JP2018077271A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】感度特性に優れる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。感光層は、単層型感光層である。感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。電子輸送剤は、一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が挙げられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、化学式(E−1)で表される化合物を含む。
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、感度特性が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感度特性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、単層型感光層である。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。前記電子輸送剤は一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体を含む。
前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表す。
前記一般式(2)中、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表す。
本発明の電子写真感光体は、感度特性に優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数3以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上9以下のアルキル基、炭素原子数3以上6以下のアルキル基、炭素原子数10以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上7以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基、及び炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はn−ヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数3以上20以下のアルキル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数3以上20以下のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、又はn−イコシル基が挙げられる。
炭素原子数3以上9以下のアルキル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数3以上9以下のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、又はn−ノニル基が挙げられる。
炭素原子数3以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数3以上6以下のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はn−ヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数10以上20以下のアルキル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数10以上20以下のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、又はn−イコシル基が挙げられる。
炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、又はシクロドデシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上7以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上7以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、又はへプチルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、又はイソプロポキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上20以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上20以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上20以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上20以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基と炭素原子数6以上14以下のアリール基とが結合した基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、又はナフチルメチル基が挙げられる。
炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基とフェニル基とが結合した基である。炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上12以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、又はフェニルヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上7以下のアルコキシ基とカルボニル基とが結合した基である。炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基としては、例えば、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、又はへプチルオキシカルボニル基が挙げられる。
炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基とカルボニル基とが結合した基である。炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基としては、例えば、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、又はイソプロポキシカルボニル基が挙げられる。
<電子写真感光体>
本発明の実施形態に係る感光体は、感度特性に優れる。その理由は以下のように推測される。本実施形態に係る感光体は、電子輸送剤として一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体(以下、それぞれジイミド誘導体(1)及び(2)と記載することがある)を含む。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、2つのN−置換環状イミド部と、ジベンゾ[c,g]フェナントレン部又はベンゾ[c,l]クリセン部とからなる。N−置換環状イミド部は電子吸引性であり、ジベンゾ[c,g]フェナントレン部及びベンゾ[c,l]クリセン部は多環芳香族炭化水素部であってπ共役系を有する。このπ共役系は空間的な広がりが比較的大きい。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、比較的大きなπ共役系が電子吸引性の部分に挟まれた構造を有する。このため、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、その分子内におけるキャリア(電子)の移動距離(以下、分子内移動距離と記載することがある)が比較的長くなる。また、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、感光層中で他のジイミド誘導体(1)及び(2)との分子間におけるキャリアの移動距離(以下、分子間移動距離と記載することがある)が比較的短くなる。このように、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、キャリア(電子)の受容性及び輸送性に優れる。よって、本実施形態に係る感光体は、感度特性に優れると考えられる。
