JP3027756B2 - イオン導電性材料 - Google Patents

イオン導電性材料

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JP3027756B2
JP3027756B2 JP2019839A JP1983990A JP3027756B2 JP 3027756 B2 JP3027756 B2 JP 3027756B2 JP 2019839 A JP2019839 A JP 2019839A JP 1983990 A JP1983990 A JP 1983990A JP 3027756 B2 JP3027756 B2 JP 3027756B2
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隆司 中村
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はイオン導電性材料に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 近年、電池,表示素子(ECD等)等の電子デバイス
は、高性能化、小形化、薄型化が一段と進んでいる。そ
れに伴いそれらに用いられるイオン導電性材料も高性能
化はもちろんのこと、固体化、高信頼性、高柔軟性、高
成形加工性、耐湿性等種々の高度な要求がなされてい
る。
従来、このようなイオン導電性材料としては、高分子
樹脂マトリックスに周期律表第I族または第II族の金属
塩を溶解、分散させた固体電解質材料が知られている。
これらの中でもオルガノポリオキシロキサン鎖とポリエ
チレンオキシド(PEO)鎖とを組み合わせた固体電解質
の合成が盛んに試みられている。例えば、特開昭62−20
9169号公報にはポリシロキサンとPEOとの架橋物の製造
方法として白金触媒によるヒドロシリル化反応や放射線
(電子線等)の照射による架橋方法を挙げ、これらに金
属イオンを分散させて、イオン導電性材料としたものが
開示されている。しかし、この方法の場合、2種以上の
原料を相溶させるために有機溶剤を用いる必要があっ
た。有機溶剤の使用は一部の製品には適用できないばか
りか工程の煩雑化を招き、また作業環境の悪化、周辺材
料の損傷、最終生成物への溶剤の残留等を起こす恐れが
あった。また溶剤により原料が相溶できても、溶剤が蒸
発する過程で相分離を起こす等により架橋反応の完結性
が完全には保証されず、結局、製品の品質の低下、再現
性のなさ等に結び付くため実用化には問題があった。
一方、特開昭62−209169号公報を初めとして現在まで
に開示された多くのポリシロキサンとPEOの架橋物から
なるイオン導電性材料は、金属塩を分散させているため
に正イオン(金属イオン)と同時に負イオンの移動が起
こるものであった。負イオンの移動は多くの場合、弊害
となることが多い。例えば、イオン導電性材料を電池党
のデバイスの電解質に組み込んだ場合、負イオンの移動
により電解質内に分極が起こることにより内部抵抗が経
時的に増大して行き、金属イオンの定常電流が流れな
い。
負イオンは正イオンとの電荷補償のために存在せざる
を得ないが、その移動度をなるべく低下させること、す
なわち、正イオン単独伝導型イオン導電性固体材料の作
製が試みられている。例えば、日本化学会1988春期年会
講演番号2XIICO8には、オクタメチルシクロテトラシロ
キサンとベンゼンスルホン酸メチルエステルをプラズマ
重合させた後、PEOを複合させ、さらにヨウ化リチウム
で処理することによりスルホネートイオンが固定された
リチウムイオン単独伝導型イオン導電性薄膜が開示され
ている。しかし、この場合、プラズマ重合はモノマーの
構造を100%保存させるのは困難なため、完全なリチウ
ムイオン単独伝導型イオン導電体にはならない他、プラ
ズマ重合のため、応用範囲に制約があるという欠点があ
った。
このように、現在まで提案されたポリシロキサンと他
の高分子材料の架橋物からなる固体電解質は、いずれも
その特性あるいは製造方法に問題点があり、前述の電子
デバイスへの応用としては満足すべきものではなかっ
た。
本発明者らはかかる問題点を解消すべく鋭意検討した
結果、特定の高分子共重合体架橋物が、上記のような欠
点がなくイオン導電性に優れ、しかも組成を操作するこ
とにより正イオン単独伝導型イオン導電性材料になり
得、またその製造方法が上記のような欠点を払拭できる
ことを見出し本発明に到達した。
本発明の目的は電池,表示素子等の電子デバイスの固
体電解質として好適に使用可能なイオン導電性材料およ
びその製造方法を提供するにある。
[課題の解決手段とその作用] かかる本発明は、炭化水素基を介してケイ素原子に結
合した式、(-COO-)nMn+ (式中、Mn+は周期律表第I族または第II族の金属イオ
ンを表し、nは1または2である。)で示される金属カ
ルボキシレート基を含有するポリオルガノシロキサン鎖
とポリオキシアルキレン鎖とから構成され、これらが、
式:−COO−、式:−R−S−R−(式中、Rは二価炭
化水素基である。)またはアルキレン基を介して結合し
てなる高分子共重合体架橋物からなることを特徴とする
イオン導電性材料に関する。
これについて説明するに、上記高分子共重合体架橋物
はメチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン
基,ペンチレン基,ヘキシレン基,ヘプチレン基,オク
チレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基;フェニレン
基,ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基で例
示されるような炭化水素基を介してケイ素原子に結合し
た、式、(-COO-)nMn+(式中、Mn+はリチウム、ナトリウ
ム,カリウム,マグネシウム,カルシウム等で例示され
る周期律表第I族または第II族の金属イオンであり、n
は1または2である。)で示される化学構造を有するカ
ルボキシレート基含有オルガノポリシロキサン鎖とポリ
オキシアルキレン鎖とから構成され、これらが、式:−
