JP6611433B2 - シリコーンイオノマーのポリマー複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、2012年1月4日出願の米国仮特許出願第61/582,918号の優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み入れられる。本発明は、シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体に関する。
シリコーンと非シリコーンのポリマーとを組み合わせて単一のポリマー組成物を形成するためのさまざまな試みが考案されてきた。本発明にもっとも近い試みは、シリコーン系相互侵入ポリマーネットワーク(IPNs)およびその変形物である。この方法は、二つもしくはそれ以上の異なるポリマー鎖のネットワークの形状での並置を含み、生じる物質は、そのすべての成分によって示される性質を持つ。以下は、シリコーン系IPNsを記載する最先端の例である。
欧州特許出願(EP1840167 A1)は、ポリカーボナート変性ポリジオルガノシロキサンと親水性硬化性モノマーとの間の相互侵入ネットワークを含む透明なゲルおよびこれに基づくコンタクトレンズを記載する
米国特許第7687585号は、低表面張力溶媒(例えば超臨界CO)中の溶解したモノマーによってポリマーを膨潤させ、溶媒の除去によってモノマーを沈殿させ、続けてシリコーンの骨組みの中のモノマーを架橋させるシリコーン系IPNの調製方法を記載する。
米国特許第6331578号もまた、PDMSの連続的な重合化、アクリラートモノマーの吸収、そしてそれらを架橋して進入ネットワークを形成することによって作製されるシリコーンアクリラートIPNを記載する。
米国特許第4469499号は、成分のポリマーが参加する部位間のイオン引力によって一緒に保持されている相互進入ネットワークを包含する。この発明の対象は特定の温度における熱硬化性であり、それ以上の温度において、熱可塑性の状態を示す。
上述の例において、独立してポリジオルガノシロキサン系のIPNsまたは、2つのポリマー間のイオン引力に基づくIPNsが記載されるが、それらは、イオン変性ポリジオルガノシロキサンをIPN成分の一つとするものについては、述べていない。このように、本発明の成分であるシリコーンイオノマーは本発明の重要な特徴である。
本発明は、シリコーンイオノマーと他のポリマーを組み合わせてポリマー複合体組成物を提供することを課題とする。生じるポリマー組成物は、参加する反応物の性質を加算した性質もしくは協調させた性質を持つ。これらの性質のために、複合体は、ヘルスケア、パーソナルケア、自動車、建築、アパレル、スポーツ用品、電気および電子用途、繊維製品用途、オイルおよびガス、ならびに家庭用品および家庭用用品のような、異なる用途において利用できる。
本明細書において、少なくとも一つの成分がシリコーンイオノマーである少なくとも二つの成分からなるポリマー複合体が提供される。
ポリジオルガノシロキサン鎖中のイオン性基の存在は、それらを、非変性のポリジオルガノシロキサンと通常は相溶性がないようなさまざまなポリマーと相溶性があるようにする。それらのシリコーン中のイオン性基は、お互いに無指向性で可逆的な相互作用をし、ならびに周りのポリマー上に存在するイオン性基と、または他のシリコーンイオノマーと無指向性で可逆的な相互作用をし、これによって凝集体を形成する。最終的に、シリコーン上のイオン性基は、制御された放出をされる活性剤の結合部位として作用することもできる。本発明の対象は、このように、ヘルスケア、パーソナルケア、自動車、建築、ペイント、コーティング、家庭用品、繊維製品およびアパレル、洗濯用石鹸、農業、膜、電気/電子用途、電気光学、製造、接着剤ならびにゲル状の高度に加工された材料の作製、フィルム、コーティングおよびシーラント、成型可能なエラストマーゴムのような分野において有用であり得る新規のシリコーン−イオノマー系のポリマー複合体組成物を含む。
図1は、スルホン化シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体PSAからの銀イオンの累積的な放出を示すグラフである。 図2は、スルホン化シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体PSAからのクロルヘキシジンの累積的な放出を示すグラフである。 図3(a)および3(b)は、スルホン化シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体PSAのレオロジー特性評価を示す。 図4は、スルホン化シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体PSAからのイブプロフェンの累積的な放出を示すグラフである。 図5(a)、5(b)および5(c)は、それぞれ(a)イブプロフェン固形物薬剤、(b)イブプロフェン充填PDMSフィルムおよび(c)イブプロフェンを充填したスルホン化シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体PSAの示差走査熱量測定である。
ここでの明細書および請求項において、以下の用語および表現は示されるように理解されるべきである。
添付の請求項を含む本明細書で使用されるとき、単数形である「a」、「an」および「the」は、複数形をも含み、特定の数値範囲への言及は、文脈が明確に他を示さない限り、少なくともその特定の値を含む。
本明細書において範囲は、「約」もしくは「おおよそ」のある特定の値から、ならびに/または「約」もしくは「おおよそ」の特定の他の値までと表現される。そのような範囲で表現されるとき、他の実施態様は、ある特定の範囲から、ならびに/または他の特定の範囲までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似で表されるとき、その特定の値は他の実施態様となし得ると理解するべきである。
ここに使用されるすべての方法は、ここにおいて明確に指示されるか、または文脈から明らかに否定されない限り、任意の好適な順番で実施できる。任意の例およびすべての例、または例示的な言葉(たとえば「〜のような」)によってここに与えられるものの使用は、単純に発明をよりよく例示することのみを意図しており、他に請求されない限り、本発明の範囲に限定を与えることはない。明細書中のどの言語も、本発明の実施のために重要であると考えられる、請求されない要素のいずれかを指していると解釈されるべきではない。
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、「特徴付けられる(characterized by)」および、それらの文法的に等価なものは包括的もしくはオープンエンドであり、追加的な、言及されていない要素、もしくは方法のステップを排除するものではない。しかしながら、より限定的な用語「〜からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」をもまた含み得る。
実施例以外において、もしくは他に示されない限り、明細書において述べられる物質の量、反応条件、時間、物質の定量された性質などを表すすべての数は、全ての例において用語「約」によって修飾されている理解されるべきである。
本明細書において述べられる任意の数値範囲は、範囲中のすべてのサブ範囲(sub−ranges)および、そのような範囲もしくはサブ範囲のさまざまな端点の任意の組み合わせを含むことは理解されよう。
構造的、組成的および/もしくは機能的に関連する化合物、物質もしくは基質の群に属すると、明細書中の明示的にもしくは暗示的に開示される、および/もしくは請求項にて言及される、すべての化合物、物質もしくは基質は、その群の個々の代表物およびそれらのすべての組み合わせを含むと理解されよう。
表現「炭化水素」は、そこから一つもしくはそれ以上の水素原子が除去されたすべての炭化水素基を意味し、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、アリール、アラルキルおよびアレニルを含み、そしてヘテロ原子を含み得る。
用語「アルキル」は、任意の一価の、飽和の、直鎖の、分岐のもしくは環状の、炭化水素基を意味する;用語「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む、任意の一価の、直鎖の、分岐のもしくは環状の、炭化水素基を意味し、ここで基が結合する位置は、炭素−炭素二重結合であるか、またはその中のどこか別の場所でもよい;用語「アルキニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素三重結合と任意選択で一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合とを含む、任意の一価の、直鎖の、分岐のもしくは環状の、炭化水素基を意味し、ここで基が結合する位置は炭素−炭素三重結合、炭素−炭素二重結合、またはその中のどこか別の場所でよい。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソブチルを含む。アルケニルの例はビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネンおよびエチリデンノルボルネニルを含む。アルキニルの例は、アセチレニル、プロパルギルおよびメチルアセチレニルを含む。
表現「環状アルキル」、「環状アルケニル」および「環状アルキニル」は、二環、三環、より大きな環状構造、ならびにアルキル、アルケニルおよび/もしくはアルキニル基によって置換された前述の環状構造を含む。代表例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、シクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含む。
用語「アリール」は一価の芳香族炭化水素基を意味する;用語「アラルキル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なる(本明細書に定義される)アリール基によって置換される、(本明細書に定義される)任意のアルキル基を意味する;そして用語「アレニル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が同じ数の類似のおよび/もしくは異なる(本明細書に定義される)アルキル基によって置換される、(本明細書に定義される)任意のアリール基を意味する。アリールの例はフェニルおよびナフタレニルを含む。アラルキルの例はベンジルおよびフェネチルを含む。アレニルの例はトリルおよびキシリルを含む。
粘度のすべての測定は、他に指定されない限りは25℃において得られたものとここでは理解されるべきである。
本開示において、一つもしくはそれ以上の他の基質、成分もしくは材料成分との最初の接触、その場での生成、調合もしくは混合の直前において存在する基質、成分もしくは材料成分に対して参照が行われる。反応産物、生じる混合物などとして同定される基質、成分もしくは材料成分は、当業者(例えば化学者)の通常の常識および通常の能力を用いてこの開示に従って実施されるならば、接触、その場での生成、調合もしくは混合操作における化学反応もしくは転換を通じ、固有性、性質、特徴を得るであろう。化学反応物もしくは開始物質の化学産物もしくは最終物質への転換は、その起こる速度に無関係に常に進むプロセスである。従って、そのような転換プロセスの最中において、当業者に知られる分析技術によって検出することが簡単であっても難しくても、開始および最終物質の混合物ならびに中間物は、その動的な存在期間に依存して存在し得るであろう。
