JP4451011B2 - 酸素透過性コンタクトレンズ材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、酸素透過性コンタクトレンズ材料に係り、特に、高い酸素透過性を実現すると共に、優れた表面水濡れ性を発現し得る酸素透過性コンタクトレンズ材料に関するものである
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、酸素透過性が付与されたプラスチック材料は、従来から、コンタクトレンズを始めとする各種の分野において、広く用いられてきており、そして、そのようなプラスチック材料の酸素透過性を向上させる手法の一つとしては、有機シリコン成分をプラスチックの構成成分として導入する手法が採用されてきている。例えば、特開昭63−37312号公報には、酸素透過性を付与するケイ素含有成分として、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを用いた、高酸素透過性を有するコンタクトレンズ用材料が提案されている。
【0003】
しかしながら、上述の如きケイ素含有成分を導入した材料にあっては、かかるケイ素含有成分の特性により、酸素透過性は向上するものの、材料表面に撥水性が付与されるため、例えば、コンタクトレンズとして用いた場合には、角膜上における涙液のはじきによって、装用感が悪くなるといった問題が惹起せしめられており、そのため、表面を親水性化せしめて、水濡れ性を付与する必要があったのである。
【0004】
また近年、微小重力下(宇宙空間)における細胞或いは小動物を用いた生物実験の研究が行われつつあり、密閉された容器内で生物が成育できるための酸素透過性材料が要求されている。この場合においても、酸素透過性だけでなく、細胞の接着・増殖のために(日大歯学 Nihon Univ. Dent. J. Vol.62、8-19(1989) etc.)、或いは気泡の付着を防ぐために、材料表面に適度な親水性を付与することが必要とされている。
【0005】
このため、材料表面を親水性化せしめる手法として、一般に、ポリマーを調製した後、かかる表面に対して、親水性成分をグラフト重合、又はコーティングせしめたり、或いはプラズマ処理を施したりする等といった手法(後処理)が採用されているのであるが、これらの後処理が施された材料にあっては、耐久性が悪化したり、製造工程が煩雑になる等といった問題が新たに惹起せしめられているのである。
【0006】
なお、特開昭57−93315号公報や特開平1−99021号公報等には、表面の親水性化処理方法として、硫酸や水酸化ナトリウム等の化学薬品等を使用して、ポリマー表面に存在する加水分解可能な基(以下、反応性官能基と呼称する)、例えば、アルコキシル基等を強制的に加水分解して、親水性化するという、親水性化処理方法が提案されてはいるのであるが、強酸や強アルカリを用いるところから、ポリマー表面だけでなく、ポリマー内部にアルコシキシラン等の反応性官能基が存在する場合には、かかるポリマー内部の反応性官能基までもが、加水分解せしめられる恐れがあったのである。しかも、前者のコンタクトレンズ材料にあっては、非酸素透過性のメチルメタクリレートを主たる成分とし、前述した酸素透過性を向上させるための他のケイ素含有成分が含まれていないために、酸素透過性の低いものであったのであり、また、後者のコンタクトレンズ素材にあっても、ポリマー構成成分として、酸素透過性を低減させる親水性単量体が採用されているところから、得られるコポリマーの酸素透過性は充分とは言い難いものであった。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、有機シリコン系成分による酸素透過機能を充分に活用して、優れた酸素透過性を実現すると共に、強酸や強アルカリ等の化学薬品による強制的な加水分解処理を実施することなく、極めて簡単に表面が親水性化され得て、水濡れ性が付与され得る酸素透過性コンタクトレンズ材料を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリマー構成成分として、少なくとも3つの所定のシリコン系重合成分を組み合わせて用いることにより、かかるシリコン系重合成分の酸素透過機能を効果的に且つ充分に発現せしめ得て、高い酸素透過性を実現すると共に、更に、それらのうちの1つのポリマー構成成分として、特定のアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体を採用することによって、優れた表面水濡れ性を発現し得る酸素透過性コンタクトレンズ材料を得ることが出来ることを見出したのである。
【0009】
より具体的には、有機シリコン系成分は、通常、表面自由エネルギーが低いところから、材料の表面に配向する性質を有し、これによって、ポリマー表面に撥水性が付与されるようになるのであるが、そのようなシリコン系成分の表面配向特性を利用して、特定のアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体を用い、従来のシリコン系成分とは類似の構造・性質を有するアルコキシシリル基を、同時に表面に配向させるようにすることによって、酸やアルカリを含有しない単なる水を接触させただけでも、アルコキシシリル基が加水分解せしめられ得るように為して、アルコキシル基から水酸基への効果的な変換を行ない、ポリマー表面が容易に親水性化され得ることを、見出したのである。
【0010】
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、親水性成分を構成成分として実質的に含有しない重合体からなるコンタクトレンズ材料にして、かかる重合体が、下記一般式(I)にて示されるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体の少なくとも1種以上からなるA成分の20〜80重量%と、下記一般式(II)にて示される、重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサン系マクロモノマーの少なくとも1種以上からなるB成分の1〜50重量%と、該A及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体及びシリコン含有スチレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体よりなるC成分の10〜70重量%とを、必須の構成成分としていることを特徴とする酸素透過性コンタクトレンズ材料にある。
【化3】
Figure 0004451011
[式中、R1 は、水素原子又はメチル基、R2 は、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基、三つのR3 は、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基である]
一般式(II):
1−U1−(−S1−U2−)n−S2−U3−A2 ・・・(II)
[式中、A1 は、一般式(III):
21−R31− ・・・(III)
(但し、Y21はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基、R31は炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;A2 は、一般式(IV):
−R34−Y22 ・・・(IV)
(但し、Y22はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基、R34は炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;U1 は、一般式(V):
−(X21)s−E21−X25−R32− ・・・(V)
