JP2008041487A - 発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学薄膜と発光層が原子レベルで接着することで光取り出し効率が向上し、及び素子間の界面を凹凸構造に加工する構成と比べて低コストで製作することの出来る発光素子を提供する。
【解決手段】本発明は、発光層の光取り出し面側に光学薄膜を有する発光素子であって、該光学薄膜は該光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有している。及び、該光学薄膜と該発光層は共にSi及びGeから選ばれる一つ以上の元素と、酸素と、を構成元素として含み、かつ該Si及びGeから選ばれる一つ以上の元素は該光学薄膜と該発光層とで同一の元素である。そして、該光学薄膜は該発光層に緻密に接着している。
【選択図】図3

Description

本発明は発光素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、フラットパネルディスプレイとして使用されるELディスプレイや電界放出ディスプレイ等に用いられる発光素子及びその製造方法に関する。
今日、発光機能を有する微粒子及び薄膜を用いたフラットパネルディスプレイ(FPD)として、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイや電界放出ディスプレイ(FED)等が注目されている。
一般的に、これらの発光素子においては、素子の内部で発生した光で素子界面に入射する光のうち、臨界角以上の角度で入射する光は全反射されてしまうため、全ての光を外部に取り出すことはできない。この光取り出し効率は、素子を構成する材料に依存するが、一般的に20%程度である。光取り出し効率を向上させる手法としては、例えば、特許文献1では発光面側に凹凸構造体を接着させる方法や、特許文献2では透明電極を凹凸構造に加工する方法が提案されている。
特開2004−127746号公報 特開2004−296438号公報
しかしながら、凹凸構造体を接着させる場合、その構造体を発光層へと完全に接着させることが困難であり、従って不完全な接着よって該構造体と該発光層との間に屈折率の異なる界面が生じてしまい、該界面での光取り出し効率に損失が生じる。また、素子間の界面を凹凸構造に加工する構成では、特殊な工程が必要になり、手間とコストを要し工業的には不利である。
本発明は、原子レベルで発光層と光学薄膜が接着することによって大幅に光取り出し効率が改善された、及び低コストで製造することの出来る発光素子を提供することを目的とする。
上記の課題は本発明の以下の構成及び製法により解決出来る。
本発明は、発光層の光取り出し面側に光学薄膜を有し、該光学薄膜は該光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有し、該光学薄膜と該発光層は共にSi及びGeから選ばれる一つ以上の元素と、酸素と、を構成元素として含み、かつ該Si及びGeから選ばれる一つ以上の元素は該光学薄膜と該発光層とで同一の元素であり、及び、該光学薄膜は該発光層に緻密に接着していることを特徴とする発光素子を提供する。
また、前記発光層の材料組成が、(Mg、Ca、Sr、A)B酸化物で表され、及び、該AはEu2+、Eu3+、Sm2+、Sm3+、Ce3+又はTb3+のいずれかであり、かつ該BはSi及びGeから選ばれる一つ以上の元素であり、ここで、x≧0.45、0.05≦y≦0.5、0.05≦z≦0.5、かつ0<w≦0.4、であることを特徴とする発光素子を提供する。
また、前記光学薄膜の厚さが、85nm以上90nm以下の範囲であることを特徴とする発光素子を提供する。
また、前記柱状空隙の直径が、2nm以上30nm以下の範囲であることを特徴とする発光素子を提供する。
次に、本発明は、透明基板と、光学薄膜と、発光層と、を有する発光素子の製造方法であって、該透明基板上に該光学薄膜を形成し、及び該光学薄膜に隣接して、該発光層を配する工程と、該発光層及び該光学薄膜が配された該透明基板を還元雰囲気中で熱処理し、該光学薄膜と該発光層とを反応させて両者を緻密に接着する工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法を提供する。
