JP4573376B2 - 眼用レンズ材料およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼用レンズ材料およびその製法に関する。さらに詳しくは、透明性にすぐれることはもちろんのこと、高酸素透過性を有し、しかも耐汚染性および涙濡れ性にも同時にすぐれた眼用レンズ材料、ならびに該眼用レンズ材料を容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学材料のなかでもとくにコンタクトレンズ材料においては、レンズ表面の親水性(涙濡れ性)の低下とタンパク質、脂質などの汚れ付着とが種々の眼疾患の原因の1つといわれ、親水性および耐汚染性の向上が注目されている。
【0003】
従来、含水性であり、酸素透過性にすぐれたコンタクトレンズを得る材料として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの親水性モノマーと、フッ素系(メタ)アクリレートやシリコン系(メタ)アクリレートとの共重合体からなるものが提案されている(特開平6−121826号公報など)。
【0004】
しかしながら、かかる共重合体からなるコンタクトレンズ材料では、マトリックス上およびその内部への脂質あるいはタンパク質の堆積を示すことは周知の事実である。
【0005】
また一方では、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性モノマーからなるマトリックス中に双性イオン性基を導入した共重合体により、高い透明性および高いタンパク質付着抑制効果を有する含水性材料が提案されている(特開平9−20814号公報など)。
【0006】
しかしながら、かかる含水性材料は、酸素透過性が含水率に依存し、その酸素透過係数が水の酸素透過係数よりも大きくなることはない。
【0007】
また、硬質で酸素透過性にすぐれた(非含水性)コンタクトレンズを得る材料として、フッ素系(メタ)アクリレートやシリコン系(メタ)アクリレートあるいはシリコン系スチレン誘導体などの共重合体からなるものが提案されている(特公昭62−55122号公報、特許第2515010号公報など)。
【0008】
しかしながら、かかる硬質高酸素透過性材料は、材料表面の水分保持能力に乏しく、その結果、レンズ装用時に目の乾燥感など不快感を生じたりすることが知られている。
【0009】
そこで、高い防汚性効果が期待される双性イオン性基含有モノマーとたとえばフッ素系(メタ)アクリレート、シリコン系(メタ)アクリレートなどとの共重合体や、双性イオン性基を導入したフッ素系(メタ)アクリレートやシリコン系(メタ)アクリレートを用いた共重合体により、酸素透過性にすぐれ、かつ脂質あるいはタンパク質付着抑制効果を有する材料を得ることができると考えられる。また硬質高酸素透過性材料においては、表面の涙濡れ性を効果的に付与させ得ると考えられる。
【0010】
しかしながら、双性イオン性基含有モノマー(分子内塩:ベタイン)は、一般的にその性状が固体であり、多くの親水性モノマーをはじめとして、とくに疎水性モノマーとの相溶性にいちじるしく劣るため、透明な共重合体を得ることが困難である。なかでもとくに、酸素透過性材料の必須成分であるともいえるケイ素含有化合物とは相溶し得ない。眼用レンズなどの光学性が求められる材料としては、透明性が非常に重要であり、いかにしてこの相溶性を改善するかが問題である。
【0011】
また2−ヒドロキシエチルメタクリレートとシリコン系(メタ)アクリレートといった相溶性にいちじるしく劣るモノマー同士の共重合から均一な共重合体を得る方法として、有機溶媒などの希釈剤を使用し、モノマー同士の相溶性を改善させる方法が提案されている(国際公開WO97/09169号公報など)。
【0012】
しかしながら、前記したように、双性イオン性基含有モノマー(分子内塩:ベタイン)は、疎水性モノマーだけでなく、有機溶媒との相溶性にもいちじるしく劣り、たとえば水、メタノールなどとしか混和しない。一方、フッ素系(メタ)アクリレートやシリコン系(メタ)アクリレートなどは水とは混和しない。またメタノール、エタノールなどを希釈剤として使用した場合、モノマー混合溶液は均一で透明であったとしても、重合中に希釈剤が揮発することにより、共重合体は不透明で相分離したものしか得られない。
【0013】
また双性イオン性基含有コポリマーであるシロキサン−ホスホリルコリンのブロック共重合体を溶液重合で作製したのち、ポリマー溶液をキャストしてポリマー膜などを得る方法も提案されている(特開平9−296019号公報)。
【0014】
しかしながら、双性イオン性基含有コポリマーは、双性イオンの正負のチャージによる疑似的な架橋効果により、キャストコーティングに適した溶媒に溶解し難いという欠点がある。またこの方法においても、まったく透明な共重合体を得ることは非常に困難である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、透明性にすぐれることはもちろんのこと、高酸素透過性を有し、しかも高い脂質あるいはタンパク質付着抑制効果といったすぐれた耐汚染性や、すぐれた涙濡れ性を兼備する眼用レンズ材料、ならびにかかるすぐれた特性を兼備した眼用レンズ材料を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
▲1▼一般式(I):
【0017】
【化14】
【0018】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、2個のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい)、R2は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、A1は−O−、−S−、−NH−または直接結合、A2は
【0019】
【化15】
【0020】
A3は−O−、−S−、−NH−または=O(ただし、A2が−SOO-−である場合、A1およびA3は−S−でなく、A3が=Oである場合、R2は存在しない)、pおよびqはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(I)、一般式(II):
【0021】
【化16】
【0022】
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、2個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)、A4は−O−、−S−、−NH−または直接結合、r、sおよびtはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(II)または一般式(III):
【0023】
【化17】
【0024】
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、3個のR4は同一であってもよく、異なっていてもよい)、A5およびA6はそれぞれ独立して−O−、−S−、−NH−または直接結合(ただし、A5およびA6は同時に直接結合ではない)、uは1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(III)を有するシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料、
▲2▼一般式(IV):
【0025】
【化18】
【0026】
(式中、R6は炭素数1〜20のアルキレン基、R7は炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示す)で表わされる基を有するモノマー(A−1)およびシリコン含有モノマーを含む共重合成分を共重合させ、シリコーン化合物のプレポリマーを調製し、
前記シリコーン化合物のプレポリマーと、前記モノマー(A−1)と反応し得る、シリコーン化合物に−POO-、−SOO-または−COO-を有せしめる化合物(B−1)とを反応させ、一般式(I):
【0027】
【化19】
【0028】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、2個のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい)、R2は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、A1は−O−、−S−、−NH−または直接結合、A2は
【0029】
【化20】
【0030】
A3は−O−、−S−、−NH−または=O(ただし、A2が−SOO-−である場合、A1およびA3は−S−でなく、A3が=Oである場合、R2は存在しない)、pおよびqはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(I)または一般式(II):
【0031】
【化21】
【0032】
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、2個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい)、A4は−O−、−S−、−NH−または直接結合、r、sおよびtはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(II)を有するシリコーン化合物を調製することを特徴とする該シリコーン化合物からなる眼用レンズ材料の製法(以下、製法(I)という)、ならびに
▲3▼水酸基含有モノマー(A−2)およびシリコン含有モノマーを含む共重合成分を共重合させ、シリコーン化合物のプレポリマーを調製し、
前記シリコーン化合物のプレポリマーと、リン原子を有するハロゲン化環状化合物(B−2)とを反応させてプレポリマー(B′)を調製し、
前記プレポリマー(B′)と一般式(VII):
【0033】
【化22】
【0034】
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す(ただし、3個のR4は同一であってもよく、異なっていてもよい))で表わされるトリアルキルアミン(C−1)とを反応させ、一般式(III):
【0035】
【化23】
【0036】