COO−、式:−R−S−R−(式中、Rは二価炭化水素
基である。)またはアルキレン基を介して結合してなる
ものであればよく、その高分子化合物の種類,形態,架
橋密度等については特に限定されない。
本発明のイオン導電性材料は前述のような負イオンを
含む基(-COO-)が炭化水素基を介してケイ素原子に結合
されているため、負イオンの移動度は極端に低い。従っ
て、この高分子共重合体架橋物中では金属イオンが負イ
オンから解離し、金属イオンが移動することによりイオ
ン導電性が発現する。高分子共重合体架橋物内に存在す
る負イオンの種類が-COO-のみであれば、本イオン導電
性材料は金属イオン単独伝導体として働く。
かかる本発明のイオン導電性材料の製造方法について
好ましい方法は、次に述べる3つの方法である。
方法1 「(A1)1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基含
有炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、 (B1)1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリ
オキシアルキレン鎖含有高分子化合物、および (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
ルカリ化合物からなる混合物を脱水縮合反応により硬化
せしめて、ポリオルガノシロキサン鎖とポリオキシアル
キレン鎖が式:−COO−を介して結合してなる高分子共
重合体架橋物を製造する方法。」 これについて説明するに(A1)成分のオルガノポリシ
ロキサンは、高分子共重合体架橋物を形成するためには
1分子中に2個以上のカルボキシル基含有炭化水素基を
有することが必要であり、また、このカルボキシル基含
有炭化水素基が結合したシロキサン単位とそれ以外のシ
ロキサン単位の比率が0.01〜100の範囲内にあるものが
好ましい。
本成分の分子構造は直鎖状、分岐状、環状、網状、三
次元構造の何でもよいが、高分子共重合体架橋物の形成
の容易さからその半数以上は直鎖状もしくは分岐状であ
ることが好ましい。
また、その分子量は特に限定されないが、製造の容易
さ、高分子共重合体架橋物としての適度の硬さを得るた
めには100〜1000000の範囲内にあることが好ましい。
(A1)成分のカルボキシル基含有炭化水素基としては、
例えば、一般式HOOC−R1−(式中、R1はメチレン基,エ
チレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,
ヘキシレン基,ヘプチレン基,オクチレン基等の炭素数
1〜8のアルキレン基またはフェニレン基,ナフチレン
基等の炭素数6〜20のアリーレン基である。)で示され
る基が挙げられ、これらの中でもカルボキシアルキル基
が好ましく、カルボキシプロピル基が特に好ましい。
(A1)成分中のカルボキシル基含有炭化水素基以外の有
機基としては、例えば、メチル基,エチル基,プロピル
基等のアルキル基;フェニル基,トリル基,キシリル基
等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等のアラル
キル基が例示される。
また、ケイ素原子に結合した基としては、少量の水素
原子,アルコキシ基が含まれてもよい。経済性および良
好な高分子共重合体架橋物の形成性の観点からはケイ素
原子に結合したオルガノ基の半数以上はメチル基である
ことが好ましい。かかるオルガノポリシロキサンとして
は、例えば、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封
鎖されたメチルカルボキシプロピルシロキサン・ジメチ
ルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリメチルシロ
キシ基で封鎖されたメチルカルボキシプロピルシロキサ
ン・メチルフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。
かかるオルガノポリシロキサンの合成方法としては種
々の方法が知られているが、その1つの方法としてはシ
アノ基を有するオルガノジクロロシランとシアノ基を有
さないオルガノジクロロシランを共加水分解して得られ
る環状物と末端停止剤とを硫酸水溶液中で攪拌し、シア
ノ基がカルボキシル基に転化する反応と開環重合を起こ
させる方法が挙げられる。
(B1)成分の高分子化合物は上記(A1)成分の架橋剤
であり、架橋剤としての働きをするためには、1分子中
に少なくとも2個の水酸基を含有することが必要であ
る。また、高イオン導電性を発現するため高分子共重合
体架橋物中にはオキシアルキレン単位を有することが好
ましいが、そのためには(B1)成分高分子化合物構造中
にオキシアルキレン単位を含有することが好ましい。
ところで、(A1)成分と(B1)成分が互いに相溶する
ことは工程中に溶剤を使用することが避けられるばかり
か、架橋反応の完結、架橋生成物の構造、物性の良好な
再現性をもたらすため大変重要なことである。(A1)成
分と相溶するための(B1)成分の分子構造および化学構
造については分子中にシロキサン単位を有していること
が好ましく、高分子共重合体架橋物の形成の容易さ等か
ら一般式 (式中、R2は1価の有機基,R3は2価の有機基,R4はア
ルキレン基,R5は1価の有機基,a,cは0〜1000の整数,b
は2〜1000の整数,pは1〜100の整数である。)で示さ
れる末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン鎖を少
なくとも2本グラフト鎖として有するオルガノポリシロ
キサンが好ましい。かかるオレガノポリシロキサンは上
式中、R2は、メチル基,エチル基,プロピル基等のアル
キル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリー
ル基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基が例
示される。また、一部、少量の水素原子,アルコキシ基
が含まれてもよい。これらの中でも経済性および良好な
