JP6658478B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、ビススチリルベンゼン誘導体及び電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型感光体が挙げられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、電荷発生及び電荷輸送の機能を有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、下記化学式(HT−1)又は(HT−2)で表される化合物を含有する。
Figure 0006658478
特開2000−219677号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、感度特性が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電子写真感光体の感度特性を向上させるビススチリルベンゼン誘導体を提供することである。また、本発明の別の目的は、感度特性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明のビススチリルベンゼン誘導体は、一般式(1)で表される。
Figure 0006658478
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上18以下のアラルキル基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数のR1は互いに同一であっても異なってもよい。nが2以上の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であっても異なってもよい。R1及びR2は、互いに同一であっても異なってもよい。環Z1及び環Z2は、ベンゼン環に縮合された含窒素脂肪族環を表す。前記含窒素脂肪族環は、環員数5以上7以下の単環、又は多環であり、環員原子として前記ベンゼン環の2個の炭素原子と前記ベンゼン環に結合した窒素原子とを含む。前記多環は、環員数5以上7以下の前記単環に環員数5以上7以下の脂肪族環が縮合された環である。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。前記正孔輸送剤は、上述のビススチリルベンゼン誘導体を含む。
本発明のビススチリルベンゼン誘導体は、電子写真感光体の感度特性を向上させることができる。また、本発明の電子写真感光体は、感度特性に優れる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 (a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の別の例を示す概略断面図である。 化学式(1−1)で表されるビススチリルベンゼン誘導体の1H−NMRスペクトルである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び炭素原子数7以上17以下のアラルキルオキシ基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、又はネオペンチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、又はt−ブトキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基は、非置換である。炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基と炭素原子数1以上4以下のアルキル基とが結合した基が挙げられる。炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルプロポキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基、ナフチルプロポキシ基、フェナントリルメトキシ基、フェナントリルエトキシ基、フェナントリルプロポキシ基、アントリルメトキシ基、アントリルエトキシ基、又はアントリルプロポキシ基が挙げられる。
<第一実施形態:ビススチリルベンゼン誘導体>
ビススチリルベンゼン誘導体は、一般式(1)で表される。以下、このようなビススチリルベンゼン誘導体をビススチリルベンゼン誘導体(1)と記載することがある。
Figure 0006658478
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上18以下のアラルキル基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数のR1は互いに同一であっても異なってもよい。nが2以上の整数を表す場合、複数のR2は互いに同一であっても異なってもよい。R1及びR2は、互いに同一であっても異なってもよい。環Z1及び環Z2は、ベンゼン環に縮合された含窒素脂肪族環を表す。含窒素脂肪族環は、環員数5以上7以下の単環、又は多環であり、環員原子としてベンゼン環の2個の炭素原子とベンゼン環に結合した窒素原子とを含む。多環は、環員数5以上7以下の単環に環員数5以上7以下の脂肪族環が縮合された環である。
一般式(1)中、R1及びR2で表される炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(1)中、m及びnは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。mが1を表す場合、R1の置換位置としては、ベンゼン環の窒素原子と結合する位置に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、又はパラ位(p位)が挙げられ、パラ位が好ましい。nが1を表す場合、R2の置換位置としては、ベンゼン環の窒素原子と結合する位置に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、又はパラ位(p位)が挙げられ、パラ位が好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、m及びnは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
一般式(1)中、環Z1及び環Z2は、ベンゼン環に縮合された含窒素脂肪族環を表す。含窒素脂肪族環は、環員数5以上7以下の単環、又は多環である。含窒素脂肪族環は、環員原子としてベンゼン環の2個の炭素原子とベンゼン環に結合した窒素原子とを含む。一般式(1X)に示すように、環Z1は、ベンゼン環Xの炭素原子2個と、ベンゼン環Xに結合する窒素原子1個とを環員原子として含む。同様に、環Z2は、ベンゼン環Yの炭素原子2個と、ベンゼン環Yに結合する窒素原子1個とを環員原子として含む。多環は、環員数5以上7以下の単環に環員数5以上7以下の脂肪族環が縮合された環である。環Z1及び環Z2は、互いに同一であっても異なってもよい。
Figure 0006658478
一般式(1)中、環Z1としては、例えば、化学式(Z−1)、化学式(Z−2)、又は化学式(Z−3)中のヘテロ環が挙げられる。化学式(Z−1)〜(Z−3)中、R1及びmは、それぞれ一般式(1)中のR1及びmと同義である。化学式(Z−1)〜(Z−3)中の破線は、ビススチリルベンゼン誘導体(1)のエテニル基への結合を表す。
Figure 0006658478
