JP7377397B1 - 微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法 - Google Patents

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Abstract

貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有する。

Description

本発明は、微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法に関する。
セルロースを微細化して得られるセルロースナノファイバーやミクロフィブリレイテッドセルロース(以下、併せて「微細繊維状セルロース」という。)は、繊維径がナノ~マイクロオーダーの微細な繊維であり、高強度、高弾性、チキソ性等、通常のパルプにはない機能を有する新規材料として様々な分野での利用が期待されている。
従来微細繊維状セルロースは、化学変性パルプを高圧のホモジナイザーにより解繊することにより、水に安定的に分散させた状態で製造され(例えば、特許文献1参照)、通常は製造された所定濃度の微細繊維状セルロース分散液のままユーザーの工場などに搬送され、工業材料あるいは食品や化粧品の添加物材料として各種用途に使用されている。
製造された所定濃度の微細繊維状セルロースの分散液をそのままユーザーの工場などに搬送する場合は、保管、輸送等のコストアップにつながっていた。一方、微細繊維状セルロース分散液を乾燥させた状態で運搬する場合には、微細繊維状セルロース分散液の乾燥に多大な電力を必要とすることからコストアップにつながっていた。またユーザーの工場に微細繊維状セルロースの乾燥品を希釈、再分散し、使用に適した濃度に調整する設備の新規設置が必要であった。
特開2018-44274号公報
特許文献1等の従来の方法は、パルプを解繊するために高圧のホモジナイザーを必要とするものであり、高圧ホモジナイザーは高価で大型の設備であるため、ユーザー側において導入が難しい場合があった。
本発明の目的は、安価に入手可能であり、導入が容易な、ユーザー側において通常使用する機器を使用して、効率的にセルロースを解繊することが可能な、微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の高圧洗浄機を用いて解繊を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下を提供する。
(1) 微細繊維状セルロースの製造方法であって、貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有する微細繊維状セルロースの製造方法。
(2) 前記高圧洗浄機の前記調圧弁によって制御された調圧弁の出口圧力が、0.5~25MPaであることを特徴とする(1)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
(3) 前記分散液の固形分濃度が、0.1~10.0重量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
(4) 前記化学変性セルロースが、カルボキシ化セルロース又はカルボキシメチル化セルロースであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
(5) 前記余水循環工程の実施回数が、1~100回であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
(6) セルロースの解繊方法であって、貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有するセルロースの解繊方法。
本発明によれば、安価で入手可能であり、導入が容易な、ユーザー側で通常使用する機器を使用して、効率的にセルロースを解繊することが可能な、微細繊維状セルロースの製造方法およびセルロースの解繊方法を提供することができる。
本発明に用いることができる高圧洗浄機の構成を示す概略図である。 図1に示す調圧弁の構成を示す概略図である。 実施例1、比較例1、参考例1で得られた微細繊維状セルロース分散液の粘度特性を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。本発明において「~」は端値を含む。すなわち「X~Y」はその両端の値XおよびYを含む。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有する。
プランジャーポンプは、プランジャー(ロッド状のピストン)を往復運動させてポンプ内の液体容積を変化させ、吐出口に押し出す仕組みのポンプである。本発明の製造方法においては、プランジャーポンプは、余水排出機構を有する高圧洗浄機の一部を構成するものである。
図1は本発明に用いることができる高圧洗浄機の構成を示す概略図である。なお、本発明に用いることができる高圧洗浄機は、図1に示すものに限られるものではない。
本発明に用いることができる高圧洗浄機2は、貯留部4に貯留されている分散液6を高圧洗浄機2内に取り込む吸水口8と、取り込まれた分散液6に圧力を付与するプランジャーポンプ10と、高圧の分散液6を吐出する吐出口12と、吐出口12に吐出ホース14を介して接続されたノズル16と、吐出圧の調整を行う調圧弁18と、ノズル16が閉じている場合などに、設定した圧力以上となった場合に、分散液6を貯留部4に排出する余水口20を備えている。ここで、吸水口8には、貯留部4の底部から分散液6を吸水可能なように吸水ホース22が取り付けられている。また、余水口20には、高圧洗浄機2内の余水を貯留部4に排出可能なように余水ホース24が取り付けられている。なお、図1において、ノズルを閉じた状態とした場合の分散液の通過方向を矢印で示した。
プランジャーポンプ10を駆動させると、貯留部4に貯留されている分散液6が吸水ホース22を介して高圧洗浄機2内に取り込まれる。この分散液6は、プランジャーポンプ10の吸込口9から取り込まれ、ポンプ内で加圧され、加圧された分散液6は、プランジャーポンプ10の吐出口11から、調圧弁18を介して、高圧洗浄機2の吐出口12または余水口20から排出される。ノズル16を開放すると、高圧の分散液6がノズル16から噴射され、ノズル16を閉じると高圧水が遮断される。ノズル閉にしたとき、プランジャーポンプ10と調圧弁18の間の分散液6の圧力が上がるので、調圧弁18が働き、調圧弁18とノズル16の間の圧力が設定圧に保たれるように、プランジャーポンプ10内の分散液6全量が余水口20から余水ホース24を介して貯留部4に排出される。