高分子共重合体架橋物の形成性の観点からR2の半数以上
はメチル基であることが好ましい。R3はメチレン基,エ
チレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,
ヘキシレン基,ヘプチレン基,オクチレン基等の炭素数
1〜8のアルキレン基またはフェニレン基、ナフチレン
基等のアリーレン基等の2価の有機基である。R4はメチ
レン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペン
チレン基,ヘキシレン基,ヘプチレン基等のアルキレン
基である。R5はメチル基,エチル基,プロピル基等のア
ルキル基;アセチル基またはプロピオニル基等のアシル
基である。a、cは0〜1000の範囲内であり、bは2〜
1000の範囲内であり、それぞれ特に限定されないが、
(A1)成分と(B1)成分が相溶するためにはaと(b+
c)の比率は(1:5)〜(5:1)の範囲内が好ましい。
かかるグラフト共重合体の合成方法としては種々の方
法が知られているが、その1つの方法としては側鎖の一
部が水素原子で置き換わったオルガノポリシロキサン
に、片末端に不飽和炭化水素基を有し他末端にアシロキ
シ基を有するポリオキシアルキレンと、片末端に不飽和
炭化水素基を有し他末端にトリメチルシリル基を有する
ポリオキシアルキレンを所定の比率によりヒドロシリル
化反応によりグラフトさせ、しかる後に過剰量のアルコ
ールによりグラフト末端のトリメチルシリル基のみを水
酸基に転化する方法が挙げられる。
(B1)成分は上記のような1分子中に少なくとも2個
の水酸基を有し、構造中にオキシアルキレン単位を含む
高分子化合物であるが、より高いイオン導電性を要求さ
れる場合には、この高分子化合物に一般式 HO−(R6O)q−H(式中、R6はアルキレン基,qは1〜100
の整数である。)で示される分子鎖両末端に水酸基を有
するポリオキシアルキレンまたは HO−(R7O)r−R8(式中、R7はアルキレン基,R8は1
価の有機基,rは1〜100の整数である))で示される分
子鎖片末端に水酸基を有するポリオキシアルキレンを含
有するものであることが好ましい。かかるポリオキシア
ルキレンは上式中、R6,R7はメチレン基,エチレン基,
プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシレン
基,ヘプチレン基等のアルキレン基である。R8はメチル
基,エチル基,プロピル基のアルキル基;アセチル基ま
たはプロピオニル基等のアシル基である。q,rは1〜100
の範囲内であり、5〜20の範囲内が好ましい。
かかる分子鎖両末端に水酸基を有するポリオキシアル
キレンまたは分子鎖片末端に水酸基を有するポリオキシ
アルキレンは上記(A1)成分と縮合反応し、高分子共重
合体架橋物中にポリオキシアルキレンの架橋鎖またはグ
ラフト鎖の含有量を増加する働きをする。本発明におい
ては、かかる架橋鎖またはグラフト鎖が存在しなくても
高分子化合物中のポリオキシアシルキレン鎖によりポリ
オキシアシルキレンの架橋鎖またはグラフト鎖を形成さ
せることはできる。しかし(A1)成分と(B1)成分が相
溶する条件においては高分子化合物中のポリオキシアル
キレン鎖の導入量には限界があるため、分子鎖両末端に
水酸基を有するポリオキシアルキレンまたは分子鎖片末
端に水酸基を有するポリオキシアルキレンを(B1)成分
中に含有させる方が好ましい。また本発明においては、
高分子共重合体架橋物中にポリオキシアルキレンのグラ
フト鎖が若干存在した方がイオン導電性が向上する傾向
にある。
(C)成分は、周期律表第I族または第II族に属する
金属原子を含むアルカリ化合物であり、その種類特に限
定されないが、これらの金属原子の水酸化物,アルコラ
ート,水素化物等が好ましく、特に水酸化物の形態で使
用されることが好ましい。リチウム原子の場合は水酸化
リチウム(LiOH)が好ましい。
かかる(C)成分は、(A1)成分と(B1)成分のエス
テル化反応の触媒作用をすると同時に、最終的には
(A1)成分中のカルボキシル基を脱水により金属カルボ
キシレート化する役割をする。その結果、高分子共重合
体架橋物としては、負イオン(カルボキシレートイオ
ン)はシロキサンポリマー鎖に固定され、対イオンであ
る正イオン(金属イオン)が分散された形態になる。
また、その分散量は高分子共重合体架橋物中のオキシ
アルキレン基のモル数[RO]に対する金属イオンのモル
数[Mn+]の比率[Mn+]/[RO]が0.005〜0.25とする
ことが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1である。こ
れはこの比が0.25を越えると高分子共重合体架橋物の極
性が上がり、セグメントの運動性が悪くなり、また0.00
5未満になるとキャリア数の低下から高いイオン導電性
が得難くなるからである。
また、(A1)成分中のカルボキシル基のモル数と、
(B1)成分中の水酸基のモル数と(C)成分中のアルカ
リ当量の合計の比率は(1:10)〜(10:1)の範囲内であ
り、(1.0:1.2)〜(1.2:1.0)の範囲内が好ましい。こ
れは(A1)〜(C)成分はいずれの比率でもエステル化
反応が起こり、固体化した高分子共重合体架橋物が得ら
れるが、(B1)成分中の水酸基のモル数と(C)成分中
のアルカリ当量の合計と(A1)成分中のカルボキシル基
のモル数の比率が大幅に異なると、本発明のイオン導電
性材料中に未反応のカルボキシル基または水酸基が残存
した状態となる傾向にある。このようにして得られたイ
オン導電性材料を電池等に応用した場合には、電極材と
の反応等の弊害が起こることが予想されるので、好まし
くない。また、上記のモル比が1になれば、正イオン種
は金属イオンのみ、負イオン種は固定されたカルボキシ
レートイオンのみとなり、完全な正イオン単独伝導型イ
オン導電性材料となる。
本方法においては(A1)成分〜(C)成分からなる混
合物を脱水縮合反応により硬化させ高分子共重合体架橋
物を形成させるのであるが、この架橋物は主に(A1)成
分中のカルボキシル基と(B1)成分中の水酸基とのエス
