実施形態1.
以下、図面を参照しながら本発明の空気調和機の室内機の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の空気調和機の室内機の実施形態を示す斜視図、図2は本発明の空気調和機の室内機の実施形態を示す分解斜視図、図3は本発明の空気調和機の室内機の実施形態を示す断面図をそれぞれ示しており、図1から図3を参照して空気調和機の室内機1について説明する。図1から図3の室内機1は、例えば室内の壁に設置される壁掛け型の室内機であって、背面ケース10、送風ファン2、熱交換器3、冷媒配管4、枠体5、前面パネル6、電気品箱7を有している。
背面ケース10は、室内の壁等に設置されるものであって、例えば樹脂等の材料からなっている。この背面ケース10には送風ファン2、熱交換器3及び電気品箱7が装着される。また、背面ケース10は、送風ファン2に対向する位置に、吸引した空気を流通させるための風路を形成する風路壁13を有しており、風路壁13は例えば円弧形状に傾斜した形状を有している。
送風ファン2は、例えばクロスフローファンまたは貫流ファン等からなり、上部から室内空気を吸い込み、吹出口5yから空調空気を吹き出すためのものである。送風ファン2は、たとえば樹脂などの熱可塑性樹脂で構成される羽根車と、羽根車を回転させるためのモータと、モータの回転を羽根車に伝達させる回転軸とを有している(図示せず)。送風ファン2は両端側において、背面ケース10に回転可能に支持されている。
熱交換器3は、冷房運転時には蒸発器として機能して空気を冷却し、暖房運転時には凝縮器として機能して空気を加温するものである。熱交換器3は、背面ケース10の上部背面側の吸込口5xから背面ケース10の下部前面側の吹出口5yまでの風路のうち、送風ファン2の上流側に設けられている。熱交換器3は、伝熱管及び伝熱管が挿入された複数の伝熱フィンからなり、送風ファン2の前面及び上面を取り囲むような形状を有している。例えば熱交換器3は、送風ファン2の前方側に位置する第1熱交換器と、第1熱交換器の上側において接続されており、上端側が後方へ傾斜した第2熱交換器と、第2熱交換器に上側で接続されており、後方下側へ傾斜した第3熱交換器とを有している。そして、これら3つの熱交換器には冷媒が連続して流れるようになっている。
冷媒配管4は、熱交換器3に接続されており、例えば屋外に設置された室外機との間で冷媒の流通を行うものである。冷媒配管4は、例えば室内機1の幅方向(矢印Y方向)に延びた形状を有しており、一端側を基点として回転可能に取り付けられている。また、冷媒配管4は、背面ケース10の裏面側(据付板MP側)であって、風路壁13の下部に形成された空間である配管収納部10xに配置されている。
枠体5は、筐体を形成するものであって、背面ケース10にネジ等を用いて固定されている。この枠体5は、背面ケース10に取り付けられたケース本体5aと、ケース本体5aの上部に取り付けられ、空気の吸込口5xが形成された上部パネル5bと、ケース本体5aの下部に取り付けられ、熱交換器3において熱交換された調和空気を吹き出す吹出口5yが形成された吹出パネル5cとを備えている。ケース本体5aの上側は開口しており、下側には吹出パネル5cを挿入するための穴が形成されている。上部パネル5bは、ケース本体5aにおける上部の開口に取り付けられるものであり、空気の吸込口5xとなる開口が例えば網目状に形成されている。吹出パネル5cは、ケース本体5aの下部に設けられた穴に取り付けられており、吹出口5yが形成されている。この吹出口5yには上下風向調整板(フラップ)8が回動可能に配置されており、上下風向調整板8は吹出口5yから吹き出される調和空気の風向きを調整する。
前面パネル6は、ケース本体5aの前面側に取り付けられた意匠パネルであって、例えばケース本体5aに対し開閉可能に取り付けられている。電気品箱7は、室内機1の動作を制御するための回路基板等が収容されたものであって、例えば枠体5の一方の側壁側に収容されている。
次に、図1から図3を参照して、室内機1の動作例について簡単に説明する。まず、送風ファン2が駆動すると、上部の吸込口5xから空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は熱交換器3において冷媒との間で熱交換され、冷気または暖気となった調和空気が生成される。その後、室内機1の下側から熱交換器3において生成された空調空気は、上下風向調整板8により方向が調整され吹出口5yから室内へ送風される。