本発明は、少なくとも一つのシリコーンイオノマーを含むポリマー複合体組成物である。本発明の成分は、好ましくは近くに並置されて存在し、そしてネットワークの形態にある。さらに、組成物は、前記ポリマー複合体の形成を助けるか、または組成物に追加の機能性を提供するような他の剤を含み得る。組成物のそれぞれの属性は本明細書に詳細が記載される。
A. シリコーンイオノマー
この組成物中のシリコーンイオノマーは、式(I)
(I)
のシリコーンを含む組成物であり、
式中、
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、1から約60個の炭素原子、具体的には約1から約20の炭素原子、より具体的には約1から約8の炭素原子を持つ、脂肪族、芳香族もしくはフルオロを含む、一価の炭化水素ラジカルであり、
、R12、R17は、式(II)
−A−IX− Y+ (II)
を持つ一価のラジカル含有イオン対であってよく
式中、Aは二価の炭化水素もしくはヒドロカルボノキシ基から選択される少なくとも一つのスペーサー原子を持つスペーサー基であり、
Iは、スルホナート−SO 、サルファート−OSO 、カルボキシラート−COO、ホスホナート−PO 2−、およびホスファート−OPO 2−基のようなイオン性基であり、より具体的にはスルホナート−SO であり、
Mは、水素またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、金属、金属錯体、第四級アンモニウムおよび第四級ホスホニウム基から独立して選択されるカチオンであるか、
または、式(III)
−R’−NR’’ −R’’’−I (III)
を持つ両性イオンであってよく
式中、
R’は1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、そしてより具体的には1から約8個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
R’’は、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、そしてより具体的には1から約8個の炭素原子を含む一価の炭化水素ラジカルであり、
R’’’は、2から約20個の炭素原子、具体的には2から約8個の炭素原子、そしてより具体的には2から約4個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
そしてIは、スルホナート−SO 、サルファート−OSO 、カルボキシラート−COO、ホスホナート−PO 2−、およびホスファート−OPO 2−基のようなイオン性基であり、
そしてR、R14およびR18は、独立して、水素、−OR20、不飽和の一価のラジカルもしくは一価のエポキシ基含有ラジカル、一価の硫黄原子含有ラジカルおよび一価のオルガノシラン基、および一価のヒドロキシル基含有ラジカル、ならびにアルキル基部分以外の一つもしくはそれ以上のハロゲン部分、カルボキシラート部分、イミン部分、イソシアナート部分、アミド部分、ニトリル部分もしくは第級アミン部分を含む一価の炭化水素から選択され、
20は、水素または、2から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を含む一価の炭化水素ラジカルであり、
ここで下付文字nおよびyは独立して1から6であり、xはnとyの積であり、
そして下付文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは0もしくは正数であり、以下の「a+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2より大きいかもしくは2と等しく、かつ6000より小さいかもしくは6000と等しい、具体的にはa+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2より大きいかもしくは2と等しく、かつ4000より小さいかもしくは4000と等しい、より具体的にはa+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2000より小さいかもしくは2000と等しい」、「b+e+hが0より大きい」という条件に従う。
本明細書での一実施態様において、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16の一価の炭化水素ラジカルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびtert−ペンチル、n−ヘキシル基のようなヘキシル、n−ヘプチル基のようなヘプチル、n−オクチルおよびイソオクチル基のようなオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基のようなノニル、n−デシル基のようなデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびメチルシクロヘキシルのようなシクロアルキルラジカル、ならびにフェニル、ナフチル、o−、m−、およびp−トリル、キシリル、エチルフェニルおよびベンジルのようなアリール基からなる群より独立して選択される。
本明細書の他の一つの実施態様において、式(II)中のAの二価の炭化水素基は、−(CHR’)(CH−、−CHCH(R’)(CH−、−CHCH(R’)(CHR’’−および−CHCH(R’)(CHR’’−からなる群より選択されるアリーレン基であり、R’は水素もしくはRによって定義され、R’’は、具体的には約1から約20の炭素原子と、より具体的には約1から約8個の炭素原子と、硫黄原子、窒素原子、酸素原子であるか、またはそれら原子の組み合わせを含むラジカルであり、lは0から20の値を持ち、kは0から20、具体的には約0から約10の値を持つ。
他の実施態様において、式(II)中のAの二価の炭化水素基は、式−(CHR19−のアルキレン基であり、式中mは1から20、具体的には1から約10の値を持ち、R19は水素もしくはRである。
他の実施態様において、式(II)中のAの二価のヒドロカルボノキシ基は、−(CHR19−(O−CHR19CH−O−(CH−であり、式中、lは1から20、具体的には1から約10の値を持ち、mは0から50の値を持ち、m’は0から50の値を持つ。
一つの他の実施態様において、式(II)中のMは独立して、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Fe、Ni、Ga、Al、Mn、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Pb、Sb、Ru、Sn、Rh、Ce、Eu、Gd、CoおよびLaから選択されるカチオンであってよい。当業者なら、カチオンは上述のものに限定されるものではないということと、例えばMn+2およびMn+3のような多価の形態で存在し得るということを理解し得るであろう。
他の実施態様において、式(I)中のR、R14、およびR18は、式(IV)から(XIV):







−CHCHR56(CHR57(OC(OC(OC−OR58 (XI)
−CHCHR59(CHR60SiR61 3−s (XII)
−CHCHR62(CHR63−B−Z (XIII)
−Y−O−(CO)−(CO)−(CO)−{C(O)C2wO}−R69 (XIV)
からなる群より選択される一価の炭化水素ラジカルであり、
式中、
21、R26、R29、R30、R33、R34、R40、R46、R47、R52、R63は独立して−H、−OH、−R66ならびに、1から約60個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、
22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R35、R36、R37、R38、R39、R41、R42、R43、R44、R45、R48、R51、R53、R56、R57、R59、R60、R61、R62は独立して、水素、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、
58は、2から約60個の炭素原子、具体的には2から約20個の炭素原子、より具体的には2から約8個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素であり、
49、R50、R54、R55は、独立して、−H、C2tOHおよび1から60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つ脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、式中、tは、正の整数であり、具体的には約1から約20であり、
Lはハロゲン、OR64、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡、−N≡Nおよび−NR68 から独立して選択される一価のラジカルであり、ここでR64、R65、R66、R67、R68は、水素ならびに、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
Zはハロゲン、OR64A、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡、−N≡Nおよび−NR68A から独立して選択される一価のラジカルであり、ここでR65、R66、R67は、水素ならびに1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を含むアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、R64Aは水素または1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、そしてR68Aは、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つ、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
Xは、−O−、−N−および−S−架橋から選択される二価のラジカルであり、
YおよびBは、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持ち、かつヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖、分岐、環状の炭化水素ラジカルもしくはアラルキルラジカルから選択される二価のラジカルであり、
69は、水素または2から約20個の炭素原子もしくはアシル基を持つ一価のアルキルラジカルであり、
下付文字nは、0もしくは正の整数であり、0から約60の範囲の値を持ち、
下付文字oは、正の整数であり、1から約60の範囲の値を持ち、
下付文字p、qおよびrは0もしくは正の数であり、0から約100の範囲の値から独立して選択され、ただしp+q+r≧1であるという限定に従い、sは0もしくは正の整数であり、かつ0から約2の値を持つ、
t、u、vおよびxは0もしくは正の整数であってよく、t+u+v+xが1より大きいかもしくは1と等しいという限定をもち、wは正の整数である。
さらに他の具体的な実施態様において、式(I)の下付文字は、a+b≧2、d+e≧0、g+h≧0であり、b+e+h>0という制限に従う。
