以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明にかかる空気調和機の室内機一例の斜視図である。図2は、図1に示す空気調和機の室内機の長手方向の中央部分で切断した概略断面図である。図3は、図2に示す空気調和機の室内機をIII−III線で切断した概略断面図である。以下の説明において、空気調和機の室内機を単に室内機と称する場合がある。以下の説明において、室内機の方向は、別途示す場合を除いて、以下の方向を基準とする。壁面に沿う水平方向を左右方向、壁面に沿う鉛直方向を上下方向、壁面に接近離間する方向を前後方向とする。そして、壁面に取り付けられた室内機に対向した状態で上下、左右を定義する。また、壁面に取り付けられた室内機の壁面側を後側として前後を定義する。
空気調和機は、居室の内部に配置される室内機Aと、外部に配置される不図示の室外機とを有している。室内機A及び室外機のそれぞれに熱交換器が備えられており、熱交換器同士を配管で接続したヒートポンプが構成されている。ヒートポンプは従来公知のものであるため詳細は省略するが、内部を流れる冷媒の相変化を利用して、居室の内外の熱交換を行う。例えば、室内機Aに備えられた後述する熱交換器2に、低温の冷媒が流入すると、居室内の空気は冷却される。逆に、熱交換器2に、高温の冷媒が流入すると、居室内の空気は加熱される。以下の説明において、空気を冷却、加熱あるいはそれに伴う加湿又は除湿することを空調すると称する。
室内機Aは、居室内の空気を吸い込み、空調した空気を外部に吹出す。壁面WLに取り付けられた室内機Aの長手方向は、左右方向である。図1、図2、図3に示すように室内機Aは、筐体1と、熱交換器2と、送風機3と、ファン支持部材4とを備えている。
筐体1は、室内機Aの外装である。筐体1は、ケース11と、下カバー12と、左カバー13と、右カバー14と、左側板15と、右側板16とを有している。ケース11の内部は、空気が通過する通風路110が構成される。通風路110には、熱交換器2と、送風機3とが配されている。
ケース11の上部には、吸込口111が設けられている。吸込口111は、ケース11の外部から内部に貫通する無数の貫通孔を有している。そして、通風路110に配された送風機3の駆動によって、吸込口111から空気が通風路110に吸い込まれる。また、ケース11の下部には、開口112が形成されている。開口112は、通風路110と繋がっている。開口112には、下カバー12が着脱可能に取り付けられる。開口112の長手方向の長さ及び長手方向と直交する方向の幅は、送風機3の後述する羽根車30の長さ及び外径よりも大きい。
下カバー12は、支持体121と、ルーバ122とを備えている。支持体121は、開口112の後部に嵌ることで、ケース11に取り付けられる。支持体121が取り付けられることで、開口112の後部は塞がれて、空気の漏れが抑制される。ルーバ122は支持体121に回動可能に取り付けられている。支持体121を開口112の後部に取り付けたとき、ルーバ122は、開口112の支持体121に塞がれていない前部を開閉可能に覆う。すなわち、支持体121が、開口112の後部に取り付けられた状態で、ルーバ122を回動させることで、開口112の前部が開閉される。なお、開口112の支持体121に塞がれていない前部が通風路110と繋がっており、室内機Aの吹出口113となる。
ルーバ122は、支持体121に対する回動角度を調節可能である。ルーバ122の支持体121に対する回動角度を調整することで、吹出口113の大きさ及び吹出口113から吹出される気流の方向を調整する。なお、ルーバ122は空気調和機の動作に対応して自動で動いてもよいし、使用者が手動で開閉してもよい。本実施形態では、支持体121に不図示の駆動機構が備えられており、空気調和機の駆動に基づいて、駆動機構がルーバ122を駆動する。
ケース11の左端部は開口しており、左端部の開口を覆うとともに着脱可能に左カバー13が取り付けられる。また、ケース11の右端部も開口しており、右端部の開口を覆うとともに着脱可能に右カバー14が取り付けられる。
左側板15及び右側板16は、ケース11の内部に設けられている。左側板15及び右側板16は、ケース11の長手方向に対して直交して設けられている。すなわち、左側板15と右側板16とは、平行となっている。左側板15及び右側板16は、送風機3を回転可能に支持するファン支持部材4が取り付けられる。
左側板15は、ファン支持部材4の後述する左部材41を保持する保持部151を備えている。保持部151は、ここでは貫通孔である。なお、保持部151としては、貫通孔に限定されるものではなく、凹部等の一部が開いた形状であってもよい。また、左側板15に形成された形状に限定されるものではなく、左側板15に取り付けられ、左部材41を保持する部材、例えば、挟持具等を備える構成であってもよい。左部材41を確実に保持できる形状を広く採用することができる。詳細は後述するが左部材41は、左側板15に移動可能(着脱可能であってもよい)に取り付けられる。
右側板16も左側板15と同様、ファン支持部材4の後述する右部材42を保持する保持部161を備えている。保持部161は基本的に保持部151と同じ構成である。保持部161は、実質的に、送風機3に設けられる後述のモータ35の出力軸36を回転可能に支持する右部材42を保持する構成である。そのため、右側板16及び保持部161は、回転するモータ35を安定して支持することができる構成である。
熱交換器2は、ケース11に対して固定されている。熱交換器2は、室外機から送られた居室内の空気に比べて高温又は低温冷媒が内部を流動する。内部を流動する冷媒と外部の空気とで熱交換を行い、居室の空気調和を行う。熱交換器2は、冷媒が流れる配管21と、配管21に接触して配置された複数のフィン22とを備えた、いわゆる、フィンチューブ型の熱交換器である。熱交換器2は、ケース11の通風路110の内部に配置されており、フィン22の間を空気が通過することで、空気と冷媒との熱交換が行われる。熱交換器2は、ケース11に形成されている吸込口111に隣接して設けられており、吸込口111から吸い込まれた空気が熱交換器2を通過する。
熱交換器2は、通風路110の上部に配置されており、熱交換器2の下部には、熱交換器2に結露した水(ドレン水)を受けるためのドレンパン17が設けられている。ドレンパン17は左右のいずれか一方が下方に傾いており、溜まった水を下方に流す。そして、流れた水を居室の外部に流出させる排水パイプ(不図示)が取り付けられている。また、前方に配されたドレンパン17の下方には、送風機3の駆動によって発生する空気を吹出口113に向ける整流部材である、スタビライザ18が設けられている。