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(ただし、3個のR4は同一であってもよく、異なっていてもよい)、A5およびA6はそれぞれ独立して−O−、−S−、−NH−または直接結合(ただし、A5およびA6は同時に直接結合ではない)、uは1〜20の整数を示す)で表わされる双性イオン性基(III)を有するシリコーン化合物を調製することを特徴とする該シリコーン化合物からなる眼用レンズ材料の製法(以下、製法(II)という)
に関する。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の眼用レンズ材料は特定のシリコーン化合物からなるものであり、該シリコーン化合物は、一般式(I):
【0038】
【化24】
【0039】
(式中、R1、R2、A1、A2、A3、pおよびqは前記と同じ)で表わされる双性イオン性基(I)、一般式(II):
【0040】
【化25】
【0041】
(式中、R3、A4、r、sおよびtは前記と同じ)で表わされる双性イオン性基(II)または一般式(III):
【0042】
【化26】
【0043】
(式中、R4、A5、A6およびuは前記と同じ)で表わされる双性イオン性基(III)を有するものである。
【0044】
本発明において、前記シリコーン化合物は、双性イオン性基含有モノマーを共重合させるのではなく、あらかじめ、酸素透過性にすぐれ、シリコーン化合物において−N+を有するようにさせることができるポリマーマトリックス(プレポリマー)を調製しておき、さらにポリマー反応によって−POO-、−SOO-または−COO-を導入し、双性イオン性基(I)または(II)となるようにして調製するか(製法(I))、または酸素透過性にすぐれたポリマーマトリックス(プレポリマー)を調製しておき、これにポリマー反応によって−POO-を、さらに−N+を導入し、双性イオン性基(III)となるようにして調製する(製法(II))。すなわち、たとえば、まず相溶性にすぐれたシリコン含有モノマー、親水性モノマー、のちに双性イオン性基を構成し得る化合物と反応可能な官能基を有するモノマーなどを共重合させ、透明で酸素透過性にすぐれたポリマーマトリックスを得たのち、有機溶媒中でまたは直接、最終的に双性イオン性基を構成し得る化合物と反応させ、マトリックス中に双性イオン性基が導入された化合物とするのである。
【0045】
このような方法によって製造されるので、本発明に用いられるシリコーン化合物は、従来とは異なり、モノマー同士の相溶性やモノマーと溶媒との混和性がわるいといった問題がないことから、きわめてすぐれた透明性を発現し得るものであり、しかも高酸素透過性のほか、すぐれた耐汚染性および涙濡れ性をも同時に発現し得るのである。
【0046】
なお、前記シリコーン化合物は水を含有しないキセロゲルの状態であってもよく、たとえば生理食塩水などに浸漬させるなどして水和処理が施された、水を含有するヒドロゲルの状態であってもよい。
【0047】
前記シリコーン化合物に含まれる双性イオン性基は、その構造内に、永久陽電荷の中心のみでなく、陰電荷の中心も有する双性イオン性のものである。永久陽電荷の中心は第四チッ素原子により与えられ、カチオンとしてアンモニウムを含み、アニオンとしてホスフェート、スルホネートまたはカルボキシレートを含む。
【0048】
まず、本発明の製法(I)について説明する。
【0049】
本発明の製法(I)によれば、まずシリコーン化合物のプレポリマーを調製するが、この際、一般式(IV):
【0050】
【化27】
【0051】
(式中、R6およびR7は前記と同じ)で表わされる基を有するモノマー(A−1)およびシリコン含有モノマーを含む共重合成分を共重合させる。
【0052】
前記モノマー(A−1)に含まれる一般式(IV)で表わされる基は、シリコーン化合物の双性イオン性基(I)または(II)中、カチオン部分を構成するものであり、該モノマー(A−1)は、後述する双性イオン性基を構成し得る、シリコーン化合物に−POO-、−SOO-または−COO-を有せしめる化合物(B−1)と反応可能なものである。
【0053】
モノマー(A−1)の代表例としては、たとえばN,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどの一般式:
【0054】
【化28】
【0055】
(式中、R6およびR7は前記と同じ、R12は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0056】
なお、本明細書において、「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレートおよび/または〜メタクリレート」を意味し、他の(メタ)アクリレート誘導体についても同様である。
【0057】
モノマー(A−1)の量は、最終的に双性イオン性基を構成し得る化合物(B−1)との反応が充分に進行し、得られる眼用レンズ材料にすぐれた耐汚染性および涙濡れ性が付与されるようにするには、共重合成分全量の0.5重量%以上、好ましくは2重量%以上であることが望ましい。また、眼用レンズ材料の柔軟性や機械的強度が低下してしまわないようにするには、モノマー(A−1)の量は、共重合成分全量の50重量%以下、好ましくは40重量%以下であることが望ましい。
【0058】
シリコン含有モノマーにはとくに限定がなく、たとえばシリコン含有アルキル(メタ)アクリレート、シリコン含有スチレン誘導体などがあげられる。
【0059】
前記シリコン含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえばトリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキシプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキシメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
前記シリコン含有スチレン誘導体としては、たとえば一般式(IX):
【0061】
【化29】
【0062】
(式中、xは1〜15の整数、yは0または1、zは1〜15の整数を示す)で表わされるスチレン誘導体などがあげられる。一般式(IX)で表わされるスチレン誘導体においては、xまたはzが16以上の整数である場合には、その精製や合成が困難となり、さらには得られる眼用レンズ材料の硬度が低下する傾向があり、またyが2以上の整数である場合には、該スチレン誘導体の合成が困難となる傾向がある。
【0063】
前記一般式(IX)で表わされるスチレン誘導体の代表例としては、たとえばトリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジメチルシリルスチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ]ジメチルシリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルスチレン、ヘプタメチルトリシロキサニルスチレン、ノナメチルテトラシロキサニルスチレン、ペンタデカメチルヘプタシロキサニルスチレン、ヘンエイコサメチルデカシロキサニルスチレン、ヘプタコサメチルトリデカシロキサニルスチレン、ヘントリアコンタメチルペンタデカシロキサニルスチレン、トリメチルシロキシペンタメチルジシロキシメチルシリルスチレン、トリス(ペンタメチルジシロキシ)シリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)メチルシリルスチレン、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、トリメチルシロキシビス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、ヘプタキス(トリメチルシロキシ)トリシリルスチレン、ノナメチルテトラシロキシウンデシルメチルペンタシロキシメチルシリルスチレン、トリス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、(トリストリメチルシロキシヘキサメチル)テトラシロキシ[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]トリメチルシロキシシリルスチレン、ノナキス(トリメチルシロキシ)テトラシリルスチレン、ビス(トリデカメチルヘキサシロキシ)メチルシリルスチレン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサニルスチレン、ヘプタメチルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、トリプロピルテトラメチルシクロテトラシロキサニルスチレン、トリメチルシリルスチレンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0064】
シリコン含有モノマーの量は、眼用レンズ材料の酸素透過性を充分に向上させようとするには、共重合成分全量の1重量%以上、好ましくは5重量%以上であることが望ましい。また、かかるシリコン含有モノマーの量が多くなりすぎ、前記モノマー(A−1)の量が相対的に少なくなって、本発明の目的とする眼用レンズ材料が得られにくくならないようにするには、シリコン含有モノマーの量は、共重合成分全量の90重量%以下、好ましくは80重量%以下であることが望ましい。
【0065】
本発明の製法(I)において、プレポリマーを調製する際の共重合成分に、前記モノマー(A−1)およびシリコン含有モノマーの他にもこれらと共重合可能な不飽和二重結合を有するモノマー(以下、他のモノマーという)を用いることができる。
【0066】
たとえば、得られる眼用レンズ材料にさらに抗脂質汚染性を付与させようとする場合には、他のモノマーとして、たとえば一般式(X):
CH2=CR13COOCvH(2v-w+1)Fw (X)
(式中、R13は水素原子またはCH3、vは1〜15の整数、wは1〜(2v+1)の整数を示す)で表わされるフッ素含有モノマーなどが用いられる。
【0067】
前記一般式(X)で表わされるフッ素含有モノマーの代表例としては、たとえば2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−t−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−t−ヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0068】
