JP6649094B2 - 調味料用粉末油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、風味がまろやかになり、口当たりと後味を良くした調味料を製造するための粉末油脂組成物に関する。また、前記のごとき粉末油脂組成物を用いた調味料の製造方法にも関する。
調味料は食品の味付けに用いられるものであり、味噌、醤油、酢等のようにそれ自体が食品であるものもあれば、化学調味料のように食品添加物である場合もある。調味料を味の種類で分けていえば、砂糖に代表される甘味料、旨味を加える旨味調味料、唐辛子のような香辛料などがある。調理の過程で食品に調味料を加えることは調理の重要な要素であり、それゆえ調味料を加える方法も様々ある。調味料をどのように添加するかは料理人の勘や経験に頼るところも多く、一般家庭では、調味料を添加し過ぎてしまい、味が濃くなって料理の価値を損ねることがよく行われている。このように調味料の添加における、サジ加減の難しさが従来からよく指摘されており、このため、経験を積んだ料理人でないと一定の味付けを再現することは難しく、調味料の風味を簡単にコントロールする技術が求められていた。
このような状況の中、調味料の風味等をコントロールし又向上させる目的で、これまで様々な油脂、特に粉末油脂が用いられていた。例えば、少なくとも塩化ナトリウム、香辛料、調味料を混合してなる混合物に、20〜60重量%の粉末油脂を配合した肉料理用風味料が知られている(特許文献1)。また、食用植物油脂と酵母エキス粉末の混合物を粉末状体で加熱して得られるミート様フレーバーを有する粉末調味料が知られている(特許文献2)。さらに、味噌100質量部に対して油脂3〜12質量部添加し、味噌中に油脂を分散させた後、ドラムドライヤーにより加熱及び乾燥させた乾燥味噌を粉砕し、得られた粉砕味噌と粉末油脂とを含む粉末調味材が知られている(特許文献3)。
こうした従来の調味料は、粉末油脂を用いることにより、風味、外観、取扱い性等が改善されたものではあるが、消費者の嗜好が多様化・複雑化する中で、従前の粉末油脂では消費者のニーズを十分に満足しているとは言い難く、更なる改良された粉末油脂の開発が求められていた。特に最近みられる傾向としては、健康志向を背景に、素材の風味等が良く感じられるように、適度に薄味のものが好まれており、調味料が醸し出す風味をまろやかにする必要があった。また、調味料独特の風味が改善され、飽きのこない、後味や口当たりの良いものとする技術が求められていた。
特公平7−40897号公報 特許第4838690号公報 特開2004−24183号公報
本発明の課題は、風味がまろやかになり、口当たりと後味を良くした調味料を製造するための粉末油脂組成物を提供することである。
本発明者らは、粉末油脂を添加することで、風味がまろやかになり、口当たりと後味を良くした調味料の製造方法について鋭意研究を行った結果、特定の条件を満たす粉末油脂組成物を用いることによって、風味がまろやかになり、口当たりと後味を良くした調味料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様によれば、次の(a)の条件を満たす粉末状の油脂組成物を含有する、調味料用粉末油脂組成物を提供することができる。
(a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記XXX型トリグリセリドが80〜99質量%と、前記1種以上のX2Y型トリグリセリドの合計が20〜1質量%とを含有する、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記xが10〜18から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+2〜x+10から選択される整数でありかつy≦22である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記xが10〜12から選択される整数であり、前記yが、それぞれ独立して、x+4〜x+8から選択される整数でありかつy≦22である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、ゆるめ嵩密度が0.1〜0.6g/cm3である、上記粉末油脂組成物を提供することができる。
さらに、本発明の一態様によれば、上記粉末油脂組成物を含有してなる、調味料を提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記粉末油脂組成物を調味料中に1〜40質量%含有してなる、調味料を提供することができる。
さらに、本発明の一態様によれば、上記粉末油脂組成物を配合する、調味料の製造法を提供することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、上記粉末油脂組成物を調味料中に1〜40質量%配合する、調味料の製造法を提供することができる。
さらに、本発明の一態様によれば、上記粉末油脂組成物を有効成分とする、調味料用風味改良剤を提供することができる。
本発明によれば、特定の条件を満たす粉末油脂組成物を用いることにより、風味がまろやかであり、口当たりと後味を良くした調味料を簡便に製造することができる。これにより、従来の調味料用粉末油脂では満足できなかった人々の需要に応えることができる。
以下、本発明の調味料について順を追って記述する。
<調味料>
