JP6963539B2 - セルロース微細繊維及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、セルロース微細繊維及びその製造方法に関するものである。
近年、天然繊維としては、繊維径が20〜30μm程度のセルロース繊維のほか、繊維径が1μm以下のセルロース微細繊維(セルロースナノファイバー(CNF))が存在する。このセルロース微細繊維は、セルロース繊維を解繊して得るのが一般的である。そして、現在では、セルロース繊維の解繊を効果的に行うために、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1は、解繊(微細繊維化)に先立って、「セルロースの水酸基の一部に多塩基酸無水物を半エステル化してカルボキシル基を導入することにより、多塩基酸半エステル化セルロースを調製する」方法を提案する。しかしながら、同提案によっても、その後の解繊によってセルロース繊維を十分に微細化することができないとされている。
そこで、特許文献2は、「100〜170℃に加熱しながら、リンのオキソ酸或いはそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物により、セルロースを含む繊維原料を処理する」方法を提案する。同提案は、当該方法によって、「1〜1000nmの繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部が、所定の官能基で置換されて、リンオキソ酸基が導入された微細繊維状セルロース」が得られるとする。しかしながら、本発明者等が知見するところによると、同提案による微細繊維状セルロース(セルロース微細繊維)は、黄色味がかった(黄変化した)ものとなる。また、同提案による微細繊維状セルロースの分散液は、透明度や粘度の点でも改善の余地がある。さらに、同文献は、リン原子にヒドロキシ基及びオキソ基が結合したオキソ酸(リンオキソ酸)によってセルロースを含む繊維原料(セルロース繊維)を処理するとする。しかしながら、同文献は、リンオキソ酸等としてリン酸基を有する化合物のみを例示しており、その他の化合物についての具体的な例示は存在しない。また、同提案は、コスト、微細化の程度、製造効率、分散液の安定性、環境負荷を問題とするのみであり、得られる微細繊維状セルロースが黄色くなることを問題としていない。したがって、リンオキソ酸が無数に存在することも合わせて考慮すると、同文献からは、得られるセルロース微細繊維が黄色くなるとの問題を解決するための糸口が見えない。
特開2009−293167号公報 特開2013−127141号公報
本発明が解決しようとする課題は、得られるセルロース微細繊維が黄色くなるとの問題が解決されたセルロース微細繊維の製造方法、及びセルロース微細繊維を提供することにある。
上記課題を解決するための手段は、
セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊して、セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上となるように亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する、
ことを特徴とするセルロース微細繊維の製造方法である。
また、繊維幅が1〜1000nmであり、
セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)、好ましくは下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入され、
かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて
セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
ことを特徴とするセルロース微細繊維である。
Figure 0006963539
Figure 0006963539
構造式(1)において、αは、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。βは有機物又は無機物からなる陽イオンである。
本発明によると、得られるセルロース微細繊維が黄色くなるとの問題が解決されたセルロース微細繊維の製造方法、及びセルロース微細繊維となる。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。
(セルロース微細繊維)
本形態のセルロース微細繊維は、セルロース繊維のヒドロキシ基(−OH基)の一部が、下記構造式(1)、好ましくは下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入(修飾、変性)された(エステル化された)ものである。より好ましくは、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメート(カルバミン酸のエステル)も導入されたものである。
Figure 0006963539
Figure 0006963539
構造式(1)において、αは、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。βは有機物又は無機物からなる陽イオンである。
亜リン酸のエステルは、リン原子にヒドロキシル基(ヒドロキシ基)(−OH)及びオキソ基(=O)が結合しており、かつそのヒドロキシル基が酸性プロトンを与える化合物である。故に、亜リン酸のエステルは、リン酸基を有する化合物と同様にマイナス電荷が高い。したがって、亜リン酸のエステルを導入すると、セルロース分子間の反発が強くなり、セルロース繊維の解繊が容易になる。また、亜リン酸のエステルを導入すると、分散液の透明度や粘度が向上する。特に、亜リン酸のエステルと共にカルバメートをも導入すると、透明度や粘度がより向上する。この点、カルバメートは、アミノ基を有する。したがって、カルバメートを導入すると、プラス電荷をも有することになる。故に、カルバメートをも導入すると、亜リン酸のエステル及びカルバメートによる電荷的相互作用が高まり、粘度が向上するものと考えられる。なお、カルバメートは、同時にリン酸基を有する化合物を導入する場合よりも、亜リン酸のエステルを導入する場合の方が、より導入し易くなる。
