JP6645604B1 - シートおよびシートの製造方法 - Google Patents

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【課題】微細繊維状セルロースを含有する層の付与量が少ないにもかかわらず表面が高平滑であり、高い光沢を有するシートおよびその製造方法を提供する。【解決手段】紙基材および微細繊維状セルロース含有層を有し、微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有し、該微細繊維状セルロース含有層の付与量が2.0g/m2以下であり、該微細繊維状セルロース含有層側表面のJISB0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下であるシートおよびその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、微細繊維状セルロース含有層を有するシートおよびそのシートの製造方法に関する。
紙基材上に微細繊維状セルロース含有層を設けることで、印刷適性、耐油性、ガスバリア性、および光沢性等の各種物性を付与したシートの開発が行われている。
たとえば特許文献1および2には、微細繊維状セルロースおよび顔料等を含む塗工層を紙基材上に設け、印刷適性や平滑性および光沢性等に優れる塗工紙が記載されている。また、特許文献3には、微細繊維状セルロースを含む塗工層を紙基材上に設け、耐油性を有し、水蒸気透過性や不透明性を兼備する耐油紙が記載されている。また、特許文献4には、微細繊維状セルロースが紙基材に特定の深さで浸透し、ガスバリア性等に優れたシート材が記載されている。また、特許文献5には、微細繊維状セルロース、顔料としてコロイダルシリカおよびバインダーを含有するインク受容層を、ゲル化キャスト法により設けた、銀塩写真並みの光沢感を持つインクジェット記録用キャストコート紙が記載されている。
国際公開第2010/113805号 国際公開第2011/001706号 特開2011−074535号公報 特許第6171674号公報 特開2011−073368号公報
特許文献1および2では、塗工紙の平滑性および光沢性が優れることが記載されているものの、これら物性のさらなる向上が望まれる。特許文献3では平滑性に関して何ら記載されておらず、特許文献4では平滑性改善効果に関しては優位性が薄いことが記載されており、特許文献3および4のいずれに記載のシートも平滑性および光沢性に優れるとはいい難い。
特許文献5では、インク受容層の塗工量は固形分換算で5〜30g/mであることが好ましいとしており、微細繊維状セルロース層の少ない付与量で優れた平滑性を発現させるためには改善が必要である。
したがって、特許文献1〜5には、微細繊維状セルロースを含有する層の付与量が少ないにもかかわらず、算術平均粗さRaがナノレベルであるような高平滑および高光沢である表面を有するシートについては記載されていない。
本発明の課題は、微細繊維状セルロースを含有する層の付与量が少ないにもかかわらず表面が高平滑であり、高い光沢を有するシートおよびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明を想到し、当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]紙基材および微細繊維状セルロース含有層を有し、微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有し、該微細繊維状セルロース含有層の付与量が2.0g/m以下であり、該微細繊維状セルロース含有層側表面のJISB0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下であるシート。
[2]前記微細繊維状セルロース含有層における微細繊維状セルロースの含有割合が、55質量%以上である、上記[1]に記載のシート。
[3]前記微細繊維状セルロース含有層側表面のJIS P 8142:2005に準拠して測定される75°鏡面光沢度が30%以上である、上記[1]または[2]に記載のシート。
[4]TAPPI UM−557法に準じて測定したキット法による耐油度が1級以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[5]紙基材の少なくとも一方の面に、微細繊維状セルロース含有層の付与量が固形分換算で2.0g/m以下となるように微細繊維状セルロース含有塗工液を塗工して微細繊維状セルロース含有層を設ける工程、
該微細繊維状セルロース含有層を乾燥または半乾燥する工程、
該微細繊維状セルロース含有層の表面を再湿潤液により再湿潤する工程、および、
キャストドラムにより該微細繊維状セルロース含有層の表面を圧着する工程、
を順次有し、
微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有するシートの製造方法。
[6]前記圧着する工程後の微細繊維状セルロース含有層側表面のJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下である、上記[5]に記載のシートの製造方法。
本発明によれば、微細繊維状セルロースを含有する層の付与量が少ないにもかかわらず表面が高平滑であり、高い光沢を有するシートおよびその製造方法を提供することができる。
図1は、リンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHとの関係を示すグラフである。
<シート>
本発明のシートは、紙基材および微細繊維状セルロースを含有する微細繊維状セルロース含有層を有し、微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有し、該微細繊維状セルロース含有層の付与量が2.0g/m以下であり、該微細繊維状セルロース含有層側表面のJISB0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下であることを特徴とする。
ここで、微細繊維状セルロース含有層(以下、「CNF含有層」ということもある)の「付与量」とは、紙基材上に設けられた微細繊維状セルロース含有層の単位面積当たりの量(g/m)を意味する。紙基材の両面にCNF含有層が設けられている場合には、CNF含有層の「付与量」とは、紙基材の一方の面に設けられたCNF含有層の単位面積当たりの量をあらわす。
