JP6605913B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーに関する。
近年、OA機器の目覚しい発達に伴い、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置が広く普及している。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、通常、回転駆動する感光体の表面を帯電装置により均一に帯電する帯電工程;帯電した感光体表面に露光装置によりレーザ光を照射して、感光体表面に静電潜像を形成する露光工程;感光体表面の静電潜像を現像装置によりトナーを用いて現像して、感光体表面にトナー像を形成する現像工程;感光体表面のトナー像を転写装置により転写材(記録媒体)上に転写する転写工程;および定着装置の加熱によりトナー像を転写材上に定着する定着工程を経て画像が形成される。
近年では電子写真のフルカラー化が進み、それに伴ってトナーの改良、例えば、トナーの低温定着性を向上させるために、結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂を分散させる、結着樹脂の改良も盛んに行われている。
二成分現像装置内で長期間攪拌すると現像ローラ表面にトナーが融着し、時間の経過とともに現像ローラ表面全体がトナー構成成分で覆われる焼き付き現象が発生し、画像濃度が低下するといった問題があった。
これは、トナー表面に露出する結晶性ポリエステル及びワックスが多く存在する場合、非晶性ポリエステルなどの材料に比べ軟化点、融点の低い結晶性ポリエステルやワックスは融着し易くなるからと考えらえる。また、現像ローラと現像剤との圧縮力、局所的な摩擦熱や機内の温度上昇により、トナー表面に露出する結晶性ポリエステルやワックスが染み出し、現像ローラ表面に融着するからだとも考えられる。その結果、融着した結晶性ポリエステルやワックスが起点となり、現像ローラにトナーが連続的に付着することで、最終的には現像ローラ全体がトナー構成成分で覆われるものと考えられる。
特開平1−284862号公報
本発明は、2成分現像装置内で長期間撹拌すると現像ローラ表面にトナーが融着し、時間の経過とともに現像ローラ表面全体がトナー構成成分で覆われる焼き付き現象が発生し、画像濃度が低下するといった問題の解消を課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、2価のアルコール成分と、ジカルボン酸を含む酸成分モノマーを重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂から構成されるトナーが、さらに離型剤としてモノエステル系ワックスで分散処理され得ことにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂(以下「非結晶性ポリエステル樹脂」、「非結晶性ポリエステル」「非晶性ポリエステル」、「非晶性樹脂」ともいう)中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂(以下「結晶性ポリエステル」、「結晶性樹脂」ともいう)および剤としてモノエステル系ワックス(以下「エステル系ワックス」、「モノエステルワックス」「エステルワックス」ともいう)が分散されたトナーであり
前記トナー中の前記結晶性ポリエステル樹脂の分散径が100nm以上300nm以下であり、前記モノエステルワックスの分散径が200nm以上800nm以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との質量比が5:95〜50:50であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値差(ΔSP値)が1.4〜2.2(cal/cm 3 ) 1/2 であり、
前記モノエステル系ワックスの融点が68℃以上75℃未満であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である
ことを特徴とするトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記トナーが、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルの質量比5:95〜50:50を有する、前記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記トナーが、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値差(ΔSP値)1.4〜2.2(cal/cm)1/2を有する、前記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記トナーが、C−PES分散径100nm以上300nm以下を有し、かつワックス分散径200nm以上800nm以下を有する、前記のトナーが提供される。
また、本発明によれば、前記モノエステル系ワックスの融点が68℃以上75℃未満である前記のトナーが提供される。
2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂が分散したトナーにおいて、メイン樹脂との分散性が良好であり、結晶性樹脂とも相溶化しにくいエステルワックスを使用することにより、トナー表面に存在する結晶性ポリエステルやワックスを減少させ、現像ローラの焼きつきを防止させることができる。
本発明によるトナーは、2成分現像装置内で長期間撹拌しても現像ローラ表面にトナーが融着せず、時間の経過とともに現像ローラ表面全体がトナー構成成分で覆われる焼き付き現象を生じず、画像濃度も生じず長期間に亘って鮮明な画像を安定して提供できる。
本発明によるトナーは、ワックス種及びワックス、結晶性ポリエステルを適切な分散性にすることで、現像ローラにトナー成分が融着することを防止できる。
また、本発明によるトナーは、2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂が分散したトナーにおいて、メイン樹脂との分散性が良好であり、結晶性樹脂とも相溶化しにくいエステルワックスを使用することにより、トナー表面に存在する結晶性ポリエステルやワックスを減少させ、現像ローラの焼きつきを防止させることができる。
トナー
以下に、本発明のトナーを詳細に説明する。本発明のトナーは、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、外添剤とを含むトナーにおいて、前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂であり、前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であり、前記外添剤が、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子を含むことを特徴とする。
