JP2006238914A - 眼内レンズおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 眼内レンズ挿入後に発生する後発白内障を抑制し、更にレンズ前表面へのタンパク質等の吸着、堆積等が無い眼内レンズを提供する。
【解決手段】 前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たす眼内レンズである。
【選択図】 なし
【解決手段】 前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たす眼内レンズである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、眼内レンズおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、白内障を生じた水晶体の摘出後に挿入する眼内レンズであって、術後発生する後発白内障を抑制し、眼房水中のタンパク質等に由来するレンズ前面側に生じる濁りが少ない眼内レンズ、およびこの眼内レンズの製造方法に関するものである。
近年、老人人口の増加に伴い老人性白内障患者の増加が目立ってきている。白内障は水晶体が混濁する疾病であり、混濁の程度、領域および部位に応じて視力低下を誘引し、時には失明する場合もある。白内障の治療は混濁した水晶体と皮質を除去し、眼鏡やコンタクトレンズによって視力を矯正するか、または眼内レンズを挿入するかのいずれかの方法があるが、現在は、水晶体摘出後、嚢内に眼内レンズを固定する方法が一般的に広く実施されている。
しかしながら、この方法では、残存する水晶体上皮細胞が水晶体後嚢部に移動、増殖することにより発生する後嚢部混濁が眼内レンズ光学部に広がり、後発白内障が発生するおそれがある。このような眼内レンズ挿入後の後発白内障の治療法としては、Nd:YAGレーザー光照射により混濁部を除去する方法が用いられている。しかし、この方法は、装置が高価であり、また、眼底検査、光凝固や硝子体手術の妨げになるなどの欠点を有している(例えば、非特許文献1参照)。
また、他の方法として、薬剤を用いる後発白内障治療予防の方法(例えば、特許文献1参照)、眼内レンズ周辺部をシャープな形状にすることにより後発白内障を抑制する方法(例えば、非特許文献1参照)、眼内レンズ後嚢部に特定組成の生体適合性材料をコートする方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
一方、レンズ挿入手術時には前嚢のほぼ全面を円状に切開するため、レンズ後面側と違ってレンズ前面は挿入後房水等にさらされることになるが、近年、レンズ前面側においても、白濁現象が起こることも知られている。
現在までに後発白内障を抑制するとともに、レンズ前面側に生じる白濁現象を抑制する効果のある眼内レンズは存在していなかった。
現在までに後発白内障を抑制するとともに、レンズ前面側に生じる白濁現象を抑制する効果のある眼内レンズは存在していなかった。
本発明は、このような事情のもとで、眼内レンズ挿入後に発生する後発白内障を抑制し、更にレンズ前表面の白濁現象を抑制することができる眼内レンズを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光学部の前面と後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、後面のフィブロネクチンとの接着性が、前面のそれよりも高い眼内レンズ、特に光学部がワンピースからなり、前面および/または後面に、特定の表面処理が施されてなる眼内レンズにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
(1) 前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たすことを特徴とする眼内レンズ、
(2) 光学部が、前面側部分と後面側部分とが接合されたツーピースからなり、前面側部分と後面側部分とでタンパク質との接着性が異なる上記(1)項に記載の眼内レンズ、
(3) 光学部がワンピースからなり、前面または後面あるいはその両方が表面処理されてなる上記(1)項に記載の眼内レンズ、
(4) 光学部の前面が、一般式(I)
(2) 光学部が、前面側部分と後面側部分とが接合されたツーピースからなり、前面側部分と後面側部分とでタンパク質との接着性が異なる上記(1)項に記載の眼内レンズ、
(3) 光学部がワンピースからなり、前面または後面あるいはその両方が表面処理されてなる上記(1)項に記載の眼内レンズ、
(4) 光学部の前面が、一般式(I)
[式中、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、−Si(OR4)3(R4は低級アルキル基もしくはトリメチルシリル基)または
(R5はメチル基、フェニル基もしくはトリメチルシロキシ基を示し、mは1〜100の整数である)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されてなる上記(3)項に記載の眼内レンズ、
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されてなる上記(3)項に記載の眼内レンズ、
(5) 光学部の後面が、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理されてなる上記(3)項に記載の眼内レンズ、
(6) 光学部の前面が、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されており、かつ
光学部の後面が、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理されてなる上記(3)項に記載の眼内レンズ、
(7) タンパク質との接着性が異なる2枚のレンズ部分を接合することを特徴とする上記(2)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(8) 光学部の前面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(4)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(9) 光学部の後面に、プラズマ処理を行うことにより、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(5)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(10) 光学部の前面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施し、かつ