本発明の実施形態に係る感光体は、感度特性に優れる。その理由は以下のように推測される。本実施形態に係る感光体は、電子輸送剤として一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体(以下、それぞれジイミド誘導体(1)及び(2)と記載することがある)を含む。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、2つのN−置換環状イミド部と、ジベンゾ[c,g]フェナントレン部又はベンゾ[c,l]クリセン部とからなる。N−置換環状イミド部は電子吸引性であり、ジベンゾ[c,g]フェナントレン部及びベンゾ[c,l]クリセン部は多環芳香族炭化水素部であってπ共役系を有する。このπ共役系は空間的な広がりが比較的大きい。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、比較的大きなπ共役系が電子吸引性の部分に挟まれた構造を有する。このため、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、その分子内におけるキャリア(電子)の移動距離(以下、分子内移動距離と記載することがある)が比較的長くなる。また、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、感光層中で他のジイミド誘導体(1)及び(2)との分子間におけるキャリアの移動距離(以下、分子間移動距離と記載することがある)が比較的短くなる。このように、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、キャリア(電子)の受容性及び輸送性に優れる。よって、本実施形態に係る感光体は、感度特性に優れると考えられる。
また、ジイミド誘導体(1)及び(2)は、N−置換環状イミド部に置換基を有する。この置換基は、かさ高い基(より具体的には、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基等)、極性を有する基(より具体的には、アルコキシカルボニル基等)、又は極性を有しない基(より具体的には、アルキル基又はシクロアルキル基等)であるため、感光層を形成するための溶媒に溶解し易く、感光層用塗布液を調製し易い。このため、ジイミド誘導体(1)及び(2)は感光層中での結晶化が抑制され、感光層中に分散し易い。よって、本実施形態に係る感光体は、感度特性に優れると考えられる。
以下、図1を参照して、感光体の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体1の一例を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、単層型感光層3cである。単層型感光層3cは、一層の感光層3である。
図1(b)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図1(c)に示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
以下、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。また、感光層は、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。以下、導電性基体と、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、添加剤と、中間層とについて説明する。また、感光体の製造方法を説明する。
<1.導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<2.電荷発生剤>
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの電荷発生剤のうち、フタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの電荷発生剤のうち、フタロシアニン顔料が好ましい。
フタロシアニン顔料としては、例えば、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(以下、電荷発生剤(C−1)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、電荷発生剤(C−2)と記載することがある)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン顔料が使用される。
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、それぞれα型、β型、及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。感光層がジイミド誘導体(1)又は(2)を含む場合、感光体の感度特性を更に向上させるためには、上記フタロシアニン顔料のうち、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが好ましく、Y型チタニルフタロシアニンがより好ましい。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。このような画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーを備えるレーザープリンター又はファクシミリが挙げられる。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填してX線回折スペクトルを測定する。測定条件は、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åである。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、10°/分である。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填してX線回折スペクトルを測定する。測定条件は、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åである。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
電荷発生剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上6.0質量部以下であることが特に好ましい。
<3.正孔輸送剤>
正孔輸送剤としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、一般式(3)で表される化合物(ベンジジン誘導体)が好ましい。
正孔輸送剤としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、一般式(3)で表される化合物(ベンジジン誘導体)が好ましい。
一般式(3)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。r、s、v、及びwは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。t及びuは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(3)中、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。r、s、v、w、t、及びuは、1を表すことが好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、化学式(H−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(H−1)と記載することがある)が好ましい。
正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上90質量部以下であることが特に好ましい。
<4.電子輸送剤>
電子輸送剤は、ジイミド誘導体(1)又は(2)を含む。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、それぞれ一般式(1)及び一般式(2)で表される。
電子輸送剤は、ジイミド誘導体(1)又は(2)を含む。ジイミド誘導体(1)及び(2)は、それぞれ一般式(1)及び一般式(2)で表される。
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表す。
一般式(2)中、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表す。
