JP2019219526A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Hideki Okada
英樹 岡田
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Abstract

【課題】感度特性に優れる電子写真感光体の提供を目的とする。【解決手段】電子写真感光体は、導電性基体と、単層の感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、一般式(1)で表されるナフタレンジイミド誘導体とを含有する。一般式(1)中、R1は、炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体は、感光層を備える。この感光層は、電子輸送剤として、例えば、下記化学式(E−1)で表される化合物を含む。
Figure 2019219526
特開2005−154444号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体は、感度特性において改善の余地があることが本発明者の検討により判明した。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感度特性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、単層の感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表されるナフタレンジイミド誘導体とを含有する。
Figure 2019219526
前記一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。2つのR1は、互いに同一である。
本発明の電子写真感光体は、感度特性に優れる。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数3以上8以下のアルキル基、炭素原子数20以上30以下のアルキル基、炭素原子数5以上15以下の直鎖状アルキル基、炭素原子数10以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上7以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上10以下のアラルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数5以上10以下のシクロアルキル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)としては、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)及びヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数3以上8以下のアルキル基、炭素原子数20以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上7以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数5以上15以下の直鎖状アルキル基、及び炭素原子数10以上20以下の直鎖状アルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上30以下のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、直鎖状又は分枝鎖状のヘキシル基、直鎖状又は分枝鎖状のヘプチル基、直鎖状又は分枝鎖状のオクチル基、直鎖状又は分枝鎖状のノニル基、直鎖状又は分枝鎖状のデシル基、及び直鎖状又は分枝鎖状のイコシル基が挙げられる。炭素原子数3以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数20以上30以下のアルキル基としては、例えば、炭素原子数3以上30以下のアルキル基の例として述べた基のうち炭素原子数が3以上8以下の基、又は炭素原子数20以上30以下の基が挙げられる。炭素原子数5以上15以下の直鎖状アルキル基、又は炭素原子数10以上20以下の直鎖状アルキル基としては、例えば、炭素原子数3以上30以下のアルキル基の例として述べた基のうち炭素原子数が5以上15以下で直鎖状の基、又は炭素原子数10以上20以下で直鎖状の基が挙げられる。炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上7以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基及びエチル基と、炭素原子数3以上30以下のアルキル基の例として述べた基のうち炭素原子数が3以上10以下の基、炭素原子数3以上7以下の基、炭素原子数3以上6以下の基、炭素原子数3以上4以下の基、又は炭素原子数3の基とが挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基及びヘキソキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下の基が挙げられる。
炭素原子数6以上22以下のアリール基、及び炭素原子数6以上14以下のアリール基は、各々、非置換である。炭素原子数6以上22以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基及びペンタセニル基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基及びフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、及び炭素原子数5以上10以下のシクロアルキル基は、各々、非置換である。炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基及びシクロイコシル基が挙げられる。炭素原子数5以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が5以上10以下の基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、各々、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基で置換された炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられる。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基としては、例えば、フェニル基で置換された炭素原子数1以上4以下のアルキル基が挙げられる。
<電子写真感光体>
本発明の実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、導電性基体と、単層の感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表されるナフタレンジイミド誘導体(以下、ナフタレンジイミド誘導体(1)と記載することがある)とを含有する。
Figure 2019219526
一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。2つのR1は、互いに同一である。
以下、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る感光体の構造について説明する。図1〜図3は、各々、本実施形態に係る感光体1の一例を示す模式的断面図である。
図1に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は単層(一層)である。感光体1は、単層の感光層3を備える単層型電子写真感光体である。
図2に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に設けられる。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接設けられてもよい。或いは、図2に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して設けられてもよい。中間層4は、一層であってもよく、複数の層であってもよい。