本発明において「調味料」とは、食べ物に味をつけ,食事をおいしくさせる材料の総称であり、一般的に調味料に該当するものであれば特に制限されない。例えば、砂糖、ブドウ糖などの甘味料系、食塩、岩塩などの塩分系、醸造酢、合成酢などの酢系、醤油、たまり醤油などの醤油系、味噌、白味噌などの味噌系、酒、みりんなどの酒系、動物脂、植物脂などの油系、ウスターソース、とんかつソースなどのソース系、だし、ブイヨンなどの旨味系、胡椒、スパイスなどの香辛料系、ハーブ、ミントなどのハーブ系、コンソメ、クリームソースなどの西洋料理のソース系、練りごま、ココナッツミルクなどのその他の調味料が挙げられる。
また、性質でいえば、水性調味料もあれば、油性調味料もあるし、又酸性、中性等のものもある。形状でいえば、液状調味料もあれば、固形状、ゲル状、ペースト状、顆粒状、粉末状、泡状等のものもある。そのほか、オイル型又はノンオイル型、乳化型又は非乳化型(分離型)など様々なものがあり、いわゆる、ドレッシングやマヨネーズ等も本発明の調味料に含まれる。
なお、本発明においては、ふりかけ、粉末状ドレッシングが特に好ましい。
<油脂組成物>
本発明は、全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種類又はそれ以上のXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である条件から選ばれる、油脂組成物に関する。上記2種類のトリグリセリドを上記質量%にて含む当該油脂組成物は、乳化剤、賦形剤等の添加剤を含めることなく、容易に粉末状の油脂組成物となる。本発明の油脂組成物及び粉末油脂組成物については、先に出願したPCT/JP2015/070850(特願2014−149168号)において詳しく説明されているので、ここでは詳細を割愛する。なお、前記出願の内容は、本明細書の中に取り込まれる。以下、本発明の油脂組成物及び粉末油脂組成物の特徴を要約して説明する。
<XXX型トリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、その含有量が65〜99質量%である、単一種又は複数種、好ましくは単一種(1種類)のXXX型トリグリセリドを含む。当該XXX型トリグリセリドは、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するトリグリセリドであり、各脂肪酸残基Xは互いに同一である。ここで、当該炭素数xは8〜20から選択される整数であり、好ましくは10〜18から選択される整数、より好ましくは10〜16から選択される整数、更に好ましくは10〜12から選択される整数である。
脂肪酸残基Xは、飽和あるいは不飽和の脂肪酸残基であってもよい。具体的な脂肪酸残基Xとしては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸等の残基が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としてより好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸であり、さらに好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸であり、殊更好ましくは、カプリン酸及びラウリン酸である。
XXX型トリグリセリドは、油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、65〜99質量%含まれる。XXX型トリグリセリドの含有量として好ましくは、75〜99質量%であり、より好ましくは80〜99質量%であり、更に好ましくは83〜98質量%であり、特に好ましくは85〜98質量%であり、殊更好ましくは90〜98質量%である。
<X2Y型トリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、上記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換したX2Y型トリグリセリドを1種以上含む。ここで、1つのX2Y型トリグリセリドに含まれる各脂肪酸残基Xは互いに同一であり、かつXXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xとも同一である。当該1つのX2Y型トリグリセリドに含まれる脂肪酸残基Yの炭素数yはx+2〜x+12でありかつy≦22である条件から選ばれる整数である。炭素数yは、好ましくはy=x+2〜x+10を満たし、より好ましくはy=x+4〜x+8を満たす条件から選ばれる整数である。また、炭素数yの上限値は、好ましくはy≦20であり、より好ましくはy≦18である。本発明の油脂組成物は複数、例えば、2種類〜5種類、好ましくは3〜4種類のX2Y型トリグリセリドを含んでいてもよく、その場合の各X2Y型トリグリセリドの定義は上述の通りである。各X2Y型トリグリセリドの脂肪酸残基Yの炭素数yは、上述の範囲内から、各X2Y型トリグリセリドごとにそれぞれ独立して選択される。例えば、本発明の油脂組成物を、トリカプリンとパーム核ステアリン極度硬化油とをエステル交換して製造する場合は、xは共通してx=10であるが、yはそれぞれy=12、14、16及び18である4種類のX2Y型トリグリセリドを含む。