次に、図2を用いて、調圧弁18の動作を説明する。調圧弁18は、吐出圧を調整する調圧ネジ26と、圧力調整バネ28と、ピストン30と、リリーフ弁32とを備えている。調圧ネジ26を回動させることにより、吐出圧を調整する。ノズル16が開放されている場合は、プランジャーポンプ10の吐出口11から吐出された分散液6は調圧弁入口36から入り、調圧弁出口38(吐出口12側)から吐出される。このとき、分散液6の圧力が設定圧力を超えている場合は、リリーフ弁32が圧力に応じて開き、分散液6の何割かが余水出口40に流れる。
次に、圧力の調整の仕組みを説明する。調圧弁18の調圧弁入口36から入った分散液6は、調圧弁出口38から吐出される。同時に、ピストン30下のスペースに圧力を伝える。分散液6の圧力が設定圧力を超えている場合は、ピストン30が押し上げられ、リリーフ弁32も上がるため、調圧弁入口36から入った分散液6が余水出口40にも流れ調圧弁出口38の圧力(吐出圧)が設定圧に保たれる。ピストン30の上方にある調圧ネジ26を締めると、圧力調整バネ28を介してピストン30を強く押し下げることになり、これにより吐出圧の調整を行うことができる。
調圧弁によっては、ノズル16を閉じた場合に、高圧の分散液6がピストン30を押し上げたまま保持する機構が追加されたものがある。この機構が働いた場合は、リリーフ弁32が全開となり分散液6の全量が余水出口40へ流れることになる。
本発明の解繊作用は、高圧の分散液6が全開状態ではないリリーフ弁32を通過することによって得られるため、前記保持機構を有する調圧弁を用いる場合には、保持機構を無効化して用いる事が好ましい。
(余水循環工程)
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法を実施する場合は、貯留部4に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液6を、図1に示したような余水排出機構を有する高圧洗浄機2の吸水口8を介してプランジャーポンプの吸込口9から取り込み、プラジャーポンプの吐出口11から吐出した分散液6を、高圧洗浄機2の余水口20から貯留部4に排出する余水循環工程を行う。余水排出機構を有する高圧洗浄機2を用いて、ノズル16を閉じた状態でプランジャーポンプ10を動作させることにより、貯留部4に貯留されているセルロースの分散液6が吸水ホース22を介して吸水口8から取り込まれ、プランジャーポンプ10で高圧化された分散液6が、調圧弁18の余水出口40から流れ出て、余水口20から余水ホース24を介して貯留部4に排出される。余水循環工程は、1回だけ行ってもよいし、複数回行ってもよい。余水循環工程を行う回数は、効率よく解繊を進める観点から1~100回が好ましく、1~50回がより好ましい。なお、余水循環工程の回数は、高圧洗浄機2の吐出圧の設定値に応じて最適な値とすればよく、例えば、吐出圧が20MPa以上の場合は、余水循環工程の回数を1~10回とすることが好ましく、1~5回とすることがより好ましく、3~5回とすることがさらに好ましい。また、吐出圧が10MPa以上、20MPa未満の場合は、余水循環工程の回数を1~10回とすることが好ましく、3~8回とすることがより好ましく、5~8回とすることがさらに好ましい。また、吐出圧が5MPa以上、10MPa未満の場合は、余水循環工程の回数を3~100回とすることが好ましく、10~50回とすることがより好ましく、20~50回とすることがさらに好ましい。
高圧洗浄機2の吐出圧(調圧弁の出口圧力)の設定値は、特に限定されないが、効率よく解繊を進める観点から、0.5~25MPaであることが好ましく、5~25MPaであることがより好ましく、10~20MPaであることがさらに好ましい。吐出圧の設定は、余水排出機構により制御することができ、具体的には調圧弁18の調圧ネジ26を用いて行うことができる。
高圧洗浄機2を用いた分散液6の処理量としては機械の容量によるところが多いが、例えば、有光工業社製の高圧洗浄機 (商品名:TRY高圧洗浄機、型番:TRY-10200)を使用した場合、生産量の観点から、10~20L/分が好ましく、12~20L/分がより好ましい。
本発明において使用可能な高圧洗浄機としては、調圧弁18を備える構成であり、さらに余水排出機構を有するものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、有光工業社製の高圧洗浄機(商品名:TRY高圧洗浄機、型番:TRY-10200)、いすゞ自動車社製の高圧洗浄車(商品名:いすゞアチューマット、4t車)等を挙げることができる。
(微細繊維状セルロース)
本発明で用いる、微細繊維状セルロースは、セルロースを原料とする微細繊維である。微細繊維状セルロースの平均繊維径は、特に限定されないが、1nm~10μm程度である。微細繊維状セルロースの平均繊維径および平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。微細繊維状セルロースは、セルロースを解繊することによって製造することができる。
本発明に用いる微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
セルロース原料は、セルロースを含んでいればよく、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、晒クラフトパルプ(BKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。セルロース原料としては、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
セルロース原料の数平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30~60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10~30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度に調整することが好ましい。