一般式(1)中、R1及びR2で表される炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基としては、例えば、炭素原子数10以上20以下のアルキル基が挙げられ、2−オクチルドデシル基が好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2で表される1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、例えば、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基が挙げられ、ジメチルフェニル基が好ましく、2,6−ジメチルフェニル基がより好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2で表される1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数7以上12以下のアラルキル基が挙げられ、メチルフェニルメチル基が好ましく、2−メチルフェニルメチル基がより好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数10以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数7以上12以下のアラルキル基を表すことが好ましい。また、一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であることが好ましい。
ジイミド誘導体(1)の具体例としては、化学式(1−1)〜(1−3)で表されるジイミド誘導体(以下、それぞれジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)と記載することがある)が挙げられる。
これらのジイミド誘導体(1)のうち、ジイミド誘導体(1−1)及び(1−2)が好ましい。
一般式(2)中、R3及びR4で表される炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基としては、例えば、炭素原子数2以上8以下のアルキル基を有する炭素原子数3以上9以下のアルキル基、又は炭素原子数10以上20以下のアルキル基が挙げられ、炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数3以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数10以上20以下のアルキル基が好ましく、エトキシカルボニル基を有する3−メチルブチル基又は2−オクチルドデシル基がより好ましい。
一般式(2)中、R3及びR4で表される1又は複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、例えば、1又は複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基が挙げられ、ジメチルフェニル基が好ましく、2,6−ジメチルフェニル基がより好ましい。
一般式(2)中、R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数3以上6以下のアルキル基、炭素原子数10以上20以下のアルキル基、又は1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基を表すことが好ましい。また、一般式(2)中、R3及びR4は、互いに同一であることが好ましい。
ジイミド誘導体(2)の具体例としては、化学式(2−1)〜(2−3)で表されるジイミド誘導体(以下、それぞれジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)と記載することがある)が挙げられる。
これらのジイミド誘導体(2)のうち、ジイミド誘導体(2−1)及び(2−2)が好ましい。
ジイミド誘導体(1)及び(2)の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
感光層はジイミド誘導体(1)又は(2)に加えて、別の電子輸送剤を更に含んでもよい。別の電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物(ジイミド誘導体(1)以外のジイミド系化合物)、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(ジイミド誘導体(1)の製造方法)
[R1とR2とが互いに異なる場合]
一般式(1)中、R1とR2とが互いに異なる場合、ジイミド誘導体(1)は、例えば、反応式(R−1)で表す反応式、反応式(R−2)で表す反応式、及び反応式(R−3)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R−1)、反応(R−2)、及び反応(R−3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。ジイミド誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)と、反応(R−2)と、反応(R−3)とを含む。
[R1とR2とが互いに異なる場合]
一般式(1)中、R1とR2とが互いに異なる場合、ジイミド誘導体(1)は、例えば、反応式(R−1)で表す反応式、反応式(R−2)で表す反応式、及び反応式(R−3)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R−1)、反応(R−2)、及び反応(R−3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。ジイミド誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)と、反応(R−2)と、反応(R−3)とを含む。
反応(R−1)において、R1は一般式(1)中のR1と同義である。R5は、アルキル基を表し、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましい。
反応(R−1)では、1モル当量の一般式(1A)で表される化合物(以下、化合物(1A)と記載することがある)と1モル当量の一般式(1B)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(1B)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量の一般式(1C)で表される化合物(以下、化合物(1C)と記載することがある)を得る。化合物(1C)は中間生成物である。反応(R−1)では、1モルの化合物(1A)に対して、1モル以上2.5モル以下の第一級アミン(1B)を添加することが好ましい。1モルの化合物(1A)に対して1モル以上の第一級アミン(1B)を添加すると、化合物(1C)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(1A)に対して2.5モル以下の第一級アミン(1B)を添加すると、反応(R−1)後に未反応の第一級アミン(1B)が残留し難く、化合物(1C)の精製が容易となる。反応(R−1)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(R−1)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。反応(R−1)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、化合物(1C)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
反応(R−2)において、R1は一般式(1)中のR1と同義である。反応(R−2)において、R5は反応(R−1)におけるR5と同義である。
反応(R−2)では、1モル当量の化合物(1C)を酸の存在下で反応して、1モル当量の一般式(1D)で表される化合物(以下、化合物(1D)と記載することがある)を得る。化合物(1D)は中間生成物である。反応(R−2)では、化合物(1C)のエステル結合が酸存在下で加水分解し、ジカルボン酸となった後、ジカルボン酸が閉環し、無水カルボン酸となる。その結果、化合物(1D)が生成する。反応(R−2)の反応時間は、5時間以上30時間以下であることが好ましい。反応(R−2)の反応温度は、70℃以上150℃以下であることが好ましい。酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸が好ましい。酸は、溶媒として機能してもよい。
反応(R−3)において、R1及びR2は、それぞれ一般式(1)中のR1及びR2と同義である。