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(6)項に記載の眼内レンズの製造方法、および
(11) 光学部の前面および後面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施したのち、
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(6)項に記載の眼内レンズの製造方法、
を提供するものである。
(6) 光学部の前面が、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されており、かつ
光学部の後面が、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理されてなる上記(3)項に記載の眼内レンズ、
(7) タンパク質との接着性が異なる2枚のレンズ部分を接合することを特徴とする上記(2)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(8) 光学部の前面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(4)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(9) 光学部の後面に、プラズマ処理を行うことにより、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(5)項に記載の眼内レンズの製造方法、
(10) 光学部の前面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施し、かつ
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(6)項に記載の眼内レンズの製造方法、および
(11) 光学部の前面および後面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施したのち、
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする上記(6)項に記載の眼内レンズの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、白内障を生じた水晶体の摘出後に挿入する眼内レンズであって、術後発生する後発白内障を抑制し、レンズ前面側の濁りが少ない眼内レンズ、およびその製造方法を提供することができる。
本発明の眼内レンズは、前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たすことを特徴とする。
本発明の眼内レンズは、白内障を生じた水晶体の摘出後に挿入するレンズであって、術後発生する後発白内障を抑制すると共に、レンズ前面側に生じる白濁を抑制する機能を有している。
このような機能が効果的に発揮されるには、(PAF/PAB)×100の値が
50以下であることが好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
なお、前記フィブロネクチンとの接着性PAFおよびPABは、以下に示すフィブロネクチン付着試験により求めた値である。
50以下であることが好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
なお、前記フィブロネクチンとの接着性PAFおよびPABは、以下に示すフィブロネクチン付着試験により求めた値である。
<フィブロネクチン付着試験>
フィブロネクチン(HFN;Haematologic Technologies Inc.製)2mgを純水5mlに溶解し、さらにオペガードMAで40mlとして50μg/ml溶液を調製し、一方、試料のレンズを前面側部分と後面側部分とに切断して検体とする。
フィブロネクチン(HFN;Haematologic Technologies Inc.製)2mgを純水5mlに溶解し、さらにオペガードMAで40mlとして50μg/ml溶液を調製し、一方、試料のレンズを前面側部分と後面側部分とに切断して検体とする。
この2検体をセラムチューブに移し、フィブロネクチン溶液2mlを加えて密栓をし、バイオシェーカー(TAITEC BR−3000LF)で37℃、24時間振盪する。振盪終了後に検体を取り出し、キムワイプでレンズ表面の液を拭き取った後にレンズをガラス試験管に移し、アミノ酸分析を行う。
アミノ酸分析は、被検レンズを入れたガラス試験管に6mol/L塩酸200μlを加え、減圧下で封管したものについて110℃で22時間加水分解する。加水分解終了後、反応液を減圧乾固し、残渣を純水100μlに溶解する。これを0.22μmのフィルターで濾過した濾液の内50μlについてアミノ酸分析(日立L−8500アミノ酸分析計/ニンヒドリン発色法)を行い、前面側検体に付着したフィブロネクチン量PAF、後面側検体に付着したフィブロネクチン量PABを求める。
本発明の眼内レンズとしては、下記の2種のレンズ、すなわち(1)光学部が、前面側部分と後面側部分とが接合されたツーピースからなり、前面側部分と後面側部分とでタンパク質との接着性が異なる眼内レンズ、および(2)光学部がワンピースからなり、前面または後面あるいはその両方が表面処理されてなる眼内レンズを好ましく挙げることができる。これらの眼内レンズの中では、前記(2)の光学部がワンピースからなる眼内レンズが好適である。
前記(1)の光学部がツーピースからなる眼内レンズは、タンパク質との接着性が異なる2枚のレンズ部分を接合することにより得ることができる。すなわち、前面側のレンズ部分のフィブロネクチンとの接着性PAFと、後面側のレンズ部分のフィブロネクチンとの接着性PABとが、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たすように、2枚のレンズ部分を接合することにより、得ることができる。接合方法としては、従来レンズ部分同士の接合に使用されている公知の方法、例えば接着剤を用いる方法や融着法などを採用することができる。