(但し、X21は酸素原子又はアルキレングリコール基、sは0又は1、E21は−NHCO−基(但し、この場合、sは0であり、E21はX25とウレタン結合を形成している)又は、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、sは1であり、E21はX21及びX25の間でウレタン結合を形成している)、X25は酸素原子又はアルキレングリコール基、R32は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;S1 及びS2 は、それぞれ独立して、一般式(VI):
【化4】
Figure 0004451011
(但し、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基、又はフェニル基であり、Kは1〜1500の整数、Lは0又は1〜1500の整数であり、K+Lは1〜1500の整数である)で表わされる基であり;U2 は、一般式(VII):
−R37−X27−E24−X28−R38− ・・・(VII)
(但し、R37及びR38は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基、X27及びX28は、それぞれ独立して、酸素原子又はアルキレングリコール基、E24は飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、E24はX27及びX28の間でウレタン結合を形成している)を示す)で表わされる基であり;U3 は、一般式(VIII):
−R33−X26−E22−(X22)t− ・・・(VIII)
(但し、R33は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基、X22は酸素原子又はアルキレングリコール基、tは0又は1、X26は酸素原子又はアルキレングリコール基、E22は−NHCO−基(但し、この場合、tは0であり、E22はX26とウレタン結合を形成している)又は、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、tは1であり、E22はX22及びX26の間でウレタン結合を形成している)を示す)で表わされる基であり;nは0又は1〜10の整数を示す]。
【0011】
すなわち、かくの如き本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、それを与える重合体(ポリマー)の主成分として、上述の如きA成分、B成分及びC成分のそれぞれ1種以上が組み合わされたものが採用されて、材料中に結合、含有せしめられているところから、極めて優れた酸素透過性が実現され得ることとなるのであり、しかも、高い透明性や、強度等の特性に優れた特徴をも併せ有しているのである。
【0012】
加えて、前記一般式(I)にて表わされる特定のアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体の少なくとも1種以上からなるA成分が、重合体の構成成分(共重合成分)として採用されているところから、親水性成分を構成成分として実質的に含有していなくても、前述せるように、単に水系媒体に接触せしめるだけで、その材料表面のみが容易に親水性化され、水濡れ性を有利に発現し得るようになるのである。従って、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、従来の如き強制的な加水分解処理等の後処理が何等必要とされるものではないところにも、大きな特徴がある。
【0013】
なお、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、その構成成分として、親水性成分が含有せしめられる必要性は全くなく、逆に添加すると、却って、重合体の酸素透過性が低下するばかりでなく、重合体が吸水してしまうために、重合体内部での加水分解が進行し、重合体の性状を悪化せしめて、安定した特性の材料が得られなくなってしまうところから、その配合は、積極的に避けられることとなる。
【0014】
ところで、かかる本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料の好ましい態様の一つによれば、前記重合体が、前記A成分の20〜80重量%と、前記B成分の1〜50重量%と、前記C成分の10〜70重量%と共に、更に、親水性基を含有しないその他の不飽和単量体からなるD成分の0〜20重量%とから構成され、且つ前記A成分とB成分とC成分の合計含有量が80重量%以上とされていることが望ましく、このような構成を採用することによって、より一層有利に酸素透過性が付与せしめられ得ると共に、その他の物性も、高度に確保され得ることとなる。
【0015】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記A成分として、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン又は(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが採用されることが望ましい。
【0016】
更に、本発明における別の好ましい態様の一つによれば、前記D成分として、フッ素含有モノマー、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン又はその誘導体、及び架橋性モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーが、一般に用いられることとなる。
【0017】
加えて、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料の更に別の好ましい態様の一つによれば、酸素透過係数が、30×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×mmHg)[=23×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×hPa)]以上であることが、好ましく、このような構成の酸素透過性材料にあっては、非含水性のコンタクトレンズ材料や、密閉された細胞培養容器、微小重力下における生物実験用の材料として、特に、有利に用いられ得ることとなる。
【0018】
また、本発明は、上述せる如き酸素透過性コンタクトレンズ材料を、強酸や強アルカリを含有しない水系媒体と接触せしめることにより、かかる材料の表面に存在するアルコキシル基を水酸基に変換させて、親水性化することを特徴とする酸素透過性材料の親水性化法をも、その要旨とするものである。
【0019】
このように、強酸・強アルカリを含まない通常の水系媒体に単に接触せしめるだけで、材料表面を容易に親水性化することが出来るところから、重合体を作製した後の表面処理が極めて容易となり、良好なる製作性と経済性が有利に実現され得るのであり、また、酸素透過性材料を構成するポリマーが、主として、好ましくは80%以上の割合において、吸水しないシリコン含有成分で占められ、且つ水性媒体は強酸・強アルカリを含むものではないところから、水系媒体中の酸やアルカリによって、ポリマー内部に存在するアルコシキシランが徐々に加水分解せしめられて、製品の品質が一定しなくなる等といった問題の発生が、効果的に防止され得るのである。
【0020】
