JP3910099B2 - 顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法に関し、詳しくは熱湯又は温水溶解時に分散性が改良され、「ままこ(ダマ)」を生じにくい、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、加工食品技術の進歩に伴い、様々な顆粒状或いは粉末状のインスタントスープが開発されている。これら顆粒状或いは粉末状のインスタントスープは、熱湯又は温水を加えて攪拌するだけで、或いは熱湯又は温水を加えて加熱するだけで、賞味することができる簡便性をその大きな特徴としている。
しかしながら、これら顆粒状或いは粉末状のインスタントスープは、熱湯や温水で溶く際に攪拌が不十分であると、完全に分散せず、調理後にいわゆる「ままこ(ダマ)」と呼ばれる塊が残ってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、この「ままこ(ダマ)」の発生を抑える方法として、(1)デキストリン,ラクトースなどの分散剤を加える方法、(2)食用油脂を添加する方法、(3)顆粒化する方法、などが提案されている。
しかしながら、これらの方法は、以下に述べるように、製造面或いはコスト面などにおいて制限されることが多く、完全な解決には至っていないのが実状である。
【0004】
まず上記(1)の方法は、デキストリン,ラクトースなどの分散剤を加え、製品中の難水分散性物の密集度を下げることにより、分散性を改良し、「ままこ(ダマ)」の発生を抑えようとするものである。
しかしながら、上記(1)の方法においては、これらを添加することにより、一食当たりの製品取り重量及び比容積が増えることから、原料費、加工費、包材費などのコストが高くなると共に、過度に添加した場合には、溶解の面からも規定量の熱湯又は温水に対して逆に溶解しにくくなるという欠点がある。さらに、味覚面においても添加量を増すごとに甘味が強まることから、味の調整が難しいという問題がある。
【0005】
次に、上記(2)の方法は、食用油脂を添加することにより、顆粒状或いは粉末状の製品の表面を疎水化し、熱湯又は温水に対する反発力を高め、「ままこ(ダマ)」の発生を抑えようとするものである。
しかしながら、上記(2)の方法においては、食用油脂の添加量を増すほど、製造時(混合時或いは造粒時)の油ダマ(凝集ダマ)の発生量も増加して、製品歩留まりが悪化すると共に、製造後に油脂が染み出しやすくなることで、流動性不良を引き起こしやすいという欠点がある。
【0006】
さらに、上記(3)のように、顆粒化する方法の場合、分散性を向上させるには大きな顆粒を形成し、重量当たりの比表面積を小さくすることが望ましいが、このときには逆に溶解性は悪化してしまう。このように分散性と溶解性とは相反しており、顆粒の粒径を操作することで、双方を同時に満足し得ることは極めて難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題を解消したものであって、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの分散性を改良し、「ままこ(ダマ)」の発生の抑えられた顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを製造する方法を提供すること、を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープに対して、ポリグリセリンベヘン酸エステルを特定量添加することにより、容易に分散性が改良されることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0009】
なお、シュガーエステルやジグリセリン脂肪酸モノエステル等の乳化剤は、食品分野に広く用いられている。また、水に対する分散性の低い食用粉末に、炭素数8〜14の脂肪酸と重合度4〜10のポリグリセリンからなるポリグリセリン脂肪酸エステルを配合してなることを特徴とする水易溶解性粉末食品が提案されている(特開平6−113755号公報)。
しかし、特開平6−113755号公報に記載の発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数が8〜14の脂肪酸からなるエステルであり、本発明で用いる炭素数22のベヘン酸からなるポリグリセリンベヘン酸エステルとは異なる。特開平6−113755号公報には、「炭素数が14を超える場合は水に対する分散性および溶解性が不十分となる。」と明記されており、本発明の知見とは明らかに異なる。本発明のように、ポリグリセリンベヘン酸エステルが、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの分散性を改良し、「ままこ(ダマ)」の発生を抑え得ることに関しては、従来全く知られておらず、本発明は新たな知見を見出したものである。
【0010】
即ち、請求項1に係る本発明は、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを製造するにあたり、ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1〜0.9質量%の割合で添加することを特徴とする、熱湯又は温水溶解時に分散性が改良され、ままこを生じにくい顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法を提供するものである。
【0011】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の製造法で得られた、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