一般式(1)中、環Z2としては、例えば、化学式(Z−4)、化学式(Z−5)、又は化学式(Z−6)中のヘテロ環が挙げられる。化学式(Z−4)〜(Z−6)中、R2及びnは、それぞれ一般式(1)中のR2及びnと同義である。化学式(Z−4)〜(Z−6)中の破線は、ビススチリルベンゼン誘導体(1)のエテニル基への結合を表す。
Figure 0006658478
一般式(1)中、2つのエテニル基の結合位置は、例えば、一方のエテニル基に対してオルト位、メタ位、又はパラ位が挙げられる。感光体の感度特性を更に向上させる観点から、これらの結合位置のうち、メタ位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)としては、例えば、一般式(1A)、一般式(1B)、又は一般式(1C)で表されるビススチリルベンゼン誘導体(以下、それぞれビススチリルベンゼン誘導体(1A)、ビススチリルベンゼン誘導体(1B)、及びビススチリルベンゼン誘導体(1C)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006658478
一般式(1A)中、R1A及びR2Aは、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上18以下のアラルキル基を表す。mA及びnAは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mAが2以上の整数を表す場合、複数のR1Aは互いに同一であっても異なってもよい。nAが2以上の整数を表す場合、複数のR2Aは互いに同一であっても異なってもよい。R1A及びR2Aは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(1A)中、R1A及びR2Aで表される炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。mA及びnAは、1を表すことが好ましい。
一般式(1B)中、R1B及びR2Bは、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上18以下のアラルキル基を表す。mB及びnBは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mBが2以上の整数を表す場合、複数のR1Bは互いに同一であっても異なってもよい。nBが2以上の整数を表す場合、複数のR2Bは互いに同一であっても異なってもよい。R1B及びR2Bは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(1B)中、R1B及びR2Bで表される炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。mB及びnBは、1を表すことが好ましい。
一般式(1C)中、R1C及びR2Cは、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上18以下のアラルキル基を表す。mC及びnCは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mCが2以上の整数を表す場合、複数のR1Cは互いに同一であっても異なってもよい。nCが2以上の整数を表す場合、複数のR2Cは互いに同一であっても異なってもよい。R1C及びR2Cは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(1C)中、mC及びnCは、0を表すことが好ましい。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)としては、例えば、化学式(1−1)〜(1−5)で表されるビススチリルベンゼン誘導体(以下、それぞれビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006658478
これらビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)のうち、感光体の感度特性を更に向上させる観点から、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)又はビススチリルベンゼン誘導体(1−2)が好ましく、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)がより好ましい。
[ビススチリルベンゼン誘導体(1)の合成]
ビススチリルベンゼン誘導体(1)は、例えば、反応式(R−1)で表される反応式(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。ビススチリルベンゼン誘導体(1)が対称である場合、すなわち、R1とR2とが互いに同一であり、mとnとが互いに同一であり、かつ環Z1及び環Z2が互いに同一である場合を例に挙げる。なお、反応式(R−1)中、一般式(1)のR2、n、及び環Z2をそれぞれR1、m、及び環Z1に変換している。反応(R−1)において、R1、m、及び環Z1は、それぞれ一般式(1)中のR1、m、及び環Z1と同義である。
Figure 0006658478
反応式(R−1)では、化学式(A)で表されるアルデヒド誘導体(以下、アルデヒド誘導体(A)と記載することがある)と、化学式(B)で表されるホスホナート誘導体(以下、ホスホナート誘導体(B)と記載することがある)とを反応させて、ビススチリルベンゼン誘導体(1)を得る。反応(R−1)はWittig反応である。
ホスホナート誘導体(B)とアルデヒド誘導体(A)との反応比[ホスホナート誘導体(B):アルデヒド誘導体(A)]は、モル比で、1:2〜1:5であることが好ましい。ホスホナート誘導体(B)の物質量1モルに対してアルデヒド誘導体(A)の物質量が2モル以上であると、ビススチリルベンゼン誘導体(1)の収率が低下しにくい。ホスホナート誘導体(B)の物質量1モルに対してアルデヒド誘導体(A)の物質量が5モル以下であると、未反応のアルデヒド誘導体(A)が残留しにくく、ビススチリルベンゼン誘導体(1)の精製が容易となる。
反応(R−1)は、塩基の存在下にて行うことができる。用いられる塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(より具体的には、ナトリウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド等)、金属水素化物(より具体的には、水素化ナトリウム、又は水素化カリウム等)、又は金属塩(より具体的には、n−ブチルリチウム等)が挙げられる。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基の添加量は、ホスホナート誘導体(B)の物質量1モルに対して1モル以上2モル以下であることが好ましい。ホスホナート誘導体(B)の物質量1モルに対して塩基の添加量が1モル以上であると、反応性が低下しにくい。一方、ホスホナート誘導体(B)の物質量1モルに対して塩基の添加量が2モル以下であると、反応の制御が容易となる。
反応(R−1)は、溶剤中で行うことができる。溶剤としては、例えば、エーテル(より具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、又はジクロロエタン等)、又は芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、又はトルエン等)が挙げられる。
