JP4245336B2 - ホスホリルコリン基を有するポリシロキサン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はホスホリルコリン基を含有するポリシロキサン及びその製造方法に関する。本発明のポリシロキサンは、生体適合性、保湿性に優れ、医用高分子材料として有用である。具体的には、人口臓器、生体膜、医療用具のコーティング剤、ドラッグデリバリー、化粧料配合成分等として利用される。
【0002】
ホスホリルコリン基を有する高分子は生体適合性材料として開発されている。ホスホリルコリン基を有する高分子の製造法としては、主に水酸基を有するアクリル系モノマーと2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキシドを反応させ、更にトリメチルアミンにより4級アンモニウムとすることによりホスホリルコリン構造を有するモノマーを合成し、これを重合する方法が採られてきた(例えば下記特許文献を参照)。
【0003】
特許文献1には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が製造され、特許文献2には2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体が製造されている。
特許文献3には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体及び共重合体で被覆した粉末を化粧料用粉末として利用し、保湿性や皮膚密着性を改善した化粧料が開示されている。
特許文献4には、水溶性セルロースに2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンをグラフト重合した重合体が製造され、血液適合性を有する高分子として利用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−3132号公報
【特許文献2】
特開平10−298240号公報
【特許文献3】
特開平7−118123号公報
【特許文献4】
特開平5−345802号公報
【0005】
一方、従来ホスホリルコリン基を主鎖に有するポリアルキルシロキサンは報告されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ホスホリルコリンを有する単量体を重合する高分子製造方法では、高分子に疎水性基を導入したい場合、モノマーの溶解性の問題から重合溶媒としてメタノール、エタノール、クロロホルム等、連鎖移動触媒として知られる有機溶媒を用いる必要があるため、高分子量のポリマーの製造が難しい。
【0007】
また、ホスホリルコリン基の立体障害から、重合収率が低下する或いは希望する重合体が得られないという問題がある。
【0008】
さらに、モノマーの合成反応を厳密な無水条件下にて行う必要があり、手法が煩雑である。
【0009】
本発明者らは、上述の観点から、生体適合性材料や化粧料原料としての利用範囲が大きいポリシロキサンを得るべく鋭意研究した結果、ホスホリルコリン基を有する化合物と、この化合物と反応する官能基を有するポリシロキサンとを反応させると、重合体の主鎖若しくは側鎖における高分子反応により、簡便かつ高い汎用性をもってホスホリルコリン基を有するポリシロキサンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(2)又は(3)又は(4)で示される繰り返し単位aとb若しくは繰り返し単位aとbとcとを有するアミノ変性ポリシロキサンのアミノ基の一部または全部に、下記式(1)のホスホリルコリン基を導入して得られる、下記式(5)又は(6)又は(7)で示される繰り返し単位を有するポリシロキサンを提供するものである。
【化1】
(1)
【化2】
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜22のアルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキレン基を介した炭素原子数1〜6のアルコキシシリル基、フェニル基、水酸基、R5は水素又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜22の整数を表す。n1、n2、n3は、それぞれ独立して、1〜22の整数を表す。mは0〜10の整数を表す。pは1〜30の整数を表す。
【0012】