まず、請求項1に係る本発明について説明する。請求項1に係る本発明は、熱湯又は温水を加えて攪拌するだけで、或いは熱湯又は温水を加えて加熱するだけで、賞味することのできる、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法に関するものであって、ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1〜0.9質量%の割合で添加することを特徴とするものである。
【0013】
なお、ここで「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ」とは、顆粒状のインスタントスープ及び粉末状のインスタントスープを包含する概念である。
【0014】
請求項1に係る本発明は、このような「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法において、ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1〜0.9質量%の割合で添加することを特徴とするものであって、ポリグリセリンベヘン酸エステルを特定量添加すること以外は、通常の「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ」の製造方法と同様にして行えば良い
【0015】
請求項1に係る本発明においては、ポリグリセリンベヘン酸エステルを添加することが必要であって、ポリグリセリンベヘン酸エステル以外のものを添加したとしても、その目的を達成することはできない。
ここでポリグリセリンベヘン酸エステルとは、ポリグリセリンを親水基とし、ベヘン酸を親油基としてエステル結合したエステルを指し、様々なものが挙げられる。ポリグリセリンとは、グリセリンが2個以上結合したものをいう。ベヘン酸とは、炭素数22個の長鎖飽和脂肪酸である。ポリグリセリンの重合度及びエステル化度を変化させることで、各種HLB値を有するポリグリセリンベヘン酸エステルが得られる。
【0016】
請求項1に係る本発明においては、それらポリグリセリンベヘン酸エステルの中でも、モノエステル含量が約20%以下で、HLB値が3.1のものが特に好ましい。ポリグリセリンベヘン酸エステルとしては、粉末状或いは微粉末状のものが好ましい。
【0017】
請求項1に係る本発明においては、ポリグリセリンベヘン酸エステルを用いることに加えて、さらにこれを0.1〜0.9質量%という特定の割合で、好ましくは0.1〜0.5質量%の割合で、より好ましくは0.3〜0.5質量%の割合で添加することが必要である。
ポリグリセリンベヘン酸エステルの含有量が0.1質量%未満であると(好ましくは0.1質量%未満であると、より好ましくは0.3質量%未満であると)、分散性を改良し「ままこ(ダマ)」の発生を抑えることはできない。ポリグリセリンベヘン酸エステルは、製品に異味、異臭を発生させるものではないが、ポリグリセリンベヘン酸エステルの含有量が0.9質量%を超えると(好ましくは0.5質量%を超えると、より好ましくは0.3質量%を超えると)、味覚の点で悪影響を及ぼす(後味が若干マスクされる)ので好ましくない。
【0018】
前記したように、請求項1に係る本発明は、「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法において、ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1〜0.9質量%の割合で添加することを特徴とするものであって、ポリグリセリンベヘン酸エステルを特定量添加すること以外は、通常の「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ」の製造方法と同様のものである。
ここで、通常の「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ」は、一般に原料として澱粉類、穀粉・野菜パウダー、調味料、糖類、食塩、食用油脂、野菜パウダーなどを含むものであるが、これに限定されるものではない。
なお、スープ、ソースの原料は、そのほとんどが親水性である。これに対し、ココアパウダーや脱脂粉乳自体は、疎水性である。このような疎水性原料を水や熱湯に分散させるために、ココアパウダーや粉ミルクなどでは、本発明とは逆の親水性界面活性剤や特異的にレシチンなどの両性界面活性剤が使用されており、分散の仕方が異なっている。
【0019】
請求項1に係る本発明の「顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ」の製造方法において、原料として用いられる澱粉類としては、食用のものであれば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦粉又は小麦粉澱粉など、原料穀物は問わず、未加工のものであっても良いし、加工したものであっても良い。化工澱粉やα化澱粉を用いることもできる。このような澱粉類は一般に顆粒状或いは粉末状製品の分散を悪化させる傾向がある。
【0020】
また、穀粉・野菜パウダーのうち、穀粉としては、コーンパウダー、小麦粉などのように、穀物を粉砕し、乾燥して得られる粉末が挙げられ、食用のものであれば任意に使用することができる。野菜パウダーとしては、キャベツ、オニオン、ネギ、ニンジンなどのホールパウダーや各種エキスパウダー、さらにはパンプキンパウダー、ポテトパウダーなどを挙げることができる。
【0021】
