部5cで基部2の本体2cと接触して、基部2の自重を受けるように構成してもよい。この場合、基部2の本体2cが支持部5の外周面5a上を回転する際、基部2の本体2cと支持部5との接触抵抗を減らすことができる。その結果、基部2の本体2cの回転をスムーズにするとともに、接触による異音の発生を抑えることができる。
また、図18に示すように、支持部5の外周面5aと基部2の本体2cとの間には、断面X形状のXリング51,52が設けられることが好ましい。これにより、基部2の本体2cが支持部5の外周面5a上を回転する際、基部2の本体2cと支持部5との接触抵抗を一層減らすことができる。その結果、基部2の本体2cの回転をスムーズにするとともに、接触による異音の発生を抑えることができる。
また、前記では、操作パネル6の外周部と基部2との隙間にパッキン61を設けている。より具体的には、図19に示すように、操作パネル6は、ねじなどの複数の締結部材Fによって基部2の本体2cに取り付けられ、操作パネル6の外周部と基部2との隙間に環状のパッキン61が設けられている。操作パネル6の外面6aには、各種操作を行う複数の操作ボタン62が設けられるため、操作パネル6は大型の部品となる。このため、成形バラツキによって撓みやすく、パッキン61によって十分にシールできないことが起こり得る。
このため、パッキン61は、図20に示すように、操作パネル6の内面に立設されたリブ6bを受け入れる溝部61aと、斜め外方に突出するフラップ部61bとを備える弾性部材で構成されることが好ましい。操作パネル6を基部2の本体2cに取り付ける際、まず、操作パネル6の内面に立設されたリブ6bを溝部61aに挿入するとともに、基部2の本体2cに設けられた枠部2dでフラップ部61を押して変形させる。その状態でねじなどの複数の締結部材Fにより、操作パネル6と基部2の本体2cとを接続する。これにより、図21に示すように、溝部61aがリブ6bと基部2の本体2cとの間に位置し、操作パネル6と基部2の本体2cとの隙間がシールされる(第1のシール)。また、フラップ部61bが元に戻ろうとする反発力によって枠部2dを付勢することにより、操作パネル6と基部2の本体2cとの隙間がシールされる(第2のシール)。これにより、操作パネル6と基部2の本体2cとの隙間をパッキン61によって二重シールすることができ、水の浸入をより確実に抑えることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。