JP6631544B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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本発明は、化合物(特にヒドラゾン化合物)及び電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体は、特定のエナミン誘導体を含有する感光層を有する。
特開2010−163395号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体には、電気特性及び耐オイルクラック性に関し改善の余地がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子写真感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上できる化合物を提供することである。また、本発明の別の目的は、電気特性及び耐オイルクラック性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0006631544
前記一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。p及びqは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される化合物とを少なくとも含有する。
Figure 0006631544
前記一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。p及びqは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
本発明の化合物は、電子写真感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上させることができる。本発明の電子写真感光体は、電気特性及び耐オイルクラック性に優れる。
(a)、(b)及び(c)はそれぞれ電子写真感光体の一例を示す概略断面図であり、この電子写真感光体は本発明の実施形態に係る化合物を含有する。 (a)、(b)及び(c)はそれぞれ電子写真感光体の別の例を示す概略断面図であり、この電子写真感光体は本発明の実施形態に係る化合物を含有する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、炭素原子数2以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数6以上10以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基及び炭素原子数7以上16以下のアラルキル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基及び炭素原子数2以上5以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基及びヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。炭素原子数2以上5以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が2以上5以下である基である。
炭素原子数4以上10以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数4以上10以下のアルキル基としては、例えば、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基及びヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数6以上10以下のアリール基の各々は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基及びフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上10以下のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が挙げられる。炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基の例は、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が3以上8以下である基である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基の例は、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が5以上7以下である基である。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基及び炭素原子数7以上16以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。炭素原子数7以上16以下のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6以上10以下のアリール基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。
<化合物(1)>
本実施形態は、化合物(特にヒドラゾン化合物)に関する。本実施形態の化合物は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)である。
Figure 0006631544
一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。p及びqは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
感光層が化合物(1)を含有することで、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)の電気特性及び耐オイルクラック性を向上させることができる。その理由は、以下のように推測される。
第一に、化合物(1)は、比較的長い共役系を有している。比較的長い共役系を有することで、化合物(1)の分子内における正孔の移動距離が長くなる。また、化合物(1)の分子構造が適度に大きくなることで、感光層中に存在する一の化合物(1)のπ電子雲と、近接する他の化合物(1)のπ電子雲との距離(ホッピング距離)が短くなる。化合物(1)の分子内における正孔の移動距離が長くなること、及び化合物(1)の分子間のホッピング距離が短くなることから、感光層内の正孔の輸送性が向上する。その結果、感光体の電気特性が向上する。
第二に、化合物(1)は、窒素原子に、2個のフェニル基と、−N=CR12基とが結合している。−N=CR12基が窒素原子に結合している化合物(1)は、窒素原子に3個のフェニル基が結合している化合物(トリフェニルアミン誘導体)と比較して、対称性が低い。化合物(1)の対称性が低いことで、化合物(1)は、感光層形成用の溶剤に好適に溶解する。また、化合物(1)の対称性が低いことで、バインダー樹脂に対する化合物(1)の相溶性が向上する。これらの結果、均一な感光層が形成され易くなり、感光体の電気特性が向上する。
第三に、化合物(1)は、窒素原子に、2個のフェニル基と、−N=CR12基とが結合している。窒素原子に−N=CR12基が結合している化合物(1)は、窒素原子に−C=C(Ph)2基(但し、Phはフェニル基を表す)が結合している化合物と比較して、感光体の電気特性を向上させつつ、耐オイルクラック性を向上させることができる。
一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4が表わす炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、炭素原子数7以上16以下のアラルキル基が好ましい。
一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R1、R2、R3及びR4が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、メチル基を有する炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、メチルフェニル基がより好ましく、4−メチルフェニル基が更に好ましい。
感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上させるためには、一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。
感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上させるためには、一般式(1)中、m及びnは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
