JP6963539B2 - セルロース微細繊維及びその製造方法 - Google Patents
セルロース微細繊維及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6963539B2 JP6963539B2 JP2018170668A JP2018170668A JP6963539B2 JP 6963539 B2 JP6963539 B2 JP 6963539B2 JP 2018170668 A JP2018170668 A JP 2018170668A JP 2018170668 A JP2018170668 A JP 2018170668A JP 6963539 B2 JP6963539 B2 JP 6963539B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose
- fine fibers
- fiber
- cellulose fine
- hydrocarbon group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊して、セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上となるように亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する、
ことを特徴とするセルロース微細繊維の製造方法である。
セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)、好ましくは下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入され、
かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて、
セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
ことを特徴とするセルロース微細繊維である。
本形態のセルロース微細繊維は、セルロース繊維のヒドロキシ基(−OH基)の一部が、下記構造式(1)、好ましくは下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入(修飾、変性)された(エステル化された)ものである。より好ましくは、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメート(カルバミン酸のエステル)も導入されたものである。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロース微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10,000倍又は30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。この観察においては、観察画像に2本の対角線を引き、更に対角線の交点を通過する直線を任意に3本引く。そして、この3本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。この計測値の中位径を繊維幅とする。
本形態の製造方法においては、セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱してセルロース繊維に亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する。また、この亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維を洗浄した後に、解繊してセルロース微細繊維を得る。
セルロース繊維としては、例えば、植物由来の繊維(植物繊維)、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等を使用することができる。これらの繊維は、必要により、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、セルロース繊維としては、植物繊維を使用するのが好ましく、植物繊維の一種であるパルプ繊維を使用するのがより好ましい。セルロース繊維がパルプ繊維であると、セルロース微細繊維の物性調整が容易である。
添加物(A)は、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる。添加物(A)としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。これらの亜リン酸類又は亜リン酸金属塩類は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、亜リン酸水素ナトリウムを使用するのが好ましい。
添加物(B)は、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる。添加物(B)としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等を使用することができる。これらの尿素又は尿素誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
NH2−CO−NH2 → HN=C=O+NH3 …(1)
Cell−OH+H−N=C=O → Cell−O−C−NH2 …(2)
添加物(B)の添加量は、添加物(A)1molに対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.2〜20mol、特に好ましくは0.5 〜10 molである。添加量が0.01mol未満であると、セルロース繊維に亜リン酸のエステルが十分に導入されないおそれがある。他方、添加量が100molを超えても、尿素の添加による効果が頭打ちとなるおそれがある。
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維を加熱する際の加熱温度は、好ましくは100〜210℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜180℃である。加熱温度が100℃以上であれば、亜リン酸のエステルを導入することができる。ただし、加熱温度が210℃を超えると、セルロースの劣化が急速に進み、着色や粘度低下の要因となるおそれがある。
セルロース繊維に亜リン酸のエステル等を導入するに先立って、及び/又は亜リン酸のエステル等を導入した後において、セルロース繊維には、必要により、叩解等の前処理を施すことができる。セルロース繊維の解繊に先立って当該パルプ繊維に前処理を施しておくことで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊のエネルギーを削減することができる。
アルカリ処理の方法としては、例えば、アルカリ溶液中に、亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維を浸漬する方法が存在する。
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、解繊するに先立って、洗浄する。セルロース繊維を清浄することで、副生成物や未反応物を洗い流すことができる。また、この清浄が前処理におけるアルカリ処理に先立つものであれば、当該アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量を減らすことができる。
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、洗浄後に解繊(微細化処理)する。この解繊によって、パルプ繊維はミクロフィブリル化し、セルロース微細繊維(セルロースナノファイバー)となる。
セルロース繊維に、リンオキソ酸(リン酸水素ナトリウム又は亜リン酸水素ナトリウム)及び尿素を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊してセルロース微細繊維を製造する試験を行った。セルロース繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプを使用した。また、解繊は、高圧ホモジナイザーを使用して行った。さらに、叩解は、亜リン酸変性パルプに対し、PFIミルを使用して9,200回転で行った。
◎:透明又は白くなった場合
○:アイボリーになった場合
△:薄黄色になった場合
×:明らかに黄色くなった場合
Claims (7)
- セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊して、セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上となるように亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する、
ことを特徴とするセルロース微細繊維の製造方法。 - セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に、置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されている、