図2等に示すように、熱交換器2は、送風機3に隣接して配置されている。送風機3について説明する。送風機3は、クロスフローファンである。送風機3は、円筒形状の羽根車30と、羽根車30を回転させる電動機であるモータ35とを備えている。羽根車30は、複数個のランナー31と、リングプレート32と、回転軸33と、軸取付凹部34とを備えている。モータ35は、回転力を発生させる出力軸36を備えている。
また、ケース11の送風機3の後方及び下方には、ファンケーシング19が設けられている。ファンケーシング19は、送風機3から吹出口113に向かう気流を発生させる形状を有する。なお、ファンケーシング19は、ケース11と同一部材で形成されていてもよいし、ケース11に対して分離可能な構成であってもよい。また、本発明にかかる室内機Aでは、送風機3の周囲にスタビライザ18とファンケーシング19とを設けて、気流を整流(流れ方向を決定)している。しかしながら、ケース11の内壁、下カバー12等で整流できる場合、スタビライザ18のファンケーシング19少なくとも一方又は両方を省略してもよい。
ランナー31は、空気の流れを発生させる羽根であり、長尺部材である。複数個のランナー31は、同一円筒上に周方向に配列されている。複数個のランナー31の長手方向は、羽根車30の回転中心線C1と平行となっている。そして、各ランナー31の回転中心線C1に対する角度は同じである。
羽根車30の回転中心線C1に沿った両端には、リングプレート32が設けられている。なお、送風機3が室内機Aに取り付けられている状態において、左端部に設けられるリングプレートを左リングプレート321、右端部に設けられるリングプレートを右リングプレート322とする。左リングプレート321及び右リングプレート322は、円板形状であり、ランナー31の端部を固定している。なお、本実施形態にかかる羽根車30では、軸方向に連続した構成となっているが、これに限定されない。回転時のねじれ、曲げ等の変形を抑制するため、回転中心線方向の中間部分に補強のためのリングプレートが設けられていてもよい。すなわち、回転中心線方向に複数個のリングプレートを配置し、各リングプレートの間を、複数個のランナーが連結する構成であってもよい。
回転軸33は、左リングプレート321の中心から羽根車30の回転中心線C1に沿って、送風機3の外側に突出している、回転軸33は、円柱形状であり、中心線が羽根車30の回転中心線C1と一致している。回転軸33は、ファン支持部材4に設けられている後述の軸受416に回転可能に支持される。なお、回転軸33は、左リングプレート321と同一部材として形成されているが、これに限定されない。左リングプレート321と別体で形成されて、左リングプレート321に固定されるものであってもよい。回転軸33としては、左リングプレート321に対して、移動しない構成のものを広く採用することができる。
軸取付凹部34は、右リングプレート322の中心から羽根車30の回転中心線C1に沿って、羽根車30の内部に凹んだ凹部である。軸取付凹部34は、円柱状であり、中心線が羽根車30の回転中心線C1と一致している。軸取付凹部34は、出力軸36が挿入される。軸取付凹部34には、出力軸36を固定する固定具37が設けられている。
ここでは、固定具37は、軸取付凹部34の内周面から内側に貫通したねじであり、出力軸36の外周面を押えて、出力軸36を右リングプレート322に固定する。ねじは、1個でもよいが、複数個のねじで締め付ける構成とすることで、確実に固定するとともに、送風機3の回転中心線と出力軸36の中心線とを正確に一致させることが可能である。なお、固定具37を羽根車30の外周面側から操作するために、羽根車30の外周面には、開口が設けられている。
固定具37で、出力軸36を軸取付凹部34に固定することで、出力軸36で発生する回転力を右リングプレート322に伝達させている。そのため、固定具37は、右リングプレート322と出力軸36との周方向の相対的な滑りを抑制している。なお、固定具37としてはねじに限定されるものではない。固定具37は、出力軸36を右リングプレート322にしっかり固定するとともに、出力軸36と右リングプレート322とを容易に分離させることができる構成のものを広く採用することができる。
なお、出力軸36は、固定具37であるねじの先端を当接させるため、円柱の一部を切断して平面状に形成されている。また、出力軸のねじの先端と接触する部分を断面多角形状に形成していてもよい。出力軸36が、固定具37によって、右リングプレート322に固定されていることで、出力軸36の回転力が、羽根車30に伝達される。
送風機3において、出力軸36の中心線は、送風機3の回転軸33の中心線と一致する。出力軸36は、リングプレート322、すなわち、羽根車30に固定されている。そして、回転軸33が左部材41の軸受416に回転可能に支持されている。また、出力軸36が右部材42の後述する軸受426に回転可能に支持されている。これらのことから、羽根車30は、左部材41及び右部材42を含むファン支持部材4に両端を回転可能に支持されているといえる。
また、軸取付凹部34と出力軸36とが、周方向に相対的にずれない形状を有する場合固定具37を省略してもよい。軸取付凹部34と出力軸36とが、周方向に相対的にずれない形状としては、例えば、円形以外(例えば、楕円、多角形、円形の一部を切り欠いた形状等)の断面形状、又は、一方に凹溝、他方に凹溝に嵌る凸条を備えた形状を挙げることができる。
ファン支持部材4は、左部材41と、右部材42とを有している。左支持部材41は、筒状部411と、端面部412と、フランジ413とを備えている。筒状部411は、円筒形状であり、左側板15に設けられた保持部151に挿入される。筒状部411の外径が、保持部151の内径とほぼ同じである。このように構成することで、筒状部411を保持部151に挿入したときに、筒状部411ががたつくのを抑制することができるとともに、筒状部411を保持部151に対して移動させることができる。
端面部412は、筒状部411の中心線に沿う一方の端部を塞いでいる。端面部412には、筒状部411の中心線が通過する貫通孔414が設けられている。貫通孔414には、弾性支持部415と、軸受416とが設けられている。貫通孔414は、中心線と直交する面で切断した断面形状が円形状である。また、貫通孔414の内周面と接触して、弾性支持部415が設けられている。弾性支持部415は、円環板状を有している。弾性支持部415は、径方向に圧縮されにくい。また、弾性支持部415は、圧縮方向に比べて曲げ方向に弾性変形しやすい。