化合物(1)の好適な例としては、化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)及び(1−6)で表される化合物(以下、化合物(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)及び(1−6)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006631544
(p及びqが異なる整数を表す場合)
一般式(1)中、p及びqが互いに異なる整数を表すことが好ましい。p及びqが互いに異なる整数を表すことで、化合物(1)の非対称性が高くなる。化合物(1)の非対称性が高くなることで、感光層形成用の溶剤に対する化合物(1)の溶解性、及びバインダー樹脂に対する化合物(1)の相溶性が向上する。これにより、均一な感光層が形成され易くなり、感光体の電気特性をより向上させることができる。また、感光体の耐オイルクラック性をより向上させることができる。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す場合、化合物(1)の好適な例は、化合物(1−3)又は(1−4)である。
一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す場合、p及びqの一方が2を表すことが好ましい。p及びqが互いに異なる整数を表し、且つp及びqの一方が2を表すことで、化合物(1)の非対称性を高めつつ、化合物(1)の共役系を拡大させることができる。これにより、感光体の電気特性をより向上させることができる。また、感光体の耐オイルクラック性をより向上させることができる。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表し、p及びqの一方が2を表す場合、p及びqの他方が0を表すことがより好ましい。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表し、p及びqの一方が2を表す場合、化合物(1)の好適な例は、化合物(1−4)である。
一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す場合、p及びqの一方が1を表すことも好ましい。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表し、p及びqの一方が1を表す場合、p及びqの他方が0を表すことがより好ましい。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表し、p及びqの一方が1を表す場合、化合物(1)の好適な例は、化合物(1−3)である。
一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す場合、m及びnが互いに異なる整数を表すことも好ましい。p及びqが互いに異なる整数を表し、且つm及びnが互いに異なる整数を表すことで、化合物(1)の非対称性を更に高めることができる。化合物(1)の非対称性が高くなることで、感光層形成用の溶剤に対する化合物(1)の溶解性、及びバインダー樹脂に対する化合物(1)の相溶性が向上する。これにより、均一な感光層が形成され易くなり、感光体の電気特性をより向上させることができる。また、感光体の耐オイルクラック性をより向上させることができる。一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表し、m及びnが互いに異なる整数を表す場合、化合物(1)の好適な例は、化合物(1−3)である。
(p及びqが同じ整数を表す場合)
一般式(1)中のp及びqが同じ整数を表すことも好ましい。一般式(1)中のp及びqが同じ整数を表す場合の好適な態様において、一般式(1)中、R1及びR2が各々炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、p及びqが各々1を表す。一般式(1)中のR1及びR2が各々炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、p及びqが各々1を表す場合、化合物(1)の好適な例は、化合物(1−1)である。
一般式(1)中のp及びqが同じ整数を表す場合の好適な別の態様において、一般式(1)中のR1及びR2が各々炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、p及びqが各々0を表すか;一般式(1)中のR1及びR2が各々炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、p及びqが各々1を表すか;一般式(1)中のR1が炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R2が炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、p及びqが各々1を表す。このような化合物(1)の好適な例は、化合物(1−2)、(1−5)又は(1−6)である。
(化合物(1)の合成)
化合物(1)は、例えば、反応式(R−1)及び(R−2)で表される反応(以下、反応(R−1)及び(R−2)と記載することがある)に従って、又はこれに準ずる方法によって合成される。反応式(R−1)及び(R−2)で示される一般式(a)、(a’)、(b)及び(c)中のR1、R2、R3、R4、m、n、p及びqは、各々、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、m、n、p及びqと同義である。一般式(a)及び(a’)中のXは、ハロゲン原子を表す。
Figure 0006631544
反応(R−1)では、1モル当量の化学式(a)で表される化合物(以下、化合物(a)と記載する)と、1モル当量の化学式(b)で表される化合物(以下、化合物(b)と記載する)とを反応させて、1モル当量の化学式(c)で表される化合物(以下、化合物(c)と記載する)を得る。反応(R−1)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(R−1)は、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)の雰囲気下で行われてもよい。
反応(R−1)では、触媒としてパラジウム化合物を用いてもよい。パラジウム化合物としては、例えば、四価パラジウム化合物、二価パラジウム化合物及びその他のパラジウム化合物が挙げられる。四価パラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物及びヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム(II)及び臭化パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)が挙げられる。触媒としては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)が好ましい。パラジウム化合物の添加量は、1モル当量の化合物(b)に対して、0.001モル当量以上1モル当量以下であることがより好ましい。
パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。これにより、反応(R−1)の反応性を向上させ易くなる。配位子としては、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィンが挙げられる。配位子としては、トリシクロヘキシルホスフィンが好ましい。配位子の添加量は、1モル当量の化合物(b)に対して、0.001モル当量以上1モル当量以下であることがより好ましい。
反応(R−1)は、塩基の存在下で行われてもよい。これにより、触媒活性を向上できると考えられる。塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、例えばアルカリ金属アルコシドが挙げられ、より具体的にはナトリウムtert−ブトキシドが挙げられる。無機塩基としては、例えば、リン酸三カリウム及びフッ化セシウムが挙げられる。塩基の添加量は、1モル当量の化合物(b)に対して、1モル当量以上10モル当量以下であることがより好ましい。
反応(R−1)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、キシレン(具体的には、o−キシレン)、トルエン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドが挙げられる。溶媒としては、o−キシレンが好ましい。
反応(R−1)の後に、精製により、得られた化合物(c)を単離することができる。精製方法としては、例えば、公知の方法(例えば、ろ過、シリカゲルクロマトグラフィー又は晶析)が挙げられる。
反応(R−2)では、1モル当量の化合物(c)と、1モル当量の化学式(a’)で表される化合物(以下、化合物(a’)と記載する)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。1モル当量の化合物(a)を1モル当量の化合物(a’)に変更した以外は、反応(R−1)と同じ方法で、反応(R−2)を行うことができる。