セルロースは、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性を行い、化学変性セルロースとすることが可能である。本発明においては、微細繊維状セルロースの原料として、化学変性セルロース又は未変性セルロースを用いるものであり、解繊の進行を促進するという観点から、化学変性して得られたセルロース原料(化学変性セルロース)を用いることが好ましい。
化学変性セルロースとしては、例えば、カルボキシメチル化、カルボキシ化(酸化)、カチオン化、エステル化等の化学変性をおこなったセルロースが挙げられる。中でも、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシ化(酸化)セルロースがより好ましい。
(化学変性)
(カルボキシメチル化)
本発明において、カルボキシメチル化したセルロースを解繊して得られたカルボキシメチル化微細繊維状セルロース用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01~0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3~20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60~95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5~20倍molの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃、かつ反応時間15分~8時間、好ましくは30分~7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05~10.0倍mol添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃、かつ反応時間30分~10時間、好ましくは1時間~4時間、エーテル化反応を行う。
なお、本明細書において、微細繊維状セルロースの調製に用いる化学変性セルロースの一種である「カルボキシメチル化したセルロース」は、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものをいう。したがって、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースとは区別される。「カルボキシメチル化したセルロース」の水分散液を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができる。一方、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースの水分散液を観察しても、繊維状の物質は観察されない。また、「カルボキシメチル化したセルロース」はX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるが、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースではセルロースI型結晶はみられない。
(カルボキシ化)
本発明において、カルボキシ化(酸化)したセルロースを解繊して得られた酸化微細繊維状セルロースを用いる場合、カルボキシ化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシ化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、カルボキシ化の際には、化学変性微細繊維状セルロースの絶乾重量に対して、カルボキシ基の量が0.6~2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g~2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
カルボキシ化(酸化)方法の一例として、セルロース原料を、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中でカルボキシ化する方法を挙げることができる。このカルボキシ化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位が選択的にカルボキシ化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシ基(-COOH)またはカルボキシレート基(-COO)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N-オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N-オキシル化合物としては、目的のカルボキシ化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースをカルボキシ化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.05~0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1~4mmol/L程度が好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、カルボキシ化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化剤の使用量としては、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが最も好ましい。また、例えば、N-オキシル化合物1molに対して1~40molが好ましい。
セルロースのカルボキシ化は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4~40℃が好ましく、また15~30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシ基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。カルボキシ化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8~12、好ましくは10~11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱容易性や、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