反応(R−1)では、反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
これらの反応以外に必要に応じて適宜な工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー、又は晶折等)が挙げられる。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)が非対称である場合、すなわち、R1とR2、mとn、環Z1と環Z2のうち少なくとも1つの組合せが同一でない場合は、2種類のアルデヒド誘導体(A)をホスホナート誘導体(B)に逐次的に反応させることで、非対称構造を有するビススチリルベンゼン誘導体(1)を得ることができる。
<第二実施形態:感光体>
本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、感度特性に優れる。その理由は、以下のように推測される。第二実施形態に係る感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。正孔輸送剤は、ビススチリルベンゼン誘導体(1)を含む。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)では、ヘテロ環がビススチリルベンゼン骨格の末端のベンゼン環に縮合している。そして、更にヘテロ環は置換基を有してもよいフェニル基でN置換されている。感光層が正孔輸送剤としてビススチリルベンゼン誘導体(1)を含むと、ビススチリルベンゼン誘導体(1)は上記構造を有するため、π共役系の空間的な広がりが比較的大きくキャリア(正孔)のビススチリルベンゼン誘導体(1)の分子内における移動距離が大きくなる傾向にある。すなわち、キャリア(正孔)の分子内移動距離が大きくなる傾向にある。また、ビススチリルベンゼン誘導体(1)は空間的な広がりが比較的大きいπ共役系を有するため、感光層中で複数のビススチリルベンゼン誘導体(1)のπ共役系が互いに重なり易くなり、キャリア(正孔)のビススチリルベンゼン誘導体(1)の各々の分子間における移動距離が小さくなる傾向にある。すなわち、キャリア(正孔)の分子間移動距離が小さくなる傾向にある。よって、キャリア(正孔)の受容性及び輸送性が向上し、感光体の感度特性を向上させると考えられる。
第二実施形態に係る感光体の構造を説明する。感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)又は積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
<1.積層型感光体>
以下、図1を参照して、感光体が積層型感光体である場合の感光体の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを備える。積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1(a)に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
図1(b)に示すように、感光体1としての積層型感光体では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3と中間層(下引き層)4とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。また、感光層3上には、保護層5(図2参照)が設けられていてもよい。
電荷発生層3a及び電荷輸送層3bの厚さは、それぞれの層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3のうちの電荷発生層3aは、例えば、電荷発生剤と、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)とを含む。電荷発生層3aは、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。
電荷輸送層3bは、例えば、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。電荷輸送層3bは、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。
<2.単層型感光体>
以下、図2を参照して、感光体1が単層型感光体である場合の感光体1の構造について説明する。図2は、本実施形態に係る感光体1の別の例である単層型感光体を示す概略断面図である。
図2(a)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層型感光層3cである。すなわち感光体1としての単層型感光体には、感光層3として単層型感光層3cが備えられる。単層型感光層3cは、一層の感光層3である。
図2(b)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図2(c)に示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層3としての単層型感光層3cは、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1)と、バインダー樹脂とを含む。単層型感光層3cは、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。つまり、感光体1が単層型感光体である場合、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1)と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とが、一層の感光層3(単層型感光層3c)に含まれる。
次に、積層型感光体及び単層型感光体の要素について説明する。
<3.導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<4.電荷発生剤>
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(以下、化合物(C−1)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、化合物(C−2)と記載することがある)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 0006658478
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、α型、β型、又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。このような画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーを備えるレーザープリンター又はファクシミリが挙げられる。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層にビススチリルベンゼン誘導体(1)を含む場合、感光体の感度特性を更に向上させるためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填してX線回折スペクトルを測定する。測定条件は、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åである。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含まれるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含まれるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上6.0質量部以下であることが特に好ましい。
