JP6622009B2 - 紫外光発生用ターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外光発生用ターゲット及びその製造方法に関するものである。
特許文献1には、薄膜EL素子が開示されている。この薄膜EL素子では、蛍光体層からの光の取り出し効率を高めるために、ガラス基板の表面が粗面とされている。特許文献2には、LED用基板及びその製造方法が開示されている。このLED用基板は、LEDの発光層から出射される光を高効率で外部に取り出すための光取出し膜を有する。光取出し膜の最表面は、アモルファスアルミナあるいは水酸化アルミニウムを主成分とするナノオーダーのランダム微細凹凸構造を含む。特許文献3には、面発光体の製造に用いられる薄膜保持基板が開示されている。この薄膜保持基板は、面発光体の光取り出し効率を向上させるために透明性基材上に成膜された微粒子及びバインダーを含む複合薄膜を備える。
特開昭61−156691号公報 特開2013−222925号公報 国際公開第2005/115740号
従来より、紫外光源として、水銀キセノンランプや重水素ランプ等の電子管が用いられてきた。しかし、このような紫外光源は、発光効率が低く、大型であり、また安定性や寿命の点で課題がある。また、水銀キセノンランプを用いる場合、水銀による環境への影響が懸念される。一方、別の紫外光源として、ターゲットに電子線を照射することにより紫外光を励起させる構造を備える電子線励起紫外光源がある。電子線励起紫外光源は、高い安定性を生かした光計測分野や、低消費電力性を生かした殺菌や消毒用、あるいは高い波長選択性を利用した医療用光源やバイオ化学用光源として期待されている。
また、近年、波長360nm以下といった紫外領域の光を出力しうる発光ダイオードが開発されている。しかし、このような発光ダイオードからの出力光強度は未だ小さく、また発光ダイオードでは発光面の大面積化が困難なので、用途が限定されてしまうという問題がある。これに対し、電子線励起紫外光源は、十分な強度の紫外光を発生することができ、また、ターゲットに照射される電子線の径を大きくすることにより、大面積で且つ均一な強度を有する紫外光を出力することができる。
但し、電子線励起紫外光源においても、出力効率の更なる向上が求められる。通常、電子線励起紫外光源のターゲットは、支持基板と、支持基板上に成膜された発光層とを備える。発光層は電子線を受けて紫外光を発生させ、該紫外光は支持基板を通過して外部へ出力される。このようなターゲットにおいて、出力効率を更に向上させるためには、例えば紫外光が通過する支持基板の表面(発光層側の表面、及び発光層とは反対側の表面のうち一方または双方)を粗面化することが考えられる。これにより、支持基板表面における反射を低減し、光取り出し効率を高めることができる。
しかしながら、支持基板の種類によっては、安定した粗面化が難しい場合がある。例えば、支持基板がサファイアからなる場合、サファイアの硬度が極めて高いことから表面粗さを一定に制御することは容易ではない。また、サファイアは酸及びアルカリに不溶であるため、表面をエッチングすることも困難である。従って、サファイア基板を支持基板とするターゲットにおいては、光取り出し効率を安定的に高めることが難しいという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、紫外光の取り出し効率を高めることが可能な紫外光発生用ターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明による紫外光発生用ターゲットは、紫外光を透過するサファイア基板と、サファイア基板に接し、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含み、紫外光を透過する中間層と、中間層上に設けられ、賦活剤が添加された希土類を含有する酸化物結晶を含み、電子線を受けて紫外光を発生する発光層とを備える。
この紫外光発生用ターゲットの基板はサファイアからなる。従って、基板表面を粗面に加工することは容易ではない。そこで、上記の紫外光発生用ターゲットでは、サファイア基板と発光層との間に中間層が設けられている。この中間層は、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含むので、同様に酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含むサファイア基板との親和性が高く、また、サファイア基板との界面における反射も抑えられる。そして、例えば以下に示す各構成のように、紫外光の反射を低減するための種々の任意の微細構造を該中間層に与えることが可能である。従って、上記の紫外光発生用ターゲットによれば、紫外光の取り出し効率を高めることが可能となる。
上記の紫外光発生用ターゲットにおいて、中間層は微細構造物の集合体から成ってもよい。これにより、紫外光の反射を中間層において効果的に低減することができる。
上記の紫外光発生用ターゲットにおいて、微細構造物は、粉末状または粒状の酸化アルミニウムであってもよい。これにより、上述した微細構造物の集合体を容易に形成できる。
上記の紫外光発生用ターゲットにおいて、酸化物結晶は多結晶であってもよい。本発明者の知見によれば、発光層を構成する結晶としては、単結晶よりも多結晶の方が発光効率が高い傾向がある。従って、酸化物結晶が多結晶であることにより、更に強い紫外光を得ることができる。
本発明による紫外光発生用ターゲットの製造方法は、上記の紫外光発生用ターゲットを製造する方法であって、水酸化アルミニウム膜をサファイア基板上に形成する第1工程と、水酸化アルミニウム膜を熱処理することにより中間層を形成する第2工程とを含む。この製造方法によれば、微細構造物の集合体を容易に形成できるので、紫外光の反射を中間層において効果的に低減することができる。