脂肪酸残基Yは、飽和あるいは不飽和の脂肪酸残基であってもよい。具体的な脂肪酸残基Yとしては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸等の残基が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としてより好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸であり、さらに好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸である。
このX2Y型トリグリセリドの脂肪酸残基Yは、1位〜3位の何れに配置していてもよい。
X2Y型トリグリセリドは、油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、35〜1質量%含まれる。X2Y型トリグリセリドの含有量としては、例えば、25〜1質量%であり、好ましくは20〜1質量%であり、より好ましくは17〜1質量%であり、更に好ましくは15〜2質量%であり、殊更好ましくは10〜2質量%である。本発明の油脂組成物に複数のX2Y型トリグリセリドが含まれる場合、上記X2Y型トリグリセリドの量は、含まれるX2Y型トリグリセリドの合計量である。
<その他のトリグリセリド>
本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記XXX型トリグリセリド及びX2Y型トリグリセリド以外の、その他のトリグリセリドを含んでいてもよい。その他のトリグリセリドは、複数の種類のトリグリセリドであってもよく、合成油脂であっても天然油脂であってもよい。合成油脂としては、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル等が挙げられる。天然油脂としては、例えば、ココアバター、ヒマワリ油、菜種油、大豆油、綿実油等が挙げられる。本発明の油脂組成物中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、その他のトリグリセリドは、1質量%以上、例えば、5〜30質量%程度含まれていても問題はない。その他のトリグリセリドの含有量は、例えば、0〜30質量%、好ましくは0〜18質量%、より好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜8質量%である。
<その他の成分>
本発明の油脂組成物は、上記トリグリセリドの他、任意に乳化剤、香料、脱脂粉乳、全脂粉乳、ココアパウダー、砂糖、デキストリン等のその他の成分を含んでいてもよい。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜70質量%、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜30質量%である。その他成分は、その90質量%以上が、平均粒径が1000μm以下である紛体であることが好ましく、平均粒径が500μm以下の紛体であることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒径は、レーザー回折散乱法(ISO133201及びISO9276-1)によって測定した値である。
但し、本発明の好ましい油脂組成物は、実質的に油脂のみからなることが好ましい。ここで油脂とは、実質的にトリグリセリドのみからなるものである。また、「実質的に」とは、油脂組成物中に含まれる油脂以外の成分または油脂中に含まれるトリグリセリド以外の成分が、油脂組成物または油脂を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
<粉末油脂組成物>
本発明の粉末油脂組成物は、上記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の上記油脂組成物を得、この油脂組成物を冷却することにより、噴霧やミル等の粉砕機による機械粉砕等特別の加工手段を採らなくても、粉末状の油脂組成物(粉末油脂組成物)を得ることができる。より具体的には、上記XXX型トリグリセリドと上記X2Y型トリグリセリドを含有する油脂組成物を任意に加熱・融解して溶融状態の油脂組成物を得、その後冷却して溶融状態の油脂組成物よりも体積が増加した空隙を有する固形物を形成する。得られた該固形物を篩にかける等により外部より軽く衝撃を加えて粉砕する(ほぐす)ことで容易に粉末油脂組成物を得ることができる。
<粉末油脂組成物の物性>
本発明の粉末油脂組成物は、常温(20℃)で粉末状の固体である。
本発明の粉末油脂組成物のゆるめ嵩密度は、例えば実質的に油脂のみからなる場合、0.1〜0.6g/cm3、好ましくは0.15〜0.5g/cm3であり、より好ましくは0.2〜0.4g/cm3である。ここで「ゆるめ嵩密度」とは、粉体を自然落下させた状態の充填密度である。ゆるめ嵩密度(g/cm3)の測定は、例えば、内径15mm×25mLのメスシリンダーに、当該メスシリンダーの上部開口端から2cm程度上方から粉末油脂組成物の適量を落下させて疎充填し、充填された質量(g)の測定と容量(mL)の読み取りを行い、mL当たりの当該粉末油脂組成物の質量(g)を算出することで求めることができる。また、ゆるめ嵩密度は、(株)蔵持科学器械製作所のカサ比重測定器を使用し、JIS K-6720(又はISO 1060-1及び2)に基づいて測定したカサ比重から算出することもできる。具体的には、試料120mLを、受器(内径40mm×高さ85mmの100mL円柱形容器)の上部開口部から38mmの高さの位置から、該受器に落とす。受器から盛り上がった試料はすり落とし、受器の内容積(100mL)分の試料の質量(Ag)を秤量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求めることができる。