硬度を調節して眼用レンズ材料に硬質性または軟質性や柔軟性を付与させようとする場合には、他のモノマーとして、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル(メタ)アクリレート;2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;エチルチオエチル(メタ)アクリレート、メチルチオエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルチオアルキル(メタ)アクリレートなどが用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
得られる眼用レンズ材料の含水率を調節しようとする場合には、他のモノマーとして、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドンなどのラクタム;(メタ)アクリル酸;無水マレイン酸;マレイン酸;フマル酸;フマル酸誘導体;アミノスチレン;ヒドロキシスチレンなどの親水性モノマーが用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0070】
さらに、眼用レンズ材料にすぐれた耐汚染性、高酸素透過性および高機械的強度を付与させようとする場合には、他のモノマーとして、たとえば一般式(XI):
A7−U1−S1−U2−A8 (XI)
(式中、A7は一般式(XII):
Y21−R31− (XII)
(式中、Y21はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基またはアリル基、R31は炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基;
A8は一般式(XIII):
−R34−Y22 (XIII)
(式中、Y22はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基またはアリル基、R34は炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基;
U1は一般式(XIV):
−X21−E21−X25−R32− (XIV)
(式中、X21は共有結合、酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基、E21は−CONH−基(ただし、このばあい、X21は共有結合であり、E21はX25とウレタン結合を形成している)または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、このばあい、X21は酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基であり、E21はX21およびX25のあいだでウレタン結合を形成している);X25は酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基;R32は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基;
S1は一般式(XV):
【0071】
【化30】
【0072】
(式中、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基またはフェニル基、Kは1〜100の整数、Lは0〜(100−K)を満たす整数である)で表わされる基;
U2は一般式(XVI):
−R33−X26−E22−X22− (XVI)
(式中、R33は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、X22は共有結合、酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基、X26は酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基、E22は−CONH−基(ただし、このばあい、X22は共有結合であり、E22はX26とウレタン結合を形成している)または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、このばあい、X22は酸素原子または炭素数1〜6のアルキレングリコール基であり、E22はX22およびX26のあいだでウレタン結合を形成している)で表わされる基を示す)で表わされる重合性基が1個または2個のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマクロモノマーを用いることができる。
【0073】
前記一般式(XI)中のA7およびA8において、Y21およびY22はいずれも重合性基であり、好ましくはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基およびビニル基である。
【0074】
R31およびR34はいずれも炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基およびブチレン基である。
【0075】
U1およびU2において、E21およびE22はそれぞれ−CONH−基、または飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基を表わす。ここで、飽和もしくは不飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基としては、たとえばエチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの飽和脂肪族系ジイソシアネート由来の2価の基;1,2−ジイソシアネートシクロヘキサン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式系ジイソシアネート由来の2価の基;トリレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアネートナフタレンなどの芳香族系ジイソシアネート由来の2価の基;2,2′−ジイソシアネートジエチルフマレートなどの不飽和脂肪族系ジイソシアネート由来の2価の基があげられるが、これらのなかでは、比較的入手しやすく、かつ機械的強度を付与しやすいので、ヘキサメチレンジイソシアネート由来の2価の基、トリレンジイソシアネート由来の2価の基およびイソホロンジイソシアネート由来の2価の基が好ましい。
【0076】
前記U1およびU2中のX21、X25、X22およびX26における炭素数1〜6のアルキレングリコールとしては、たとえば一般式(XVII):
−O−(CaH2a−O)b− (XVII)
(式中、aは1〜4の整数、bは1〜5の整数を示す)で表わされる基などがあげられる。なお、かかる一般式(XVII)において、bが6以上の整数である場合には、酸素透過性が低下したり、機械的強度が低下する傾向があるため、bは1〜5の整数、とくに1〜3の整数であることが好ましい。
【0077】
S1を表わす一般式(XV)において、R23、R24、R25、R26、R27およびR28がフッ素置換されたアルキル基である場合、その具体例としては、たとえば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、3,3,3−トリフルオロイソプロピル基、3,3,3−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,3−トリフルオロイソブチル基、3,3,3−トリフルオロ−sec−ブチル基、3,3,3−トリフルオロ−t−ブチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−ペンチル基、3,3,3−トリフルオロイソペンチル基、3,3,3−トリフルオロチオペンチル基、3,3,3−トリフルオロヘキシル基などがあげられる。なお、かかるフッ素置換されたアルキル基を有するポリシロキサンマクロモノマーを用い、その配合量を多くすると、えられる眼用レンズ材料の耐汚染性がより向上する傾向がある。
【0078】
また、Kは1〜100の整数、Lは0〜(100−K)を満たす整数である。K+Lが100よりも大きい場合には、ポリシロキサンマクロモノマーの分子量が大きくなり、モノマー(A−1)や、このポリシロキサンマクロモノマー以外の他のモノマーとの相溶性がわるくなり、配合時に充分に溶解しなかったり、重合時に白濁し、均一で透明な眼用レンズ材料がえられなくなる傾向があり、また0である場合には、えられる眼用レンズ材料の酸素透過性が低くなるばかりでなく、柔軟性も低下する傾向がある。K+Lは、好ましくは10〜50の整数である。
【0079】
また、得られる眼用レンズ材料に高機械的強度およびすぐれた耐久性を付与させようとする場合には、他のモノマーとして、たとえばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アジピン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、α−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼンなどの架橋性モノマーが用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0080】
前記他のモノマーの量は、たとえばコンタクトレンズや眼内レンズなどの目的とする眼用レンズの用途に応じ、前記モノマー(A−1)およびシリコン含有モノマーとあわせて共重合成分全量が100重量%となるように適宜調整すればよい。
【0081】
なお、他のモノマーとして前記架橋性モノマーを用いる場合、その量は、かかる架橋性モノマーの効果の発現および眼用レンズ材料が脆くならないことを考慮すると、共重合成分全量の0.01〜10重量%程度であることが好ましい。
【0082】
本発明では、モノマー(A−1)およびシリコン含有モノマー、ならびに必要に応じて他のモノマーを所望量調整した共重合成分に、たとえばラジカル重合開始剤を添加して通常の方法で共重合させることにより、シリコーン化合物のプレポリマーを得ることができる。