カルボキシ化反応における反応時間は、カルボキシ化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5~6時間、例えば、0.5~4時間程度である。
また、カルボキシ化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られたカルボキシ化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件でカルボキシ化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よくカルボキシ化させることができる。
カルボキシ化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることによりカルボキシ化する方法を挙げることができる。このカルボキシ化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基がカルボキシ化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50~250g/mであることが好ましく、50~220g/mであることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100重量部とした際に、0.1~30重量部であることが好ましく、5~30重量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0~50℃であることが好ましく、20~50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1~360分程度であり、30~360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にカルボキシ化および分解されることを防ぐことができ、カルボキシ化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
カルボキシ化セルロースのカルボキシ基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
(カチオン化)
本発明において、前記カルボキシ化セルロースをさらにカチオン化したセルロースを解繊して得られたカチオン化微細繊維状セルロースを使用することができる。当該カチオン変性されたセルロースは、前記カルボキシ化セルロース原料に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライトまたはそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を、水または炭素数1~4のアルコールの存在下で反応させることによって得ることができる。
グルコース単位当たりのカチオン置換度は0.02~0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.50より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たカチオン変性されたセルロース原料は洗浄されることが好ましい。当該カチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水または炭素数1~4のアルコールの組成比率によって調整できる。
(エステル化)
本発明において、エステル化したセルロースを解繊して得られたエステル化微細繊維状セルロースを使用することができる。当該エステル化セルロースは、前述のセルロース原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法により得られる。
リン酸系化合物Aとしては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。これらの中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用できる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩がより好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3~7が好ましい。
リン酸エステル化セルロースの製造方法の一例として以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1~10重量%のセルロース原料の分散液に、リン酸系化合物Aを撹拌しながら添加してセルロースにリン酸基を導入する。セルロース原料を100重量部とした際に、リン酸系化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2~500重量部であることが好ましく、1~400重量部であることがより好ましい。リン酸系化合物Aの割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えると収率向上の効果は頭打ちとなるのでコスト面から好ましくない。
この際、セルロース原料、リン酸系化合物Aの他に、これ以外の化合物Bの粉末や水溶液を混合してもよい。化合物Bは特に限定されないが、塩基性を示す窒素含有化合物が好ましい。ここでの「塩基性」は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃~赤色を呈すること、または水溶液のpHが7より大きいことと定義される。本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられるが、特に限定されない。この中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。化合物Bの添加量はセルロース原料の固形分100重量部に対して、2~1000重量部が好ましく、100~700重量部がより好ましい。反応温度は0~95℃が好ましく、30~90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1~600分程度であり、30~480分がより好ましい。エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率が良好となる。得られたリン酸エステル化セルロース懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100~170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100~170℃で加熱処理することが好ましい。