ゆるめ嵩密度(g/mL)=A(g)/100(mL)
測定は3回行ってその平均値を取ることが好ましい。
<粉末油脂組成物の製造方法>
本発明の粉末油脂組成物は、以下の工程、
(a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの脂肪酸残基Yに置換したX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である、油脂組成物を調製する工程、
(b)前記油脂組成物を加熱し、前記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の前記油脂組成物を得る任意の工程、
(d)溶融状態の前記油脂組成物を冷却して粉末油脂組成物を得る工程、
を含む方法によって製造することができる。
また、上記工程(b)と(d)の間に、工程(c)として粉末生成を促進するための任意工程、例えば(c1)シーディング工程、(c2)テンパリング工程、及び/又は(c3)予備冷却工程を含んでいてもよい。さらに上記工程(d)で得られる粉末油脂組成物は、工程(d)の冷却後に得られる固形物を粉砕して粉末状の油脂組成物を得る工程(e)によって得られるものであってもよい。
(a)油脂組成物の調製工程I
工程(a)で調製される油脂組成物は、上述したとおりのXXX型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とX2Y型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とを、上述した質量%で含有するものである。具体的には、例えば、1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)と、1位〜3位に炭素数yの脂肪酸残基Yを有するYYY型トリグリセリド(1種類又はそれ以上)とを別々に入手し、XXX型トリグリセリド/YYY型トリグリセリドの質量比で90/10〜99/1にて混合して反応基質を得(ここで、前記炭素数xは8〜20から選択される整数であり、前記炭素数yはx+2〜x+12から選択される整数でありかつy≦22である)、前記反応基質を加熱し、触媒の存在下でエステル交換反応する工程を経て得られる。
(a)油脂組成物の調製工程II
本発明の工程(a)で調製される油脂組成物の製造方法としては、さらに以下に示すようなXXX型トリグリセリドとX2Y型トリグリセリドを同時かつ直接合成する方法を挙げることができる。すなわち、本調製工程IIは、XXX型トリグリセリドとX2Y型トリグリセリドを得るために、XXX型トリグリセリドとYYY型トリグリセリドとを別々に合成してエステル交換するということはせず、双方のトリグリセリドを製造するための原料(脂肪酸または脂肪酸誘導体とグリセリン)を、例えば単一の反応容器に投入し、同時かつ直接合成する。
(a)油脂組成物の調製工程III
油脂組成物は、さらに65〜99質量%の範囲外にあるXXX型トリグリセリド及び/または35〜1質量%の範囲外にあるX2Y型トリグリセリドを含む油脂組成物を調製した後、XXX型トリグリセリド又はX2Y型トリグリセリドを更に添加することによって65〜99質量%のXXX型トリグリセリドと35〜1質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得てもよい(希釈による油脂組成物の調製)。例えば、50〜70質量%のXXX型トリグリセリドと50〜30質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得た後、所望量のXXX型トリグリセリドを添加して65〜99質量%のXXX型トリグリセリドと35〜1質量%のX2Y型トリグリセリドとを含む油脂組成物を得てもよい。
(b)溶融状態の前記油脂組成物を得る工程
上記(d)工程の前に、上記工程(a)で得られた油脂組成物は、調製された時点で溶融状態にある場合、加熱せずにそのまま冷却されるが、得られた時点で溶融状態にない場合は、任意に加熱され、該油脂組成物中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の油脂組成物を得る。
ここで、油脂組成物の加熱は、上記油脂組成物中に含まれるトリグリセリドの融点以上の温度、特にXXX型トリグリセリド及びX2Y型トリグリセリドを融解できる温度、例えば、70〜200℃、好ましくは、75〜150℃、より好ましくは80〜100℃であることが適当である。また、加熱は、例えば、0.5〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間、より好ましくは0.5〜1時間継続することが適当である。
(d)溶融状態の油脂組成物を冷却して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(a)又は(b)で得られた溶融状態の油脂組成物は、さらに冷却されて粉末油脂組成物を形成する。
