JP6638649B2 - 粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法 - Google Patents

粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法 Download PDF

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Description

本発明は、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法に関する。
粉末飲食品の中には、保存容器や大気中の水分を吸収し固結するものがある。そこで、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法が検討されている。
粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法として、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が10以下であるショ糖脂肪酸エステルを利用する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、同方法は、ショ糖脂肪酸エステルの配合により好ましくない風味やエグ味が付与される点で官能品質への悪影響が大きく、飲食品、特にシンプルな味設計の調味料、への使用には適していない。
また、従来、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法として、添加剤で粉末飲食品を被覆する方法も知られている。添加剤としては、粉末油脂や硬化油が挙げられる。しかしながら、これらの方法では十分な固結防止効果が得られず、また、ショ糖脂肪酸エステルを利用する場合と同様に官能品質への悪影響が大きいという問題がある。
また、トリグリセリンベヘン酸エステルを利用して粉末飲食品の水への溶解性または分散性を向上させる方法が知られている(特許文献2)。特許文献2には、さらに、同方法により固結防止効果も期待できる旨、記載されている。
特開昭52−130932 特開2005−021016
本発明は、官能品質への悪影響を極力与えず、粉末飲食品の吸湿固結を効果的に防止する技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを粉末飲食品に配合することにより、官能品質への悪影響を極力与えず、粉末飲食品の吸湿固結を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおり例示できる。
[1]
HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する粉末飲食品であって、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、粉末飲食品。
[2]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で含有する、[1]に記載の粉末飲食品。
[3]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、[1]または[2]に記載の粉末飲食品。
[4]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが5以下である混合物である、[1]または[2]に記載の粉末飲食品。
[5]
前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、[4]に記載の粉末飲食品。
[6]
粉末調味料である、[1]〜[5]のいずれかに記載の粉末飲食品。
[7]
前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、[6]に記載の粉末飲食品。
[8]
HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを粉末飲食品またはその原料に配合することを含む、粉末飲食品を製造する方法であって、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、方法。
[9]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で配合する、[8]に記載の方法。
[10]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、[8]または[9]に記載の方法。
[11]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが5以下である混合物である、[8]または[9]に記載の方法。
[12]
前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、[11]に記載の方法。
[13]
前記製造される粉末飲食品が、粉末調味料である、[8]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、[13]に記載の方法。
[15]
HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを粉末飲食品またはその原料に配合することを含む、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法であって、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、方法。
[16]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で配合する、[15]に記載の方法。
[17]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、[15]または[16]に記載の方法。
[18]
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが5以下である混合物である、[15]または[16]に記載の方法。
[19]
前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、[18]に記載の方法。
[20]