反応(R−2)の後に、得られた化合物(1)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、公知の方法(例えば、ろ過、シリカゲルクロマトグラフィー又は晶析)が挙げられる。
なお、一般式(1)中の下記一般式(1A)で表される部位と、下記一般式(1B)で表される部位とが同一である場合の化合物(1)は、例えば、次の方法で合成される。反応(R−1)において、1モル当量の化合物(a)を2モル当量の化合物(a)に変更する。そして、反応(R−1)において、化合物(c)の代わりに、化合物(1)を得る。反応(R−2)は省略される。なお、一般式(1A)及び(1B)中のR3、R4、m、n、p及びqは、各々、一般式(1)中のR3、R4、m、n、p及びqと同義である。
Figure 0006631544
<感光体>
次に、感光体の構造を説明する。感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、本実施形態に係る化合物(1)とを少なくとも含有する。感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)及び積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
(積層型感光体)
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1(a)〜図1(c)は、それぞれ、感光体1の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを含む。積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1(a)に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
図1(b)に示すように、感光体1としての積層型感光体では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3と中間層4(下引き層)とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。また、感光層3上には、保護層5(図2(c)参照)が設けられていてもよい。
電荷発生層3a及び電荷輸送層3bの厚さは、それぞれの層として機能できる限り、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3のうちの電荷発生層3aは、例えば、電荷発生剤を含有する。電荷発生層3aは、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を更に含有してもよい。電荷発生層3aは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
感光層3のうちの電荷輸送層3bは、化合物(1)を含有する。化合物(1)は、例えば、正孔輸送剤として、電荷輸送層3bに含有される。電荷輸送層3bは、バインダー樹脂を更に含有してもよい。電荷輸送層3bは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
(単層型感光体)
以下、図2(a)〜図2(c)を参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2(a)〜図2(c)は、それぞれ、感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
図2(a)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層である。以下、単層の感光層3を、単層型感光層3cと記載することがある。感光体1としての単層型感光体には、感光層3として単層型感光層3cが備えられる。
図2(b)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図2(c)に示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層として機能できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
単層型感光層3cは、電荷発生剤と、化合物(1)とを含有する。化合物(1)は、例えば、正孔輸送剤として、単層型感光層3cに含有される。単層型感光層3cは、電子輸送剤及びバインダー樹脂の一方又は両方を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。感光体1が単層型感光体である場合、電荷発生剤と、化合物(1)と、必要に応じて添加される成分(例えば、電子輸送剤、バインダー樹脂又は添加剤)とは、同じ層に含有される。
以上、図1(a)〜図1(c)及び図2(a)〜図2(c)を参照して、感光体1の構造について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。
(導電性基体)
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
(正孔輸送剤)
感光層は、化合物(1)を含有する。化合物(1)は、例えば、正孔輸送剤として感光層に含有される。感光層に化合物(1)が含有されることで、感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上させることができる。感光層は、化合物(1)の1種のみを含有してもよいし、化合物(1)の2種以上を含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、化合物(1)の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、化合物(1)の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
電荷輸送層は、正孔輸送剤として、化合物(1)のみを含有してもよい。また、電荷輸送層は、化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の正孔輸送剤(以下、その他の正孔輸送剤と記載することがある)を更に含有してもよい。電荷輸送層に含有される正孔輸送剤の合計質量に対する化合物(1)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
単層型感光層は、正孔輸送剤として、化合物(1)のみを含有してもよい。また、単層型感光層は、化合物(1)に加えて、その他の正孔輸送剤を更に含有してもよい。単層型感光層に含有される正孔輸送剤の合計質量に対する化合物(1)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
その他の正孔輸送剤としては、例えば、化合物(1)以外の含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。化合物(1)以外の含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン化合物(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、化合物(1)以外のヒドラゾン化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。感光層は、1種の電荷発生剤のみを含有してもよいし、2種以上の電荷発生剤を含有してもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、例えば、化学式(CGM1)で表される。チタニルフタロシアニンは、例えば、化学式(CGM2)で表される。
Figure 0006631544
Figure 0006631544
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)は特に限定されない。無金属フタロシアニンの結晶としては、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が好ましい。チタニルフタロシアニンの結晶としては、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が好ましく、Y型チタニルフタロシアニンがより好ましい。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。感光層に化合物(1)が含有される場合に電気特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としてはY型チタニルフタロシアニンが好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に備えられる感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が含有されることが好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含有されるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