上記の製造方法は、第2工程の後に、発光層の材料を中間層上に配置する第3工程と、発光層の材料を熱処理することにより発光層を形成する第4工程とを更に含んでもよい。或いは、上記の製造方法は、第1工程の後、且つ第2工程の前に、発光層の材料を水酸化アルミニウム膜上に配置する工程を更に含み、第2工程において、水酸化アルミニウム膜とともに発光層の材料を熱処理することにより中間層及び発光層を形成してもよい。これらのうち何れかの方法によって、中間層及び発光層双方の熱処理を好適に行うことができる。
本発明による紫外光発生用ターゲットの製造方法は、上記の紫外光発生用ターゲットを製造する方法であって、サファイア基板上に粉末状または粒状の酸化アルミニウムを塗布する第1工程と、粉末状または粒状の酸化アルミニウムを熱処理することにより中間層を形成する第2工程とを含む。この製造方法によれば、微細構造物の集合体を容易に形成できるので、紫外光の反射を中間層において効果的に低減することができる。
本発明による紫外光発生用ターゲット及びその製造方法によれば、紫外光の取り出し効率を高めることができる。
第1実施形態に係る紫外光発生用ターゲットを備える電子線励起紫外光源の内部構成を示す模式図である。 紫外光発生用ターゲットの構成を示す側面図である。 紫外光発生用ターゲットの製造方法における各工程を示す図である。 図3に示された方法とは別の製造方法における各工程を示す図である。 中間層の拡大SEM画像である。 第1実施例における波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。 第1実施例における電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。 中間層が設けられない場合における、サファイア基板及び発光層の断面を拡大して示すSEM画像である。 中間層が設けられた場合における、サファイア基板、中間層、及び発光層の断面を拡大して示すSEM画像である。 第1比較例に係る紫外光発生用ターゲットの構成を示す図である。 第1比較例における波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。 第2比較例における波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。 第2比較例における電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。 変形例に係る紫外光発生用ターゲットの構成を示す側面図である。 変形例に係る紫外光発生用ターゲットの製造方法のうち、中間層を形成するための各工程を示す図である。 第2実施例における波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。 第2実施例における電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。 中間層が設けられない紫外光発生用ターゲットの発光層の表面を拡大して示すSEM画像である。 中間層を備える紫外光発生用ターゲットの発光層の表面を拡大して示すSEM画像である。 中間層の積層数が2層である場合における、熱処理後の中間層を拡大して示すSEM画像である。 中間層の積層数が2層である場合における、熱処理後の中間層を拡大して示すSEM画像である。 第2実施形態に係る紫外光発生用ターゲットの構成を示す側面図である。 第2実施形態に係る紫外光発生用ターゲットの製造方法における各工程を示す図である。 第3実施例による紫外光発生用ターゲットの中間層を拡大して示すSEM画像である。 第3実施例による紫外光発生用ターゲットの中間層を拡大して示すSEM画像である。 第3実施例による紫外光発生用ターゲットの中間層を拡大して示すSEM画像である。 第3実施例による紫外光発生用ターゲットの中間層を拡大して示すSEM画像である。 第3実施例における波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。 第3実施例における電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。 第3実施例における電子ビーム電流量と光出力との関係について、電子ビーム電流量を更に大きくした場合を示すグラフである。 第3実施例における酸化アルミニウムの平均粒径と光出力との相関を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明による紫外光発生用ターゲット及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紫外光発生用ターゲットを備える電子線励起紫外光源10の内部構成を示す模式図である。図1に示されるように、この電子線励起紫外光源10では、真空排気されたガラス容器(電子管)11の内部の上端側に、電子源12および引き出し電極13が配置されている。そして、電子源12と引き出し電極13との間に電源部16から適当な引き出し電圧が印加されると、高電圧によって加速された電子線EBが電子源12から出射される。電子源12としては、例えば大面積の電子線を出射する電子源(例えばカーボンナノチューブ等の冷陰極、或いは熱陰極)が用いられる。
また、容器11の内部の下端側には、紫外光発生用ターゲット20Aが配置されている。紫外光発生用ターゲット20Aは例えば接地電位に設定され、電子源12には電源部16から負の高電圧が印加される。これにより、電子源12から出射された電子線EBは紫外光発生用ターゲット20Aに照射される。紫外光発生用ターゲット20Aは、この電子線EBを受けて励起され、紫外光UVを発生する。