図3に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、感光層3上に設けられる。保護層5は、一層であってもよく、複数の層であってもよい。
感光層3の厚さは、感光層3としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層3の厚さとしては、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。
以上、図1〜図3を参照して、感光体1の構造について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。なお、以下に示す各材料は、特に断りのない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[感光層]
感光層は、電荷発生剤と、ナフタレンジイミド誘導体(1)とを含有する。感光層は、正孔輸送剤を更に含有することが好ましい。感光層は、バインダー樹脂を更に含有することが好ましい。感光層は、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンとしては、例えば、下記化学式(CGM1)で表される化合物が挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。チタニルフタロシアニンは、下記化学式(CGM2)で表される化合物である。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 2019219526
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、α型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用したレーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。この場合、700nm以上の波長領域で高い量子収率を有する観点から、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体においては、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好ましい。
感光層における電荷発生剤の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上30質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下が更に好ましい。
(ナフタレンジイミド誘導体(1))
ナフタレンジイミド誘導体(1)は、感光層において、例えば、電子輸送剤として機能する。感光層がナフタレンジイミド誘導体(1)を含むことにより、本実施形態に係る感光体は感度特性に優れる。その理由は以下のように推測される。
ナフタレンジイミド誘導体(1)は、ナフチルイミド構造に起因する優れた電子受容性を有する。また、ナフタレンジイミド誘導体(1)は、比較的大きいπ共役系を有するため、隣接する別のナフタレンジイミド誘導体(1)との間でπ共役系の重なりを生じ易い傾向にある。そのため、ナフタレンジイミド誘導体(1)は、キャリア(特に電子)の輸送性に優れる傾向にある。更に、ナフタレンジイミド誘導体(1)は、チアジアゾール環の存在によって分子骨格構造が非対称となっているため、感光層形成用の溶剤に対する溶解性や、バインダー樹脂に対する相溶性に優れ、結晶化を抑制しつつ均質な感光層を形成することができる。以上により、ナフタレンジイミド誘導体(1)は、感光体の感度特性を向上させると推察される。
1で表される炭素原子数3以上30以下のアルキル基としては、炭素原子数3以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数20以上30以下のアルキル基が好ましい。炭素原子数3以上8以下のアルキル基としては、n−ペンチル基又はイソペンチル基が好ましい。炭素原子数20以上30以下のアルキル基としては、炭素原子数5以上15以下の直鎖状アルキル基で置換された炭素原子数10以上20以下の直鎖状アルキル基が好ましく、下記化学式(Y)で表される基がより好ましい。
Figure 2019219526
化学式(Y)中、*は、一般式(1)においてR1に隣接する窒素原子との結合部位を表す。
1で表される炭素原子数3以上30以下のアルキル基は、上述の通り、炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。R1で表されるアルキル基が置換されている場合、置換基(即ち、アルコキシカルボニル基)の数としては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基は、R2O−(C=O)−*で表される基である。R2は、炭素原子数1以上7以下のアルキル基を表す。*は、一般式(1)においてR1に隣接する窒素原子との結合部位を表す。炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、又はイソプロポキシカルボニル基がより好ましく、エトキシカルボニル基が更に好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基で置換された炭素原子数3以上30以下のアルキル基としては、エトキシカルボニル基で置換されたヘキシル基が好ましい。
1で表される炭素原子数6以上22以下のアリール基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
1で表される炭素原子数6以上22以下のアリール基は、上述の通り、炭素原子数1以上10以下のアルキル基で置換されていてもよい。R1で表されるアリール基が置換されている場合、置換基(即ち、アルキル基)の数としては、1以上4以下が好ましく、2がより好ましい。炭素原子数1以上10以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。炭素原子数1以上10以下のアルキル基で置換された炭素原子数6以上22以下のアリール基としては、1個のメチル基及び1個のエチル基で置換されたフェニル基が好ましい。
1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、フェニル基又はナフチル基で置換された炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
1で表される炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上10以下のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
1で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基又はn−プロポキシ基がより好ましい。
1は、炭素原子数1以上4以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子数7以上10以下のアラルキル基を表すことが好ましい。
感光体の感度特性をより向上させる観点から、ナフタレンジイミド誘導体(1)としては、下記化学式(1−1)〜(1−5)で表される化合物(以下、それぞれナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)と記載することがある)が好ましい。下記化学式(1−1)及び(1−2)中、「Cx(2X+1)」は、炭素原子数Xの直鎖状アルキル基を表す。「Et」は、エチル基を表す。
Figure 2019219526
ナフタレンジイミド誘導体(1)としては、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)又は(1−2)が特に好ましい。
感光層におけるナフタレンジイミド誘導体(1)の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下が好ましく、20質量部以上40質量部以下がより好ましい。ナフタレンジイミド誘導体(1)の含有量をバインダー樹脂100質量部に対して5質量部以上とすることで、感光体の感度特性をより向上させることができる。ナフタレンジイミド誘導体(1)の含有量をバインダー樹脂100質量部に対して100質量部以下とすることで、感光層形成用の溶剤にナフタレンジイミド誘導体(1)を溶解させ易くなり、その結果、均質な感光層を形成し易くなる。