さらに、本発明は、グリセロホスホリルコリンの酸化的開裂反応により得られたアルデヒド体含有化合物を、アミノ基を含有するポリシロキサンに付加することによるホスホリルコリン基を有する、下記式(5)又は(6)又は(7)で示される繰り返し単位を有するポリシロキサンの製造方法を提供するものである。
【化3】
(5)
(6)
(7)
R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜22のアルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキレン基を介した炭素原子数1〜6のアルコキシシリル基、フェニル基、水酸基、R 5 は水素又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜22の整数を表す。n 1 、n 2 、n 3 は、それぞれ独立して、1〜22の整数を表す。mは0〜10の整数を表す。pは1〜30の整数を表す。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
本発明のホスホリルコリン基を有するポリシロキサンは以下の方法にて製造される。
1:任意のポリシロキサンに、公知の方法若しくは今後開発される方法にてアミノ基を導入する。一級アミン若しくは二級アミンを有する市販のアミノ変性ポリシロキサンを用いても良い。
2:アミノ基を有するポリシロキサンに対し、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られたアルデヒド体あるいはハイドレート体を、還元的アミノ化反応によって付加させる。
【0015】
上記製造方法は、ホスホリルコリン基の導入収率が高く、導入率のコントロールも容易であるという大きな利点がある。
例えば、目的に応じてホスホリルコリンの導入率を制御し、ポリマーの親水性を自由に調製することが可能である。すなわち、ポリシロキサンの用途に応じて、必要とされる生体適合性に合わせるようなポリマー設計が容易に可能である。
また、ホスホリルコリン基に影響されることなく、疎水基等を導入してポリシロキサンに必要な機能を持たせた上で、その後に任意の量のホスホリルコリン基を付加させ、目的とする機能性高分子材料を容易に得ることが出来る。
【0016】
本発明の方法において、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物は、公知のグリセロホスホリルコリン基を、公知の方法により酸化的解裂を行わせるもので、極めて簡単なステップである。この反応は、1,2−ジオールを、過ヨウ素酸或いは過ヨウ素酸塩を用いて酸化することにより結合を開裂させ、2つのアルデヒド体を得るものであり、本法の場合、ホスホリルコリンアルデヒド体とホルムアルデヒドを生成する。反応は通常水中または水を含む有機溶媒中で行われる。反応温度は0度から室温である。アルデヒド体は水中で平衡反応を経てハイドレートとなることもあるが、続くアミンとの反応には影響しない。
【0017】
アミノ基を有するポリシロキサンは特に限定されない。ポリシロキサンの側鎖に、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体が反応できるアミノ基があればよい。ポリシロキサンにはアルキル基やフェニル基などの置換基があってもよく、これらの置換基にアミノ基が存在してもよい。
アミノ基は一級であっても二級であってもよい。公知若しくは今後開発される方法によりポリシロキサンにアミノ基を導入できる。公知若しくは今後開発されるアミノ変性ポリシロキサンを使用してもよい。アミノ変性ポリシロキサンの分子量も限定されず、任意の分子量のポリシロキサンを使用できる。
例えば、下記一般式で表されるアミノ変性ポリシロキサンが挙げられる。
【化5】
(2)
(3)
(4)
上記式において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜22のアルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキレン基を介した炭素原子数1〜6のアルコキシシリル基、フェニル基、水酸基、R5は水素又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜22の整数を表す。n1、n2、n3は、それぞれ独立して、1〜22の整数を表す。mは0〜10の整数を表す。pは1〜30の整数を表す。