テル化反応によって形成されるものである。その反応手
段としてはカルボキシル基と水酸基との反応に用いられ
ている従来公知の反応手段、例えば、アルカリ等のエス
テル化反応触媒を使用し、常温または加熱下に反応させ
る方法が利用できる。
また、加熱はこのエステル化反応を促進すると同時に
エステル化反応によって発生した副生物である水を除去
するために有効な技術手段であり、その温度は通常150
℃以下である。
また、この架橋反応は無溶媒の条件で行うことができ
る。(A1)成分と(B1)成分は攪拌等の操作で容易に均
一に混合できる。(C)成分はオキシアルキレン鎖に対
して溶解性を持つので、(B1)成分に予め溶解させてお
くか、(A1)成分と(B1)成分を混合させた後に添加し
てもよい。(C)成分のオキシアルキレン鎖への溶解は
攪拌等の操作でも可能だが、溶解時間短縮のためには加
熱あるいは超音波照射等の操作あるいはごく少量の水の
添加が効果的である。また、溶解工程において溶剤の使
用が許容できる場合には、有機溶剤中で(A1)成分〜
(C)成分を混合、溶解させ、しかる後に溶剤を蒸発さ
せてもよい。かかる有機溶剤は特に限定されないが、例
えば、テトラヒドロフラン,ジオキサン,アセトニトリ
ル,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシドが挙
げられる。
また、このエステル化反応は副生物として水を生成す
るので、最終的には(A1)成分〜(C)成分の混合体を
減圧下に置くことが好ましく、例えば、常圧加熱下でエ
ステル化反応をある程度進行させた後に減圧下で加熱
し、生成した水の除去とエステル化反応の完結を同時に
行う方法が推奨される。ただし、溶解工程に溶剤を使用
した場合は、常圧下に溶剤の沸点以下でエステル化反応
をある程度進行させた後に、溶剤を蒸発させ、しかる後
に減圧下で加熱する必要がある。
方法2 「(A2)1分子中に少なくとも2個のメルカプト基含
有炭化水素基と少なくとも1個のカルボキシル基含有炭
化水素基を有するオルガノポリシロキサン、 (B2)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水
素基を有するポリオキシアルキレン、 (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
ルカリ化合物、 (D1)光増感剤 からなる混合物に紫外線を照射して硬化せしめて、ポリ
オルガノシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖が式:
−R−S−R−(式中、Rは二価炭化水素基である。)
を介して結合してなる高分子共重合体架橋物を製造する
方法。」 これについて説明するに、(A2)成分のオルガノポリ
シロキサンは、高分子共重合体架橋物を形成するために
は1分子中に2個以上のメルカプト基含有炭化水素基を
有することが必要である。(B2)成分のオキシアルキレ
ンは、1分子中に少なく2個の脂肪族不飽和炭化水素基
を含有することが必要である。ところで、(A2)成分と
(B2)成分が互いに相溶することは重要であるが、その
ための(A2)成分の分子構造および化学構造については
特に限定されないが、分子中にオキシアルキレン単位を
有していることが好ましく、高分子共重合体架橋物の形
成の容易さ等から一般式 (式中、R9は1価の有機基,R10はアルキレン基または
アリーレン基,R11は2価の有機基,R12はアルキレン
基,R13は1価の有機基,dは0〜1000の整数,eは2〜100
0の整数,f,gは1〜1000の整数,sは1〜100の整数であ
る。)で示される末端に有機基を有するポリオキシアル
キレン鎖をグラフト鎖として有し、側鎖に少なくとも2
個のメルカプト基と少なくとも1個のカルボキシル基を
有するオルガノポリシロキサンが好ましい。ここでR9
前記したR2と同様な基、R10は前記したR3と同様な基、R
11はアルキレン基,アリーレン基等を含む2価の有機基
である。R12は前記したR4と同様な基、R13は前記したR5
と同様な基である。dは0〜1000の範囲内、eは2〜10
00の範囲内部、f,gは1〜1000の範囲内であり、それぞ
れ特に限定されないが、(A2)成分と(B2)成分が相溶
するためには(d+e+f)とgの比率は(1:5)〜
(5:1)の範囲内が好ましい。また、製造の容易さ、高
分子共重合体架橋物としての適度の硬さを得るために
は、(d+f+g)とeの比率は0.01〜100の範囲内で
あり、(d+e+f+g)は10〜10000の範囲内が好ま
しい。
かかるグラフト共重合体の合成方法としては種々の方
法が存在するが、その1つの方法としては側鎖の一部が
メルカプト基を含む有機基とカルボキシル基を含む有機
基で置換されたオルガノポリシロキサン(方法1に記さ
れた合成方法に準じた方法で製造される)に、片末端に
不飽和炭化水素基を有し他末端に1価の有機基を有する
ポリオキシアルキレンを、不飽和炭化水素基のモル数が
メルカプト基のモル数よりも下回る比率で付加させる方
法が挙げられる。この付加反応は光照射またはラジカル
開始剤の存在下で溶液内で容易に行える。
(B2)成分は一般式 Z1−R14−(R15O)t−R14−Z1(式中、Z1は脂肪族不
飽和炭化水素基,R14は2価の有機基,R15はアルキレン
基,tは1〜100の整数である。)で示される分子鎖両末
端に脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキ
レンが好ましい。かかるポリオキシアルキレンは上式
中、Z1はビニル基,アリル基,プロペニル基等の脂肪族
不飽和炭化水素基である。R14はメチレン基,エチレン
基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシ
レン基,ヘプチレン基等のアルキレン基あるいはフェニ
ルプロピレン基,プロピルフェニレン基等のアリール基
とアルキレン基またはアルキル基とアリーレン基の連鎖
基等の2価の有機基である。R15は前記したR6と同様な
基である。tは1〜100の範囲内であり、5〜20の範囲
内が好ましい。