図2は、紫外光発生用ターゲット20Aの構成を示す側面図である。図2に示されるように、紫外光発生用ターゲット20Aは、基板21と、基板21上に設けられた中間層22と、中間層22上に設けられた発光層23と、発光層23上に設けられた光反射膜24とを備えている。基板21は、紫外光UVを透過する材料から成る板状の部材であり、本実施形態ではサファイア(Al23)から成る。基板21は、主面21aおよび裏面21bを有する。基板21の厚さは、例えば0.1mm以上10mm以下である。
中間層22は、基板21の主面21aと接しており、紫外光UVを透過する。中間層22は、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含む材料からなる微細構造物の集合体であり、本実施形態では主面21a上に形成された水酸化アルミニウム膜(Al23・n(H2O)、nは1以上の整数)が熱処理されて成る。水酸化アルミニウム膜としては、例えばベーマイト(アルミナ1水和物)膜が挙げられる。水酸化アルミニウム膜は熱処理されることにより水分を失うので、紫外光発生用ターゲット20Aの完成品において、中間層22は酸化アルミニウム(Al23)を主に含むものとなる。
発光層23は、電子線EBを受けて励起され、紫外光UVを発生する。発光層23は、賦活剤が添加された希土類を含有する酸化物結晶を、多結晶として含む。このような酸化物結晶としては、賦活剤が添加された希土類含有アルミニウムガーネット結晶が好適であり、例えば賦活剤としてPrが添加されたLu3Al512(Pr:LuAG)が挙げられる。或いは、このような酸化物結晶としては、Lu及びSiを含む酸化物結晶が好適であり、例えばLu2Si27(LPS)やLu2SiO5(LSO)が挙げられる。また、発光層23は、賦活剤が添加された希土類を含有する酸化物結晶のうち前記以外のもの、例えば賦活剤としてPrが添加されたYAlO3(Pr:YAP)を含んでもよい。なお、発光層23は一種類の材料からなってもよく、異種の結晶(例えばLPSとLSO)が混在してもよい。
光反射膜24は、例えばアルミニウムといった金属材料を含む。光反射膜24は、発光層23の上面及び側面、並びに中間層22の側面を覆っている。発光層23において発生した紫外光UVのうち、基板21とは反対の方向へ進む光は光反射膜24によって反射され、基板21に向けて進む。
この紫外光発生用ターゲット20Aにおいて、電子源12(図1参照)から出射された電子線EBが発光層23に入射すると、発光層23が励起され、紫外光UVが生じる。紫外光UVの一部は基板21の主面21aに直接向かい、紫外光UVの残りの部分は光反射膜24によって反射された後に基板21の主面21aに向かう。その後、紫外光UVは中間層22を透過して主面21aに入射し、基板21を透過後、裏面21bから外部へ放射される。
図3は、紫外光発生用ターゲット20Aの製造方法における各工程を示す図である。まず、水酸化アルミニウム膜を基板21上に形成する(第1工程)。そのために、まず、図3(a)に示されるように、基板21の主面21a上にアルミニウム膜25を成膜する。一実施例では、基板21は成膜前に純水により洗浄されたのち、真空加熱される。また、アルミニウム膜25の成膜は、例えば真空蒸着若しくはスパッタリングにより行われる。アルミニウム膜25の厚さは例えば1nm以上1000nm以下であり、一例では50nm、100nm、200nmのいずれかである。
次に、アルミニウム膜25に対して温水処理を行う。一実施例では、沸騰した水が収容されている容器内に基板21を投入し、アルミニウム膜25を煮沸する。このときの時間はアルミニウム膜25の厚さに応じて適宜設定される。アルミニウム膜25の厚さが50nmである場合、煮沸時間は例えば10分である。アルミニウム膜25の厚さが100nmである場合、煮沸時間は例えば20分である。アルミニウム膜25の厚さが200nmである場合、煮沸時間は例えば1時間15分である。その後、基板21を容器から取り出し、基板21に付着した水分を吹き飛ばしたのち、乾燥させる。こうして、基板21上のアルミニウム膜25は、図3(b)に示されるように水酸化アルミニウム膜(例えばベーマイト膜)26となる。
続いて、発光層23の材料を水酸化アルミニウム膜26上に配置する。具体的には、水酸化アルミニウム膜26が形成された基板21をアブレーション装置内に設置し、図3(c)に示されるように、レーザアブレーションによって発光材料層27を水酸化アルミニウム膜26上に成膜する。発光材料層27の膜厚は例えば500nmである。
続いて、水酸化アルミニウム膜26及び発光材料層27の熱処理を行う(第2工程)。この工程では、図3(d)に示されるように、水酸化アルミニウム膜26及び発光材料層27が形成された基板21を熱処理炉30内に設置する。熱処理炉30は例えば真空炉である。そして、真空中において発光材料層27及び水酸化アルミニウム膜26の熱処理を行い、これらを焼成する。熱処理温度は例えば1000℃以上2000℃以下であり、一例では1500℃である。また、熱処理時間は例えば0時間(すなわち、所定温度に到達したら直ちに降温させる)以上、100時間以下であり、一例では2時間である。これにより、発光材料層27の構成材料が結晶化し、図1に示された発光層23が形成される。また、水酸化アルミニウム膜26から水分が除去され、酸化アルミニウム(Al23)を主に含む中間層22が形成される。
最後に、発光層23及び中間層22が形成された基板21を熱処理炉30から取り出し、図3(e)に示されるように、発光層23の上面及び側面、並びに中間層22の側面を覆うように光反射膜24を形成する。光反射膜24の形成方法は、例えば真空蒸着である。発光層23の上面上における光反射膜24の厚さは例えば50nmである。以上の工程を経て、本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Aが完成する。