本発明のシートは、微細繊維状セルロース含有層の付与量が2.0g/m以下であるが、シートの製造方法等の条件を適切に制御することにより、高平滑なシートを実現することができる。上記条件としては、たとえば塗工方法の選択や、塗工速度および塗工温度等の塗工条件を適切に設定すること、塗工液の含有成分の選択や各成分の含有割合を最適化すること等が挙げられ、これによって高平滑なシートを実現できているものと考えられる。特に、塗工液に含まれる各成分の含有割合を適切に制御することによって、紙基材中に浸透しにくい高粘度の塗工液とすることができる。そして、高粘度の塗工液とすることによって、塗工液中の微細繊維状セルロースが紙基材へ浸透しにくくなり、紙基材表面に微細繊維状セルロースが留まるため、少ない付与量であっても高平滑なCNF含有層を設けることができると推測される。
上記のとおり、塗工液中の微細繊維状セルロースは紙基材へ浸透しにくいことから、本発明のシートにおいてCNF含有層は紙基材中に浸透していなくてもよく、またCNF含有層の一部が紙基材中に浸透していてもよい。
本発明のシートにおいてCNF含有層の一部が紙基材中に浸透している場合は、微細繊維状セルロースの紙基材への浸透が少ないことが好ましく、CNF含有層の厚さの50%以上は紙基材の表面より上に位置することがより好ましい。上記の場合、本発明のシートにおいて、CNF含有層の一部と紙基材の一部、即ちCNF含有層の紙基材中への浸透部分は、互いに重なって存在することになる。
また、本発明の高平滑以外の効果として、シート表面が高い平滑性を有することにより光沢を生じることが挙げられる。さらに、微細繊維状セルロースにより紙基材表面の空隙が充填されているため、油滴の浸透を防ぐ効果が生じ、本発明のシートは耐油性をも発現し得る。
[紙基材]
本発明のシートを構成する紙基材は、微細繊維状セルロースを含む塗工液をキャストコーティングした際に生じる水蒸気が、透過できる程度の透気性を確保できれば特に限定されない。本発明において用いられる紙基材としては、片艶紙、上質紙、中質紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、板紙、白板紙、新聞用紙、塗工原紙、ライナー紙、中芯紙、グラシン紙および更紙等が挙げられる。
紙基材の坪量は特に限定されないが、15〜300g/m2であることが好ましく、20〜200g/m2であることがより好ましい。紙基材の坪量が15g/m2以上であれば、充分に微細繊維状セルロースを捕捉でき、優れた平滑性を発現させることができる。また、紙基材の坪量が300g/m2以下であれば、本発明のシートの生産性を良好とすることできる。
[微細繊維状セルロース含有層]
本発明のシートを構成するCNF含有層は、紙基材上に設けられることが好ましい。たとえば、紙基材上に、他の層を介さずCNF含有層を直接設けることができる。CNF含有層を紙基材上に直接設けても、上述のとおり紙基材表面に微細繊維状セルロースが留まることができるため、高平滑なシートとすることができる。
CNF含有層は紙基材上の一方の面と他方の面のうち、いずれか片方の面のみに設けられていてもよく、両方の面に設けられていてもよく、用途に応じて決めることができる。
紙基材の片面におけるCNF含有層の付与量が2.0g/m以下であれば、CNF含有層は少なくとも当該片面に複数層設けられていてもよい。また、紙基材の片面において複数のCNF含有層により付与量が2.0g/m以下となるように、CNF含有層が構成されていてもよい。また、紙基材上の一方の面におけるCNF含有層の付与量が2.0g/m以下であれば、他方の面のCNF含有層の付与量は2.0g/m超であってもよい。
(微細繊維状セルロース)
本発明において用いられる微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料(単に「繊維原料」ともいう)から製造することができる。
セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
セルロースを含む繊維原料としては、たとえばホヤ類に含まれるセルロースや、酢酸菌が生成するバクテリアセルロースを利用することもできる。
また、セルロースを含む繊維原料に代えて、キチン、キトサン等の直鎖型の含窒素多糖高分子が形成する繊維を用いることもできる。
CNF含有層に含まれる微細繊維状セルロースの繊維幅は、好ましくは2nm以上、より好ましくは3nm以上であり、そして、1000nm以下であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下、よりさらに好ましくは8nm以下である。微細繊維状セルロースの繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすい。
CNF含有層に含まれる微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、好ましくは2nm以上、より好ましくは3nm以上であり、そして、好ましくは1000nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、よりさらに好ましくは10nm以下、よりさらに好ましくは8nm以下である。微細繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。なお、微細繊維状セルロースは、たとえば単繊維状のセルロースである。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察を用いて以下のようにして測定される。まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の微細繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。ただし、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、微細繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