<5.正孔輸送剤>
感光層は、ビススチリルベンゼン誘導体(1)以外の他の正孔輸送剤を含有してもよい。このような他の正孔輸送剤としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)の含有量は、感光層に含有される正孔輸送剤100質量部に対して、80質量以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましく、100質量部であることが更に好ましい。
正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
<6.バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂のうち、化学式(Resin−1)で表されるZ型ポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006658478
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましく、45,000以上50,500以下であることが更に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷輸送層を形成し易くなる。
<7.ベース樹脂>
電荷発生層はベース樹脂を含有する。ベース樹脂は、感光体に適用できるベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。ベース樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂とは異なることが好ましい。ベース樹脂がバインダー樹脂と異なれば、電荷輸送層に用いる溶剤にベース樹脂が溶解しにくく、電荷輸送層形成の際に、電荷発生層のベース樹脂が溶解しにくく、均一な電荷発生層を形成し易いからである。一般的に、感光体の製造では、例えば、導電性基体上に電荷発生層を形成し、電荷発生層上に電荷輸送層を形成する。このため、電荷輸送層を形成する際に、電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布する。
<8.添加剤>
感光体の感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、電子アクセプター化合物、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(より具体的には、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール等)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物が挙げられる。
感光層は、電子輸送剤又は電子アクセプター化合物を含んでもよい。例えば、単層型感光層又は電荷発生層は、電子輸送剤を含んでもよい。電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を含んでもよい。電子輸送剤又は電子アクセプター化合物としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤又は電子アクセプター化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの電子輸送剤又は電子アクセプター化合物のうち、一般式(E1)又は(E2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006658478
一般式(E1)中、R3は、炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基を表す。一般式(E2)中、R4及びR5は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
一般式(E1)中、R3で表される炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基としては、フェニルメトキシ基がより好ましい。
一般式(E2)中、R4及びR5で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、2−メチル−2−ブチル基がより好ましい。
一般式(E1)で表される化合物としては、例えば、化学式(E−1)で表される化合物(以下、化合物(E−1)と記載することがある)が挙げられる。一般式(E2)で表される化合物としては、例えば、化学式(E−2)で表される化合物(以下、化合物(E−2)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006658478
<9.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
<10.感光体の製造方法>
単層型感光体は、例えば、単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、塗布膜を形成する。そして、塗布膜を乾燥させることによって製造される。例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1)と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(より具体的には、添加剤等)とを溶剤に溶解又は分散させることにより、単層型感光層用塗布液は製造される。
積層型感光体は、例えば、以下のように製造される。まず、電荷発生層用塗布液と、電荷輸送層用塗布液とを調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布し、塗布膜を形成する。そして、塗布膜を乾燥させることによって、電荷発生層を形成する。続いて、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、塗布膜を形成する。塗布膜を乾燥させることによって、電荷輸送層を形成する。これにより、積層型感光体が製造される。
例えば、電荷発生剤と、必要に応じて添加される成分(より具体的には、ベース樹脂又は各種の添加剤等)とを、溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷発生層用塗布液は調製される。例えば、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1)と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(より具体的には、添加剤等)とを溶剤に溶解又は分散させることにより、電荷輸送層用塗布液は調製される。