【0083】
前記通常の方法とは、たとえば共重合成分にラジカル重合開始剤を配合したのち、この反応混合物を室温ないし約120℃の温度範囲で徐々に加熱するか、この反応混合物にマイクロ波、紫外線、放射線(γ線)などの電磁波を照射する方法である。さらに、加熱と電磁波照射とを併用する方法も採用することができる。加熱重合させるばあいには、反応混合物を段階的に昇温させてもよい。重合は塊状重合法によってなされてもよいし、溶液重合法によってなされてもよく、またその他の方法によってなされてもよい。
【0084】
なお、前記溶液重合法を採用する場合、反応混合物には溶媒またはその混合物を加えればよい。目的とするプレポリマーの分子量を得るために、溶媒の連鎖移動定数を考慮して、一般的な有機溶媒およびその混合物を用いることができる。かかる有機溶媒としては、たとえばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどの炭素数1〜12のアルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの炭素数2〜4のケトン;アセトニトリル;テトラヒドロフラン;塩化メチレン;クロロホルムなどがあげられ、その量は、反応混合物全量100重量部(以下、部という)に対して0.1〜100部程度、好ましくは20〜60部程度であることが望ましい。
【0085】
前記ラジカル重合開始剤の代表例としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0086】
なお、電磁波を利用して共重合させる場合には、たとえばメチルオルソベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテルなどのベンゾイン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、o−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノンなどのフェノン系光重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム;2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソンなどのチオキサンソン系光重合開始剤;ジベンゾスバロン;2−エチルアンスラキノン;ベンゾフェノンアクリレート;ベンゾフェノン;ベンジルなどの光重合開始剤を、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。またこのほかにも、たとえば1,2−ベンゾアントラキノンなどの光重合増感剤をさらに反応混合物に添加することが好ましい。前記重合開始剤や光重合増感剤の量は、共重合成分全量100部に対して0.001〜2部程度、好ましくは0.01〜1部程度であることが望ましい。
【0087】
かくしてシリコーン化合物のプレポリマーが調製され、該プレポリマーから得られるシリコーン化合物を成形して目的とする眼用レンズに成形することも可能であるが、本発明の製法(I)においては、該シリコーン化合物のプレポリマーと、該プレポリマーの調製時に用いたモノマー(A−1)と反応し得る化合物(B−1)とを反応させる前に、通常、該プレポリマーを目的とする眼用レンズに成形することが好ましい。
【0088】
プレポリマーをコンタクトレンズや眼内レンズなどの眼用レンズとして成形する場合には、当業者が通常行なっている成形方法が採用される。かかる成形方法としては、たとえば切削加工法や鋳型(モールド)法などがある。切削加工法は、共重合を適当な型または容器中で行ない、棒状、ブロック状、板状の素材(共重合体:プレポリマー)を得たのち、切削加工、研磨加工などの機械的加工により所望の形状に加工する方法である。また鋳型法は、所望の眼用レンズの形状に対応した型を用意し、この型のなかで前記共重合成分の共重合を行なって成形物(共重合体:プレポリマー)を得、必要に応じて機械的に仕上げ加工を施す方法である。
【0089】
さらに、眼内レンズを得るばあいには、レンズの支持部をレンズとは別に作製し、あとでレンズに取付けてもよいし、レンズと同時に(一体的に)成形してもよい。
【0090】
つぎに、かくして得られたシリコーン化合物のプレポリマーと、該プレポリマーの調製時に用いたモノマー(A−1)と反応し得る、シリコーン化合物に−POO-、−SOO-または−COO-を有せしめる化合物(B−1)とを反応させ、双性イオン性基(I)または(II)を有するシリコーン化合物を調製する(ポリマー反応により双性イオン性基を導入する)。
【0091】
前記化合物(B−1)は、シリコーン化合物の双性イオン性基(I)または(II)中、アニオン部分を構成するものである。
【0092】
化合物(B−1)の代表例としては、たとえば一般式(V)
【0093】
【化31】
【0094】
(式中、Z1は−O−、−S−、−NH−または直接結合、Z2はPまたはS、Z3は一般式:−O−R8(式中、R8は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を示す)で表わされる基、一般式:−S−R8(式中、R8は前記と同じ)で表わされる基、一般式:−NH−R8(式中、R8は前記と同じ)で表わされる基または=O、n1は1〜20の整数を示す)で表わされる化合物(B−1a)、一般式(VI):
X1−R9−COO−M (VI)
(式中、X1はハロゲン原子、Mはアルカリ金属原子、R9は式:
【0095】
【化32】
【0096】
(式中、A4は−O−、−S−、−NH−または直接結合、sおよびtはそれぞれ独立して1〜20の整数を示す)で表わされる基を示す)で表わされる化合物(B−1b)などがあげられ、化合物(B−1a)とプレポリマーとの反応により双性イオン性基(I)を、化合物(B−1b)とプレポリマーとの反応により双性イオン性基(II)を有するシリコーン化合物が調製される。
【0097】
化合物(B−1a)を表わす一般式(V)において、R8はたとえば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基などであることが好ましい。化合物(B−1a)のなかでも、とくに式:
【0098】
【化33】
【0099】
で表わされる1,3−プロパンスルトンが好ましく用いられる。
【0100】
化合物(B−1b)を表わす一般式(VI)において、X1はたとえば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、Mはナトリウム原子、カリウム原子などのアルカリ金属原子であることが好ましい。化合物(B−1b)のなかでも、とくにCl−CH2−COONa、Cl−CH2−COOKなどのモノクロロ酢酸塩が好ましく用いられる。
【0101】
プレポリマーと化合物(B−1)との反応は、溶媒を用いずに行なってもよく、また有機溶媒を用いて行なってもよい。
【0102】
溶媒を用いずにプレポリマーと化合物(B−1)とを反応させる際の両者の割合は、得られるシリコーン化合物にすぐれた耐汚染性が充分に付与されるようにするには、プレポリマー中の官能基(化合物(B−1)と反応し得る、モノマー(A−1)由来の、一般式(IV)で表わされるジアルキルアミノアルキル基)1モルに対して化合物(B−1)が0.01モル以上、好ましくは1モル以上となるようにすることが望ましく、また未反応の化合物(B−1)が反応後にシリコーン化合物から除去されにくくならないようにするには、プレポリマー中の官能基1モルに対して化合物(B−1)が100モル以下、好ましくは80モル以下となるようにすることが望ましい。
【0103】
有機溶媒を用いてプレポリマーと化合物(B−1)とを反応させる際に、まず有機溶媒中でプレポリマーを充分に膨潤させたのち、これと化合物(B−1)とを反応させると、プレポリマー内部にまで双性イオン化が施されるという利点がある。
【0104】
有機溶媒の代表例としては、たとえばテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などの非プロトン性溶媒などがあげられ、これらのなかでは、アセトニトリル、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0105】
有機溶媒を用いて反応させる場合、反応が起こりやすくなり、その結果、得られるシリコーン化合物に充分にすぐれた耐汚染性が付与されるようにするには、化合物(B−1)が有機溶媒の0.01mol/L以上、好ましくは0.1mol/L以上であることが望ましく、また未反応の化合物(B−1)が反応後にシリコーン化合物から除去されにくくならないようにするには、化合物(B−1)が有機溶媒の20mol/L以下、好ましくは5mol/L以下であることが望ましい。ここで、有機溶媒の種類、使用量は、反応に用いられる化合物(B−1)の濃度を考慮する一方、双性イオン性基の導入量を高めたい場合には、プレポリマーを充分に膨潤させることも考慮して決定することが好ましい。これら双方の点を考慮しても、アセトニトリルおよび塩化メチレンが好ましく、その使用量は、通常プレポリマー1gにつき1〜100ml程度を目安にすることが好ましい。また有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒および化合物(B−1)を充分に撹拌あるいは振盪し、均一に反応を進行させることが重要である。
【0106】
プレポリマーと化合物(B−1)との反応時間にはとくに限定がないが、得られるシリコーン化合物に充分にすぐれた耐汚染性が付与されるようにするには、1分間以上、好ましくは30分間以上であることが望ましく、またプレポリマー中に不安定なモノマー由来のセグメントが存在している場合、結合開裂が起こる可能性をなくすには、100時間以下、好ましくは24時間以下であることが望ましい。
【0107】
プレポリマーと化合物(B−1)との反応温度にもとくに限定がないが、反応を起こりやすくし、得られるシリコーン化合物に充分にすぐれた耐汚染性が付与されるようにするには、−30℃以上、好ましくは20℃以上であることが望ましく、またプレポリマー中に不安定なモノマー由来のセグメントが存在している場合、結合開裂が起こる可能性をなくすには、150℃以下、好ましくは80℃以下であることが望ましい。
【0108】