図4は、図3に示された方法とは別の製造方法における各工程を示す図である。この製造方法では、図4(a)に示されるように基板21上にアルミニウム膜25を成膜したのち、アルミニウム膜25に対して上記と同様の温水処理を行うことにより、図4(b)に示されるように水酸化アルミニウム膜(例えばベーマイト膜)26を形成する(第1工程)。続いて、水酸化アルミニウム膜を熱処理することにより中間層を形成する(第2工程)。この工程では、図4(c)に示されるように、水酸化アルミニウム膜26が形成された基板21を熱処理炉30内に設置する。そして、真空中において水酸化アルミニウム膜26の熱処理を行い、焼成する。これにより、水酸化アルミニウム膜26から水分が除去され、酸化アルミニウム(Al23)を主に含む中間層22が形成される。
続いて、発光層23の材料を中間層22上に配置する(第3工程)。この工程では、中間層22が形成された基板21をアブレーション装置内に設置し、図4(d)に示されるように、レーザアブレーションによって発光材料層27を中間層22上に成膜する。そして、図4(e)に示されるように、発光材料層27が形成された基板21を熱処理炉30内に設置し、真空中において発光材料層27の熱処理を行い、焼成する。熱処理温度及び熱処理時間は上述した製造方法と同様である。これにより、発光材料層27の構成材料が結晶化し、発光層23が形成される(第4工程)。最後に、発光層23及び中間層22が形成された基板21を熱処理炉30から取り出し、光反射膜24を形成する(図4(f))。以上の工程を経て、本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Aが完成する。
図5は、上述したいずれかの製造方法によって得られる中間層22の拡大SEM画像である。図5に示されるように、中間層22は、微細構造物の集合体から成る。微細構造物は、水分が除去された後の酸化アルミニウム(Al23)である。微細構造物の一つ当たりの大きさは、例えば太さ50nm、長さ200nmである。
以上に説明した本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Aによって得られる効果について説明する。紫外光発生用ターゲット20Aは、サファイアからなる基板21を支持基板として備える。前述したように、サファイア基板の表面を粗面に加工することは容易ではない。そこで、本実施形態では、基板21と発光層23との間に中間層22が設けられている。この中間層22は、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含むので、同様に酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含む基板21との親和性が高く、また、基板21との界面における紫外光UVの反射も抑えられる。そして、例えば図5に示されたように、紫外光UVの反射を低減するための微細構造を該中間層22に与えることが可能である。従って、本実施形態によれば、紫外光UVの取り出し効率を高めることが可能となる。
また、本実施形態のように、中間層22は微細構造物の集合体から成ってもよい。これにより、紫外光UVの反射を中間層22において効果的に低減することができる。また、この場合、中間層22は、基板21上に形成された水酸化アルミニウム膜26が熱処理されることにより形成されてもよい。これにより、図5に示されたように微細構造物の集合体を容易に形成できる。
また、本実施形態のように、発光層23を構成する結晶(賦活剤が添加された希土類を含有する酸化物結晶)は、多結晶であってもよい。本発明者の知見によれば、発光層23を構成する結晶としては、単結晶よりも多結晶の方が発光効率が高い傾向がある。従って、発光層23を構成する結晶が多結晶であることにより、更に強い紫外光UVを得ることができる。
また、本実施形態の製造方法は、水酸化アルミニウム膜26を基板21上に形成する第1工程と、水酸化アルミニウム膜26を熱処理することにより中間層22を形成する第2工程とを含む。この製造方法によれば、微細構造物の集合体を容易に形成できるので、紫外光UVの反射を中間層22において効果的に低減することができる。
また、図3に示されたように、第1工程の後、且つ第2工程の前に、発光材料層27を水酸化アルミニウム膜26上に配置し、第2工程において、水酸化アルミニウム膜26とともに発光材料層27を熱処理することにより中間層22及び発光層23を形成してもよい。或いは、図4に示されたように、この製造方法は、第2工程の後に、発光材料層27を中間層22上に配置する第3工程と、発光材料層27を熱処理することにより発光層23を形成する第4工程とを更に含んでもよい。これらのうち何れかの方法によって、中間層22及び発光層23の双方の熱処理を好適に行うことができる。
(第1実施例)
続いて、第1実施形態の紫外光発生用ターゲット20Aを作製し、その光出力特性を調べた結果について説明する。本実施例では、中間層22が設けられない紫外光発生用ターゲットと、中間層22を形成する際のアルミニウム膜25の厚さがそれぞれ50nm、100nm、及び200nmである3つの紫外光発生用ターゲット20Aとを作製した。その際、図3に示された製造方法を用い、水酸化アルミニウム膜26をベーマイト膜とし、発光層23をPr:LuAG多結晶膜とし、基板21をサファイア基板(直径12mm、厚さ2mm)とし、熱処理温度を1500℃とし、熱処理時間を2時間とした。また、紫外光発生用ターゲットが取り付けられる電子線励起紫外光源の加速電圧を10kVとし、管電流を200μAとし、電子ビーム径を2mmとした。