また、a、b、cはポリシロキサンの構成単位を表し、a単位とb単位とc単位を有する重合体であることを表している。a単位とb単位のみからなる重合体、a単位とb単位とc単位のみからなる重合体だけではなく、他の構成単位が含まれていても良い。また、a単位、b単位若しくはc単位の配列はランダムであってもブロックであっても良い。
a、b、cを数で表した場合には、それぞれの構成単位のポリマー中のモル比(ポリマー組成)を表す。
本発明のポリシロキサンは、上記式中のアミノ基の全部または一部に、式(1)のホスホリルコリン基が付加したポリシロキサンである。ポリマー末端は任意であるが、水酸基、アルキル、水素、アルコキシなどである。
好ましいアミノ変性ポリシロキサンは、式(2)及び(3)において、R1、R2、R3がすべてメチル基のポリシロキサン、式(4)において、R1、R2、R3、R4がすべてメチル基であり、R5が水素のポリシロキサンである。
【0018】
本発明の製造方法により、目的とする用途に適合する任意のアミノ変性ポリシロキサンを使用して、上記式(1)のホスホリルコリン基をアミノ基の全部又は一部に付加しているポリシロキサンを容易に製造できる。
具体的には、下記式で表されるa及びbの構成単位からなるポリシロキサン、a、b及びc構成単位からなるポリシロキサンが好ましく製造される。これらのポリシロキサンにはアミノ基にホスホリルコリン基が付加されていない構成単位b’を含んでいてもよい。すなわち、アミノ変性ポリシロキサンのアミノ基の一部に、ホスホリルコリン基が付加したポリシロキサンである。ポリシロキサンのホスホリルコリン基の付加数は、反応させるホリルコリン基含有アルデヒド体のモル数によって、容易に調整できる。
【化6】
(8)
(9)
(10)
【0019】
グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体(
若しくはハイドレート体)を、ポリシロキサンのアミノ基に結合させる還元的アミノ化反応は、両者を溶媒中にて攪拌することにより容易に行うことが出来る。この反応は両者を水或いはアルコール中に溶解し(第三成分の有機溶媒を混合しても良い)、イミンを形成させた後、これを還元剤により還元して2級アミンを得るものである。還元剤としてはシアノホウ素酸ナトリウム等マイルドな還元剤が好ましいが、ホスホリルコリンが安定な限り、他の還元剤を用いることも可能である。反応は通常0度から室温で行われるが、場合により加熱することもある。
【0020】
上記の製造方法により、親水部のホスホリルコリン基を任意の量で含有するポリシロキサンが容易に製造出来る。本発明のポリシロキサンの分子量は任意である。用途に応じてあらかじめ最適な平均分子量のポリシロキサンを用い、任意の分子量を有するホスホリルコリン基含有ポリシロキサンが製造される。例えば、GPC測定により標準ポリスチレン換算の重量平均分子量で1000〜500000のポリシロキサンが得られる。
図1にホスホリルコリン基を有する一官能のアルデヒド体を調製するスキームを示す。
図2に本発明のポリシロキサンを製造するスキームを示す。
【0021】
本発明のポリシロキサンは、ホスホリルコリン基以外の親水部として、用途に応じて、カルボン酸基、水酸基、1級〜3級アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、ポリオキシエチレン基、アンモニウム基、アミド、カルボキシベタイン、糖類等を公知の方法により導入出来る。
また、疎水部として、コレステロール等の環状アルキル、オレイル等不飽和結合を含むアルキル基、ナフタレン環、ピレンをはじめとする炭化水素系芳香族、ピリジン環、イミダゾール、チアゾール、インドール等のヘテロ系芳香族等を用途に応じて導入し、設計できる。疎水基の結合形態は、エステル、エーテル、アミド、ウレタン、尿素結合等により直接主鎖と結合されていても良いし、スペーサーを介して主鎖と結合されていても良い。スペーサーの種類としては、親水性のポリエチレンオキサイド、疎水性のポリプロピレンオキサイド、直鎖状アルキル(炭素原子数2〜22)等が挙げられる。
親水部及び疎水部の種類及び含有量で、ポリシロキサンの機能を自由に設計できる。
【0022】