プレポリマーと化合物(B−1)とのポリマー反応終了後は、有機溶媒により未反応化合物の抽出を行なうことができる。かかる抽出に用いられる有機溶媒は、未反応化合物を溶解させ得るものであればよく、たとえばエタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレンなどが好ましい。未反応化合物を抽出する場合、たとえば通常のソックスレー抽出器を用いたソックスレー抽出法を採用すればよい。抽出後には、必要に応じて得られたシリコーン化合物(眼用レンズ材料)を水中で煮沸処理してもよい。
【0109】
かくして本発明の製法(I)により双性イオン性基(I)または双性イオン性基(II)を有するシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料が製造される。かかるシリコーン化合物中の双性イオン性基(I)または(II)の導入量は、前記のごとき反応時の有機溶媒の有無、有機溶媒を用いる場合の種類および量、反応溶液濃度、反応時間、反応温度などに応じて適宜変化させることができるが、シリコーン化合物に充分に耐汚染性を付与させようとするには、かかる双性イオン性基の導入量がモノマー重量部換算で0.5重量%以上、好ましくは2重量%以上となるようにすることが望ましく、またシリコーン化合物の柔軟性や機械的強度が低下しないようにするためには、導入量がモノマー重量部換算で50重量%以下、好ましくは40重量%以下となるようにすることが望ましい。本明細書において、かかる双性イオン性基の導入量とは、X線光電子分光装置(XPS)を使用し、シリコーン化合物試験片の表面および内部の元素分析(炭素、酸素、チッ素、ケイ素、硫黄またはリン)を実施し、測定値と計算値との比より算出した値をいう。なお、XPSはマグネシウムの特性X線を物質に照射し、放出される光電子のエネルギーを測定する分析方法であり、物質の化学結合状態の同定などに用いられるものである。また、「モノマー重量部換算」については、[実施例]の欄にて具体的に説明する。
【0110】
つぎに、本発明の製法(II)について説明する。
【0111】
本発明の製法(II)によれば、まずシリコーン化合物のプレポリマーを調製するが、この際、水酸基含有モノマー(A−2)およびシリコン含有モノマーを含む共重合成分を共重合させる。
【0112】
水酸基含有モノマー(A−2)の代表例としては、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;一般式(XVIII):
【0113】
【化34】
【0114】
(式中、R14は水素原子またはメチル基、dは2〜9の整数を示す)で表わされるモノマーなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0115】
水酸基含有モノマー(A−2)の量は、最終的に双性イオン性基を構成し得る、リン原子を有するハロゲン化環状化合物(B−2)との反応が充分に進行し、得られる眼用レンズ材料にすぐれた耐汚染性および涙濡れ性が付与されるようにするには、共重合成分全量の0.5重量%以上、好ましくは2重量%以上であることが望ましい。また、眼用レンズ材料の柔軟性や機械的強度が低下してしまわないようにするには、水酸基含有モノマー(A−2)の量は、共重合成分全量の50重量%以下、好ましくは40重量%以下であることが望ましい。
【0116】
シリコン含有モノマーにはとくに限定がなく、たとえば前記製法(I)にて例示されたモノマーなどを好適に用いることができる。
【0117】
シリコン含有モノマーの量も、製法(I)における量の規定と同じ理由で、共重合成分全量の5重量%以上、好ましくは10重量%以上であることが望ましく、また90重量%以下、好ましくは80重量%以下であることが望ましい。
【0118】
本発明の製法(II)において、プレポリマーを調製する際の共重合成分に、前記水酸基含有モノマー(A−2)およびシリコン含有モノマーの他にもこれらと共重合可能な不飽和二重結合を有するモノマー(以下、他のモノマーという)を用いることができる。
【0119】
前記他のモノマーの代表例としては、たとえば前記製法(I)にて例示された他のモノマー(ただし、親水性モノマーとして例示されたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを除く)などを好適に用いることができる。
【0120】
他のモノマーの量は、目的とする眼用レンズの用途に応じ、前記水酸基含有モノマー(A−2)およびシリコン含有モノマーとあわせて共重合成分全量が100重量%となるように適宜調整すればよい。
【0121】
なお、他のモノマーとして架橋性モノマーを用いる場合、その量は、前記製法(I)と同様に、共重合成分全量の0.01〜10重量%程度であることが好ましい。
【0122】
製法(II)において、シリコーン化合物のプレポリマーの調製には、前記製法(I)のシリコーン化合物のプレポリマーの調製方法を適宜採用することができる。
【0123】
かくしてシリコーン化合物のプレポリマーが調製され、該プレポリマーから得られるシリコーン化合物を成形して目的とする眼用レンズに成形することも可能であるが、本発明の製法(II)においては、製法(I)の場合と同様に、該シリコーン化合物のプレポリマーとハロゲン化環状化合物(B−2)とを反応させる前に、通常、該プレポリマーを目的とする眼用レンズに成形することが好ましい。
【0124】
プレポリマーを眼用レンズとして成形する方法としても、前記製法(I)と同様の方法を採用することができる。
【0125】
つぎに、本発明の製法(II)では、双性イオン性基(III)を導入してシリコーン化合物を調製する際に、段階的に反応させる。
【0126】
すなわち、まず触媒としてたとえば3級アミンなどを用い、前記のごとく得られたシリコーン化合物のプレポリマー(中の水酸基)とリン原子を有するハロゲン化環状化合物(B−2)とを反応させてプレポリマー(B′)を調製したのち、トリアルキルアミン(C−1)にてプレポリマー(B′)中のハロゲン化環状化合物(B−2)由来のホスホラン部分(環状部分)を開環させ、双性イオン性基(III)を有するシリコーン化合物を調製する。
【0127】
前記化合物(B−2)は、シリコーン化合物の双性イオン性基(III)中、アニオン部分を構成するものである。
【0128】
化合物(B−2)の代表例としては、たとえば一般式(VIII):
【0129】
【化35】
【0130】
(式中、Z4およびZ5はそれぞれ独立して−O−、−S−、−NH−または直接結合(ただし、Z4およびZ5は同時に直接結合ではない)、X2はハロゲン原子、n2は1〜20の整数を示す)で表わされる化合物(B−2a)などがあげられる。
【0131】
前記化合物(B−2a)を表わす一般式(VIII)において、X2はたとえば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子である。化合物(B−2a)のなかでも、とくに式:
【0132】
【化36】
【0133】
で表わされる2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランが好ましく用いられる。
【0134】
前記3級アミンとしては、たとえばトリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、ウロトロピン、ジメチルアミノピリジン、ルチジンなどがあげられる。これらのなかでは、とくにトリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミンが好ましく用いられる。
【0135】
プレポリマーと化合物(B−2)との反応も、製法(I)におけるプレポリマーと化合物(B−1)との反応と同様に、有機溶媒の有無を問わない。
【0136】
溶媒を用いずにプレポリマーと化合物(B−2)とを反応させる際の両者の割合は、製法(I)のプレポリマーと化合物(B−1)との割合と同様に、プレポリマー中の官能基(水酸基含有モノマー(A−2)由来の水酸基)1モルに対して化合物(B−2)が0.01モル以上、好ましくは1モル以上となるようにすることが望ましく、また未反応の化合物(B−2)が反応後にプレポリマー(B′)から除去されにくくならないようにするには、プレポリマー中の官能基1モルに対して化合物(B−2)が100モル以下、好ましくは30モル以下となるようにすることが望ましい。
【0137】
有機溶媒を用いてプレポリマーと化合物(B−2)とを反応させる際に、まず有機溶媒中でプレポリマーを充分に膨潤させたのち、これと化合物(B−2)とを反応させると、プレポリマー内部にまで双性イオン化が施されるという利点がある。
【0138】
用いる有機溶媒は、製法(I)で例示されたものと同様のものでよい。
【0139】
有機溶媒を用いて反応させる場合、反応が起こりやすくなるようにするには、化合物(B−2)が有機溶媒の0.01mol/L以上、好ましくは0.1mol/L以上であることが望ましく、また未反応の化合物(B−2)が反応後にプレポリマー(B′)から除去されにくくならないようにするには、化合物(B−2)が有機溶媒の20mol/L以下、好ましくは5mol/L以下であることが望ましい。ここで、有機溶媒の種類、使用量は、製法(I)と同様に、反応に用いられる化合物(B−2)の濃度を考慮する一方、双性イオン性基の導入量を高めたい場合には、プレポリマーを充分に膨潤させることも考慮し、アセトニトリルおよび塩化メチレンが好ましく、その使用量は、通常プレポリマー1gにつき1〜100ml程度を目安にすればよい。また有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒および化合物(B−2)を充分に撹拌あるいは振盪し、均一に反応を進行させることが重要である。
【0140】
プレポリマーと化合物(B−2)との反応時間および反応温度にはとくに限定がないが、副反応を抑制し、反応を速やかに進行させるためには、反応温度が−50〜50℃、好ましくは−30〜0℃、反応時間が30分間〜50時間、好ましくは1〜24時間であることが望ましい。
【0141】
プレポリマーと化合物(B−2)との反応終了後は、たとえばエタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレンなどの有機溶媒により未反応化合物の抽出を行なうことができる。
【0142】
ついで、前記のごとく得られたプレポリマー(B′)と一般式(VII):