(電子輸送剤)
感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤を含有してもよい。電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。単層型感光層は、1種の電子輸送剤を含有してもよいし、2種以上の電子輸送剤を含有してもよい。
電子輸送剤としては、下記一般式(10)で表される化合物(以下、化合物(10)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006631544
一般式(10)中、R11、R12、R13及びR14は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1又は2のアルキル基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表す。
11、R12、R13及びR14が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、メチル基、イソプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ペンチル基、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基が好ましい。
11、R12、R13及びR14が表わす炭素原子数1又は2のアルキル基は、メチル基又はエチル基である。このような炭素原子数1又は2のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する。炭素原子数1又は2のアルキル基が有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1又は2のアルキル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基を有する炭素原子数1又は2のアルキル基が好ましく、フェニルメチル基がより好ましい。
11、R12、R13及びR14が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
11、R12、R13及びR14が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
11、R12、R13及びR14が表わす炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
一般式(10)中、R11及びR12は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1又は2のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数6以上14以下のアリール基;又は炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(10)中、R11及びR12は、各々独立して、メチル基、イソプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニル基又はメトキシ基を表し、R11及びR12は、同じ基を表し、R13及びR14は、各々独立して、メチル基又は水素原子を表すことが更に好ましい。
一般式(10)中、R11及びR12は、各々独立して、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基又はメトキシ基を表し、R11及びR12は、同じ基を表し、R13及びR14は、各々水素原子を表すことが特に好ましい。
一般式(10)中、R11及びR12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R13及びR14は、水素原子を表すことが好ましい。
化合物(10)としては、例えば、化学式(10−1)〜(10−12)で表される化合物が挙げられる。化合物(10)としては、化学式(10−1)で表される化合物(以下、化合物(10−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006631544
電子輸送剤としては、下記一般式(11)で表される化合物(以下、化合物(11)と記載することがある)も好ましい。
Figure 0006631544
一般式(11)中、R21、R22、及びR23のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R21、R22、及びR23のうちの残りは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。R21、R22、及びR23のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよい。R24、R25、及びR26のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表す。R24、R25、及びR26のうちの残りは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。R24、R25、及びR26のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(11)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26で表わされる炭素原子数4以上10以下のアルキル基は、炭素原子数4以上6以下のアルキル基が好ましく、n−ブチル基又はイソペンチル基がより好ましい。R21、R22、及びR23のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよい。R24、R25、及びR26のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよい。このような環としては、例えば、シクロアルキリデン基又は環状炭化水素基が挙げられる。シクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基が挙げられる。環状炭化水素基としては、例えば、アダマンチル基が挙げられる。
一般式(11)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26で表わされる炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基が好ましく、フェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基がより好ましく、フェニルエチル基が更に好ましい。
一般式(11)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26で表わされる炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(11)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26で表わされる炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(11)中、R21、R22、及びR23のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上6以下のアルキル基、又はフェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R21、R22、及びR23のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましい。R24、R25、及びR26のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上6以下のアルキル基、又はフェニル基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R24、R25、及びR26のうちの残りは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましい。
一般式(11)中、R21、R22、及びR23のうちの1つ又は2つは、フェニル基を有する炭素原子数2以上3以下のアルキル基、又は炭素原子数5以上7以下のアルキル基を表し、R21、R22、及びR23のうちの残りはメチル基を表すことがより好ましい。R21、R22、及びR23のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成しないことがより好ましい。R24、R25、及びR26のうちの1つ又は2つは、フェニル基を有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基、又は炭素原子数5以上7以下のアルキル基を表し、R24、R25、及びR26のうちの残りは、メチル基を表することがより好ましい。R24、R25、及びR26のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成しないことがより好ましい。