反応(R−3)では、1モル当量の化合物(1D)と、1モル当量の一般式(1E)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(1E)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量のジイミド誘導体(1)を得る。反応(R−3)では、1モルの化合物(1D)に対して、1モル以上2.5モル以下の第一級アミン(1E)を添加することが好ましい。1モルの化合物(1D)に対して1モル以上の第一級アミン(1E)を添加すると、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(1D)に対して2.5モル以下の第一級アミン(1E)を添加すると、反応(R−3)後に未反応の第一級アミン(1E)が残留し難く、ジイミド誘導体(1)の精製が容易となる。反応(R−3)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−3)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(R−3)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。反応(R−3)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
なお、ジイミド誘導体(1)の製造方法は、反応(R−1)〜(R−3)におけるR1を有する第一級アミン及びR2を有する第一級アミンによるイミド化の順番を変更してもよい。ジイミド誘導体(1)は、例えば、反応式(R’−1)で表す反応式、反応式(R’−2)で表す反応式、及び反応式(R’−3)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R’−1)、反応(R’−2)、及び反応(R’−3)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によっても製造される。ジイミド誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R’−1)と、反応(R’−2)と、反応(R’−3)とを含む。
詳しくは、反応(R’−1)は、化合物(1A)を一般式(1A’)で表される化合物(以下、化合物(1A’)と記載することがある)に変更し、第一級アミン(1B)を第一級アミン(1E)に変更した以外は、反応(R−1)と同様の反応である。反応(R’−2)は、化合物(1C)を一般式(1C’)で表される化合物(以下、化合物(1C’)と記載することがある)に変更した以外は、反応(R−2)と同様の反応である。反応(R’−3)は、化合物(1D)を一般式(1D’)で表される化合物(以下、化合物(1D’)と記載することがある)に変更し、第一級アミン(1E)を第一級アミン(1B)に変更した以外は、反応(R−3)と同様の反応である。
[R1とR2とが同一である場合]
一般式(1)中、R1とR2とが互いに同一である場合、ジイミド誘導体(1)は、例えば、反応式(R−4)で表す反応式(以下、反応(R−4)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。なお、便宜上、反応式(R−4)では、一般式(1)中のR2をR1に置き換えて示している。反応(R−4)において、R1は、一般式(1)中のR1と同義である。
一般式(1)中、R1とR2とが互いに同一である場合、ジイミド誘導体(1)は、例えば、反応式(R−4)で表す反応式(以下、反応(R−4)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。なお、便宜上、反応式(R−4)では、一般式(1)中のR2をR1に置き換えて示している。反応(R−4)において、R1は、一般式(1)中のR1と同義である。
反応(R−4)では、1モル当量の化学式(1F)で表される酸無水物(以下、酸無水物(1F)と記載することがある)と、1モル当量の一般式(1G)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(1G)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量のジイミド誘導体(1)を得る。反応(R−4)では、1モルの酸無水物(1F)に対して、2モル以上5モル以下の第一級アミン(1G)を添加することが好ましい。1モルの酸無水物(1F)に対して2モル以上の第一級アミン(1G)を添加すると、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させ易い。一方、1モルの酸無水物(1F)に対して5モル以下の第一級アミン(1G)を添加すると、反応(R−4)後に未反応の第一級アミン(1G)が残留し難く、ジイミド誘導体(1)の精製が容易となる。反応(R−4)の反応温度は160℃以上250℃以下であることが好ましい。反応(R−4)の反応時間は5時間以上15時間以下であることが好ましい。反応(R−4)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン又はピコリン(メチルピリジン)が挙げられる。反応(R−4)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
(ジイミド誘導体(2)の製造方法)
[R3とR4とが互いに異なる場合]
一般式(1)中、R3とR4とが互いに異なる場合、ジイミド誘導体(2)は、例えば、反応式(R−5)で表す反応式、反応式(R−6)で表す反応式、及び反応式(R−7)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R−5)、反応(R−6)、及び反応(R−7)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。ジイミド誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−5)と、反応(R−6)と、反応(R−7)とを含む。
[R3とR4とが互いに異なる場合]
一般式(1)中、R3とR4とが互いに異なる場合、ジイミド誘導体(2)は、例えば、反応式(R−5)で表す反応式、反応式(R−6)で表す反応式、及び反応式(R−7)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R−5)、反応(R−6)、及び反応(R−7)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。ジイミド誘導体(1)の製造方法は、例えば、反応(R−5)と、反応(R−6)と、反応(R−7)とを含む。
反応(R−5)において、R3は一般式(2)中のR3と同義である。R5は、アルキル基を表し、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましい。
反応(R−5)では、1モル当量の一般式(2A)で表される化合物(以下、化合物(2A)と記載することがある)と1モル当量の一般式(2B)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(2B)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量の一般式(2C)で表される化合物(以下、化合物(2C)と記載することがある)を得る。化合物(2C)は中間生成物である。
反応(R−5)では、1モルの化合物(2A)に対して、1モル以上2.5モル以下の第一級アミン(2B)を添加することが好ましい。1モルの化合物(2A)に対して1モル以上の第一級アミン(2B)を添加すると、化合物(2C)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(2A)に対して2.5モル以下の第一級アミン(2B)を添加すると、反応(R−5)後に未反応の第一級アミン(2B)が残留し難く、化合物(2C)の精製が容易となる。
反応(R−5)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−5)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(R−5)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。反応(R−5)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、化合物(2C)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
反応(R−6)において、R3は一般式(2)中のR3と同義である。反応(R−6)において、R5は反応(R−5)におけるR5と同義である。
反応(R−6)では、1モル当量の化合物(2C)を酸の存在下で反応して、1モル当量の一般式(2D)で表される化合物(以下、化合物(2D)と記載することがある)を得る。化合物(2D)は中間生成物である。反応(R−6)では、化合物(2C)のエステル結合が酸存在下で加水分解し、ジカルボン酸となった後、ジカルボン酸が閉環し、無水カルボン酸となる。その結果、化合物(2D)が生成する。反応(R−6)の反応時間は、5時間以上30時間以下であることが好ましい。反応(R−6)の反応温度は、70℃以上150℃以下であることが好ましい。酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸が好ましい。酸は、溶媒として機能してもよい。