弾性支持部415は中央部分に、貫通孔を有しており、貫通孔に軸受416が固定されている。軸受416は、従来よく知られたすべり軸受けであり、詳細は省略する。軸受416は、回転軸33を回転可能に支持する。また、回転軸33は、図示を省略しているが、外形が大きい部分を有している。回転軸33を軸受416に挿入したとき、外形が大きい部分が軸受416に当接する。そして、この状態で、左部材41を左側板15に固定することで、回転軸33、すなわち、羽根車30の回転中心線C1方向の移動が規制される。なお、回転軸33は軸受416にたいして、回転中心線C1に沿って、相対的に移動可能に取り付けられている。
フランジ413は、筒状部411の端面部412が設けられている端部に設けられる。フランジ413は筒状部411の径方向外側に延びる円板である。フランジ413は、左部材41を保持部151に取り付けたときに、左側板15の左側の面と接触し、左部材41の抜け止めとしての役割を果たす。本発明にかかる室内機Aでは、フランジ413を左側板15にねじ止めすることで、左部材41を左側板15に固定している。なお、左部材41は、筒状部411が、左側板15の左側から、保持部151を貫通している。
右部材42は、モータ35の出力軸36の回転を支持するため、弾性支持部は設けられず、右部材42に軸受426が直接固定されている。なお、弾性支持部が出力軸36と直交する方向に変形しにくい場合、弾性支持部を設けてもよい。右部材42のそれ以外の部分は、実質上、左部材41と同じの構成を有している。
すなわち、右部材42は、筒状部421と、端面部422と、フランジ423と、貫通孔424と、軸受426とを備えている。筒状部421は、筒状部411と同様の形状を有しており、右側板16の保持部161を貫通する。端面部422の中央部には、貫通孔424が設けられており、軸受426が固定されている。フランジ423は、右部材42を右側板16の保持部161に取り付けたとき、右側板16の右側の面と接触する。フランジ423も右側板16にねじ止めされる。モータ35の重量を出力軸36だけで支持すると、出力軸36が曲がったり、折れたりする原因となる。そこで、モータ35は本体部を、右部材42に固定されている。モータ35の右部材42への固定は、ねじ等の従来公知の方法で行われる。
室内機Aにおいて、清掃、点検等のメンテナンスをおこなうときに羽根車30が通風路110の内部にあると、メンテナンスの邪魔になる場合がある。また、羽根車30自体が汚れる場合もあり、筐体1の内部に配置したままでは、十分に清掃、点検等ができない場合もある。
そこで、本実施形態にかかる室内機Aでは、送風機3の少なくとも羽根車30をケース11の外部に取り出して、メンテナンスを行う。以下に、羽根車30の取り外しについて図面を参照して説明する。図4は、図3に示す空気調和機の室内機から羽根車を取り出している状態の断面図である。
室内機Aは、壁面WLに取り付けられている状態で、下カバー12、左カバー13及び右カバー14を着脱可能である。左カバー13を外すことで、左部材41のフランジ413と左側板15とを止めているねじを操作できる。また、右カバー14を外すことで、右部材42のフランジ423と右側板16とを止めているねじを操作できる。
壁面WLに取り付けられている室内機Aのケース11から、下カバー12、左カバー13及び右カバー14を取り外す。これにより、ファン支持部材4の左部材41及び右部材42を左側板15及び右側板16に固定しているねじを走査することができる。そして、ねじを操作することで、左部材41を左側板15に対して移動可能とし、右部材を右側板16に対して移動可能とすることができる。
この状態で、左部材41を左に移動させることで、左部材41と右部材42との回転中心線C1方向の距離が大きくなる。これにより、左部材41の軸受416と回転軸33とが回転中心線C1方向にずれる。また、右部材42を右に移動させることも可能である。右部材42には、モータ35の出力軸36が支持されているため、右部材42を移動させることで、モータ35、出力軸36及び羽根車30が右に移動する。なお、モータ35には、電力を供給するための配線が接続されているが、右部材42の右への移動量は、配線が切断しない程度の長さを例示できる。
つまり、左部材41及び右部材42の少なくとも一方を移動させることで、ファン支持部材4の左部材41と右部材42の回転中心線C1方向の長さを拡張(長く)することが可能である。左部材41と右部材42の回転中心線C1方向に拡張した長さは、出力軸36と羽根車30との回転中心線C1方向の重なり量よりも大きい長さである。
次に、羽根車30に設けられた開口から固定具37(ねじ)を操作する。これにより、出力軸36を右リングプレート322から分離させる。そして、左部材41の軸受416が左側に移動しているので、回転軸33を左に移動可能となる。そこで、羽根車30を回転軸33ごと、左に移動させる。これにより、羽根車30の右リンプレート322が出力軸36から離れる。このとき、出力軸36と羽根車30との回転中心線C1方向の重なり量よりも大きい移動量で羽根車30を左に移動させる。
軸受416には、回転軸33が挿入されている。軸受416は、弾性支持部415に取り付けられている。この状態で、羽根車30の右端を開口112の手前側に移動させる。これにより、弾性支持部415が変形し、回転軸33の軸受416に支持されている部分を中心に、羽根車30を回転中心線C1に対して傾けることができる。羽根車30の右端部を開口112から外部に露出させる。そして、羽根車30を回転軸33に沿って軸受416と反対側に移動させて、羽根車30を開口112から外部に移動させる。以上のようにして、ケース11から羽根車30を外部に取り外すことができる。なお、羽根車30が取り外されたときに、モータ35は、ファン支持部材4の右部材42に支持されている。
また、羽根車30を取り付けるときは、取り外しと逆の手順で行うことができる。すなわち、羽根車30の回転軸33を軸受416に取り付ける。羽根車30の右端部を通風路110内に移動させる。羽根車30を回転中心線C1に沿って右に移動させて、出力軸36を軸取付凹部34に挿入する。そして、固定具37を操作して、固定具37で出力軸36と右リングプレート322、すなわち、羽根車30とを固定する。そして、右部材42を左に移動させて、フランジ423をねじで右側板16に固定する。さらに、左部材41を右に移動させて、フランジ413をねじで左側板15に固定する。