前面側のレンズ部分と後面側のレンズ部分とは、それら自体が互いにタンパク質との接着性が異なるものを用いるのが好ましいが、前面側のレンズ部分は、例えば後述するタンパク質との接着性を抑制する処理を、また、後面側のレンズ部分は、例えば後述するタンパク質との接着性を向上させる処理を施すことにより、得ることもできる。
一方、前記(2)の光学部がワンピースからなる眼内レンズとしては、以下に示す3つの態様の眼内レンズを好ましく挙げることができる。
第1の態様は、光学部の前面に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体をコーティングすることにより、タンパク質との接着性を抑制する表面処理を施してなる、前記式(x)の関係を満たす眼内レンズである。
第2の態様は、光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、タンパク質との接着性を向上させる表面処理を施してなる、前記式(x)の関係を満たす眼内レンズである。
第3の態様は、光学部の前面に、前記の共重合体のコーティングにより、タンパク質との接着性を抑制する表面処理を施してなり、かつ光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、タンパク質との接着性を向上させる表面処理を施してなる、前記式(x)の関係を満たす眼内レンズである。
第3の態様の眼内レンズは、光学部の前面および後面に、前記の共重合体のコーティングにより、表面処理を施したのち、光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施してなる、眼内レンズを含むものとする。
本発明においては、これらの3つの態様の眼内レンズの中で、前記第3の態様の眼内レンズが、特に好適である。
前記の第1の態様および第3の態様において、光学部前面に施されるタンパク質との接着性を抑制する処理には、一般式(I)
前記の第1の態様および第3の態様において、光学部前面に施されるタンパク質との接着性を抑制する処理には、一般式(I)
で表される繰り返し単位を有する、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(以下、単に「共重合体」と称することがある。)が用いられる。
前記一般式(I)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。
R2は水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、−Si(OR4)3(R4は低級アルキル基もしくはトリメチルシリル基)または
R2は水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロカルビルオキシ基、−Si(OR4)3(R4は低級アルキル基もしくはトリメチルシリル基)または
(R5はメチル基、フェニル基もしくはトリメチルシロキシ基を示し、mは1〜100の整数である)
で表される基を示す。
で表される基を示す。
前記ヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、各種ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘキソキシ基、シクロヘキシルオキシ基、各種ドデシルオキシ基、各種ヘキサデシルオキシ基、各種オクタデシルオキシ基などのアルコキシル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基などのアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアラルキルオキシ基等が挙げられる。また、前記アリールオキシ基およびアラルキルオキシ基の芳香環上には、低級アルキル基やハロゲン原子などが1つ以上置換されていてもよい。
R4のうちの低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基などが挙げられる。−Si(OR4)3としては、R4がメチル基であるトリメチルシリル基が好ましい。
また、R5はメチル基、フェニル基もしくはトリメチルシロキシ基であるが、メチル基もしくはトリメチルシロキシ基であることが好ましい。
また、R5はメチル基、フェニル基もしくはトリメチルシロキシ基であるが、メチル基もしくはトリメチルシロキシ基であることが好ましい。
前記一般式(I)において、R3はアルキレン基を示す。このアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、およびこれらのアルキレン基の側鎖にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基の中から選ばれる少なくとも1種のアルキル基を有する基などを挙げることができる。
nは2以上の整数であり、眼内レンズのコーティング材として、極性溶媒に溶解して使用する際の溶解性を考慮すると、nは2〜5が好ましい。また、R1がメチル基、R2が水素原子、R3がメチレン基、nが4である場合、タンパク質の接着性を抑制する効果が良好に発揮される。
さらに、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97である。aおよびbが上記の範囲にあれば、タンパク質の接着性を抑制する効果が良好に発揮される。好ましくは、aは0.10〜0.60で、bは0.40〜0.90である。
さらに、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97である。aおよびbが上記の範囲にあれば、タンパク質の接着性を抑制する効果が良好に発揮される。好ましくは、aは0.10〜0.60で、bは0.40〜0.90である。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共重合体は、数平均分子量が5000以上であり、好ましくは5万〜200万、特に好ましくは20万〜80万である。数平均分子量が上記範囲にあれば、該共重合体をレンズにコーティングする際、製膜性がよく、均一なコーティングが可能で、かつ高強度のコーティング被膜を形成させることができる。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリメチルメタクリレート換算の値である。