ここで、「溶融状態の油脂組成物を冷却」とは、溶融状態の油脂組成物を、当該油脂組成物の融点より低い温度に保つことを意味する。「油脂組成物の融点より低い温度」とは、例えば、当該融点より1〜30℃低い温度、好ましくは当該融点より1〜20℃低い温度、より好ましくは当該融点より1〜15℃低い温度である。溶融状態にある油脂組成物の冷却は、例えばxが8〜10のときは最終温度が、好ましくは10〜30℃、より好ましくは15〜25℃、更に好ましくは18〜22℃の温度になるように冷却することによって行われる。冷却における最終温度は、例えばxが11又は12のときは、好ましくは30〜40℃、より好ましくは32〜38℃、更に好ましくは33〜37℃であり、xが13又は14のときは、好ましくは40〜50℃、より好ましくは42〜48℃、更に好ましくは44〜47℃であり、xが15又は16のときは、好ましくは50〜60℃、より好ましくは52〜58℃、更に好ましくは54〜57℃であり、xが17又は18のときは、好ましくは60〜70℃、より好ましくは62〜68℃、更に好ましくは64〜67℃であり、xが19又は20のときは、好ましくは70〜80℃、より好ましくは72〜78℃、更に好ましくは74〜77℃である。上記最終温度において、例えば、好ましくは2時間以上、より好ましくは4時間以上、更に好ましくは6時間〜2日間静置することが適当である。場合によっては、例えばXXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの炭素数xが8〜12の場合など、比較的粉体化に時間を要するものは、特に以下の(c)工程を使用しない場合、例えば2〜8日間、具体的には3〜7日間、より具体的には約6日間静置しなければならない場合もある。
(c)粉末生成促進工程
さらに、上記工程(a)又は(b)と(d)との間に、(c)粉末生成を促進するための任意工程として、工程(d)で使用する溶融状態の油脂組成物に対し、シーディング法(c1)、テンパリング法(c2)及び/又は(c3)予備冷却法による処理を行ってもよい。
ここで、(c1)シーディング法とは、粉末の核(種)となる成分を溶融状態にある油脂組成物の冷却時に少量添加して、粉末化を促進する方法である。具体的には、例えば、工程(b)で得られた溶融状態にある油脂組成物に、当該油脂組成物中のXXX型トリグリセリドと炭素数が同じXXX型トリグリセリドを好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含む油脂粉末を核(種)となる成分として準備する。この核となる油脂粉末を、溶融状態にある油脂組成物の冷却時、当該油脂組成物の温度が、例えば、最終冷却温度±0〜+10℃、好ましくは+5〜+10℃の温度に到達した時点で、当該溶融状態にある油脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
(c2)テンパリング法とは、溶融状態にある油脂組成物の冷却において、最終冷却温度で静置する前に一度、工程(d)の冷却温度よりも低い温度、例えば5〜20℃低い温度、好ましくは7〜15℃低い温度、より好ましくは10℃程度低い温度に、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間程度冷却することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
(c3)予備冷却法とは、前記工程(a)又は(b)で得られた溶融状態の油脂組成物を、工程(d)にて冷却する前に、工程(a)又は(b)の溶融状態の温度よりも低く、工程(d)の冷却温度よりも高い温度で一旦予備冷却する方法である。工程(d)の冷却温度より高い温度とは、例えば、工程(d)の冷却温度よりも2〜40℃高い温度、好ましくは3〜30℃高い温度、より好ましくは4〜30℃高い温度、さらに好ましくは5〜10℃程度高い温度であり得る。前記予備冷却する温度を低く設定すればするほど、工程(d)の冷却温度における本冷却時間を短くすることができる。すなわち、予備冷却法とは、シーディング法やテンパリング法と異なり、冷却温度を段階的に下げるだけで油脂組成物の粉末化を促進できる方法であり、工業的に製造する場合に利点が大きい。
(e)固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(d)の冷却によって粉末油脂組成物を得る工程は、より具体的には、工程(d)の冷却によって得られる固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程(e)によって行われてもよい。
詳細に説明すると、まず、上記XXX型トリグリセリドと上記X2Y型トリグリセリドを含有する油脂組成物を融解して溶融状態の油脂組成物を得、その後冷却して溶融状態の油脂組成物よりも体積が増加した空隙を有する固形物を形成する。空隙を有する固形物となった油脂組成物は、軽い衝撃を加えることで粉砕でき、固形物が容易に崩壊して粉末状となる。
ここで、軽い衝撃を加える手段は特に特定されないが、振る、篩に掛ける等により、軽く振動(衝撃)を与えて粉砕する(ほぐす)方法が、簡便で好ましい。
<粉末油脂組成物に含まれるその他の成分>
本発明の粉末油脂組成物は、任意に乳化剤、タンパク質、澱粉、酸化防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。例えば、粉末油脂組成物に対し、乳化作用のあるものを加えることによって、粉末油脂組成物の水系への分散性を向上させることができる。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜70質量%、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜30質量%である。