本実施形態にかかる空気調和機の室内機Aでは、熱交換器2、ドレンパン17を外すことなく、また、重量物であるモータ35をファン支持部材4に取り付けた状態で、ケース11の内部の通風路110の大半を占有する羽根車30を取り外すことができる。これにより、作業者は、着脱に高度な知識及び技術が必要な熱交換器2、ドレンパン17及びモータ35の着脱をせずに、送風機3の羽根車30を取り外すことができる。このことから、作業者が、室内機Aの内部構造に詳しくなくても、簡単に羽根車30を取り外すことができる。
また、羽根車の着脱において、熱交換器、ドレンパン、モータ等の高度な知識や技術を必要とする部材の着脱等の取り扱いを必要としない。これらの高度な知識や技術を必要とする部材の多くは、取り扱い時に危険が伴う場合も多い。つまり、本発明にかかる空気調和機の室内機では、羽根車の着脱を安全に行うことが可能である。
羽根車30を取り出すためには、左部材41と右部材42とは、左部材41と右部材42の回転中心線C1に沿う方向の距離が、駆動軸36と羽根車30との回転中心線C1に沿う方向に重なる長さ以上、大きくなればよい。
なお、本実施形態にかかる室内機Aでは、ファン支持部材4の左部材41と右部材42の回転中心線C1方向の距離を広げ、軸受416に回転軸33が支持されている状態で、羽根車30を移動させて、出力軸36を軸取付凹部34から抜いている。そのため、回転軸33の軸受416に支持されている部分は、左部材41と右部材42との回転中心線C1方向の長さの変化量よりも長く形成されている。より具体的には、左部材41と右部材42との回転中心線C1方向の距離を、羽根車30と出力軸36とが回転中心線C1方向に重なっている長さよりも長く変化させる。そのため、回転軸33の軸受416に支持されている部分は、羽根車30と出力軸36とが回転中心線C1方向に重なっている長さよりも長い。
以上の条件を満たす場合、左部材41又は右部材42のみを移動可能としてもよいし、左部材41及び右部材42の両方を移動可能としてもよい。左部材41及び右部材42の両方を移動可能とした場合、左部材41又は右部材42のどちらか一方を、駆動軸36と羽根車30との回転中心線C1に沿う方向に重なる長さ移動させることができるようにしてもよい。このようにすることで、室内機Aの左又は右に家具や壁等があって、右部材42又は左部材41の少なくとも一方を移動させて、羽根車30をケース11の外部に取り出すことが可能である。
なお、左部材41だけを移動させる場合、左部材41を左に移動させた後、固定具37を操作して、出力軸36と羽根車30とを分離する。そして、羽根車30を左に移動させることで、出力軸36を軸取付凹部34から抜く。その後、羽根車30の右端を開口112側に引いて、羽根車30を回転中心線C1に対して傾け、開口112を介して、ケース11から取り外す。また、右部材42だけを移動させる場合、右部材42を右に移動させた後、固定具37を操作して、出力軸36と羽根車30とを分離し、羽根車30を左に移動させることで、右端が開口112から露出するように羽根車30を傾けることができる。
以上の説明において、左部材41又は右部材42を移動させた後、固定具37を操作して、羽根車30と出力軸36とを分離しているが、これに限定されない。左部材41又は右部材42を移動させる前に、固定具37を操作可能である場合、左部材41又は右部材42の移動前に、固定具37を操作して、出力軸36と羽根車30とを分離してもよい。
ファン支持部材4の左部材41及び右部材42は、ねじで、左側板15及び右側板16に固定されている。しかしながら、固定方法は、ねじに限定されるものではない。例えば、左部材41は、筒状部411から径方向に突出する凸部を形成するとともに、保持部151の内周部に凸部が通過可能な凹部を設けておき、左部材41お回転中心線C1回りに回転させて固定してもよい。また、保持部151に雌ねじを形成するとともに、筒状部411に雄ねじを形成し、螺合することで、固定してもよい。また、右部材42も同様である。
(第2実施形態)
本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例について図面を参照して説明する。図5は本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例の概略断面図である。本実施形態にかかる、空気調和機の室内機Bは、筐体1bの左カバー13bが異なる以外、第1実施形態にかかる空気調和機の室内機Aと同じ構成を有している。そのため、本実施形態にかかる空気調和機の室内機Bにおいて、空気調和機の室内機Aと実質的に同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図5に示すように、左カバー13bには、貫通孔131が設けられているとともに、貫通孔131を開閉する蓋132が設けられている。貫通孔131は、左カバー13bのファン支持部材4の左部材41と回転中心線C1方向に対向する位置に形成されている。蓋132はねじ等の固定部材で左カバー13bに取り付けられている。
そして、蓋132を開くことで、貫通孔131から左部材41のフランジ413のねじを操作可能となる。これにより、左カバー13bを取り外すことなく、左部材41を左側板15に対して移動可能となる。
本実施形態の室内機Bの送風機3の羽根車30を取り外す場合、作業者は、先ず、蓋132を止めているねじを外し、蓋132を左カバー13bから取り外す。そして、貫通孔131からドライバ等の工具を挿入して、左部材41を固定しているねじを外し、左部材41を左に移動させる。そして、固定具37を操作して、羽根車30と出力軸36とを分離する。その後の取り外し動作は、室内機Aと同じである。
また、羽根車30を通風路110に配置した後、羽根車30を右に移動させて、出力軸36を軸取付凹部34に挿入する。固定具37で出力軸36と羽根車30とを固定する。フランジ413が左側板15に接触するまで、左部材41を右に押す。ねじ止めにて左部材41を左側板15に固定する。そして、蓋132で貫通孔131を閉じ、蓋132をねじで固定する。その後、下カバー12を取り付ける。
本実施形態にかかる室内機Bでは、左カバー13bに設けられた蓋132を開閉することで、ファン支持部材4の左部材41を操作できるので、左カバー13b、右カバー14の着脱が不要になる。これにより、作業者が、室内機Bの内部構造に詳しくなくても、簡単に羽根車30(送風機3)を着脱できる。また、左カバー13bよりも小型の蓋132を開閉するため、開閉に必要なスペースが少なくて済み、左側が狭い場所に取り付けられた室内機Bであっても、簡単に羽根車30(送風機3)を着脱できる。これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