微細繊維状セルロースの繊維長は、特に限定されないが、たとえば0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上800μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制できる。また、微細繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることも可能となる。なお、微細繊維状セルロースの繊維長は、たとえばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
また、微細繊維状セルロースの結晶化度は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上であり、そして、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。
微細繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、特に限定されないが、好ましくは20以上、より好ましくは50以上であり、そして、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下である。軸比を上記下限値以上とすることにより、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば微細繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースは、たとえば結晶領域と非結晶領域をともに有している。特に、結晶領域と非結晶領域をともに有し、かつ軸比が高い微細繊維状セルロースは、後述する微細繊維状セルロースの製造方法により実現されるものである。
本実施形態における微細繊維状セルロースは、亜リン酸基または亜リン酸基に由来する置換基(単に亜リン酸基ということもある)を有する。
亜リン酸基または亜リン酸基に由来する置換基は、たとえば下記式(1)で表される置換基である。
式(1)中、bは自然数であり、mは任意の数である(ただし、b×m=1である)。αは、各々独立に、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、およびこれらの誘導基である。中でも、αは水素原子であることが特に好ましい。なお、式(1)におけるαには、セルロース分子鎖に由来する基は含まれない。
式(1)のαで表される飽和−直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはn−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロピル基、またはt−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、またはアリル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロペニル基、または3−ブテニル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、特に限定されない。芳香族基としては、フェニル基、またはナフチル基等が挙げられるが、特に限定されない。
また、前記αにおける誘導体としては、前記各種炭化水素基の主鎖または側鎖に対し、カルボキシ基、ヒドロキシ基、またはアミノ基等の官能基のうち、少なくとも1種類が付加または置換した状態の官能基が挙げられるが、特に限定されない。また、前記αの主鎖を構成する炭素原子数は特に限定されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。αの主鎖を構成する炭素原子数を上記範囲とすることにより、亜リン酸基の分子量を適切な範囲とすることができ、繊維原料への浸透を容易にし、微細繊維状セルロースの収率を高めることもできる。
式(1)におけるβ b+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、脂肪族アンモニウム、または芳香族アンモニウムが挙げられ、無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、もしくはマグネシウム等の2価金属の陽イオン、または水素イオン等が挙げられるが、特に限定されない。これらは1種または2種類以上を組み合わせて適用することもできる。有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βを含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、またはカリウムのイオンが好ましいが、特に限定されない。
なお、微細繊維状セルロースは、亜リン酸基または亜リン酸基由来の置換基に加えて、さらにリン酸基またはリン酸基に由来する基を有していてもよい。リン酸基またはリン酸基に由来する基は、たとえば、下記式(2)もしくは(3)で表される置換基であってもよい。なお、リン酸基またはリン酸基に由来する基は、下記式(3)で表されるような縮合リンオキソ酸基であってもよい。
式(2)中、aおよびb’は自然数であり、mは任意の数である(ただし、a=b’×mである)。αおよびα’のうちa個がOであり、残りはORである。ここで、Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。なお、式(2)におけるαは、セルロース分子鎖に由来する基であってもよい。
式(3)中、a’およびb’’は自然数であり、mは任意の数であり、nは2以上の自然数である(ただし、a’=b’’×mである)。α ,α ,・・・,α およびα’のうちa’個がOであり、残りはR又はORのいずれかである。ここで、Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。なお、式(3)におけるαは、セルロース分子鎖に由来する基であってもよい。
式(2)および(3)における各基の具体的例示は、式(1)における各基の具体的例示と同様である。また、式(2)におけるβ b’+および式(3)におけるβ b’’+の具体的例示は、式(1)におけるβ b+の具体的例示と同様である。