前記粉末飲食品が、粉末調味料である、[15]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[21]
前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、[20]に記載の方法。
<1>本発明の飲食品
本発明の飲食品は、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する粉末飲食品である。
「粉末飲食品」とは、粉末の形態である飲食品をいう。粉末飲食品は、粉末の形態のまま喫食されるものであってもよく、そうでなくてもよい。本発明において、「粉末」には、例えば、いわゆる、粉、粉末、微粉、超微粉、粒、細粒、顆粒、粗粒、粉粒、粒体、粉体のいずれもが包含される。「粉末」とは、例えば、平均粒子径D50が1μm以上、10μm以上、50μm以上、または100μm以上であることであってもよく、平均粒子径D50が3000μm以下、2000μm以下、1500μm以下、1000μm以下、または500μm以下であることであってもよく、平均粒子径D50がそれらの組み合わせであることであってもよい。「平均粒子径D50」とは、粒径加積曲線のグラフで通過質量百分率50%に相当する粒子径を意味し、具体的には篩分法によって得られた累積粒度分布における質量基準での積算値50%に相当する粒子径(メジアン径)を意味してよい。平均粒子径D50は、例えば、ロータップ型ふるい振盪機により測定することができる。
粉末飲食品としては、例えば、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、カレー粉等の粉末調味料類;粉末中華スープ、粉末コーンスープ、粉末ポタージュスープ、粉末カレースープ、粉末味噌汁、粉末お吸い物等の粉末スープ類;粉末カレールウ、粉末シチュールウ等の粉末ルウ類;インスタントコーヒー、インスタントココア、粉末緑茶等の粉末飲料類が挙げられる。好ましい粉末飲食品としては、粉末調味料類が挙げられる。好ましい粉末調味料類としては、粉末鶏がらスープや粉末コンソメが挙げられる。
本発明の飲食品は、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。本発明において、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを「有効成分」ともいう。本発明においては、有効成分を配合することにより、官能品質への悪影響を極力与えず、粉末飲食品の吸湿固結を防止する効果が得られる。同効果を「固結防止効果」ともいう。官能品質としては、例えば、溶解時の溶状や味風味が挙げられる。
「吸湿固結の防止」とは、有効成分の非配合時と比較して有効成分の配合時に吸湿固結が起こりにくいことをいい、有効成分の配合時に吸湿固結が全く起こらない場合も含む。吸湿固結の防止としては、例えば、湿潤雰囲気下における、固結に達するまでの時間の増大、固結に達した時点での水分含量(固結含水率ともいう)の増大、一定時間経過時点での固結の程度の低減、またはそれらの組み合わせが挙げられる。有効成分の配合時における固結に達するまでの時間は、例えば、有効成分の非配合時における固結に達するまでの時間の、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、または3.5倍以上に増大していてよい。有効成分の配合時における固結含水率は、例えば、有効成分の非配合時における固結含水率の、1.05倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上、または1.3倍以上に増大していてよい。本発明の飲食品において吸湿固結か防止されているか否かは、本発明の飲食品と対照の飲食品とをそれぞれ適当な容器に入れて湿潤雰囲気下で静置し、固結の発生や程度を比較することにより決定できる。「対照の飲食品」とは、本発明の飲食品と同一の粉末飲食品であって、有効成分が配合されていないもの(例えば、有効成分に代えて適当な油脂が配合されているもの)をいう。湿潤雰囲気の条件や、固結の発生や程度の基準は、粉末飲食品の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。湿潤雰囲気としては、例えば、温度30℃、湿度65%の条件が挙げられる。固結の発生や程度は、例えば、表4に示す12段階の状態に基づいて評価することができ、また、評点6点に達した場合を固結とすることができる。
「低HLB」とは、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が、例えば、5以下、4以下、または3以下であることをいう。HLB値は、常法により決定することができる。HLB値の算出法としては、例えば、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法が挙げられる。HLB値の算出法は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。なお、本発明において、「低HLB」とは、特記しない限り、いずれか1つまたはそれ以上の方法により決定されたHLB値が低HLBに相当する値であればよい。すなわち、例えば、「HLB値が5以下である」とは、特記しない限り、いずれか1つまたはそれ以上の方法により決定されたHLB値が5以下であればよい。
「ポリグリセリン脂肪酸エステル」とは、ポリグリセリンの水酸基に脂肪酸がエステル結合した化合物である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける、ポリグリセリンの平均重合度、平均エステル化率、および構成脂肪酸の種類は、所望のHLB値等の諸条件に応じて適宜設定できる。一般に、平均エステル化率が高い程、HLB値は低下する。
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける「ポリグリセリンの平均重合度」とは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度の平均値をいう。ポリグリセリンの平均重合度は、例えば、1.5以上、2以上、2.5以上、または3以上であってもよく、20以下、15以下、12以下、10.5以下、または10以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。ポリグリセリンの平均重合度は、例えば、1.5〜20であってもよく、2.5〜10.5であってもよい。ポリグリセリンの重合度は、ポリグリセリンの水酸基価に基づいて算出されるものとする。ポリグリセリンの水酸基価は、日本工業規格JIS K 0070:1992に準拠して測定されるものとする。