なお、本実施形態にかかる室内機Bにおいて、貫通孔131の形状として、例えば、断面円形状のものを挙げることができるが、これに限定されない。左部材41を操作することができる形状を広く採用することができる。また、貫通孔131を1個設けているが、これに限定されるものではなく、複数個設けるようにしてもよい。例えば、中央に設けられた、左部材41を操作するための貫通孔と、その周囲にねじを操作するための貫通孔を設けてもよい。ねじを操作するための貫通孔は、工具を挿入できればよいため、小さくすることができる。そして、複数個の貫通孔を設けている場合、蓋132は貫通孔ごとに設けてもよいし、複数の貫通孔を覆ってもよい。
なお、蓋132としてねじ止めを採用しているが、これに限定されない。例えば、弾性変形するフックを備え、フックを変形させて取り付けるものであってもよい。また、蓋132自体、弾性変形可能な構成を有し、弾性変形して貫通孔に挿入された後、元の形状に戻り、貫通孔を塞ぐ形状であってもよい。また、蓋132は、左カバー13bに対して着脱可能としているが、これに限定されない。例えば、蓋132が左カバー13bに対して、回転可能に支持されており、蓋132を回転させることで、貫通孔131を開閉する構成であってもよい。蓋132の回転方向は、左カバー13bに沿って回転してもよいし、一端が左カバー13bから離れる回転であってもよい。なお、蓋132は自重で貫通孔131を閉じる位置に移動することが好ましい。蓋132が回転する構成であっても、蓋132は、左カバー13bに固定部材(例えば、ねじ、弾性フック)で固定される。
本実施形態にかかる室内機Bでは、左カバー13bに開閉可能な蓋132を設けたものとしているが、右カバー14に蓋を設けてもよい。右カバー14に設けるとともに、ファン支持部材4の右部材42を右に移動させて、羽根車30を左部材41から遠ざける。そして、羽根車30の右端を開口112から露出させて、羽根車30を抜き出す。また、左カバー13b及び右カバー14の両方に蓋を設けてもよい。
なお、本実施形態にかかる空気調和機の室内機Bにおいて、羽根車30を取り外すときに、固定具37の操作は、左部材41の移動の後にしているが、これに限定されない。左部材41を移動する前に固定具37を操作してもよい。
(第3実施形態)
本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例の概略断面図である。本実施形態にかかる、空気調和機の室内機Cは、筐体1cの左カバー13c、右カバー14cが異なる以外、第2実施形態にかかる空気調和機の室内機Bと同じ構成を有している。そのため、本実施形態にかかる空気調和機の室内機Cにおいて、空気調和機の室内機Bと実質的に同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図6に示す空気調和機の室内機Cの左カバー13cには、送風機3の羽根車30及びファン支持部材4cが通過できる大きさの貫通孔133が設けられている。そして、貫通孔133を開閉する蓋134が設けられている。また、左側板15の保持部151は、羽根車30が回転中心線C1方向に通過可能な大きさ及び形状を有している。貫通孔133は、左カバー13cのファン支持部材4の左部材41と回転中心線C1方向に対向する位置に形成されている。蓋134はねじ等の固定部材で左カバー13cに取り付けられている。
そして、蓋134を開くことで、左部材41のフランジ413と左側板15とを固定するねじを外す。そして、貫通孔133は左部材41が通過可能な大きさであり、左部材41を貫通孔41から、筐体1の外部に引き出す。そして、開口112から、工具を挿入して、固定具37を操作して、羽根車30と出力軸36とを分離する。なお、ルーバ122を開いて、吹出口113から工具を挿入することで、固定具37を操作できる場合、下カバー12の取り外しは不要である。
羽根車30を左に移動させ、左側板15の保持部151と貫通孔133を通過させて、筐体1の外部に取り出す。このとき、作業者は、貫通孔133から手を入れて、羽根車30を掴んで引き出してもよいし、羽根車30を掴む道具を利用して羽根車30を引き出してもよい。また、羽根車30の取り付けは、取り外しと逆の手順で行われる。
このように、本実施形態にかかる室内機Cでは、蓋134と、左部材41を着脱するだけで、送風機3の羽根車30を筐体1に対して着脱することができる。これにより、着脱に要する工程を削減することができるとともに、着脱に知識と技術が必要な部材に触れることなく、羽根車30を着脱することができる。これ以外の特徴は、第1実施形態、第2実施形態と同じである。
なお、本実施形態にかかる室内機Cでは、左カバー13cに貫通孔133と、蓋134とを設けて、室内機Cの左側から羽根車30を取り外している。しかしながら、これに限定されない。
(第4実施形態)
図6に示すように、右カバー14cに貫通孔141と、蓋142とを設けておき、貫通孔141から送風機3を取り出すようにしてもよい。すなわち、室内機Cでは、筐体1のモータ35が設けられている側から、送風機3を取り出すことが可能である。
右カバー14cの蓋142を固定しているねじを外して、貫通孔141を開く。そして、モータ35の電線を、室内機Cに設けられた電力供給線からを外す。なお、電線と電力供給線とは、コネクタ等の接続具で接続される構成とし、簡単に着脱できることが好ましい。貫通孔141から工具を挿入して、右部材42のフランジ423を固定しているねじを外す。その後、右部材42を、送風機3ごと、貫通孔141から取り出す。このように、筐体1の右から取り出す場合、モータ35も一緒に引き出すことが可能である。また、送風機3の取り付けは、取り外しと逆の手順で行われる。
このように、室内機Cの意義から送風機3を取り出す場合、モータ35も一緒に取り外すことができる。これにより、モータ35の不具合の可能性がある場合にモータ35を含む送風機3を簡単に取り出すことが可能である。なお、
(変形例)
室内機Cの右から送風機3を取り外す構成の場合、図7に示すような、ファン支持部材4cを用いてもよい。図7は、本発明にかかる空気調和機の室内機に用いられる送風ファンとファン支持部材とを示す斜視図である。図7に示すように、ファン支持部材4cは、左部材41cと、右部材42cと、連結部材43cとを備えている。
連結部材43cは、左部材41cと右部材42cとを連結する。連結部材43cは、羽根車30の回転を妨げない位置に配置される。なお、連結部材43cがファンケーシング19の一部を構成してもよい。すなわち、左部材41cと右部材42cとを連結する連結部材43cを備えたファン支持部材4cで送風機3を支持した状態でユニット化されている。このようにユニット化することで、取り扱いが容易になる。なお、図7に示すファン支持部材4cでは、左部材41c及び右部材42cを矩形の板状としているが、これに限定されない。矩形以外の形状であってもよい。