また、基板と、光学薄膜と、発光層と、を有する発光素子の製造方法であって、該基板上に該発光層を形成し、及び該発光層に隣接して、該発光層の光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有する該光学薄膜を配する工程と、該発光層及び該光学薄膜が配された該基板を還元雰囲気中で熱処理し、該光学薄膜と該発光層とを反応させて両者を緻密に接着する工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法を提供する。
更に、本発明の発光素子を用いたことを特徴とする画像表示装置を提供する。
本発明によれば、光取り出し効率の向上した発光素子を提供し、更には該発光素子を用いた表示装置を提供することが出来る。
以下に、図を参照しながら、本発明の実施形態に関わる発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、発光層の光取り出し面側に光学薄膜を有する発光素子である。そして前記光学薄膜が光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有し、光学薄膜と発光層が共にSi及びGeから選ばれる少なくとも一つ以上の元素と、酸素と、を構成元素として含み、かつ前記Si及びGeから選ばれる一つ以上の元素は光学薄膜と発光層とで同一の元素である。また、その前記光学薄膜は前記発光層に接し、それらは熱処理により化学的に接着している。
以上の本発明による構成とすることにより、光取り出し面での全反射が低減され、光取り出し効率が改善された発光素子を提供することが出来るのであるが、その理由は以下の通りである。例えば、透明基板上に直接発光層を形成した従来の構成では、次のような問題がある。発光層で発生した光が透明基板に入射する際、透明基板の屈折率ngと発光層の屈折率npで規定される臨界角qc=arcsin(np/ng)よりも大きな角度で入射した光は界面で全反射されてしまい、外部に取り出すことが出来ない。これに対して、本発明では、発光層11の光取り出し側に光学薄膜12を備えており、該光学薄膜12は可視波長域以下のナノメートルサイズの空隙を有する。従って、臨界角以上の入射角度で入射する光を、波長に比べて非常に小さい散乱体によるレイリー散乱に基づく散乱光15として外部に取り出すことが出来る。以上のことは、全ての発光色において、その効果を有しているが、その中でも、特に効果が高いのは青色の場合である。というのも、レイリー散乱による散乱強度は波長の4乗に反比例し、短波長の紫色から青色の光ほど強く散乱されるからである。特に以下に示す実施例では、450nm付近にピークを持つ青色発光を示す発光層を用いており、レイリー散乱による効果的な光取り出しが出来る。
ここで、図1は上記の構成の発光素子の例を示しているが、加熱処理が施されてはいない。即ち、まず基板13上に発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体が形成されている。そして発光層11に隣接してSiと酸素を構成元素として含むナノ細孔体を光学薄膜12として形成した例である。また、図2も上記の構成の発光体の例であるが、こちらも加熱処理が施されてはいない。即ち、まず透明基板21上に光学薄膜12としてSiと酸素を構成元素として含むナノ細孔体が形成されている。そして光学薄膜12に隣接して発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体を形成した例である。
図3及び図4では本発明における発光素子が示されている。それは、光学薄膜12と発光層11が共にSi、Geから選ばれる少なくとも一つ以上の元素、及び酸素を構成元素として含み、かつその選ばれた元素は光学薄膜12と発光層11とで同一のものであり、光学薄膜12が発光層11に接し、熱処理により界面が化学的に接着している。一般に、発光層に接して、Siを構成元素として含む隣接膜を配することで、発光層に含まれるSi及び酸素に対しての組成ずれが生じにくくなるため、温度や湿度等の環境に対しての安定性に優れた蛍光体を得ることが出来る。本発明の図3及び図4の場合においては、この隣接膜としての役割を、光学薄膜12が果たしている。更に、光学薄膜12と発光層11は接着が緻密な一体層となっており、界面での接着不良による光損失が生じない。また、柱状の空隙を含む光学薄膜12は基板に対して垂直にネットワークを形成しているため、光学薄膜12として微粒子を用いた場合に比べて、よりよく散乱光を光取り出し側に導波することが出来るので、光取り出しには有利である。ここで、前記構造体の空隙の直径は、レイリー散乱が生じる領域となるように、発生する光の波長の1/10程度、即ち50nm程度以下であることが好ましい。特に好ましくは、2nm以上30nm以下の範囲である。