上述に加え、本組成物のシリコーンイオノマーは、イオン変性の度合いがエラストマー組成物を形成できるようになっているイオン変性ポリジオルガノシロキサンからなる。エラストマー組成物は、シリコーンイオノマーからイオン性凝集を通じて生じ、改善された柔軟性と水吸収性の利点に従って、活性物の制御された放出をもたらす。本発明のシリコーンエラストマーは、シリコーンエラストマーのイオン性フィルターとして機能する40〜200nmという特定の寸法のイオンが豊富な領域におけるイオン性基の凝集によって特徴づけられる。イオン性凝集体は、電荷を安定させる好適な対イオンによって完全に中和される。イオンが豊富な領域は、透明から半透明のシリコーンエラストマーの形成を助け、改善された水の吸収性を示し、そして再現性の上で非常に制御された、異なる用途に対する活性成分の制御された放出を可能にする。高い酸素の透過性、快適な改善された柔軟性は、疎水性シロキサン領域によって制御され、穏やかで制御された活性成分の放出は、イオン性凝集体によって制御される。
(B)ポリマー
シリコーンイオノマーに加え、ポリマーは本発明の他の成分である。ポリマーは、実質的かつ比較的急速な重合化および架橋をして本発明のポリマー複合体組成物を生成することのできる物質として参加する。物質は独立してならびにシリコーンイオノマーの存在下でそのような転換を行う。架橋は、当業者に知られる化学結合形成メカニズムの任意のものであってよく、熱的にもしくは化学線によって開始できる。本発明のさらに他の実施態様において、ポリマーは、オリゴマーおよびプレポリマーのような、その完全に重合化した状態でも部分的に重合化した状態でも存在でき、そのときにそれは重合化可能な官能性を持っていてもよいし、持っていなくてもよい。さらに、本発明のポリマーはまた、さらなる非共有結合性の相互作用に参加してもよいし、シリコーンイオノマーと共有結合を形成してもよい。非共有結合性相互作用のいくつかの非限定的な例は、そのイオン性の性質、結晶化度、疎水性、極性、酸−塩基相互作用もしくは水素結合によるものか、または、シリコーンイオノマー上の多価官能基、反応性ポリマーおよび共通の金属イオン含む配位錯体の形成による、ポリマーの特定のセグメントとシリコーンイオノマーとの相溶性によるものでありうる
好ましくは、非共有結合性相互作用は、イオノマーと反応性ポリマーとの荷電された基のイオン性相互作用であってよく、そのような基が後者に存在するときである。
さらにより好ましくは、シリコーンイオノマー上と反応性ポリマー成分上のイオン性相互作用をする荷電された基は同一である。イオン性基を持つ反応性基のいくつかの例は、スルホン化ポリ(スチレン)、スルホン化ポリ(フェニレンオキシド)、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリラート、スルホプロピルアクリラートおよびスルホン化シリコーンと相互作用する他のスルホン化ポリマー構造;(メタ)アクリル酸およびその誘導体のポリマー、2−カルボキシエチルアクリラートおよびカルボキシル変性シリコーンと相互作用するペンダントカルボキシル基を持つ他のもの;リン酸2−ヒドロキシエチルメタクリラートエステルおよびホスファート変性シリコーンと相互作用するホスファート基を持つ他のもの;ならびにそれらのコポリマーおよびこれらのイオン変性ポリマーの混合物を含むが、これらに限定されない。
シリコーンイオノマーとポリマーとの間の非共有結合性相互作用に加えて、シリコーンイオノマーとポリマーの間の共有結合形成は、シリコーンイオノマー上の反応性官能基とポリマー上の反応性基との間の化学的架橋を介して起こり、これにより、最終的な組成物は架橋コポリマーネットワークとなる。
好ましい実施態様において、共有結合は二つもしくはそれ以上の官能基の間の縮合反応を介して形成され、水、二酸化炭素、メタン、アルコール、塩基(例えばアンモニア)、オキシム、もしくは酸(例えばHCl、CHCOOH)のような小分子の遊離を伴う。
シリコーンイオノマーとネットワーク形成ポリマーとが大部分お互いに相溶可能であるのがもっとも好ましいが、相溶性はまた、当業者に知られるように、界面活性剤、共界面活性剤、乳化剤、溶媒、共溶媒、相溶化剤の使用を含む好適な技術高せん断力、回転運動、音波エネルギー、振動、乱気流、熱、極低温技術のような物理的技術、放射線、またはそれらの好適な組み合わせを用いて人工的に導入できる。
本発明のポリマーは、熱可塑性でも熱硬化性でもよい。そのような架橋性、反応性ポリマーの例は、エチレン性不飽和モノマーおよびプレポリマー、ビニル官能性モノマーおよびプレポリマー、ヒドリド官能性モノマーおよびプレポリマー、ヒドロキシル官能性モノマーおよびプレポリマー、(メタ)アクリル酸とそのエステルの誘導体、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ酸、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドのようなポリ(アルケンオキシド)、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリアクロニトリル、ポリビニルクロリド、ポリスチレン、ポリスルホン、PEEK、ポリカーボナート、ポリエポキシド、PTFE、ポリビニルジフルオリドのようなフルオロポリマー、合成および天然ゴム、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ポリサッカリド、セルロース、たんぱく質、ポリペプチド、ポリ(アミノ酸)のような天然もしくは半合成由来のポリマー、ポリシロキサン、ポリシリカート、ポリシリカート、ポリシルセスキオキサン、ポリシランのようなオルガノケイ素ポリマー、上述のもののイオン変性物、上述のポリマーのさまざまなイソマーおよびコポリマーを含むがそれらに限定されない。
本発明のさらに他の実施態様において、反応性ポリマー成分は、0から99重量部のアクリラート誘導体である。
典型的なアクリラート誘導体は、アクリル酸、アルキル置換アクリル酸およびさまざまなアルコール、アミン、もしくは同様の求核性置換基の縮合生成物であり、組成物と共硬化し得る一つもしくはそれ以上のアクリル、メタクリル、エタクリル基を持つ任意のモノマーもしくはオリゴマー分子からなる群より選択される。好ましくはアクリラート誘導体は、メタクリラート、ブチルアクリラート、プロピルアクリラート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラート、2−ヒドロキシ−エチル−メタクリラート(HEMA)、N−ビニルピロリドン、メタクリル酸、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリラート、アクリラート官能性カーボシラン分子およびメタクリラート官能性カーボシラン分子、ヘキサ官能性ウレタンアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ジ官能性オリゴ官能性ウレタンアクリラート、テトラアクリラートモノマー、ポリエステルアクリラートオリゴマー、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される。
C.助剤成分
i 重合助剤
シリコーンイオノマーおよびポリマー以外に、他の物質もまた本発明の一部分であり、助剤としてか、または、最終的な組成物を得るため、または最終的な組成物の性質を向上させるために使用される。例として、そのような物質は、組成物の最適な硬化のために利用でき、最終的な発明の物理−化学的な性質の適切な組み合わせを提供する。そのような重合助剤の例は、触媒、架橋剤、鎖伸長剤、重合開始剤、重合停止剤、混合助剤、相溶化剤、界面活性剤および酸素除去剤を含む。これらの剤は、反応化学の仕様に応じて当業者によって慎重に選択できる。具体的な反応化学の筋書きのためのこれらのさまざまな重合助剤のいくつかの非限定的例は、ここに提供されるであろう。
反応システムが重合化のメカニズムとしてヒドロシリル化を含むとき、貴金属系触媒が用いられる。触媒は、塩化白金酸、塩化白金酸、ビス(アセチルアセト)白金、のような白金触媒、および、パラジウムおよびロジウム触媒ならびに鉄系触媒のような白金族金属系触媒によって例示される。好ましくは、触媒は白金であり、さらに好ましくは、白金触媒は、可溶性の錯体状:(η−シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、Ptトリアゼニド錯体、Pt(PPhClおよび光化学的に導入される付加反応に用いられる型のもので存在する。触媒は均一でも異種混合ででも存在し得る。
反応システムがフリーラジカル重合化を含むとき、典型的には熱活性化もしくは光活性化の反応開始剤が用いられ、それは、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、パラメトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、アルファ−アルファ−ジメトキシ−アルファ−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシラート、エチルフェニルグリオキシラート、4,4’−ビス−(ジメチルアミノベンゾフェノン)、プロピオフェノン、アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、エチルフェニルピロキシラート、フェナントラキノン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンのようなカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィドおよびテトラメチルチウラムジスルフィドのような硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、アセトンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドのような有機ペルオキシド化合物;7−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン光開始剤;ならびにアクリロホスフィンオキシド光開始剤から選択されるがそれらに限定されない。これらに加えて、同じ効果を得るために、Irgacure(Ciba Speciality Chemicals)、VAZO(DuPont)、Darcureなどのようなものであるが、それらに限定されない市販の独自のフリーラジカル開始剤組成物を使用することもできる。
ii 官能性添加剤
さらに、これらの他の成分は組成物の性能をさらに高めるために添加剤として加えることができ、それは、可塑剤、粘着付与剤、顔料、着色剤、離型剤、UV吸収剤、抗酸化剤、接着促進剤、ならびに所望の効果をもたらすために硬化したポリマーマトリックス内部もしくはその表面にとどまるか、そこから離れて制御された速度で放出されるようなさまざまな活性剤を含み得る。ヘルスケア関連の用途において、そのような活性剤の例は、生物活性分、抗ニキビ剤、抗老化剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗酸化剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗凝固剤、止血剤、血圧制御剤、剥離剤、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、医薬化合物、殺生物剤、外用鎮痛剤、オーラルケア剤、オーラルケア薬、酸化剤、還元剤、皮膚保護剤、エッセンシャルオイル、防虫剤、UV吸収剤、日焼け防止剤、顔料、水和剤、皮膚浸透促進剤、ビタミンおよびそれらの組み合わせを含む。