さらに、亜リン酸のエステルを導入した場合は、リン酸基を有する化合物を導入した場合と異なり、得られるセルロース微細繊維の黄変化が防止される。この点、この黄変化が防止されるとの効果は、リンのオキソ酸一般を導入することで得られる効果ではなく、亜リン酸のエステルを導入した場合のみに得られる効果である。したがって、黄変化を防止するとの観点では、リンのオキソ酸という概念は意味を有しない。亜リン酸のエステルに黄変化防止効果が存在することは、本発明者等が独自に発見したものである。
なお、本発明者等は、リン酸基を有する化合物を導入した場合に黄変化し易いのは、メイラード反応や還元反応によってセルロースに二重結合が生じ易くなるためではないかと考える。亜リン酸のエステルよりもリン酸基を有する化合物の方が水素の数が多いため、pHが低くなる。そして、pHが低い方が、アミンと糖との反応が生じ易くなり、又はセルロースが還元し易くなる。したがって、リン酸基を有する化合物を導入しようとすると、加熱時にセルロースが分解して糖が生成し易くなり、又はセルロースが還元し易くなる。結果、リン酸基を有する化合物を導入する場合の方が、黄変化し易くなるのである。
亜リン酸のエステルの導入量は、セルロース微細繊維1g当たり、好ましくは0.06〜3.39mmol、より好ましくは0.61〜1.75mmol、特に好ましくは0.95〜1.42mmolである。導入量が0.06mmol未満であると、セルロース繊維の解繊が容易にならないおそれがある。また、セルロース微細繊維の水分散液が、不安定になるおそれもある。他方、導入量が3.39mmolを超えると、セルロース繊維が水に溶解するおそれがある。
亜リン酸のエステルの導入量は、元素分析に基づいて評価した値である。この元素分析には、堀場製作所製X−Max 50 001を使用する。
構造式(1)で示す官能基の置換度(DS)は、好ましくは0.01〜0.55、より好ましくは0.10〜0.28、特に好ましくは0.15〜0.23である。置換度が0.01未満であると、セルロース繊維の解繊が容易にならないおそれがある。他方、置換度が0.55を超えると、セルロース繊維が黄変化するおそれがある。
カルバメート基の置換度は、好ましくは0.01〜0.50、より好ましくは0.05〜0.45、特に好ましくは0.10〜0.40である。置換度が0.01未満であると、透明度や粘度が十分に高まらないおそれがある。他方、置換度が0.50を超えると、セルロース繊維が黄変化するおそれがある。
なお、置換度とは、セルロース中の一グルコース単位に対する官能基(構造式(1)で示す官能基やカルバメート基)の平均置換数をいう。置換度は、例えば、反応温度や反応時間で制御することができる。反応温度を高くしたり、反応時間を長くしたりすると、置換度が上昇する。ただし、置換度が上昇し過ぎると、セルロースの重合度が著しく低下する。
セルロース微細繊維の繊維幅(単繊維の平均直径)は、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは2〜400nm、特に好ましくは3〜100nmである。繊維幅が1nm未満であると、セルロースが水に溶解し、セルロース微細繊維としての物性、例えば、強度や剛性、寸法安定性等を有さなくなるおそれがある。他方、繊維幅が1000nmを超えると、もはやセルロース微細繊維とは言えず、通常のセルロース繊維となる。
セルロース微細繊維の繊維幅は、電子顕微鏡を使用して次のように測定する。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロース微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10,000倍又は30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。この観察においては、観察画像に2本の対角線を引き、更に対角線の交点を通過する直線を任意に3本引く。そして、この3本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。この計測値の中位径を繊維幅とする。
セルロース微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は、好ましくは3〜1,000,000、より好ましくは6〜340,000、特に好ましくは10〜340,000である。軸比が3未満であると、もはや繊維状とは言えなくなる。他方、軸比が1,000,000を超えると、分散液(スラリー)の粘度が高くなり過ぎるおそれがある。
セルロース微細繊維の結晶化度は、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜90%、特に好ましくは65〜85%である。結晶化度が50%未満であると、強度、耐熱性が不十分であるとされるおそれがある。結晶化度は、例えば、パルプ繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。結晶化度は、JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、セルロース微細繊維は、非晶質部分と結晶質部分とを有しており、結晶化度はセルロース微細繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。
セルロース微細繊維の光透過率(固形分0.2%溶液)は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは60.0%以上、特に好ましくは70.0%である。光透過率が40.0%未満であると、透明性が不十分であるとされるおそれがある。セルロース微細繊維の光透過率は、例えば、パルプ繊維の選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
光透過率は、0.2%(w/v)のセルロース微細繊維分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)をSpectrophotometer U−2910(日立製作所)を用いて測定した値である。
セルロース微細繊維の濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、好ましくは10〜300,000cps、より好ましくは1,000〜200,000cps、特に好ましくは10,000〜100,000cpsである。B型粘度は、固形分濃度1%のセルロース微細繊維の水分散液について、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度はスラリーを攪拌させたときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。
(セルロース微細繊維の製造方法)