微細繊維状セルロースが亜リン酸基を置換基として有することは、微細繊維状セルロースを含有する分散液について赤外線吸収スペクトルの測定を行い、1210cm−1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収を観察することで確認できる。また、微細繊維状セルロースがリン酸基を置換基として有することは、微細繊維状セルロースを含有する分散液について赤外線吸収スペクトルの測定を行い、1230cm−1付近にリン酸基のP=Oに基づく吸収を観察することで確認できる。また、微細繊維状セルロースが亜リン酸基やリン酸基を置換基として有することは、NMRを用いて化学シフトを確認する方法や、元素分析に滴定を組み合わせる方法などでも確認できる。
微細繊維状セルロースに対する亜リン酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることが特に好ましい。また、微細繊維状セルロースに対する亜リン酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり、5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.50mmol/g以下であることがさらに好ましく、3.00mmol/g以下であることがよりさらに好ましい。亜リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、亜リン酸基の対イオンが水素イオン(H)であるときの微細繊維状セルロースの質量を示す。
微細繊維状セルロースに対する亜リン酸基の導入量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。中和度滴定法による測定では、得られた微細繊維状セルロースを含有するスラリーに、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリを加えながらpHの変化を求めることにより、亜リン酸基の導入量を測定する。
図1は、リンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。微細繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、微細繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。たとえば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
なお、前記リンオキソ酸基導入量(mmol/g)は、分母の“g”が酸型の微細繊維状セルロースの質量であることから、「酸型の微細繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量」(以降、リンオキソ酸基量(酸型)と呼ぶ)を示している。ここで、リンオキソ酸基のプロトンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母の“g”を当該陽イオンCが対イオンであるときの微細繊維状セルロースの質量に変換することで、「陽イオンCが対イオンである微細繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量」(以降、リンオキソ酸基量(C型))を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リン酸オキソ基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
ここで、A[mmol/g]:微細繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(前記リンオキソ酸基の強酸性基量と弱酸性基量を足した総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)である。
なお、滴定法によるリンオキソ酸基量の測定においては、水酸化ナトリウム水溶液1滴の滴下量が多すぎる場合や、滴定間隔が短すぎる場合、本来より低いリンオキソ酸基量となるなど正確な値が得られないことがある。適切な滴下量、滴定間隔としては、たとえば、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5〜30秒ごとに10〜50μLずつ滴定することなどが望ましい。また、微細繊維状セルロース含有スラリーに溶解した二酸化炭素の影響を排除するため、たとえば、滴定開始の15分前から滴定終了まで、窒素ガスなどの不活性ガスをスラリーに吹き込みながら測定することなどが望ましい。
また、亜リン酸基に加えて、リン酸基、縮合リン酸基のいずれかまたは両方を含む場合において検出されるリンオキソ酸が、亜リン酸、リン酸、縮合リン酸のどれに由来するか区別する方法としては、たとえば、酸加水分解などの縮合構造を切断する処理を行ってから上述した滴定操作を行う方法や、酸化処理などの亜リン酸基をリン酸基へ変換する処理を行ってから上述した滴定操作を行う方法などが挙げられる。
繊維状セルロースに亜リン酸基を導入して微細繊維状セルロースを製造する方法としては、公知の技術を用いることができる。たとえば、繊維原料に亜リン酸基を導入する亜リン酸基導入工程、洗浄工程、アルカリ処理工程(中和工程)、解繊処理工程を経て、亜リン酸基が導入された微細繊維状セルロースを含む水分散液として得ることができる。
亜リン酸基導入工程の前に前処理工程を有していてもよい。また、洗浄工程の代わりに、または洗浄工程に加えて、酸処理工程を有していてもよい。
繊維状セルロースに亜リン酸基を導入して微細化するより具体的な製造方法は、後述する製造例に記載のとおりである。
また、得られた微細繊維状セルロース含有水分散液は、後述する微細繊維状セルロース含有塗工液として用いることができる。
CNF含有層における微細繊維状セルロースの含有割合は、後述する微細繊維状セルロースの好ましい付与量を満たすように特定すればよいが、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは63質量%以上、さらに好ましくは66質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記微細繊維状セルロース含有量が55質量%以上であれば、CNF含有層の付与量が少なくても高平滑を達成しやすい。
(スチレン−ブタジエン共重合体)