図6は、波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。図6において、グラフG11は中間層22が設けられない場合を示し、グラフG12、G13、及びG14は、それぞれアルミニウム膜25の厚さが50nm、100nm、200nmである場合を示している。図6に示されるように、中間層22が設けられることによって中間層22が設けられない場合よりも高いピーク強度が得られ、更に、アルミニウム膜25が厚いほど(すなわち中間層22が厚いほど)ピーク強度が高くなる傾向がある。例えばアルミニウム膜25の厚さが200nmである場合(グラフG14)には、中間層22が設けられない場合(グラフG11)に対して約2.4倍のピーク強度を実現できる。
図7は、電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。図7において、グラフG21は中間層22が設けられない場合を示し、グラフG22及びG23は、それぞれアルミニウム膜25の厚さが100nm、200nmである場合を示している。図7に示されるように、中間層22が設けられることによって中間層22が設けられない場合よりも高い光出力効率が得られ、更に、中間層22が厚いほど光出力効率が高くなる傾向がある。例えばアルミニウム膜25の厚さが200nmである場合(グラフG23)には、中間層22が設けられない場合(グラフG21)に対して約1.7倍の光出力効率を実現できる。
図8は、中間層22が設けられない場合における、サファイア基板21及び発光層23の断面を拡大して示すSEM画像である。また、図9は、中間層22が設けられた場合における、サファイア基板21、中間層22、及び発光層23の断面を拡大して示すSEM画像である。図8及び図9を比較すると、サファイア基板21と発光層23との間に、微細構造物を含む中間層22が好適に形成されていることがわかる。
(第1比較例)
ここで、比較のため、中間層22が設けられない紫外光発生用ターゲットにおいて、基板21の表面を粗面化したときの光出力特性を調べた。本比較例では、図10に示されるように、基板21の主面21aのみを粗面化した場合(図10(a))、基板21の裏面21bのみを粗面化した場合(図10(b))、並びに、主面21a及び裏面21bの双方を粗面化した場合(図10(c))のそれぞれについて、波長毎の発光強度(相対値)を調べた。
その結果を図11に示す。図11において、グラフG31は主面21a及び裏面21bの双方が粗面化されていない場合を示し、グラフG32は主面21aのみが粗面化された場合を示し、グラフG33は裏面21bのみが粗面化された場合を示し、グラフG34は主面21a及び裏面21bの双方が粗面化された場合を示す。図11に示されるように、主面21aのみ粗面化した場合に、ピーク強度が最も高くなった。但し、その場合でも、主面21a及び裏面21bの双方が粗面化されない場合に対してピーク強度の増加が僅か1.2倍であった。上記の第1実施形態による紫外光発生用ターゲット20Aによれば、このように基板の表面を粗面化する場合と比較して、格段に高いピーク強度を得ることができる。
(第2比較例)
更に比較のため、基板21の主面21aのみ粗面化する形態において、サンドブラストにより様々な表面粗さでもって主面21aを粗面化し、光出力特性を調べた。本比較例では、粗面化されていない通常の基板を備える紫外光発生用ターゲットと、主面21aの表面粗さがそれぞれ0.1μm、0.3μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、5.0μm、10μmである7つの紫外光発生用ターゲットとを作製した。これらの紫外光発生用ターゲットでは、サファイア基板上にPr:LuAG結晶をレーザアブレーションにより1時間成膜し、真空中で1500℃、2時間の熱処理を行い、その上に厚さ50nmの光反射膜を蒸着した。なお、紫外光発生用ターゲットが取り付けられる電子線励起紫外光源の加速電圧を10kVとし、管電流を200μA以下とし、電子ビーム径を2mmとした。
図12は、波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。図12において、グラフG41は粗面化がなされていない場合を示し、グラフG42〜G48は、それぞれ主面21aの表面粗さが0.1μm、0.3μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、5.0μm、10μmである場合を示している。図12に示されるように、主面21aが粗面化されることによって粗面化されない場合よりも高いピーク強度が得られ、概ね、表面粗さが粗いほどピーク強度が高くなる傾向がある。例えば最もピーク強度が高い表面粗さ10μmの場合(グラフG48)には、粗面化されない場合(グラフG41)に対して約1.6倍のピーク強度を実現できる。しかしながら、上記の第1実施形態による紫外光発生用ターゲット20Aによれば、表面粗さ10μmの場合と比較しても更に高いピーク強度を得ることができる。
また、図13は、電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。図13において、グラフG51は粗面化がなされていない場合を示し、グラフG52〜G58は、それぞれ主面21aの表面粗さが0.1μm、0.3μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、5.0μm、10μmである場合を示している。図13に示されるように、主面21aが粗面化されることによって粗面化されない場合よりも高い光出力効率が得られ、概ね、表面粗さが粗いほど光出力効率が高くなる傾向がある。例えば最も光出力が大きい表面粗さ10μmの場合(グラフG58)には、粗面化されない場合(グラフG51)に対して約1.6倍の光出力効率を実現できる。しかしながら、上記の第1実施形態による紫外光発生用ターゲット20Aによれば、表面粗さ10μmの場合と比較しても更に高い光出力効率を得ることができる。
(変形例)