21、R22、及びR23のうちの1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R21、R22、及びR23のうちの残り2つは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。R24、R25、及びR26のうちの1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R24、R25、及びR26のうちの残り2つは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。
化合物(11)としては、例えば、化学式(11−1)〜(11−7)で表される化合物が挙げられる。化合物(11)としては、化学式(11−1)で表される化合物(以下、化合物(11−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006631544
Figure 0006631544
Figure 0006631544
Figure 0006631544
Figure 0006631544
Figure 0006631544
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電子輸送剤としては、化合物(10)及び(11)のうち、化合物(11)が好ましく、化合物(11−1)がより好ましい。電子輸送剤としての化合物(11)と、正孔輸送剤としての化合物(1)とを組み合わせることで、感光体の耐オイルクラック性を向上させつつ、感光体の電気特性を特に向上させることができる。
電子輸送剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
(バインダー樹脂)
単層型感光層又は電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂及びビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は、例えば、下記化学式(BR−1)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、樹脂(BR−1)と記載することがある)である。
Figure 0006631544
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、30,000以上であることが好ましく、40,000以上であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が30,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、60,000以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が80,000以下であると、バインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層用塗布液又は単層型感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷輸送層又は単層型感光層を好適に形成できる。
(ベース樹脂)
電荷発生層に含有されるベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂及びその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。ベース樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ベース樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂とは異なることが好ましい。積層型感光体の製造では、例えば、導電性基体上に電荷発生層が形成され、電荷発生層上に電荷輸送層が形成される。電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液が塗布されるため、電荷発生層が、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物及び有機燐化合物が挙げられる。
(中間層)
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂の例は、バインダー樹脂の例と同じである。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
(感光体の製造方法)
感光体が積層型感光体である場合、積層型感光体の製造方法は、例えば、次のとおりである。電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、ベース樹脂及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。電荷輸送層用塗布液は、化合物(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
感光体が単層型感光体である場合、単層型感光体の製造方法は、例えば、次のとおりである。単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、単層型感光層を形成する。これにより、単層型感光体が製造される。単層型感光層用塗布液は、電荷発生剤、化合物(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、電子輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液及び単層型感光層用塗布液(以下、これらを包括的に感光層用塗布液と記載することがある)は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光層を形成するための材料>
積層型感光体の電荷発生層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤を準備した。また、積層型感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下のバインダー樹脂及び正孔輸送剤を準備した。単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び正孔輸送剤を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニン及びX型無金属フタロシアニンを準備した。Y型チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CGM2)で表され、Y型の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンであった。X型無金属フタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CGM1)で表され、X型の結晶構造を有する無金属フタロシアニンであった。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べた樹脂(BR−1)を準備した。樹脂(BR−1)として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を使用した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(1−1)〜(1−6)を準備した。化合物(1−1)〜(1−6)の各々は、以下の方法で合成した。
(化合物(1−1)の合成)
反応式(r−1)で表される反応(以下、反応(r−1)と記載する)に従って、化合物(1−1)を合成した。
Figure 0006631544
反応(r−1)では、化学式(a1)で表される化合物(以下、化合物(a1)と記載する)と化学式(b1)で表される化合物(以下、化合物(b1)と記載する)とを反応させて、化合物(1−1)を得た。詳しくは、二口フラスコに、化合物(a1)12.04g(0.05モル)、トリシクロヘキシルホスフィン0.07g(0.0002モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.095g(0.0001モル)、ナトリウムtert−ブトキシド7.68g(0.08モル)、化合物(b1)4.90g(0.025モル)及び蒸留したо−キシレン(100mL)を投入した。フラスコ内の空気をアルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物をイオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧しながら、о−キシレンを留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、得られた残渣を精製した。その結果、化合物(1−1)が得られた。化合物(1−1)の収量は9.06gであり、化合物(b1)からの化合物(1−1)の収率は60mol%であった。
