JP2017198833A - キノン誘導体及び電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光体の電気特性を向上させるキノン誘導体を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるキノン誘導体。【選択図】なし
Description
本発明は、キノン誘導体及び電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、化学式(E−1)又は(E−2)で表される化合物を含有する。
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、電気特性が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光体の電気特性を向上させるキノン誘導体を提供することである。また、本発明の別の目的は、電気特性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明のキノン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
前記一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。R4は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、上述のキノン誘導体を含む。
本発明のキノン誘導体は、電子写真感光体の電気特性を向上させることができる。本発明の電子写真感光体は、電気特性が優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、ハロゲン原子、及び複素環基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はn−ヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数7以上12以下のアラルキル基としては、例えば、フェニル基と炭素原子数1以上6以下のアルキル基とが結合した基、又はナフチル基とメチル基若しくはエチル基とが結合した基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、又はシクロデシル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
複素環基は、非置換である。複素環基としては、例えば、1個以上(好ましくは1個以上3個以下)のヘテロ原子を含み、芳香性を有する5員又は6員の単環の複素環基;このような単環同士が縮合した複素環基;又は、このような単環と、5員又は6員の炭化水素環とが縮合した複素環基が挙げられる。ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子からなる群から選択される1種以上である。複素環基の具体例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H−キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又はベンズイミダゾリル基が挙げられる。
<第一実施形態:キノン誘導体>
<1.キノン誘導体>
本発明の実施形態に係るキノン誘導体に関する。第一実施形態に係るキノン誘導体は、一般式(1)で表される。以下、一般式(1)で表されるキノン誘導体をキノン誘導体(1)と記載することがある。
<1.キノン誘導体>
本発明の実施形態に係るキノン誘導体に関する。第一実施形態に係るキノン誘導体は、一般式(1)で表される。以下、一般式(1)で表されるキノン誘導体をキノン誘導体(1)と記載することがある。
一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。R4は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。
第一実施形態に係るキノン誘導体(1)は、感光体の電気特性を向上させる。その理由は以下のように推測される。キノン誘導体(1)は、3つのベンゾキノンメチド部分がベンゼン環に結合した平面構造を有する。このようにキノン誘導体(1)が比較的大きなπ共役系を有するため、キャリア(電子)の受容性及び輸送性に優れる傾向にある。また、キノン誘導体(1)では、ベンゾキノンメチド部分がR4を有し、ベンゼン環がR1、R2、及びR3を有する。このため、キノン誘導体(1)は、感光層を形成するための溶媒への溶解性、及び感光層中での分散性に優れる傾向にある。よって、第一実施形態に係るキノン誘導体(1)は、感光体の電気特性を向上させると考えられる。
引き続き、第一実施形態に係るキノン誘導体(1)を説明する。一般式(1)中、R1、R2、及びR3で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はイソプロピル基がより好ましい。一般式(1)中、R4で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はt−ブチル基がより好ましい。R1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R4で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R4で表される炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R4で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は複素環基が挙げられる。
一般式(1)中、R1、R2、及びR3は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、R4は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、4つのR4が互いに同一であることが好ましく、R1、R2、及びR3はメチル基又はイソプロピル基を表し、R4はメチル基又はt−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、互いに同一であっても異なってもよい。感光層中でのキノン誘導体(1)の分散性を向上させる観点から、R1、R2、及びR3が全て同一でないことが好ましい。R1、R2、及びR3のうち少なくとも一つが他と異なると、キノン誘導体(1)の対称性を崩すことができるからである。
キノン誘導体(1)の具体例としては、化学式(1−1)〜(1−3)で表されるキノン誘導体(以下、キノン誘導体(1−1)〜(1−3)と記載することがある)が挙げられる。
<2.キノン誘導体の製造方法>
キノン誘導体(1)は、例えば、反応式(R−1)で表す反応式(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。キノン誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)を含む。
キノン誘導体(1)は、例えば、反応式(R−1)で表す反応式(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。キノン誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)を含む。
反応(R−1)において、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ一般式(1)中のR1、R2、R3、及びR4と同義である。