CNF含有層は、CNF含有層の表面強度およびインク着肉性等の印刷適性の向上の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)をさらに含むことができる。
CNF含有層におけるスチレン−ブタジエン共重合体の含有割合は、印刷適性の向上の観点から好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、さらに表面強度を向上させる観点から、よりさらに好ましくは25質量%以上である。また、CNF含有層におけるスチレン−ブタジエン共重合体の含有割合は、CNF含有層の少ない付与量および高平滑性の両立、並びに印刷適性等のバランンスの観点から、好ましくは45質量%未満、より好ましくは37質量%未満、さらに好ましくは34質量%未満である。
(その他の成分)
CNF含有層には、微細繊維状セルロース、および必要に応じて含まれるスチレン−ブタジエン共重合体に加え、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、マイクロクリスタリンワックス等の離型剤、界面活性剤等の濡れ剤、コロイダルシリカ、分散剤、消泡剤、防腐剤、粘性改良剤、着色剤、潤滑剤、耐水化剤等が挙げられる。これらその他の成分は、1種または2種以上を併用することができる。
(CNF含有層の付与量)
本発明のシートにおいて、CNF含有層の付与量は2.0g/m以下であり、好ましくは1.7g/m以下、より好ましくは1.4g/m以下、さらに好ましくは1.1g/m以下、よりさらに好ましくは0.9g/m以下である。上記付与量を2.0g/m以下とすることで、高い平滑性を実現することができる。また、CNF含有層の付与量は、高い平滑性の効果を得る観点から好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.25g/m以上、さらに好ましくは0.3g/m以上、よりさらに好ましくは0.4g/m以上である。なお、シートを薄膜化する観点からは、CNF含有層の付与量を、たとえば0.28g/m以下とすることも可能である。
なお、CNF含有層の付与量は、微細繊維状セルロースの他に、必要に応じて含まれるスチレン−ブタジエン共重合体およびその他の成分を含む合計の乾燥質量であり、また紙基材の片面あたりのCNF含有層の量である。
また、本発明のシートにおいて、微細繊維状セルロースの付与量は、高い平滑性の効果を得る観点から好ましくは2.0g/m以下、より好ましくは1.7g/m以下、さらに好ましくは1.4g/m以下、よりさらに好ましくは1.1g/m以下、特に好ましくは0.9m以下である。また、微細繊維状セルロースの付与量は、高い平滑性の効果を得る観点から好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.25g/m以上、さらに好ましくは0.3g/m以上、よりさらに好ましくは0.4g/m以上である。なお、シートを薄膜化する観点からは、CNF含有層の付与量中の微細繊維状セルロース含有量を、たとえば0.28g/m以下とすることも可能である。上記微細繊維状セルロースの付与量は、紙基材上に設けられたCNF含有層に含まれる微細繊維状セルロースの乾燥質量であり、また紙基材の片面あたりの付与量である。
[その他の層]
本発明のシートは、前述のとおり紙基材の片面または両面にCNF含有層を設けることができるが、高平滑および高光沢を有し、耐油性や印刷適性等の特性を有し得ることから、CNF含有層が最表面であることが好ましい。
また、紙基材の片面のみにCNF含有層が設けられている場合、紙基材の他方の面にはシートの用途に応じてその他の層を設けることができる。その他の層としては、粘着剤層や離型剤層等が挙げられ、いわゆるラベルタイプ(ステッカー、シールタイプとも称される)の構造を有するシートとしてもよい。
[算術平均粗さRa]
本発明のシートは、CNF含有層側表面のJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下である。本発明のシートはCNF含有層の付与量が少ないにもかかわらず、塗工液中の微細繊維状セルロースが紙基材へ浸透しくいため、紙基材表面に微細繊維状セルロースが留まり、紙基材の表面凹凸を覆うことができる。その結果、紙基材の表面よりも高い平滑性を有し、さらには上記Raが20nm以下という優れた平滑性を達成することができる。
紙基材の種類やその坪量によってRaの値は異なるが、たとえば、紙基材が片艶紙で艶面側にCNF含有層を設ける場合、上記Raは15nm以下、さらには10nm以下とすることも可能である。また、紙基材が上質紙である場合、上記Raは19nm以下、さらには18nm以下とすることも可能である。なお、上記Raの下限は紙基材の種類やその坪量から一概に特定することはできないが、通常は2nm以上程度である。
[光沢度]
本発明のシートにおいて、CNF含有層側表面のJIS P 8142:2005に準拠して測定される75°鏡面光沢度は、好ましくは30%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上、よりさらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。本発明のシートは上述のように高平滑性を有することから、上記優れた光沢性を示すこともできる。
[耐油性]
本発明のシートは、耐油性を発現し得る。本発明のシートの耐油性は、TAPPI UM−557法に準じて測定したキット法による耐油度により評価できる。上記キット法により測定される本発明のシートの耐油度は、耐油性が発現されていることを示す1級以上であり、6級以上を示すことが好ましく、7級以上を示すことがより好ましい。本発明のシートの耐油性の発現は、CNF含有層における微細繊維状セルロースが、紙基材表面の空隙を充填するためであると考えられる。
なお、耐油紙として使用可能な上記キット法による耐油度は、通常5級以上である。
[印刷適性]
本発明のシートは、前述したようにCNF含有層がスチレン−ブタジエン共重合体をさらに含むことにより、表面強度およびインク着肉性等の印刷適性を向上させることが可能となる。すなわち、本発明のシートにおけるCNF含有層は、インク受容層として好適に設けることができる。
<シートの製造方法>
本発明のシートの製造方法は、