パーソナルケア関連用途のために、活性剤は、界面活性剤、乳化剤、溶媒、皮膚軟化剤、湿潤剤、保湿剤、顔料、着色剤、香料、殺生物剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗真菌剤、制汗剤、剥離剤、浸透促進剤、ホルモン、酵素、医薬化合物、ビタミン、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、レチノール、ニコチンアミド、皮膚美白剤、塩、電解質、アルコール、ポリオール、紫外線吸収剤、植物抽出剤、閉塞剤(occlusives)、感覚促進剤、エステル、樹脂、薄膜形成剤、薄膜形成乳化剤、高屈折材、およびそれらの組み合わせを含む。
官能性添加剤は最終組成物に溶媒もしくは分散できる。本発明の一形態において、官能性添加剤は、イオン性形態で存在でき、シリコーンイオノマーもしくは形成ポリマー状のイオン性部分に結合でき、周囲環境とのイオン交換メカニズムによって持続した様式で放出される。
iii 充填剤
最終硬化組成物の機械的、熱もしくは電気的な性質は、好適な強化充填剤および非強化充填剤をマトリックスに組み込むことによって向上できる。充填剤は、最終組成物の総重量の0%から99%で充填で存在できる。好ましくは、充填剤は組成物の総重量の1%〜50%の充填で存在できる。好適な充填剤物質の例は、シリコーン樹脂、シリカ、ナノシリカ、チタン、セリア、ヒュームドシリカ、チタンセリウム、アルミニウム、ジルコニウムおよび他の金属の酸化物の粒状形態およびメタロイド、窒化ボロン、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、グラスファイバー、ポリサッカライド粒子、たんぱく質粒子、天然、半合成もしくは合成由来のファイバー、滑石、カルボルンダム、雲母、鉱物粘土などの無機充填剤、ならびにそれらの好適な組み合わせを含むがそれらには限定されない。
ポリマー複合体組成物
シリコーン接着剤組成物の形のポリマー複合体は、さまざまな当業者に知られた方法によって得られる。
一例において、組成物はモノマーもしくはプレポリマーもしくはそれらの混合物のシリコーンイオノマーの存在下における重合化によって得ることができる。
他の例において、組成物は、官能性型のシリコンイオノマーのポリマーの存在下における重合化によって得ることができる。
さらに他の例において、ポリマー組成物は、シリコーンイオノマー、ならびにモノマーもしくはプレポリマーまたはそれらの混合物の、同時の重合化または連続的な重合化によって得ることができる。
さらに他の例において、ポリマー複合体組成物は、シリコーンイオノマーおよびポリマーの物理的もしくは反応性の混合によって得られる。ポリマー複合体組成物は、シリコーンイオノマーとポリマーの間の共有結合形成によって得ることができる。
他の実施態様において、組成物のシリコーンイオノマーと反応性ポリマーは、縮合反応によって、水、二酸化炭素、メタン、アルコール、オキシム、ケトン、塩基(例えばアンモニア)および酸(例えばHCl、CHCOOH)のような小分子の遊離を経由し、好ましくはアンモニア、水酸化カリウム、アルキルアミン、スズオクタノアート、ジブチルスズジ−ラウラート(DBTDL)、チタン、ジルコニウム、鉄および他の遷移金属の脂肪酸塩のような酸−塩基触媒の存在下で、お互いに、およびそれら自身と化学架橋する。
そのような実施態様において、シリコーンイオノマーは上述の式(I)によって表されるものであり、式中RからR24は上に定義されるとおりであり、R、R14およびR18は、式(XI)から(XIII):
−CHCHR56(CHR57(OC(OC(OC−OR58 (XI)
−CHCHR59(CHR60SiR61 3−s (XII)
−CHCHR62(CHR63−B−Z (XIII)
からなる群より選択される一価の炭化水素ラジカルであり、
56〜R63は上に定義されるとおりであり、
Lはハロゲン、OR64、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡、−N≡Nおよび−NR68 から独立して選択される一価のラジカルであり、ここでR64、R65、R66、R67、R68は、水素ならびに、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子のアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
Zはハロゲン、OR64A、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡、−N≡Nおよび−NR68A から独立して選択される一価のラジカルであり、ここでR65、R66、R67は、水素ならびに1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を含むアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、R64Aは水素または1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
YおよびBは、1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、より具体的には1から約8個の炭素原子を持ち、かつヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖、分岐、環状の炭化水素ラジカルもしくはアラルキルラジカルから選択される二価のラジカルであり、
69は、水素または2から約20個の炭素原子もしくはアシル基を持つ一価のアルキルラジカルであり、
下付文字nは、0もしくは正の整数であり、0から約60の範囲の値を持ち、
下付文字oは、正の整数であり、1から約60の範囲の値を持ち、
下付文字p、qおよびrは0もしくは正の数であり、0から約100の範囲の値から独立して選択され、ただしp+q+r≧1であるという限定に従い、sは0もしくは正の整数であり、かつ0から約2の値を持つ。
そのような例において、縮合反応は典型的には、ジブチルスズジラウラート、スズオクタノアートおよび他のアルキルスズ化合物のような有機スズ系触媒のような酸−塩基触媒の存在下で、実施でき、チタン、鉄、亜鉛、アルミニウムのような他の金属の酸−塩基塩もまた想到し得る。
組成物の最終的な物理的な性質は、本発明の本質的な部分ではなく、組成物の所望の最終用途を含むさまざまな要素による。しかしながら、好ましくは組成物は、その最終形態において固形分もしくは半固形物であるえる薄膜形成組成物である。
用途
上述のように、さまざまな形態の本発明は、ヘルスケア(コンタクトレンズ、眼用インプラント、ヒドロゲル、ドラッグデリバリー装置、バイオインサート、創傷被覆パッチ、創傷治癒パッチ、イオン浸透装置、組織工学の足場、抗菌装置、人工装具として)、パーソナルケア(クリーム、軟膏、ローション、シャンプー、コンディショナー)、建築および自動車産業において(接着剤、シーラント、ガスケットトップコートとして)、船舶用途(船体コーティング、水中および港湾施設のためのペイント)、アパレルおよびスポーツグッズにおいて、繊維製品処理用、オイルおよびガスにおいて、選択透過性膜として、燃料電池として、電気および電子用途において、ならびにシリコーンと他の工業的ポリマーの性質の組み合わせとが望まれる任意の他の領域を含むさまざまな用途において利用できる。
ヘルスケアにおける特に関連する例は、創傷治癒のためのヒドロゲル型の被覆としての本発明の用途を含む。被覆は、傷から多く滲出する大部分の量の水を吸収して残し、創傷床の浸漬を起こす可能性のある傷部分における過剰な湿気を避ける。さらに、ヒドロゲル被覆は、水和物形態で適用されると、乾燥した壊死性創傷床に対して水を供給できる。
ヒドロゲルは、典型的にはその超吸収性能によってアクリル酸もしくはメタクリル酸の有機誘導体より作成される。そのような、ヒドロゲルは酸素透過性を欠き、偶然の乾燥の際に創傷床より除去するのが困難である。このような場合、乾燥したヒドロゲルは、創傷床に接着し、被覆除去の際に外傷を生じる。
本発明のポリマー複合体組成物を含むシリコーンイオノマーは、そのヒドロゲルの実施態様において、乾燥して創傷床に接着せず、これによって創傷被覆の外傷を残さない除去もしくは再配置を促進する。さらに、シリコンの組み込みは、創傷床に対する向上した酸素透過性をもたらし得る。
ヘルスケアにおける本発明のさらに他の用途は、薬剤の経皮送達のための感圧接着剤の形態である。
ポリマーマトリックスに薬剤を溶解もしくは分散させたシリコーン系感圧接着剤は経皮送達のためのデバイスとして一般に使用される。しかしながら、それらの疎水性および不活性によって多くの親水性薬剤は、シリコーンと相互作用できず、結果として、パッチの中で結晶化する。本発明において使用されるイオン性性質によって、そのような薬剤はシリコーンとよりよく相互作用でき、修正された望ましい放出プロファイルをもたらす。
さらに、シリコーンイオノマーの水吸収能は、より多くの薬剤が体液に到達可能になることを予測させ、最終使用者へのよりよい経済的な価値と、規制の観点から安全な使い捨てとにつながる。
上述の例に加えて、シリコーンイオノマーを含むポリマー複合体組成物を、最終用途に応じて治療的価値のあるさまざまな他の薬剤の係留および送達のために利用できる。
組成物に含めることのできる医薬的な活性成分の例は、生物活性分、抗ニキビ剤、抗老化剤、虫歯予防剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗酸化剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗凝固剤、止血剤、剥離剤、ホルモン、酵素、医薬化合物、殺生物剤、外用鎮痛剤、オーラルケア剤、オーラルケア薬剤、酸化剤、還元剤、皮膚保護剤、エッセンシャルオイル、防虫剤、UV吸収剤、ソーラーフィルター、日焼け防止剤、顔料、水和剤、ビタミンおよびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
本組成物を見出し得るヘルスケアにおける用途のいくつかの非限定的例は、創傷被覆材、瘢痕削減被覆材、ドラッグデリバリー装置、医療用チューブ、臨床用表面、ペースメーカーリード、感圧接着剤、創傷治癒パッチ、創傷管理装置、医療用接着剤、カテーテル、シャント、バルブ、ステント、経皮イオン浸透パッチ、組織工学のための足場、抗菌デバイス、眼科機器、バイオインサート、プラグ、外科装置、医療装置、医療用保存装置、育児製品、補助呼吸装置、人工装具、再建デバイスおよび生体インプラントを含む。
ポリマー組成物のパーソナルケア用途の例は、脱臭剤、制汗剤、制汗/脱臭剤、スティックおよびロールオン製品、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング製品、スタイリングジェル、ヘアダイ、ヘアカラー製品、縮毛矯正剤、マニキュア液、マニキュア除去剤、日焼け止め、抗老化製品、口紅、ファンデーション、おしろい、アイライナー、アイシャドウ、ほお紅、メーキャップ、マスカラ、保湿用剤、ファンデーション、ボディー用剤、ハンド用剤、スキンケア剤、フェース用剤、ネック用剤、香り用剤、光散乱(ソフトフォーカス)剤、夜用スキンケア剤、昼用スキンケア剤、日焼け用剤、ハンド液、パーソナルケアのための不織用途、ベビーローション顔用クレンジング製品、ヘアキューティクルコート、パーソナルケアリンスオフ製品、ゲル、泡風呂、スクラブ洗顔料、制御放出型パーソナルケア製品、ヘアコンディショニングミスト、スキンケア保湿ミスト、皮膚拭取り剤、毛穴拭取り剤、毛穴洗浄剤、傷減少剤、皮膚剥脱剤、皮膚落屑促進剤、スキンタオル、衣服、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング用剤、皮膚に適用するための医薬組成物の局所投与用のドラッグデリバリーシステム、ならびにそれらの組み合わせの一つもしくはそれ以上を含む。