上記実施形態の一変形例について説明する。図14は、本変形例に係る紫外光発生用ターゲット20Bの構成を示す側面図である。図14に示されるように、紫外光発生用ターゲット20Bは、基板21と、基板21上に設けられた中間層28と、中間層28上に設けられた発光層23と、発光層23上に設けられた光反射膜24とを備えている。これらのうち、基板21、発光層23、及び光反射膜24の構成は上記実施形態と同様である。
本変形例の中間層28は、複数の層28aが積層されて成る。複数の層28aのそれぞれは、上記実施形態の中間層22と同様の構成を有する。なお、図14には4つの層28aが積層されている場合を例示しているが、層28aの積層数は2以上の任意の数である。
図15は、本変形例に係る紫外光発生用ターゲット20Bの製造方法のうち、中間層28を形成するための各工程を示す。なお、中間層28を形成する工程を除く他の工程は、上記実施形態と同様である。
まず、最初の層28aを形成する為に、水酸化アルミニウム膜を基板21上に形成する。そのために、まず、図15(a)に示されるように、基板21の主面21a上にアルミニウム膜25を成膜する。次に、アルミニウム膜25に対して温水処理を行う。これにより、アルミニウム膜25は、図15(b)に示されるように水酸化アルミニウム膜(例えばベーマイト膜)26となる。
続いて、次の層28aを形成する為に、水酸化アルミニウム膜26上に別の水酸化アルミニウム膜を形成する。すなわち、図15(c)に示されるように、水酸化アルミニウム膜26上にアルミニウム膜25を成膜する。次に、アルミニウム膜25に対して温水処理を行う。これにより、アルミニウム膜25は、図15(d)に示されるように水酸化アルミニウム膜26となる。以降、水酸化アルミニウム膜26の形成を繰り返し行うことにより、複数の水酸化アルミニウム膜26を得る。
その後、図3若しくは図4に示された方法と同様にして、積層された複数の水酸化アルミニウム膜26の熱処理を行う。これにより、複数の水酸化アルミニウム膜26から水分が除去され、酸化アルミニウム(Al23)を主に含む複数の層28aが形成される。
以上に説明した本変形例の紫外光発生用ターゲット20Bによれば、上記実施形態と同様に、中間層28が酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含み、紫外光UVの反射を低減するための種々の任意の微細構造を中間層28に与えることが可能である。従って、紫外光UVの取り出し効率を高めることが可能となる。特に、本変形例のように複数の層28aが積層されることにより、後述する実施例に示されるように、紫外光UVの取り出し効率をより一層高めることができる。また、中間層28を厚く形成する場合であっても、各層28aを薄くすることで、温水処理による水酸化アルミニウム膜化を確実に且つ短時間で行うことができる。
(第2実施例)
第2実施形態の紫外光発生用ターゲット20Bを作製し、その光出力特性を調べた結果について説明する。本実施例では、中間層28が設けられない紫外光発生用ターゲットと、中間層28を構成する層28aの積層数がそれぞれ2層、3層、及び4層である3つの紫外光発生用ターゲット20Bとを作製した。その際、図3に示された製造方法と同様の方法(中間層28と発光層23とを同時に熱処理)を用い、図15に示されたアルミニウム膜25の成膜時間を4分、厚さを100nmとし、水酸化アルミニウム膜26をベーマイト膜とし、発光層23をPr:LuAG多結晶膜とし、基板21をサファイア基板(直径12mm、厚さ2mm)とし、熱処理温度を1500℃とし、熱処理時間を2時間とした。また、紫外光発生用ターゲットが取り付けられる電子線励起紫外光源の加速電圧を10kVとし、管電流を200μAとし、電子ビーム径を2mmとした。
図16は、波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。図16において、グラフG61は中間層28が設けられない場合を示し、グラフG62、G63、及びG64は、それぞれ層28aの積層数が2層、3層、4層である場合を示している。図16に示されるように、中間層28が設けられることによって中間層28が設けられない場合よりも高いピーク強度が得られ、更に、層28aの積層数が多いほどピーク強度が高くなる傾向がある。例えば層28aの積層数が3層である場合(グラフG63)には、中間層28が設けられない場合(グラフG61)に対して約2.6倍のピーク強度を実現できる。
図17は、電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。図17において、グラフG71は中間層28が設けられない場合を示し、グラフG72、G73、及びG74は、それぞれ層28aの積層数が2層、3層、4層である場合を示している。図17に示されるように、中間層28が設けられることによって中間層28が設けられない場合よりも高い光出力効率が得られる。例えば層28aの積層数が3層である場合(グラフG73)には、中間層28が設けられない場合(グラフG71)に対して約2.1倍の光出力効率を実現できる。
図18は、中間層28が設けられない紫外光発生用ターゲットの発光層23の表面を拡大して示すSEM画像である。図18(a)は熱処理前の状態を示し、図18(b)は熱処理後の状態を示す。また、図19は、中間層28を備える紫外光発生用ターゲット1Bの発光層23の表面を拡大して示すSEM画像である。図19(a)は熱処理前の状態を示し、図19(b)は熱処理後の状態を示す。図18及び図19に示されるように、中間層28が設けられた場合であっても、中間層28が設けられない場合と同様に、発光層23が熱処理によって好適に結晶化していることがわかる。