(ナフタレンジイミド誘導体(1)の合成)
ナフタレンジイミド誘導体(1)は、例えば、下記反応式(R−1)で表される反応(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って、又はこれに準ずる方法によって合成される。なお、反応式(R−1)において一般式(1’)で表される化合物を、化合物(1’)と記載することがある。一般式(1’)中のR1は、一般式(1)中のR1と同義である。
Figure 2019219526
反応(R−1)では、1モル当量の化合物(1’)を反応させて、1モル当量のナフタレンジイミド誘導体(1)を得る。詳しくは、触媒の存在下で化合物(1’)を反応させる。これにより、化合物(1’)が酸化されてナフタレンジイミド誘導体(1)が得られる。触媒としては、例えば酸化鉛(II)(一酸化鉛)を用いることができる。反応(R−1)は、溶媒存在下で行われてもよい。溶媒としては、例えば、塩化メチレン等の有機溶媒が挙げられる。反応(R−1)の反応温度としては、10℃以上40℃以下が好ましく、室温(例えば、22℃以上28℃以下)がより好ましい。反応(R−1)の反応時間としては、5分以上5時間以下が好ましく、15分以上1時間以下がより好ましい。
反応(R−1)を行った後、得られたナフタレンジイミド誘導体(1)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、公知の方法(例えば、ろ過、シリカゲルクロマトグラフィー又は晶析)が挙げられる。
感光層は、ナフタレンジイミド誘導体(1)に加えて、ナフタレンジイミド誘導体(1)以外の電子輸送剤(以下、その他の電子輸送剤と記載することがある)を更に含有してもよい。その他の電子輸送剤としては、例えば、キノン化合物、ジイミド系化合物(ナフタレンジイミド誘導体(1)を除く)、ヒドラゾン系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン化合物としては、例えば、ジフェノキノン化合物、アゾキノン化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、ニトロアントラキノン化合物及びジニトロアントラキノン化合物が挙げられる。
感光層は、電子輸送剤としてナフタレンジイミド誘導体(1)のみを含有することが好ましい。具体的には、感光層に含有される電子輸送剤の合計質量に対するナフタレンジイミド誘導体(1)の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。
感光層は、下記一般式(10)で表される化合物(以下、化合物(10)と記載することがある)を含有することが好ましい。化合物(10)は、通常、感光層において正孔輸送剤として機能する。
Figure 2019219526
一般式(10)中、R101、R102、R103、R104、R105及びR106は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。a、b、c及びdは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e及びfは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
aが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR101は、互いに同一であっても異なっていてもよい。bが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR102は、互いに同一であっても異なっていてもよい。cが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR103は、互いに同一であっても異なっていてもよい。dが2以上5以下の整数を表す場合、複数のR104は、互いに同一であっても異なっていてもよい。eが2以上4以下の整数を表す場合、複数のR105は、互いに同一であっても異なっていてもよい。fが2以上4以下の整数を表す場合、複数のR106は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(10)中、R101、R102、R103、R104、R105及びR106は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。a、b、c、d、e及びfは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
化合物(10)としては、下記化学式(H−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(H−1)と記載することがある)が好ましい。
Figure 2019219526
感光層に含有される正孔輸送剤の合計質量に対する化合物(10)の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
感光層における正孔輸送剤の含有量としては、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、10質量部以上100質量部以下がより好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。
バインダー樹脂としては、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は、下記化学式(20)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂である。以下、化学式(20)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネート樹脂(20)と記載することがある。
Figure 2019219526
(添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物及び有機燐化合物が挙げられる。
(組み合わせ)
感光層における正孔輸送剤及び電子輸送剤の組み合わせとしては、正孔輸送剤(H−1)と、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)及び(1−5)のうち少なくとも1つとの組み合わせが好ましい。感光層における電荷発生剤、正孔輸送剤及び電子輸送剤の組み合わせとしては、下記表1に示す組み合わせ(j−1)〜(j−10)が好ましい。下記表1中、「x−H2Pc」及び「Y−TiOPc」は、各々、X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを示す。電子輸送剤における「1−1」、「1−2」、「1−3」、「1−4」及び「1−5」は、それぞれナフタレンジイミド誘導体(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)及び(1−5)を示す。
Figure 2019219526
[導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。即ち、導電性基体としては、例えば、全体が導電性を有する材料で形成されている導電性基体を用いてもよく、導電性を有する材料によって導電性を有しない材料を被覆した導電性基体を用いてもよい。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム及びインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて(例えば、ステンレス鋼及び真鍮等の合金として)用いてもよい。導電性を有する材料としては、感光層から導電性基体への電荷の移動性を向上させる観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状としては、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができるが、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
