JP6528900B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、例えば、化学式(E−1)で表される化合物を含有する。
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、電気特性が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気特性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する。
前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有してもよい炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。
本発明の電子写真感光体は、電気特性に優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。一般式及び化学式中の「CH3(CH2)5−」はn−ヘキシル基を示し、「CH3(CH2)7−」はn−オクチル基を示す。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上19以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、及び炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1以上20以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上20以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、又はn−イコシル基が挙げられる。
炭素原子数6以上20以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数6以上20以下のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、又はn−イコシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、又はイソペンチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上19以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上19以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、へプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、へプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、又はノナデシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換のである。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、又はシクロデシル基が挙げられる。
炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基は、炭素原子数1以上19以下のアルコキシ基と、カルボニル基とが結合したエステル基である。炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、へプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリデシルオキシカルボニル基、テトラデシルオキシカルボニル基、ペンタデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基、へプタデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、又はノナデシルオキシカルボニル基が挙げられる。
炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基は、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基と、カルボニル基とが結合したエステル基である。炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、又はペンチルオキシカルボニル基が挙げられる。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、一般式(1)で表される化合物(以下、ジイミド化合物(1)と記載することがある)を含有する。
本実施形態に係る感光体は、電気特性に優れる。その理由は以下のように推測される。ジイミド化合物(1)は、ジベンゾフルオレノン部分とイミド部分とが結合した平面構造を有する。このようにジイミド化合物(1)が比較的大きなπ共役系を有するため、キャリア(電子)の受容性及び輸送性に優れる傾向にある。また、ジイミド化合物(1)は、2つのイミド部分にR1及びR2が置換した構造を有する。このため、ジイミド化合物(1)は、感光層を形成するための溶媒への溶解性、及び感光層中での分散性に優れる傾向にある。よって、本実施形態に係る感光体は、電気特性に優れると考えられる。
<1.積層型感光体>
本実施形態に係る感光体は、積層型感光体であってもよく、単層型感光体であってもよい。以下、図1A〜図1Cを参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1A〜図1Cは、本発明の実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
本実施形態に係る感光体は、積層型感光体であってもよく、単層型感光体であってもよい。以下、図1A〜図1Cを参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1A〜図1Cは、本発明の実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
図1Aに示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを備える。積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1Aに示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
図1Bに示すように、感光体1としての積層型感光体では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図1Cに示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3と中間層(下引き層)4とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。また、感光層3上には、保護層5(図2C参照)が設けられていてもよい。
電荷発生層3a及び電荷輸送層3bの厚さは、それぞれの層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3のうちの電荷発生層3aは、電荷発生剤を含有する。電荷発生層3aは、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷発生層3aは、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
電荷輸送層3bは、電子アクセプター化合物としてジイミド化合物(1)を含有する。電荷輸送層3bは、正孔輸送剤又はバインダー樹脂を含有してもよい。電荷輸送層3bは、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。以上、図1A〜図1Cを参照して、感光体1が積層型感光体である場合の感光体1の構造について説明した。
<2.単層型感光体>
以下、図2A〜図2Cを参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2A〜図2Cは、本実施形態に係る感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