なお、かくの如き本発明に従う親水性化手法の好ましい態様の一つによれば、前記水系媒体として、水又は生理食塩液が、有利に用いられることとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料は、前記一般式(I)にて示されるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体の少なくとも1種以上からなるA成分と、前記一般式(II)にて示される、重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサン系マクロモノマーの少なくとも1種以上からなるB成分と、該A及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体及びシリコン含有スチレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体からなるC成分とを、重合体の必須の構成成分として組み合わせ、そして、それら組み合わせられた有機シリコン系成分を共重合せしめることによって得られるものなのである。なお、本明細書において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表記は、「・・・アクリレート」及び「・・・メタクリレート」を含む総称として用いられており、また、その他の(メタ)アクリレート誘導体についても、同様に、二つの化合物の総称として用いられていることが、理解されねばならない。
【0022】
そして、上述せる如き有機シリコン成分の一つであるA成分たる、前記一般式(I)にて表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体は、酸素透過性機能を有すると共に、本発明の目的とする酸素透過性コンタクトレンズ材料に、特に優れた水濡れ性を付与せしめるものである。具体的には、かかるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体部位は、共重合後において、材料表面に配向せしめられ、これに伴って、アルコキシシリル基が材料表面に配向せしめられるようになる。そして、そのようにして材料表面に配向したアルコキシシリル基に対して、通常の水系媒体を単に接触せしめるだけで、かかるアルコキシシリル基が容易に加水分解され得てシラノール基となるのであり、つまり、アルコキシル基から水酸基へと変換されるのであり、以て親水性が効果的に発現され得ることとなるのである。
【0023】
なお、前記した一般式(I)において、R1 は、水素原子又はメチル基を示すものである。また、R2 には、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基が、採用される。更にまた、シリコンに結合する三つのR3 は、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基である。
【0024】
そして、かかる一般式(I)にて示される、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン等を例示することが出来、このような前記一般式(I)にて示されるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体のうちの少なくとも1種以上が、A成分として適宜に選択されて、用いられることとなる。なお、上例の中でも、特に、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが、本発明の目的を有利に達成し得る優れた加水分解性を有するところから、より好適に採用され得るのである。
【0025】
また、上述せる如きA成分の配合割合としては、全重合成分(共重合成分)の20〜80重量%、より好適には、30〜70重量%であることが望ましい。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、酸素透過性材料の表面に、水濡れ性を付与せしめるのに充分な量のアルコキシシリル基を配向せしめることが出来ず、以て、優れた水濡れ性を発現せしめるのが困難となるのであり、逆に、かかる配合割合が過大である場合には、他のB成分やC成分の含有割合が必然的に少なくなって、充分な酸素透過性が実現され難くなるからである。
【0026】
一方、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料(重合体)の必須成分の一つであるB成分、即ち前記一般式(II)にて示される、重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサン系マクロモノマーは、前記したA成分とは異なる有機シリコン成分であり、分子鎖中にシリコン鎖を有しているところから、得られる酸素透過性材料に、高酸素透過性を付与すると共に、また、ウレタン結合という弾性力のある結合を有しているところから、シロキサン部分により材料の酸素透過性を損なうことなく補強し、且つ弾性的反発性を付与して脆さをなくし、機械的強度を向上させるという性質を付与する成分である。しかも、かかるポリシロキサン系マクロモノマーは、酸素透過性材料の硬さを調整すると共に、かかる材料中に水系媒体が吸収され得ないよう、非含水性を確保するための成分でもある。
【0027】
なお、一般式(II)において、A1 は及びA2 は、それぞれ、下記の一般式(III)及び一般式(IV)にて表わされる基であって、
21−R31− ・・・(III)
−R34−Y22 ・・・(IV)
それら一般式(III)及び一般式(IV)中、Y21及びY22は、何れも重合性基であり、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基を表わす一方、R31及び 34 は、何れも炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を表わし、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基である。
【0028】
また、前記した一般式(II)において、U1 、U2 、及びU3 は、それぞれ、下記の一般式(V)、一般式(VII)、及び一般式(VIII)にて表わされる基であって、何れもポリシロキサン系マクロモノマーの分子鎖中でウレタン結合を含んでいる。
−(X21)s−E21−X25−R32− ・・・(V)
−R37−X27−E24−X28−R38− ・・・(VII)
−R33−X26−E22−(X22)t− ・・・(VIII)
【0029】
なお、上記の一般式(V)及び(VIII)において、E21及びE22は、それぞれ独立に、−NHCO−基、又は飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基を表わし、また、一般式(VII)におけるE24は、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基を表わす。ここにおいて、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基としては、例えば、エチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート等の飽和脂肪族系ジイソシネート由来の2価の基;1,2−ジイソシアネートシクロヘキサン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式系ジイソシアネート由来の2価の基;トリレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアネートナフタレン等の芳香族ジイソシアネート由来の2価の基;2,2′−ジイソシアネートジエチルフマレート等の不飽和脂肪族系ジイソシアネート由来の2価の基が挙げられるが、これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート由来の2価の基や、トリレンジイソシアネート由来の2価の基及びイソホロンジイソシアネート由来の2価の基が、比較的入手し易く、且つより高い強度を付与し易いところから、より好適に採用されることとなる。
【0030】