また、図20及び図21は、中間層28の層28aの積層数が2層である場合における、熱処理後の中間層28を拡大して示すSEM画像である。なお、図20は中間層28及び発光層23の熱処理を同時に行った場合を示しており、図21は中間層28の熱処理を単独で行った場合を示している。図20及び図21を参照すると、微細構造物を含む中間層28が好適に形成されていることがわかる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る紫外光発生用ターゲットについて説明する。図22は、本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Cの構成を示す側面図である。図22に示されるように、紫外光発生用ターゲット20Cは、基板21と、基板21上に設けられた中間層29と、中間層29上に設けられた発光層23と、発光層23上に設けられた光反射膜24とを備えている。これらのうち、中間層29を除く他の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
中間層29は、基板21の主面21aと接しており、紫外光UVを透過する。中間層29は、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含む材料からなる微細構造物の集合体であり、本実施形態では、微細構造物は主面21a上に配置された粉末状または粒状の酸化アルミニウムである。一例では、中間層29は、主面21a上に塗布された粉末状または粒状の酸化アルミニウム(アルミナパウダー)が熱処理されて成る。
図23は、紫外光発生用ターゲット20Cの製造方法における各工程を示す図である。まず、図23(a)に示されるように、粉末状または粒状の酸化アルミニウム29aを基板21の主面21a上に塗布する(第1工程)。このときの塗布厚さは、各粒径の酸化アルミニウム粒が主面21a上に均等に分散できる厚さであるとよい。
次に、粉末状または粒状の酸化アルミニウム29aの熱処理を行う(第2工程)。この工程では、図23(b)に示されるように、粉末状または粒状の酸化アルミニウム29aが塗布された基板21を熱処理炉30内に設置する。熱処理炉30は例えば真空炉である。そして、真空中において粉末状または粒状の酸化アルミニウム29aの熱処理を行い、これを焼成する。熱処理温度は例えば1000℃以上2000℃以下であり、一例では1600℃である。また、熱処理時間は例えば0時間(すなわち、所定温度に到達したら直ちに降温させる)以上、100時間以下であり、一例では2時間である。これにより、粉末状または粒状の酸化アルミニウム29aの各粒子の表面が溶けて各粒子が互いに結合するとともに基板21に固着し、図22に示された中間層29が形成される。
続いて、発光層23の材料を中間層29上に配置する。この工程では、中間層29が形成された基板21をアブレーション装置内に設置し、図23(c)に示されるように、レーザアブレーションによって発光材料層27を中間層29上に成膜する。そして、図23(d)に示されるように、発光材料層27が形成された基板21を熱処理炉30内に設置し、真空中において発光材料層27の熱処理を行い、焼成する。熱処理温度及び熱処理時間は上述した第1実施形態と同様である。これにより、発光材料層27の構成材料が結晶化し、発光層23が形成される。
最後に、発光層23及び中間層29が形成された基板21を熱処理炉30から取り出し、光反射膜24を形成する(図23(e))。この工程では、例えば、発光層23上にニトロセルロース膜を形成し、そのニトロセルロース膜上にアルミニウム膜を蒸着する。このアルミニウム膜の厚さは例えば20nmである。そして、基板21を熱処理炉内に設置し、ニトロセルロース膜を大気中で焼成することにより気化させる。このときの熱処理温度は例えば350℃であり、熱処理時間は例えば10分間である。その後、アルミニウム膜上に更にアルミニウム膜を蒸着する。このアルミニウム膜の厚さは例えば30nmである。こうして、2層のアルミニウム膜からなる光反射膜24が形成される。以上の工程を経て、本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Cが完成する。
本実施形態の紫外光発生用ターゲット20Cによれば、上記第1実施形態と同様に、中間層29が酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含み、紫外光UVの反射を低減するための微細構造を中間層29に与えることが可能である。従って、紫外光UVの取り出し効率を高めることが可能となる。また、本実施形態のように中間層29の微細構造物が粉末状または粒状の酸化アルミニウムであることによって、微細構造物の集合体を容易に形成できるので、紫外光UVの反射を中間層29において効果的に低減することができる。
(第3実施例)
続いて、第2実施形態の紫外光発生用ターゲット20Cを作製し、その光出力特性を調べた結果について説明する。本実施例では、中間層29が設けられない紫外光発生用ターゲットと、中間層29を形成する際の酸化アルミニウム29aの平均粒径がそれぞれ3.1μm、5.2μm、21.7μm、24μmである4つの紫外光発生用ターゲット20Cとを作製した。中間層29が設けられない紫外光発生用ターゲットでは、サファイア基板上にPr:LuAG結晶をレーザアブレーションにより1時間成膜し、真空中で1500℃、2時間の熱処理を行い、その上に厚さ50nmの光反射膜を蒸着した。また、4つの紫外光発生用ターゲット20Cでは、酸化アルミニウム29aの熱処理温度を1600℃、熱処理時間を2時間とした。更に、発光層23としてPr:LuAG結晶をレーザアブレーションにより1時間成膜し、真空中で1500℃、2時間の熱処理を行い、その上に厚さ50nmの光反射膜24を蒸着した。なお、紫外光発生用ターゲットが取り付けられる電子線励起紫外光源の加速電圧を10kVとし、管電流を800μA以下とし、電子ビーム径を2mmとした。