紙基材の少なくとも一方の面に、微細繊維状セルロースを含有する微細繊維状セルロース含有層の付与量が固形分換算で2.0g/m以下となるように微細繊維状セルロース含有塗工液を塗工して微細繊維状セルロース含有層を設ける工程(塗工工程)、
該微細繊維状セルロース含有層を乾燥または半乾燥する工程(乾燥または半乾燥工程)、
該微細繊維状セルロース含有層の表面を再湿潤液により再湿潤する工程(再湿潤工程)、および、
キャストドラムにより該微細繊維状セルロース含有層の表面を圧着する工程(圧着工程)、
を順次有し、
微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有する。
フィルムシートの製膜法の一つであるキャスト法としては、(i)塗工液を塗工し、直ちにキャストドラムに圧着するウェットキャスト法、(ii)塗工液を塗工、乾燥または半乾燥後、再湿潤液を付与した後、キャストドラムに圧着するリウェットキャスト法、(iii)塗工液を塗工後、ゲル化剤を塗工してゲル状にした後に、キャスト仕上げするゲル化キャスト法等が公知である。これらキャスト法のなかでも、本発明のシートを製造する方法は、(ii)リウェットキャスト法を採用することが好ましい。
本発明のシートの製造において(iii)ゲル化キャスト法を採用する場合、微細繊維状セルロースを含有する塗工液を塗工後、その上にゲル化剤を塗工するためシート最表面が微細繊維状セルロースではなくなり、高平滑およびこれによる光沢性を発現することが困難である。また、ゲル化キャスト法では、塗工量も多くなり、CNF含有層の付与量が少ないにもかかわらず表面が高平滑であるシートとする本発明の効果を得ることが困難である。また、(i)ウェットキャスト法では、所望する高い平滑性を発現させるためには湿潤調整や条件の設定が困難であり、作業性にも劣るおそれがある。一方、(ii)リウェットキャスト法であれば、湿潤調整が比較的容易であり生産性にも優れ、CNF含有層の付与量が固形分換算で2.0g/m以下と少なくても表面が高平滑であり、さらには高光沢となるCNF含有層を有するシートを製造することができる。
[微細繊維状セルロース含有塗工液]
微細繊維状セルロース含有塗工液(以下、単に「塗工液」ということもある)中における微細繊維状セルロースの含有割合は、固形分換算で好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、上記含有割合は、固形分換算で好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、よりさらに好ましくは2.5質量%以下である。上記範囲内であれば、塗工に好適な粘性を有しつつ、微細繊維状セルロースの紙基材への浸透を抑制して表面に留まらせることができ、少ない付与量であっても高平滑を満足できるCNF含有層を設けることができる。
微細繊維状セルロース含有塗工液は、CNF含有層の表面強度およびインク着肉性等の印刷適性の向上の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体をさらに含むことが好ましい。塗工液には、スチレン−ブタジエン共重合体として、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを含有させることができる。塗工液中のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの含有割合は、本発明のシートの説明において前述した、CNF含有層におけるスチレン−ブタジエン共重合体の好ましい含有割合(固形分量)となるように、調整することが好ましい。
また塗工液は、本発明のシートの説明において前述した亜リン酸基を有する微細繊維状セルロースを含有し、さらに、必要に応じて用いられるスチレン−ブタジエン共重合体およびその他の成分を含有する水分散液であることが好ましい。
[塗工工程]
本工程では、紙基材の少なくとも一方の面に、CNF含有層の付与量が、固形分換算で2.0g/m以下となるように塗工液を塗工する。CNF含有層の好ましい付与量は、本発明のシートの説明において前述したものと同様である。また、本発明のシートの説明において前述したものと同様に、上記付与量は、微細繊維状セルロースの他に、必要に応じて含まれるスチレン−ブタジエン共重合体およびその他の成分を含む合計の乾燥質量であり、また紙基材の片面あたりのCNF含有層の量である。
塗工液を塗工する塗工機としては、たとえば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができるが特に限定されない。粘性のある塗工液を均一に塗工できる観点からバーコーターが好ましいが、特にこれに限定されない。
[乾燥または半乾燥工程]
本工程では、紙基材上に塗工した塗工液を乾燥または半乾燥することによって乾燥または半乾燥したCNF含有層を形成する。
乾燥方法としては、特に限定されないが、非接触の乾燥方法でも、シートを拘束しながら乾燥する方法のいずれでもよく、これらを組み合わせてもよい。たとえば乾燥工程は、非接触の第1乾燥工程と、その後のシートを拘束しながら乾燥する第2乾燥工程とを含む、2段階の工程を採用してもよいが、特にこれらに限定されない。
非接触の乾燥方法としては、特に限定されないが、熱風、赤外線、遠赤外線または近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができ、加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線または近赤外線による乾燥は、赤外線装置、遠赤外線装置または近赤外線装置を用いて行うことができるが、特に限定されない。加熱乾燥法における加熱温度は特に限定されないが、40〜120℃であることが好ましく、60〜110℃であることがより好ましい。加熱温度が40℃以上であれば、塗工液中の分散媒を速やかに揮発させることができ、120℃以下であれば、加熱に要するコストの抑制および微細繊維状セルロースの熱による変色を抑制できる。
[再湿潤工程]
本工程では、上記工程により乾燥または半乾燥したCNF含有層を再湿潤する。再湿潤液としては、特に限定されるものではないが、水を使用することが好ましい。また、水には、一般に離型剤として用いられるポリエチレンエマルジョン、脂肪酸の塩類やその誘導体、マイクロクリスタリンワックス、ロート油等を溶解または分散させてもよい。なお、CNF含有層を再湿潤する前にスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を行うこともできる。