また、上記の一般式(V)において、E21が−NHCO−基である場合には、sは0であって、E21は直接にA1 のR31に結合(共有結合)しており、E21はX25とウレタン結合を形成する。また、E21が前記ジイソシアネート由来の2価の基である場合には、sは1であって、X21の酸素原子又はアルキレングリコール基を介してE21はA1 のR31に結合せしめられる一方、E21はX21及びX25の間でウレタン結合を形成している。なお、X25は酸素原子又はアルキレングリコール基を表わす。また、R32は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す。
【0031】
そして、上記の一般式(VII)において、E24 は前述せるように、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基であって、X27 及びX28 の間でウレタン結合を形成している。なお、X27 及びX28 は、それぞれ独立して、酸素原子又はアルキレングリコール基を表わし、また、R37 及びR38 は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す。
【0032】
さらに、上記の一般式(VIII)において、E22が−NHCO−基である場合には、tは0であって、E22は直接にA2 のR34に結合(共有結合)しており、E22はX26とウレタン結合を形成する。また、E22が前記ジイソシアネート由来の2価の基である場合には、tは1であって、X22の酸素原子又はアルキレングリコール基を介して、E22はA2 のR34に結合せしめられる一方、E22はX22及びX26の間でウレタン結合を形成している。なお、X26は酸素原子又はアルキレングリコール基を表わす。また、R33は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す。
【0033】
また、前記したX21、X22、X25、X26、X27、及びX28において、アルキレングリコール基としては、炭素数1〜6のアルキレングリコールが望ましく、例えば、下記の一般式(IX)にて表わされるものを例示することが出来る。
−O−(Cx2x−O)y− ・・・(IX)
[式中、xは1〜4の整数、yは1〜5の整数を示す]
【0034】
なお、かかる一般式(IX)において、yが6以上の整数である場合には、酸素透過性が低下したり、機械的強度が低下する恐れがあるところから、望ましくなく、より好適には、yは1〜5の整数、更に好ましくは、yは1〜3の整数であることが望ましい。
【0035】
また、前記一般式(II)において、S1 及びS2 は、それぞれ独立して、下記の一般式(VI)にて表わされる基であり、
【化5】
Figure 0004451011
そして、そのような一般式(VI)中、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基、又はフェニル基である。
【0036】
そして、そのようなフッ素置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2−トリフルオロイソプロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、3,3,3−トリフルオロイソブチル基、3,3,3−トリフルオロ−sec−ブチル基、2,2,2−トリフルオロ−tert−ブチル基、5,5,5−トリフルオロ−n−ペンチル基、4,4,4−トリフルオロイソペンチル基、3,3,3−トリフルオロネオペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基等が挙げられる。そして、これらの如きフッ素置換されたアルキル基を有するポリシロキサン系マクロモノマーを採用し、その配合量をより多くすることによって、蛋白質や脂質等に起因する耐汚染性が効果的に向上せしめられるようになるのである。
【0037】
また、上記の一般式(VI)において、Kは1〜1500の整数、Lは0又は1〜1500の整数であり、KとLの和(K+L)は1〜1500の整数である。なお、かかる[K+L]の値が、1500よりも大きくなると、ポリシロキサン系マクロモノマー(B成分)の分子量が大きくなるために、他の重合成分との相溶性が悪くなり、配合時に充分に溶解しなかったり、重合時に白濁し、均一で透明な材料が得られなくなる恐れが生じる。逆に、[K+L]が、0である場合には、得られる材料の酸素透過性が低くなるのみならず、柔軟性も低下する傾向がある。より好適には、[K+L]は、好ましくは2〜1000、更に好ましくは、3〜500の整数であることが望ましい。
【0038】
加えて、前記一般式(II)において、nは0又は1〜10の整数を示し、かかるnが10よりも大きい場合には、ポリシロキサン系マクロモノマーの分子量が大きくなり、これと他の重合成分との相溶性が悪くなり、配合時に充分に溶解しなかったり、重合時に白濁し、均一で透明な材料が得られなくなる恐れが生じる。より好適には、nは0又は1〜5の整数であることが望ましい。
【0039】
そして、本発明において好適に用いられる一般式(II)にて表わされるポリシロキサン系マクロモノマーの幾つかの具体例(一般式(X)及び一般式(XI))を下記に示すこととするが、本発明がそれら例示のものに何等限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもないところである。
【化6】
Figure 0004451011
【化7】
Figure 0004451011
【0040】
而して、上述せるようなポリシロキサン系マクロモノマーの少なくとも1種以上が、適宜に選択されて、B成分として用いられることとなるのである。また、そのようなB成分の配合割合としては、全重合成分の1〜50重量%、より好適には、5〜40重量%であることが望ましい。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、充分な強度と酸素透過性を有する材料が得られないからであり、また逆に、かかる配合割合が過大である場合には、得られる酸素透過性材料が脆くなって、実用に供し難くなるからである。
【0041】
また一方、前述せる如き必須の成分たる有機シリコン成分の一つであるC成分としての、前記A及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体及びシリコン含有スチレン系単量体は、何れも、前記A成分やB成分とは異なるタイプの単量体であって、得られる酸素透過性材料の酸素透過性を向上せしめる一方、該材料の硬さを調整し、更に、かかる材料中に水系媒体が吸収され得ないよう、非含水性を確保するための成分である。なお、かかるC成分の配合割合としては、全重合成分の10〜70重量%、より好ましくは、20〜60重量%であることが望ましい。けだし、かかる配合割合が過小である場合には、充分な酸素透過性が得られず、また逆に、かかる配合割合が過大である場合には、酸素透過性材料の表面が親水性化され難くなるからである。
【0042】
なお、上述せる如きC成分の一つである、前記A及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体の具体例としては、例えば、トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキシプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキシメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート等を例示することが出来る。
【0043】
また、C成分の他の一つである、前述せる如きシリコン含有スチレン系単量体としては、例えば、下記の一般式(XII)にて表わされるものを例示することが出来る。
【化8】
Figure 0004451011
[式中、pは1〜15の整数、qは0又は1、rは1〜15の整数を示す]