ここで、上述した室内機1は、背面ケース10が壁に取り付けられた状態において、内部の冷媒配管4が露出するように、背面ケース10の下部が取り外し可能な構造を有している。具体的には、図4は図1の室内機における下部背面ケース12を取り外した状態を示す斜視図である。なお、図4(a)は室内機を前面から見た斜視図であり、図4(b)は室内機を背面から見た斜視図である。図4に示すように、背面ケース10は、上部背面ケース11と、上部背面ケース11の下部に着脱可能に取り付けられた下部背面ケース12とを有している。上部背面ケース11は据付板MPに取り付けられることにより、室内の壁面に取り付けられる。すなわち、室内の壁面には据付板MPが固定されており、据付板MPの上部にはフックMPaが設けられている。一方、上部背面ケース11の上端にはフックMPaを係合する係合部10fが設けられている。そして、係合部10fとフックMPaとが係合することにより、室内機1全体が据付板MPに取り付けられて室内の壁面に設置される。
図5は図1の室内機における背面ケースの一例を示す斜視図、図6は図1の室内機において下部背面ケースが取り外された状態を示す断面図であり、図5及び図6を参照して背面ケース10について詳細に説明する。下部背面ケース12は、背面ケース10の下面10Uと、下面10Uの端部から上部背面ケース11側へ延び、背面ケース10の側壁10Sの一部を構成する下部側壁10Sbとを有している。
すなわち、背面ケース10の側壁10Sは、上部背面ケース11側に形成された上部側壁10Saと、下部背面ケース12側に形成された下部側壁10Sbとを組み合わせて構成されている。したがって、下部背面ケース12が取り外された際には、背面ケース10の下面10Uのみならず、両端の下部側壁10Sbも同時に取り外されることになる。図7は図4の室内機において冷媒配管を露出させた様子を示す平面図である。図7に示すように、下部背面ケース12が取り外されることにより、下部背面ケース12の下面10U及び側壁10Sの一部が取り除かれ、内部の冷媒配管4を回転させて露出させることができる。
さらに、図5の背面ケース10の風路壁13は、上部背面ケース11側に設けられた上部風路壁13aと、上部風路壁13aの下端に接続され、下部背面ケース12側の下面10U上に設けられた下部風路壁13bとを備えている。そして、下部風路壁13bの裏面側に配管収納部10xが形成されており、配管収納部10xに冷媒配管4が収容される。よって、下部背面ケース12が上部背面ケース11から取り外された際、下部風路壁13bも同時に取り外される。したがって、下部風路壁13bが取り外された際には、冷媒配管4の周辺に作業用スペースが設けられることになる。また、下部風路壁13bの上端には上部背面ケース11側の上部風路壁13aとの接合部位にフランジ部13fが形成されている。フランジ部13fを用いて上部風路壁13aを覆うことにより、上部風路壁13aと下部風路壁13bとの接続部分から空気が漏れるのを防止することができる。
この下部背面ケース12は、下部側壁10Sbの上端において上部背面ケース11に係止され着脱可能に取り付けられている。図8は図5の背面ケースの側壁における上部背面ケースと下部背面ケースとの取付部位を示す図である。なお、図8(a)は背面ケースの右側の取付部位を示す斜視図、図8(b)は背面ケースの左側の取付部位を示す斜視図、図8(c)は、背面ケースの取付部位の断面図をそれぞれ示している。
図8において、下部側壁10Sbの上端には、下部側壁10Sbの内側に向かって突出した爪部21が設けられている。一方、上部側壁10Saの下端には、爪部21が挿入され係止される係止片22が設けられている。そして、両方の側壁10Sにおいて、爪部21が係止片22に係止されることにより、上部背面ケース11に下部背面ケース12が固定される。また、取り外す際には、下部側壁10Sbに内側へ力が加えられることにより、爪部21が係止片22から外れて、下部背面ケース12が上部背面ケース11から取り外される。
このように、上部背面ケース11と下部背面ケース12との係止構造が側壁10Sの内側に形成されていることにより、下部背面ケース12が上部背面ケース11に取り付けられた際、両者の継ぎ目に段差が生ずることなく一体のごとく結合されるため、室内機1の意匠性を保つことができる。
図9及び図10は図1の室内機の設置時の作業の様子を示す斜視図であり、図9及び図10を参照して、室内機1が壁に据え付けられ配管作業が行われる過程について説明する。まず、図9(a)に示すように、据付板MPのフックMPaに室内機1の係合部10fが係止される。この際、室内機1全体が所定の角度だけ傾けた状態でフックMPaが係合部10fに挿入される。次に、図9(b)のように、下部背面ケース12の下部側壁10Sbに両側から力が加えられ撓ませることにより、爪部21が係止片22から外れ、上部背面ケース11から下部背面ケース12を取り外す。すると、背面ケース10の下部及び両側壁10Sの一部が取り外され、下部及び両側壁10S側から冷媒配管4への作業が可能な状態になる。この際、下部風路壁13bも取り除かれた状態にあるため、冷媒配管4の配管作業を行う際に広い作業スペースが確保される。