次に、本発明で用いる食塩や調味料などは、通常の料理・調理に使用されているものであれば、好みに応じて任意に使用することができる。また、これらの使用量も常法に従えば良い。
【0022】
糖類としては、砂糖,果糖,ブドウ糖,液糖など、食品に用いることが可能なものであれば、いずれも使用することができ、その使用量も既知の範囲内で選定すれば良い。
【0023】
食用油脂としては、食用として使用が認められているものであれば、植物性油脂、動物性油脂、或いはそれらの水素添加油脂であっても良い。具体的には、植物性油脂としては、例えばコーン油,大豆油,ナタネ油,パーム油などを挙げることができる。また、動物性油脂としては、例えばヘット,ラード,チキンファットなどを挙げることができる。
【0024】
使用する食用油脂としては、融点が30〜50℃、好ましくは38〜45℃のものが挙げられる。ここで食用油脂の融点が30℃未満のものであると、夏期などのように保管温度が上昇した場合、溶け出して製品の流動性悪化を引き起こすばかりでなく、商品価値をも損なう恐れがあるため好ましくない。一方、食用油脂の融点が50℃を超えたものであると、粉末混合物に添加したときに油温が下がった場合、粉末混合物に均一に馴染む前に固化して油ダマを形成しやすいことから好ましくない。
【0025】
食用油脂の添加量としては、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ全量に対して、1〜12質量%、好ましくは2〜10質量%である。ここで食用油脂の添加量が1質量%未満であると、混合物の飛散性が増して、粉立ちが激しくなるため好ましくない。一方、食用油脂の含有量が12質量%を超えると、逆に混合物の付着性が増して、流動性の悪化や多量の油ダマが発生するため好ましくない。
【0026】
通常の顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法においては、基本的には、食用油脂を除く原材料については、粉末状のものを用い、これらを混合した粉末混合物に、食用油脂を加熱溶解した状態で添加、混合する。
請求項に係る本発明においては、食用油脂としては、前記したように、融点が30〜50℃、好ましくは38〜45℃のものを用い、このような食用油脂を50〜80℃に加熱溶解した状態で前記粉末混合物に添加、混合することが好ましい。なお、混合は、ミキサーなどを用いて行えば良い。
【0027】
なお、請求項に係る本発明において、ポリグリセリンベヘン酸エステルとしては、粉末状、微粉末状又はフレーク状のものを用いることが好ましく、このような粉末状、微粉末状又はフレーク状のポリグリセリンベヘン酸エステルを前記粉末混合物や食用油脂と混合すれば良い。
なお、ポリグリセリンベヘン酸エステルとしては、前記した通りのものである。
【0028】
ポリグリセリンベヘン酸エステルの添加方法としては特に制限はなく、(1)前記粉末混合物と粉末状、微粉末状又はフレーク状のポリグリセリンベヘン酸エステルとの混合物に、加熱溶解した食用油脂を添加し、混合或いは混合・造粒しても良いし、或いは(2)前記粉末混合物に、加熱溶解した食用油脂と粉末状、微粉末状又はフレーク状のポリグリセリンベヘン酸エステルとの混合物を加え、混合或いは混合・造粒しても良いし、また(3)前記粉末混合物に、加熱溶解した食用油脂を添加して混合した後、ポリグリセリンベヘン酸エステルのエマルジョン液を噴霧しながら造粒しても良いし、さらには(4)前記粉末混合物に加熱溶解した食用油脂を加えたものを混合或いは混合・造粒した後に、粉末状、微粉末状又はフレーク状のポリグリセリンベヘン酸エステルを加えても良い。
【0029】
なお、造粒方法としては特に制限されないが、分散性を保持する見地からは、分散性を損なう恐れのある転動・押出し造粒などよりも、より分散性を向上させることのできる流動層造粒を行うことが好ましいことは言うまでもない。
【0030】
請求項1に係る本発明の顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法は、上記の如きものであるが、必要に応じて、その機能を妨げない範囲内で、他の既知の原材料、例えば増粘剤としてガム類等を添加することができる。ここでガム類としては、グアーガムやキサンタンガムなどを挙げることができる。但し、ガム類は、熱湯、冷水に関係なく、接触した瞬間に粘度を発現し(ベトツキ)、顆粒状或いは粉末状製品の分散を妨げる傾向が強い。
【0031】
以上の如き請求項に係る本発明の方法により、目的とする顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ、即ち請求項に係る本発明の顆粒状或いは粉末状のインスタントスープが得られる。このような顆粒状或いは粉末状のインスタントスープは、熱湯又は温水溶解時に「ままこ(ダマ)」を生じにくいものである。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0033】
実験例1(分散性に及ぼすHLB値の影響についての検討)
この実験例1では、分散性に及ぼすHLB値の影響について調べてみた。
即ち、以下の配合表1に示す原料のうち、市販ショ糖ステアリン酸エステル以外の原料をミキサーで混合し、これに乳化剤として、市販のHLB値が3〜16の範囲の粉末状ショ糖ステアリン酸エステル(HLB値:順に16、11、5、3)を0.5質量%添加、混合した後、大川原製作所製の流動層造粒機(WSG−5型)を用い、造粒時吸気温度60℃、乾燥時吸気温度100℃、冷却時吸気温度24℃、市水噴霧空気圧270kPa、市水流速140mL/minの条件で造粒、乾燥、冷却を行い、顆粒状のインスタントスープA〜D(製品A〜D)を得た。