【0143】
【化37】
【0144】
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す(ただし、3個のR4は同一であってもよく、異なっていてもよい))で表わされるトリアルキルアミン(C−1)とを反応させ、双性イオン性基(III)を有するシリコーン化合物を調製する(ポリマー反応により双性イオン性基を導入する)。
【0145】
前記トリアルキルアミン(C−1)由来のN+は、シリコーン化合物の双性イオン性基(III)中、カチオン部分を構成するものである。
【0146】
トリアルキルアミン(C−1)の代表例としては、たとえばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミンなどがあげられる。
【0147】
プレポリマー(B′)とトリアルキルアミン(C−1)との反応も、プレポリマーと化合物(B−2)との反応と同様に、有機溶媒の有無を問わず、かかる有機溶媒の例示としても同様のものがあげられる。
【0148】
プレポリマー(B′)とトリアルキルアミン(C−1)とを反応させる際の両者の割合は、プレポリマー(B′)中のホスホラン部分(環状部分)を充分に開環させるには、プレポリマー(B′)中のホスホラン部分1モルに対してトリアルキルアミン(C−1)が0.8モル以上、好ましくは1モル以上となるようにすることが望ましく、また反応後の未反応物を除去しやすくするには、プレポリマー(B′)中のホスホラン部分1モルに対してトリアルキルアミン(C−1)が20モル以下、好ましくは18モル以下となるようにすることが望ましい。
【0149】
プレポリマー(B′)とトリアルキルアミン(C−1)との反応時間にはとくに限定がないが、得られるシリコーン化合物に充分にすぐれた耐汚染性が付与されるようにするには、1時間以上、好ましくは5時間以上であることが望ましく、またプレポリマー(B′)中に不安定なモノマー由来のセグメントが存在している場合、結合開裂が起こる可能性をなくすには、100時間以下、好ましくは50時間以下であることが望ましい。
【0150】
プレポリマー(B′)とトリアルキルアミン(C−1)との反応温度にもとくに限定がないが、反応を起こりやすくし、得られるシリコーン化合物に充分にすぐれた耐汚染性が付与されるようにするには、−30℃以上、好ましくは0℃以上であることが望ましく、またプレポリマー(B′)中に不安定なモノマー由来のセグメントが存在している場合、結合開裂が起こる可能性をなくすには、150℃以下、好ましくは80℃以下であることが望ましい。
【0151】
プレポリマー(B′)とトリアルキルアミン(C−1)とのポリマー反応終了後は、たとえばエタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、塩化メチレンなどの有機溶媒により未反応化合物の抽出を行なうことができる。未反応化合物を抽出する場合、たとえば通常のソックスレー抽出器を用いたソックスレー抽出法を採用すればよい。抽出後には、必要に応じて得られたシリコーン化合物(眼用レンズ材料)を水中で煮沸処理してもよい。
【0152】
かくして本発明の製法(II)により双性イオン性基(III)を有するシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料が製造される。かかるシリコーン化合物中の双性イオン性基(III)の導入量は、前記のごとき反応時の有機溶媒の有無、有機溶媒を用いる場合の種類および量、反応溶液濃度、反応時間、反応温度などに応じて適宜変化させることができるが、シリコーン化合物に充分に耐汚染性を付与させようとするには、かかる双性イオン性基の導入量がモノマー重量部換算で0.5重量%以上、好ましくは2重量%以上となるようにすることが望ましく、またシリコーン化合物の柔軟性や機械的強度が低下しないようにするためには、導入量がモノマー重量部換算で50重量%以下、好ましくは40重量%以下となるようにすることが望ましい。
【0153】
このように、本発明の眼用レンズ材料は、一般式(I)、(II)または(III)で表わされる特定の双性イオン性基(I)、(II)または(III)を有するシリコーン化合物からなるものであるので、透明性にすぐれることはもちろんのこと、高酸素透過性を有し、しかも耐汚染性および涙濡れ性にも同時にすぐれる。
【0154】
また、本発明の製法によれば、前記のごときすぐれた眼用レンズ材料を容易に製造することができる。
【0155】
【実施例】
つぎに、本発明の眼用レンズ材料およびその製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0156】
実施例1(スルホプロピルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
(1)シリコーン化合物のプレポリマーの調製
共重合成分として、式:
【0157】
【化38】
【0158】
で表わされるウレタン結合含有ポリシロキサンマクロモノマー(以下、マクロモノマーAという)10部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(以下、SiMAという)40部、N,N−ジメチルアクリルアミド(以下、DMAAという)45部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(以下、DMAEMAという)5部およびエチレングリコールジメタクリレート(以下、EDMAという)0.5部、ならびに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、V−65という)0.1部を均一となるように混合し、透明な溶液を得た。得られた溶液をガラス製の試験管内に注入した。
【0159】
つぎに、この試験管を恒温水槽内に移し、35℃で40時間、50℃で8時間加熱したのち、熱風循環式乾燥器内に移し、2時間あたり10℃の割合で110℃まで昇温させて重合を行ない、直径13.5mmの棒状の共重合体(プレポリマー)を得た。得られた共重合体は透明性にすぐれたものであり、眼用レンズ材料として好適に使用し得るものであった。
【0160】
得られた棒状の共重合体に、最終的に0.2mmの厚さとなるように切削研磨加工を施し、プレートを作製した。
【0161】
(2)ポリマー反応による、双性イオン性基であるスルホプロピルアンモニウムベタインの導入(シリコーン化合物の調製)
シリコーン化合物の製造方法を以下の反応式(A)にて示す。
反応式(A)
【0162】
【化39】
【0163】
レンズバイアル瓶中にて、プレート1枚(乾燥重量:0.018g)につきアセトニトリル1.0mlに浸漬させ、プレートを膨潤させた。つぎに、1,3−プロパンスルトン0.015g(0.125mmol)を添加して密栓したのち、振盪機能付恒温水槽中で60℃に調整し、5時間振盪させて反応させた。
【0164】
反応終了後、アセトン中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去してシリコーン化合物のプレートを得た。ついで、プレートを生理食塩水に浸漬したのち、8時間煮沸して水和処理を施し、透明な試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0165】
得られた試験片の各物性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0166】
(イ)透明性
水中での試験片を肉眼で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:透明
△:わずかに不透明
×:いちじるしく不透明
【0167】
(ロ)含水率
水和処理後の平衡含水状態での試験片の重量W(g)およびこの試験片を乾燥器中で乾燥させた乾燥状態での重量Wo(g)をそぞれ測定し、以下の式に基づいて含水率(重量%)を求めた。
含水率(重量%)={(W−Wo)/W}×100
【0168】
(ハ)屈折率
(株)アタゴ製の屈折率計1Tを用い、温度25℃、相対湿度50%の条件下で屈折率(単位なし)を測定した。
【0169】
(ニ)酸素透過係数(Dk)
理科精機工業(株)製の製科研式フィルム酸素透過率計を用い、35℃の生理食塩水中にて試験片の酸素透過係数を測定した。なお、酸素透過係数の単位は、(cm2/sec)・(mlO2/(ml×mmHg))であり、表1および後述する表2、表3中の酸素透過係数は、厚さ0.2mmまたは0.4mmの試験片の実測値に1011を乗じた数値である。
【0170】
(ホ)耐汚染性
▲1▼タンパク質付着性試験
FDA人工涙液(タンパク質濃度:6.69mg/ml)中に試験片を浸漬させ、37℃で5時間振盪したのち、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液にて37℃で3時間抽出を行なった。抽出液中のタンパク質をビシンコニン酸法にて定量し、試験片1cm2あたりのタンパク質付着量(μg/cm2)を求めた。
【0171】
▲2▼脂質付着性試験
主成分としてワックスエステル、コレステロールエステル、トリパルミチンなどを含有する人工眼脂(脂質濃度:5.0mg/ml)中に試験片を浸漬させ、37℃で5時間振盪したのち、エタノール/ジエチルエーテル混合溶液(体積比:1/1)にて25℃で10分間抽出を行なった。抽出液中の脂質を硫酸・リン酸バニリン法にて定量し、試験片1cm2あたりの脂質付着量(mg/cm2)を求めた。
【0172】
実施例2〜4(スルホプロピルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
実施例1において、シリコーン化合物のプレポリマーを調製する際の共重合成分の組成を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様にしてシリコーン化合物のプレポリマーを調製し、ついでシリコーン化合物のプレートを調製し、さらに透明な試験片を得た。
【0173】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0174】
実施例5(ホスホリルエチルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
(1)2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランの合成