反応(R−1)では、1当量の一般式(A)で表されるフェノール誘導体(以下、フェノール誘導体(A)と記載することがある)を酸化剤の存在下及び溶媒中で反応させて、1当量のキノン誘導体(1)を得る。反応(R−1)では、1モルのフェノール誘導体(A)に対して、20モル以上40モル以下の酸化剤を添加することが好ましい。フェノール誘導体(A)の物質量1モルに対して20モル以上の酸化剤を添加すると、キノン誘導体(1)の収率を向上させ易い。一方、フェノール誘導体(A)の物質量1モルに対して40モル以下の酸化剤を添加すると、反応後に未反応の酸化剤が残留し難く、キノン誘導体(1)の精製が容易となる。反応(R−1)の反応時間は15時間以上35時間以下であることが好ましい。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンが挙げられる。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、メタクロロ過安息香酸、又は過酢酸が挙げられる。
キノン誘導体(1)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー、又は晶折等)が挙げられる。
以上、第一実施形態に係るキノン誘導体(1)を説明した。第一実施形態に係るキノン誘導体(1)によれば、感光体の電気特性を向上させることができる。
<第二実施形態:電子写真感光体>
本発明の第二実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)、又は単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
本発明の第二実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)、又は単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
<1.積層型感光体>
以下、図1を参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
以下、図1を参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを備える。積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1(a)に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
図1(b)に示すように、感光体1としての積層型感光体では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3と中間層(下引き層)4とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。また、感光層3上には、保護層5(図2参照)が設けられていてもよい。
電荷発生層3a及び電荷輸送層3bの厚さは、それぞれの層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3のうちの電荷発生層3aは、電荷発生剤を含有する。電荷発生層3aは、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷発生層3aは、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。
電荷輸送層3bは、電子アクセプター化合物としてキノン誘導体(1)を含有する。電荷輸送層3bは、正孔輸送剤、又はバインダー樹脂を含有してもよい。電荷輸送層3bは、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。以上、図1を参照して、感光体1が積層型感光体である場合の感光体1の構造について説明した。
<2.単層型感光体>
以下、図2を参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2は、本実施形態に係る感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
以下、図2を参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2は、本実施形態に係る感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
図2(a)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体1としての単層型感光体には、感光層3として、単層型感光層3cが備えられる。単層型感光層3cは、一層の感光層3である。
図2(b)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図2(c)に示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3としての単層型感光層3cは、電子輸送剤としてキノン誘導体(1)を含有する。単層型感光層3cは、電荷発生剤、正孔輸送剤及びバインダー樹脂のうちの1種類以上を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。つまり、感光体1が単層型感光体である場合、電子輸送剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂又は添加剤)とは、一層の感光層3(単層型感光層3c)に含有される。以上、図2を参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明した。
次に、積層型感光体及び単層型感光体の要素について説明する。
<3.導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<4.電子輸送剤、電子アクセプター化合物>
既に説明したように、感光層は、キノン誘導体(1)を含有する。感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物としてキノン誘導体(1)を含有する。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤としてキノン誘導体(1)を含有する。感光層がキノン誘導体(1)を含むことにより、第二実施形態に係る感光体は、電気特性に優れる。
既に説明したように、感光層は、キノン誘導体(1)を含有する。感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物としてキノン誘導体(1)を含有する。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤としてキノン誘導体(1)を含有する。感光層がキノン誘導体(1)を含むことにより、第二実施形態に係る感光体は、電気特性に優れる。
感光体が積層型感光体である場合、キノン誘導体(1)の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、キノン誘導体(1)の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層はキノン誘導体(1)に加えて、更に別の電子アクセプター化合物を含有してもよい。単層型感光層はキノン誘導体(1)に加えて、更に別の電子輸送剤を含有してもよい。別の電子アクセプター化合物及び電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物(キノン誘導体(1)以外の他のキノン系化合物)、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
<5.正孔輸送剤>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、正孔輸送剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、化学式(H−1)で表される化合物(以下、化合物(H−1)と記載することがある)が好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、正孔輸送剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、化学式(H−1)で表される化合物(以下、化合物(H−1)と記載することがある)が好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