図24〜図27は、4つの紫外光発生用ターゲット20Cの中間層29を拡大して示すSEM画像であって、酸化アルミニウム29aの平均粒径が3.1μmである場合(図24)、5.2μmである場合(図25)、21.7μmである場合(図26)、及び24μmである場合(図27)をそれぞれ示す。これらの図において、(a)は1回目の熱処理(1600℃、2時間)の後の状態を示し、(b)は2回目の熱処理(1500℃、2時間)の後の状態を示す。図24〜図27の(a)を参照すると、酸化アルミニウムからなる微細構造物が集合し、互いに結合して一体化していることがわかる。また、図24〜図27の(b)を参照すると、酸化アルミニウムの表面にPr:LuAG結晶からなる領域が形成されていることがわかる。
図28は、波長毎の発光強度(相対値)を示すグラフである。図28には、酸化アルミニウムの平均粒径がそれぞれ3.1μm(グラフG81)、5.2μm(グラフG82)、21.7μm(グラフG83)、24μm(グラフG84)である場合の各グラフが示されている。なお、これらのグラフは、管電流を200μAとして測定されたものである。図28に示されるように、平均粒径が21.7μmである場合に発光ピーク強度が最も高く、平均粒径が3.1μmである場合にピーク強度が最も低くなった。
図29は、電子ビーム電流量と光出力との関係を示すグラフである。図29において、グラフG91は中間層29が設けられない場合を示し、グラフG92、G94、及びG95は、それぞれ酸化アルミニウムの平均粒径が3.1μm、21.7μm、24μmである場合を示している。図29に示されるように、中間層29が設けられることによって中間層29が設けられない場合よりも高い光出力効率が得られ、更に、中間層29の酸化アルミニウムの平均粒径が大きいほど光出力効率が高くなる傾向がある。なお、平均粒径が24μmである場合に、平均粒径が21.7μmである場合と比較して光出力が低くなったが、図27に示されたSEM画像から明らかなように、他の粒径のものとは形状が若干異なり、細かい粒子が集まって24μmの平均粒径を構成している。このため、光出力が低くなったものと考えられる。
図30は、電子ビーム電流量と光出力との関係について、電子ビーム電流量を更に大きくした場合(〜800μA)を示すグラフである。図30において、グラフG91は中間層29が設けられない場合を示し、グラフG92、G93、G94、及びG95は、それぞれ酸化アルミニウムの平均粒径が3.1μm、5.2μm、21.7μm、24μmである場合を示している。いずれの粒径の場合においても管電流が700μA以上である場合に光出力の飽和が見られたが、平均粒径が小さいほど、飽和の程度が軽微であった。
図31は、電子ビーム電流量を200μAとした場合の、酸化アルミニウムの平均粒径と光出力との相関を示すグラフである。図31において、プロットP1は中間層29が設けられない場合を示し、プロットP2〜P5は、それぞれ酸化アルミニウムの平均粒径が3.1μm、5.2μm、21.7μm、24μmである場合を示している。図31に示されるように、平均粒径がいずれの場合であっても、中間層29が設けられない場合と比較して格段に大きな光出力が得られた。
本発明による紫外光発生用ターゲット及びその製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、
1A,1B…紫外光発生用ターゲット、10…電子線励起紫外光源、11…容器、12…電子源、13…電極、16…電源部、20A,20B,20C…紫外光発生用ターゲット、21…基板、21a…主面、22,28,29…中間層、23…発光層、24…光反射膜、25…アルミニウム膜、26…水酸化アルミニウム膜、27…発光材料層、29a…粉末状または粒状の酸化アルミニウム、30…熱処理炉、EB…電子線、UV…紫外光。

Claims (8)

  1. 紫外光を透過するサファイア基板と、
    前記サファイア基板に接し、酸素原子及びアルミニウム原子を組成に含み、前記紫外光を透過する中間層と、
    前記中間層上に設けられ、賦活剤が添加された希土類を含有する酸化物結晶を含み、電子線を受けて前記紫外光を発生する発光層と、
    を備える、紫外光発生用ターゲット。
  2. 前記中間層は微細構造物の集合体から成る、請求項1に記載の紫外光発生用ターゲット。
  3. 前記微細構造物は、粉末状または粒状の酸化アルミニウムである、請求項2に記載の紫外光発生用ターゲット。
  4. 前記酸化物結晶は多結晶である、請求項1〜のいずれか一項に記載の紫外光発生用ターゲット。
  5. 請求項1に記載の紫外光発生用ターゲットを製造する方法であって、
    水酸化アルミニウム膜を前記サファイア基板上に形成する第1工程と、
    前記水酸化アルミニウム膜を熱処理することにより前記中間層を形成する第2工程と、
    を含む、紫外光発生用ターゲットの製造方法。
  6. 前記第2工程の後に、前記発光層の材料を前記中間層上に配置する第3工程と、
    前記発光層の材料を熱処理することにより前記発光層を形成する第4工程と、
    を更に含む、請求項に記載の紫外光発生用ターゲットの製造方法。
  7. 前記第1工程の後、且つ前記第2工程の前に、前記発光層の材料を前記水酸化アルミニウム膜上に配置する工程を更に含み、
    前記第2工程において、前記水酸化アルミニウム膜とともに前記発光層の材料を熱処理することにより前記中間層及び前記発光層を形成する、請求項に記載の紫外光発生用ターゲットの製造方法。
  8. 請求項1に記載の紫外光発生用ターゲットを製造する方法であって、
    前記サファイア基板上に粉末状または粒状の酸化アルミニウムを塗布する第1工程と、
    前記粉末状または粒状の酸化アルミニウムを熱処理することにより前記中間層を形成する第2工程と、
    を含む、紫外光発生用ターゲットの製造方法。
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