(第5実施形態)
本発明にかかる空気調和機の室内機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例の概略断面図である。図8に示す空気調和機の室内機Dは、ファン支持部材4の左部材41を固定する固定部材44が設けられている以外、室内機Aと同じ構成を有している。そのため、室内機Dにおいて、実質上、室内機Aと同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図8に示す室内機Dにおいて、左部材41を左側板15に固定する固定部材44が設けられている。固定部材44は、ここでは、ばねである。固定部材44は、左部材41と左カバー13との間に配置される。そして、固定部材44は弾性力で、左部材41を右に、すなわち、フランジ413を左側板15に押し当てるように左部材41を押える。つまり、左部材41は、固定部材44の弾性力で押さえられており、左部材41を固定部材44の弾性力よりも大きい力で左に押すことで、左に移動する。また、筒状部411を押す力を緩める又は取り除くと、左部材41は右に移動し、フランジ413が左側板15と当接する。
室内機Dでは、下カバー12を外した状態で、固定具37を操作して、羽根車30と出力軸36とを分離する。そして、羽根車30及び左部材41を左に押し、左部材41を左に移動させる。このとき、回転軸33が軸受416に回転可能に支持されている。羽根車30を回転中心線C1に沿って左に押すことで、左部材41も同時に左に移動させることができる。なお、この場合、羽根車30は、左部材41を押しても壊れない強度を有しているものとする。そして、羽根車30を左に押して、左部材41をともに移動させる構成の場合、作業者は、開口112から羽根車30だけを操作すればよい。
そして、羽根車30が左に移動して、羽根車30の右リンプレート322を出力軸36から分離させた後、羽根車30の右端を、開口112から露出するように羽根車30を傾ける。そして、羽根車30を回転軸33に沿って移動させることで、羽根車30を筐体1の外部に取り出す。
羽根車30が取り外されたことで、左部材41を押していた力が開放される。これにより、左部材41は固定部材44の弾性力で、回転中心線C1に沿って、移動する。また、羽根車30を取り付ける手順は、取り外し手順と逆である。
本実施形態にかかる室内機Dでは、左部材41をばねである固定部材44の弾性力で押えることで、左側板15に押し付けて固定している。そして、左部材41は、弾性力よりも大きい力を作用させることで、左に移動可能となっている。このようにして、左部材41を左側板15に押し当てて、左部材41を固定することで、工具を用いることなく、また、左カバー13をケース11から取り外さなくてよいため、羽根車30を簡単に着脱可能である。これ以外の特徴は、第1実施形態と同じである。
なお、本実施形態の室内機Dでは、ファン支持部材4の左部材41がばねである固定部材44で押されていたが、これに限定されない。右部材42がばねである固定部材で左に押されて、固定されていてもよい。右部材42をばねで押える場合、右側板16の保持部161と右部材42の筒状部421とは、相対的に回転しない形状となっていることが好ましい。
(第6実施形態)
本発明にかかる空気調和機の室内機のさらに他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる空気調和機の室内機の他の例の概略断面図である。図10は第1羽根車の右リングプレートと第2羽根車の左リングプレートとを示す図である。図11は第1羽根車と第2羽根車の接続構造を拡大した図である。図9に示す空気調和機の室内機Eは、送風機3eの羽根車50が異なる以外、室内機Aと同じ構成を有している。そのため、本実施形態にかかる室内機Eにおいて、室内機Aと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明を省略する。
図9に示すように、羽根車50は、回転中心線C2に沿って3分割される。すなわち、羽根車50は、分割体である第1羽根車51、第2羽根車52及び第3羽根車53が、左から順に接続されている。
第1羽根車51は、円筒形状であり複数個のランナー54が周方向に配列されている。そして、各ランナー54の両端を保持する左リングプレート511と、右リングプレート512とを備えている。左リングプレート511には、回転中心線C2方向に外側に突出する回転軸513が設けられている。また、右リングプレート512には、第2羽根車52の左リングプレート521に設けられたフック523(係合凸部の一例)が係合される係合孔514が設けられている。なお、フック523と係合孔514の詳細については、後述する。
第2羽根車52は、第1羽根車51と同様、円筒形状でありランナー54が周方向に配列されている。そして、各ランナー54の両端を保持する左リングプレート521と、右リングプレート522とを備えている。左リングプレート521には、回転中心線C2に沿う方向の外側に突出するフック523が設けられている。また、右リングプレート522には、係合孔514と同様の形状の係合孔524が設けられている。
第3羽根車53は、第1羽根車51と同様、円筒形状でありランナー54が周方向に配列されている。そして、各ランナー54の両端を保持する左リングプレート531と、右リングプレート532とを備えている。左リングプレート531には、回転中心線C2に沿う方向の外側に突出するフック533が設けられている。また、右リングプレート532には、モータ35の出力軸36が挿入される、軸取付凹部534が形成されている。軸取付凹部534は、右リングプレート532の中央に、回転中心線C2に沿って第3羽根車53の内側に凹んだ円柱形状の凹部である。なお、第3羽根車53は、軸取付凹部534に挿入された出力軸36を固定する固定具37を操作する開口を有している。
第1羽根車51の右リングプレート512と第2羽根車52の左リングプレート521とを突き合わせて接続する。そして、第2羽根車52の右リングプレート522と第3羽根車の左リングプレート531とを突き合わせて接続する。羽根車50は、このように形成されている。
次に、第1羽根車51と第2羽根車52の接続、第2羽根車52と第3羽根車53の接続について説明する。なお、第1羽根車51と第2羽根車52の接続、第2羽根車52と第3羽根車53との接続構造は同じであるため、代表して第1羽根車51と第2羽根車52との接続について説明する。