(B2)成分は上記のような1分子中に少なくとも2個
の脂肪族不飽和炭化水素基を含有するポリオキシアルキ
レンであるが、より高いイオン導電性が要求される場合
は、このポリオキシアルキレンが一般式 Q1−R16−(R17O)u−R18(式中、Q1は脂肪族不飽和
炭化水素基,R16は2価の有機基,R17はアルキレン基,
R18は1価の有機基,uは1〜100の整数である。)で示さ
れる分子鎖片末端のみに脂肪族不飽和炭化水素基を有す
るポリオキシアルキレンを含有するものを使用すること
が好適である。このポリオキシアルキレンは高分子共重
合体架橋物中にポリオキシアルキレンのグラフト鎖を形
成させる働きをする。本発明においては、かかるグラフ
ト鎖が若干存在した方がイオン導電性が向上する傾向に
あるので、より高いイオン導電性が要求される場合は、
(B2)成分としてこの種のポリオキシアルキレンを含有
することが好ましい。かかる分子鎖片末端のみに脂肪族
不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレンは上式
中、Q1はZ1と同様な基、R16は前記したR14と同様な基、
R17は前記したR6と同様な基、R18は前記したR8と同様な
基である。
本方法による高分子共重合体架橋物は、主に(A2)成
分中のメルカプト基と(B2)成分中の脂肪族不飽和炭化
水素基との付加反応によって形成されるものであって、
その反応手段としてはメルカプト基と脂肪族不飽和炭化
水素基との付加反応に用いられている従来公知の反応手
段、例えば、電子線,X線,紫外線等のエネルギー線を照
射する反応手段が利用できるが、経済性、簡便性の点で
紫外線が好ましい。
また、(-COO-)nMn+構造を高分子共重合体架橋物に取
り込むためには(C)成分として金属イオン源が必要で
ある。この(C)成分は方法1に記されたものと同様な
アルカリ化合物である。高分子共重合体架橋物への(-CO
O-)nMn+構造の取り込み方としては、 1)まず(A2)成分と(C)成分を反応させて(A2)成
分のカルボキシル基を金属カルボキシレート化させた
後、生成物中のメルカプト残基と(B2)成分中の脂肪族
不飽和炭化水素基を付加反応させて高分子共重合体架橋
物とする。
2)まず(A2)成分中のメルカプト基と(B2)成分中の
脂肪族不飽和炭化水素基を付加反応させて高分子共重合
体架橋物を形成させた後、高分子共重合体架橋物中のカ
ルボキシル残基に(C)成分を作用させて金属カルボキ
シレート化させる。
という2通りの方法があるが、2)の方法では高分子
共重合体架橋物を一旦溶剤で膨潤させなければないため
1)の方法が有利である。
また、金属イオンの分散量は高分子共重合体架橋物中
のオキシアルキレン基のモル数[RO]に対する金属イオ
ンのモル数[Mn+](例えば[Li+]等)比[Mn+]/[R
O]は方法1と同様な理由で0.005〜0.25とすることが好
ましく、より好ましくは0.01〜0.05である。
生成イオン導電性材料内においてn・[Mn+]/[COO
-]の比が完全に1の場合は、この材料は完全な正イオ
ン単独伝導性となる。
また、方法1と同様な理由で(A2)成分中のメルカプ
ト基のモル数と(B2)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基
のモル数との比率は(5:1)〜(1:10)の範囲内であ
り、(2:1)〜(1:5)の範囲内が好ましく、(1.0:1.
0)〜(1.0:1.2)の範囲内が特に好ましい。
本方法においてはイオン導電性材料用組成物に紫外線
等を照射し、架橋反応させるのであるが、この架橋反応
は無溶媒の条件で行うことができる。「(A2)成分と
(B2)成分」あるいは「(A2)成分の金属カルボキシレ
ート化物と(B2)成分」は攪拌等の操作で容易に均一に
混合できる。また、溶解工程において溶剤の使用が許容
できいる場合には、有機溶剤中で各成分を混合、溶解さ
せ、しかる後に溶剤を蒸発させてもよい。かかる有機溶
剤は特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラ
ン,ジオキサン,アセトニトリル,ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルスルホキシドが挙げられる。
また、この反応は、紫外線照射下での架橋反応を促進
する作用効果を示す(D1)成分としての光増感剤の存在
下で行うことが好ましい。
(D1)成分としては紫外線硬化型樹脂に通常用いられ
る公知の光増感剤でよく、これには、アセトフェノン,
ベンゾフェノン,トリメチルシリルベンゾフェノン,プ
ロピオフェノン,3−メチルアセトフェノン,4−メチルア
セトフェノン,ベンゾインエチルエーテル,ジメチルポ
リシロキサンの両末端にベンゾインがエーテル結合した
化合物,(4−イソプロピル)フェニル−1−ハイドロ
キシイソプロピルケトン,4−アリルアセトフェノン,3−
ベンチルアセトフェノン,4−メトキシベンゾフェノン等
の芳香族ケトン;トリフェニルアミン等のアミン化合
物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が例示
される。(D1)成分の使用量としては(A2)〜(C)10
0重量部に対し、0.001〜30重量部の範囲内であり、好ま
しくは0.05〜20重量部の範囲内である。反応温度は特に
限定されないが、通常、室温ないし加熱下で行われる。
紫外線の発生源としては、従来公知のものでよく、これ
には例えば水素放電管,キセノン放電管,低圧,中圧ま
たは高圧水銀灯等が挙げられる。紫外線の照射条件とし
ては照射単独で本混合物が半硬化状態になる程度でよ
く、特に制限はない。溶剤を使用した場合は、紫外線照
射後の時点では通常、溶剤が硬化物に取り込まれた状態
になっているので、これを減圧処理する等の方法で取り
除く必要がある。
方法3 「(A3)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合
水素原子と少なくとも1個のカルボキシル基含有炭化水