2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランの合成方法を以下の反応式(B)にて示す。
反応式(B)
【0175】
【化40】
【0176】
ジムロート冷却管および滴下ロートを取り付けた三つ口フラスコに、乾燥ジエチルエーテル40ml、メタノール0.32g(10mmol)およびトリエチルアミン1.01g(10mmol)の混合溶液を添加し、氷浴で0℃まで冷却した。
【0177】
つぎに、前記三つ口フラスコ内に、乾燥ジエチルエーテル25mlに溶解させた2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン1.43g(10mmol)を5℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、内容物を室温まで加熱し、16時間撹拌させて2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを得た。
【0178】
なお、得られた2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランは、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して除去し、溶媒を減圧留去したのち、アセトニトリル溶液に置換して使用した。
【0179】
(2)シリコーン化合物のプレポリマーの調製
実施例2と同様にしてプレートを作製した。
【0180】
(3)ポリマー反応による、双性イオン性基であるホスホリルエルチアンモニウムベタインの導入(シリコーン化合物の調製)
シリコーン化合物の製造方法を以下の反応式(C)にて示す。
反応式(C)
【0181】
【化41】
【0182】
レンズバイアル瓶中にて、プレート1枚(乾燥重量:0.020g)につきアセトニトリル1.0mlに浸漬させ、プレートを膨潤させた。つぎに、2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン0.11g(0.80mmol)を添加して密栓したのち、振盪機能付恒温水槽中で60℃に調整し、5時間振盪させて反応させた。
【0183】
反応終了後、アセトン中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去してシリコーン化合物のプレートを得た。こののち、このプレートに実施例1と同様にして水和処理を施し、透明な試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0184】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0185】
実施例6(ホスホリルエチルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
(1)シリコーン化合物のプレポリマーの調製
共重合成分として、マクロモノマーA40部、SiMA30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAという)25部、DMAEMA5部およびEDMA1.0部の混合溶液を調製したのち、希釈剤として1−ブタノールを共重合成分全量100部に対して60部混合した。さらに、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(以下、HMPPOという)を共重合成分全量100部に対して0.2部添加し、均一に混合した。
【0186】
つぎに、この混合物をポリプロピレン製の所望のプレート形状の成形型内に充填し、室温下で1時間紫外線を照射して共重合体(プレポリマー)プレートを得た。得られたプレートは透明性にすぐれたものであり、眼用レンズ材料として好適に使用し得るものであった。このプレートに対し、2−プロパノール中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去した。
【0187】
(2)ポリマー反応による、双性イオン性基であるホスホリルエチルアンモニウムベタインの導入(シリコーン化合物の調製)
まず、2−プロパノール中のプレートに対し、溶媒をアセトニトリルに充分に置換した。
【0188】
つぎに、レンズバイアル瓶中にて、プレート1枚(乾燥重量:0.06g)につきアセトニトリル1.0mlに浸漬させ、プレートを膨潤させた。さらに、実施例5で合成した2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン0.105g(0.76mmol)を添加して密栓したのち、振盪機能付恒温水槽中で室温に調整し、5時間振盪させて反応させた。
【0189】
反応終了後、アセトン中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去してシリコーン化合物のプレートを得た。こののち、このプレートに実施例1と同様にして水和処理を施し、透明な試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0190】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0191】
実施例7(ホスホリルエチルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
実施例6において、シリコーン化合物のプレポリマーを調製する際の共重合成分の組成を表1に示すように変更したほかは、実施例6と同様にしてシリコーン化合物のプレポリマーを調製し、ついでシリコーン化合物のプレートを調製し、さらに透明な試験片を得た。
【0192】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0193】
実施例8(スルホプロピルアンモニウムベタインを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
(1)シリコーン化合物のプレポリマーの調製
共重合成分として、トリス(トリメチルシロキシシリル)スチレン(以下、SiStという)46部、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(以下、6FMAという)54部、DMAEMA10部、ビニルベンジルメタクリレート(以下、VBMAという)6部およびEDMA1部、ならびに重合開始剤としてV−65 0.1部を均一となるように混合し、透明な溶液を得た。得られた溶液をガラス製の試験管内に注入した。
【0194】
つぎに、この試験管を恒温水槽内に移し、35℃で40時間、50℃で8時間加熱したのち、熱風循環式乾燥器内に移し、2時間あたり10℃の割合で120℃まで昇温させて重合を行ない、直径15.0mmの棒状の共重合体(プレポリマー)を得た。得られた共重合体は透明性にすぐれたものであり、眼用レンズ材料として好適に使用し得るものであった。
【0195】
得られた棒状の共重合体に、最終的に0.2mmまたは4.0mmの厚さとなるように切削研磨加工を施し、プレートを作製した。
【0196】
(2)ポリマー反応による、双性イオン性基であるスルホプロピルアンモニウムベタインの導入(シリコーン化合物の調製)
1,3−プロパンスルトン0.015g(0.125mmol)を入れたレンズバイアル瓶中にプレート1枚(乾燥重量:0.018g)を入れて密栓したのち、振盪機能付恒温水槽中で60℃に調整し、5時間振盪させて反応させた。
【0197】
反応終了後、エタノール中にプレートを約8時間浸漬させ、未反応物を除去してシリコーン化合物のプレートを得た。こののち、このプレートをメニコンO2ケア((株)メニコン製)にて洗浄して乾燥させ、透明な試験片を得た。
【0198】
得られた試験片の物性として、透明性、屈折率、酸素透過係数および耐汚染性(脂質付着性試験)を実施例1と同様にして、また接触角を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表2に示す。
【0199】
(ヘ)接触角
エルマ光学(株)製のゴニオメーター式接触角測定装置G−1を用い、厚さ4.0mmの乾燥試験片の接触角(度)を、温度25℃で液滴法にて測定した。
【0200】
実施例9(ホスホリルコリンを双性イオン性基として含有したシリコーン化合物からなる眼用レンズ材料)
(1)シリコーン化合物のプレポリマーの調製
共重合成分として、マクロモノマーA40部、SiMA30部、HEMA30部およびEDMA1.0部の混合溶液を調製したのち、希釈剤として1−ブタノールを共重合成分全量100部に対して60部混合した。さらに、光重合開始剤としてHMPPOを共重合成分全量100部に対して0.2部添加し、均一に混合した。
【0201】
つぎに、この混合物をポリプロピレン製の所望のプレート形状の成形型内に充填し、室温下で1時間紫外線を照射して共重合体(プレポリマー)プレートを得た。得られたプレートは透明性にすぐれたものであり、眼用レンズ材料として好適に使用し得るものであった。このプレートに対し、2−プロパノール中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去した。
【0202】
(2)ポリマー反応による、双性イオン性基であるホスホリルコリンの導入(シリコーン化合物の調製)
シリコーン化合物の製造方法を以下の反応式(D)にて示す。
反応式(D)
【0203】
【化42】
【0204】
まず、2−プロパノール中のプレートに対し、溶媒をアセトニトリルに充分に置換した。
【0205】
つぎに、レンズバイアル瓶中にて、プレート10枚(乾燥重量:0.60g)につきアセトニトリル40mlに浸漬させ、プレートを膨潤させた。ついで、トリエチルアミン2.00g(20mmol)を添加し、ドライアイス/メタノールを用いて−15℃まで冷却した。これを−10℃以下に保ちながら、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン2.86g(20mmol)を1時間かけて徐々に滴下したのち、2時間撹拌を続けた。反応終了後、室温まで戻し、プレートを取り出してアセトニトリル中に浸漬し、未反応物を抽出した。
【0206】
つぎに、メジューム瓶内のアセトニトリル30mL中にプレートを浸漬させ、トリメチルアミン10.0ml(約20mmol)を添加し、密栓をして50℃にて24時間反応させた。