(化合物(1−2)の合成)
化合物(a1)12.04g(0.05モル)を化合物(a2)10.74g(0.05モル)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−2)を合成した。化合物(1−2)の収量は8.97gであり、化合物(b1)からの化合物(1−2)の収率は65mol%であった。
(化合物(1−5)の合成)
化合物(b1)4.90g(0.025モル)を化合物(b2)5.60g(0.025モル)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−5)を合成した。化合物(1−5)の収量は9.48gであり、化合物(b2)からの化合物(1−5)の収率は60mol%であった。
(化合物(1−6)の合成)
化合物(b1)4.90g(0.025モル)を化合物(b3)3.35g(0.025モル)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−6)を合成した。化合物(1−6)の収量は6.78gであり、化合物(b3)からの化合物(1−6)の収率は50mol%であった。
なお、化合物(a2)、化合物(b2)及び化合物(b3)は、各々、下記化学式(a2)、(b2)及び(b3)で表される。
Figure 0006631544
(化合物(1−3)の合成)
反応式(r−1’)及び(r−2’)で表される反応(以下、反応(r−1’)及び(r−2’)と記載する)に従って、化合物(1−3)を合成した。
Figure 0006631544
反応(r−1’)では、化合物(a2)と化合物(b1)とを反応させて、化学式(c1)で表される化合物(以下、化合物(c1)と記載する)を得た。詳しくは、二口フラスコに、化合物(a2)5.37g(0.025モル)、トリシクロヘキシルホスフィン0.033g(0.0001モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0475g(0.00005モル)、ナトリウムtert−ブトキシド3.84g(0.04モル)、化合物(b1)4.90g(0.025モル)及び蒸留したо−キシレン(100mL)を投入した。フラスコ内の空気をアルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物をイオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧しながら、о−キシレンを留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、得られた残渣を精製した。その結果、化合物(c1)が得られた。化合物(c1)の収量は6.08gであり、化合物(b1)からの化合物(c1)の収率は65mol%であった。
反応(r−2’)では、反応(r−1’)で得られた化合物(c1)と、化学式(a4)で表される化合物(以下、化合物(a4)と記載する)とを反応させて、化合物(1−3)を得た。詳しくは、二口フラスコに、化合物(a4)6.37g(0.025モル)、トリシクロヘキシルホスフィン0.033g(0.0001モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0475g(0.00005モル)、ナトリウムtert−ブトキシド3.84g(0.04モル)、化合物(c1)9.35g(0.025モル)及び蒸留したо−キシレン(100mL)を投入した。フラスコ内の空気をアルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物をイオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧しながら、о−キシレンを留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、得られた残渣を精製した。その結果、化合物(1−3)が得られた。化合物(1−3)の収量は8.88gであり、化合物(c1)からの化合物(1−3)の収率は60mol%であった。
(化合物(1−4)の合成)
化合物(a4)6.37g(0.025モル)を化合物(a3)7.85g(0.025モル)に変更した以外は、化合物(1−3)の合成と同じ方法で、化合物(1−4)を合成した。化合物(1−4)の収量は8.31gであり、化合物(c1)からの化合物(1−4)の収率は55mol%であった。なお、化合物(a3)は、下記化学式(a3)で表される。
Figure 0006631544
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(10−1)及び(11−1)を準備した。化合物(11−1)は、以下の方法で合成した。なお、以下において、反応式(r−11−1)及び(r−11−2)で表される反応を、各々、反応(r−11−1)及び(r−11−2)と記載することがある。また、化学式(11A)〜(11C)で表される化合物を、各々、化合物(11A)〜(11C)と記載することがある。
Figure 0006631544
反応(r−11−1)では、化合物(11A)(1−ナフトール)と化合物(11B)とを反応させて、中間生成物である化合物(11C)を得た。詳しくは、化合物(11A)1.44g(0.010モル)と、化合物(11B)1.64g(0.010モル)と、濃硫酸0.98g(0.010モル)とをフラスコに投入し、酢酸溶液を調製した。フラスコ内容物に濃硫酸0.98g(0.010モル)を滴下し、室温で8時間攪拌した。フラスコ内容物にイオン交換水及びクロロホルムを加えて有機層を得た。有機層を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、中和した。続けて、有機層に無水硫酸ナトリウムを加え、有機層を乾燥させた。乾燥させた有機層を減圧留去し、化合物(11C)を含む粗生成物を得た。
Figure 0006631544
反応(r−11−2)では、化合物(11C)を酸化反応させて、化合物(11−1)を得た。詳しくは、化合物(11C)を含む粗生成物と、クロロホルム100mLとをフラスコに投入し、クロロホルム溶液を調製した。フラスコ内容物にクロラニル2.46g(0.010モル)を加え、室温で8時間攪拌した。続けて、フラスコ内容物をろ過し、ろ液を得た。得られたろ液の溶媒を留去し、残渣を得た。展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化合物(11−1)を得た。化合物(11−1)の収量は、1.73gであり、化合物(11A)からの化合物(11−1)の収率は、60モル%であった。
次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、得られた化合物(1−1)〜(1−6)及び化合物(11−1)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。化合物(1−1)〜(1−6)のうちの代表例として、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。また、化合物(11−1)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。測定された1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、化合物(1−1)及び化合物(11−1)が得られていることを確認した。化合物(1−2)〜(1−6)についても、測定された1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、化合物(1−2)〜(1−6)が得られていることを確認した。
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=7.65−7.68(m,2H),7.10−7.44(m,20H),6.77−6.98(m,10H),6.54−6.65(m,4H).
化合物(11−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.32−8.35(m,2H),8.02(s,2H),7.84−7.88(m,2H),7.60−7.67(m,4H),7.03−7.18(m,10H),2.39−2.45(m,4H), 2.22−2.29(m,4H),1.38(s,12H).
正孔輸送剤として、下記化学式(HT−1)〜(HT−3)で表される化合物(以下、化合物(HT−1)〜(HT−3)と記載する)も準備した。
Figure 0006631544
Figure 0006631544
<積層型感光体の製造>