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける「平均エステル化率」とは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの水酸基の内、脂肪酸がエステル結合したものの比率の平均値をいう。平均エステル化率は、例えば、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上であってよい。平均エステル化率は、下記式(I)により算出されるものとする。下記式(I)におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価、ケン化価、および酸価は、いずれも日本工業規格JIS K 0070:1992に準拠して測定されるものとする。
平均エステル化率(%)=[(ケン化価−酸価)/(水酸基価+ケン化価−酸価)]×100 ・・・(I)
なお、上記の通り、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの重合度およびエステル化率は、いずれも平均値である。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、製造法の種類等の諸条件に応じて、例えば、ポリグリセリンの重合度、ポリグリセリンの重合形態(直鎖状か、環状か、分岐状か)、エステル化率、および/またはエステル化位置の異なる複数種のエステルの混合物として提供され得るが、本発明においては、説明の便宜上、そのような混合物を「1種類」のポリグリセリン脂肪酸エステルとして扱うものとする。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。構成脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜24の脂肪酸が挙げられる。構成脂肪酸として、具体的には、例えば、ベヘニン酸(ベヘン酸;behenic acid)、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリル酸が挙げられる。構成脂肪酸としては、1種の脂肪酸を用いてもよく、2種またはそれ以上の脂肪酸を組み合わせて用いてもよい。例えば、1分子のポリグリセリン鎖に2種またはそれ以上の脂肪酸がエステル結合していてもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ヘキサグリセリン脂肪酸エステルやデカグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
「ヘキサグリセリン脂肪酸エステル」とは、ポリグリセリンの平均重合度が約6であるポリグリセリン脂肪酸エステルをいう。ヘキサグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、例えば、5.5以上6.5未満、5.9以上6.1以下、または6であってよい。上記の通り、ポリグリセリン脂肪酸エステルは複数種のエステルの混合物として提供され得るが、ヘキサグリセリン脂肪酸エステルにおいては、そのような混合物中のグリセリン脂肪酸エステルの総量に対する重合度が6である直鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルの量の比率が、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよい。
「デカグリセリン脂肪酸エステル」とは、ポリグリセリンの平均重合度が約10であるポリグリセリン脂肪酸エステルをいう。デカグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、例えば、9.5以上10.5未満、9.9以上10.1以下、または10であってよい。上記の通り、ポリグリセリン脂肪酸エステルは複数種のエステルの混合物として提供され得るが、デカグリセリン脂肪酸エステルにおいては、そのような混合物中のグリセリン脂肪酸エステルの総量に対する重合度が10である直鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルの量の比率が、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよい。
ヘキサグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ヘキサグリセリンステアリン酸エステルが挙げられる。ヘキサグリセリンステアリン酸エステルとしては、例えば、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルが挙げられる。「ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステル」とは、グリセリン6残基当たりのステアリン酸の結合数が約8であるオクタグリセリン脂肪酸エステルである。ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルにおけるグリセリン6残基当たりのステアリン酸の結合数は、例えば、7.5以上8.5未満、7.9以上8.1以下、または8であってよい。上記の通り、ポリグリセリン脂肪酸エステルは複数種のエステルの混合物として提供され得るが、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルにおいては、そのような混合物中のグリセリン脂肪酸エステルの総量に対する重合度が6でありステアリン酸の結合数が8である直鎖ポリグリセリンステアリン酸エステルの量の比率が、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよい。
デカグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、デカグリセリンベヘニン酸エステルが挙げられる。