本形態の製造方法においては、セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱してセルロース繊維に亜リン酸のエステル、好ましくは亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する。また、この亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維を洗浄した後に、解繊してセルロース微細繊維を得る。
(セルロース繊維)
セルロース繊維としては、例えば、植物由来の繊維(植物繊維)、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等を使用することができる。これらの繊維は、必要により、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、セルロース繊維としては、植物繊維を使用するのが好ましく、植物繊維の一種であるパルプ繊維を使用するのがより好ましい。セルロース繊維がパルプ繊維であると、セルロース微細繊維の物性調整が容易である。
植物繊維としては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ、バガス等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等を使用することができる。これらの繊維は、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)、古紙パルプ(DIP)等を使用することができる。これらのパルプは、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
広葉樹クラフトパルプ(LKP)は、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。針葉樹クラフトパルプ(NKP)は、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。古紙パルプ(DIP)は、雑誌古紙パルプ(MDIP)であっても、新聞古紙パルプ(NDIP)であっても、段古紙パルプ(WP)であっても、その他の古紙パルプであってもよい。
(添加物(A))
添加物(A)は、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる。添加物(A)としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。これらの亜リン酸類又は亜リン酸金属塩類は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、亜リン酸水素ナトリウムを使用するのが好ましい。
添加物(A)を添加するにあたって、セルロース繊維は、乾燥状態であっても、湿潤状態であっても、スラリーの状態であってもよい。また、添加物(A)は、粉末の状態であっても、水溶液の状態であってもよい。ただし、反応の均一性が高いことから、乾燥状態のセルロース繊維に水溶液の状態の添加物(A)を添加するのが好ましい。
添加物(A)の添加量は、セルロース繊維1kgに対して、好ましくは1〜10,000g、より好ましくは100〜5,000g、特に好ましくは300〜1,500gである。添加量が1g未満であると、添加物(A)の添加による効果が得られないおそれがある。他方、添加量が10,000gを超えても、添加物(A)の添加による効果が頭打ちとなるおそれがある。
(添加物(B))
添加物(B)は、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる。添加物(B)としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等を使用することができる。これらの尿素又は尿素誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
添加物(B)は、加熱されると、下記の反応式(1)に示すようにイソシアン酸及びアンモニアに分解される。そして、イソシアン酸はとても反応性が高く、下記の反応式(2)に示すようにセルロースの水酸基及びカルバメートを形成する。
NH2−CO−NH2 → HN=C=O+NH3 …(1)
Cell−OH+H−N=C=O → Cell−O−C−NH2 …(2)
添加物(B)の添加量は、添加物(A)1molに対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.2〜20mol、特に好ましくは0.5 〜10 molである。添加量が0.01mol未満であると、セルロース繊維に亜リン酸のエステルが十分に導入されないおそれがある。他方、添加量が100molを超えても、尿素の添加による効果が頭打ちとなるおそれがある。
(加熱)
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維を加熱する際の加熱温度は、好ましくは100〜210℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜180℃である。加熱温度が100℃以上であれば、亜リン酸のエステルを導入することができる。ただし、加熱温度が210℃を超えると、セルロースの劣化が急速に進み、着色や粘度低下の要因となるおそれがある。
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維を加熱する際のpHは、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜11、特に好ましくは6〜9である。pHが低い方が亜リン酸のエステル及びカルバメートが導入され易くなる。ただし、pHが3未満であると、セルロースの劣化が急速に進行してしまうおそれがある。
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維の加熱は、当該セルロース繊維が乾燥するまで行うのが好ましい。具体的には、セルロース繊維の水分率が、好ましくは10%以下となるまで、より好ましくは0.1%以下となるまで、特に好ましくは0.001%以下となるまで乾燥する。もちろん、セルロース繊維は、水分の無い絶乾状態になっても良い。
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維の加熱時間は、例えば1〜1,440分、好ましくは10〜180分、より好ましくは30〜120分である。加熱時間が長過ぎると、亜リン酸のエステルやカルバメートの導入が進み過ぎるおそれがある。また、加熱時間が長過ぎると、セルロース繊維が黄変化するおそれがある。