【0044】
なお、上記の一般式(XII)にて表わされるシリコン含有スチレン系単量体において、p又はrが、16以上の整数である場合には、その精製や合成が困難となると共に、得られる酸素透過性材料の硬度が低下するようになる。また、qが、2以上の整数である場合には、かかるシリコン含有スチレン系単量体の合成が困難となる傾向がある。
【0045】
また、前記一般式(XII)にて表わされるシリコン含有スチレン系単量体の具体例としては、例えば、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルスチレン、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジメチルシリルスチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ]ジメチルシリルスチレン、ヘプタメチルトリシロキサニルスチレン、ノナメチルテトラシロキサニルスチレン、ペンタデカメチルヘプタシロキサニルスチレン、ヘンエイコサメチルデカシロキサニルスチレン、ヘプタコサメチルトリデカシロキサニルスチレン、ヘントリアコンタメチルペンタデカシロキサニルスチレン、トリメチルシロキシペンタメチルジシロキシメチルシリルスチレン、トリス(ペンタメチルジシロキシ)シリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)メチルシリルスチレン、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、トリメチルシロキシビス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、ノナメチルテトラシロキシウンデシルメチルペンタシロキシメチルシリルスチレン、トリス[トリス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルスチレン、ビス(トリデカメチルヘキサシロキシ)メチルシリルスチレン、トリメチルシリルスチレン等が挙げられる。
【0046】
そして、本発明にあっては、上述せる如きA及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体及びシリコン含有スチレン系単量体からなる群より、少なくとも1種以上が、C成分として適宜に選択されて、用いられることとなるのである。
【0047】
ところで、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料を調製するに際しては、上述せる如き所定の有機シリコン系成分、つまり、A成分とB成分とC成分とが、必須の構成成分(重合成分)として組み合わされて用いられることとなるのであるが、それらの含有割合としては、A成分とB成分とC成分の合計含有量が、全重合成分の100重量%以下、より好適には、80重量%〜100重量%となるように、それぞれ、上述せる如き配合割合の範囲の中から、所望とする配合割合が適宜に設定されることが望ましい。けだし、A成分とB成分とC成分の合計含有量が80重量%以上とされることによって、有機シリコン成分による酸素透過性機能が充分に発揮され得ると共に、水系媒体との接触によるポリマー内部への加水分解進行が、効果的に防止され得ることとなるからである。
【0048】
また、かかるA成分、B成分、C成分の配合割合としては、それぞれ、前述せる如き配合割合が好適に採用され、特に限定されるものではないが、より望ましくは、それら3成分の比率が、A成分とC成分とB成分との合計100重量部において、A成分:B成分:C成分=(40〜50重量部):(20〜30重量部):(30〜40重量部)となる構成が、更に好適に採用され得るのである。
【0049】
なお、かかる酸素透過性コンタクトレンズ材料の構成成分としては、上述の有機シリコン成分(A〜C成分)の他にも、親水性成分(親水性基を含有しない成分)でないものであれば、更に必要に応じて、その他の不飽和単量体(D成分)を添加することも可能である。また、その他の不飽和単量体(D成分)の添加割合としては、前述せる如く、A成分とB成分とC成分の合計含有量が80重量%以上となるように、0〜20重量%であることが好ましい。
【0050】
そして、そのような親水性基を含有しないその他の不飽和単量体としては、例えば、フッ素含有モノマーや、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン又はその誘導体、及び架橋性モノマー等を例示することが出来、それらのモノマーの中から、少なくとも1種以上が、D成分として適宜に選択されることとなるのである。
【0051】
具体的には、フッ素含有モノマーは、酸素透過性及び耐汚染性の向上のために用いられるものであって、例えば、下記の一般式(XIII)にて示されるフッ素含有アルキル(メタ)アクリレートを例示することが出来るが、これに何等限定されるものではなく、フッ素を含有する公知の各種のモノマーを採用することが出来る。
CH2=CR6COOCm(2m-h+1)h ・・・(XIII)
[式中、R6 は水素原子又はメチル基、mは1〜15の整数、hは1〜(2m+1)の整数を示す]
【0052】
なお、この一般式(XIII)にて表わされるフッ素含有アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−t−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−t−ヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種以上を混合して用いられることとなる。
【0053】
そして、このようなフッ素含有モノマーの重合体中の含有量としては、一般に、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%であることが望ましい。なお、かかる含有量が過大となると、得られる材料の酸素透過性や機械的強度が低下せしめられる恐れがある。
【0054】
また、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレートは、酸素透過性コンタクトレンズ材料における機械的強度の向上及び硬さの調整のために用いられるものであって、その中でも、炭素数が10程度までのアルキル(メタ)アクリレートが好適に採用され、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等を例示することが出来、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することが出来る。
【0055】
さらに、スチレン又はその誘導体も、酸素透過性コンタクトレンズ材料における機械的強度の向上及び硬さの調整を図るべく用いられるものであって、かかるスチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン;メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、イソブチルスチレン、ペンチルスチレン等のアルキルスチレン;メチル−α−メチルスチレン、エチル−α−メチルスチレン、プロピル−α−メチルスチレン、ブチル−α−メチルスチレン、tert−ブチル−α−メチルスチレン、イソブチル−α−メチルスチレン、ペンチル−α−メチルスチレン等のアルキル−α−メチルスチレン等を例示することが出来、これらのスチレン又はその誘導体は、単独で又は2種以上を混合して使用することが出来る。
【0056】
そして、前記したアルキル(メタ)アクリレートやかかるスチレン又はその誘導体の重合体中における含有量としては、それぞれ、一般に0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の範囲内であることが望ましい。なお、かかる含有量が過大となると、得られる材料の酸素透過性や機械的強度が低下せしめられる恐れがある。