本発明で用いる前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共重合体は、下記の式(II)で表される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、「MPC」と略記することがある。)と下記の一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸エステルとを、溶媒中で重合開始剤の存在下に共重合させることにより製造することができる。
(式中、R1、R2、R3およびnは、前記と同じである。)
前記一般式(II)で表されるMPCは、例えば2−ブロモエチルホスホリルジクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−ブロモエチルリン酸を得、次いでこのものをトリメチルアミンのメタノール溶液中で反応させることにより、得ることができる。
前記一般式(II)で表されるMPCは、例えば2−ブロモエチルホスホリルジクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−ブロモエチルリン酸を得、次いでこのものをトリメチルアミンのメタノール溶液中で反応させることにより、得ることができる。
前記一般式(III)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロキシプロピルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチルを用いることが好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、優れたタンパク質接着性抑制効果を得るために特に好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記のMPCと(メタ)アクリル酸エステルとの使用割合は、得られる前記一般式(I)で表される共重合体において、aが0.03〜0.70で、bが0.30〜0.97、好ましくはaは0.10〜0.60で、bは0.40〜0.90になるように、調整される。
重合反応は、公知の方法を採用することができる。使用する溶媒は、モノマーを溶解できるものであればよく、例えば、水、メタノール、エチノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルムおよびこれらの混合物等を用いることができる。
また、重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤であればいずれも使用可能であり、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等の脂肪族アゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の有機過酸化物や無機過酸化物等を用いることができる。
このようにして、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共重合体が得られる。
このようにして、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する共重合体が得られる。
本発明の眼内レンズにおける、前述の第1の態様および第3の態様においては、光学部の前面に、前記共重合体をコーティングすることにより、表面処理が施される。
当該共重合体のコーティングにおいては、まず、当該共重合体を含むコーティング溶液を調製する。コーティング溶液の濃度は、所望の厚さの均一なコーティング被膜が得られるように適宜設定することができ、例えば、0.05〜1質量%、好ましくは0.1〜0.3質量%の範囲とすることができる。なお、スピンコーターを用いる場合には、スピンコーターの回転数が速くなると、遠心力が働くため、コーティング被膜の厚さは薄くなる。本発明の眼内レンズを得るためには、所望のコーティング被膜の厚さや溶液濃度を考慮して、スピンコーターの回転数および時間を決定することが好ましい。コーティング溶液へ浸漬した後にスピンコーターによりコーティングする場合、スピンコーターの回転数は、例えば、2000〜8000rpmとすることができ、また、スピンコーターにかける時間は、例えば、5〜30秒とすることができる。
コーティング溶液に用いる溶媒は、当該共重合体を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなどを用いることができる。中でも、揮発性、安全性の観点からは、エタノールを用いることが好ましい。
光学部の前面に設けるコーティング被膜の厚さは、10nm以上であることが好ましい。コーティング被膜の厚さが10nm以上であれば、光学部前面全体を均一にコーティングすることができる。コーティング被膜の厚さは、好ましくは12〜16nmの範囲である。コーティング被膜の厚さは、以下の方法で測定することができる。
自動エリプソメータを用いてレンズ自体のコーティング被膜の厚さを測定する方法では、透明な基材および曲率を有する基材上に製膜された膜の厚さを正確に測定することは困難である。そこで、本発明では、レンズの代わりにシリコンウエハにコーティングを施し、所定条件におけるコーティング被膜の厚さを測定する。具体的には、レンズの代わりに10mm×10mmの大きさに裁断したシリコンウエハ上にコーティングを行い、該シリコンウエハを自動エリプソメータ上に載せ、波長632.8nmのHe−Neレーザを用いて、入射角70°でコーティング被膜の厚さを測定する。シリコンウエハ上の9箇所を測定し、その平均値をコーティング被膜の厚さとする。
また、コーティング被膜が均一に設けられていることは、目視により判別することが可能である。
また、コーティング被膜が均一に設けられていることは、目視により判別することが可能である。
なお、レンズとコーティング被膜との結合を強くするために、所望により、レンズの被コーティング面に、紫外線照射処理、プラズマ処理、コロナ放電処理などを施すことができる。また、迅速に溶媒を除去するために、コーティング後に減圧乾燥処理することもできる。