図10に示すように、第1羽根車51の右リングプレート512には、周方向に並んで3個の係合孔514が設けられている。また、第2羽根車52の左リングプレート521には、周方向に並んで3個のフック523が設けられている。フック523は、第1羽根車51の右リングプレート512と第2羽根車52の左リングプレート521とを対向させたとき、係合孔514と回転中心線C2方向に重なる位置に設けられている。
係合孔514は、右リングプレート512の周方向に延びる長孔であり、第1孔部515と、第1孔部515と連通し第1孔部515の径方向の幅よりも狭い第2孔部516とが設けられている。
フック523は、突出部527と、爪部528とを備えている。突出部527は、左リングプレート521から回転中心線C2に沿って突出する板状の凸部である。そして、突出部527は、リングプレート521の周方向に延びる。そして、爪部528は、突出部527の先端に設けられており、突出部527と直交する。爪部528は、突出部527から回転中心線C2に向かって延びている。爪部528の径方向の長さは、係合孔514の第1孔部515の径方向の幅よりも狭く、第2孔部516の径方向の幅よりも広い。第1孔部515は爪部528が回転中心線C2方向に通過可能な大きさを有している。また、第2孔部516の径方向の幅は、突出部527の厚みよりも大きく形成されている。そして、突出部527の回転中心線C2方向の長さは、係合孔514にフック523を挿入したときに、爪部528が右リングプレート512の内面と接触する長さである。
第1羽根車51と第2羽根車52とを回転中心線C2方向に並べる。このとき、3個の爪部528のそれぞれが3個の第1孔部515のそれぞれと回転中心線C2方向に対向する。そして、3個の爪部528を対応する第1孔部515に挿入する。このとき、爪部528の左リングプレート521と対向する面が右リングプレート512の内面と一致する面となっている。そして、第1羽根車51と第2羽根車52を中心線周りに互いに反対方向に回転させて、突出部527を第2孔部516に移動させる。このように移動させることで、第1羽根車51と第2羽根車52とが接続される。
なお、第2羽根車52を第1羽根車51に対して、羽根車50を回転駆動する方向に回転させたときに、突出部527が第1孔部515から第2孔部516に移動する。すなわち、羽根車50の回転方向を、回転中心線C2方向に右側から見たときに右回りとすると、右リングプレート512を回転中心線C2方向に右側から見たときに、第2孔部516が第1孔部515よりも右回り方向の後方に形成されている。
なお、右リングプレート512の係合孔514が設けられている部分の厚みは、第2孔部516が形成されている部分が、第1孔部515が形成されている部分よりも厚い。このように形成することで、フック523が第2孔部516に移動したとき、爪部528が右リングプレート512の内面に押し付けられる。これにより、第1羽根車51と第2羽根車52とをしっかり接続することができる。上述のとおり、第2羽根車52と第3羽根車53とも同じ構造を用いて、接続される。
モータ35の出力軸36からの回転力は、第3羽根車53から第2羽根車52に、第2羽根車52から第1羽根車51に伝達される。そのため、右側の羽根車の回転方向に合せて係合孔を構成することで、回転によって、係合孔とフックが締まる。これにより、羽根車50を駆動したときに、第1羽根車51、第2羽根車52及び第3羽根車53の分離を抑制することができる。
次に本実施形態にかかる室内機Eの羽根車50の着脱について説明する。上述したように、第1羽根車51と第2羽根車52とは、第1羽根車51の右リングプレート512に設けられた係合孔515に、第2羽根車52の左リングプレート521に設けられたフック523を挿入して係合している。そのため、第1羽根車51と第2羽根車52とを回転中心線C2方向に、フック523の貫通孔515と係合している部分の長さ移動させることで、第1羽根車51と第2羽根車52とを完全に分離することができる。詳細は省略するが、第2羽根車52と第3羽根車53とも同様である。
そこで、室内機Eでは、第2羽根車52と第3羽根車53を分離する。そして、左部材41を回転中心線方向左に移動させる。このときの左部材41を移動させる長さは、フック533の係合孔524と係合している部分の長さよりも長い。そして、第2羽根車52を第1羽根車51ごと、回転中心線C2方向左に移動させる。これにより、フック533を係合孔524から抜くことができる。そして、第1羽根車51と第2羽根車52とを接続した状態のまま、第2羽根車52の右端を開口112から外部に露出するように傾ける。そして、第1羽根車51及び第2羽根車52を回転軸513に沿って引き抜くことで、第1羽根車51及び第2羽根車52が外部に取り出される。
また、開口112から工具を挿入して、固定具37を操作することで、出力軸36と第3羽根車53とが分離される。このとき、第3羽根車53の左は空いており、第3羽根車53を左に動かして、出力軸36を軸取付凹部534から抜く。そして、第3羽根車53を開口112から外部に取り出す。
本実施形態では、第1羽根車51と第2羽根車52とが接続された状態で取り外しているが、これに限定されない。第1羽根車51と第2羽根車52とを分離して、取り外してもよい。しかしながら、回転軸513から、右端までの距離が長い方が、取り外し時に傾ける角度を小さくすることができる。そのため、本実施形態では、第2羽根車52と第3羽根車53を分離させている。
通常、フックの係合孔に挿入される(フックが係合孔に係合されている)長さ(例えば、10mm)は、出力軸36の軸取付凹部534に挿入される長さ(例えば、15mm)よりも短い。そのため、羽根車50を分割する構成とすることで、左部材41の移動量を小さくすることができる。
本実施形態にかかる室内機Eは、左部材41を移動させる構成としているが、これに限定されない。例えば、右部材42を移動させる構成であってもよい。また、左部材41及び右部材42を移動させる構成であってもよい。なお、左部材41と右部材42の回転中心線C2方向の距離の拡大する長さが、フックの係合孔の挿入される長さの2倍よりも大きい場合、左部材41及び右部材42の少なくとも一方を移動した後、第1羽根車51と第2羽根車52を分離し、第2羽根車52と第3羽根車53とを分離して、第2羽根車52を開口112から取り外すことが可能である。