添加物(A)及び添加物(B)を添加したセルロース繊維を加熱する装置としては、例えば、熱風乾燥機、抄紙機、ドライパルプマシン等を使用することができる。
(前処理)
セルロース繊維に亜リン酸のエステル等を導入するに先立って、及び/又は亜リン酸のエステル等を導入した後において、セルロース繊維には、必要により、叩解等の前処理を施すことができる。セルロース繊維の解繊に先立って当該パルプ繊維に前処理を施しておくことで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊のエネルギーを削減することができる。
セルロース繊維の前処理は、物理的手法又は化学的手法、好ましくは物理的手法及び化学的手法によることができる。物理的手法による前処理及び化学的手法による前処理は、同時に行うことも、別々に行うこともできる。
物理的手法による前処理としては、叩解を採用するのが好ましい。セルロース繊維を叩解すると、セルロース繊維が切り揃えられる。したがって、セルロース繊維同士の絡み合いが防止される(凝集防止)。この観点から、叩解は、セルロース繊維のフリーネスが700ml以下となるまで行うのが好ましく、500ml以下となるまで行うのがより好ましく、300ml以下となるまで行うのが特に好ましい。セルロース繊維のフリーネスは、JIS P8121−2(2012)に準拠して測定した値である。また、叩解は、例えば、リファイナーやビーター等を使用して行うことができる。
化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。ただし、化学的手法による前処理としては、酵素処理を施すのが好ましく、加えて酸処理、アルカリ処理、及び酸化処理の中から選択された1又は2以上の処理を施すのがより好ましい。以下、酵素処理及びアルカリ処理について、順に説明する。
酵素処理に使用する酵素としては、セルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましく、両方を併用するのがより好ましい。これらの酵素を使用すると、セルロース繊維の解繊がより容易になる。なお、セルラーゼ系酵素は、水共存下でセルロースの分解を惹き起こす。また、ヘミセルラーゼ系酵素は、水共存下でヘミセルロースの分解を惹き起こす。
セルラーゼ系酵素としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生する酵素を使用することができる。これらのセルラーゼ系酵素は、試薬や市販品として購入可能である。市販品としては、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラ−ゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等を例示することができる。
また、セルラーゼ系酵素としては、EG(エンドグルカナーゼ)及びCBH(セロビオハイドロラーゼ)のいずれかもを使用することもできる。EG及びCBHは、それぞれを単体で使用しても、混合して使用してもよい。また、ヘミセルラーゼ系酵素と混合して使用してもよい。
ヘミセルラーゼ系酵素としては、例えば、キシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)等を使用することができる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼも使用することができる。
ヘミセルロースは、植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で木材の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。針葉樹の2次壁では、グルコマンナンが主成分であり、広葉樹2次壁では4−O−メチルグルクロノキシランが主成分である。そこで、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)からセルロース微細繊維を得る場合は、マンナーゼを使用するのが好ましい。また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)からセルロース微細繊維を得る場合は、キシラナーゼを使用するのが好ましい。
セルロース繊維に対する酵素の添加量は、例えば、酵素の種類、原料となる木材の種類(針葉樹か広葉樹か)、機械パルプの種類等によって決まる。ただし、セルロース繊維に対する酵素の添加量は、好ましくは0.1〜3質量%と、より好ましくは0.3〜2.5質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。酵素の添加量が0.1質量%未満であると、酵素の添加による効果が十分に得られないおそれがある。他方、酵素の添加量が3質量%を超えると、セルロースが糖化され、セルロース微細繊維の収率が低下するおそれがある。また、添加量の増量に見合う効果の向上を認めることができないとの問題もある。
酵素としてセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、酵素反応の反応性の観点から、弱酸性領域(pH=3.0〜6.9)であるのが好ましい。一方、酵素としてヘミセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、弱アルカリ性領域(pH=7.1〜10.0)であるのが好ましい。
酵素処理時の温度は、酵素としてセルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素のいずれを使用する場合においても、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜65℃、特に好ましくは40〜60℃である。酵素処理時の温度が30℃以上であれば、酵素活性が低下し難くなり、処理時間の長期化を防止することができる。他方、酵素処理時の温度が70℃以下であれば、酵素の失活を防止することができる。
酵素処理の時間は、例えば、酵素の種類、酵素処理の温度、酵素処理時のpH等によって決まる。ただし、一般的な酵素処理の時間は、0.5〜24時間である。
酵素処理した後には、酵素を失活させるのが好ましい。酵素を失活させる方法としては、例えば、アルカリ水溶液(好ましくはpH10以上、より好ましくはpH11以上)を添加する方法、80〜100℃の熱水を添加する方法等が存在する。