ここで、図3は本発明の発光素子の例である。即ち、まず基板13上に発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体が形成されている。そして、発光層11に隣接してSiと酸素を構成元素として含むナノ細孔体を光学薄膜12として形成し、該発光層11と該光学薄膜12を熱処理することにより反応させて一体化している。また、図4も本発明の発光素子の例である。即ち、透明基板21上に光学薄膜12としてSiと酸素を構成元素として含むナノ細孔体を形成されている。そして光学薄膜12に隣接して発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体が形成されている。更に、該発光層11と該光学薄膜12を熱処理することにより反応させて一体化している。
更に、図1及び図3の場合では、上述の光散乱による光取り出し効果に加えて、光取り出し面側から順に空気、光学薄膜12、発光層11の構成となっており、光学薄膜12は発光層11の屈折率n1と空気の屈折率1との中間の屈折率n2を有している。従って、空気と光学薄膜12、光学薄膜12と発光層11の各々の界面における反射光の干渉により、発光層11から発光した透過光14、及び外光の反射を減少させる反射防止効果も示す。光学薄膜12の厚さをd、発光層11から発生する光の波長をλ(nm)として、光学薄膜12の厚みd=λ/(4×n1)となるようした場合に最も反射率が抑えられる。この結果、発光層11から発生した光の透過率が向上し、光取り出し効率の向上に寄与する。ここで、本発明においてSiと酸素から構成されるナノ細孔体を光学薄膜12として用いた場合、ナノ細孔体を均質媒体であると仮定した際の平均屈折率はおよそ1.2から1.3の範囲である。よって、これらの屈折率範囲においては光学薄膜の厚さdを85nmから90nmの範囲にすることで、最大の反射防止効果を得ることが出来る。
上述した本発明の構成により、全反射を抑える効果、更に特別な場合には反射防止効果、及び、加熱処理による薄膜と発光層との接着性の向上効果が生じ、光取り出し効率が向上する。
次に、本実施例で光学薄膜として用いる前記ナノ細孔体に関して詳細に説明する。前記ナノ細孔体は、Si、Geから選ばれる少なくとも一つ以上の元素と酸素から構成される膜中に、柱状形状の細孔が、平均細孔径30nm以下、細孔の平均間隔30nm以下でお互いに独立し、且つ膜面に対して垂直又はほぼ垂直に存在している。
前記ナノ細孔体は、Si、Geから選ばれる一つ以上の元素を主成分とする薄膜中に、Alからなる複数の柱状の部材が、膜面に対して垂直又はほぼ垂直に上記の間隔で複数配置されている構造体をエッチングし、該柱状の部材を取り除くことで形成される。ここで、前記柱状の部材を構成するAlを第1の材料、及び前記薄膜を構成するSi、Geから選ばれる一つ以上の元素を第2の材料とする。前記構造体では、前記第1の材料から構成される柱状の部材が、前記第2の材料を含み構成される領域に取り囲まれている。かつ前記構造体では、前記第2の材料が、前記第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている。上記割合は、前記構造体を構成する前記第1の材料と第2の材料の全量に対する前記第2の材料の割合を示しており、好ましくは25atomic%以上65atomic%以下、より好ましくは30atomic%以上60atomic%以下である。前記柱状部分の部材の径(断面形状が円の場合は直径)は、主として前記構造体の組成(即ち、前記第2の材料の割合)に応じて制御可能である。また、前記構造体から前記柱状の部材をエッチングで除去することにより複数の柱状の孔を有する細孔体が形成される。エッチングは柱状の部材を選択的に除去できればよく、エッチング液としては例えば、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸等の酸が好適である。以上の製法により前記ナノ細孔体を作製することが出来る。
本発明の発光層は、Si、Ge、アルミナ、石英、SrTiO等の各種基板上に薄膜として形成されることが可能である。また発光層形成には、ゾルゲル法、真空蒸着法、化学的気相成長法等の各種成膜手段を用いることが出来るが、特には緻密で再現性の良い膜が比較的容易に得られるスパッタリング法を用いることが好ましい。また、発光層の材料組成において、本発明はどのような発色光においても効果を有するものであるから、用いられる付活材は、Eu2+、Eu3+、Sm2+、Sm3+、Ce3+又はTb3+のいずれかでよい。組成式では、(Mg、Ca、Sr、A)B酸化物と表され、前記AはEu2+、Eu3+、Sm2+、Sm3+、Ce3+又はTb3+のいずれかであり、かつ前記BはSi、Geから選ばれる一つ以上の元素である。ここで、x≧0.45、0.05≦y≦0.5、0.05≦z≦0.5、かつ0<w≦0.4である。