一方、対照として、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)を添加しなかったこと以外は、上記と同様にして顆粒状のインスタントスープE(製品E)を得た。
【0034】
【表1】
配合表1
Figure 0003910099
【0035】
得られた顆粒状のインスタントスープA〜D、及びE(製品A〜D、及びE)について、その分散性を以下の方法により測定した。結果を第1表に示す。
[分散性の測定方法]
200mL容カップに、顆粒状のインスタントスープを17g入れ、90℃の熱湯150mLをシリンダーで計量し、カップに注ぐ。次いで、ティースプーンにて120rpmで15秒間攪拌したのち、10メッシュフィルターにあけて、該フィルター上に残ったダマの量を測定する。ダマの量は、「 g/on 10メッシュフィルター」と表記した。ダマの量が2g/on 10メッシュフィルター以下であれば、製品の分散性は極めて良好である。
【0036】
【表2】
第1表
Figure 0003910099
【0037】
第1表によれば、幅広いHLB値を有する乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)を用いて実験を行ってみた結果、HLB値が小さい(親油性)乳化剤を用いた製品ほどダマ量は減少し、HLB値が高い(親水性)乳化剤を用いた製品ほどダマ量は増加することが分かる。また、強親水性のHLB16のショ糖ステアリン酸エステルを用いた製品Aでは、ショ糖ステアリン酸エステル無添加の製品よりも、ダマ量が多くなってしまうことが分かる。
従って、この実験例1の結果からは、ダマ量を減らし、分散性を改良するためには、HLB値のより小さい(親油性)乳化剤を用いることが好ましいことが明らかである。
【0038】
実験例2(分散性に及ぼす乳化剤の種類の検討)
上記実験例1の結果からは、ダマ量を減らし、分散性を改良するためには、HLB値のより小さい(親油性)乳化剤を用いることが好ましいことが明らかであることから、この実験2では、HLB値が5以下の各種乳化剤についてスクリーニングを行い、分散性に及ぼす乳化剤の種類について調べてみた。
【0039】
具体的には、実験例1において、実験例1で用いたショ糖ステアリン酸エステルの代わりに、第2表に示すHLB値が5以下の市販の各種乳化剤を用いたこと以外は、実験例1と同様にして行い、顆粒状のインスタントスープF〜L(製品F〜L)を得、その分散性を測定した。結果を第2表に示す。
なお、上記実験例1で得られた製品E〔乳化剤無添加〕の結果も合わせて第2表に示した。
【0040】
【表3】
第2表
Figure 0003910099
【0041】
前記したように、ダマの量が2g/on 10メッシュフィルター以下であれば、製品の分散性は極めて良好であることから、第2表によれば、HLB値が小さい(親油性)乳化剤を用いた製品の中でも、特にHLB値が3.1のポリグリセリンベヘン酸エステルを用いることにより、分散性の極めて良好な製品(製品L)が得られることが分かる。
【0042】
従って、上記実験例1、2の結果からは、ダマ量を減らし、分散性を著しく改良するためには、乳化剤として、特にHLB値が3.1のポリグリセリンベヘン酸エステルを用いることが好ましいことが明らかである。
【0043】
実験例3(ポリグリセリンベヘン酸エステルの最適添加量の検討)
上記実験例1、2の結果からは、ダマ量を減らし、分散性を改良するためには、乳化剤として、特にHLB値が3.1のポリグリセリンベヘン酸エステルを用いることが好ましいことが明らかであることから、この実験3では、HLB値が3.1のポリグリセリンベヘン酸エステルを用いたときの最適添加量を、製品の分散性及び官能面の双方より検証した。
【0044】
具体的には、実験例2において、実験例2で用いたHLB値が3.1のポリグリセリンベヘン酸エステルについて、第3表に示す添加量としたものを用いたこと以外は、実験例2と同様にして行い、顆粒状のインスタントスープM〜(製品M〜)を得、その分散性を測定した。また、官能評価に関しては、乳化剤無添加製品(製品E)をコントロールとし、このコントロールとの味覚差を専門パネル10名により評価し、ポリグリセリンベヘン酸エステルを添加することによる製品への影響を調べた。これらの結果を第3表に示す。
【0045】
【表4】
第3表
Figure 0003910099
【0046】
第3表の結果によれば、分散性及び官能面(味覚面)の双方を満足する製品を得るには、0.1〜0.9質量%の割合で、好ましくは0.1〜0.5質量%の割合で、より好ましくは0.3〜0.5質量%の割合で、ポリグリセリンベヘン酸エステルを用いると良いことが分かる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明の方法によれば、分散性が改良され、「ままこ(ダマ)」の発生の抑えられた顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを製造することができる。
また、請求項2に係る本発明の顆粒状或いは粉末状のインスタントスープは、分散性が改良されており、「ままこ(ダマ)」の発生の抑えられたものである

Claims (2)

  1. 顆粒状或いは粉末状のインスタントスープを製造するにあたり、ポリグリセリンベヘン酸エステルを0.1〜0.9質量%の割合で添加することを特徴とする、熱湯又は温水溶解時に分散性が改良され、ままこを生じにくい顆粒状或いは粉末状のインスタントスープの製造方法
  2. 請求項1記載の製造法で得られた、顆粒状或いは粉末状のインスタントスープ
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