次に、前述したアルカリ処理の方法について、説明する。
アルカリ処理の方法としては、例えば、アルカリ溶液中に、亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維を浸漬する方法が存在する。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であっても、有機アルカリ化合物であってもよい。無機アルカリ化合物としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩等を例示することができる。また、アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示することができる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム等を例示することができる。アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を例示することができる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム等を例示することができる。アルカリ金属のリン酸塩としては、例えば、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム等を例示することができる。アルカリ土類金属のリン酸塩としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等を例示することができる。
有機アルカリ化合物としては、例えば、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物及びその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等を例示することができる。具体的には、例えば、例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等を例示することができる。
アルカリ溶液の溶媒は、水及び有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)であるのが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であるのがより好ましい。
アルカリ溶液の25℃におけるpHは、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、特に好ましくは11〜14である。pHが9以上であると、セルロース微細繊維の収率が高くなる。ただし、pHが14を超えると、アルカリ溶液の取り扱い性が低下する。
(洗浄)
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、解繊するに先立って、洗浄する。セルロース繊維を清浄することで、副生成物や未反応物を洗い流すことができる。また、この清浄が前処理におけるアルカリ処理に先立つものであれば、当該アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量を減らすことができる。
セルロース繊維の洗浄は、例えば、水や有機溶媒等を使用して行うことができる。
(解繊)
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、洗浄後に解繊(微細化処理)する。この解繊によって、パルプ繊維はミクロフィブリル化し、セルロース微細繊維(セルロースナノファイバー)となる。
セルロース繊維を解繊するにあたっては、当該セルロース繊維をスラリー状にしておくのが好ましい。このスラリーの固形分濃度は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1.0〜5.0質量%である。固形分濃度が上記範囲内であれば、効率的に解繊することができる。
セルロース繊維の解繊は、例えば、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、高速回転式ホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等のリファイナー、一軸混練機、多軸混練機、各種バクテリア等の中から1種又は2種以上の手段を選択使用して行うことができる。ただし、セルロース繊維の解繊は、水流、特に高圧水流で微細化する装置・方法を使用して行うのが好ましい。この装置・方法によると、得られるセルロース微細繊維の寸法均一性、分散均一性が非常に高いものとなる。これに対し、例えば、回転する砥石間で磨砕するグラインダーを使用すると、セルロース繊維を均一に微細化するのが難しく、場合によっては、一部に解れない繊維塊が残ってしまうおそれがある。
セルロース繊維の解繊に使用するグラインダーとしては、例えば、増幸産業株式会社のマスコロイダー等が存在する。また、高圧水流で微細化する装置としては、例えば、株式会社スギノマシンのスターバースト(登録商標)や、吉田機械興業株式会社のナノヴェイタ\Nanovater(登録商標)等が存在する。また、セルロース繊維の解繊に使用する高速回転式ホモジナイザーとしては、エムテクニック社製のクレアミックス−11S等が存在する。
なお、本発明者等は、回転する砥石間で磨砕する方法と、高圧水流で微細化する方法とで、それぞれセルロース繊維を解繊し、得られた各繊維を顕微鏡観察した場合に、高圧水流で微細化する方法で得られた繊維の方が、繊維幅が均一であることを知見している。
高圧水流による解繊は、セルロース繊維の分散液を増圧機で、例えば30MPa以上、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上、特に好ましくは220MPa以上に加圧し(高圧条件)、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が、例えば30MPa以上、好ましくは80MPa以上、より好ましくは90MPa以上となるように減圧する(減圧条件)方式で行うと好適である。この圧力差で生じるへき開現象によって、パルプ繊維が解繊される。高圧条件の圧力が低い場合や、高圧条件から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維径とするために繰り返し解繊(ノズルから噴出)する必要が生じる。