【0057】
また、架橋性モノマー(架橋剤)は、架橋することによる機械的強度と耐久性の向上を図るべく添加されるものであって、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アジピン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、α−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン等を挙げることが出来、これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することが出来る。
【0058】
そして、かかる架橋性モノマーの重合体中の含有量としては、一般に、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%であることが望ましい。なお、そのような架橋性モノマーの含有量が過大となると、得られる材料が脆くなる恐れがある。
【0059】
また、これらD成分としてのモノマー、即ち、フッ素含有モノマー、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン又はその誘導体、及び架橋性モノマーは、それらの合計量において、20重量%以下となる割合で用いられる必要があることは、前述した通りである。
【0060】
そして、上述せる如き各種の重合成分(A成分〜D成分)を、目的とする酸素透過性コンタクトレンズ材料に応じて、それぞれ、所期の含有割合となるように適宜に配合せしめ、更に、それら全重合成分に対して、所定の重合開始剤を適宜に添加して、従来から公知の各種の手法にて重合させることにより、目的とする本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料が得られるのである。
【0061】
加えて、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料には、更に必要に応じて、従来から酸素透過性材料に一般的に用いられている各種の添加剤、例えば、酸素透過性コンタクトレンズ材料に紫外線吸収性を付与したり、材料を着色するために、重合性又は非重合性の紫外線吸収性モノマーや色素、紫外線吸収性色素等を、従来と同様に、重合系に存在させて共重合せしめたり、或いは重合後に添加したりすることも可能である。
【0062】
なお、特に、かかる紫外線吸収性モノマーや色素、紫外線吸収性色素を添加する場合にあっては、その添加割合としては、目的とする酸素透過性材料の用途やモノマーの種類等に応じて適宜に調整すればよく、特に限定されるものではないが、材料の厚さに大きく影響されること等を考慮して、通常、紫外線吸収モノマーにあっては、0.01〜1重量%、色素及び紫外線吸収性色素にあっては、0.001〜0.1重量%であることが望ましい。そして、それぞれのモノマーの含有量が過大となると、酸素透過性コンタクトレンズ材料の機械的強度等が低下する恐れがあり、また、透明性が低下する問題も生じる。更に、該酸素透過性コンタクトレンズ材料を、生体組織に接触せしめて使用する場合にあっては、紫外線吸収性モノマーや色素及び紫外線吸収性色素の毒性も考慮して、その含有量を調整しなければならないことは、勿論である。
【0063】
ところで、前述せる如き重合成分の重合手法としては、例えば、それら重合成分を室温〜約130℃の温度範囲にて徐々に或いは段階的に加熱して重合せしめる熱重合法や、マイクロ波、紫外線、放射線(γ線)等の電磁波を照射して重合せしめる光重合法等が挙げられる。更に、重合形式としては、塊状重合法や、溶媒等を用いた溶液重合法があり、また、その他の各種の手法が採用されても、何等差支えない。
【0064】
また、重合開始剤として用いられるラジカル重合開始剤には、従来から公知の各種のラジカル重合開始剤が適宜に選択されて用いられ得、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドローオキサイド等を挙げることが出来、そしてこれらは単独で又は2種以上を混合して用いることが出来る。なお、このようなラジカル重合開始剤の添加量としては、全重合成分の100重量部に対して、0.001〜2重量部、より好適には、0.01〜1重量部であることが望ましい。
【0065】
一方、光重合開始剤としては、従来から公知の各種の光重合開始剤が採用され得、例えば、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルフォルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノン等のフェノン系光重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;ジベンゾスバロン;2−エチルアンスラキノン;ベンゾフェノンアクリレート;ベンゾフェノン;ベンジル等があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることが出来、該光重合開始剤の添加量としては、全重合成分の100重量部に対して、0〜2重量部、より好適には、0.001〜2重量部、更に好適には、0.01〜1重量部であることが望ましい。なお、光重合において、紫外線ではない電子線を照射する場合には、かかる光重合開始剤を添加しなくても、重合成分を重合せしめることが出来る。
【0066】
ところで、本発明に従う重合体(共重合体)にて構成される酸素透過性コンタクトレンズ材料の成形方法にあっては、特に限定されるものではなく、従来から公知の各種の手法が採用され得る。そして、そのような成形方法としては、例えば、切削加工法や鋳型(モールド)法等を例示することが出来る。具体的には、切削加工法は、重合を適当な型内又は容器内で行ない、棒状、ブロック状、板状等の素材(重合体)を得た後、切削加工、研磨加工等の機械的加工によって所望のコンタクトレンズ形状に成形する方法であり、一方、鋳型法は、所望とするコンタクトレンズ形状の型を用意し、この型内で前記した重合成分の重合を行なって成形物を得、更に必要に応じて、機械的に仕上げ加工を施す方法である。
【0068】
要するに、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、重合体(ポリマー)の主成分として、上述の如きA成分〜C成分のそれぞれの1種以上が組み合わされて用いられているところから、極めて優れた酸素透過性、具体的には、酸素透過係数が、30×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×mmHg)[=23×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×hPa)]以上が有利に実現され得るのであり、しかも、酸素透過性コンタクトレンズ材料に必要とされる強度や透明性等の物性も充分高度に確保され得ているのである。
【0069】
しかも、必須成分の一つとして、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体(A成分)が採用されているところから、かかるA成分中のアルコキシシリル基が、重合後、重合体(共重合体)の表面に配向されるようになるのである。従って、上述せる如き本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料を水系媒体に接触せしめることによって、かかる材料の表面に存在するアルコキシシリル基を簡単に加水分解せしめ得て、アルコキシル基を水酸基に変換させ、以て、材料表面を容易に親水性化することが出来るようになっているのである。それ故に、親水性成分を構成成分として実質的に含有しなくても、水濡れ性を有利に発現し得ることとなるのである。