以下、図2A〜図2Cを参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2A〜図2Cは、本実施形態に係る感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
図2Aに示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体1としての単層型感光体には、単層(一層)の感光層3が備えられる。以下、単層の感光層3を、単層型感光層3cと記載することがある。
図2Bに示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図2Cに示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3としての単層型感光層3cは、電荷発生剤と、電子輸送剤としてジイミド化合物(1)とを含有する。単層型感光層3cは、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂のうちの一以上を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。つまり、感光体1が単層型感光体である場合、電荷発生剤と、電子輸送剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂、又は添加剤)とは、一層の感光層3(単層型感光層3c)に含有される。以上、図2A〜図2Cを参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明した。
次に、積層型感光体及び単層型感光体の要素について説明する。
<3.導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<4.ジイミド化合物>
感光層は、ジイミド化合物(1)を含有する。感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物としてジイミド化合物(1)を含有する。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤としてジイミド化合物(1)を含有する。感光層はジイミド化合物(1)が含有すると、感光体の電気特性を向上させることができる。ジイミド化合物(1)は、一般式(1)で表される。
感光層は、ジイミド化合物(1)を含有する。感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物としてジイミド化合物(1)を含有する。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤としてジイミド化合物(1)を含有する。感光層はジイミド化合物(1)が含有すると、感光体の電気特性を向上させることができる。ジイミド化合物(1)は、一般式(1)で表される。
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有してもよい炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。
一般式(1)中、R1及びR2で表される炭素原子数1以上20以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有してもよい。このような炭素原子数1以上20以下のアルキル基としては、例えば、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基が好ましい。置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有するフェニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基がより好ましく、メチルベンジル基が更に好ましい。炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基が挙げられ、1−エトキシカルボニル−3−メチルブチル基、又は1,3−ジエトキシカルボニルプロピル基が好ましい。炭素原子数6以上20以下のアルキル基としては、例えば、2−ヘキシルデシル基が挙げられる。このようにジイミド部分の置換基(N−置換基)R1及びR2が無置換の長鎖アルキル基(より具体的には、炭素原子数6以上20以下のアルキル基等)、又は極性の置換基(より具体的には、アルコキシカルボニル基等)若しくはアリール基を有するアルキル基(より具体的には、炭素原子数1以上5以下のアルキル基等)であると、ジイミド化合物(1)の感光層を形成するための溶剤への溶解性、及び感光層中でのジイミド化合物(1)の分散性が更に向上する傾向にある。このため、このようなアルキル基を有するジイミド化合物(1)は、比較的大きなπ共役系を有しつつも、感光層を形成するための溶剤への溶解性及び感光層中での分散性に優れる傾向にある。このため、感光層がジイミド化合物(1)を含有すると、感光体の電気特性が優れるとともに、感光体での結晶化を抑制し易い。
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、置換基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表すことが好ましい。置換基は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基;炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基;又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表すことが好ましい。一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有するフェニル基(好ましくはメチルフェニル基)を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基;炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基;又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であることが好ましい。一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であって、炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基を1つ有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表すことが更に好ましい。
ジイミド化合物(1)の具体例としては、化学式(1−1)〜(1−4)で表される化合物(以下、ジイミド化合物(1−1)〜(1−4)と記載することがある)が挙げられる。
ジイミド化合物(1)は、例えば、反応式(R−1)で表す反応(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。
反応(R−1)において、Rは、一般式(1)中のR1及びR2が互いに同一である場合のR1及びR2と同義である。Xはハロゲン原子を表し、臭素原子が好ましい。
反応(R−1)では、1当量の一般式(A)で表されるフルオレノン誘導体(以下、フルオレノン誘導体(A)と記載することがある)と1当量の一般式(B)で表されるN−置換マレイミド誘導体(以下、N−置換マレイミド誘導体(B)と記載することがある)とを還元剤の存在下及び溶媒中で反応させて、1当量のジイミド化合物(1)を得る。反応(R−1)では、1モルのフルオレノン誘導体(A)に対して、1モル以上2.5モル以下のN−置換マレイミド誘導体(B)を添加することが好ましい。1モルのフルオレノン誘導体(A)に対して1モル以上のN−置換マレイミド誘導体(B)を添加すると、ジイミド化合物(1)の収率を向上させ易い。一方、1モルのフルオレノン誘導体(A)に対して2.5モル以下のN置換マレイミド誘導体(B)を添加すると、反応後に未反応のN−置換マレイミド誘導体(B)が残留し難く、ジイミド化合物(1)の精製が容易となる。反応(R−1)の反応温度は50℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は10時間以上30時間以下であることが好ましい。反応(R−1)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又はジメチルアセトアミドが挙げられる。還元剤としては、例えば、ヨウ化カリウム、又はヨウ化ナトリウムが挙げられる。反応(R−1)は、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気下で進行することが好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、ジイミド化合物(1)の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、ジイミド化合物(1)の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層がジイミド化合物(1)を含有する場合、電荷輸送層はジイミド化合物(1)に加えて、更に別の電子アクセプター化合物を含有してもよい。単層型感光層がジイミド化合物(1)に加えて、更に別の電子輸送剤を含有してもよい。別の電子アクセプター化合物及び電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物(ジイミド化合物(1)以外の他のジイミド系化合物)、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<5.正孔輸送剤>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、正孔輸送剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、化学式(H−1)で表される化合物(以下、化合物(H−1)と記載することがある)が好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、正孔輸送剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、化学式(H−1)で表される化合物(以下、化合物(H−1)と記載することがある)が好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
<6.電荷発生剤>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、電荷発生剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電荷発生剤を含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、電荷発生剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電荷発生剤を含有してもよい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(以下、化合物(C−1)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、化合物(C−2)と記載することがある)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層にジイミド化合物(1)を含有する場合、感光体の電気特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含有されるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
<7.バインダー樹脂>
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、バインダー樹脂を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、バインダー樹脂を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた単層型感光層及び電荷輸送層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は、例えば、下記化学式(r−1)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、Z型ポリカーボネート樹脂(r−1)と記載することがある)である。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層用塗布液又は単層型感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷輸送層又は単層型感光層を形成し易くなる。
<8.ベース樹脂>
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層はベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂は、感光体に適用できるベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。ベース樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層はベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂は、感光体に適用できるベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。ベース樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂とは異なることが好ましい。電荷輸送層用塗布液の溶剤に電荷発生層を、溶解させないためである。ここで、積層型感光体の製造では、導電性基体上に電荷発生層を形成し、電荷発生層上に電荷輸送層を形成することが一般的である。電荷輸送層を形成する際に、電荷発生層上に、電荷輸送層用塗布液を塗布するからである。
<9.添加剤>
感光体の感光層(電荷発生層、電荷輸送層又は単層型感光層)は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
感光体の感光層(電荷発生層、電荷輸送層又は単層型感光層)は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
<10.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
<11.感光体の製造方法>
感光体が積層型感光体である場合、積層型感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
感光体が積層型感光体である場合、積層型感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥することによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、ベース樹脂及び各種の添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷発生層用塗布液は調製される。電子アクセプター化合物としてのジイミド化合物(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、バインダー樹脂、正孔輸送剤及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷輸送層用塗布液は調製される。
次に、感光体が単層型感光体である場合、単層型感光体は、例えば、以下のように製造される。単層型感光体は、単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。単層型感光層用塗布液は、電子輸送剤としてのジイミド化合物(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液又は単層型感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以上、本実施形態に係る感光体について説明した。本実施形態の感光体によれば、電気特性に優れる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、電荷発生剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