高圧水流によって解繊する装置としては、高圧ホモジナイザーを使用するのが好ましい。高圧ホモジナイザーとは、例えば10MPa以上、好ましくは100MPa以上の圧力でセルロース繊維のスラリーを噴出する能力を有するホモジナイザーをいう。セルロース繊維を高圧ホモジナイザーで処理すると、セルロース繊維同士の衝突、圧力差、マイクロキャビテーションなどが作用し、セルロース繊維の解繊が効果的に生じる。したがって、解繊の処理回数を減らすことができ、セルロース微細繊維の製造効率を高めることができる。
高圧ホモジナイザーとしては、セルロース繊維のスラリーを一直線上で対向衝突させるものを使用するのが好ましい。具体的には、例えば、対向衝突型高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー/MICROFLUIDIZER(登録商標)、湿式ジェットミル)である。この装置においては、加圧されたセルロース繊維のスラリーが合流部で対向衝突するように2本の上流側流路が形成されている。また、セルロース繊維のスラリーは合流部で衝突し、衝突したセルロース繊維のスラリーは下流側流路から流出する。上流側流路に対して下流側流路は垂直に設けられており、上流側流路と下流側流路とでT字型の流路が形成されている。このような対向衝突型の高圧ホモジナイザーを用いると高圧ホモジナイザーから与えられるエネルギーが衝突エネルギーに最大限に変換されるため、より効率的にセルロース繊維を解繊することができる。
セルロース繊維の解繊は、得られるセルロース微細繊維の平均繊維幅、平均繊維長、保水度、結晶化度、擬似粒度分布のピーク値、パルプ粘度が、前述した所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
次に、本発明の実施例について、説明する。
セルロース繊維に、リンオキソ酸(リン酸水素ナトリウム又は亜リン酸水素ナトリウム)及び尿素を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊してセルロース微細繊維を製造する試験を行った。セルロース繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプを使用した。また、解繊は、高圧ホモジナイザーを使用して行った。さらに、叩解は、亜リン酸変性パルプに対し、PFIミルを使用して9,200回転で行った。
リンオキソ酸及び尿素の添加量、加熱の温度及び時間は、表1に示すとおりとした。得られたセルロース微細繊維の物性や評価については、表2に示した。B型粘度及び透過度の評価方法は、前述したとおりとした。また、黄変化については、目視によって判断するものとし、次の基準で評価した。
(黄変化)
◎:透明又は白くなった場合
○:アイボリーになった場合
△:薄黄色になった場合
×:明らかに黄色くなった場合
Figure 0006963539
Figure 0006963539
本発明は、セルロース微細繊維及びその製造方法として利用可能である。

Claims (7)

  1. セルロース繊維に、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)、並びに尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)を添加し、加熱及び洗浄した後に、解繊して、セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上となるように亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する、
    ことを特徴とするセルロース微細繊維の製造方法。
  2. セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に、置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されている、
    請求項1に記載のセルロース微細繊維の製造方法。
  3. 前記解繊により、セルロース微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)3〜1,000,000として、セルロース微細繊維の濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のJIS−Z8803(2011)に準拠して測定したB型粘度を10〜300,000cpsとする
    請求項1又は請求項2に記載のセルロース微細繊維の製造方法。
  4. 前記加熱を、100〜210℃で行う、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース微細繊維の製造方法。
  5. 前記添加物(A)が亜リン酸水素ナトリウムからなる、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のセルロース微細繊維の製造方法。
  6. 繊維幅が1〜1000nmであり、
    セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されて、亜リン酸のエステルが導入され、
    かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて
    セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
    ことを特徴とするセルロース微細繊維。
    Figure 0006963539
    構造式(1)において、αは、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。βは有機物又は無機物からなる陽イオンである。
  7. 繊維幅が1〜1000nmであり、
    セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(2)に示す官能基で置換されて、亜リン酸エステルのナトリウム塩が導入され、
    かつ前記セルロース繊維のヒドロキシ基の一部に置換度0.01〜0.50となるようにカルバメートが導入されて
    セルロース微細繊維を固形分0.2%(w/v)溶液とした場合における分散液の透明度(350〜880nm光の透過率)が40.0%以上とされている、
    ことを特徴とするセルロース微細繊維。
    Figure 0006963539
    構造式(2)において、αは、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。
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