[中間層]
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)の粒子、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤としては、例えば、感光層において例示した添加剤と同様の添加剤が挙げられる。
[感光体の製造方法]
感光体の製造方法としては、例えば、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させる工程を備える製造方法が挙げられる。感光層用塗布液は、電荷発生剤、ナフタレンジイミド誘導体(1)及び必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液の溶剤としては、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。感光層用塗布液の溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール又はn−ブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、n−オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。感光層用塗布液の溶剤としては、感光体の製造時の作業性を向上させる観点から、非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)が好ましい。
感光層用塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を更に含有してもよい。
感光層用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。具体的な塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液の乾燥方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法である限り、特に限定されない。具体的な感光層用塗布液の乾燥方法としては、例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いた熱処理法(熱風乾燥処理法)が挙げられる。熱処理法における熱処理条件としては、例えば、熱処理温度を40℃以上150℃以下、熱処理時間を3分間以上120分間以下とすることができる。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に備えてもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光層形成材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子輸送剤を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを準備した。X型無金属フタロシアニンとしては、実施形態で述べた化学式(CGM1)で表され、X型の結晶構造を有する無金属フタロシアニンを準備した。Y型チタニルフタロシアニンとしては、実施形態で述べた化学式(CGM2)で表され、Y型の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンを準備した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた正孔輸送剤(H−1)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(20)を準備した。ポリカーボネート樹脂(20)の粘度平均分子量は、50000であった。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べたナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)を準備した。ナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)の各々は、以下の方法で合成した。なお、各化合物の収率はモル比換算により求めた。
(ナフタレンジイミド誘導体(1−1)の合成)
下記反応式(r−1)で表される反応(以下、反応(r−1)と記載することがある)に従って、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)を合成した。
Figure 2019219526
反応(r−1)では、化学式(1’−1)で表される化合物を反応させて、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)を得た。詳しくは、化学式(1’−1)で表される化合物(56mg、0.05mmol)及び酸化鉛(II)(0.96g、4mmol)を塩化メチレンに混合し、全量が10mLになるように調製した。得られた塩化メチレン溶液10mLを室温(25℃)で30分間攪拌した。攪拌後、塩化メチレン溶液をろ過し、残渣をろ取した。得られた残渣について、クロロホルムを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)を45mg得た(収率80%)。
(ナフタレンジイミド誘導体(1−2)〜(1−5)の合成)
以下の点を変更した以外は、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)の合成と同様の方法で、ナフタレンジイミド誘導体(1−2)〜(1−5)を各々合成した。ナフタレンジイミド誘導体(1−1)の合成では、化学式(1’−1)で表される化合物を原料として用いた。一方、ナフタレンジイミド誘導体(1−2)〜(1−5)の合成では、それぞれ下記化学式(1’−2)〜(1’−5)で表される化合物を原料として用いた。下記表2には、各反応の原料、収量及び収率を示す。なお、ナフタレンジイミド誘導体(1−2)〜(1−5)の合成において使用される各原料のモル数は、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)の合成において使用される対応する原料のモル数と同一とした。
Figure 2019219526
Figure 2019219526
次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。ナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)のうちの代表例として、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)及び(1−2)の各々の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。測定された1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)及び(1−2)が得られていることを確認した。ナフタレンジイミド誘導体(1−3)〜(1−5)についても、測定された1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、ナフタレンジイミド誘導体(1−3)〜(1−5)の各々が得られていることを確認した。
ナフタレンジイミド誘導体(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.83(d,1H),8.29(d,1H),8.15(d,1H),4.18−4.33(m,4H),1.69−1.84(m,4H),1.46−1.64(m,2H),1.18−1.50(m,80H),0.82−0.94(m,12H)
ナフタレンジイミド誘導体(1−2):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.87(s,2H),8.29(d,1H),8.20(d,1H),4.23−4.32(m,4H),1.80−1.90(m,4H),1.41−1.53(m,8H),0.92−0.99(m,6H)
比較例で使用する電子輸送剤として、下記化学式(E−1)〜(E−3)で表される化合物(以下、化合物(E−1)〜(E−3)と記載することがある)を準備した。下記化学式(E−2)中、C817は、直鎖状オクチル基を表す。下記化学式(E−3)中、i−Prは、イソプロピル基を表す。