【0207】
反応終了後、室温まで戻してプレートを取り出し、エタノール中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去してシリコーン化合物のプレートを得た。こののち、このプレートに実施例1と同様にして水和処理を施し、透明な試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0208】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を以下に示す。
透明性:評価○
含水率:19重量%
屈折率:1.422(単位なし)
酸素透過係数:56×10-11(cm2/sec)・(mlO2/ml×mmHg)
耐汚染性
タンパク質付着量:0.24μg/cm2
脂質付着量:0.88mg/cm2
【0209】
さらに、プレポリマー中の官能基(水酸基)1モルに対する化合物(B−2)の量は15モル、有機溶媒に対する化合物(B−2)の割合は0.5mol/L、プレポリマー(B′)中のホスホラン部分1モルに対するトリアルキルアミン(C−1)(トリメチルアミン)の量は15モルおよびシリコーン化合物の双性イオン基の導入量は26重量%(モノマー重量部換算)であった。
【0210】
比較例1
マクロモノマーA10部、SiMA40部、DMAA50部およびEDMA0.3部を混合し、透明なモノマー溶液を調製した。つぎに、双性イオン性基含有モノマーとして式:
【0211】
【化43】
【0212】
で表わされるジメチル−2−メタクリロイルオキシエチル−3−スルホプロピルアンモニウムベタインモノマー(以下、SAMAという)5部と、モノマー溶液およびSAMAをあわせた重合成分全量100部に対して60部となるように希釈剤としてメタノールとを混合したのち、これをモノマー溶液中に加えた。すると、得られた混合溶液はわずかに不透明となった。さらに、光重合開始剤とてHMPPOを重合成分全量100部に対して0.2部添加し、均一に混合した。
【0213】
つぎに、この混合物をポリプロピレン製の所望のプレート形状の成形型内に充填し、室温下で1時間紫外線を照射して共重合体を得た。しかしながら、得られた共重合体は完全に不透明で透明性を失っており、眼用レンズ材料として使用し得るものではなかった。
【0214】
比較例2
実施例1において、DMAEMAを用いなかったほかは実施例1と同様にして棒状の共重合体を調製し、これに最終的に0.2mmの厚さとなるように切削研磨加工を施してプレートを作製した。こののち、このプレートに実施例1と同様にして水和処理を施し、試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0215】
得られた試験片の各物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0216】
比較例3〜5
表3に示す組成となるようにモノマー混合物(重合成分)を調製したのち、希釈剤としてメタノール/水混合溶液(重量比:1/1)を重合成分全量100部に対して50部混合した。さらに、光重合開始剤としてHMPPOを重合成分全量100部に対して0.2部添加し、均一に混合した。
【0217】
つぎに、この混合物をポリプロピレン製の所望のプレート形状の成形型内に充填し、室温下で1時間紫外線を照射して共重合体プレートを得た。得られたプレートに対し、メタノール中で約8時間にわたってソックスレー抽出を実施し、未反応物を除去した。こののち、このプレートに実施例1と同様にして水和処理を施し、試験片(ヒドロゲル)を得た。
【0218】
得られた試験片の物性として、透明性、含水率および酸素透過係数を実施例1と同様にして調べた。その結果を表3に示す。
【0219】
比較例6
実施例8において、DMAEMAを用いなかったほかは実施例8と同様にして棒状の共重合体を調製し、これに最終的に0.2mmまたは4.0mmの厚さとなるように切削研磨加工を施してプレートを作製した。こののち、このプレートを実施例8と同様にして界面活性剤(メニコンO2ケア)にて洗浄して乾燥させ、試験片を得た。
【0220】
得られた試験片の各物性を実施例8と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0221】
なお、表1および表2中、「双性イオン性基の種類」の略号は、それぞれ以下のことを示す。
SA:スルホプロピルアンモニウムベタイン
PA:ホスホリルエチルアンモニウムベタイン
【0222】
また、表3中、重合成分のMPCは、式:
【0223】
【化44】
【0224】
で表わされる2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを示し、比較例3の酸素透過係数は、厚さ0.4mmの試験片についての測定値である。
【0225】
さらに、表1および表2には、プレポリマー中の官能基(ジアルキルアミノアルキル基)1モルに対する化合物(B−1)の量(モル)、有機溶媒に対する化合物(B−1)の割合(mol/L)およびシリコーン化合物の双性イオン性基の導入量(重量%(モノマー重量部換算))をあわせて示す。
【0226】
なお、前記双性イオン性基の導入量(重量%(モノマー重量部換算))は、以下の算出方法にて算出した。
【0227】
X線光電子分光装置(日本電子(株)製、JPS−9000MX型)を使用し(XPS)、シリコーン化合物の試験片(乾燥)表面の元素組成比(C、O、N、Si、SまたはP)を測定した。以下には、一例として実施例1で得られたシリコーン化合物について示すが、その他の実施例2〜9についても同様にした。
【0228】
まず、プレポリマー中の各モノマーの配合組成および化学式より、各モノマーのモル比を算出した。
【0229】
【表1】
【0230】
つぎに、このモル比より、プレポリマー中の各元素比(計算値)を算出すると、C/O/N/Si(%)=67.4/17.4/7.7/7.5となる。
【0231】
ここで、理論チッ素原子量7.7%のうち、マクロモノマーA、DMAAおよびDMAEMAはそれぞれ0.2%、7.0%および0.5%である。よって、双性イオン性基導入反応により、DMAEMAのジメチルアミノ基が100%反応した場合、硫黄の元素比(計算値)が0.5%であるといえる。
【0232】
双性イオン性基導入反応終了後の試験片の元素分析より算出される硫黄の元素比(測定値)と、前記方法により算出した硫黄の元素比(計算値)より、双性イオン性基の導入量を求めた。
【0233】
双性イオン性基導入反応終了後のXPS分析結果を以下に示す。
【0234】
【表2】
【0235】
よって、
双性イオン性基導入反応率(%)=
{硫黄の元素比(測定値)/硫黄の元素比(計算値)}×100
とすると、該反応率(%)は(0.5/0.5)×100=100であることより、DMAEMAの配合量5部を双性イオン性基の導入量(モノマー重量部換算)5重量%として表わした。
【0236】
【表3】
【0237】
【表4】
【0238】
【表5】
【0239】
表1に示された結果から、実施例1〜7の本発明の眼用レンズ材料(試験片)は、透明性にすぐれ、含水率に依存しない高酸素透過性を有し、高屈折率であり、しかもタンパク質および脂質ともに付着量が少なく、耐汚染性にすぐれたものであることがわかる。
【0240】
これに対し、双性イオン性基を有しないポリマーからなる比較例2の試験片は、タンパク質および脂質ともに付着量が多く、耐汚染性に劣るものであることがわかる。
【0241】
また表2に示された結果から、実施例8の本発明の眼用レンズ材料(試験片)は、透明性にすぐれ、高酸素透過性を有し、高屈折率であり、しかも脂質付着量が少なく、耐汚染性にすぐれ、同時に接触角が小さく、涙濡れ性にもすぐれたものであることがわかる。
【0242】
これに対し、双性イオン性基を有しないポリマーからなる比較例6の試験片は、脂質付着量が多く、耐汚染性に劣るとともに、接触角が大きく、涙濡れ性にも劣るものであることがわかる。
【0243】
さらに表3に示された結果から、双性イオン性基含有モノマーを重合成分として用いて得られた比較例3〜5の試験片は、透明性に劣るか(比較例4)または酸素透過係数が含水率に依存する(比較例3および5)ものであることがわかる。
【0244】
さらに実施例9の本発明の眼用レンズ材料(試験片)は、前記結果から、透明性にすぐれ、含水率に依存しない高酸素透過性を有し、高屈折率であり、しかもタンパク質および脂質ともに付着量が少なく、耐汚染性にすぐれたものであることがわかる。
【0245】
【発明の効果】
本発明の眼用レンズ材料は、透明性にすぐれることはもちろんのこと、含水率に依存しない高酸素透過性を有し、しかも耐汚染性および涙濡れ性にも同時にすぐれたものである。
【0246】
また本発明の製法によれば、前記のごときすぐれた特性を兼備する眼用レンズ材料を容易に製造することができる。
Claims (5)
- 一般式(I):
前記一般式(I)で表される双性イオン性基、前記一般式(II)で表される双性イオン性基または前記一般式(III)で表される双性イオン性基が、基材の表面および基材中に導入されてなり、かつ、
前記一般式(I)で表される双性イオン性基、前記一般式(II)で表される双性イオン性基または前記一般式(III)で表される双性イオン性基を有するシリコーン化合物が架橋されてなる眼用レンズ材料。 - 一般式(IV):
前記シリコーン化合物のプレポリマーと、前記モノマー(A−1)と反応し得る、シリコーン化合物に−POO-、−SOO-または−COO-を有せしめる化合物(B−1)とを反応させ、一般式(I):
- シリコーン化合物のプレポリマーと、化合物(B−1)として一般式(V):
シリコーン化合物のプレポリマーと、化合物(B−1)として一般式(VI):
X1−R9−COO−M (VI)
(式中、X1はハロゲン原子、Mはアルカリ金属原子、R9は式:
- 水酸基含有モノマー(A−2)およびシリコン含有モノマーを含む共重合成分を共重合させ、シリコーン化合物のプレポリマーを調製し、
前記シリコーン化合物のプレポリマーと、リン原子を有するハロゲン化環状化合物(B−2)とを反応させてプレポリマー(B′)を調製し、
前記プレポリマー(B′)と一般式(VII):
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