【0070】
なお、そのような水系媒体を材料表面に接触せしめる手段としては、浸漬や、刷毛塗り、スプレー、蒸気撒布等の手法を例示することが出来る。また、大気中の水分によっても、或る程度の加水分解を行って、親水性化することが可能である。そして、その親水性化の条件にあっては、特に限定されるものではなく、重合成分の含有割合等に応じて適宜に設定されるものであって、例えば、酸素透過性材料を水性媒体に浸漬せしめる場合には、常温下にて、一般に、10時間以上〜1ヶ月、より好適には、1〜7日が採用される。なお、A成分の含有割合にも左右されるが、一般に、室温下では、2〜3日の浸漬で水濡れ性が発現されることとなる。
【0071】
また、上記せる如き水系媒体としては、水や、生理食塩液、栄養培地等が好ましい。なお、酸やアルカリを含む水系媒体を採用して強制的な後処理を実施することも可能ではあるが、材料表面だけでなく、重合体内部に存在するアルコシキシランまでもが、加水分解せしめられ、それによって、製品の品質が一定しなくなる等といった問題が惹起される恐れがあるため、その使用は避けるようにすることが望ましい。
【0072】
さらに、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、その構成成分として、親水性基を有する成分は含有せしめられる必要は全くない。因みに、かかる親水性成分を添加すると、重合体の酸素透過性が低下するばかりでなく、材料表面の親水性化を実施する際に、重合体が吸水してしまうところから、重合体内部での加水分解が進行し、安定したポリマーが得られなくなってしまうのである。
【0073】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0074】
先ず、A成分として、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEOS)を準備し、また、B成分として、前記一般式(X)にて表わされるウレタン含有ポリシロキサン系マクロモノマー(MAUS)を準備し、更に、C成分として、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(TMSMA)及びトリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(TMSST)を準備した。
【0075】
また、D成分として、フッ素含有モノマーであるトリフルオロエチルメタクリレート(3FEMA)、アルキル(メタ)アクリレートであるメチルメタクリレート(MMA)とn−ブチルアクリレート(BA)、及び架橋性モノマーであるエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)とp−ビニルベンジルメタクリレート(VBMA)を準備する一方、重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65)と2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(D1173)を準備した。
【0076】
【表1】
Figure 0004451011
【0077】
−配合液の調製−
そして、下記表1に示される配合組成となるように、各種の重合成分を三角フラスコ内に入れ、更に、重合開始剤を加えて、均一に混合・溶解せしめ、超音波により脱気することによって、実験例1〜8に係る配合液を調製した。
【0078】
−物性測定用フィルムの作製−
次いで、上述の如くして得られた各配合液をポリプロピレン製のモールド型に充填して、ブラックライト(松下電工株式会社製 蛍光灯照明器具:FA 11080P グロー式)を用いて、照射強度:10mW/cm2 及び照射時間:30分間にて、紫外線を照射せしめることにより、光重合を行い、実験例1〜8に係る物性測定用のフィルムを作製した。なお、得られた重合体は、直径約20mm、厚み約0.5mmの平滑なフィルムであった。
【0079】
−表面の親水性化−
そして、上記で得られた各種の物性測定用のフィルムを、それぞれ、蒸留水の入ったサンプル瓶中に入れて、室温下にて約3日間浸漬することにより、親水性化処理した。そして、そのような親水性化処理の施されたフィルムに対して、下記の如き、接触角(液滴法、気泡法)、酸素透過係数、及び透明性の評価を行った。
【0080】
−接触角の測定−
▲1▼液滴法:ゴニオメーター式接触角測定装置G−1(エルマ光学株式会社製)を用いて、上述の如くして得られた実験例1〜8のフィルム表面上に、それぞれ、マイクロシリンジにて約2μLの液滴(蒸留水)を付け、かかるフィルム表面と液滴との接する角度を接触角として測定し、その結果を、下記表2に示した。
【0081】
▲2▼気泡法:上記液滴法と同様に、ゴニオメーター式接触角測定装置G−1を用いて、上述の如くして得られた実験例1〜8に係るフィルムを蒸留水中に浸漬し、かかるフィルムの下側面に、それぞれ、マイクロシリンジにて約2μLの気泡を付け、かかるフィルム表面と気泡との接する角度を接触角として測定し、その結果を、下記表2に示した。
【0082】
−酸素透過係数の測定−
また、上述の如くして得られた実験例1〜8に係るフィルムを、GTG(GAS to GAS)ANALYZER(米国:REHDERDEVELOPMENT COMPANY 製)を用いて、測定時間3分、温度35℃にて測定し、その得られた測定値を、ISO 9912−2にて規格化されたメニコンEX(Dk=64)を用いて換算して、Dk値を求め、その結果を下記表2に示した。なお、Dk値は、酸素透過係数の値[(cm2 /sec)・(mLO2 /mL×mmHg)]を意味し、特に、酸素透過係数の値に1011を乗じた数値である。
【0083】
−透明性の評価−
実験例1〜8に係るフィルムの透明性を、肉眼にて評価し、無色透明で白濁を認めない場合を○、それ以外の場合を×として、その結果を下記表2に示した。
【0084】
−吸水率の測定−
また、上記で得られた物性測定用のフィルム(乾燥したもの)を10枚一組として、各々一組毎にその重量(A[g])を測定し、蒸留水の入ったサンプル瓶に、25℃の温度にて24時間浸漬した後、フィルムのWET重量(B[g])を測定して、下記の計算式によって、吸水率を算出し、その結果を、下記表2に示した。
吸水率(%)={(B−A)/A}×100
【0085】
【表2】
Figure 0004451011
【0086】
上記表2から明らかなように、本発明において必須の重合成分であるA成分(MEOS)が何等含有せしめられていない実験例7及び実験例8に係るフィルムにあっては、実験例1〜6に係るフィルムと同様な酸素透過性が実現され得てはいるものの、液滴法及び気泡法にて測定された接触角が何れも大きく、充分な水濡れ性が付与されていないことが分かる。これに対して、実験例1〜6に係るフィルムにあっては、酸素透過係数が何れも30×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×mmHg)以上であり、優れた酸素透過性が実現され得ている。また、接触角も実験例7及び実験例8のものに比して極めて小さく、酸やアルカリ等が何ら含有されていない蒸留水に単に浸漬しただけでも、フィルム表面が容易に親水性化されて、水濡れ性が効果的に付与され得ていることが分かるのである。
【0087】