リン酸エステル化されたセルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001~0.40であることが好ましい。セルロースにリン酸基置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、リン酸基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、微細繊維状セルロースとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たリン酸エステル化されたセルロース原料は煮沸した後、冷水で洗浄することで洗浄されることが好ましい。
本発明では、化学変性セルロース又は未変性セルロースは、分散媒に分散された分散液の状態で用いる。分散媒としては、水、有機溶媒が挙げられ、これらを混合したものであっても良い。本発明に用いるセルロース分散液の固形分濃度は、濃度が低すぎると解繊効率が悪く、濃度が高すぎると分散液の粘度が上昇して解繊が困難となるため、0.1~10.0重量%が好ましく、0.1~5.0重量%がより好ましく、0.25~3.0重量%がさらに好ましく、0.5~1.0重量%が特に好ましい。
化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液は、例えば、水を用いて化学変性セルロース又は未変性セルロースを希釈することにより調製することができる。
(解繊)
本発明の製造方法では、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機を用いて、上記のようにして得られた化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液に対して、高圧洗浄機の吸水口を介して高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、プランジャーポンプの吐出口から吐出した分散液を高圧洗浄機の余水口から貯留部に排出する余水循環工程を行うことにより、セルロースを解繊して、微細繊維状セルロースを得る。
具体的には、分散液がプランジャーポンプの下流に配置された調圧弁のリリーフ弁32が成す狭い隙間を通って余水出口から排出される際にセルロースが解繊される。
本発明の製造方法によれば、安価に入手可能であり、導入が容易な、ユーザー側において通常使用する機器として、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機であって、プランジャーポンプを構成の一部として含むものを使用することで、効率的にセルロースを解繊して微細繊維状セルロースを得ることが可能である。また、得られた微細繊維状セルロースの粘度特性は、高価・大型の設備である高圧ホモジナイザーを用いて得られた微細繊維状セルロースの粘度特性と比較しても、遜色ない。
(用途)
本発明の製造方法によって得られた微細繊維状セルロースは、種々の用途に使用でき、一般的に添加剤が用いられる様々な分野において、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、研磨剤、ゴム・プラスチック用配合材料、保水材、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤、溢泥防止剤、混和剤、セメント系硬化体用塗布剤等として使用することができる。当該分野としては、食品、飲料、化粧品、医薬、製紙、各種化学用品、塗料、スプレー、農薬、土木、建築、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、接着剤、洗浄剤、芳香剤、潤滑用組成物等が挙げられる。
上記用途の中でも、得られた微細繊維状セルロースを、解繊に使用した高圧洗浄機を用いてそのまま散布・塗布できる観点から、広い面積を有する面に散布・塗布することが必要とされる用途に適しており、特にセメント系硬化体用塗布剤としての用途に適している。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例における各数値の測定/算出方法が特に記載されていない場合には、明細書中に記載されている方法により測定/算出されたものである。
(実施例1)
カルボキシメチル化パルプ(日本製紙株式会社製、商品名:SLD-F5)を水で固形分濃度1重量%に調整した。得られた分散液をタンクに入れ、高圧洗浄機(有光工業社製、商品名:TRY高圧洗浄機、型番:TRY-10200)の電源をオンにして、吸水口からタンク内の分散液を高圧洗浄機内に取り込み、ノズルを閉じたままの状態として、余水口から分散液をタンクへ排出した。処理量18L/分として、合計3パス処理を行い、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、高圧洗浄機の処理圧は、20MPaとした。
(比較例1)
実施例1と同様に調製したカルボキシメチル化パルプの分散液をタンクに入れ、実施例1と同じ高圧洗浄機の電源をオンにして、吸水口からタンク内の分散液を高圧洗浄機内に取り込み、ノズルを開放して、分散液をノズルから吐出させた。処理量18L/分として、1パス処理を行い、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、高圧洗浄機の処理圧は、20MPaとした。
(参考例1)
実施例1と同様に調製したカルボキシメチル化パルプの分散液を、高圧ホモジナイザーを用い150MPaの圧力で1~3パス処理を行い、微細繊維状セルロース分散液を得た。
(評価)
(粘度特性)