素基を有するオルガノポリシロキサン、 (B3)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水
素基を有するポリオキシアルキレン、 (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
ルカリ化合物、 (D2)ヒドロシリル化反応用触媒 からなる混合物を付加反応より硬化せしめて、ポリオル
ガノシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖がアルキレ
ン基を介して結合してなる高分子共重合体架橋物を製造
する方法。」 これについて説明するに、(A3)成分のオルガノポリ
シロキサンは、高分子共重合体架橋物を形成するために
は1分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有す
ることが必要である。(B3)成分のオキシアルキレン
は、1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素
基を含有することが必要である。
(A3)成分と(B3)成分が互いに相溶するために好ま
しい(A3)成分の分子構造および化学構造については一
般式 (式中、R19は1価の有機基,R20はアルキレン基または
アリーレン基,R21はアルキレン基,R22は1価の有機
基,hは0〜1000の整数,iは2〜1000の整数,j,kは1〜10
0の整数,vは1〜100の整数である。)で示される末端に
有機基を有するポリオキシアルキレン鎖をグラフト鎖と
して有し、側鎖に少なくとも2個のケイ素原子結合水素
原子と少なくとも1個のカルボキシル基を有するオルガ
ノポリシロキサンが好ましい。ここでR19は前記したR2
と同様な基、R20は前記したR3と同様な基、R21は前記し
たR4と同様な基、R22は前記したR5と同様な基である。
hは0〜1000の範囲内、iは2〜1000の範囲内、j,kは
1〜1000の範囲内であり、それぞれ特に限定されない
が、(A3)成分と(B3)成分が相溶するためには(h+
i+j)とkの比率は(1:5)〜(5:1)の範囲内が好ま
しい。また、製造の容易さ、高分子共重合体架橋物とし
ての適度の硬さを得るためには、(h+j+k)とiの
比率は0.01〜100の範囲内であり、(h+i+j+k)
は10〜10000の範囲内が好ましい。
かかるグラフト共重合体の合成方法としては種々の方
法が存在するが、その1つの方法としては側鎖の一部が
水素とカルボキシル基を含む有機基で置換されたオルガ
ノポリシロキサン(方法1に記された合成方法に準じた
方法で製造される)に、片末端に不飽和炭化水素基を有
し他末端に1価の有機基を有するポリオキシアルキレン
を、不飽和炭化水素基のモル数がケイ素原子結合水素原
子のモル数よりも下回る比率で付加させる方法が挙げら
れる。この付加反応は、一般的ヒドロシリル化触媒の存
在下で溶液内で容易に行える。
(B3)成分は一般式 Z2−R23−(R24O)w−R23−Z2(式中、Z2は脂肪族不
飽和炭化水素基,R23は2価の有機基,R24はアルキレン
基,wは1〜100の整数である。)で示される分子鎖両末
端に脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキ
レンが好ましい。かかるポリオキシアルキレンは上式
中、Z2は前記したZ1と同様な基、R23は前記したR14と同
様な基、R24は前記したR6と同様な基である。wは1〜1
00の範囲内であり、5〜20の範囲内が好ましい。
(B3)成分は上記のような1分子中に少なくとも2個
の脂肪族不飽和炭化水素基を含有するポリオキシアルキ
レンであるが、より高いイオン導電性が要求される場合
は、このポリオキシアルキレンが一般式 Q2−R25−(R26O)x−R27(式中、Q2は脂肪族不飽和
炭化水素基,R25は2価の有機基,R26はアルキレン基,
R27は1価の有機基,xは1〜100の整数である。)で示さ
れる分子鎖片末端のみに脂肪族不飽和炭化水素基を有す
るポリオキシアルキレンを含有するものを使用すること
が好適である。このポリオキシアルキレンは高分子共重
合体架橋物中にポリオキシアルキレンのグラフト鎖を形
成させる働きをする。本発明においては、かかるグラフ
ト鎖が若干存在した方がイオン導電性が向上する傾向に
あるので、より高いイオン導電性が要求される場合は、
(B3)成分としてこの種のポリオキシアルキレンを含有
することが好ましい。かかる分子鎖片末端のみに脂肪族
不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレンは上式
中、Q2は前記したZ1と同様な基、R25は前記したR14と同
様な基、R26は前記したR6と同様な基、R27は前記したR8
と同様な基である。
本方法による高分子共重合体架橋物は、主に(A3)成
分中のケイ素原子結合水素原子と(B3)成分中の脂肪族
不飽和炭化水素基との付加反応によって形成されるもの
であって、その反応手段としてはケイ素原子結合水素原
子と脂肪族不飽和炭化水素基との付加反応に用いられて
いる従来公知の反応手段、例えば、ヒドロシリル化触媒
存在下での加熱が利用できる。
高分子共重合体架橋物への(-COO-)nMn+構造の取り込
み方としては方法2に示した方法に準じた2つの方法が
あるが、方法2に示した方法2)に準じた方法が好まし
い。
金属イオン源である(C)成分は方法2と同様なアル
カリ化合物が用いられ、その分散量は高分子共重合体架
橋物中のオキシアルキレン基のモル数[RO]に対する金
属イオンのモル数[Mn+]比[Mn+]/[RO]は0.005〜
0.25とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05
である。
生成イオン導電性材料内においてn・[Mn+]/[COO
-]の比が完全に1の場合は、この材料は完全な正イオ
ン単独伝導性となる。
方法1と同様な理由で(A3)成分中のケイ素原子結合
水素原子のモル数と(B3)成分中の脂肪族不飽和炭化水
素基のモル数との比率は(5:1)〜(1:10)の範囲内で
あり、(2:1)〜(1:5)の範囲内が好ましく、(1.0:1.