反応(R−7)において、R3及びR4は、それぞれ一般式(2)中のR3及びR4と同義である。
反応(R−7)では、1モル当量の化合物(2D)と、1モル当量の一般式(2E)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(2E)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量のジイミド誘導体(2)を得る。
反応(R−7)では、1モルの化合物(2D)に対して、1モル以上2.5モル以下の第一級アミン(2E)を添加することが好ましい。1モルの化合物(2D)に対して1モル以上の第一級アミン(2E)を添加すると、ジイミド誘導体(2)の収率を向上させ易い。一方、1モルの化合物(2D)に対して2.5モル以下の第一級アミン(2E)を添加すると、反応(R−7)後に未反応の第一級アミン(2E)が残留し難く、ジイミド誘導体(2)の精製が容易となる。
反応(R−7)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−7)の反応時間は1時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(R−7)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ジオキサンが挙げられる。反応(R−3)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
なお、ジイミド誘導体(1)の製造方法は、反応(R−5)〜(R−7)におけるR3を有する第一級アミン及びR4を有する第一級アミンによるイミド化の順番を変更してもよい。ジイミド誘導体(2)は、例えば、反応式(R’−5)で表す反応式、反応式(R’−6)で表す反応式、及び反応式(R’−7)で表す反応式(以下、それぞれ反応(R’−5)、反応(R’−6)、及び反応(R’−7)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によっても製造される。ジイミド誘導体(2)の製造方法は、例えば、反応(R’−5)と、反応(R’−6)と、反応(R’−7)とを含む。
詳しくは、反応(R’−5)は、化合物(2A)を一般式(2A’)で表される化合物(以下、化合物(2A’)と記載することがある)に変更し、第一級アミン(2B)を第一級アミン(2E)に変更した以外は、反応(R−5)と同様の反応である。反応(R’−6)は、化合物(2C)を一般式(2C’)で表される化合物(以下、化合物(2C’)と記載することがある)に変更した以外は、反応(R−6)と同様の反応である。反応(R’−7)は、化合物(2D)を一般式(2D’)で表される化合物(以下、化合物(2D’)と記載することがある)に変更し、第一級アミン(2E)を第一級アミン(2B)に変更した以外は、反応(R−7)と同様の反応である。
[R3とR4とが同一である場合]
一般式(2)中、R3とR4とが互いに同一である場合、ジイミド誘導体(2)は、例えば、反応式(R−8)で表す反応式(以下、反応(R−8)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。なお、便宜上、反応式(R−8)では、一般式(2)中のR4をR3に置き換えて示している。反応(R−8)において、R3は、一般式(2)中のR3と同義である。
一般式(2)中、R3とR4とが互いに同一である場合、ジイミド誘導体(2)は、例えば、反応式(R−8)で表す反応式(以下、反応(R−8)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。なお、便宜上、反応式(R−8)では、一般式(2)中のR4をR3に置き換えて示している。反応(R−8)において、R3は、一般式(2)中のR3と同義である。
反応(R−8)では、1モル当量の化学式(2F)で表される酸無水物(以下、酸無水物(2F)と記載することがある)と、1モル当量の一般式(2G)で表される化合物(第一級アミン)(以下、第一級アミン(2G)と記載することがある)とを反応させて、1モル当量のジイミド誘導体(2)を得る。
反応(R−8)では、1モルの酸無水物(2F)に対して、2モル以上5モル以下の第一級アミン(2G)を添加することが好ましい。1モルの酸無水物(2F)に対して2モル以上の第一級アミン(2G)を添加すると、ジイミド誘導体(2)の収率を向上させ易い。一方、1モルの酸無水物(2F)に対して5モル以下の第一級アミン(2G)を添加すると、反応(R−8)後に未反応の第一級アミン(2G)が残留し難く、ジイミド誘導体(2)の精製が容易となる。
反応(R−8)の反応温度は160℃以上250℃以下であることが好ましい。反応(R−8)の反応時間は5時間以上15時間以下であることが好ましい。反応(R−8)は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン又はピコリン(メチルピリジン)が挙げられる。反応(R−8)は、塩基の存在下で行うことができる。塩基は、ジイミド誘導体(1)の収率を向上させる観点から、求核性が低いことが好ましい。このような塩基としては、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)が挙げられる。
ジイミド誘導体(1)及び(2)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー、又は晶折等)が挙げられる。
<5.バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(より具体的には、ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物等)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的強度、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、下記化学式(Resin−1)で表される繰返し単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)と記載することがある)が挙げられる。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
<6.添加剤>
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(より具体的には、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール等)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(より具体的には、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール等)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
<7.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含む。中間層が存在することにより、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含む。中間層が存在することにより、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含んでもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
<8.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造される。電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤としてのジイミド誘導体(1)と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とを溶剤に溶解又は分散させることにより、塗布液は製造される。
感光体は、例えば、感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造される。電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤としてのジイミド誘導体(1)と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とを溶剤に溶解又は分散させることにより、塗布液は製造される。