一方、本発明の眼内レンズにおける、前述の第2の態様および第3の態様においては、光学部の後面に、タンパク質との接着性を向上させる処理が施される。
このタンパク質との接着性を向上させる処理としては、光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより表面処理を行う方法を、好ましく採用することができる。
このタンパク質との接着性を向上させる処理としては、光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより表面処理を行う方法を、好ましく採用することができる。
前記のプラズマ処理法の場合、使用するガスとしてはアルゴンガス、ヘリウムガス、酸素ガスが好ましい。大気圧下、減圧下での処理が可能であり、レンズの後面のみ処理できるようなレンズ設置治具を用いること以外には装置の限定は特にない。
一方、酸素分子を分解してオゾンを発生させると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光による処理法の場合、活性光としては、150〜300nmの波長領域に2つの発光ピークを有し、かつ酸素分子を分解してオゾンを生成すると共に、該オゾンを分解して活性酸素種を生成する機能をもつ光が好ましく、特に185±5nmの波長領域及び254±5nmの波長領域に発光ピークを有する光を例示することができる。この活性光は、例えば低圧水銀ランプによって発生させることができる。
本発明においては、活性酸素種を発生させるために、酸素の存在下に前記活性光を照射する。該酸素としては、酸素ガスを用いてもよく、空気などの酸素含有ガスを用いてもよい。
酸素の存在下に、例えば185±5nmの波長領域及び254±5nmの波長領域に発光ピークを有する光を照射することにより、まず185±5nmの波長領域の光が酸素分子を分解してオゾンが生成し、次に254±5nmの波長領域の光が該オゾンを分解して、高いエネルギーを持つ活性酸素種が生成するものと考えられる。
酸素の存在下に、例えば185±5nmの波長領域及び254±5nmの波長領域に発光ピークを有する光を照射することにより、まず185±5nmの波長領域の光が酸素分子を分解してオゾンが生成し、次に254±5nmの波長領域の光が該オゾンを分解して、高いエネルギーを持つ活性酸素種が生成するものと考えられる。
活性光の照射条件に関して特に制限はないが、眼内レンズの光学部素材の種類に留意して適宜選択される。活性光の照射強度が大きい場合は短時間で処理を終えることができるが、レンズの劣化を誘起するので注意を要する。また、レンズ素材によっては構造上分解しやすいものもあるので、予め検討することが望ましい。さらに、照射時間が長くなると着色をもたらす場合があるので、この点からの注意も必要である。なお、眼内レンズは照射前に洗浄することが望ましい。
また、その他の方法として、イオンビーム照射法やコロナ放電処理法を採用することもできる。
また、その他の方法として、イオンビーム照射法やコロナ放電処理法を採用することもできる。
このようにして、眼内レンズの光学部を後面表面処理することにより、該光学部は接着タンパク質であるフィブロネクチンの付着性が高くなり、その結果、術後発生する後発白内障の抑制が可能となる。
このことは、Reijo J.Linnolaらによって、フィブロネクチンが嚢への眼内レンズの光学部の接着性に重要な役割を果たしており(J Cataract Refract Surg 2000;26:1792−1806)、フィブロネクチンの付着性の高いレンズが後発白内障抑制に有効となることが示唆されている。
また、レンズ前面にはタンパク質等の接着性がほとんど無いために、房水中のタンパク質、無機塩等の付着が抑えられ、レンズの透明性が保持される。
このことは、Reijo J.Linnolaらによって、フィブロネクチンが嚢への眼内レンズの光学部の接着性に重要な役割を果たしており(J Cataract Refract Surg 2000;26:1792−1806)、フィブロネクチンの付着性の高いレンズが後発白内障抑制に有効となることが示唆されている。
また、レンズ前面にはタンパク質等の接着性がほとんど無いために、房水中のタンパク質、無機塩等の付着が抑えられ、レンズの透明性が保持される。
本発明において、表面処理される眼内レンズとしては、特に制限はなく、光学部が折り曲げ可能な軟質レンズや折り曲げ不可能な硬質レンズのいずれも用いることができる。前記軟質レンズや硬質レンズの素材についても特に制限はないが、アクリル系素材が好ましい。
前記軟質レンズに用いられるアクリル系素材としては、例えば2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート及びN−ビニルピロリドンなどの中から選ばれる少なくとも2種以上のモノマーに、架橋剤としてエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの中から選ばれる少なくとも1種から得られた重合物を挙げることができる。
また硬質レンズに用いられるアクリル素材としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどから選ばれる少なくとも1種から得られた重合物を挙げることができる。
また硬質レンズに用いられるアクリル素材としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどから選ばれる少なくとも1種から得られた重合物を挙げることができる。
本発明で用いられる眼内レンズとしては、特に軟性アクリル素材からなる軟質レンズが好適である。
架橋剤の使用量は、モノマーの全量に基づき、0.3〜5質量%が好ましく、特に0.5〜4質量%が好ましい。架橋剤の使用量が0.3質量%未満では導入効果が十分に発揮されないし、5質量%を超えると架橋点が増えて脆くなり、機械的強度が低下する原因となる。重合法としては熱、光、電子線等が使用できる。重合開始剤は、モノマー全量に基づき、0.1〜2質量%が好ましく、特に好ましくは0.2〜1質量%である。
架橋剤の使用量は、モノマーの全量に基づき、0.3〜5質量%が好ましく、特に0.5〜4質量%が好ましい。架橋剤の使用量が0.3質量%未満では導入効果が十分に発揮されないし、5質量%を超えると架橋点が増えて脆くなり、機械的強度が低下する原因となる。重合法としては熱、光、電子線等が使用できる。重合開始剤は、モノマー全量に基づき、0.1〜2質量%が好ましく、特に好ましくは0.2〜1質量%である。