0)〜(1.0:1.2)の範囲内が特に好ましい。
本方法においては(A3)〜(C)成分に(D2)成分と
してヒドロシリル化反応用触媒を加えて加熱し、架橋反
応させるのであるが、この架橋反応は無溶媒の条件で行
うことができる。詳細については方法2に示した方法と
同様である。
また、(D2)成分としては通常用いられる公知のヒド
ロシリル化反応用触媒でよく、これには塩化白金酸,塩
化白金酸カリウム,塩化パラジウム,塩化イリジウム,
鉄カルボニル錯体,塩化ルテニウム,塩化ニッケル,白
金、ルテニウム等の金属が担持された固型触媒等が例示
される。(D2)成分の使用量としては(A3)成分のオル
ガノポリシロキサン100重量部に対し、0.0001〜0.1重量
部の範囲内であり、好ましくは0.001〜20.01重量部の範
囲内である。反応温度は特に限定されないが、通常、室
温ないし150℃の条件下で行われる。溶剤を使用した場
合は、加熱硬化後の時点では通常、溶剤が硬化物に取り
込まれた状態になっているので、これを減圧処理する等
の方法で取り除く必要がある。
[実施例] 以下、実施例にて本発明をより詳細に説明する。
尚、イオン導電率の測定は次の方法により行った。
イオン導電性材料をフィルム状に成型し、測定用試料
とした。この試料の厚さをマイクロメーターで測定した
後、試料の両面に直径1cmの円形プレート状の白金電極
を密着し、この全体を任意の温度に設定できる減圧容器
ないに設置し、10-5Torr以下の高真空まで減圧して試料
の状態が十分に平衡に達した後、LCRメーター(横河ヒ
ューレットパッカード社製4192A)により5Hz〜13MHzの
交流電圧を印加し、複素インピーダンス法により導電率
を測定した。
実施例1 イオン導電性材料としては、本発明によるもの(試料
1)および特性比較のため、従来技術によるもの(試料
2)を作製した。
試料1 下記に示される化合物(1)0.384g、化合物(2)0.
450g、化合物(3)0.167g、水酸化リチウム12.2mgおよ
び水0.16gとを攪拌混合し、超音波を照射して十分に溶
解させた。この溶液を3cm四方のテフロン製の皿に流し
込み、ホットプレート上で120℃で2時間加熱した後、
真空乾燥器にて140℃で4日間真空乾燥したところ、0.3
mmの厚さの透明なフィルムを得た。このフィルムの赤外
吸収スペクトルを調べたところ、水酸基および遊離カル
ボン酸に由来するピークが認められないこと、エステル
生成によるカルボニル基の伸縮振動ピークが1740cm-1
みられること、カルボキシレートイオンによる非対称伸
縮振動ピークが1600cm-1にみられることから、エステル
化反応はほぼ完全に行われていることがわかった。フィ
ルムのイオン導電率を測定したところ、25℃で2.0×10
-7S・cm-1の値が得られた。各測定温度と導電率の関係は
第1図に示すとおりで会った。
化合物(3): HO(CH2CH2O)12CH3 試料2 試料1で使用した化合物(1)0.278g、化合物(2)
化合物(2)0.527g、化合物(3)0.195gおよび過塩素
酸リチウム30.8mgとを攪拌混合し、超音波を照射して十
分に溶解せしめ、0.1規定塩酸エタノール溶液3μlを
加えた後、試料1と同様な加熱乾燥処理を行ったとこ
ろ、0.3mmの厚さの透明なフィルムを得た。このフィル
ムの赤外吸収スペクトルを調べたところ、水酸基および
遊離カルボン酸に由来するピークが認められないこと、
エステル生成によるカルボニル基の伸縮振動ピークが17
40cm-1にみられることことから、エステル化反応はほぼ
完全に行われていることがわかった。イオン導電率を測
定したところ、25℃で4.8×10-5S・cm-1の値が得られ
た。
直流電圧印加試験 厚さ0.3mmの試料1および試料2の両面に直径1cm、厚
さ0.14mmのリチウム箔を密着し、この全体を減圧容器内
に設置し、25℃にて10-5Torr以下の高真空まで減圧して
試料の状態が十分に平衡に達した後、両リチウム箔に1V
の直流電圧を印加し、流れる電流の経時変化を観察し
た。試料1では初期の電流5.2μAが約2日間持続し、
このイオン導電性材料が正イオン単独伝導型イオン導電
性材料であることが確かめられた。これに対し、試料2
では初期の電流79μAが2日後には4.4μAまで低下し
た。
各試料における電流と経過時間との関係は第2図に示
した通りであった。
実施例2 下記に示される化合物(4)10gを約500mlのトルエン
/n−ブチルアルコール(1/1)混合溶媒に溶解させ、76.