本発明のポリシロキサンは、生体適合性、保湿性に優れており、医用高分子材料として有用である。具体的には、人口臓器、生体膜、医療用具のコーティング剤、ドラッグデリバリー、化粧料配合成分等として有用される。特に皮膚柔軟化効果、保湿効果、皮膚外用剤中の薬剤の経皮吸収効果に優れている。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は下記の実施例に限定されない。ポリシロキサンの各構成単位の組成はNMR、元素分析等により求めることが出来る。効果を確認した皮膚外用剤処方例の配合量は全量に対する質量%である。
【0024】
合成例1 ホスホリルコリン基を含有するアルデヒド体
L−α−グリセロホスホリルコリン(450mg)を蒸留水15mlに溶解し、氷水浴中で冷却する。過ヨウ素酸ナトリウム(750mg)を添加し、2時間攪拌する。更にエチレングリコール(150mg)を添加して1晩攪拌する。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥し、メタノールにより目的物を抽出する。
構造式及びNMRスペクトルを図3に示す。
【0025】
実施例1 ホスホリルコリン基含有ポリアルキルシロキサンの合成
アミノ変性ポリジメチルシロキサン1g{式(2)において、R1、R2、R3=CH3、n=2〜22、平均分子量50000の市販品:KF−864、信越化学工業株式会社}をメタノール(50ml)に溶解し、合成例1のアルデヒド体0.5gを添加、室温で5時間攪拌する。氷冷後、水素化シアノホウ素酸ナトリウム250mgを添加し、一晩攪拌する。透析、凍結乾燥により精製し、目的物0.95gを得た。得られたポリシロキサンを図4に示す。a:b=50:1である。得られたポリシロキサンの1H NMRチャートを図7に示す。溶媒:重水、標準ピーク:1,4−ジオキサン、ピークの帰属:(1)1,4−ジオキサン、(2)ホスホリルコリン(4級アンモニウム)、(3)シロキサン(メチル)。ホルホリルコリン基由来のピーク(2)が出現している。
【0026】
実施例2 ホスホリルコリン基含有ポリシロキサン
アミノ変性ポリジメチルシロキサン1g{式(4)において、R1、R2、R3、R4=CH3、R5は水素、n1、n2、n3=2〜22、平均分子量50000の市販品、X−22−3939A、信越化学工業株式会社}をメタノール(50ml)に溶解し、合成例1のアルデヒド体0.5gを添加、室温で5時間攪拌する。氷冷後、水素化シアノホウ素酸ナトリウム250mgを添加し、一晩攪拌する。透析、凍結乾燥により精製し、目的物0.9gを得た。
得られたポリシロキサンを図5に示す。a:b:cは不明である。
【0027】
実施例3 ホスホリルコリン基含有ポリシロキサン
アミノ変性ポリジメチルシロキサン1g{式(3)において、R1、R2、R3=CH3、n1、n2=2〜22、平均分子量3000の市販品、KF−393、信越化学工業株式会社}をメタノール(50ml)に溶解し、合成例1のアルデヒド体0.5gを添加、室温で5時間攪拌する。氷冷後、水素化シアノホウ素酸ナトリウム250mgを添加し、一晩攪拌する。透析、凍結乾燥により精製し、目的物0.95gを得た。
得られたポリシロキサンを図6に示す。a:b=5:1である。得られたポリシロキサンの1H NMRチャートを図8に示す。溶媒:重水、標準ピーク:1,4−ジオキサン、ピークの帰属:(1)1,4−ジオキサン、(2)ホスホリルコリン(4級アンモニウム)、(3)シロキサン(メチル)。ホルホリルコリン基由来のピーク(2)が出現している。
【0028】
(1)保水効果及び皮膚柔軟化効果
上記実施例のポリマーを配合して保湿エッセンスを調整し、その保水効果の持続性及び皮膚柔軟化効果を比較した。処方及び結果を「表1」に示す。
評価は専門家20名による官能評価の平均点により下記基準で判定した。
<保水効果>
3点:塗布後10時間以上保水効果が持続した。
2点:塗布後4時間以上10時間未満、保水効果が持続した。
1点:塗布後1時間以上4時間未満保水効果が持続した。
0点:保水効果の持続が1時間未満であった。
<皮膚柔軟化効果>
3点:1週間使用後皮膚が極めて柔軟になった。
2点:1週間使用後皮膚がやや柔軟になった。
1点:1週間使用しても皮膚の程度は変わらない。
0点:1週間使用後皮膚が硬くなった。
<判定>
◎:平均点が2.5〜3点。
○:平均点が2〜2.5点未満。
△:平均点が1〜2点未満。
×:平均点が1点未満。
【0029】
【表1】
【0030】
上記の「表1」の結果より、本発明のポリシロキサンは優れた保水効果と皮膚柔軟性を有し、化粧料の配合成分として機能することが分かる。
【0031】
(2)経皮吸収促進効果
皮膚外用剤に配合される薬剤の経皮吸収促進効果を、特開2002−71682号公報に開示されている下記の方法により実施した。