<6.電荷発生剤>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、電荷発生剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電荷発生剤を含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、電荷発生剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電荷発生剤を含有してもよい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(以下、化合物(C−1)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、化合物(C−2)と記載することがある)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、α型、β型、又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。このような画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーを備えるレーザープリンター又はファクシミリが挙げられる。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層にキノン誘導体(1)を含有する場合、感光体の電気特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含有されるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
<7.バインダー樹脂>
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、バインダー樹脂を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、バインダー樹脂を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた単層型感光層及び電荷輸送層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、下記化学式(Resin−1)で表される繰返し単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)と記載することがある)、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層用塗布液又は単層型感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷輸送層又は単層型感光層を形成し易くなる。
<8.ベース樹脂>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層はベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂は、感光体に適用できるベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)、又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。ベース樹脂は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層はベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂は、感光体に適用できるベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)、又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。ベース樹脂は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂とは異なることが好ましい。電荷輸送層用塗布液の溶剤に電荷発生層を溶解させないためである。ここで、積層型感光体の製造では、導電性基体上に電荷発生層を形成し、電荷発生層上に電荷輸送層を形成することが一般的である。電荷輸送層を形成する際に、電荷発生層上に、電荷輸送層用塗布液を塗布するからである。
<9.添加剤>
感光体の感光層(電荷発生層、電荷輸送層、又は単層型感光層)は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(より具体的には、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール等)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。
感光体の感光層(電荷発生層、電荷輸送層、又は単層型感光層)は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(より具体的には、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール等)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。
<10.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
<11.感光体の製造方法>
感光体が積層型感光体である場合、積層型感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
感光体が積層型感光体である場合、積層型感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、ベース樹脂及び各種の添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷発生層用塗布液は調製される。電子アクセプター化合物としてのキノン誘導体(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂、正孔輸送剤及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷輸送層用塗布液は調製される。
次に、感光体が単層型感光体である場合、単層型感光体は、例えば、以下のように製造される。単層型感光体は、単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。単層型感光層用塗布液は、電子輸送剤としてのキノン誘導体(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液、又は単層型感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、アルコール類(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル類(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル類(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以上、本実施形態に係る感光体について説明した。本実施形態の感光体によれば、電気特性に優れる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、電荷発生剤、及び電子輸送剤を準備した。