実施例1
実施例1a:スルホン酸官能化テトラメチルシクロテトラシロキサン
三口フラスコに、70.08グラム(60.0mmol)のアルファ−メチルスチレンと10.0×10−4グラムの白金触媒が充填された。生じる混合物の温度は115℃にされ、そして30.0グラム(120.5mmol)の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが滴下され、攪拌が続けられた。反応混合物の進捗は、H NMRにより観察された。12時間の反応の後、シリコーンヒドリドの完全な転換が、NMRによって示された。そして反応混合物は、未反応のアルファ−メチルスチレンを除去するために150℃で2時間真空蒸発され、80.5グラムのアラルキレン置換シクロテトラシロキサンをもたらした(収量:(95%))。
14.24グラム(20.0mmol)の上述のアラルキレン置換シクロテトラシロキサンに対し、4.0mlジクロロメタン中に溶解した18.64グラム(160.0mmol)のクロロスルホン酸が30分間かけて滴下され、この間、混合物は室温で攪拌された。生じる混合物はさらなる30分間攪拌された。反応の完了はH NMRにより示され、芳香族環の完全なスルホン化は、パラ置換芳香族プロトンのピークの消失によって示された。反応混合物の低圧力での真空蒸発によって、茶色の粘性のゴム状物質として20.6グラムのスルホン酸官能化シクロテトラシロキサンが得られた。H NMRと29Si NMRは生成物の生成を確認した。
実施例1b:末端ビニル基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン
5.7グラム(8.0mmol)の実施例1aで得られたスルホン酸官能性シクロテトラシロキサンに対し、474.7グラム(1600.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサンと1.48グラム(8.0mmol)の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンが添加され、室温で攪拌が続けられた。87重量パーセントまでの直鎖シロキサンの平衡に達したのち、反応混合物は、70℃で10.0グラム(128.0mmol)の加湿された重炭酸ナトリウムによって中和された。低圧力での反応混合物の真空蒸発により、粘性のゴム状物質として411.0グラムの生成物が得られた。生成物のNMR分析は、ポリマーがビニル末端スルホン化ポリジメチルシロキサンであることを示した。
実施例1c:末端メチル基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン
実施例1aで得られたスルホン化シクロテトラシロキサンに対し、112.7グラム(380.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサン(D)と0.324グラム(2.0mmol)のヘキサメチルジシロキサン(MM)が添加され、室温で攪拌が続けられた。6時間の反応の後、82パーセントまでの平衡が29Si NMRによって示された。このとき、ヘキサン(200ml)と161グラムの重炭酸ナトリウムが混合物に添加され、3時間の攪拌が続けられた。反応混合物のpH試験紙による分析は、スルホン酸の完全な中和を示し、反応混合物はろ過され、ろ過物が30mmHg/70℃で真空蒸発され、スルホン化ポリシロキサンが白いゴム状の固形分として得られた(85.0グラム)。NMRによる分析が生成物の生成を確認した。
実施例1d:末端メチル基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン
実施例1aで得られたスルホン化シクロテトラシロキサンに対し、112.7グラム(380.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサン(D)と0.162グラム(1.0mmol)のヘキサメチルジシロキサン(MM)が添加され、室温で攪拌が続けられた。6時間の反応の後、82パーセントまでの平衡が29Si NMRによって示された。このとき、ヘキサン(200ml)と161グラムの重炭酸ナトリウムが混合物に添加され、3時間の攪拌が続けられた。反応混合物のpH試験紙による分析は、スルホン酸の完全な中和を示し、反応混合物はろ過され、ろ過物が30mmHg/70℃で真空蒸発され、スルホン化ポリシロキサンが白いワックス状の固形分として得られた(80.0グラム)。NMRによる分析が生成物の生成を確認した。
実施例1e:末端ビニル基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン
実施例1aで得られたスルホン酸官能性シクロテトラシロキサン5.7グラム(8.0mmol)に対し、474.7グラム(1600.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサンと18.75グラム(0.62mmol)のヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン(Momentive Grade)が添加され、室温で攪拌が続けられた。87重量パーセントまでの直鎖シロキサンの平衡に達したのち、反応混合物は、70℃で10.0グラム(128.0mmol)の加湿された重炭酸ナトリウムによって中和された。低圧力での反応混合物の真空蒸発により、粘性のゴム状物質として411.0グラムの生成物が得られた。NMRによる分析が生成物の生成を確認した。
実施例2
実施例2a:スルホン化ジシロキサンの合成
3口500mlフラスコに、18.16グラム(154.0mmol)のアルファ−メチルスチレンと27.2×10−5グラムの白金触媒が充填された。生じた混合物の温度は115℃にまで上げられ、そして9.40グラム(70.0mmol)の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが滴下され、ヒドロシリル化反応が完了するまで攪拌が続けられた。ヒドロシリル化の完了は、NMRにおけるシリコーンヒドリド基のピークの消失によって示された。生じる混合物は、非反応のアルファ−メチルスチレンの除去のために150℃のオイルバス中に2時間配置されて真空蒸発され、23.2グラムのアラルキレン置換ジシロキサンがもたらされた。
このアラルキレン置換ジシロキサン(23.2グラム、62.4mmol)に対し、29.6グラム(252.8mmol)のクロロスルホン酸が30分間にわたって滴下され、この間、混合物は室温で攪拌された。生じる混合物は、さらに30分間攪拌され続けた。反応の完了はH NMRによって測定され、芳香族環のすべてのスルホン化がパラ置換芳香族プロトンのピークの消失によって示された。低圧における反応混合物の真空蒸発は、33.0グラムの茶色の粘性のオイルとしてのスルホン化ジシロキサンをもたらした。
実施例2b:スルホン化末端化シリコーンイオノマーの合成
上で得られたスルホン酸官能性ジシロキサン8.38グラム(15.8mmol)に対し、468.63グラム(1580.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサンが添加され、室温での攪拌が続けられた。87重量%までの直鎖シロキサンの平衡に到達したのち、反応混合物は70℃において10.6グラム(126.0mmol)の加湿された重炭酸ナトリウムによって中和された。低圧における反応混合物の真空蒸発は、541.4グラムの粘性のゴム状物質としての生成物をもたらした。生成物のNMR分析は、ポリマーが末端スルホン酸官能性ポリジメチルシロキサンの塩あることを示した。ポリマーは、20℃においてHAAKE Rheometerで測定されると、10rad/sのせん断速度で26.5Pasの粘度を持っていた。
実施例2c:ペンダントPEG基を持つスルホン化シリコーンイオノマーの合成
3口500mlフラスコに、234.0グラム(520.0mmol)のアリルポリエチレングリコールと20.0×10−4グラムの白金触媒が充填された。生じた混合物の温度は100℃にまで上げられ、そして24.0グラム(100.0mmol)の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが滴下され、攪拌が続けられた。反応混合物の進捗は、NMRにより観察された。12時間の反応の後、シリコーンヒドリドの完全な転換が、NMRによって示された。128.9グラム(63.2mmol)の上述のPEG官能化テトラシクロシロキサンに対し、37.4グラム(126.4mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサンと40.0グラム(63.2mmol)のスルホン化ジシロキサン(実施例2aからのもの)が添加された。反応混合物はオイルバスに配置され、室温で続けて攪拌された。87重量%までの直鎖シロキサンの平衡に到達したのち、反応混合物は70℃において42.47グラム(505.0mmol)の加湿された重炭酸ナトリウムによって中和された。低圧における反応混合物の真空蒸発は、粘性の液体として生成物をもたらした。
実施例3
カルシウムカルボキシラート官能性ポリオルガノシロキサンの合成
500mlの3口丸底フラスコに、650mlの水と184グラム(3.27M)の水酸化カリウムが充填された。164.2グラム(1M)のオイゲノールが添加され、溶液は90℃まで加熱され、溶液が透明になるまで攪拌された。154.34グラム(1.6M)のクロロ酢酸が320mlの水に溶解され、4時間90〜95℃の上述の溶液に添加された。溶液は2時間までのあいだ90〜95℃でさらに攪拌され、50℃まで冷却され、希釈されたHClによって酸性化され、沈殿物をろ過し、カルボン酸官能化オイゲノールが得られた。2リットルの丸底フラスコの1000mlのトルエンに、177.76グラム(0.8M)の上述の生成物、136グラム(0.8M)のイオドプロパンおよび148グラム(0.8M)のトリブチルアミンが充填された。溶液は90℃で加熱され、6時間攪拌され、室温に冷却され、そして沈殿物がろ過された。ろ過物から溶媒除去され、カルボキシル化オイゲノールのプロピルエステルが得られた。500ml3口丸底フラスコに、185グラム(0.7M)の上述の化合物、46.9グラム(0.35M)のテトラメチルジシロキサンおよび0.05グラムのPtカールシュタット触媒が充填された。溶液は120時間68〜72℃で攪拌され、カルボキシラートエステルジシロキサン誘導体が得られた。500ml3口丸底フラスコに、66グラムの上述の化合物と250mlのエチルアルコールが充填された。水性の水酸化ナトリウム溶液(50mlの水中に12グラムの水酸化ナトリウム)が添加され、溶液が3時間70℃で攪拌され、カルボン酸官能性テトラメチルジシロキサン誘導体が得られた。500mlの3口丸底フラスコに20グラム(0.034M)の上述の化合物、504グラム(1.7M)のオクタメチルシクロテトラシロキサン、および8グラムの酸イオン交換樹脂が充填された。溶液は40時間で70〜75℃で攪拌され、カルボン酸官能性ポリジメチルシロキサンがもたらされた。500mlの3口丸底フラスコに152.96グラム(0.01M)の上述の化合物と0.56グラム(0.01M)の酸化カルシウムが充填された。溶液は16時間50〜55℃で攪拌され、カルシウムカルボキシラート官能性ポリオルガノシロキサンがもたらされた。
実施例4
シリコーンイオノマーとポリシリカートのポリマー複合体