請求項1に記載のセルロース微細繊維の製造方法。 - 前記解繊により、セルロース微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)を3〜1,000,000として、セルロース微細繊維の濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のJIS−Z8803(2011)に準拠して測定したB型粘度を10〜300,000cpsとする、
請求項1又は請求項2に記載のセルロース微細繊維の製造方法。 - 前記加熱を、100〜210℃で行う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース微細繊維の製造方法。 - 前記添加物(A)が亜リン酸水素ナトリウムからなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース微細繊維の製造方法。 - 繊維幅が1〜1000nmであり、
セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステルが導入され、
かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて、
セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
ことを特徴とするセルロース微細繊維。
- 繊維幅が1〜1000nmであり、
セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入され、
かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて、
セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
ことを特徴とするセルロース微細繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018170668A JP6963539B2 (ja) | 2017-02-28 | 2018-09-12 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017035663A JP6404382B2 (ja) | 2017-02-28 | 2017-02-28 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
JP2018170668A JP6963539B2 (ja) | 2017-02-28 | 2018-09-12 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017035663A Division JP6404382B2 (ja) | 2017-02-28 | 2017-02-28 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018199891A JP2018199891A (ja) | 2018-12-20 |
JP2018199891A5 JP2018199891A5 (ja) | 2020-04-09 |
JP6963539B2 true JP6963539B2 (ja) | 2021-11-10 |
Family
ID=64667072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018170668A Active JP6963539B2 (ja) | 2017-02-28 | 2018-09-12 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6963539B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6683242B1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-04-15 | 王子ホールディングス株式会社 | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 |
JP6658940B1 (ja) * | 2019-03-27 | 2020-03-04 | 王子ホールディングス株式会社 | シート |
JP6645604B1 (ja) * | 2019-03-27 | 2020-02-14 | 王子ホールディングス株式会社 | シートおよびシートの製造方法 |
JP6658939B1 (ja) * | 2019-03-27 | 2020-03-04 | 王子ホールディングス株式会社 | シートおよびシートの製造方法 |
JP6741111B1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-08-19 | 王子ホールディングス株式会社 | シート |
JP7088888B2 (ja) * | 2019-08-29 | 2022-06-21 | 大王製紙株式会社 | 繊維状セルロース複合樹脂の製造方法 |
JP2021001353A (ja) * | 2020-09-23 | 2021-01-07 | 王子ホールディングス株式会社 | 繊維状セルロース、繊維状セルロース分散液及び繊維状セルロースの製造方法 |
EP4293069A1 (en) * | 2021-02-12 | 2023-12-20 | Oji Holdings Corporation | Sheet and layered body |
WO2023234129A1 (ja) * | 2022-05-31 | 2023-12-07 | 日本製紙株式会社 | 微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法 |
JP7377397B1 (ja) | 2022-05-31 | 2023-11-09 | 日本製紙株式会社 | 微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2912520C (en) * | 2013-05-16 | 2021-12-14 | Oji Holdings Corporation | Phosphoric acid-esterified fine cellulose fiber and method for producing the same |
JP6252128B2 (ja) * | 2013-11-19 | 2017-12-27 | 王子ホールディングス株式会社 | 脱エステル化合物の製造方法 |
JP6271318B2 (ja) * | 2014-03-28 | 2018-01-31 | 王子ホールディングス株式会社 | セルロース系水溶性増粘剤 |
JP6834229B2 (ja) * | 2015-08-05 | 2021-02-24 | 王子ホールディングス株式会社 | シート、シートの製造方法、および積層体 |
JP6613771B2 (ja) * | 2015-09-30 | 2019-12-04 | 王子ホールディングス株式会社 | 微細繊維状セルロース含有物 |
-
2018
- 2018-09-12 JP JP2018170668A patent/JP6963539B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018199891A (ja) | 2018-12-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6404382B2 (ja) | セルロース微細繊維及びその製造方法 | |
JP6963539B2 (ja) | セルロース微細繊維及びその製造方法 | |
KR102573110B1 (ko) | 셀룰로오스 미세섬유 및 그 제조 방법 | |
JP6404415B1 (ja) | セルロース微細繊維含有物及びその製造方法、並びにセルロース微細繊維分散液 | |
JP2018193440A5 (ja) | ||
JP7273463B2 (ja) | セルロース微細繊維及びその製造方法 | |
JP2018199891A5 (ja) | ||
JP2018171126A (ja) | 清掃用シート及び当該清掃用シートの製造方法 | |
JP6920260B2 (ja) | セルロース微細繊維含有物及びその製造方法 | |
JP2019023296A5 (ja) | ||
JP2022086614A (ja) | 紙用塗布液及び紙 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200228 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210305 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210430 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211001 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211015 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6963539 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |