JP2019032359A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】感度特性を向上させることができる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備え、感光層3は、単層で、電荷発生剤と、一般式(1)で表される化合物とを含有する。一般式(1)中、R1は、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基、アルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6〜14のアリール基を表す。R2は、炭素原子数1〜6のアルキル基を有してもよいアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター、及び複合機)において用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体及び単層型電子写真感光体が挙げられる。積層型電子写真感光体は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含む感光層を備える。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、下記化学式(E−1)で表される化合物を含有する。
しかし、特許文献1に記載の感光体には、感度特性を向上させることについて、いまだ改善の余地が残されている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感度特性を向上させることができる電子写真感光体を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、単層であり、かつ電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する。
前記一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。mは、0以上4以下の整数を表す。mが2以上4以下の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であっても異なってもよい。
本発明の電子写真感光体によれば、感度特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。また、本明細書において、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、及びハロゲン原子は、各々、次の意味である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びn−ヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、及びt−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、及び炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基が挙げられる。より具体的な炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の水素原子の一つが炭素原子数6以上14以下のアリール基で置換された基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基、及びフェナントリルメチル基が挙げられる。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
また、以下の説明において、「炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい」とは、官能基の水素原子の一部又は全部が、炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよいことを意味する。「炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい」及び「ハロゲン原子を有してもよい」についても同様である。
<感光体の構造>
本発明の実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある。)の構造を説明する。図1、図2及び図3は、本発明の実施形態の一例である感光体1の構造を示す部分断面図である。図1に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層の感光層である。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接的に設けられてもよい。また、図2に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と、中間層4(例えば下引き層)と、感光層3とを備えてもよい。図2に示す例では、感光層3は、導電性基体2上に中間層4を介して間接的に設けられている。また、図3に示すように、感光体1は、最表面層として保護層5を備えてもよい。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある。)の構造を説明する。図1、図2及び図3は、本発明の実施形態の一例である感光体1の構造を示す部分断面図である。図1に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層の感光層である。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接的に設けられてもよい。また、図2に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と、中間層4(例えば下引き層)と、感光層3とを備えてもよい。図2に示す例では、感光層3は、導電性基体2上に中間層4を介して間接的に設けられている。また、図3に示すように、感光体1は、最表面層として保護層5を備えてもよい。
導電性基体2の形状は、感光体1が取り付けられる画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体2の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。なお、導電性基体2の厚さは、導電性基体2の形状に応じて適宜選択される。
感光層3の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層3の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある。)とを含有する。感光層3は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂の一方又は双方を更に含有してもよい。また、感光層3は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。単層型感光体である感光体1は、電荷発生剤と、化合物(1)と、必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤)とが一層の感光層3に含有される。
一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表す。mは、0以上4以下の整数を表す。mが2以上4以下の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であっても異なってもよい。
感光体1は、感光層3に化合物(1)を含有することにより、感度特性を向上させることができる。その理由は以下のように推測される。
化合物(1)は、空間的な広がりが比較的大きいπ共役系を有する。そのため、化合物(1)は、キャリア(電子)の受容性が高くなる傾向がある。また、化合物(1)はπ共役系が比較的大きいため、複数の化合物(1)のπ共役系が互いに重なり易くなり、複数の化合物(1)の分子間におけるキャリア(電子)の移動距離が比較的小さくなる。そのため、化合物(1)は、キャリア(電子)の輸送性が高くなる傾向がある。つまり、感光体1は、感光層3に、キャリア(電子)の受容性及び輸送性が比較的高い化合物(1)を含有するため、感度特性を向上させることができると考えられる。
以上、図1〜3を参照して、感光体1の構造について説明した。
<感光体の要素>
次に、本発明の実施形態に係る感光体の要素について説明する。
次に、本発明の実施形態に係る感光体の要素について説明する。
[導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。本実施形態では、これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。本実施形態では、これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
[感光層]
感光層は、単層であり、かつ電荷発生剤及び化合物(1)を含有する。感光層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂の一方又は双方を更に含有してもよい。また、感光層は、必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。以下、化合物(1)及びその合成方法、電荷発生剤、並びに任意成分である正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤について説明する。
感光層は、単層であり、かつ電荷発生剤及び化合物(1)を含有する。感光層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂の一方又は双方を更に含有してもよい。また、感光層は、必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。以下、化合物(1)及びその合成方法、電荷発生剤、並びに任意成分である正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤について説明する。
(化合物(1))
化合物(1)は、一般式(1)で表される化合物であり、例えば電子輸送剤として感光層に含有される。感光層は、化合物(1)の一種のみを含有してもよいし、化合物(1)の二種以上を含有してもよい。
化合物(1)は、一般式(1)で表される化合物であり、例えば電子輸送剤として感光層に含有される。感光層は、化合物(1)の一種のみを含有してもよいし、化合物(1)の二種以上を含有してもよい。
一般式(1)中、R1は、感度特性をより向上させる観点から、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するフェニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するフェニル基又はハロゲン原子を有するフェニル基を表すことがより好ましく、エチル基を有するフェニル基、メトキシ基を有するフェニル基又はフッ素原子を有するフェニル基を表すことが更に好ましく、エチル基を有するフェニル基又はフッ素原子を有するフェニル基を表すことが特に好ましい。
一般式(1)中のR1が炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するフェニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するフェニル基又はハロゲン原子を有するフェニル基を表す場合、このフェニル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はハロゲン原子は、R1が結合する炭素原子に対してオルト位に存在していることが好ましい。この場合、化合物(1)の構造の平面性が低下するため、感光層を形成する際の溶剤への溶解性が向上し、化合物(1)を感光層内に均一に分散させることができる。これにより、感度特性を更に向上させることができる。
一般式(1)中、R2は、感度特性をより向上させる観点から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。同様の観点から、mは、0又は1を表すことが好ましく、0を表すことがより好ましい。
化合物(1)としては、例えば、下記化学式(1−1)〜(1−5)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(1−1)〜(1−5)と記載することがある。)が挙げられる。
これらの化合物のうち、感度特性をより向上させる観点から、化合物(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)が好ましく、化合物(1−2)、(1−3)及び(1−4)がより好ましく、化合物(1−2)及び(1−3)が更に好ましい。
化合物(1)が電子輸送剤として感光層に含有される場合、化合物(1)の含有量は、例えば感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上60質量部以下であることが特に好ましい。
化合物(1)が電子輸送剤として感光層に含有される場合、感光層は、化合物(1)に加えて、更に別の電子輸送剤を含有してもよい。別の電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸のうち、化合物(1)とは異なる構造の電子輸送剤が挙げられる。電子輸送剤の合計質量に対する化合物(1)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(化合物(1)の合成方法)
化合物(1)は、例えば、以下に示す反応式(R1)で表される反応(以下、反応(R1)と記載することがある。)に従って又はこれに準ずる方法によって合成することができる。
化合物(1)は、例えば、以下に示す反応式(R1)で表される反応(以下、反応(R1)と記載することがある。)に従って又はこれに準ずる方法によって合成することができる。
反応(R1)において、R1、R2及びmは、それぞれ一般式(1)中のR1、R2及びmと同義である。
反応(R1)では、1モル当量の化学式(A1−1)で表される化合物(以下、化合物(A1−1)と記載することがある。)と1モル当量の一般式(B1)で表される化合物(以下、化合物(B1)と記載することがある。)と1モル当量の一般式(C1)で表される化合物(以下、化合物(C1)と記載することがある。)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。反応(R1)では、1モルの化合物(A1−1)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(B1)を添加することが好ましい。また、1モルの化合物(A1−1)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(C1)を添加することが好ましい。反応(R1)の反応温度は、50℃以上120℃以下であることが好ましい。反応(R1)の反応時間は、1時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(R1)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノールが挙げられる。反応(R1)は、酸触媒の存在下で行うことができる。酸触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸及び濃硫酸が挙げられる。
反応(R1)で得られた反応生成物を、必要に応じて精製することにより、目的化合物である化合物(1)を単離することができる。精製方法としては、公知の方法が適宜採用され、例えば晶析及びシリカゲルクロマトグラフィーが挙げられる。精製に使用する溶媒としては、例えば、クロロホルムが挙げられる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム及びアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム及びアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、下記化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン、及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、下記化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、X型、Y型、V型及びII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある。)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、それぞれα型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある。)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター及びファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。この場合の電荷発生剤としては、700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン及びチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。感光層に電子輸送剤として化合物(1)が含有される場合に感度特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としてはY型チタニルフタロシアニンが好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤の含有量は、例えば感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
(正孔輸送剤)
感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤は、感光体用の正孔輸送剤である限り、特に限定されない。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン化合物(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光層は、正孔輸送剤を含有してもよい。正孔輸送剤は、感光体用の正孔輸送剤である限り、特に限定されない。正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン化合物(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光層に電子輸送剤として化合物(1)が含有される場合に感度特性を特に向上させるためには、正孔輸送剤としては、下記一般式(HTM1)で表される化合物が好ましく、下記化学式(HTM1−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM1−1)と記載することがある。)がより好ましい。
一般式(HTM1)中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e5及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。e1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよい。e2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR12は互いに同一であっても異なってもよい。e3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR13は互いに同一であっても異なってもよい。e4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR14は互いに同一であっても異なってもよい。e5が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR15は互いに同一であっても異なってもよい。e6が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR16は互いに同一であっても異なってもよい。
正孔輸送剤の含有量は、例えば感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(バインダー樹脂)
感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)及びウレタン−アクリル酸系共重合体(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)及びウレタン−アクリル酸系共重合体(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、下記化学式で表される繰返し単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂及びビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
(添加剤)
感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤及び紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体、有機硫黄化合物並びに有機燐化合物が挙げられる。
感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤及び紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体、有機硫黄化合物並びに有機燐化合物が挙げられる。
[中間層]
本実施形態の感光体は、中間層(下引き層等)を含有してもよい。中間層は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
本実施形態の感光体は、中間層(下引き層等)を含有してもよい。中間層は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄及び銅)の粒子、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化亜鉛)の粒子、及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、例えば感光層の添加剤と同様である。
<感光体の製造方法>
本実施形態の感光体は、例えば、感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある。)を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。塗布液は、化合物(1)、電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
本実施形態の感光体は、例えば、感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある。)を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。塗布液は、化合物(1)、電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び各種添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン及びシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素及びクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル及び酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤の少なくとも一部を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
<実施例及び比較例で用いた材料>
感光層を製造するための材料として、以下の正孔輸送剤及び電子輸送剤を準備した。
感光層を製造するための材料として、以下の正孔輸送剤及び電子輸送剤を準備した。
[正孔輸送剤]
正孔輸送剤として、上述した正孔輸送剤(HTM1−1)を準備した。
正孔輸送剤として、上述した正孔輸送剤(HTM1−1)を準備した。
[電子輸送剤]
電子輸送剤として、上述した化合物(1−1)〜(1−5)を準備した。更に、化合物(E−1)も準備した。化合物(E−1)は、下記化学式(E−1)で表される電子輸送剤である。
電子輸送剤として、上述した化合物(1−1)〜(1−5)を準備した。更に、化合物(E−1)も準備した。化合物(E−1)は、下記化学式(E−1)で表される電子輸送剤である。
〔化合物(1−1)〜(1−5)の合成〕
化合物(1−1)〜(1−5)は、各々以下の方法で合成した。なお、以下において、収率(%)はモル数基準である。また、以下において、反応式(R10)で表される反応を、反応(R10)と記載することがある。化学式(B1−1)、(B1−2)、及び(C1−1)〜(C1−5)で表される化合物を、それぞれ化合物(B1−1)、(B1−2)、及び(C1−1)〜(C1−5)と記載することがある。
化合物(1−1)〜(1−5)は、各々以下の方法で合成した。なお、以下において、収率(%)はモル数基準である。また、以下において、反応式(R10)で表される反応を、反応(R10)と記載することがある。化学式(B1−1)、(B1−2)、及び(C1−1)〜(C1−5)で表される化合物を、それぞれ化合物(B1−1)、(B1−2)、及び(C1−1)〜(C1−5)と記載することがある。
(化合物(1−1)の合成)
下記反応(R10)に従って、化合物(1−1)を合成した。
下記反応(R10)に従って、化合物(1−1)を合成した。
反応(R10)では、フラスコに、エタノール(50mL)を加えた後、化合物(A1−1)(1.38g、10ミリモル)と、化合物(B1−1)(1.74g、10ミリモル)と、化合物(C1−1)(1.36g、10ミリモル)とを加えた。次いで、フラスコに、p−トルエンスルホン酸(90mg、0.5ミリモル)を加えた後、フラスコの内温を80℃に保持して5時間攪拌しながら還流した。フラスコ内を室温(25℃)に戻し、反応液をイオン交換水に注いだ後、クロロホルムで抽出し、有機層を得た。有機層をイオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(1−1)を得た。化合物(1−1)の収量は2.68gであり、収率は65%であった。
(化合物(1−2)の合成)
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−2)で表される化合物(C1−2)(1.34g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−2)を合成した。化合物(1−2)の収量は2.46gであり、収率は60%であった。
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−2)で表される化合物(C1−2)(1.34g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−2)を合成した。化合物(1−2)の収量は2.46gであり、収率は60%であった。
(化合物(1−3)の合成)
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−3)で表される化合物(C1−3)(1.24g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−3)を合成した。化合物(1−3)の収量は2.40gであり、収率は60%であった。
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−3)で表される化合物(C1−3)(1.24g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−3)を合成した。化合物(1−3)の収量は2.40gであり、収率は60%であった。
(化合物(1−4)の合成)
反応(R10)における化合物(B1−1)(1.74g)を下記化学式(B1−2)で表される化合物(B1−2)(1.88g)に変更したこと、及び化合物(C1−1)(1.36g)を下記化学式(C1−4)で表される化合物(C1−4)(1.36g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−4)を合成した。化合物(1−4)の収量は2.34gであり、収率は55%であった。
反応(R10)における化合物(B1−1)(1.74g)を下記化学式(B1−2)で表される化合物(B1−2)(1.88g)に変更したこと、及び化合物(C1−1)(1.36g)を下記化学式(C1−4)で表される化合物(C1−4)(1.36g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−4)を合成した。化合物(1−4)の収量は2.34gであり、収率は55%であった。
(化合物(1−5)の合成)
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−5)で表される化合物(C1−5)(1.20g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−5)を合成した。化合物(1−5)の収量は2.18gであり、収率は55%であった。
反応(R10)における化合物(C1−1)(1.36g)を、下記化学式(C1−5)で表される化合物(C1−5)(1.20g)に変更したこと以外は、反応(R10)と同様の方法で化合物(1−5)を合成した。化合物(1−5)の収量は2.18gであり、収率は55%であった。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、合成した化合物(1−1)〜(1−5)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち、化合物(1−1)を代表例として、挙げる。以下に、化合物(1−1)の化学シフト値を示す。
化合物(1−1):δ=7.69−8.14(m,4H)、7.14(dd,2H)、6.89−6.91(m,1H)、6.87(s,1H)、6.83(d,1H)、6.72(dd,1H)、6.05(d,1H)、5.99(d,1H)、5.05(s,1H)、3.69(s,3H).
化学シフト値により、化合物(1−1)が得られていることを確認した。化合物(1−2)〜(1−5)も同様にして、化学シフト値により、それぞれ化合物(1−2)〜(1−5)が得られていることを確認した。
<感光体の製造>
以下に示す方法により単層型感光体である感光体(A−1)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)を製造した。
以下に示す方法により単層型感光体である感光体(A−1)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)を製造した。
[感光体(A−1)の製造]
電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン(5質量部)と、正孔輸送剤(HTM1−1)(60質量部)と、電子輸送剤としての化合物(1−1)(25質量部)と、バインダー樹脂としてのビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社製「TS2050」、粘度平均分子量50,000)(100質量部)とを、テトラヒドロフラン(800質量部)に添加した。ボールミルを用いて、これら材料(X型無金属フタロシアニン、正孔輸送剤(HTM1−1)、化合物(1−1)、及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)とテトラヒドロフランとを50時間混合し、テトラヒドロフラン中に材料を分散させて、感光層用塗布液を調製した。次いで、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、感光層用塗布液をディップコート法により塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を100℃で30分間乾燥させた。これにより、導電性基体上に感光層(膜厚30μm)を形成し、感光体(A−1)を得た。
電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン(5質量部)と、正孔輸送剤(HTM1−1)(60質量部)と、電子輸送剤としての化合物(1−1)(25質量部)と、バインダー樹脂としてのビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社製「TS2050」、粘度平均分子量50,000)(100質量部)とを、テトラヒドロフラン(800質量部)に添加した。ボールミルを用いて、これら材料(X型無金属フタロシアニン、正孔輸送剤(HTM1−1)、化合物(1−1)、及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)とテトラヒドロフランとを50時間混合し、テトラヒドロフラン中に材料を分散させて、感光層用塗布液を調製した。次いで、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、感光層用塗布液をディップコート法により塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を100℃で30分間乾燥させた。これにより、導電性基体上に感光層(膜厚30μm)を形成し、感光体(A−1)を得た。
[感光体(A−2)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)の製造]
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)を製造した。
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)を製造した。
(変更点)
感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニンを、表1に示す電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としての化合物(1−1)を、表1に示す電子輸送剤に変更した。なお、表1中、欄「電子輸送剤」の1−1〜1−5、及びE−1は、それぞれ化合物(1−1)〜(1−5)、及び(E−1)を示す。
感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニンを、表1に示す電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤としての化合物(1−1)を、表1に示す電子輸送剤に変更した。なお、表1中、欄「電子輸送剤」の1−1〜1−5、及びE−1は、それぞれ化合物(1−1)〜(1−5)、及び(E−1)を示す。
<感光体の感度特性の評価>
感光体(A−1)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)の各々に対して、感度特性を評価した。感度特性の評価は、温度23℃及び湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光強度1.5μJ/m2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射開始から0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、露光後電位VL(単位V)とした。測定された感光体の露光後電位VLを表1に示す。なお、露光後電位VLの絶対値が小さいほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。
感光体(A−1)〜(A−10)、(B−1)及び(B−2)の各々に対して、感度特性を評価した。感度特性の評価は、温度23℃及び湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光強度1.5μJ/m2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射開始から0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、露光後電位VL(単位V)とした。測定された感光体の露光後電位VLを表1に示す。なお、露光後電位VLの絶対値が小さいほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−10)は、感光層が一般式(1)に包含される化合物(1−1)〜(1−5)の何れかを含有していた。感光体(A−1)〜(A−10)は、露光後電位VLが+155V以下であった。
表1に示すように、感光体(B−1)及び(B−2)は、感光層が一般式(1)に包含されない化合物(E−1)を含有していた。感光体(B−1)及び(B−2)は、露光後電位VLが+162V以上であった。
表1から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−10)は、感光体(B−1)及び(B−2)に比べ、感度特性に優れていた。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
2 導電性基体
3 感光層
Claims (9)
- 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、単層であり、かつ電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する、電子写真感光体。
R1は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
R2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基を表し、
mは、0以上4以下の整数を表し、
mが2以上4以下の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であっても異なってもよい。) - 前記一般式(1)中、
R1は、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
R2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
mは、0又は1を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 前記一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するフェニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するフェニル基又はハロゲン原子を有するフェニル基を表す、請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(1)中、前記フェニル基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はハロゲン原子は、R1が結合する炭素原子に対してオルト位に存在している、請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(1)中、R1は、エチル基を有するフェニル基、メトキシ基を有するフェニル基又はフッ素原子を有するフェニル基を表す、請求項3又は4に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、正孔輸送剤を更に含有し、
前記正孔輸送剤は、下記一般式(HTM1)で表される化合物を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
e1、e2、e3及びe4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
e5及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表し、
e1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよく、
e2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR12は互いに同一であっても異なってもよく、
e3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR13は互いに同一であっても異なってもよく、
e4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR14は互いに同一であっても異なってもよく、
e5が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR15は互いに同一であっても異なってもよく、
e6が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR16は互いに同一であっても異なってもよい。)
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