試験はin vitroの形態で行った。皮膚モデルとしてミニブタの皮膚を用いた。
薬剤にアルブチンを使用した。アルブチンの単純水溶液(比較例4)及びこれに実施例1又は実施例2のポリシロキサンを含む水溶液をミニブタ皮膚に適用し、37℃で6時間インキュベートし、表皮を溶媒で抽出、単位重量当たりに含まれる薬剤量をHPLCにより定量し、経皮吸収量を比較した。
結果を「表2」に示す。
「表2」の薬剤経皮吸収量比は、(実施例処方中のアルブチンの吸収量/
比較例4処方中のアルブチンの吸収量)の値である。
この結果より、実施例1及び2を配合した水溶液はアルブチン経皮吸収が促進されており、本発明のポリシロキサンは皮膚外用剤中の薬剤の経皮吸収促進効果に優れていることが分かる。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明のホスホリルコリン基を有するポリシロキサンは、生体適合性及び保湿性が高く、有用な高分子材料であり、人工臓器、生体膜、医療用具のコーティング剤、ドラッグデリバリー、化粧料配合成分等の様々な応用分野がある。
高分子反応による本発明の製造方法は、生体適合性材料として具体的用途に最適なポリシロキサンを自由に設計できるという大きな利点がある。
ホスホリルコリン基に影響されることなく、主鎖のポリシロキサンの構造、分子量を自由に設計し用途に最適な材料を得て、その後に任意の量のホスホリルコリン基を付加させ、目的とする機能性ポリシロキサン材料を容易に得ることが出来る。
ホスホリルコリン基を有するポリシロキサンは、保水性、皮膚柔軟化、薬剤の経皮吸収性に優れているので、これを化粧料等の皮膚外用剤に配合することにより優れた皮膚外用剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホスホリルコリン基を有する一官能のアルデヒド体を調製するスキームである。
【図2】高分子反応によるホスホリルコリン基含有ポリシロキサンの製造スキームである。
【図3】合成例1の構造式及びNMRスペクトルである。
【図4】実施例1のポリシロキサンである。
【図5】実施例2のポリシロキサンである。
【図6】実施例3のポリシロキサンである。
【図7】実施例1で得られたポリシロキサンの1H NMRチャートである。
【図8】実施例3で得られたポリシロキサンの1H NMRチャートである。
Claims (2)
- 下記式(2)又は(3)又は(4)で示される繰り返し単位aとb若しくは繰り返し単位aとbとcとを有するアミノ変性ポリシロキサンのアミノ基の一部または全部に、下記式(1)のホスホリルコリン基を導入して得られる、下記式(5)又は(6)又は(7)で示される繰り返し単位を有するポリシロキサン。
【化1】
(1)
【化2】
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜22のアルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキレン基を介した炭素原子数1〜6のアルコキシシリル基、フェニル基、水酸基、R5は水素又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜22の整数を表す。n1、n2、n3は、それぞれ独立して、1〜22の整数を表す。mは0〜10の整数を表す。pは1〜30の整数を表す。 - グリセロホスホリルコリンの酸化的開裂反応により得られたアルデヒド体含有化合物を、アミノ基を含有するポリシロキサンに付加することによるホスホリルコリン基を有する、請求項1記載の下記式(5)又は(6)又は(7)で示される繰り返し単位を有するポリシロキサンの製造方法。
【化3】
(5)
(6)
(7)
R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜22のアルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキレン基を介した炭素原子数1〜6のアルコキシシリル基、フェニル基、水酸基、R5は水素又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜22の整数を表す。n1、n2、n3は、それぞれ独立して、1〜22の整数を表す。mは0〜10の整数を表す。pは1〜30の整数を表す。
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