単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、電荷発生剤、及び電子輸送剤を準備した。
<1−1.電子輸送剤>
電子輸送剤として、キノン誘導体(1−1)〜(1−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。
電子輸送剤として、キノン誘導体(1−1)〜(1−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。
<1−1−1.キノン誘導体(1−1)の製造>
反応(R−2)に従って、キノン誘導体(1−1)を製造した。
反応(R−2)に従って、キノン誘導体(1−1)を製造した。
反応(R−2)では、化学式(A−1)で表されるフェノール誘導体(以下、フェノール誘導体(A−1)と記載することがある)を酸化させて、キノン誘導体(1−1)を得た。詳しくは、容量200mLのフラスコを反応容器として用いた。反応容器に、フェノール誘導体(A−1)1.55g(2ミリモル)と、クロロホルム50mLとを投入し、クロロホルム溶液を調製した。更に過マンガン酸カリウム(4.74g、30ミリモル)を反応容器に投入した。そして、反応容器の内容物を室温(25℃)で24時間攪拌した。続けて、反応容器の内容物をろ過し、ろ液を得た。ろ液中の溶媒を留去した。展開溶媒としてクロロホルムを用いて、留去したろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、キノン誘導体(1−1)を得た。キノン誘導体(1−1)の収率は、0.77g(収率50%)であった。
<1−1−2.キノン誘導体(1−2)〜(1−3)の製造>
以下の点を変更した以外は、キノン誘導体(1−1)の製造と同様の方法で、キノン誘導体(1−2)〜(1−3)をそれぞれ製造した。なお、キノン誘導体(1−2)〜(1−3)の製造において使用される各原料は、キノン誘導体(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
以下の点を変更した以外は、キノン誘導体(1−1)の製造と同様の方法で、キノン誘導体(1−2)〜(1−3)をそれぞれ製造した。なお、キノン誘導体(1−2)〜(1−3)の製造において使用される各原料は、キノン誘導体(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
表1に、反応(R−2)におけるフェノール誘導体(A)及びキノン誘導体(1)を示す。ここで、フェノール誘導体(A)は、反応(R−2)における反応物質(Reactant)である。反応(R−2)で使用されたフェノール誘導体(A−1)を表1に記載のフェノール誘導体(A)に変更した。その結果、キノン誘導体(1−2)〜(1−3)が得られた。表1にキノン誘導体(1)の収量及び収率を示す。
表1中、フェノール誘導体(A)の種類欄のA−1、A−2及びA−3は、それぞれフェノール誘導体(A−1)、(A−2)、及び(A−3)を示す。フェノール誘導体(A−2)及び(A−3)は、それぞれ、下記化学式(A−2)及び(A−3)で表される。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造したキノン誘導体(1−1)〜(1−3)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうちキノン誘導体(1−1)を代表例として挙げる。図3は、キノン誘導体(1−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図3中、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示し、横軸は化学シフト(単位:ppm)を示す。以下に、キノン誘導体(1−1)の化学シフト値を示す。
キノン誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=7.09−7.18(m, 6H), 6.69−6.72(m, 3H), 2.10(s, 9H), 1.35(s, 27H), 1.15−1.23(m, 27H).
キノン誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=7.09−7.18(m, 6H), 6.69−6.72(m, 3H), 2.10(s, 9H), 1.35(s, 27H), 1.15−1.23(m, 27H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、キノン誘導体(1−1)が得られていることを確認した。他のキノン誘導体(1−2)〜(1−3)も同様にして、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、それぞれキノン誘導体(1−2)〜(1−3)が得られていることを確認した。
<1−1−3.化合物(E−1)の準備>
電子輸送剤として、化学式(E−1)及び(E−2)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(E−1)及び(E−2)と記載することがある)を準備した。
電子輸送剤として、化学式(E−1)及び(E−2)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(E−1)及び(E−2)と記載することがある)を準備した。
<1−2.正孔輸送剤>
正孔輸送剤として、既に説明した化合物(H−1)を準備した。
正孔輸送剤として、既に説明した化合物(H−1)を準備した。
<1−3.電荷発生剤>
電荷発生剤として、既に説明した化合物(C−1)〜(C−2)を準備した。化合物(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、化合物(C−1)の結晶構造はX型であった。
電荷発生剤として、既に説明した化合物(C−1)〜(C−2)を準備した。化合物(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、化合物(C−1)の結晶構造はX型であった。
化合物(C−2)は、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン)であった。また、化合物(C−2)の結晶構造はY型であった。Y型チタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.2°に主ピークを有していることを確認した。
<1−4.バインダー樹脂>
バインダー樹脂として、既に説明したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
バインダー樹脂として、既に説明したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
<2.単層型感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(A−1)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)を製造した。
感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(A−1)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)を製造した。
<2−1.単層型感光体(A−1)の製造>
電荷発生剤としての化合物(C−1)5質量部、正孔輸送剤としての化合物(H−1)80質量部、電子輸送剤としてのキノン誘導体(1−1)40質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部、及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて単層型感光層用塗布液を塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、単層型感光体(A−1)が得られた。