単層型感光層用塗布液、電荷発生層用塗布液、及び電荷輸送層用塗布液(以下、これら3つの塗布液をあわせて塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル、又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以上、本実施形態に係る感光体について説明した。本実施形態の感光体によれば、感光体の電気特性を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
電荷発生層、電荷輸送層、及び単層型感光層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、及び電子輸送剤を準備した。
[1−1.正孔輸送剤]
正孔輸送剤として、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)及び化学式(HT−1)〜(HT−3)で表される化合物(以下、それぞれ正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)と記載することがある)を準備した。
Figure 0006658478
[1−1−1.ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の合成]
ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)は、以下の方法で製造した。反応式(r−1)で表される反応(以下、反応(r−1)と記載することがある)に従ってビススチリルベンゼン誘導体(1−1)を合成した。
Figure 0006658478
反応(r−1)では、500mL容の二口フラスコに、得られたホスホナート誘導体(B−1)(3.78g、0.01moL)を0℃で加えた。フラスコ内を、アルゴンガスで置換した。その後、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)と28質量%ナトリウムメトキシド(3.86g、0.02moL)とを加え、30分間攪拌した。テトラヒドロフラン溶液を調製した。
乾燥テトラヒドロフラン(50mL)と、化学式(A−1)で表されるアルデヒド誘導体(5.02g、0.02moL)とを別の容器に加え、これらを攪拌し、テトラヒドロフラン溶液を調製した。得られたテトラヒドロフラン溶液を上記テトラヒドロフラン溶液に加え、室温(25℃)で12時間攪拌し、混合物を得た。
混合物をイオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出し、有機層を得た。有機層をイオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、展開溶媒としてクロロホルム/ヘキサン(体積比V/V=1/1)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)を得た。ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の収量は、4.00g(収率:70モル%)であった。
[1−1−2.ビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)の製造]
以下の点を変更した以外は、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の製造と同様の方法で、ビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)をそれぞれ製造した。なお、ビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)の製造において使用される各反応物質(Reactant)の物質量は、特に記載がなければ、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の製造において対応する反応物質の物質量と同じである。
表1にアルデヒド誘導体(A)及びホスホナート誘導体(B)の添加量、並びにビススチリルベンゼン誘導体(1)の収量及び収率を示す。反応式(r−1)中のアルデヒド誘導体(A−1)を表1に記載のアルデヒド誘導体(A−2)〜(A−3)の何れかに変更した。また、反応式(r−1)中のホスホナート誘導体(B−1)を表1に記載のホスホナート誘導体(B−2)〜(B−3)の何れかに変更した。その結果、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の代わりにビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)の何れかを得た。表1中、欄「アルデヒド誘導体(A)の種類」のA−1〜A−3は、それぞれアルデヒド誘導体(A−1)〜(A−3)を示す。欄「ホスホナート誘導体(B)の種類」のB−1〜B−3は、それぞれホスホナート誘導体(B−1)〜(B−3)を示す。欄「ビススチリルベンゼン誘導体(1)の種類」の1−1〜1−5は、それぞれビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)を示す。アルデヒド誘導体(A−2)〜(A−3)及びホスホナート誘導体(B−2)〜(B−3)の構造をそれぞれ以下に示す。
Figure 0006658478
Figure 0006658478
Figure 0006658478
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造したビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)を代表例として挙げる。
図3に、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図3中、縦軸は信号強度を示し、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。以下にビススチリルベンゼン誘導体(1−1)の化学シフト値をそれぞれ示す。
ビススチリルベンゼン誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.40(s, 4H),7.24−6.83(m,16H),6.61(d,2H),3.60(t,4H),2.86(t,4H),2.35(s,6H),2.04(qui,4H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)が得られていることを確認した。他のビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)も同様にして、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、ビススチリルベンゼン誘導体(1−2)〜(1−5)がそれぞれ得られていることを確認した。
[1−2.電荷発生剤]
電荷発生剤として、第二実施形態で説明した化合物(C−1)及び化合物(C−2)を準備した。化合物(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、化合物(C−1)の結晶構造はX型であった。化合物(C−2)は、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン)であった。また、化合物(C−2)の結晶構造はY型であった。また、化合物(C−2)のX線回折スペクトルは、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有していた。
[1−3.バインダー樹脂]