Figure 2019219526
<感光体の製造>
上述の材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の各々を製造した。
(感光体(A−1)の製造)
容器内に、電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン2質量部、正孔輸送剤(H−1)50質量部、電子輸送剤としてのナフタレンジイミド誘導体(1−1)35質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(20)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン600質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて12時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、ブレードコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層の感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
(感光体(A−2)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の製造)
次の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(A−2)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の各々を製造した。感光体(A−1)の製造においては電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニンを使用し、電子輸送剤としてナフタレンジイミド誘導体(1−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の各々の製造においては下記表3に示す種類の電荷発生剤及び電子輸送剤を使用した。
<感度特性の評価>
感光体(A−1)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の各々に対して、感度特性の評価を行った。感度特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+600Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから50ミリ秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、露光後電位VL(単位:+V)とした。測定された感光体の露光後電位VLを下記表3に示す。なお、露光後電位VLが小さい正の値であるほど、感光体の感度特性(特に、露光光に対する感度特性)が優れていることを示す。露光後電位VLが+120V以下である感光体は、感光体の感度特性が良好であると評価できる。
<結晶化の有無の評価>
感光体(A−1)〜(A−10)及び(B−1)〜(B−6)の各々の表面(感光層)全域を、肉眼で観察した。そして、感光層における結晶化した部分の有無を確認した。確認結果を下記表3に示す。
下記表3中、「CGM」、「HTM」、「ETM」、「VL」、「x−H2Pc」及び「Y−TiOPc」は、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、露光後電位、X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを示す。「ETM」における「1−1」〜「1−5」は、各々、ナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)を示す。「結晶化有無」における「なし」は感光層に結晶化した部分が確認されなかったことを示し、「若干結晶化」は感光層に結晶化した部分が若干確認されたことを示す。
Figure 2019219526
感光体(A−1)〜(A−10)は、導電性基体と、単層の感光層とを備えていた。感光層は、電荷発生剤とナフタレンジイミド誘導体(1)とを含有していた。具体的には、感光層は、一般式(1)に包含されるナフタレンジイミド誘導体(1−1)〜(1−5)の何れかを含有していた。そのため、表3から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−10)では、露光後電位が小さい正の値であり、感光体の感度特性が優れていた。また、感光体(A−1)〜(A−10)では、感光層における結晶化も抑制されていた。
一方、感光体(B−1)〜(B−6)の感光層は、ナフタレンジイミド誘導体(1)が含有されていなかった。具体的には、感光体(B−1)〜(B−6)の感光層には化合物(E−1)〜(E−3)が含有されていたが、化合物(E−1)〜(E−3)は一般式(1)に包含される化合物ではなかった。そのため、表3から明らかなように、感光体(B−1)〜(B−6)では、露光後電位が大きい正の値であり、感度特性が良好ではなかった。また、感光体(B−1)〜(B−6)では、感光層における結晶化が抑制されていなかった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、感度特性に優れると判断される。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
4 中間層
5 保護層

Claims (6)

  1. 導電性基体と、単層の感光層とを備え、
    前記感光層は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表されるナフタレンジイミド誘導体とを含有する、電子写真感光体。
    Figure 2019219526
    (前記一般式(1)中、
    1は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    2つのR1は、互いに同一である。)
  2. 前記一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上4以下のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい炭素原子数3以上30以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子数7以上10以下のアラルキル基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)で表されるナフタレンジイミド誘導体は、下記化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2019219526
  4. 前記感光層は、下記一般式(10)で表される化合物を更に含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2019219526
    (前記一般式(10)中、
    101、R102、R103、R104、R105及びR106は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    a、b、c及びdは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    e及びfは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。)
  5. 前記一般式(10)で表される化合物は、下記化学式(10−1)で表される、請求項4に記載の電子写真感光体。
    Figure 2019219526
  6. 前記感光層は、下記化学式(20)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を更に含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2019219526
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