電荷発生剤としての化合物(C−1)5質量部、正孔輸送剤としての化合物(H−1)80質量部、電子輸送剤としてのキノン誘導体(1−1)40質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部、及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて単層型感光層用塗布液を塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、単層型感光体(A−1)が得られた。
<2−2.単層型感光体(A−2)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)の製造>
以下の点を変更した以外は、単層型感光体(A−1)の製造と同様の方法で、単層型感光体(A−2)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)を各々製造した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としての化合物(C−1)を、表2に示す種類の電荷発生剤に変更した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としてのキノン誘導体(1−1)を、表2に示す種類の電子輸送剤に変更した。なお、表2に感光体(A−1)〜(A−6)及び感光体(B−1)〜(B−4)の構成を示す。表2中、CGM、HTM、及びETMは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表2中、CGM欄のx−H2Pc及びY−TiOPcは、各々X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを示す。HTM欄のH−1は化合物(H−1)を示す。ETM欄の1−1〜1−3、及びE−1〜E−2は、各々、キノン誘導体(1−1)〜(1−3)、及び化合物(E−1)〜(E−2)を示す。
以下の点を変更した以外は、単層型感光体(A−1)の製造と同様の方法で、単層型感光体(A−2)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)を各々製造した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としての化合物(C−1)を、表2に示す種類の電荷発生剤に変更した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としてのキノン誘導体(1−1)を、表2に示す種類の電子輸送剤に変更した。なお、表2に感光体(A−1)〜(A−6)及び感光体(B−1)〜(B−4)の構成を示す。表2中、CGM、HTM、及びETMは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表2中、CGM欄のx−H2Pc及びY−TiOPcは、各々X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを示す。HTM欄のH−1は化合物(H−1)を示す。ETM欄の1−1〜1−3、及びE−1〜E−2は、各々、キノン誘導体(1−1)〜(1−3)、及び化合物(E−1)〜(E−2)を示す。
<3.感光体の性能評価>
<3−1.単層型感光体の電気特性の評価>
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件を、単層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAに設定した。帯電直後の単層型感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、単層型感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の単層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された単層型感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の電気特性が優れていることを示す。
<3−1.単層型感光体の電気特性の評価>
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−6)及び単層型感光体(B−1)〜(B−4)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件を、単層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAに設定した。帯電直後の単層型感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、単層型感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の単層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された単層型感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の電気特性が優れていることを示す。
表2に示すように、感光体(A−1)〜(A−6)では、感光層は電子輸送剤としてキノン誘導体(1−1)〜(1−3)の何れか1種類を含有していた。これらキノン誘導体(1−1)〜(1−3)は、一般式(1)で表される化合物であった。また、感光体(A−1)〜(A−6)では、感度電位が+110V以上+117V以下であった。
表2に示すように、感光体(B−1)〜(B−4)では、感光層は、電子輸送剤として化合物(E−1)又は(E−2)を含有していた。化合物(E−1)及び(E−2)は、一般式(1)で表される化合物ではなかった。また、感光体(B−1)〜(B−4)では、感度電位が+123V以上+146V以下であった。
感光体(A−1)〜(A−6)は、感光体(B−1)〜(B−4)に比べ、電気特性に優れることが明らかである。
以上から、一般式(1)で表されるキノン誘導体が感光体の電気特性を向上させること、及び一般式(1)で表されるキノン誘導体を含有する感光層を備える感光体は、電気特性に優れることが明らかである。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
3c 単層型感光層
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
3c 単層型感光層
Claims (7)
- 前記一般式(1)中、
R1、R2、及びR3は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
R4は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
6つのR4は、互いに同一である、請求項1に記載のキノン誘導体。 - R1、R2、及びR3が全て同一ではない、請求項1又は2に記載のキノン誘導体。
- 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、請求項1〜3の何れか一項に記載のキノン誘導体を含む、電子写真感光体。 - 前記感光層は、単層型感光層である、請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、電荷発生剤を更に含み、
前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン、又はY型チタニルフタロシアニンを含む、請求項4又は5に記載の電子写真感光体。
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