また、実験例1〜6に係るフィルムにあっては、何れも透明性にも優れていると共に、吸水率が極めて小さいことが、理解されるのである。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う酸素透過性コンタクトレンズ材料にあっては、重合体(ポリマー)の主成分として、A成分、B成分、及びC成分からなる3種類の特定の有機シリコン成分が組み合わされて用いられているところから、極めて優れた酸素透過性が有利に実現され得るのであり、しかも、酸素透過性コンタクトレンズ材料に必要とされる物性も、充分高度に確保され得ているのである。加えて、そのような必須成分の一つとしての、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体からなるA成分が重合体中に結合・含有せしめられているところから、親水性成分を構成成分として実質的に含有しなくても、酸素透過性コンタクトレンズ材料を水系媒体に接触せしめるだけで、材料表面に存在するアルコキシシリル基の加水分解を効果的に進行させて、アルコキシル基を水酸基に変換せしめ、以て材料表面を容易に親水性化することが出来ることとなるのであり、従って、水濡れ性が有利に発現し得るのである。

Claims (7)

  1. 親水性成分を構成成分として実質的に含有しない重合体からなるコンタクトレンズ材料にして、かかる重合体が、下記一般式(I)にて示されるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート誘導体の少なくとも1種以上からなるA成分の20〜80重量%と、下記一般式(II)にて示される、重合性基が1個以上のウレタン結合を介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサン系マクロモノマーの少なくとも1種以上からなるB成分の1〜50重量%と、該A及びB成分以外のシリコン含有(メタ)アクリレート系単量体及びシリコン含有スチレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体よりなるC成分の10〜70重量%とを、必須の構成成分としていることを特徴とする酸素透過性コンタクトレンズ材料。
    Figure 0004451011
    [式中、R1 は、水素原子又はメチル基、R2 は、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基、三つのR3 は、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基である]
    一般式(II):
    1−U1−(−S1−U2−)n−S2−U3−A2 ・・・(II)
    [式中、A1 は、一般式(III):
    21−R31− ・・・(III)
    (但し、Y21はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基、R31は炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;A2 は、一般式(IV):
    −R34−Y22 ・・・(IV)
    (但し、Y22はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基、R34は炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;U1 は、一般式(V):
    −(X21)s−E21−X25−R32− ・・・(V)
    (但し、X21は酸素原子又はアルキレングリコール基、sは0又は1、E21は−NHCO−基(但し、この場合、sは0であり、E21はX25とウレタン結合を形成している)又は、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、sは1であり、E21はX21及びX25の間でウレタン結合を形成している)、X25は酸素原子又はアルキレングリコール基、R32は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す)で表わされる基であり;S1 及びS2 は、それぞれ独立して、一般式(VI):
    Figure 0004451011
    (但し、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素置換されたアルキル基、又はフェニル基であり、Kは1〜1500の整数、Lは0又は1〜1500の整数であり、K+Lは1〜1500の整数である)で表わされる基であり;U2 は、一般式(VII):
    −R37−X27−E24−X28−R38− ・・・(VII)
    (但し、R37及びR38は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基、X27及びX28は、それぞれ独立して、酸素原子又はアルキレングリコール基、E24は飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、E24はX27及びX28の間でウレタン結合を形成している)を示す)で表わされる基であり;U3 は、一般式(VIII):
    −R33−X26−E22−(X22)t− ・・・(VIII)
    (但し、R33は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基、X22は酸素原子又はアルキレングリコール基、tは0又は1、X26は酸素原子又はアルキレングリコール基、E22は−NHCO−基(但し、この場合、tは0であり、E22はX26とウレタン結合を形成している)又は、飽和若しくは不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系の群から選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(但し、この場合、tは1であり、E22はX22及びX26の間でウレタン結合を形成している)を示す)で表わされる基であり;nは0又は1〜10の整数を示す]
  2. 前記重合体が、前記A成分の20〜80重量%と、前記B成分の1〜50重量%と、前記C成分の10〜70重量%と共に、更に、親水性基を含有しないその他の不飽和単量体からなるD成分の0〜20重量%とから構成され、且つ前記A成分とB成分とC成分の合計含有量が80重量%以上とされている請求項1に記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料。
  3. 前記A成分が、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン又は(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランである請求項1又は請求項2に記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料。
  4. 前記D成分が、フッ素含有モノマー、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン又はその誘導体、及び架橋性モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマーである請求項2又は請求項3に記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料。
  5. 酸素透過係数が、30×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /mL×mmHg)以上である請求項1乃至請求項4の何れかに記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料を、強酸や強アルカリを含有しない水系媒体と接触せしめることにより、かかる材料の表面に存在するアルコキシル基を水酸基に変換させて、親水性化することを特徴とする酸素透過性コンタクトレンズ材料の親水性化法。
  7. 前記水系媒体が、水又は生理食塩液である請求項6に記載の酸素透過性コンタクトレンズ材料の親水性化法。
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