次に、熱処理による発光層と光学薄膜との一体化工程について説明する。まず、発光層と、光学薄膜と、基板又は透明基板と、を図1及び図2の構成となるように配置する。隣接して配されている発光層と光学薄膜とに還元雰囲気で熱処理を施すと、発光層と光学薄膜が反応しながら成長し一体構造となる。発光層と光学薄膜は共にSi及び酸素を含み、同じケイ酸塩であるため、熱処理によって発光層と光学薄膜の間において原子レベルで物質拡散が生じ、図3及び図4に示されているような、接着が緻密な一体層となる。この結果、界面での光損失が無く、光取り出し効率が向上した発光素子を作製することが出来る。還元雰囲気としては、N、Ar、He等の不活性ガス中、水素ガス中、一酸化炭素ガス中、水素や一酸化炭素とN、Ar、He等の混合ガス中、真空雰囲気中等があげられる。これらの中でも、2価のEuを得るために、Hを数%含んだArあるいはHe等の混合ガスを用いることが好ましい。熱処理温度は、材料組成や雰囲気にも依存するが、例えば600℃から1400℃の範囲である。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例の発光素子においては、本発明の基板13上に、発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srが構成元素であり、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体が形成されている。また、発光層11に隣接して、Siと酸素を構成元素として含むナノ細孔体が光学薄膜12として形成されている。該発光層11と該光学薄膜12とを熱処理することにより反応させ、一体化させてある。
以下に、本実施例における発光素子の製造方法について詳細に説明する。製造工程を順に説明するが、工程は以下の通り分けられる。
(1)発光層形成工程
(2)AlSi構造体成膜工程
(3)ナノ細孔体形成工程
(4)熱処理工程
<工程(1)発光層形成工程>基板13上に、Mg、Ca、Sr、Si、Oを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる発光層11を形成する。まず、成膜には、カソードを3台備えたマグネトロンスパッタリング装置を用いる。各々2%程度のEuの添加されたMgSiO、CaSiO、SrSiOの3つのターゲットを用いて、厚さ500nm程度の発光層11を形成し、発光素子の前駆体を得る。この際、基板温度は200℃とし、アルゴンと酸素の混合ガスを流して約1Paの圧力とし、成膜速度は約3nm/分程度である。
<工程(2)AlSi構造体成膜工程>原料としてSi及びAlを用い、まずAlのターゲット上にSiチップを配置し、工程(1)により作製した発光層11を成膜した基板13上にマグネトロンスパッタリング法により、AlSi構造体を形成する。Arガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、プラズマを形成するための出力は、4インチターゲットでは150〜1000W程度である。しかし、特にこれに限定されるものではなく、Arプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。以上の様に成膜されたAlSi構造体は、Alを主成分とする柱状の部材と、その周囲を取り囲むSiを主成分とする部材から構成される。膜中のSiの量は、AlとSiの全量に対して20〜70atomic%が好ましく、より好ましくは25〜65atomic%、更に好ましくは30〜60atomic%である。Si量が係る範囲内であれば、Si領域内にAlの柱状の部材が分散したAlSi構造体が得られる。上記条件を適宜選択し、膜厚90nmのAlSi構造体を作製する。
<工程(3)ナノ細孔体形成工程>前記AlSi構造体中のAlを主成分とする柱状の部材のみを選択的にエッチングする。その結果、AlSi構造体には細孔を有するSi領域のみが残り、Si細孔体が形成される。尚、Si細孔体中の細孔径は20nm以下、細孔間隔は30nm以下である。また、長さLは1nm〜1μmの範囲である。エッチングに用いる溶液は、例えばAlを溶すがSiをほとんど溶解しない、りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液等の酸が挙げられるが、特に酸の種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件、例えば、溶液温度、濃度及び時間等は、作製する細孔体に応じて適宜設定することが出来る。上記条件を適宜選択し、光学薄膜12として細孔径10nm、細孔間隔10nm、膜厚90nmの、構成元素としてSiと酸素を含むナノ細孔体を作製する。