実施例1、比較例1、参考例1で得られた微細繊維状セルロース分散液の粘度特性をレオメータ(アントンパール社製、レオメータMCR301)を用いて、せん断速度10-3~10(1/s)、温度25℃の条件で測定した。得られた粘度特性のグラフを図3に示した。参考例1の高圧ホモジナイザーで処理した分散液の粘度特性グラフに近いほど、解繊が進んでいることを示す。
(結果)
図3からわかる通り、余水口から排出された実施例1の分散液は、パス処理回数を増やすと粘度が上がり、参考例1の粘度特性グラフに近づいた。すなわち、解繊が進んだことがわかる。一方、ノズルから吐出された比較例1の分散液は、実施例1の1パス処理した分散液と比較して、粘度が上がっていないことがわかる。ノズルから吐出させる比較例1の場合は、気中への吐出であり、調圧弁から分散液中に吐出する機構を含む実施例1と比較して解繊性に劣ると考えられる。
(実施例2)
(TEMPO酸化パルプの製造)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)50g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)390mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム5.1g(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液5Lに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することでTEMPO酸化されたパルプ(カルボキシ化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシ基量は1.6mmol/gであった。
上記のようにして得られたTEMPO酸化パルプを水で固形分濃度0.5重量%に調整した。得られた分散液をタンクに入れ、高圧洗浄機(有光工業社製、商品名:TRY高圧洗浄機、型番:TRY-10200)の電源をオンにして吸水口からタンク内の分散液を取り込み、ノズルを閉じたままの状態として、余水口から分散液をタンクへ排出した。処理量18L/分として、合計5パス処理を行い、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、高圧洗浄機の処理圧は、20MPaとした。
(実施例3)
高圧洗浄機の処理圧として、20MPaに代えて15MPaとし、合計5パス処理に代えて、合計8パス処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース分散液を得た。
(実施例4)
高圧洗浄機の処理圧として、20MPaに代えて10MPaとし、合計5パス処理に代えて、合計8パス処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース分散液を得た。
(実施例5)
高圧洗浄機の処理圧として、20MPaに代えて5MPaとし、合計5パス処理に代えて、合計50パス処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース分散液を得た。
(参考例2)
実施例2と同様にして得られたTEMPO酸化パルプを水で固形分濃度0.5重量%に調整した。得られた分散液を、高圧ホモジナイザーを用い150MPaの圧力で1~3パス処理を行い、微細繊維状セルロース分散液を得た。
(評価)
(粘度の測定)
実施例2~5および参考例2で得られた固形分濃度0.5重量%の微細繊維状セルロース分散液について、B型粘度計(英弘精機社製)を用いて、25℃の条件にて、回転数60rpmで3分後の粘度、及び回転数6rpmで3分後の粘度を測定した。結果を表1に示した。
Figure 0007377397000001
(結果)
参考例2の1パス処理して得られた分散液は、解繊が進行し、チキソ性を有することが確認された。なお、2パス処理以降は粘度の低下が激しいことが確認された。過剰な解繊により繊維が傷んだことが原因であると考えられる。参考例2の1パス処理して得られた分散液の粘度特性と近い特性を示すほど好ましいといえる。実施例2においては、3~5パス処理したものが好ましい結果が得られた。実施例3においては、3~8パス処理したものが好ましい結果が得られた。実施例4においては、5~8パス処理したものが好ましい結果が得られた。実施例5においては、20~50パス処理したものが好ましい結果が得られた。
2…高圧洗浄機、4…貯留部、6…分散液、8…吸水口、9…プランジャーポンプの吸込口、10…プランジャーポンプ、11…プランジャーポンプの吐出口、12…吐出口、14…吐出ホース、16…ノズル、18…調圧弁、20…余水口、22…吸水ホース、24…余水ホース、26…調圧ネジ、28…圧力調整バネ、30…ピストン、32…リリーフ弁、36…調圧弁入口、38…調圧弁出口、40…余水出口

Claims (6)

  1. 微細繊維状セルロースの製造方法であって、
    貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有する
    微細繊維状セルロースの製造方法。
  2. 前記高圧洗浄機の前記調圧弁によって制御された調圧弁の出口圧力が、0.5~25MPaであることを特徴とする請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  3. 前記分散液の固形分濃度が、0.1~10.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  4. 前記化学変性セルロースが、カルボキシ化セルロース又はカルボキシメチル化セルロースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  5. 前記余水循環工程の実施回数が、1~100回であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  6. セルロースの解繊方法であって、
    貯留部に貯留されている化学変性セルロース又は未変性セルロースの分散液を、調圧弁から成る余水排出機構を有する高圧洗浄機の吸水口を介して、前記高圧洗浄機の一部を構成するプランジャーポンプの吸込口から取り込み、前記プランジャーポンプの吐出口から吐出した前記分散液を、前記高圧洗浄機の余水口から前記貯留部に排出する余水循環工程を有する
    セルロースの解繊方法。
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