眼内レンズの形状は特に限定はなく、例えば、光学部と支持部が一体型のワンピース型や支持部にポリプロピレンやPMMA等を用いたスリーピース型が挙げられる。
さらに、前記モノマーには、例えば2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロキシエチル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収機能を有するモノマーを含有させることができる。その使用量は、前記モノマー全量に基づき、0.1〜4質量%が好ましく、特に0.5〜2質量%が好ましい。また、青視症補正のために、黄色発色団を有する4−(5−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−4−ピラゾリルメチル)−3−メタクリルアミノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンなどの黄色反応性モノマーを含有させることができる。
本発明において、表面処理される眼内レンズの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、(1)支持部形成材料からなる凹部を有するプラスチックディスクの前記凹部に、光学部形成用モノマーを注入して重合させ、次いで所定形状に切削、研磨処理して眼内レンズを製造する方法、(2)光学部形成材料からなる棒状のプラスチック部材の周辺部に、支持部形成用のアクリル系モノマーを満たして重合させ、次いで所定形状に切削、研磨処理して眼内レンズを製造する方法、(3)眼内レンズ形状の空間を有する樹脂型にモノマーを注入し、光学部と支持部を同一材料で成形する方法などを採用することができる。
具体的には、(1)支持部形成材料からなる凹部を有するプラスチックディスクの前記凹部に、光学部形成用モノマーを注入して重合させ、次いで所定形状に切削、研磨処理して眼内レンズを製造する方法、(2)光学部形成材料からなる棒状のプラスチック部材の周辺部に、支持部形成用のアクリル系モノマーを満たして重合させ、次いで所定形状に切削、研磨処理して眼内レンズを製造する方法、(3)眼内レンズ形状の空間を有する樹脂型にモノマーを注入し、光学部と支持部を同一材料で成形する方法などを採用することができる。
前記(1)の方法において、支持部形成材料からなる凹部を有するプラスチックディスクを構成する素材としては、ポリアルキルメタクリレートや、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン)、ポリイミド樹脂などが用いられる。
また、前記(2)の方法において、支持部形成用のアクリル系モノマーとしては、前記(1)の方法において、凹部を有するプラスチックディスクを構成する素材として例示したポリアルキルメタクリレートを形成するモノマーを挙げることができる。
また、前記(3)の方法において、光学部と支持部を形成するモノマーとしては、上述の軟質レンズおよび硬質レンズ用アクリル系素材を得るためのモノマーとして例示したものを挙げることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各例で得られたレンズのウサギ眼を用いた後発白内障抑制試験は以下のように行った。
<家兎眼を用いた後発白内障抑制試験>
[家兎眼埋植操作]
術前より点眼薬(参天製薬(株)製、商品名「ミドリンPTM」)で散瞳した8週令の白色家兎(約2kg)に全身麻酔をし、超音波乳化吸引術を施行して4.0mm角膜切開創口よりレンズを挿入した。
[組織標本の作製]
術後2週間で家兎を安楽死させ、眼球を摘出し10質量%ホルマリンで固定した。脱水後パラフィン切片を作成し、脱パラフィン処置後、ヘマトキシリン・エオジンにて染色した。組織切片は生体顕微鏡(オリンパス社製「BX−51」)で眼内レンズ中央部と周辺部に分けて観察評価した。
また、レンズの細胞接着性を示すフィブロネクチン付着試験は、明細書本文に記載の方法に従って行った。
各例で得られたレンズのウサギ眼を用いた後発白内障抑制試験は以下のように行った。
<家兎眼を用いた後発白内障抑制試験>
[家兎眼埋植操作]
術前より点眼薬(参天製薬(株)製、商品名「ミドリンPTM」)で散瞳した8週令の白色家兎(約2kg)に全身麻酔をし、超音波乳化吸引術を施行して4.0mm角膜切開創口よりレンズを挿入した。
[組織標本の作製]
術後2週間で家兎を安楽死させ、眼球を摘出し10質量%ホルマリンで固定した。脱水後パラフィン切片を作成し、脱パラフィン処置後、ヘマトキシリン・エオジンにて染色した。組織切片は生体顕微鏡(オリンパス社製「BX−51」)で眼内レンズ中央部と周辺部に分けて観察評価した。
また、レンズの細胞接着性を示すフィブロネクチン付着試験は、明細書本文に記載の方法に従って行った。
実施例1
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズ(コーティング被膜の厚さ:13nm)を得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ後面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障試験に供した。
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズ(コーティング被膜の厚さ:13nm)を得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ後面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障試験に供した。
フィブロネクチン付着試験の結果、フィブロネクチン付着量は前面(MPCポリマーコート側)で0.15μg、後面(活性光処理側)が0.55μgであった。また、表面処理なしのレンズについて前、後面に切断した検体で同様なフィブロネクチン吸着試験を行ったところ、吸着量は0.28μgであった。従って、未処理レンズについては光学面当たり0.14μgの吸着量と考えられる。