有効成分としては、例えば、上記のようなポリグリセリン脂肪酸エステルの内、低HLBであるものを、特に制限されず用いることができる。有効成分としては、1種の低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてもよく、2種またはそれ以上の低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて用いてもよい。
有効成分としては、トリグリセリンベヘニン酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてもよい。「トリグリセリンベヘニン酸エステル」とは、ベヘニン酸を構成脂肪酸とするトリグリセリン脂肪酸エステルである。「トリグリセリン脂肪酸エステル」とは、ポリグリセリンの平均重合度が約3であるポリグリセリン脂肪酸エステルをいう。トリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、例えば、2.5以上3.5未満、2.9以上3.1以下、または3であってよい。上記の通り、ポリグリセリン脂肪酸エステルは複数種のエステルの混合物として提供され得るが、トリグリセリン脂肪酸エステルにおいては、そのような混合物中のグリセリン脂肪酸エステルの総量に対する重合度が3である直鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルの量の比率が、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよい。
また、本発明において、「低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステル」とは、単独で低HLBであるポリグリセリン脂肪酸エステルに限られず、ポリグリセリン脂肪酸エステルと他の乳化剤の混合物であって、混合物全体として低HLBであるものであってもよい。以下、そのような混合物を「低HLBの混合物」ともいう。すなわち、有効成分としては、低HLBの混合物を用いることもできる。有効成分としては、1種の低HLBの混合物を用いてもよく、2種またはそれ以上の低HLBの混合物を組み合わせて用いてもよい。
低HLBの混合物を構成するポリグリセリン脂肪酸エステルの種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。混合物全体として低HLBである限り、低HLBの混合物を構成するポリグリセリン脂肪酸エステルは、単独で低HLBであってもよく、そうでなくてもよい。低HLBの混合物を構成するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、上記のようなポリグリセリン脂肪酸エステルを、特に制限されず用いることができる。低HLBの混合物は、1種のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してもよく、2種またはそれ以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて含有してもよい。
低HLBの混合物を構成する他の乳化剤の種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。混合物全体として低HLBである限り、低HLBの混合物を構成する他の乳化剤は、単独で低HLBであってもよく、そうでなくてもよい。低HLBの混合物は、1種の他の乳化剤を含有してもよく、2種またはそれ以上の他の乳化剤を組み合わせて含有してもよい。
低HLBの混合物を構成する他の乳化剤としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
「モノグリセリン脂肪酸エステル」とは、グリセリンの水酸基のいずれか1つまたは2つに脂肪酸がエステル結合した化合物である。モノグリセリン脂肪酸エステルの種類は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。モノグリセリン脂肪酸エステルにおける、平均エステル化率および構成脂肪酸の種類は、所望のHLB値等の諸条件に応じて適宜設定できる。モノグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率の定義や算出法については、ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率の定義や算出法に関する記載を準用できる。モノグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率は、例えば、15%以上、30%以上、または50%以上であってもよく、85%以下、70%以下、または50%以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。モノグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸として上記例示したものが挙げられる。構成脂肪酸としては、1種の脂肪酸を用いてもよく、2種またはそれ以上の脂肪酸を組み合わせて用いてもよい。例えば、1分子のグリセリンに2種の脂肪酸がエステル結合していてもよい。
なお、上記の通り、モノグリセリン脂肪酸エステルにおけるエステル化率は平均値である。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルは、製造法の種類等の諸条件に応じて、例えば、エステル化率および/またはエステル化位置の異なる複数種のエステルの混合物として提供され得るが、本発明においては、説明の便宜上、そのような混合物を「1種類」のモノグリセリン脂肪酸エステルとして扱うものとする。
モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノグリセリンベヘニン酸エステルが挙げられる。モノグリセリンベヘニン酸エステルとしては、例えば、モノグリセリンモノベヘニン酸エステルが挙げられる。「モノグリセリンモノベヘニン酸エステル」とは、グリセリン分子当たりのベヘニン酸の結合数が約1であるモノグリセリン脂肪酸エステルである。モノグリセリンモノベヘニン酸エステルにおけるグリセリン分子当たりのベヘニン酸の結合数は、例えば、0.5以上1.5未満、0.9以上1.1以下、または1であってよい。上記の通り、モノグリセリン脂肪酸エステルは複数種のエステルの混合物として提供され得るが、モノグリセリンモノベヘニン酸エステルにおいては、そのような混合物中のグリセリン脂肪酸エステルの総量に対するベヘニン酸の結合数が1であるモノグリセリンベヘニン酸エステルの量の比率が、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよい。