バインダー樹脂として、第二実施形態で説明したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「TS2050」粘度平均分子量50,000)を準備した。
[1−4.電子輸送剤]
電子輸送剤として、第二実施形態で説明した化合物(E−1)〜(E−2)を準備した。
<2.感光体の製造>
[2−1.積層型感光体の製造]
感光層を形成するための材料を用いて、積層型感光体(A−1)〜(A−5)及び積層型感光体(B−1)〜(B−3)を製造した。
[2−1−1.積層型感光体(A−1)の製造]
(下引き層の形成)
はじめに、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−02」、数平均一次粒径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2.8質量部)と、共重合ポリアミド樹脂(ダイセルエボニック株式会社製「ダイアミドX4685」)(1質量部)とを混合溶媒に添加した。混合溶媒は、エタノール(10質量部)と、ブタノール(2質量部)とを含んでした。ビーズミルを用いて、これら材料(表面処理された酸化チタン及び共重合ポリアミド樹脂)と混合溶媒とを5時間混合し、混合溶剤中に材料を分散させた。これにより、下引層用塗布液を作製した。
得られた下引層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)の表面に、ディップコート法を用いて中間層用塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。続いて、塗布膜を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に下引き層(膜厚1.5μm)を形成した。
(電荷発生層の形成)
次に、電荷発生剤として化合物(C−2)(Y型チタニルフタロシアニン)(1質量部)と、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(デンカ株式会社製「デンカブチラール#6000EP」)(1質量部)とを、混合溶媒に添加した。混合溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)と、テトラヒドロフラン(40質量部)とを含んでいた。ビーズミルを用いてこれら材料(化合物(C−2)及びポリビニルブチラール樹脂)と混合溶媒とを2時間混合し、混合溶剤中に材料を分散させて、電荷発生層用塗布液を作製した。得られた電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された下引き層上にディップコート法を用いて塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を50℃で5分間乾燥させた。これにより、下引き層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
(電荷輸送層の形成)
次に、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1−1)(70質量部)と、添加剤としてのジtertブチル−p−クレゾール(5質量部)、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)とを、混合溶媒に添加した。混合溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)(430質量部)と、トルエン(430質量部)とを含んでいた。これら材料(ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)、ジtertブチル−p−クレゾール、及びポリカーボネート樹脂(Resin−1))と混合溶媒とを混合し、混合溶剤中に材料を分散させて、電荷輸送層用塗布液を作製した。次いで、電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を130℃で30分間乾燥させた。これにより、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成し、積層型感光体(A−1)を作製した。
[2−1−2.積層型感光体(A−2)〜(A−5)及び積層型感光体(B−1)〜(B−3)の製造]
以下の点を変更した以外は、積層型感光体(A−1)の製造と同様の方法で、積層型感光体(A−2)〜(A−5)及び積層型感光体(B−1)〜(B−3)をそれぞれ製造した。積層型感光体(A−1)の製造に用いた正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1−1)を、表2に示す種類の正孔輸送剤に変更した。なお、表4中、欄「感光体No」のA−1〜A−5、及びB−1〜B−3は、それぞれ積層型感光体(A−1)〜(A−5)、及び積層型感光体(B−1)〜(B−3)を示す。欄「正孔輸送剤」の1−1〜1−5、及びHT−1〜HT−3は、それぞれビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)、及び正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)を示す。
[2−2.単層型感光体の製造]
感光層を形成するための材料を用いて、単層型感光体(A−6)〜(A−11)及び単層型感光体(B−4)〜(B−12)を製造した。
[2−2−1.単層型感光体(A−6)の製造]
(単層型感光層の形成)
X型無金属フタロシアニン(5質量部)と、正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1−1)(80質量部)と、電子輸送剤としての化合物(E−1)(50質量部)と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)とを、THF(800質量部)に添加した。ボールミルを用いて、これら材料(X型無金属フタロシアニン、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)、化合物(E−1)、及びポリカーボネート樹脂(Resin−1))と溶媒とを50時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、感光層用塗布液を作製した。次いで、感光層用塗布液を、導電性基体上に塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を100℃で30分間乾燥させた。これにより、導電性基体上に単層型感光層(膜厚25μm)を形成し、単層型感光体(A−6)を作製した。
[2−2−2.単層型感光体(A−7)〜(A−11)及び単層型感光体(B−4)〜(B−12)の製造]
以下の点を変更した以外は、積層型感光体(A−6)の製造と同様の方法で、単層型感光体(A−7)〜(A−11)及び単層型感光体(B−4)〜(B−12)をそれぞれ製造した。単層型感光体(A−6)の製造に用いた正孔輸送剤としてのビススチリルベンゼン誘導体(1−1)を、表3に示す種類の正孔輸送剤に変更した。なお、表3中、欄「感光体No」のA−6〜A−11、及びB−4〜B−12は、それぞれ単層型感光体(A−6)〜(A−11)、及び単層型感光体(B−4)〜(B−12)を示す。欄「正孔輸送剤」の1−1〜1−2、及びHT−1〜HT−2は、それぞれビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−2)、及び正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−2)を示す。欄「電子輸送剤」のE−1〜E−2は、それぞれ化合物(E−1)〜(E−2)を示す。