この結果をもとに、処理レンズの前、後面についてフィブロネクチン付着量を計算すると、前面側(MPCポリマーコート)は0.01μg(0.15μg−0.14μg=0.01μg)となり、フィブロネクチンはほとんど付着しない。一方、後面側(活性光処理側)は0.41μgで(0.55μg−0.14μg=0.41μg)であった。
以上のように、レンズの前面側と後面側で極めて大きなフィブロネクチン接着性の違いを示していた。
また家兎眼を用いた後発白内障試験の結果、眼内レンズ周辺部では水晶体上皮細胞の増殖がみられたが、光学部領域では軽度の水晶体上皮細胞の増殖はあるが単層であり、明らかに後発白内障の発生が抑制されていた。
また家兎眼を用いた後発白内障試験の結果、眼内レンズ周辺部では水晶体上皮細胞の増殖がみられたが、光学部領域では軽度の水晶体上皮細胞の増殖はあるが単層であり、明らかに後発白内障の発生が抑制されていた。
実施例2
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして京都電子計測株式会社製プラズマ装置PA100AT内に置きレンズ後面について、アルゴンガスにて300秒間(50W)プラズマ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして京都電子計測株式会社製プラズマ装置PA100AT内に置きレンズ後面について、アルゴンガスにて300秒間(50W)プラズマ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
実施例3
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(黄色)からなる黄色軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ裏面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(黄色)からなる黄色軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ裏面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
実施例4
表1に示す組成で支持部、光学部一体型の軟性黄色アクリルレンズをキャスト製法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ後面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
表1に示す組成で支持部、光学部一体型の軟性黄色アクリルレンズをキャスト製法により作製した。
MPCモノマーと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体(MPC:アクリル酸n−ブチル=モル比3:7、数平均分子量600000)を、0.2質量%含有するエタノール溶液を、上記軟性アクリル眼内レンズ前面に微量滴下し、そのレンズを、回転数5000rpmで、スピンコーターに10秒間かける操作を2回繰り返し、前面にMPCコーティング被膜を有する眼内レンズを得た。次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ後面について180秒間処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表2に示す。
比較例1
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。得られたレンズをEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
家兎眼を用いた後発白内障抑制試験では、水晶体周辺部では水晶体上皮細胞の増殖がみられ、また、水晶体中央部においても増殖した水晶体上皮細胞が眼内レンズと後嚢の間に伸展し多層化し、高度の後発白内障が生じていた。
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。得られたレンズをEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
家兎眼を用いた後発白内障抑制試験では、水晶体周辺部では水晶体上皮細胞の増殖がみられ、また、水晶体中央部においても増殖した水晶体上皮細胞が眼内レンズと後嚢の間に伸展し多層化し、高度の後発白内障が生じていた。
比較例2
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
次に本レンズを専用治具にセットして京都電子計測株式会社製プラズマ装置PA100AT内に置きレンズの前面および後面について、アルゴンガスにて300秒間(50W)ずつプラズマ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
表1に示すような組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(紫外線吸収)からなる軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
次に本レンズを専用治具にセットして京都電子計測株式会社製プラズマ装置PA100AT内に置きレンズの前面および後面について、アルゴンガスにて300秒間(50W)ずつプラズマ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
比較例3
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(黄色)からなる黄色軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ前面および後面について180秒間ずつ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
表1に示す組成のPMMA製支持部(青色着色)及び光学部(黄色)からなる黄色軟性アクリルレンズを切削・研磨法により作製した。
次に本レンズを専用治具にセットして光表面処理実験装置PL16−110(セン特殊光源株式会社製)内に置き、レンズ前面および後面について180秒間ずつ処理を実施した。得られたレンズはEOG滅菌処理し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
比較例4
表1に示す組成の支持部、光学部一体型の軟性黄色アクリルレンズをキャスト製法により作製し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