低HLBの混合物におけるポリグリセリン脂肪酸エステルと他の乳化剤の組み合わせとしては、特に制限されないが、例えば、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの組み合わせが挙げられる。
低HLBの混合物における乳化剤の総量(ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび他の乳化剤の総量)に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの量の比率は、例えば、30%(w/w)以上、40%(w/w)以上、50%(w/w)以上、60%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、または90%(w/w)以上であってもよく、100%(w/w)未満、90%(w/w)以下、80%(w/w)以下、70%(w/w)以下、または60%(w/w)以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。低HLBの混合物における乳化剤の総量(ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび他の乳化剤の総量)に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの量の比率は、例えば、30%(w/w)〜70%(w/w)であってもよい。
有効成分としては、単独で低HLBである1種またはそれ以上のポリグリセリン脂肪酸エステルと1種またはそれ以上の低HLBの混合物を組み合わせて用いてもよい。
有効成分としては、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよい。
有効成分の製造方法は特に制限されず、例えば公知の方法を利用できる。例えば、有効成分は、化学合成、酵素反応、またはその組み合わせにより製造することができる。具体的には、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンに脂肪酸をエステル結合させることにより製造できる。
有効成分としては、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステル(すなわち、単独で低HLBであるポリグリセリン脂肪酸エステルや低HLBの混合物)の純品を用いてもよく、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する素材を用いてもよい。例えば、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを液状の食用油脂に溶解して調製した溶液を有効成分として本発明の飲食品に配合してもよい。
本発明の飲食品における有効成分の配合量(すなわち本発明の飲食品における有効成分の濃度)は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。有効成分の配合量は、例えば、0.01%(w/w)以上、0.02%(w/w)以上、0.05%(w/w)以上、または0.1%(w/w)以上であってもよく、5%(w/w)以下、2%(w/w)以下、1%(w/w)以下、0.5%(w/w)以下、または0.2%(w/w)以下であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。有効成分の配合量は、例えば、0.01%(w/w)〜5%(w/w)であってもよく、0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)であってもよい。なお、ここでいう「有効成分の配合量」とは、有効成分として単独で低HLBであるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合にあっては当該ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量を、有効成分として低HLBの混合物を用いる場合にあっては当該混合物の配合量を、それぞれ示す。
本発明の飲食品における有効成分以外の成分の種類や配合量は、固結防止効果が得られる限り、特に制限されない。本発明の飲食品における有効成分以外の成分の種類や配合量は、本発明の飲食品の種類等に応じて適宜設定できる。有効成分以外の成分としては、例えば、通常の粉末飲食品と同様の原料を同様の配合量で配合することができる。例えば、粉末飲食品の原料としては、砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、スクロース、グルコース、フルクトース、異性化糖、オリゴ糖等の糖類;ソルビトール、還元麦芽糖(マルチトール)、キシリトール、エリスリトール、トレハロース等の糖アルコール類;食塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;酢酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類およびその塩;グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類およびその塩;イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸類およびその塩;畜肉エキス(ビーフエキス、ポークエキス、チキンエキス等)、魚介エキス、野菜エキス、酵母エキス等のエキス類;デキストリン等の賦形剤;動物油脂(鶏脂、鶏油、豚脂、牛脂、羊油、鯨油、魚油、卵油、バター等)や植物油脂(菜種油、米油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、パーム油、やし油、大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、ぶどう種子油、えごま油等)等の食用油脂;食物繊維、増粘多糖類、pH緩衝剤、還元剤、キレート剤、香料、色素等のその他の食品添加物が挙げられる。塩は、経口摂取可能なものであれば特に制限されない。有効成分以外の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。本発明の飲食品は、例えば、エキス類を含有するのが好ましい。エキス類を含有する粉末飲食品は一般的に吸湿固結しやすいため、本発明はエキス類を含有する粉末飲食品に特に好適に適用できる。