電荷発生層及び電荷輸送層を形成するための材料を用いて、積層型感光体(A−1)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−3)の各々を製造した。
(積層型感光体(A−1)の製造)
まず、下引き層を形成した。詳しくは、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−02」、数平均一次粒子径10nm)を準備した。SMT−02は、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものであった。容器内に、表面処理された酸化チタン(SMT−02)2.8質量部、共重合ポリアミド樹脂(ダイセル・エボニック株式会社製「ダイアミドX4685」)1質量部、溶剤としてのエタノール10質量部及び溶剤としてのブタノール2質量部を投入した。容器の内容物を、ビーズミルを用いて5時間混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、下引き層用塗布液を得た。得られた下引き層用塗布液を5μmのフィルターを用いてろ過した。ろ過した下引き層用塗布液を、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)の表面に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した下引き層用塗布液を、130℃で30分間加熱した。これにより、導電性基体上に下引き層(膜厚1.5μm)を形成した。
次に、電荷発生層を形成した。具体的には、容器内に、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン1質量部、ベース樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂(デンカ株式会社製「デンカブチラール ♯6000EP」)1質量部、分散媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル40質量部及び分散媒としてのテトラヒドロフラン40質量部を投入した。容器の内容物を、ビーズミルを用いて2時間混合し、分散媒に材料を分散させた。これにより、電荷発生層用塗布液を得た。得られた電荷発生層用塗布液を3μmのフィルターを用いてろ過した。ろ過した電荷発生層用塗布液を、下引き層上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した電荷発生層用塗布液を、50℃で5分間乾燥させた。これにより、下引き層上に、電荷発生層(膜厚0.3μm)が形成された。
次に、電荷輸送層を形成した。具体的には、正孔輸送剤としての化合物(1−1)70質量部、バインダー樹脂としての樹脂(BR−1)100質量部、添加剤としてのジ(tert−ブチル)p−クレゾール(BHT)5質量部、溶剤としてのテトラヒドロフラン430質量部及び溶剤としてのトルエン430質量部を、容器内に投入した。容器の内容物を混合し、溶剤に材料を溶解させた。これにより、電荷輸送層用塗布液を得た。電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した電荷輸送層用塗布液を、130℃で30分間乾燥させた。これにより、電荷発生層上に、電荷輸送層(膜厚20μm)が形成された。その結果、積層型感光体(A−1)が得られた。
(積層型感光体(A−2)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−3)の製造)
次の点を変更した以外は、積層型感光体(A−1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(A−2)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−3)の各々を製造した。積層型感光体(A−1)の製造においては正孔輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、積層型感光体(A−2)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−3)の各々の製造においては表1に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
<積層型感光体の電気特性の評価>
積層型感光体(A−1)〜(A−6)及び(B−1)〜(B−3)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の表面を−700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー0.4μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、積層型感光体の表面に照射した。照射開始から0.5秒経過した時の積層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された積層型感光体の感度電位(VL)を、表1に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、積層型感光体の電気特性(特に光感度特性)が優れていることを示す。
<積層型感光体の耐オイルクラック性の評価>
積層型感光体(A−1)〜(A−3)及び(B−1)〜(B−5)の各々に対して、耐オイルクラック性を評価した。詳しくは、積層型感光体の表面(10個の測定箇所)に、油脂(オレイン酸トリグリセリド)を付着させて、温度23℃及び湿度50%RHの環境下で2日間放置した。その後、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で積層型感光体の表面を観察し、各測定箇所についてクラックの有無を確認した。確認結果から、下記基準に従って、積層型感光体の耐オイルクラック性を判定した。積層型感光体の耐オイルクラック性の判定を、表1に示す。判定が◎(特に良好)又は○(良好)である積層型感光体を、耐オイルクラック性が優れていると評価した。また、判定が△(不良)又は×(特に不良)である積層型感光体を、耐オイルクラック性が劣っていると評価した。
(耐オイルクラック性の判定基準)
◎(特に良好):クラック発生箇所が0箇所である。
○(良好) :クラック発生箇所が1箇所である。
△(不良) :クラック発生箇所が2箇所以上5箇所以下である。
×(特に不良):クラック発生箇所が6箇所以上である。
<単層型感光体の製造>
単層型感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(C−1)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々を製造した。
(単層型感光体(C−1)の製造)
容器内に、電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン5質量部、電子輸送剤としての化合物(10−1)50質量部、正孔輸送剤としての化合物(1−1)80質量部、バインダー樹脂としての樹脂(BR−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。単層型感光層用塗布液を、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を、100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、単層型感光体(C−1)が得られた。
(単層型感光体(C−2)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の製造)
次の点を変更した以外は、単層型感光体(C−1)の製造と同じ方法で、単層型感光体(C−2)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々を製造した。単層型感光体(C−1)の製造においては電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニンを使用したが、単層型感光体(C−2)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々の製造においては表2及び表3に示す種類の電荷発生剤を使用した。単層型感光体(C−1)の製造においては正孔輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、単層型感光体(C−2)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々の製造においては表2及び表3に示す種類の正孔輸送剤を使用した。単層型感光体(C−1)の製造においては電子輸送剤として化合物(10−1)を使用したが、単層型感光体(C−2)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々の製造においては表2及び表3に示す種類の電子輸送剤を使用した。
<単層型感光体の電気特性の評価>