塗布液に含まれる溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含んでもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤の少なくとも一部を除去する限り、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間であることが好ましい。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを準備した。
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを準備した。
<1−1.電荷発生剤>
本実施形態で説明した電荷発生剤(C−1)及び(C−2)を準備した。電荷発生剤(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(C−1)の結晶構造はX型であった。
本実施形態で説明した電荷発生剤(C−1)及び(C−2)を準備した。電荷発生剤(C−1)は、化学式(C−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(C−1)の結晶構造はX型であった。
電荷発生剤(C−2)は、化学式(C−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(C−2)の結晶構造はY型であった。Y型チタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.2°に主ピークを有していることを確認した。
<1−2.正孔輸送剤>
本実施形態で説明した正孔輸送剤(H−1)を準備した。
本実施形態で説明した正孔輸送剤(H−1)を準備した。
<1−3.バインダー樹脂>
バインダー樹脂として、本実施形態で説明したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
バインダー樹脂として、本実施形態で説明したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)を準備した。
<1−4.電子輸送剤>
電子輸送剤としてジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)、ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)、及び電子輸送剤(E−1)を準備した。電子輸送剤(E−1)は、化学式(E−1)で表される。
電子輸送剤としてジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)、ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)、及び電子輸送剤(E−1)を準備した。電子輸送剤(E−1)は、化学式(E−1)で表される。
<1−4−1.ジイミド誘導体(1−1)の製造>
ジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。反応式(r−4)で表される反応(以下、反応(r−4)と記載することがある)に従ってジイミド誘導体(1−1)を製造した。
ジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。反応式(r−4)で表される反応(以下、反応(r−4)と記載することがある)に従ってジイミド誘導体(1−1)を製造した。
反応(r−4)では、酸無水物(1F)0.42g(1ミリモル)と、化学式(1G−1)で表される化合物(第一級アミン(1G−1))0.60g(2ミリモル)と、N−メチル−2−ピロリドン50mLとをフラスコに投入し、N−メチル−2−ピロリドン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を210℃に昇温し、210℃に維持して10時間フラスコ内容物を攪拌し還流した。反応後、イオン交換水をフラスコに投入し、クロロホルムで抽出した。有機層の溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)を除去し、残渣を得た。得られた残渣を展開溶媒として混合溶媒(クロロホルム/ヘキサン=1/1(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、ジイミド誘導体(1−1)を得た。ジイミド誘導体(1−1)の収量は0.24gであり、反応(r−4)における酸無水物(1F)からのジイミド誘導体(1−1)の収率は25モル%であった。
<1−4−2.ジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)の製造>
以下の点を変更した以外は、ジイミド誘導体(1−1)の製造と同様の方法で、ジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)をそれぞれ製造した。酸無水物(1F)及び第一級アミン(1G)は、反応(r−4)における反応物質(Reactant)である。反応(r−1)で使用された第一級アミン(1G−1)をそれぞれ表1に記載の第一級アミン(1G)に変更した。その結果、ジイミド誘導体(1−1)に代わりにジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)が得られた。なお、ジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)の製造において使用される各原料は、ジイミド誘導体(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
以下の点を変更した以外は、ジイミド誘導体(1−1)の製造と同様の方法で、ジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)をそれぞれ製造した。酸無水物(1F)及び第一級アミン(1G)は、反応(r−4)における反応物質(Reactant)である。反応(r−1)で使用された第一級アミン(1G−1)をそれぞれ表1に記載の第一級アミン(1G)に変更した。その結果、ジイミド誘導体(1−1)に代わりにジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)が得られた。なお、ジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)の製造において使用される各原料は、ジイミド誘導体(1−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
表1に反応(r−4)における酸無水物(1F)、第一級アミン(1G)、及びジイミド誘導体(1)を示す。表1中、欄「酸無水物の種類」の1Fは酸無水物(1F)を示す。欄「第一級アミンの種類」の1G−1〜3G−1は、それぞれ第一級アミン(1G−1)〜(1G−3)を示す。表1にジイミド誘導体(1)の収量及び収率を示す。表1中、欄「ジイミド誘導体の種類」の1−1〜1−3は、それぞれジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)を示す。
第一級アミン(1G−2)〜(1G−3)は、それぞれ化学式(1G−2)〜(1G−3)で表される。
<1−4−3.ジイミド誘導体(2−1)の製造>
ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。反応式(r−8)で表される反応(以下、反応(r−8)と記載することがある)に従ってジイミド誘導体(2−1)を製造した。
ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)をそれぞれ以下の方法で製造した。反応式(r−8)で表される反応(以下、反応(r−8)と記載することがある)に従ってジイミド誘導体(2−1)を製造した。
反応(r−8)では、酸無水物(2F)0.47g(1ミリモル)と、化学式(2G−1)で表される化合物(第一級アミン(2G−1))0.60g(2ミリモル)と、N−メチル−2−ピロリドン50mLとをフラスコに投入し、N−メチル−2−ピロリドン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を210℃に昇温し、210℃に維持して10時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、イオン交換水をフラスコに投入し、クロロホルムで抽出した。有機層の溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)を除去し、残渣を得た。得られた残渣を展開溶媒として混合溶媒(クロロホルム/ヘキサン=1/1(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、ジイミド誘導体(2−1)を得た。ジイミド誘導体(2−1)の収量は0.31gであり、反応(r−8)における酸無水物(2F)からのジイミド誘導体(2−1)の収率は30モル%であった。