<2>本発明の飲食品の製造法
本発明の飲食品は、有効成分を粉末飲食品またはその原料に配合することにより、製造できる。すなわち、本発明の飲食品の製造法は、有効成分を粉末飲食品またはその原料に配合することを含む、粉末飲食品を製造する方法である。なお、「配合」を「添加」ともいう。
本発明においては、有効成分を配合することにより、粉末飲食品の吸湿固結を防止することができる。すなわち、本発明の飲食品の製造法は、言い換えると、有効成分を粉末飲食品またはその原料に配合することを含む、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法であってよい。
本発明の飲食品は、有効成分を配合すること以外は、通常の粉末飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。
有効成分の添加は、粉末飲食品の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、有効成分は、粉末飲食品の原料に添加されてもよく、製造途中の粉末飲食品に添加されてもよく、完成した粉末飲食品に添加されてもよい。すなわち、「粉末飲食品またはその原料」には、このような、粉末飲食品の製造工程のいずれの段階のものも包含される。有効成分は、1回のみ添加されてもよく、2またはそれ以上の回数に分けて添加されてもよい。2種またはそれ以上の有効成分を添加する場合、それらの有効成分は、全てまとめて粉末飲食品またはその原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、粉末飲食品またはその原料に添加されてもよい。有効成分は、例えば、上記例示した配合量となるように、粉末飲食品またはその原料に添加することができる。有効成分は、添加方法等の諸条件に応じて、そのまま、あるいは適宜溶液、懸濁液、スラリー等の所望の形態に調製して、粉末飲食品またはその原料に添加することができる。有効成分の溶液は、例えば、有効成分を液状の食用油脂等の適当な媒体に溶解することや、有効成分を加熱して溶融させることにより、調製することができる。液状の食用油脂としては、例えば、鶏油、魚油等の動物油や、菜種油、米油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、ぶどう種子油、えごま油等の植物油が挙げられる。液状の食用油脂としては、1種の油を用いてもよく、2種またはそれ以上の油を組み合わせて用いてもよい。本発明の飲食品を製造する方法として、具体的には、例えば、有効成分と粉末飲食品の原料とを混練して造粒する方法、有効成分と粉末飲食品の原料とを溶液、懸濁液、またはスラリー等の液状に調製し噴霧乾燥する方法、有効成分を溶液、懸濁液、またはスラリー等の液状に調製し粉末飲食品に噴霧する方法、粉末状の有効成分と粉末飲食品とを粉体混合する方法が挙げられる。すなわち、例えば、本発明の飲食品を造粒により製造する場合、有効成分は、粉末飲食品の原料とまとめて造粒されてもよいし、造粒後に造粒物に噴霧等されてもよいし、それらの組み合わせであってもよい。造粒は常法により行うことができる。本発明の飲食品において、有効成分は、例えば、他の成分と混合されていてもよいし、他の成分を被覆していてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例:低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルによる粉末飲食品の吸湿固結防止効果の評価
<サンプルの調製>
以下の手順により、表1に示す配合でモデル粉末調味料を調製した。まず、A原料とB原料を混合し、加湿し、造粒し、乾燥させて、造粒物を得た。次いで、C原料を当該造粒物に噴霧してコーティングし、モデル粉末調味料(コントロールおよびサンプルNo.1〜7)を得た。また、C原料と当該造粒物を粉体混合し、モデル粉末調味料(サンプルNo.8)を得た。C原料としては、コントロールおよびサンプルNo.7〜8の場合は油脂を単独で用いた。C原料としては、サンプルNo.1〜6の場合は乳化剤を10%(w/w)で含有する油脂を用いた。サンプルNo.1〜6の場合の、モデル粉末調味料における乳化剤の終濃度は0.15%(w/w)である。乳化剤と油脂の組み合わせについては表2に示す。
<官能評価>
モデル粉末調味料を熱水に溶解し2%(w/w)溶液を調製した。表3に示す評価ポイントおよび評価基準に基づき、溶解時の溶状および溶液の味風味を評価した。
<固結評価>
モデル粉末調味料3gを秤量瓶に計量した。当該秤量瓶を温度30℃、湿度65%の恒温槽に入れ、モデル粉末調味料が固結に達するまでの時間とその時点での水分含量(固結含水率ともいう)を測定した。固結は表4に示す12段階の状態で評価し、評点6点に達した場合を固結とした。
<結果>
結果を表5に示す。HLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、官能品質への悪影響を与えることなく大幅に吸湿固結を防止できることが確認された。一方、HLBが7以上のポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルと比較して吸湿固結防止効果が低く、味風味に悪影響を与えることが確認された。また、HLBが3のショ糖脂肪酸エステルは、HLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルに次いで吸湿固結防止効果が高かったものの、溶解時に気泡が発生するため外観上のネガティブな印象を与える点、および薬品的な風味とエグ味を呈する点で、官能品質への悪影響が大きいことが確認された。また、硬化油または粉末硬化油脂は、HLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルと比較して吸湿固結防止効果が低く、官能品質への悪影響が大きいことが確認された。