但し、本発明の好ましい粉末油脂組成物は、実質的に油脂のみからなることが好ましい。ここで油脂とは、実質的にトリグリセリドのみからなるものである。また、「実質的に」とは、粉末油脂組成物中に含まれる油脂以外の成分または油脂中に含まれるトリグリセリド以外の成分が、油脂組成物または油脂を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
<粉末油脂組成物の含有量>
本発明の調味料は、粉末油脂組成物を加えた後の調味料の全質量を100質量%とした場合に、調味料中に上記粉末油脂組成物を1〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%、さらに好ましくは5〜35質量%含有する。1質量%未満では、所望の効果が得られないし、40質量%を超える場合は、好ましい風味にならない。
また、本発明の粉末油脂組成物は、上記のように調味料の全質量を基準に添加されるだけでなく、従来の調味料の素を基準に添加されることもある。この場合を、本発明では単純に「対粉ベース」という。つまり、本発明における「対粉ベース」とは、従来の調味料の素(粉末もしくは顆粒)の全質量100質量%とした場合の粉末油脂組成物の含有量を意味する。なお、調味料では様々な食品が混ぜ合わせて使用されるため、調味料の素に、薬味、かやく類等のその他の物質が含まれていても、それを調味料の一部として計算する。つまり、調味料の素に、調味料が100g、その他の物質が5g含まれている場合、対粉ベースでは、調味料が105gであるとして計算する。上記粉末油脂組成物の添加量を、対粉ベースでいうと、1〜60質量%、より好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。
<調味料に含まれる食用油脂>
本発明の調味料は、上記粉末油脂組成物のほか、任意の食用油脂を含むことができる。このような食用油脂としては、食用油、マーガリン、ファットスプレッド、及びショートニングなどが挙げられ、これらの一種又は2種以上を併用することができる。前記食用油脂の原料としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等を使用することができる。これら食用油脂の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜100質量%、好ましくは0〜75質量%、より好ましくは0〜50質量%である。
<調味料に含まれるその他の成分>
本発明の調味料においては、上記粉末油脂組成物や食用油脂のほか、一般的に調味料に配合される原材料であれば特に制限されず使用することができる。例えば、肉類、野菜類、キノコ類、卵類、穀粉類、澱粉類などの食品に加えて、野菜、魚貝、畜肉エキスなどのエキス類、脱脂粉乳などの乳製品、砂糖、デキストリンなどの糖類、食物繊維、乳化剤、酸化防止剤、増粘剤、ミネラル、酵素、香料、色素などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜使用することができる。
<調味料の製造法>
本発明の調味料の製造法としては、原材料の種類によって様々な方法が考えられるので、公知の製造法であれば特に制限されない。例えば、原材料を混合する方法が挙げられる。混合方法としては、上記原材料をVブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、流動層ミキサーなどの機械で混合すればよい。なお、本発明の粉末油脂組成物は、調味料の公知の製造法における適切な段階で加えられる。通常は、一旦、調味料を製造した後に、本発明の粉末油脂組成物をそれに混ぜ合わせて製造される。
<調味料用風味改良剤>
ところで、以上述べたように、本発明の粉末油脂組成物は、風味をまろやかにし、口当たりと後味を良くするから、本発明は、上記粉末油脂組成物を有効成分とする、調味料用風味改良剤にも関する。以下に示すように、本発明の調味料用風味改良剤を配合することにより、食品の風味はまろやかになり、口当たりと後味を良くしたものとする、風味改良効果を得ることができる。
本発明の調味料用風味改良剤は、上述の粉末油脂組成物を含有する。本発明の調味料用風味改良剤は、少量で効果を発揮するため、上記の粉末油脂組成物を、好ましくは60質量%以上含有し、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは100質量%以上含有する。
また、本発明の調味料用風味改良剤は、有効成分であると上述した粉末油脂組成物を含有したものであればよく、この他に本発明の効果を損なわない範囲で、大豆油、菜種油などの油脂、デキストリン、澱粉等の賦形剤、品質改良剤等の他の成分を含有させたものであってもよい。
但し、本発明の好ましい調味料用風味改良剤は、実質的に当該粉末油脂組成物のみからなることが好ましい。また「実質的に」とは、調味料用風味改良剤中に含まれる粉末油脂組成物以外の成分が、調味料用風味改良剤を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<原料油脂>
(1)粉末油脂組成物A(融点約28℃):
〔x=10、y=18、テンパリング法〕