<1−4−4.ジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)の製造>
以下の点を変更した以外は、ジイミド誘導体(2−1)の製造と同様の方法で、ジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)をそれぞれ製造した。酸無水物(2F)及び第一級アミン(2G−1)は、反応(r−8)における反応物質(Reactant)である。反応(r−8)で使用された第一級アミン(2G−1)をそれぞれ表1に記載の第一級アミン(2G)に変更した。その結果、ジイミド誘導体(2−1)の代わりにジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)が得られた。なお、ジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)の製造において使用される各原料は、ジイミド誘導体(2−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
以下の点を変更した以外は、ジイミド誘導体(2−1)の製造と同様の方法で、ジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)をそれぞれ製造した。酸無水物(2F)及び第一級アミン(2G−1)は、反応(r−8)における反応物質(Reactant)である。反応(r−8)で使用された第一級アミン(2G−1)をそれぞれ表1に記載の第一級アミン(2G)に変更した。その結果、ジイミド誘導体(2−1)の代わりにジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)が得られた。なお、ジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)の製造において使用される各原料は、ジイミド誘導体(2−1)の製造において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
表2に反応(r−8)における酸無水物(2F)、第一級アミン(2G)、及びジイミド誘導体(2)を示す。表2中、欄「酸無水物の種類」の2Fは酸無水物(2F)を示す。欄「第一級アミンの種類」の2G−1〜2G−3は、それぞれ第一級アミン(2G−1)〜(2G−3)を示す。表2にジイミド誘導体(2)の収量及び収率を示す。表2中、欄「ジイミド誘導体の種類」の2−1〜2−3は、それぞれジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)を示す。
第一級アミン(2G−2)〜(2G−3)は、それぞれ化学式(2G−2)〜(2G−3)で表される。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造したジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)及びジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうちジイミド誘導体(1−1)及びジイミド誘導体(2−1)を代表例として挙げる。以下に、ジイミド誘導体(1−1)及びジイミド湯導体(2−1)の化学シフト値を示す。
ジイミド誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=9.12(s, 2H), 9.09(m, 2H), 8.08(m, 2H), 7.65(m, 2H), 7.27(m, 2H), 3.72(d, 4H), 1.99(brs, 2H), 1.41−1.22(m, 64H), 0.86−0.83(m, 12H).
ジイミド誘導体(2−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=9.13(d, 2H), 8.83(d, 2H), 8.66(d, 2H), 8.62(d, 2H), 7.77−7.66(m, 4H), 3.56(d, 4H), 1.94(brs, 2H), 1.38−1.22(m, 64H), 0.87−0.82(m, 12H).
ジイミド誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=9.12(s, 2H), 9.09(m, 2H), 8.08(m, 2H), 7.65(m, 2H), 7.27(m, 2H), 3.72(d, 4H), 1.99(brs, 2H), 1.41−1.22(m, 64H), 0.86−0.83(m, 12H).
ジイミド誘導体(2−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=9.13(d, 2H), 8.83(d, 2H), 8.66(d, 2H), 8.62(d, 2H), 7.77−7.66(m, 4H), 3.56(d, 4H), 1.94(brs, 2H), 1.38−1.22(m, 64H), 0.87−0.82(m, 12H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、ジイミド誘導体(1−1)及びジイミド誘導体(2−1)が得られていることを確認した。他のジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)及びジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)も同様にして、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、それぞれジイミド誘導体(1−2)〜(1−3)及びジイミド誘導体(2−2)〜(2−3)が得られていることを確認した。
<2.感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)を製造した。
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)を製造した。
<2−1.感光体(A−1)の製造>
電荷発生剤(C−1)5質量部と、正孔輸送剤(H−1)80質量部と、電子輸送剤としてのジイミド誘導体(1−1)40質量部と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部とを容器内に投入した。ボールミルを用いて、これらの材料と溶剤とを50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて感光層用塗布液を塗布した。塗布した感光層用塗布液を100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
電荷発生剤(C−1)5質量部と、正孔輸送剤(H−1)80質量部と、電子輸送剤としてのジイミド誘導体(1−1)40質量部と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部とを容器内に投入した。ボールミルを用いて、これらの材料と溶剤とを50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長238.5mm)上に、ディップコート法を用いて感光層用塗布液を塗布した。塗布した感光層用塗布液を100℃で30分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
<2−2.感光体(A−2)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の製造>
感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤(C−1)及びジイミド誘導体(1−1)を、それぞれ表3に示す種類の電荷発生剤及び電子輸送剤に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)を各々製造した。なお、表3に感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の構成を示す。表3中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ、電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。欄「CGM」のx−H2Pc及びY−TiOPcは、各々X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤(C−1))及びY型チタニルフタロシアニン(電荷発生剤(C−2))を示す。欄「HTM」のH−1は正孔輸送剤(H−1)を示す。欄「ETM」の1−1〜1−3、2−1〜2−3、及びE−1は、各々、ジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)、ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)、及び電子輸送剤(E−1)を示す。