[圧着工程]
上記工程により、再湿潤したCNF含有層の表面をキャストドラムにより圧着する。
キャストドラムとしては、鋼材や鋳物等から成るドラム本体の表面に鏡面状に研磨仕上げされたクロムメッキ層を有する一般的なキャストドラムであればよく、クロムメッキ層の下地にニッケルメッキ層等の特殊層を設けたものであってもよい。また、キャストドラムは加熱して用いてもよい。
<用途>
本発明のシートおよび本発明の製造方法により製造されるシートは、高平滑で光沢性を有し、さらに耐油性および印刷適性等の物性も有し得る。
したがって、本発明のシートおよび本発明の製造方法により製造されるシートは上記特性から、包装紙、シール、ラベル、パッケージ分野や物流分野における箱や封筒、油脂成分を含有する食品の包装紙や容器、インクジェットプリンター用用紙等に用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中、特にことわりのない限り、「部」とは「質量部」を意味する。
<紙基材>
各実施例および比較例において、次の紙基材AおよびBを用いた。
紙基材A:片艶紙(坪量30g/m
紙基材B:上質紙(坪量64g/m
<微細繊維状セルロース>
各実施例および比較例で使用した微細繊維状セルロースは、次の製造例により製造したものを用いた。
[製造例]
(亜リン酸基導入繊維状セルロースの作製)
原料パルプとして、王子製紙社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121−2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対して亜リン酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、亜リン酸(ホスホン酸)と尿素の混合水溶液を添加して、亜リン酸二水素33質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースに亜リン酸基を導入し、亜リン酸化パルプを得た。次いで、得られた亜リン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、亜リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。次いで、洗浄後の亜リン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後の亜リン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下の亜リン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該亜リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施された亜リン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後の亜リン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。これにより得られた亜リン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1210cm−1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基P=Oに基づく吸収が観察され、パルプに亜リン酸(ホスホン酸)基が付加されていることが確認された。また、得られた亜リン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置にセルロースI型結晶に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。得られた亜リン酸基導入繊維状セルロース(亜リン酸化パルプ)は、後述する測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)が1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
〔リンオキソ酸基量の測定〕
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した微細繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行い、リンオキソ酸基を酸型に変換した。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を、5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。
この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点を二つ与えた。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値の第1解離酸量(mmol/g)を亜リン酸基量(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
(微細繊維状セルロース分散液の作製)
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加して撹拌し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
<塗工シートの作製>
〔実施例1〕
上記製造例により得られた微細繊維状セルロース分散液の濃度を調整した分散液を塗工液として用い、基材Aの艶面側にバーコーターによりCNF含有層の付与量(塗工量)が固形分量で0.25g/mとなるように塗工し、105℃で送風乾燥した。乾燥状態のシートに水を塗布し、その後、加熱した鏡面ドラムに圧着し乾燥することで、リウェットキャスト法によりシートを得た。
〔実施例2〕
微細繊維状セルロースの固形分量を0.5g/mとした以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
〔実施例3〕
微細繊維状セルロースの固形分量を0.8g/mとした以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