<3.感光体の感度特性の評価>
(3−1.積層型感光体の感度電位の測定)
製造した感光体(A−1)〜(A−5)及び感光体(B−1)〜(B−3)の各々に対して、感度特性を評価した。感度特性の評価は、温度23℃及び湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を−700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光強度0.4μJ/m2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が開始してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、感光体の電気特性が優れていることを示す。欄「感度電位VL(V)」の表記「結晶化」は、電荷輸送層が結晶化し、感度電位を測定できなかったことを示す。
Figure 0006658478
(3−2.単層型感光体の感度電位の測定)
製造した感光体(A−6)〜(A−11)及び感光体(B−4)〜(B−12)の各々に対して、感度特性を評価した。感度特性の評価は、温度23℃及び湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光強度1.5μJ/m2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射を開始してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表3に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、感光体の電気特性が優れていることを示す。また、欄「感度電位VL(V)」の表記「結晶化」は、単層型感光層が結晶化し、感度電位を測定できなかったことを示す。
Figure 0006658478
表2に示すように、積層型感光体(A−1)〜(A−5)では、電荷発生層は電荷発生剤を含有していた。電荷輸送層は正孔輸送剤としてビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)の何れか1種と、バインダー樹脂とを含有していた。ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)は、一般式(1)で表されるビススチリルベンゼン誘導体であった。積層型感光体(A−1)〜(A−5)では感度電位が−100V以上−93V以下であった。
表2に示すように、積層型感光体(B−1)〜(B−3)では、電荷輸送層は正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)の何れか1種を含有していた。正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)は、一般式(1)で表される化合物でなかった。積層型感光体(B−1)〜(B−2)では、感度電位がそれぞれ−118V及び−115V以下であった。感光体(B−3)では、電荷輸送層が結晶化し、感度電位を測定することができなかった。
よって、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−5)は、正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−2)に比べ、積層型感光体の感度特性を向上させることが明らかである。積層型感光体(A−1)〜(A−5)は、積層型感光体(B−1)〜(B−2)に比べ、感度特性に優れることが明らかである。
表3に示すように、単層型感光体(A−6)〜(A−11)では、単層型感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−2)の何れか1種と、バインダー樹脂とを含有していた。ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−2)は、一般式(1)で表されるビススチリルベンゼン誘導体であった。単層型感光体(A−6)〜(A−11)では、感度電位が+107V以上+115V以下であった。
表3に示すように、単層型感光体(B−5)〜(B−12)では、単層型感光層は正孔輸送剤として正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)の何れか1種を含有していた。正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−3)は、一般式(1)で表される化合物でなかった。積層型感光体(B−1)〜(B−2)では、感度電位がそれぞれ+128V及び+137V以下であった。単層型感光体(B−3)では、単層型感光層が結晶化し、感度電位を測定することができなかった。
よって、ビススチリルベンゼン誘導体(1−1)〜(1−2)は、正孔輸送剤(HT−1)〜(HT−2)に比べ、積層型感光体の感度特性を向上させることが明らかである。単層型感光体(A−6)〜(A−11)は、単層型感光体(B−4)〜(B−12)に比べ、感度特性に優れることが明らかである。
ビススチリルベンゼン誘導体(1)は、感光体の感度特性を向上させることが明らかである。また、ビススチリルベンゼン誘導体(1)を正孔輸送剤として含む感光体は、感度特性に優れることが明らかである。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
1 電子写真感光体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
3c 単層型感光層

Claims (4)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含み、
    前記正孔輸送剤は、化学式(1−1)又は化学式(1−2)で表されるビススチリルベンゼン誘導体を含み、
    前記電荷発生剤は、Y型チタニルフタロシアニンである、電子写真感光体。
    Figure 0006658478
  2. 前記感光層は、更に一般式(E1)又は一般式(E2)で表される化合物を含む、請求項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006658478
    前記一般式(E1)中、
    3は、炭素原子数7以上18以下のアラルキルオキシ基を表し、
    前記一般式(E2)中、
    4及びR5は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
  3. 前記感光層は、単層型感光層である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを備え、
    前記電荷発生層は、前記電荷発生剤を含み、
    前記電荷輸送層は、前記正孔輸送剤と、前記バインダー樹脂とを含む、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
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