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離機を備えた500mLの四つ口フラスコに、グリセリン(阪本薬品工業社製)44.1g(0.479mol)と、ステアリン酸(Palmac98−18(アシッドケム社製))25.9g(0.091mol)とカプリン酸(Palmac99−10(アシッドケム社製))266.0g(1.544mol)を仕込み、窒素気流下、250℃の温度で15時間反応させた。過剰のカプリン酸を190℃、減圧下にて留去した後、脱色・濾過、脱臭を行い、50℃において淡黄色液状の反応物を245g得た(XXX型:80.6質量%、X2Y型:17.3質量%)。得られた反応物60gとトリカプリン(日清オイリオグループ(株)製)140gを混合し原料油脂とした(XXX型:94.0質量%、X2Y型:5.2質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、10℃恒温槽にて1時間冷却した後、20℃恒温槽にて12時間静置し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させた後、ほぐすことで粉末状の結晶組成物を得た(ゆるめ嵩密度:0.3g/cm3、平均粒径116μm)。このようにして製造した粉末油脂組成物を以下の実施例で用いた。
(2)粉末油脂組成物B(融点約44℃)
〔x=12、y=18、テンパリング法〕
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離機を備えた500mLの四つ口フラスコに、グリセリン(阪本薬品工業社製)38.8g(0.421mol)と、ステアリン酸(Palmac98−18(アシッドケム社製))26.2g(0.092mol)とラウリン酸(Palmac99−10(アシッドケム社製))271.3g(1.354mol)を仕込み、窒素気流下、250℃の温度で15時間反応させた。過剰のラウリン酸を220℃、減圧下にて留去した後、脱色・濾過、脱臭を行い、50℃において淡黄色液状の反応物を242g得た(XXX型:78.3質量%、X2Y型:19.2質量%)。得られた反応物60gとトリラウリン(日清オイリオグループ(株)製)140gを混合し原料油脂とした(XXX型:93.1質量%、X2Y型:5.8質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、28℃恒温槽にて0.5時間冷却した後、35℃恒温槽にて12時間静置し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させた後、ほぐすことで粉末状の結晶組成物を得た(ゆるめ嵩密度:0.3g/cm3、平均粒径130μm)。このようにして製造した粉末油脂組成物を以下の実施例で用いた。
ここで、ゆるめ嵩密度は、(株)蔵持科学器械製作所のカサ比重測定器を使用し、JIS K-6720(又はISO 1060-1及び2)に基づいて測定したカサ比重から算出した。具体的には、試料120mLを、受器(内径40mm×高さ85mmの100mL円柱形容器)の上部開口部から38mmの高さの位置から、該受器に落とした。続いて、受器から盛り上がった試料をすり落とし、受器の内容積(100mL)分の試料の質量(Ag)を秤量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求めた。
ゆるめ嵩密度(g/mL)=A(g)/100(mL)
測定は3回行って、その平均値を測定値とした。
ここで、平均粒径は、日機装株式会社製 Microtrac MT3300ExII)でレーザー回折散乱法(ISO133201、ISO9276-1)に基づいて測定した。
(3)油脂粉末
油脂粉末(日清オイリオグループ株式会社:ジュピターP1)
<その他の原材料>
(1)ふりかけ
ふりかけ(永谷園株式会社製:おとなのふりかけ[海苔たまご])
原材料として、調味顆粒、たまごそぼろ、ごま、フレーク、味付鰹削り節、海苔、調味料、色素、酸化防止剤、酸味料等が含まれている。また、1袋(1.9g)当たり、エネルギーは8kcal、タンパク質は0.3g、脂質は0.2g、炭水化物は1.2g、ナトリウムは58mg、食塩相当量は0.1gである。
(2)粉末ドレッシングA
粉末ドレッシングA(味の素株式会社製:トスサラ[イタリアン・バジル味])
原材料として、スライスアーモンド、クルトン、砂糖、デキストリン、食塩、トマトペースト、澱粉、粉末醸造酢、乾燥バジル、植物油脂、オニオンパウダー、乾燥パセリ、レモン果汁パウダー、ガーリックパウダー、酵母エキス、胡椒、ローリエパウダー、陳皮パウダー、調味料、酸味料、増粘剤、香料等が含まれている。また、1袋(23.7g)当たり、エネルギーは110kcal、タンパク質は2.8g、脂質は4.9g、炭水化物は12g、食物繊維は1.1g、ナトリウムは670mg、食塩相当量は1.7gである。
(3)粉末ドレッシングB
粉末ドレッシングB(富士食品工業株式会社製:業務用 たまらないコールスローの素)
原材料として、クリーミングパウダー、砂糖、デキストリン、卵黄パウダー、食塩、レモンパウダー、粉末酢、オニオンパウダー、チキンエキスパウダー、酸味料、セルロース、増粘多糖類、調味料等が含まれている。
[実施例1〜2]
<ふりかけの製造>
下記表1〜2の配合に従って、実施例1〜2、比較例1〜2のふりかけを製造した。具体的には、ふりかけの粉末に、本発明の粉末油脂組成物又は油脂粉末を5質量%(対粉ベース5質量%)混合して製造した。なお、評価は、前記ふりかけをご飯の上にふりかけて行った。
Figure 0006649094
Figure 0006649094