〔実施例4〕
微細繊維状セルロースの固形分量を1.5g/mとした以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
〔比較例1〕
基材Aをそのまま用いた。
〔比較例2〕
微細繊維状セルロースの固形分量を0.2g/mとした以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
〔実施例5〕
基材Bを使用した以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
〔実施例6〕
微細繊維状セルロースの固形分量を0.5g/mとした以外は、実施例5と同様にしてシートを得た。
〔実施例7〕
微細繊維状セルロースの固形分量を0.8g/mとした以外は、実施例5と同様にしてシートを得た。
〔比較例3〕
基材Bをそのまま用いた。
〔実施例8〕
微細繊維状セルロースが90部、SBRが10部となるように、上記製造例により得られた微細繊維状セルロース分散液とSBRラテックス(SBR、JSR社製、OJ3000F)を混合して塗工液を調製した。
上記調製した塗工液を用い、基材Aの艶面側にバーコーターによりCNF含有層の付与量(塗工量)が固形分量で0.5g/mとなるように塗工し、105℃で送風乾燥した。乾燥状態のシートに水を塗布し、その後、加熱した鏡面ドラムに圧着し乾燥することで、リウェットキャスト法によりシートを得た。
〔実施例9〕
微細繊維状セルロース80部、SBR20部に変更した以外は、実施例8と同様にしてシートを得た。
〔実施例10〕
微細繊維状セルロース70部、SBR30部に変更した以外は、実施例8と同様にしてシートを得た。
〔実施例11〕
微細繊維状セルロース60部、SBR40部に変更した以外は、実施例8と同様にしてシートを得た。
〔比較例4〕
微細繊維状セルロース50部、SBR50部に変更した以外は、実施例8と同様にしてシートを得た。
〔比較例5〕
微細繊維状セルロース40部、SBR60部に変更した以外は、実施例8と同様にしてシートを得た。
<評価方法>
実施例および比較例で作製したシートについて、以下の評価方法に従って評価を実施した。
(1)平滑性(Ra)
走査型プローブ顕微鏡(ブルカーエイエックス社製、Multimode8−HR)を用い、JISB0601:2001に準拠して塗工面の算術平均粗さRa(nm)を測定した。
(2)鏡面光沢度(75°光沢度)
JIS P 8142:2005に準拠して、光沢度計(村上色彩技術研究所社製)を用い、光入射角75°における塗工面(CNF含有層側表面)の白紙光沢度を測定した。
(3)オフセット印刷適性
得られたシートについて、RI印刷試験機(明製作所社製、RI−1)で、試験用インキ(T&K TOKA社製、ベストワン紙試験用SD50紅BT−13)により印刷を行い、塗工層強度とインク定着性を目視評価した。評価基準は次のとおりである。
(塗工層強度)
○:ピッキングがほぼ発生せず、実用上問題ないレベル
△:ピッキングが発生し、実用上、かなりの制限が必要なレベル
×:ピッキングが多く発生し、実用上は許容できないレベル
(インク着肉性)
○:サンプル全体にインクが付着している
△:インクの濃淡が見られる、インクが僅かにかすれている
×:インクがかすれて未印刷部分がある
(4)耐油度
TAPPI UM−557法(キット法)に準拠して、塗工面の耐油度を測定した。耐油度0は耐油性が発現されていないことを、耐油度1以上は耐油性が発現されていることを示す。なお、一般的な耐油紙は5級以上を示す。
[結果]
表1から明らかなように、微細繊維状セルロースを含む塗工液を塗工し、リウェットキャスト法により得た実施例1〜11のシートは、CNF含有層の付与量が少ないにも関わらず、Raが20nm以下という高い平滑性、鏡面光沢度が80%以上の高い光沢度を示した。
また、微細繊維状セルロース分散液とSBRを混合した塗工液を塗工し、リウェットキャスト法により得た実施例8〜11のシートは、良好なオフセット印刷適性を示しており、実用化への適用可能性が示唆された。
本発明のシートおよび本発明の製造方法により製造されるシートは上記特性から、包装紙、パッケージ分野や物流分野における箱や封筒、油脂成分を含有する食品の包装紙や容器、インクジェットプリンター等に用いることができる。

Claims (5)

  1. 紙基材および微細繊維状セルロース含有層を有し、微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有し、該微細繊維状セルロース含有層の付与量が2.0g/m以下であり、該微細繊維状セルロース含有層側表面のJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下であるシート。
  2. 前記微細繊維状セルロース含有層における微細繊維状セルロースの含有割合が、55質量%以上である、請求項1に記載のシート。
  3. 前記微細繊維状セルロース含有層側表面のJIS P 8142:2005に準拠して測定される75°鏡面光沢度が30%以上である、請求項1または2に記載のシート。
  4. TAPPI UM−557法に準じて測定したキット法による耐油度が1級以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート。
  5. 紙基材の少なくとも一方の面に、微細繊維状セルロース含有層の付与量が固形分換算で2.0g/m以下となるように微細繊維状セルロース含有塗工液を塗工して微細繊維状セルロース含有層を設ける工程、
    該微細繊維状セルロース含有層を乾燥または半乾燥する工程、
    該微細繊維状セルロース含有層の表面を再湿潤液により再湿潤する工程、および、
    キャストドラムにより該微細繊維状セルロース含有層の表面を圧着する工程、
    を順次有し、
    微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有し、
    前記圧着する工程後の微細繊維状セルロース含有層側表面のJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが20nm以下である、シートの製造方法。
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