42mgの水酸化リチウムを加え、十分に攪拌し、化合物
(4)中のカルボキシル基を完全にリチウムカルボキシ
レート化させた。しかる後に溶媒を完全に取り除き、得
られた油状物0.772gと下記に示される化合物(5)0.15
4gおよび化合物(6)0.074gとを攪拌混合し、超音波を
照射して十分に溶解させた。この混合物に光増感剤とし
て(4−イソプロピル)フェニル−1−ハイドロキシイ
ソプロピルケトンを約20mg加えた後、3cm四方のテフロ
ン製の皿に流し込み、垂直上方より高圧水銀ランプから
の160w/cmの紫外線を5cmの距離で6秒照射したところ、
0.3mmの厚さの透明なフィルムを得た。さらにこれを70
℃で2日間減圧乾燥させた後、イオン導電率を測定した
ところ、25℃で1.6×10-7S・cm-1の値が得られた。ま
た、実施例1と同様な直流電圧印加試験を行ったとこ
ろ、4.7μAの電流が約2日間持続した。
化合物(5): CH2=CH−CH2O(CH2CH2O)12CH2−CH=CH2 化合物(6): CH2=CH−CH2O(CH2CH2O)12CH3 実施例3 下記に示される化合物(7)10gを約500mlのトルエン
/n−ブチルアルコール(1/1)混合溶媒に溶解させ、86.
67mgの水酸化リチウムを加え、十分に攪拌し、化合物
(7)中のカルボキシル基を完全にリチウムカルボキシ
レート化させた。しかる後に溶媒を完全に取り除き、得
られた油状物0.749gと実施例2で使用した化合物(5)
0.170gおよび化合物(6)0.081gとを攪拌混合し、超音
波を照射して十分に溶解させた。この混合物にヒドロシ
リル化触媒として2重量%塩化白金酸6水和物(H2PtCl
6・6H2O)イソプロピルアルコール溶液を2.47μl加えた
後、3cm四方のテフロン製の皿に流し込み、70℃に調整
されたオーブン内で2時間加熱したところ、0.3mmの厚
さの透明なフィルムを得た。さらにこれを70℃で2日間
減圧乾燥させた後、イオン導電率を測定したところ、25
℃で1.8×10-7S・cm-1の値が得られた。また、実施例1
と同様な直流電圧印加試験を行ったところ、4.9μAの
電流が約2日間持続した。
[発明の効果] 本発明のイオン導電性材料は、炭化水素基を介してケ
イ素原子に結合した 式、(-COO-)nMn+ (式中、Mn+は周期律表第I族または第II族の金属イオ
ンを表し、nは1または2である。)で示される金属カ
ルボキシレート基を含有するポリオルガノシロキサン鎖
とポリオキシアルキレン鎖とから構成された高分子共重
合体架橋物からなるので、室温で高いイオン導電性を示
し、特に、正イオン単独伝導型イオン導電性材料となり
得、これを電子デバイス等へ適用した際には液漏れ、副
作用等の弊害がない、内部抵抗の経時低下が防止される
等の特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1(試料1)で得られたイオン
導電性材料の測定温度と導電率との関係を示したもので
ある。尚、第1図においてはσはイオン導電率であり、
Tは絶対温度である。 第2図は本発明の実施例1(試料1)で得られたイオン
導電性材料と従来技術によるイオン導電性材料(試料
2)における直流電圧印加下での経過時間と電流との関
係を示したものである。尚、第2図においてはIは電流
であり、tは経過時間である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 81/00 C08G 77/46 C08L 71/02 C08L 83/04 - 83/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素基を介してケイ素原子に結合した 式、(-COO-)nMn+ (式中、Mn+は周期律表第I族または第II族の金属イオ
    ンを表し、nは1または2である。)で示される金属カ
    ルボキシレート基を含有するポリオルガノシロキサン鎖
    とポリオキシアルキレン鎖とから構成され、これらが 式:−COO−、 式:−R−S−R−(式中、Rは二価炭化水素基であ
    る。) またはアルキレン基を介して結合してなる高分子共重合
    体架橋物からなることを特徴とする、イオン導電性材
    料。
  2. 【請求項2】高分子共重合体架橋物が、 (A1)1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基含有
    炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、 (B1)1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリ
    オキシアルキレン鎖含有高分子化合物、および (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
    ルカリ化合物 からなる混合物を脱水縮合反応により硬化せしめること
    により製造された、ポリオルガノシロキサン鎖とポリオ
    キシアルキレン鎖が式:−COO−を介して結合してなる
    高分子共重合体架橋物であることを特徴とする、特許請
    求の範囲第1項記載のイオン導電性材料。
  3. 【請求項3】高分子共重合体架橋物が、 (A2)1分子中に少なくとも2個のメルカプト基含有炭
    化水素基と少なくとも1個のカルボキシル基含有炭化水
    素基を有するオルガノポリシロキサン、 (B2)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水
    素基を有するポリオキシアルキレン、 (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
    ルカリ化合物、 (D1)光増感剤 からなる混合物に紫外線を照射して硬化せしめることに
    より製造された、ポリオルガノシロキサン鎖とポリオキ
    シアルキレン鎖が式:−R−S−R−(式中、Rは二価
    炭化水素基である。)を介して結合してなる高分子共重
    合体架橋物であることを特徴とする、特許請求の範囲第
    1項記載のイオン導電性材料。
  4. 【請求項4】高分子共重合体架橋物が、 (A3)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素
    原子と少なくとも1個のカルボキシル基含有炭化水素基
    を有するオルガノポリシロキサン、 (B3)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水
    素基を有するポリオキシアルキレン、 (C)周期律表第I族または第II族の金属原子を含むア
    ルカリ化合物、 (D2)ヒドロシリル化反応用触媒 からなる混合物を付加反応により加熱硬化せしめること
    により製造された、ポリオルガノシロキサン鎖とポリオ
    キシアルキレン鎖がアルキレン基を介して結合してなる
    高分子共重合体架橋物であることを特徴とする、特許請
    求の範囲第1項記載のイオン導電性材料。
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