ビニル末端化、ペンダントスルホン化シリコーンイオノマー(実施例1b)は、1%〜10%で変化する含量のテトラエチルオルトシリカート(TEOS)と混合された。2つの化合物は、高速ミキサー(2200RPM)で完全に混合され、均一の混合物を形成した。この混合物に対し、触媒のジブチルスズジラウラート(DBTDL)が0.5%(w/w)で添加され、混合物は再び均一化された。混合の後、混合物は、自動化ドローダウンマシンを用いてポリエチレンシート上に200ミクロン(マイクロメートル)のフィルムとして流延され、一晩硬化させられた。
硬化したとき、半透明のフィルムが得られ、それらは指で触れて確認される粘性の度合いにおいて異なっていた。粘性の度合いはTEOS含量が増加するに伴って減少した。上と同じ組成である対照のビニルPDMS(ビニル末端化U10ポリマー、Momentive Performance Materials)との混合物は、硬化してフィルムを形成せず、フィルムの機械的強度に対するイオン性凝集物の寄与を示した。
実施例5
末端スルホン化ポリジオルガノシロキサンと縮合したテトラエチルオルトシリカートからのポリマー複合体に基づいた感圧接着剤
末端スルホン化シリコーンイオノマー(実施例2b)は、5重量%〜25重量%の範囲で変化するテトラエチルオルトシリカート(TEOS)含量の、TEOSと混合された。好適な溶媒(エチルアセタート、ヘキサンもしくはトルエン)が加工性を高めるために添加された。組成物は、高速ミキサー(2200RPM)で完全に混合され、均一の混合物を形成した。この混合物に対して、触媒であるジブチルスズジラウラート(DBTDL)が全固形分の0.2〜0.5重量%の範囲の濃度で添加され、混合物は再び均一化された混合に続いて、混合物は、自動化ドローダウンマシンを用いてポリエチレンシート上の200ミクロン(マイクロメートル)のフィルムに流延されるか、またはテフロンの型に注がれた。フィルムは一晩硬化され、溶媒は蒸発された。硬化の際、半透明のフィルムが得られ、それらは指で触れて確認される粘性の度合いにおいて異なっていた。粘性の度合いはTEOS含量が増加するに伴って減少した。最初にTEOSを25%の充填したフィルムは粘性をまったく示さなかった。さらに、上と同じ組成である対照のビニル変性シロキサン(ビニル末端化U10ポリマー、Momentive Performance Materials)との混合物は、硬化してフィルムを形成せず、フィルムの機械的強度に対するイオン性凝集物の寄与を示した。
実施例6
末端スルホン化ポリジオルガノシロキサンと縮合テトラエチルオルトシリカートとのポリマー複合体に基づいた感圧接着剤からの銀の放出
5重量%から25重量%の開始時のTEOSの充填と0.2%のDBTDLの充填を用いた末端スルホン化ポリジオルガノシロキサンのナトリウム塩のポリマー複合体が実施例5に記載されるように調製された。HNO−酸化脱イオン水を用いて調製された1.1重量%の硝酸銀溶液とフィルムが接触させられた。フィルムは硝酸銀で48時間浸され、大量の脱イオン水で洗浄され、24時間50℃で乾燥された。フィルムは0.1MのNaNO溶液に浸され、予定の時間間隔で分割サンプルが取り出された。分割サンプルの銀イオン含量がICP(誘導結合プラズマ)分光法によって分析された。時間の関数としての銀イオンの放出の累積的な放出量は、図1に示される。
実施例7
末端スルホン化ポリジオルガノシロキサンと縮合テトラエチルオルトシリカートとを含む感圧接着剤からのクロルヘキシジンの放出
全固形物の5重量%から25重量%の開始時のTEOSの充填と0.5重量%のDBTDLの充填を用いた末端スルホン化ポリジオルガノシロキサンのナトリウム塩のポリマー複合体が実施例5に記載されるように調製された。20%クロルヘキシジンジグルコナート溶液とフィルムが接触させられ、この間にポリジオルガノシロキサンからのナトリウムイオンがカチオン性クロルヘキシジン(CHX)と置き換わった。対照のフィルムは、CHXと結合し得るようなアニオン性基をまったく含まない。フィルムは48時間浸され、大量の脱イオン水で洗浄され、24時間50℃で乾燥された。フィルムは50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に浸され、これによってCHXはNa+イオンと再交換され、媒体中に放出された。CHX含量は、液体クロマトグラフィーで分析された。時間の関数としてのCHXの放出の累積的な放出量は示した通りである。図2に示されるように、非イオン性PDMSフィルムはCHXをまったく結合しないし、まったく放出しない。
実施例8
ペンダントスルホン化ポリジオルガノシロキサンと縮合テトラエチルオルトシリカートとからの感圧接着剤のレオロジー特性評価
ポリマー複合体感圧接着剤(PSA)は、5重量%から25重量%のTEOS含量と0.5重量%の触媒充填によって、実施例4に記載されるように調製された。接着剤シート(1〜1.5mm厚)の粘弾性は、ジオメトリー試験に最適化された円錐平板装着(1°角度)と0.052mmのギャップ幅によりHaake−Rheostress振動レオメーターを用いて試験された。それぞれの接着剤サンプルは、固定した周波数(1Hz)での100〜10,000Paの範囲で増加する振動応力へと供され、線形粘弾性領域(LVR)が求められた。最終的に、サンプルはLVR内の好適な振動応力へと供されるが、周波数は0.01から100Hzの間で変化した。それぞれの場合、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)は、適用された応力もしくは周波数の関数として測定された。これらの測定に基づいて、感圧接着剤が、粘弾性の修正Chu基準を満たすかどうか、すなわち、G’(0.1Hz)が0.5×10から5×10Paにあり、かつG’(100Hz)/G’(0.1Hz)の比率が5と300の間にあるということを満たすかどうかを調べられた。(HoおよびDodouのInt. J Pharmaceutics 333(2007)pp24〜33を参照。
粘弾性測定(掃引周波数)の結果は、図3に示される。これらのグラフから、25重量%のTEOSの接着剤の形成は、Chu基準を満たさず、一方で10重量%のTEOSの形成は活性剤の経皮送達に利用可能なPSAの粘弾性の要件をかろうじて満たすということが見てとれる。
実施例9
イブプロフェンを充填したポリマー複合体に基づくPSA
モデル薬剤であるイブプロフェンの持続した放出は、5%のTEOS含量と0.5重量%の触媒充填によって、実施例4に記載されるように調製された感圧接着剤(PSA)によって調べられた。薬剤イブプロフェンは、イオン性ポリジオルガノシロキサン、架橋剤および触媒を混合するのに用いられた溶媒(トルエン)に溶解して組み入れられた。総固形分量に基づいて1重量%の薬剤の充填が目標とされた。混合され、薬剤含有混合物は、Teflon(登録商標)型へと注がれ、一晩硬化された。5%TEOSと架橋されたシラノール−PDMSフィルムもまた、1%イブプロフェンを充填され、対照として使用された。生じるフィルムはカットしてサンプルとされ、秤量され、25%IPA/75%脱イオン水の混合液に浸され、薬剤放出速度が測定された。分割サンプルがあらかじめ決められた時間間隔で取り出され、イブプロフェン含量がHPLCを用いて分析された。シリコーンイオノマー含有組成物からのイブプロフェンの放出の絶対量とPDMS含有フィルムからのそれとの間には、顕著な違いが観察された(図4)。
シリコーンイオノマー組成物からのイブプロフェンの放出速度の違いは薬剤とシリコーンイオノマーもしくは対照のPDMSとの間の相互作用の違いのためであり得る。
相互作用をさらに調査するために、薬剤含有サンプルがTA Instruments Differential Scanning Calorimeterを用いるDSCによって分析された。イブプロフェンを含むシリコーンイオノマーとPDMSとに基づいたサンプル、ならびに純な薬剤が、室温から200℃まで5℃/分で加熱された。薬剤の融点Tmが77℃であると確認された。薬剤含有シリコーンイオノマーに基づいたPSAにおいては、融解転移が試験された範囲において見られなかった。一方で、PDMSに基づいたフィルムは、融解ピークが74℃で観測された。これは、シリコーンイオノマーの環境では薬剤は固形ポリマー中に溶解しているか、アモルファス形状にあるかのいずれかであるが、PDMS環境では薬剤が結晶化しているか沈殿しているということを示す(図5)。この相違する相互作用という証拠が、これらのシステムにおける、イブプロフェンの放出における違いを説明できる。
実施例10
スルホン化シリコーンイオノマーとブチルアクリラートとのポリマー複合体
末端スルホン化、非官能化シリコーンイオノマー(実施例2b)(スルホン化含量0.06mmol/グラム)が10%充填のブチルアクリラートモノマーと混合された。この混合物に対し、二官能性アクリラート架橋剤(例えばエチレングリコール字メチルアクリラート)とUV感受性開始剤(Irgacure)が添加された。混合物はシール下PET型へと注がれ、UV光(105mW/cm)下で2分間硬化された。混合物は柔らかい透明のフィルムに硬化した。
実施例11
ペンダントスルホン化シリコーンイオノマーと2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸とのポリマー複合体
70%水−30%イソプロパノール混合液中のペンダントスルホン化シリコーンイオノマー(実施例1c)の25%ストック溶液が一晩の攪拌によって調製された。50%(w/v)の2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸(AMPS)が同じ溶媒で調製され、等モル量の固形NaOH粉の添加により中和された。0.5%から1%(w/wAMPS)の範囲の濃度の架橋剤N,Nメチレンビスアクリルアミド(MBA)がAMPSストック溶液に溶解された。この混合物に対し、シリコーンイオノマーストック溶液が滴下され、全溶液中のシリコーンイオノマーの最終含量が、0%、2%、5%、10%、20%もしくは50%(w/w全固形分)になるようにさっれた。
シリコーンイオノマーを添加すると、混合物は濁った。このステップに続いて、熱開始剤、過硫酸アンモニウムがこの混合物に添加(1%w/wAMPS)されて完全に溶解された。触媒量のN,N−テトラメチルエチレンジアミンが混合物に添加され、硬化が促進され、液体混合物はポリスチレンの型に注がれた。混合物は溶媒の蒸発を防ぐために蓋で覆われ、室温で硬化させられて透明から半透明のフィルムを形成した。このフィルムは型から取り出され、秤量され、脱イオン水で一晩洗浄されて未反応の成分を除去された。
実施例12
ペンダントスルホン化シリコーンイオノマーとN−イソプロピルアクリルアミドとのポリマー複合体
シリコーンイオノマー(実施例1d)は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(NIPAAm)に組み入れられた。この場合、シリコーンイオノマーは50/50水IPA混合液中に50%w/v濃度に溶解させられた。N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)モノマーもまた、50/50水/IPA混合液中に溶解されて150%w/vストック溶液とされた。架橋剤N.Nメチレンビスアクリルアミド(MBA)と開始剤過硫酸アンモニウムは、1%(w/wNIPAAm)の濃度で用いられ、モノマー溶液中に溶解された。イオン変性シリコーンは、上述の混合液中に添加され、全含量が、全固形分含量の0%から15%になるようにされた。最終的に、触媒量の促進剤N,Nテトラメチレンエチレンジアミン(TEMED)が使用され、全混合物がポリスチレンの型に注がれた。混合液は一晩硬化され、半透明のフィルムが形成され(5%シリコーンイオノマーが充填されたものは除く)、これらはポリスチレンの型から容易に引きはがされた。