単層型感光体(C−1)〜(C−12)及び(D−1)〜(D−6)の各々に対して、電気特性の評価を行った。電気特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、単層型感光体の表面に照射した。照射開始から0.5秒経過した時の単層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位:V)とした。測定された単層型感光体の感度電位(VL)を、表2及び表3に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の電気特性(特に光感度特性)が優れていることを示す。
<単層型感光体の耐オイルクラック性の評価>
積層型感光体の耐オイルクラック性の評価と同じ方法で、単層型感光体(C−1)〜(C−8)及び(D−1)〜(D−10)の耐オイルクラック性を判定した。単層型感光体の耐オイルクラック性の判定を、表2及び表3に示す。判定が◎(特に良好)又は○(良好)である単層型感光体を、耐オイルクラック性が優れていると評価した。また、判定が△(不良)又は×(特に不良)である単層型感光体を、耐オイルクラック性が劣っていると評価した。
表1、表2及び表3中、CGM、HTM、VL及びY−TiOPcは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、感度電位及びY型チタニルフタロシアニンを示す。表2及び表3中、ETM及びX−H2Pcは、各々、電子輸送剤及びX型無金属フタロシアニンを示す。
Figure 0006631544
Figure 0006631544
Figure 0006631544
積層型感光体(A−1)〜(A−6)の電荷輸送層は、化合物(1−1)〜(1−6)の何れかを含有していた。化合物(1−1)〜(1−6)は、一般式(1)に包含される化合物であった。そのため、表1から明らかなように、積層型感光体(A−1)〜(A−6)では、感度電位の絶対値が小さく、積層型感光体の電気特性が優れていた。また、積層型感光体(A−1)〜(A−6)では、耐オイルクラック性の判定が◎(特に良好)又は○(良好)であり、耐オイルクラック性が優れていた。
積層型感光体(A−3)及び(A−4)の電荷輸送層は、化合物(1−3)又は(1−4)を含有していた。化合物(1−3)及び(1−4)は、一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す化合物(1)の具体例であった。そのため、表1から明らかなように、積層型感光体(A−3)及び(A−4)では、感度電位の絶対値が特に小さく、積層型感光体の電気特性が特に優れていた。また、積層型感光体(A−3)及び(A−4)では、耐オイルクラック性の判定が◎(特に良好)であり、耐オイルクラック性が特に優れていた。
一方、積層型感光体(B−1)〜(B−3)の電荷輸送層は、化合物(1)を含有していなかった。積層型感光体(B−1)〜(B−3)の電荷輸送層には、化合物(HT−1)〜(HT−3)の何れかが含有されていたが、化合物(HT−1)〜(HT−3)は何れも一般式(1)に包含される化合物ではなかった。そのため、表1から明らかなように、積層型感光体(B−1)及び(B−2)では、感度電位の絶対値が大きく、積層型感光体の電気特性が劣っていた。また、積層型感光体(B−1)〜(B−3)では、耐オイルクラック性の判定が×(特に不良)又は△(不良)であり、耐オイルクラック性が劣っていた。
単層型感光体(C−1)〜(C−12)の単層型感光層は、化合物(1−1)〜(1−4)の何れかを含有していた。化合物(1−1)〜(1−4)は、一般式(1)に包含される化合物であった。そのため、表2から明らかなように、単層型感光体(C−1)〜(C−12)では、感度電位の絶対値が小さく、単層型感光体の電気特性が優れていた。また、単層型感光体(C−1)〜(C−12)では、耐オイルクラック性の判定が◎(特に良好)又は○(良好)であり、耐オイルクラック性が優れていた。
単層型感光体(C−5)〜(C−12)の単層型感光層は、化合物(1−3)又は(1−4)を含有していた。化合物(1−3)及び(1−4)は、一般式(1)中のp及びqが互いに異なる整数を表す化合物(1)の具体例であった。そのため、表2から明らかなように、単層型感光体(C−5)〜(C−12)では、感度電位の絶対値が特に小さく、単層型感光体の電気特性が特に優れていた。また、単層型感光体(C−5)〜(C−12)では、耐オイルクラック性の判定が◎(特に良好)であり、耐オイルクラック性が特に優れていた。
一方、単層型感光体(D−1)〜(D−6)の単層型感光層は、化合物(1)を含有していなかった。単層型感光体(D−1)〜(D−6)の単層型感光層は、化合物(HT−1)〜(HT−3)の何れかを含有していたが、化合物(HT−1)〜(HT−3)は何れも一般式(1)に包含される化合物ではなかった。そのため、表3から明らかなように、単層型感光体(D−1)〜(D−4)では、感度電位の絶対値が大きく、単層型感光体の電気特性が劣っていた。また、単層型感光体(D−1)〜(D−6)では、耐オイルクラック性の判定が×(特に不良)であり、耐オイルクラック性が劣っていた。
以上のことから、本発明に係る化合物は、感光体の感光層に含有された場合に、感光体の電気特性及び耐オイルクラック性を向上できることが示された。また、本発明に係る感光体は、このような化合物を含有する感光層を備えることで、電気特性及び耐オイルクラック性に優れることが示された。
本発明に係る化合物は、感光体に利用することができる。本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 感光体
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
3c 単層型感光層
4 中間層
5 保護層

Claims (6)

  1. 導電性基体と、感光層とを備え、
    前記感光層は、電荷発生剤と、下記化学式(1−3)、(1−4)、又は(1−6)で表される化合物とを少なくとも含有する、電子写真感光体。
    Figure 0006631544
    Figure 0006631544
    Figure 0006631544
  2. 前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを含み、
    前記電荷発生層は、前記電荷発生剤を含有し、
    前記電荷輸送層は、前記化学式(1−3)、(1−4)、又は(1−6)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層は、単層である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層は、下記一般式(11)で表される化合物を更に含有する、請求項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006631544
    (前記一般式(11)中、
    21、R22及びR23のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R21、R22及びR23のうちの残りは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、R21、R22及びR23のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよく、
    24、R25及びR26のうちの少なくとも1つは、炭素原子数4以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R24、R25及びR26のうちの残りは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、R24、R25及びR26のうちの少なくとも2つは、互いに結合して環を形成してもよい。)
  5. 前記一般式(11)中、
    21、R22及びR23のうちの1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R21、R22及びR23のうちの残り2つは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    24、R25及びR26のうちの1つは、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上5以下のアルキル基を表し、R24、R25及びR26のうちの残り2つは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す、請求項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記一般式(11)で表される化合物は、下記化学式(11−1)で表される化合物である、請求項又はに記載の電子写真感光体。
    Figure 0006631544
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