以上の(1)〜(3)の工程により作製された発光素子は、光学薄膜12が可視波長域以下のナノメートルサイズの空隙を有する。従って、発光層11で発生した光のうち、臨界角以上の入射角度で入射する光を、波長に比べて非常に小さい散乱体によるレイリー散乱に基づく散乱光15として、外部に取り出すことが出来る。レイリー散乱による散乱強度は波長の4乗に反比例し、短波長の紫色から青色の光ほど強く散乱される為、本実施例では450nm付近にピークを持つ青色発光を示す発光層を用いており、そうすることでレイリー散乱による効果的な光取り出しが出来る。また、柱状の空隙を含む光学薄膜は基板に対して垂直にネットワークを形成しているため、散乱光を光取り出し側に導波することが出来るので、光取り出しには有利である。
<工程(4)熱処理工程>工程(1)〜(3)により作製した発光素子の前駆体を、真空アニール装置を用いて、2%のH含んだAr雰囲気下、約1000℃で熱処理する。熱処理前後の構造模式図を図6のa及びbに示す。熱処理により、発光層11と光学薄膜12の間において原子レベルで物質拡散が生じ、接着が緻密な一体層となる。透過電子顕微鏡(TEM)による観察では、熱処理前に膜厚150nmであった光学薄膜12は、熱処理後発光層11と反応し、膜厚が90nmまで減少している。ナノ細孔体(光学薄膜12)と発光層11の界面には空隙等の接着不良は存在せず、原子レベルで両層が互いに拡散していることが確認される。この結果、発光層11と光学薄膜12の接着が緻密となり、界面での空隙等の接着不良による光損失が生じず、光取り出し効率が高くなる。
光散乱による光取り出し効果に加えて、本実施例は、図3に示すように光取り出し面側から順に空気、光学薄膜12、発光層11の構成であり、光学薄膜12は発光層11の屈折率n1と空気の屈折率1との中間の屈折率n2を有している。また、空気と光学薄膜12、光学薄膜12と発光層11の各々の界面における反射光の干渉により、発光層11から発光した透過光14、及び外光の反射を減少させる反射防止効果も示す。本実施例のナノ細孔体(光学薄膜12)を均質媒体であると仮定した際の平均屈折率はおよそ1.2であるため、本実施例では光学薄膜の厚さを90nmとしてあり、最大の反射防止効果が生じる構成となっている。
以上の本実施例の構成にすることにより、優れた光散乱効果と反射防止効果を得ることができ、その結果光学薄膜12を設けない場合と比較して、発光強度が約50%増加した。
(実施例2)
本実施例の発光素子においては、本発明の透明基板21上に、光学薄膜12としてSiと酸素を構成元素として含むナノ細孔体が形成されている。また、光学薄膜12に隣接して、発光層11としてSiと酸素O、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる珪酸塩蛍光体が形成されている。そして、該発光層11と該光学薄膜12が熱処理することにより反応させて一体化している。
以下に、本実施例における発光素子の製造方法について詳細に説明する。製造工程を順に説明するが、工程は以下の通り分けられる。
(1)AlSi構造体成膜工程
(2)ナノ細孔体形成工程
(3)蛍光膜形成工程
(4)熱処理工程
工程(1)〜(3)の詳細は実施例1に準じている。
以上の(1)〜(4)の工程により作製された発光素子は、次のような効果を有する。即ち、発光層11で発生した光のうち、臨界角以上の入射角度で入射する光を、波長に比べて非常に小さい散乱体によるレイリー散乱に基づく散乱光15として、透明電極21を通して外部に取り出すことが出来る。従って、光取り出し層12を設けない場合と比較して、発光強度が約40%増加した。
(実施例3)
本実施例は、本発明の発光素子を適用した表示装置の例である。
本実施例の表示装置は、図5に示すようにガラスからなる真空容器中(不図示)において、蛍光層11と電子放出素子51を対向して配した、電界放出ディスプレイ(FED)に用いられる素子構成を有する。複数の電子放出素子は配列して配置されており、それぞれの電子放出素子51から放出された電子54を加速し蛍光層11に照射することで、発光させた光を用いて画像や文字を表示することが出来る。