単層型感光体の単層型感光層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、電荷発生剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
<1−1.電子輸送剤>
電子輸送剤として、ジイミド化合物(1−1)〜(1−4)を、それぞれ以下の方法で製造した。
電子輸送剤として、ジイミド化合物(1−1)〜(1−4)を、それぞれ以下の方法で製造した。
<1−1−1.ジイミド化合物(1−1)の製造>
反応(R−2)に従って、ジイミド化合物(1−1)を製造した。
反応(R−2)に従って、ジイミド化合物(1−1)を製造した。
反応(R−2)では、フルオレノン誘導体(1A)とN−置換マレイミド誘導体(1B)とを反応させて、ジイミド化合物(1−1)を得た。詳しくは、容量200mLのフラスコに、フルオレノン誘導体(1A)0.87g(1.0ミリモル)と、N−置換マレイミド誘導体(1B)0.80g(2.5ミリモル)と、ヨウ化ナトリウム1.5g(10ミリモル)と、乾燥させたジメチルアセトアミド20mLとを投入した。フラスコ内をアルゴンガスで置換した。フラスコ内容物を、80℃で20時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物にイオン交換水を加え、有機層を抽出した。有機層を減圧留去し、残渣を得た。得られた残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。これにより、ジイミド化合物(1−1)を得た。ジイミド化合物(1−1)の収量は、0.52g(収率:60モル%)であった。
<1−1−2.ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)の製造>
以下の点を変更した以外は、ジイミド化合物(1−1)の製造と同様の方法で、ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)をそれぞれ製造した。なお、ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)の製造において使用される各原料は、ジイミド化合物(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
以下の点を変更した以外は、ジイミド化合物(1−1)の製造と同様の方法で、ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)をそれぞれ製造した。なお、ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)の製造において使用される各原料は、ジイミド化合物(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
表1に、反応(R−2)におけるフルオレノン誘導体(A)、N−置換マレイミド誘導体(B)及びジイミド化合物(1)を示す。ここで、フルオレノン誘導体(A)、及びN−置換マレイミド誘導体(B)は、反応(R−2)における反応物質(Reactant)である。反応(R−2)で使用されたフルオレノン誘導体(1A)及びN−置換マレイミド誘導体(1B)をそれぞれ表1に記載のフルオレノン誘導体(A)及びN−置換マレイミド誘導体(B)に変更した。その結果、ジイミド化合物(1−2)〜(1−4)が得られた。表1にジイミド化合物(1)の収量及び収率を示す。
表1中、N−置換マレイミド誘導体の欄「種類」の2B、3B、及び4Bは、それぞれN−置換マレイミド誘導体(2B)、(3B)、及び(4B)を示す。N−置換マレイミド誘導体(2B)〜(4B)は、それぞれ下記化学式(2B)〜(4B)で表される。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社、300MHz)を用いて、製造したジイミド化合物(1−1)〜(1−4)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち、ジイミド化合物(1−1)を代表例として挙げる。以下に、ジイミド化合物(1−1)の化学シフト値を示す。
ジイミド化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=8.45(s, 2H), 8.37(s, 4H), 8.36(s, 2H), 3.60(d, 4H), 1.81−1.88(m, 2H), 1.21−1.35(m, 48H), 0.80−0.84(m, 12H).
ジイミド化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ=8.45(s, 2H), 8.37(s, 4H), 8.36(s, 2H), 3.60(d, 4H), 1.81−1.88(m, 2H), 1.21−1.35(m, 48H), 0.80−0.84(m, 12H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値より、ジイミド化合物(1−1)が得られたことを確認した。他のジイミド化合物(1−2)〜(1−4)も同様にして、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値よりそれぞれジイミド化合物(1−2)〜(1−4)が得られていることを確認した。
<1−1−3.化合物(E−1)の準備>
電子輸送剤として、化学式(E−1)で表される化合物(以下、化合物(E−1)と記載することがある)を準備した。
電子輸送剤として、化学式(E−1)で表される化合物(以下、化合物(E−1)と記載することがある)を準備した。
<1−2.正孔輸送剤>
正孔輸送剤として、既に説明した化合物(H−1)を準備した。
正孔輸送剤として、既に説明した化合物(H−1)を準備した。
<1−3.電荷発生剤>
電荷発生剤として、既に説明した化合物(C−1)〜(C−2)を準備した。化合物(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、化合物(C−1)の結晶構造はX型であった。
電荷発生剤として、既に説明した化合物(C−1)〜(C−2)を準備した。化合物(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、化合物(C−1)の結晶構造はX型であった。
化合物(C−2)は、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン)であった。また、化合物(C−2)の結晶構造はY型であった。
<1−4.バインダー樹脂>
バインダー樹脂として、既に説明したZ型ポリカーボネート樹脂(r−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
バインダー樹脂として、既に説明したZ型ポリカーボネート樹脂(r−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
<2.単層型感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)を製造した。
感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)を製造した。
<2−1.単層型感光体(A−1)の製造>
電荷発生剤としての化合物(C−1)5質量部、正孔輸送剤としての化合物(H−1)80質量部、電子輸送剤としてのジイミド化合物(1−1)40質量部、バインダー樹脂としてのZ型ポリカーボネート樹脂(r−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。単層型感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を、100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、単層型感光体(A−1)が得られた。