また、本実施形態にかかる室内機Eでは、羽根車50を回転中心線C2方向に3等分しているが、これに限定されない。例えば、2分割であってもよいし、4分割以上であってもよい。また、分割された分割体(第1羽根車51、第2羽根車52、第3羽根車53)は、回転中心線C2方向の長さが等しいが、これに限定されない。例えば、第2羽根車52が、第1羽根車51及び第3羽根車53よりも長くてもよい。このように構成することで、上述のように、第1羽根車51と第2羽根車52とが接続された状態のときに、回転軸513から右端(右リングプレート522)までの長さを長くできる。これにより、第1羽根車51と第2羽根車52とを接続した分割体を傾ける角度を小さくすることが可能である。
また、本実施形態において、分割体(第1羽根車51、第2羽根車52及び第2羽根車53)の接続に、フックを係合孔に挿入し、フックを係合孔内で移動させて固定するものを用いているが、これに限定されない。例えば、ねじにより接合されるものであってもよい。
(第7実施形態)
本実施形態にかかる空気調和機の室内機に用いられる羽根車の他の例について図面を参照して説明する。図13は羽根車の他の例の概略図である。図13に示すように、羽根車60は、回転中心線C3方向に3等分割されている。そして、羽根車60に含まれる3個の分割体61は、すべて同じ形状を有している。
分割体61は、左リングプレート62、右リングプレート63、回転軸64、軸取付凹部65、ランナー66、固定具67を備えている。左リングプレート62、右リングプレート63は、円板形状であり、左リングプレート321、右リングプレート322と同じ構成を有している。つまり、左リングプレート62の中央には、回転中心線C3に沿って外側の突出した回転軸64が設けられている。回転軸64は、回転軸33と同じ構成である。また、右リングプレート63の中央には、軸取付凹部65が設けられている。軸取付凹部65は、軸取付凹部34と同じ大きさである。そして、軸取付凹部65に固定具67が設けられている。固定具67は、固定具37と同じ構成であり、ここではねじである。
複数の分割体61の接続について説明する。複数個の分割体61に対して、説明の便宜上、左から第1分割体61s、第2分割体61t及び第3分割体61uとする。第1分割体61sの軸取付凹部65に第2分割体61tの回転軸64を挿入し、固定具67で固定する。同様に、第2分割体61tの軸取付凹部65に第3分割体61uの回転軸を挿入し、固定具67で固定する。
そして、第1分割体61sの回転軸64を左部材41の軸受416で回転可能に支持する。また、出力軸36を第3分割体61uの軸取付凹部65に挿入して、固定具67で固定する。
このような構成にすることで、分割体61を共通化することができる。また、組立時に、配列を考えなくてもよいため、製造するときや再度組み立てるときの組み立てが容易である。また、分割体61の個数は3個に限定されるものではなく、個数を変更することで、羽根車の長さを変更することが可能である。さらには、異なる長さの分割体61を用意しておくことで、羽根車の長さの調整幅を広げることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
以上説明した本発明にかかる空気調和機の室内機は、筐体内に配された羽根車30と、羽根車30の回転中心線C1方向の一方の端部に出力軸36が着脱可能に連結された電動機35と、前記筐体に取り付けられ、羽根車30の回転中心線C1方向の両端を回転可能に支持する2個のファン支持部材41、42とを備え、2個のファン支持部材41、42の少なくとも一方が、羽根車30の回転中心線C1に沿って羽根車30と反対側に移動可能である。
この構成によると、熱交換器、ドレンパン、モータ等を取り外すことなく、羽根車を筐体から取り外すことが可能である。これにより、空気調和機の内部構造に対して、高い知識がない作業者であっても、簡単且つ安全に羽根車を筐体から着脱できる。このことから、空気調和機の室内機の清掃、部品交換等のメンテナンスを、簡単且つ安全に行うことが可能である。
上述した空気調和機の室内機は、移動可能に配されたファン支持部材41、42の移動により、2個のファン支持部材41、42の回転中心線C1方向の距離が大きくなる。
このように、ファン支持部材41と42の距離が大きくなることで、羽根車30を、回転中心線C1に対して傾ける空間を確保することができる。これにより、羽根車30を、筐体1に対して着脱できる。
上述した空気調和機の室内機において、出力軸36は、羽根車30の端部と回転中心線C1方向に重なっており、移動可能に配されたファン支持部材41、42の移動により、2個のファン支持部材41、42の回転中心線C1方向の距離は、出力軸36と羽根車30の回転中心線方向に重なる長さと同じである。このようにすることで、羽根車30を電動機35と反対側に移動させることで、出力軸36を羽根車30から抜くことができる。これにより、電動機35を着脱することなく、羽根車30を筐体1に対して着脱できる。
上述した空気調和機の室内機は、羽根車50が、回転中心線C2方向に複数個のファン分割体51、52、53に分割可能であり、ファン分割体同士は、一方の端部に設けられた係合孔514、524に、他方の端部に設けられた係合凸部523、533を係合させて連結されており、移動可能に配されたファン支持部材41、42の移動により、2個のファン支持部材41、42の回転中心線C2方向の距離は、係合凸部523、533が係合孔514、524に係合している部分の長さと同じである。このように構成することで、ファン支持部材41、42の移動量が少なくても、羽根車50を分割して、着脱可能である。
上述した空気調和機の室内機は、筐体1b、1cの側面には、ファン支持部材41、42と回転中心線C1方向に対向する開口131、133、141と、開口を開閉する蓋132、134、142とが設けられていてもよい。このように、開口と蓋を設けることで、筐体の分解する部分を減らすことができるため、より簡単に羽根車を筐体からの着脱が可能である。
上述した空気調和機の室内機において、開口133、141が、ファン支持部材41、42が通過可能な形状及び大きさである。このようにすることで、羽根車、羽根車と電動機(モータ)を、ファン支持部材とともに開口133、141を介して、筐体の左右から引き抜くことが可能である。このように構成することで、羽根車を簡単に取り出すことが可能である。
上述した空気調和機の室内機は、移動可能に配されたファン支持部材41、42を、他方のファン支持部材に向かって付勢する弾性部材を備えている。このように構成することで、ねじ等の工具を必要とする固定部材を用いないので、簡単に羽根車を着脱することができる。
上記構成において、本発明にかかる空気調和機の室内機は、前記筐体が、前記羽根車を前記回転中心線方向と交差する方向に着脱可能な開口を有し、前記開口には、前記羽根車で発生した気流を調整する整流部材が着脱可能に取り付けられていてもよい。