本実施例においては、発光素子の構成は実施例1に準じており、Mg、Ca、Sr、Eu、Si、Oを構成元素とする蛍光材料が石英基板に配された構成となっている。蛍光層の厚さは約1100nmであり、この上にメタルバック53として厚さ80nmのアルミ膜が成膜されている。また、電子放出素子51はスピント型の電子放出素子であり、電子ビームの加速電圧55は10kVである。本実施例の表示装置は、色純度の良好な青色の表示が可能であり、視認性と安定性に優れた画像を表示することが出来る。臨界角θc以上で入射する光を散乱光15として外部に取り出すことにより、光学薄膜12を設けない場合と比較して、発光強度は約30%増加した。
(実施例4)
本実施例の発光素子においては、発光層として、Geと酸素、及びアルカリ土類金属Mg、Ca、Srを構成元素とし、付活材として希土類元素のEuが添加された組成からなる蛍光体が形成される。また、該発光層に隣接して、Geと酸素を構成元素として含むナノ細孔体が光学薄膜として形成される。即ち、実施例1及び2において、光学薄膜と発光層の構成元素であるSiをGeに置き換えて、適切な量論比を選択して作製することにより、本発明の発光素子、及びその発光素子を用いた表示装置を作製することが出来る。
本発明は、PDP、FED、EL等の発光素子、画像表示装置、照明装置及び印字装置等に利用することが可能である。
加熱処理をしていない発光素子を示す断面図である。 加熱処理をしていない発光素子を示す断面図である。 本発明の発光素子を示す断面図である。 本発明の発光素子を示す断面図である。 本発明の発光素子を用いた電界放出ディスプレイの断面図である。 熱処理前後の光学薄膜と発光層を示す断面模式図である。
符号の説明
11 発光層
12 光学薄膜
13 基板
14 透過光
15 散乱光
21 透明基板
51 電子放出素子
52 基板
53 メタルバック
54 電子
55 加速電圧
56 ガラス基板
θc 臨界角

Claims (7)

  1. 発光層の光取り出し面側に光学薄膜を有する発光素子であって、
    該光学薄膜は該光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有し、該光学薄膜と該発光層は共にSi及びGeから選ばれる一つ以上の元素と、酸素と、を構成元素として含み、かつ該Si及びGeから選ばれる一つ以上の元素は該光学薄膜と該発光層とで同一の元素であり、及び、該光学薄膜は該発光層に緻密に接着していることを特徴とする発光素子。
  2. 前記発光層の材料組成は、(Mg、Ca、Sr、A)B酸化物で表され、及び、該AはEu2+、Eu3+、Sm2+、Sm3+、Ce3+又はTb3+のいずれかであり、かつ該BはSi及びGeから選ばれる一つ以上の元素であり、ここで、x≧0.45、0.05≦y≦0.5、0.05≦z≦0.5、かつ0<w≦0.4、であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記光学薄膜の厚さは、85nm以上90nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記柱状空隙の直径は、2nm以上30nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子。
  5. 透明基板と、光学薄膜と、発光層と、を有する発光素子の製造方法であって、
    該透明基板上に該光学薄膜を形成し、及び該光学薄膜に隣接して、該発光層を配する工程と、
    該発光層及び該光学薄膜が配された該透明基板を還元雰囲気中で熱処理し、該光学薄膜と該発光層とを反応させて両者を緻密に接着する工程と、
    を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
  6. 基板と、光学薄膜と、発光層と、を有する発光素子の製造方法であって、
    該基板上に該発光層を形成し、及び該発光層に隣接して、該発光層の光取り出し面に対して垂直な柱状空隙を有する該光学薄膜を配する工程と、
    該発光層及び該光学薄膜が配された該基板を還元雰囲気中で熱処理し、該光学薄膜と該発光層とを反応させて両者を緻密に接着する工程と、
    を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
  7. 請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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