なお、別途、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを造粒物に噴霧する代わりに、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルをA原料とB原料に混合してモデル粉末調味料を造粒した場合にも、同様の吸湿固結防止効果が得られることを確認した。
以上の通り、低HLBのポリグリセリン脂肪酸エステルを粉末飲食品に配合することにより、官能品質への悪影響を与えず、粉末飲食品の吸湿固結を効果的に防止できることが明らかとなった。
本発明により、官能品質への悪影響を極力与えず、粉末飲食品の吸湿固結を効果的に防止できる。

Claims (21)

  1. HLBが以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食用油脂でコーティングされた粉末飲食品であって、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で含有し、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度が、1.5〜20であり、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、炭素数8〜24の脂肪酸から選択され、
    ただし、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、粉末飲食品。
  2. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)の濃度で含有する、請求項1に記載の粉末飲食品。
  3. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、請求項1または2に記載の粉末飲食品。
  4. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが以下である混合物である、請求項1または2に記載の粉末飲食品。
  5. 前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、請求項4に記載の粉末飲食品。
  6. 粉末調味料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末飲食品。
  7. 前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、請求項6に記載の粉末飲食品。
  8. HLBが以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食用油脂を粉末飲食品に噴霧することにより、該粉末飲食品を該食用油脂でコーティングすることを含む、粉末飲食品を製造する方法であって、
    前記製造される粉末飲食品が、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で含有し、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度が、1.5〜20であり、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、炭素数8〜24の脂肪酸から選択され、
    ただし、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、方法。
  9. 前記製造される粉末飲食品が、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)の濃度で含有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが以下である混合物である、請求項8または9に記載の方法。
  12. 前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記製造される粉末飲食品が、粉末調味料である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、請求項13に記載の方法。
  15. HLBが以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食用油脂を粉末飲食品に噴霧することにより、該粉末飲食品を該食用油脂でコーティングすることを含む、粉末飲食品の吸湿固結を防止する方法であって、
    前記コーティング後の粉末飲食品が、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01%(w/w)〜5%(w/w)の濃度で含有し、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度が、1.5〜20であり、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、炭素数8〜24の脂肪酸から選択され、
    ただし、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルがトリグリセリンベヘニン酸エステルである場合を除く、方法。
  16. 前記コーティング後の粉末飲食品が、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05%(w/w)〜0.2%(w/w)の濃度で含有する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリンベヘニン酸エステルである、請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルの混合物であって、HLBが以下である混合物である、請求項15または16に記載の方法。
  19. 前記混合物が、ヘキサグリセリンオクタステアリン酸エステルとモノグリセリンモノベヘニン酸エステルの混合物である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記粉末飲食品が、粉末調味料である、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記粉末調味料が、粉末鶏がらスープ、粉末豚骨スープ、粉末コンソメ、粉末だし、粉末つゆ、粉末ソース、粉末醤油、粉末味噌、粉末酢、またはカレー粉である、請求項20に記載の方法。



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