感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤(C−1)及びジイミド誘導体(1−1)を、それぞれ表3に示す種類の電荷発生剤及び電子輸送剤に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)を各々製造した。なお、表3に感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の構成を示す。表3中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ、電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。欄「CGM」のx−H2Pc及びY−TiOPcは、各々X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤(C−1))及びY型チタニルフタロシアニン(電荷発生剤(C−2))を示す。欄「HTM」のH−1は正孔輸送剤(H−1)を示す。欄「ETM」の1−1〜1−3、2−1〜2−3、及びE−1は、各々、ジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)、ジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)、及び電子輸送剤(E−1)を示す。
<3.感光体の性能評価>
<3−1.感光体の感度特性の評価>
製造した感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、感度特性を評価した。感光体の感度特性は、感度電位(VL)を用いて評価した。感度特性の測定は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件として、感光体の回転数を31rpmに設定し、感光体への流れ込み電流を+8μAに設定した。帯電直後の感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表3に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。
<3−1.感光体の感度特性の評価>
製造した感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、感度特性を評価した。感光体の感度特性は、感度電位(VL)を用いて評価した。感度特性の測定は、温度23℃及び湿度60%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を正極性に帯電させた。帯電条件として、感光体の回転数を31rpmに設定し、感光体への流れ込み電流を+8μAに設定した。帯電直後の感光体の表面電位を+700Vに設定した。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表3に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が小さいほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。
<3−2.感光体の外観>
製造した感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、外観を評価した。感光体の表面を目視にて観察し、結晶化の存在の有無を確認した。
製造した感光体(A−1)〜(A−12)及び感光体(B−1)〜(B−2)の各々に対して、外観を評価した。感光体の表面を目視にて観察し、結晶化の存在の有無を確認した。
表3に示すように、感光体(A−1)〜(A−12)では、感光層は電子輸送剤としてジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)の何れか1種類又はジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)の何れか1種類を含んでいた。これらジイミド誘導体(1−1)〜(1−3)は、それぞれ一般式(1)で表される化合物であり、これらジイミド誘導体(2−1)〜(2−3)は、それぞれ一般式(2)で表される化合物であった。また、感光体(A−1)〜(A−12)では、感度電位VLが+103V以上+112V以下であった。
表3に示すように、感光体(B−1)〜(B−2)では、感光層は、電子輸送剤として化合物(E−1)を含んでいた。化合物(E−1)は、一般式(1)で表される化合物ではなかった。また、感光体(B−1)〜(B−2)では、感度電位VLが+130V以上+135V以下であった。
感光体(A−1)〜(A−12)は、感光体(B−1)〜(B−2)に比べ、感度特性に優れることが明らかである。
以上から、一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体を含む感光層を備える感光体は、感度特性に優れることが明らかである。
また、感光体(A−1)〜(A−12)は、それらの表面に結晶化は確認されなかった。一方、感光体(B−1)〜(B−2)は、それらの表面に結晶化が若干確認された。よって、感光体(A−1)〜(A−12)は、感光体(B−1)〜(B−2)に比べ、結晶化を抑制することが明らかである。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
3c 単層型感光層
2 導電性基体
3 感光層
3c 単層型感光層
Claims (7)
- 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、単層型感光層であり、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含み、
前記電子輸送剤は、一般式(1)又は一般式(2)で表されるジイミド誘導体を含む、電子写真感光体。
R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表し、
前記一般式(2)中、
R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数2以上8以下のアルコキシカルボニル基を有してもよい炭素原子数3以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上20以下のアリール基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基を表す。 - 前記一般式(1)中、
R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数10以上20以下のアルキル基、1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数7以上12以下のアラルキル基を表し、
前記一般式(2)中、
R3及びR4は、各々独立に、炭素原子数2以上4以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数3以上6以下のアルキル基、炭素原子数10以上20以下のアルキル基、又は1若しくは複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であり、
前記一般式(2)中、R3及びR4は、互いに同一である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。 - 前記一般式(3)中、
R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
r、s、v、w、t、及びuは1を表す、請求項5に記載の電子写真感光体。 - 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンを含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016217131A JP2018077271A (ja) | 2016-11-07 | 2016-11-07 | 電子写真感光体 |
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JP2016217131A Pending JP2018077271A (ja) | 2016-11-07 | 2016-11-07 | 電子写真感光体 |
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-
2016
- 2016-11-07 JP JP2016217131A patent/JP2018077271A/ja active Pending
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