電荷発生剤としての化合物(C−1)5質量部、正孔輸送剤としての化合物(H−1)80質量部、電子輸送剤としてのジイミド化合物(1−1)40質量部、バインダー樹脂としてのZ型ポリカーボネート樹脂(r−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、単層型感光層用塗布液を得た。単層型感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した単層型感光層用塗布液を、100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、単層型感光体(A−1)が得られた。
<2−2.単層型感光体(A−2)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)の製造>
以下の点を変更した以外は、単層型感光体(A−1)の製造と同様の方法で、単層型感光体(A−2)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)を各々製造した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としての化合物(C−1)を、表2に示す種類の電荷発生剤に変更した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としてのジイミド化合物(1−1)を、表2に示す種類の電子輸送剤に変更した。なお、表2に感光体(A−1)〜(A−8)及び感光体(B−1)〜(B−2)の構成を示す。表2中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表2中、欄「CGM」のx−H2Pc及びY−TiOPcは、それぞれ、化合物(C−1、X型無金属フタロシアニン)及び化合物(C−2、Y型チタニルフタロシアニン)を示す。欄「HTM」のH−1は化合物(H−1)を示す。ETM欄の1−1〜1−4及びE−1は、それぞれジイミド化合物(1−1)〜(1−4)及び化合物(E−1)を示す。
以下の点を変更した以外は、単層型感光体(A−1)の製造と同様の方法で、単層型感光体(A−2)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)を各々製造した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としての化合物(C−1)を、表2に示す種類の電荷発生剤に変更した。単層型感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としてのジイミド化合物(1−1)を、表2に示す種類の電子輸送剤に変更した。なお、表2に感光体(A−1)〜(A−8)及び感光体(B−1)〜(B−2)の構成を示す。表2中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表2中、欄「CGM」のx−H2Pc及びY−TiOPcは、それぞれ、化合物(C−1、X型無金属フタロシアニン)及び化合物(C−2、Y型チタニルフタロシアニン)を示す。欄「HTM」のH−1は化合物(H−1)を示す。ETM欄の1−1〜1−4及びE−1は、それぞれジイミド化合物(1−1)〜(1−4)及び化合物(E−1)を示す。
<3.感光体の性能評価>
<3−1.単層型感光体の電気特性の評価>
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件を、単層層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAに設定した。帯電直後の単層型感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、単層型感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の単層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された単層型感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の電気特性が優れていることを示す。
<3−1.単層型感光体の電気特性の評価>
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件を、単層層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAに設定した。帯電直後の単層型感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、単層型感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の単層型感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された単層型感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の電気特性が優れていることを示す。
表2に示すように、感光体(A−1)〜(A−8)では、感光層は電子輸送剤としてジイミド化合物(1−1)〜(1−4)の何れか1種を含有していた。これらジイミド化合物(1−1)〜(1−4)は、一般式(1)に包含される化合物であった。また、感光体(A−1)〜(A−8)では、感度電位が+101V以上+108V以下であった。
表2に示すように、感光体(B−1)〜(B−2)では、感光層は、電子輸送剤として化合物(E−1)を含有していた。化合物(E−1)は、一般式(1)に包含される化合物ではなかった。また、感光体(B−1)〜(B−2)では、感度電位が+130V以上+135V以下であった。
感光体(A−1)〜(A−8)は、感光体(B−1)〜(B−2)に比べ、電気特性に優れることが明らかである。
以上から、一般式(1)で表されるジイミド化合物を含有する感光層を備える感光体は、電気特性に優れることが明らかである。
<3−2.感光体の結晶化抑制の評価>
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)の表面を目視で観察した。
製造した単層型感光体(A−1)〜(A−8)及び単層型感光体(B−1)〜(B−2)の表面を目視で観察した。
感光体(A−1)〜(A−8)では、感光体の表面に結晶化は観察されなかった。一方、感光体(B−1)〜(B−2)では、感光体の表面に結晶化が若干観察された。以上から、一般式(1)で表されるジイミド化合物を含有する感光層を備える感光体は、結晶化が抑制されることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
Claims (9)
- 前記一般式(1)中、
R1及びR2は、各々独立に、前記置換基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基との少なくとも1つを有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表し、
前記置換基が炭素原子数1以上5以下のアルキル基である、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であって、炭素原子数2以上6以下のアルコキシカルボニル基を1つ有する炭素原子数1以上5以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上20以下のアルキル基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、単層である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンを含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
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