その後、図10(a)のように、解放された空間を用いて冷媒配管4と図示しない延長配管とを接続させる作業が行われる。この際、作業者は冷媒配管4を回転させ、室内機1の外部へ露出するように移動させる。特に、側壁10Sの一部も取り除かれているため、図10(b)のように、冷媒配管4が約180度回転させて配管接続作業を行うこともできる。そして、配管作業が完了した後、冷媒配管4が室内機1内に収容され、取り外した下部背面ケース12が室内機1に取り付けられる(図1参照)。
上記実施形態によれば、下部背面ケース12を取り外した際に背面ケース10の下面10Uのみならず両側の下部側壁10Sbが開放されることにより、室内の壁面に据付後に下部背面ケース12を取り外せば冷媒配管4を回転させ露出させることができる。このため、室内機1を据付板MPを支点に上側に持ち上げることなく、配管接続作業を行うことができる。また、冷媒配管4を室内機1の下方に引き出すことで、作業者は室内機1の斜め下から覗き込むことなく冷媒配管4の接続作業を行うことができるため、作業性を向上させることができる。
図11は従来の室内機における配管作業の様子を示す斜視図である。図11に示すように、従来の室内機50において、背面ケース10の配管収納部10xは下面と左右両面が閉じて形成され、背面方向のみ解放されている。そのため、配管作業をする際、係合部10fが据付板MPのフックMPaに引っ掛けられたまま、フックMPaを支点として室内機1の背面を斜めに浮かせて配管収納部10xを解放させる必要がある。そのため、作業時は作業者のうち1人が室内機を支え、もう1人の作業者が配管接続作業をしなければならず、2人作業になるため作業に手間がかかる。
一方、上記実施形態の室内機1においては、下部背面ケース12を取り外すことにより、配管収納部10xの下面10U及び左右の下部側壁10Sbが解放される。すると、作業者は配管作業をする際に、室内機1を斜めに支える必要がなくなるため、作業者が1人で冷媒配管4の接続作業を行うことができる。
さらに、引越し等において室内機1が据付板MP(壁面)から取り外す場合にも、作業者は下部背面ケース12を取り外した後に所定の配管作業を行うことにより、取外し作業を行う際の作業スペースが確保された状態で作業を行うことができる。よって、取り外し作業についても作業効率を向上させることができる。
また、風路壁13が上部背面ケース11側の上部風路壁13aと、下部背面ケース12側の下部風路壁13bとに分割されている場合、下部背面ケース12を取り外した際に、下部風路壁13bも取り外されることになる。その結果、冷媒配管4に対し配管作業を行う際の作業空間が広がるため、室内機1の前面側にもスペースができるため、更に配管作業の作業性を向上させることができる。
さらに、上部背面ケース11と下部背面ケース12とが、側壁10Sの内側において着脱可能に係止されていることにより、下部背面ケース12が上部背面ケース11に取り付けられた際、両者の継ぎ目に段差が生ずることなく一体のごとく結合されるため、室内機1の意匠性を保つことができる。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されない。例えば図8において、下部背面ケース12が爪部21と係止片22とにより着脱可能に取り付けられる場合について例示しているが、室内機1が据付板MPに取り付けられた状態で下部背面ケース12が上部背面ケース11から取り外せる構造を有するものであればその構造を問わない。例えば上部背面ケース11側に爪部21が設けられ、上部背面ケース11側に係止片22が設けられていてもよいし、ネジ等を用いて着脱可能に取り付けられていてもよい。
また、図5において風路壁13が上部風路壁13aと下部風路壁13bとに分割されている場合について例示しているが、上部背面ケース11側にすべての風路壁13が形成されており、下部背面ケース12が風路壁13の下端を支持するように配置されたものであってもよい。この場合であっても、冷媒配管4は背面ケース10の下側及び側壁側から回転させ露出させることが可能であるため、図11の従来の室内機50に比べて配管作業の作業性を向上させることができる。
さらに上記実施形態の下部背面ケース12において、下面10Uの両端から下部側壁10Sbが延びている場合について例示しているが、例えば冷媒配管4の曲がる方向側等の一方の端部にのみ下部側壁10Sbが延びるように形成されたものであってもよい。