<ふりかけの評価>
上記で製造した、実施例1〜2と比較例1〜2のふりかけについて、以下の評価方法に従って評価した。
<ふりかけの評価方法>
(1)調味料の風味の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
○:風味がまろやかになっており、適度な濃さの味が感じられる
△:風味が若干まろやかになっているが、味がやや濃く感じられる
×:風味が強く感じられ、濃い味に感じられる
(2)後味・口当たりの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
○:後味、口当たりが良い
△:後味、口当たりの良さにやや欠ける
×:後味、口当たりが良くない
表1〜2から明らかであるように、本発明の粉末油脂組成物を用いて製造したふりかけは、無添加及び油脂粉末を用いたものと比較して、風味がまろやかになっており、適度な濃さの味が感じられた。また、後味、口当たりがよく、すっきりとした感じがあった。また、無添加の場合には濃い味が感じられ、油脂粉末を添加した場合には風味のまろやかさに欠け、海苔の風味が際立って感じられた。また、後味や口あたりの良さも実施例に比べてやや劣っていた。
最近、健康志向などを背景に、消費者には味が薄いものが好まれており、風味がまろやかとなり、適度な濃さの味が感じられるふりかけは新たな需要を生み出す可能性がある。
[実施例3〜4]
<粉末状ドレッシングの製造>
下記表3〜4の配合に従って、実施例3〜4、比較例3〜4の粉末状ドレッシングを製造した。具体的には、粉末ドレッシングAに、本発明の粉末油脂組成物又は油脂粉末を9.09質量%(対粉ベース10質量%)添加した後、よく掻き混ぜて製造した。なお、評価は、適当にカットされたレタスなどの野菜(サラダボウル1杯分)に、前記粉末状ドレッシングをよく混ぜ合わせて行った。
Figure 0006649094
Figure 0006649094
<粉末状ドレッシングの評価>
上記で製造した、実施例3〜4と比較例3〜4の粉末状ドレッシングについて、実施例1〜2と同様に、上記評価方法に従って評価した。
表3〜4から明らかであるように、本発明の粉末油脂組成物を用いて製造した粉末状ドレッシングは、無添加及び油脂粉末を用いて製造したものと比較して、風味がまろやかになっており、適度な濃さの味が感じられた。また、後味、口当たりもすっきりしており良かった。また、無添加の場合には濃い味を感じ、油脂粉末を用いた場合には風味のまろやかさがやや欠けるものであり、後味や口当たりも実施例に比べてやや劣っていた。
[実施例5〜6]
<粉末状ドレッシングの製造>
下記表5〜6の配合に従って、実施例5〜6、比較例5〜6の粉末状ドレッシングを製造した。具体的には、粉末ドレッシングBに、本発明の粉末油脂組成物又は油脂粉末を33.33質量%(対粉ベース50質量%)添加した後、よく掻き混ぜて製造した。なお、評価は、千切りにしたキャベツ1kgに前記粉末状ドレッシングをよく混ぜ合わせて行った。
Figure 0006649094
Figure 0006649094
<粉末状ドレッシングの評価>
上記で製造した、実施例5〜6と比較例5〜6の粉末状ドレッシングについて、実施例3〜4と同様に、上記評価方法に従って評価した。
表5〜6から明らかであるように、本発明の粉末油脂組成物を用いて製造した粉末状ドレッシングは、無添加及び油脂粉末を用いて製造したものと比較して、風味(特に酸味)がまろやかになっており、適度な濃さの味が感じられた。また、後味、口当たりもすっきりしており良かった。また、無添加の場合には濃い味を感じ、油脂粉末を用いた場合には、風味のまろやかさがやや欠けており、後味や口当たりも実施例に比べてやや劣っていた。

Claims (8)

  1. 以下の(a)の条件を満たす粉末状の油脂組成物を含有する、調味料用粉末油脂組成物。
    (a)全トリグリセリド含有量を100質量%とした場合、1位〜3位に炭素数xの飽和の脂肪酸残基Xを有するXXX型トリグリセリドを65〜99質量%と、前記XXX型トリグリセリドの飽和の脂肪酸残基Xの1つを炭素数yの飽和の脂肪酸残基Yに置換した1種以上のX2Y型トリグリセリドを35〜1質量%とを含有する油脂組成物であって、前記炭素数xは10〜12から選択される整数であり、前記炭素数yは、それぞれ独立して、x+4〜x+8から選択される整数でありかつy≦22である。
  2. 前記XXX型トリグリセリドが80〜99質量%と、前記1種以上のX2Y型トリグリセリドの合計が20〜1質量%とを含有する、請求項1に記載の粉末油脂組成物。
  3. ゆるめ嵩密度が0.1〜0.6g/cm 3 である、請求項1又は2に記載の粉末油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を含有してなる、調味料。
  5. 前記粉末油脂組成物を調味料中に1〜40質量%含有してなる、請求項に記載の調味料。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を配合する、調味料の製造法。
  7. 前記粉末油脂組成物を調味料中に1〜40質量%配合する、請求項に記載の調味料の製造法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂組成物を有効成分とする、調味料用風味改良剤。
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