硬化したフィルムは一晩脱イオン水で浸され、未反応の成分を抽出した。そして、フィルムによって吸収された水の量が測定された。フィルムはティッシュペパー上に置かれ、水含量を推定するために秤量された。水吸収パーセントは、%吸収=100×(水終了−水開始)/水開始によって計算され、式中水終了および水開始は水浸漬後と水浸漬前の重さを示す。これらの条件において0%のシリコーンイオノマーフィルムは292%w/wの水を吸収一方で、15%シリコーンイオノマーフィルムは232%の水を吸収した。
実施例13
シリコーンイオノマーとポリシリカートの弾性ポリマー複合体
実施例2bの末端スルホン化シリコーンイオノマーは、0.1%から0.3%w/w充填の範囲のエチルポリシリカート架橋剤と混合され、そして0.05%w/wのDBTDL触媒と混合された。混合物はポリチレンのシート流延された。混合物は4時間硬化して透明な弾性シートとなった。
実施例14
シリコーンイオノマーと液体シリコーンゴムとのポリマー複合体
実施例2bの末端スルホン化シリコーンイオノマーは、市販の液体シリコーンゴムの配合物LSR2050(Momentive Performance Materials)の成分AおよびBと混合され、シリコーンイオノマーが5%と10%(組成物の全重量に基づいて)充填となるようにされた。シリコーンイオノマーが添加された組成物は、均一になるよう混合され、圧縮成型されてシリコーンゴムシートを得た。シートは、室温であらかじめ秤量した断片を脱イオン水に浸し、そして24時間後に乾燥したシートを秤量することによって、水吸収について試験された。水吸収(%)は上述のように計算された。測定は三重で行われた。24時間で、10%充填のLSRは2.5%の水を吸収し、一方で5%充填のLSRは1.8%の水を吸収した。これらの二つの値の間の差異は、統計的に有意である(2パラメータのt検定、p<0.05)。予想通り、対照のLSR(0%シリコーンイオノマー)は、この期間で水をまったく吸収しなかった。
実施例15
カルボキシラート官能性シリコーンイオノマーとジメチルアミノエチルメタクリラートのポリマー複合体
カルボン酸官能性シリコーンイオノマーは実施例3に記載されるように合成された。このシリコーンイオノマーの相溶性は、さまざまなアクリラートモノマーおよびメタクリラートモノマーによって調べられた。ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)と適合性があることが見出され、ここではDMAEMAとシリコーンイオノマーは全部の割合において混和性であった。シリコンイオノマーは、さまざまな割合でモノマーと混合され、UV開始剤(2メチルプロピオフェノン)と架橋剤(PEG400ジアクリラート)とが適当な量の割合で添加された。
組成物はUV照射によって硬化され、半透明のフィルムがもたらされた。フィルムは、室温で脱イオン水に浸して水吸収について試験された。シリコーンイオノマーを充填したフィルムは、2時間の間に50%までの水吸収を示した。
実施例16
PEG官能性スルホン化シリコーンのポリマー複合体ヒドロゲル
PEG官能性スルホン化シリコーンのポリマー複合体ヒドロゲルは、さまざまな割合の、水溶性シリコーンイオノマーであるペンダント鎖を持つ末端スルホン化シリコンイオノマー(実施例2c)によって調製された。ヒドロゲルは以下の成分を含む。
以下の組成物が、AMPS−Na中のスルナート基とシリコーンイオノマー中のスルナート基とが等しい比率で存在するように調製され、UV照射(105mW/cm によって硬化してシートになり、それらの水吸収は室温で脱イオン水に浸すことによって測定され、重量の増加について測定された。以下の表3において、水吸収は、シリコーンイオノマー含量の増加に伴い減少することが見られる。
実施例17
ポリマー複合体シーラント組成物
末端ヒドロキシル基を持つシリコーンイオノマー(実施例1e)を含むシーラント組成物が以下の成分を混合して調製された。
触媒を添加し、不粘着時間(TFT)もしくは組成物が表面硬化するための時間が測定された。混合物は一晩、最後まで硬化され、その引張強度がInstron Tensile Testerを用いて測定された。測定は三重で実施された。上述の組成物において、平均TFT時間として7分と28秒が得られ、1.38MPaの引張強度が得られた。
以上の記載は多くの具体例を含むが、これらの具体例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、その好ましい実施態様の例示に過ぎない。当業者なら、本明細書に添付する請求項によって定義される本発明の範囲および精神に包含される多くの他の可能な変更を想到し得るであろう。

Claims (35)

  1. 一般式
    (I)
    のシリコーンイオノマーを少なくとも一つと、ポリマーと、を含むポリマー複合体組成物であって、
    式中、
    =RSiO1/2
    =RSiO1/2
    =RSiO1/2
    =R1011SiO2/2
    =R1213SiO2/2
    =R1415SiO2/2
    =R16SiO3/2
    =R17SiO3/2
    =R18SiO3/2
    Q=SiO4/2
    であり、
    、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R15、R16は、1から60個の炭素原子を持つ、脂肪族、芳香族もしくはフルオロを含む、一価の炭化水素ラジカルであり、
    、R12、R17は、式(II)
    −A−Ix− y+ (II)
    を持つ一価のラジカル含有イオン対であり、
    式中、Aは二価の炭化水素もしくはヒドロカルボノキシ基から選択される少なくとも一つのスペーサー原子を持つスペーサー基であり、
    Iは、スルホナート−SO 、サルファート−OSO 、カルボキシラート−COO、ホスホナート−PO 2−、およびホスファート−OPO 2−基から選ばれるイオン性基であり、
    Mは、水素またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、金属、金属錯体、第四級アンモニウムおよび第四級ホスホニウム基、有機カチオン、アルキルカチオン、カチオン性炭化水素およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンであり、
    下付文字xは1又は2であり、下付文字yは1から3であり、xはnとyの積であり、
    または、R、R12、R17は、式(III)
    −R’−NR’’ −R’’’−I (III)
    を持つ両性イオンであり、
    式中、R’は1から20個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
    R’’は、1から20個の炭素原子を含む一価の炭化水素ラジカルであり、
    R’’’は、2から20個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
    そしてIは上述のように定義され、
    そしてR、R14およびR18は、独立して、式(IV)から(XIV):







    −CHCHR56(CHR57(OC(OC(OC−OR58 (XI)
    −CHCHR59(CHR60SiR61 3−s (XII)
    −CHCHR62(CHR63−B−Z (XIII)
    −Y−O−(CO)−(CO)−(CO)−{C(O)C2wO}−R69 (XIV)
    からなる群より選択される一価の炭化水素ラジカルであり、
    式中、
    21、R26、R29、R30、R33、R34、R40、R46、R47、R52、R63は独立して−H、−OH、−R66ならびに、1から60個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、
    22、R23、R24、R25、R27、R28、R31、R32、R35、R36、R37、R38、R39、R41、R42、R43、R44、R45、R48、R51、R53、R56、R57、R59、R60、R61、R62は独立して、水素、1から60個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、
    58は、2から60個の炭素原子を持つ、脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素であり、
    49、R50、R54、R55は、独立して、−H、C2tOHおよび1から60個の炭素原子を持つ脂肪族/芳香族の、一価の炭化水素から選択され、式中、tは、正の整数であり、
    Lはハロゲン、OR64、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡N、−N≡Nおよび−NR68 から独立して選択される一価のラジカルであり、
    ここでR64、R65、R66、R67、R68は、水素ならびに、1から60個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
    Zはハロゲン、OR64A、−CO(O)R65、−N=CR66 、−NCO、−NC(O)R67、−C≡N、−N≡Nおよび−NR68A から独立して選択される一価のラジカルであり、ここでR65、R66、R67は、水素ならびに1から60個の炭素原子を含むアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
    64Aは2から60個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
    68Aは、2から60個の炭素原子を持つ、アルケニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され、
    Xは、−O−、−N−および−S−架橋から選択される二価のラジカルであり、
    YおよびBは、1から60個の炭素原子を持つ、直鎖、分岐、環状の炭化水素ラジカルもしくはアラルキルラジカルから選択される二価のラジカルであり、
    69は、水素または1から20個の炭素原子もしくはアシル基を持つ一価のアルキルラジカルであり、
    下付文字nは、0もしくは正の整数であり、0から60の範囲の値を持ち、
    下付文字oは、正の整数であり、1から60の範囲の値を持ち、
    下付文字p、qおよびrは0もしくは正の数であり、0から100の範囲の値から独立して選択され、ただしp+q+rは1と等しいかまたは1より大きいという限定に従い、sは0もしくは正の整数であり、かつ0から2の値を持ち、
    t、u、vおよびxは0もしくは正の整数であってよく、t+u+v+xが1より大きいかもしくは1と等しいという限定をもち、wは正の整数であり、
    そして下付文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは0もしくは正数であり、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計は2より大きいかもしくは2と等しく、かつ6000より小さいかもしくは6000と等しく、b+e+hは0より大きいという条件に従い、
    前記シリコーンイオノマーは、R 、R 14 およびR 18 から選ばれる基を有し、