表1に示す組成の支持部、光学部一体型の軟性黄色アクリルレンズをキャスト製法により作製し、フィブロネクチン付着試験および家兎眼を用いた後発白内障抑制試験に供した。
結果を表3に示す。
(注)
MMA:メチルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
PEMA:2−フェニルエチルメタクリレート
BRM:パーフルオロオクチルエチルオキシプロピレンメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
T−150:2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)ベンゾトリアゾール
AQ−1:1−アニリノ−4−(4−ビニルベンジル)アミノアントラキノン
HMPO:4−(5−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−4−ピラゾリルメチレン)−3−メタクリルアミノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン
MMA:メチルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
PEMA:2−フェニルエチルメタクリレート
BRM:パーフルオロオクチルエチルオキシプロピレンメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
T−150:2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)ベンゾトリアゾール
AQ−1:1−アニリノ−4−(4−ビニルベンジル)アミノアントラキノン
HMPO:4−(5−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニル−4−ピラゾリルメチレン)−3−メタクリルアミノ−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン
本発明の眼内レンズは、白内障を生じた水晶体の摘出後に挿入する眼内レンズであって、術後発生する後発白内障を抑制し、レンズ前面側に生じる白濁が少ない特性を有している。
Claims (11)
- 前面と後面とを備えた光学部を有し、該前面と該後面とでタンパク質との接着性が異なり、かつフィブロネクチン付着試験において、前記前面のフィブロネクチンとの接着性をPAF、前記後面のフィブロネクチンとの接着性をPABとした場合、式(x)
PAF<PAB …(x)
の関係を満たすことを特徴とする眼内レンズ。 - 光学部が、前面側部分と後面側部分とが接合されたツーピースからなり、前面側部分と後面側部分とでタンパク質との接着性が異なる請求項1に記載の眼内レンズ。
- 光学部がワンピースからなり、前面または後面あるいはその両方が表面処理されてなる請求項1に記載の眼内レンズ。
- 光学部の前面が、一般式(I)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されてなる請求項3に記載の眼内レンズ。 - 光学部の後面が、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理されてなる請求項3に記載の眼内レンズ。
- 光学部の前面が、一般式(I)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理されており、かつ
光学部の後面が、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理されてなる請求項3に記載の眼内レンズ。 - タンパク質との接着性が異なる2枚のレンズ部分を接合することを特徴とする請求項2に記載の眼内レンズの製造方法。
- 光学部の前面に、一般式(I)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施すことを特徴とする請求項4に記載の眼内レンズの製造方法。 - 光学部の後面に、プラズマ処理を行うことにより、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする請求項5に記載の眼内レンズの製造方法。
- 光学部の前面に、一般式(I)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施し、かつ
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の眼内レンズの製造方法。 - 光学部の前面および後面に、一般式(I)
で表される基、R3はアルキレン基を示し、aは0.03〜0.70、bは0.30〜0.97、nは2以上の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有し、かつ数平均分子量が5000以上である、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体のコーティングにより、表面処理を施したのち、
光学部の後面に、プラズマ処理により、および/または酸素分子を分解してオゾンを発生すると共に、該オゾンを分解して活性酸素を生成する機能を有する活性光を、酸素の存在下に照射することにより、表面処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の眼内レンズの製造方法。
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WO2005065733A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-21 | Hoya Corporation | 眼内レンズおよびその製造方法、ならびに、後発白内障の抑制方法 |
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- 2005-02-28 JP JP2005054421A patent/JP2006238914A/ja active Pending
-
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