    ポリマーは、スルホン化ポリスチレン、高分子電解質、スルホン化ポリエステル、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリアクロニトリル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセタート、ポリスチレン、ポリスルホン、PEEK、ポリカーボナート、ポリエポキシド、PTFE、ポリビニルジフルオリド、合成および天然ゴム、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ポリサッカリド、セルロース、たんぱく質、ポリペプチド、ポリ(アミノ酸)、ポリシロキサン、ポリシリカート、ポリシルセスキオキサン、ポリシラン、および上述のもののイオン変性物から選択される少なくとも一つのポリマーである、
    組成物。
  2. 、R12、R17が一価のラジカル含有イオン対であり、
    式(II)
    −A−Ix− y+ (II)
    を持つ、請求項1に記載の組成物。
  3. 、R12、R17が両性イオンであり、
    式(III)
    −R’−NR’’ −R’’’−I (III)
    を持ち、
    式中Iが、スルホナート−SO 、サルファート−OSO 、カルボキシラート−COO、ホスホナート−PO 2−、およびホスファート−OPO 2−基から選ばれるイオン性基である、
    請求項1に記載の組成物。
  4. 一価の炭化水素ラジカルが独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、シクロアルキルラジカル、およびアリール基からなる群より選択される、請求項1から3の何れか1に記載の組成物。
  5. 一価の炭化水素ラジカルが独立して、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびメチルシクロヘキシルラジカルからなる群より選択されるものである、請求項1から3の何れか1に記載の組成物。
  6. 一価の炭化水素ラジカルが独立して、フェニル、ナフチル、o−、m−およびp−トリル、キシリル、エチルフェニルならびにベンジルからなる群より選択されるものである、請求項1から3の何れか1に記載の組成物。
  7. 二価の炭化水素基が、−(CHR’)(CH−、−CHCH(R’)(CH−、−CHCH(R’)(CHR’’−および−CHCH(R’)(CHR’’−からなる群より選択されるアリーレン基であり、式中R’は水素もしくはRによって定義され、R’’は、具体的には1ら20の炭素原子と、硫黄原子、窒素原子、酸素原子であるか、またはそれら原子の組み合わせを含むラジカルであり、lは0から20の値を持ち、kは0から20の値を持つ、請求項1から6の何れか1に記載の組成物。
  8. 二価の炭化水素基が、式−(CHR19−のアルキレン基であり、式中mは1から20の値を持ち、R19は水素もしくはRである、請求項1から6の何れか1に記載の組成物。
  9. 二価のヒドロカルボノキシ基が、−(CHR19−(O−CHR19CH−O)m’−(CH−であり、式中、R19は水素もしくはRであり、lは1から20の値を持ち、mは0から20の値を持ち、m’は0から50の値を持つ、請求項1から8の何れか1に記載の組成物。
  10. 式(II)中のMは独立して、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Fe、Ni、Ga、Al、Mn、Cr、Ag、Au、Pt、Pd、Pb、Sb、Sn、Ru、Rh、Ce、Eu、Gd、CoおよびLaから選択されるカチオンである、請求項1から9の何れか1に記載の組成物。
  11. カチオンMが、第四級アンモニウムおよび第四級ホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオンおよびカチオン性ポリマーである、請求項1から9の何れか1に記載の組成物。
  12. Mが有機カチオンである、請求項1から9の何れか1に記載のシリコーンイオノマー含有ポリマー複合体組成物。
  13. 有機カチオンが、クロルヘキシジン、ビグアニド、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、キトサンおよびその誘導体、ならびにカチオン性ペプチドから選択される、請求項12に記載の組成物。
  14. a+b≧2、d+e≧0、g+h≧0であり、b+e+h>0という制限に従う、請求項1から13の何れか1に記載の組成物。
  15. ポリマー複合体組成物が、ポリマーの存在下でのシリコーンイオノマーの重合化によって得られる、請求項1から14の何れか1に記載の組成物。
  16. ポリマー複合体組成物が、モノマーもしくはプレポリマーもしくはそれらの混合物のシリコーンイオノマーの存在下における重合化によって得られる、請求項1から14の何れか1に記載の組成物。
  17. ポリマーが、反応性ポリマーであり、ポリマー成分として、メタクリラート、ブチルアクリラート、プロピルアクリラート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラート、2−ヒドロキシ−エチル−メタクリラート(HEMA)、N−ビニルピロリドン、メタクリル酸、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリラート、アクリラート官能性カーボシラン分子およびメタクリラート官能性カーボシラン分子、ヘキサ官能性ウレタンアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、ブタンジオールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ジ官能性オリゴ官能性ウレタンアクリラート、テトラアクリラートモノマー、ポリエステルアクリラートオリゴマー、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される化合物を含む、
    請求項1から16の何れか1に記載の組成物。
  18. シリコーンイオノマーとポリマーがお互いに相互作用する、請求項1から14の何れか1に記載の組成物。
  19. シリコーンイオノマーとポリマーが、類似のもしくは類似ではないイオン性基間のイオン性相互作用によって相互作用する、請求項18に記載の組成物。
  20. 相互作用が、疎水性相互作用、結晶相、酸−塩基相互作用、配位錯体、π相互作用もしくは水素結合によるものである、請求項18に記載の組成物。
  21. シリコーンイオノマー上の反応性官能基とポリマー上の反応性基との間で化学的架橋が生じている、請求項1から17の何れか1に記載の組成物。
  22. 界面活性剤、共界面活性剤、溶媒、共溶媒、乳化剤および泡抑制剤、接着促進剤、難燃剤、抗酸化剤、泡沫気泡安定剤、レオノジー改質剤、離型剤、および混合助剤から選択される一つもしくはそれ以上の添加剤をさらに含む、請求項1から21の何れか1に記載の組成物。
  23. 架橋剤、開始剤、触媒、硬化抑制剤、ラジカル除去剤、鎖伸長剤および重合停止剤をさらに含む、請求項1から21の何れか1に記載の組成物。
  24. 治療用活性剤および/もしくは化粧用活性剤、医薬品賦形剤、顔料および着色剤、可塑剤、帯電防止剤、粘着付与剤、潤滑剤、UV吸収剤、防汚剤、抗菌剤、殺生物剤から選択される一つもしくはそれ以上の成分をさらに含む、請求項1から21の何れか1に記載の組成物。
  25. 組成物の機械的、熱的もしくは電気的性質を改善するための反応性充填剤もしくは非反応性充填剤をさらに含む、請求項1から21の何れか1に記載の組成物。
  26. 充填剤が、シリコーン樹脂、シリカ、ナノシリカ、チタン、セリア、ヒュームドシリカ、チタン、セリウム、アルミニウム、ジルコニウムおよび他の金属の酸化物の粒状形態およびメタロイド、窒化ボロン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、グラスファイバー、ポリサッカライド粒子、たんぱく質粒子、天然、半合成もしくは合成由来のファイバー、滑石、カルボルンダム、鉱物粘土、雲母などの無機充填剤、ならびにそれらの好適な組み合わせより選択される、請求項25に記載の組成物。
  27. 請求項1から26の何れか1に記載のポリマー複合体組成物と、追加的に、金属、金属イオン、生物活性分、抗ニキビ剤、抗老化剤、虫歯予防剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗酸化剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗凝固剤、止血剤、剥離剤、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、たんぱく質およびペプチド、医薬化合物、殺生物剤、外用鎮痛剤、オーラルケア剤、オーラルケア薬剤、酸化剤、還元剤、皮膚保護剤、エッセンシャルオイル、防虫剤、UV吸収剤、ソーラーフィルター、顔料、水和剤、ビタミンおよびそれらの組み合わせを含む治療的価値のある薬剤を含むヘルスケア用途。
  28. 組成物が、創傷被覆材、瘢痕削減被覆材、ドラッグデリバリー装置、医療用チューブ、臨床用表面、ペースメーカーリード、感圧接着剤、創傷治癒パッチ、創傷管理装置、医療用接着剤、カテーテル、シャント、バルブ、ステント、経皮イオン浸透パッチ、組織工学のための足場、抗菌デバイス、眼科機器、バイオインサート、外科装置、プラグ、医療装置、医療用保存装置、育児製品、補助呼吸装置、眼科機器、人工装具、再建デバイスおよび生体インプラントの一つもしくはそれ以上に組み込まれている、請求項27に記載のヘルスケア用途。
  29. ドラッグデリバリー装置を含む、請求項28に記載のヘルスケア用途。
  30. 請求項1から26の何れか1に記載の組成物を含むヒドロゲル組成物。
  31. 創傷被覆に用いる請求項30に記載のヒドロゲル組成物。
  32. コンタクトレンズに用いる請求項30に記載のヒドロゲル組成物。
  33. シーラント、ペイント、建築物コーティングおよび装飾用コーティング、構造物接着剤、木材含浸剤、ボンド製品、パネル、絶縁体、構造物部品、防汚コーティング、防水コーティング、防カビコーティング、電気スイッチ部品、電子装置、光学装置の一つもしくはそれ以上組み合わせに用いる、請求項1から26の何れか1に記載のポリマー複合体組成物。
  34. 請求項1から26の何れか1に記載のポリマー複合体組成物を、脱臭剤、制汗剤、制汗/脱臭剤、スティックおよびロールオン製品、スキンローション、保湿剤、トナー、クレンジング製品、スタイリングジェル、ヘアダイ、ヘアカラー製品、縮毛矯正剤、マニキュア液、マニキュア除去剤、日焼け止め、抗老化製品、口紅、ファンデーション、おしろい、アイライナー、アイシャドウ、ほお紅、メーキャップ、マスカラ、保湿用剤、ボディー用剤、ハンド用剤、スキンケア剤、フェース用剤、ネック用剤、香り用剤、光散乱(ソフトフォーカス)剤、夜用スキンケア剤、昼用スキンケア剤、日焼け用剤、ハンド液、パーソナルケアのための不織用途、ベビーローション、顔用クレンジング製品、ヘアキューティクルコート、パーソナルケアリンスオフ製品、ゲル、泡風呂、スクラブ洗顔料、制御放出型パーソナルケア製品、ヘアコンディショニングミスト、スキンケア保湿ミスト、皮膚拭取り剤、毛穴拭取り剤、毛穴洗浄剤、傷減少剤、皮膚剥脱剤、皮膚落屑促進剤、スキンタオル、衣服、脱毛剤、パーソナルケア潤滑剤、ネイルカラーリング用剤、皮膚に適用するための医薬組成物の局所投与用のドラッグデリバリーシステム、ならびにそれらの組み合わせの一つもしくはそれ以上と組み合わせてなる、パーソナルケア組成物。
  35. 請求項1から26の何れか1に記載のポリマー複合体組成物を含む繊維製品用途。
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