本発明のトナーは、結着樹脂を含むトナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に外添される外添剤とからなるが、トナー母粒子には、一般に、離型剤、着色剤、帯電制御剤等の内添剤が更に含まれる。また、本発明のトナーは、体積平均粒子径が5μm〜10μmであることが好ましく、5.5μm〜7.5μmであることが更に好ましい。また、フロー軟化点は105〜120℃であることが好ましい。
結着樹脂
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、上記非晶性ポリエステル樹脂及び上記結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含む。なお、結晶性ポリエステル樹脂や、離型剤、着色剤、帯電制御剤等の内添剤は、非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。
一般に、結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの軟化温度や溶融粘度を下げることができるため、結晶性ポリエステル樹脂を非晶性ポリエステル樹脂と併用すると、トナーの低温定着性を向上できることが知られている。更に、本発明のトナーに用いる結着樹脂においては、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸モノマーの主成分が異なり、場合によってはジオールモノマーの主成分さえも異なるため、両樹脂の相溶化をより確実に抑えることができ、低温定着性の向上効果が大きい。しかしながら、これら樹脂の相溶化を抑えることで、結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂から遊離しやすく大粒径シリカと共に現像ローラに固定化し易い。このため、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子を外添剤として用いることが非常に有効になる。
ポリエステル用モノマーとしては、当該技術分野で通常用いられるポリエステルジカルボン酸として知られるものを使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;ならびにこれら多塩基酸の低級アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルまたはt−ブチルのエステル化合物などが挙げられる。
上記のジカルボン酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
また、上記のジカルボン酸に加え、トリメリト酸または無水トリメリト酸等のトリカルボン酸を用いることもできる。
2価のアルコールとしては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類;などが挙げられる。
2価のアルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ジカルボン酸と2価のアルコールとの重縮合反応は、常法に従って実施でき、例えば有機溶媒および重縮合触媒の存在下に、ジカルボン酸と2価のアルコールとを重合させることによって行われる。
なお、重合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了すればよい。
このようにして、ポリエステル樹脂が得られる。
なお、場合によっては、有機溶媒は用いなくてもよい。ジカルボン酸の一部に、ジカルボン酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、ジカルボン酸と2価のアルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変えることができる。
また、2価のアルコール成分とジカルボン酸成分との重縮合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。本発明におけるエステル化触媒の好適例としては、チタン化合物及び無機錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。チタン化合物としては、Ti-O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
なお、上記の総炭素数1〜28のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルアルコキシ基、t−ブチルアルコキシ基、ペントキシ基などを用いることが出来る。
また、本発明において、ジカルボン酸モノマーの主成分及びジオールモノマーの主成分とは、それぞれを構成するモノマーの中で最大のモル含有率を示すモノマーを言うが、単一のモノマーである場合(即ち、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸、又は炭素数2〜10の脂肪族ジオールのモル含有率が100%である場合)も含まれる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂質量比は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜調整できるものの、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、5:95〜50:50が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の質量比が5%より小さいと、耐ホットオフセット性は高まるが低温定着性が損なわれる場合がある。一方、結晶性ポリエステル樹脂の質量比が50%より大きいと、低温定着性は高まるが耐ホットオフセット性が損なわれる場合がある。
本発明において、非晶性樹脂と結晶性樹脂は、結晶性指数により区別され、結晶性指数が0.6〜1.5の範囲にある樹脂を結晶性樹脂とし、結晶性指数が0.6未満であるか又は1.5を超える樹脂を非晶性樹脂とする。結晶性指数が1.5を超える樹脂は非晶性であり、また、結晶性指数が0.6未満である樹脂は結晶性が低く、非晶性部分が多い。
なお、結晶性指数とは、樹脂の結晶化の度合いの指標となる物性であり、軟化温度と吸熱の最高ピーク温度の比(軟化温度/吸熱の最高ピーク温度)により定義されるものである。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性ポリエステル樹脂においては、最高ピーク温度を融点とし、非結晶性ポリエステル樹脂においては、最も高温側にあるピークをガラス転移点とする。
結晶化の度合いは、原料モノマーの種類及び比率、並びに製造条件(例えば反応温度、反応時間、冷却速度)等を調整することで制御できる。
非晶性ポリエステル樹脂
本発明のトナーに用いる非晶性ポリエステル樹脂は、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含む。ここで、ジカルボン酸モノマーに占めるテレフタル酸またはイソフタル酸のモル含有率は、70%以上で且つ100%以下であることが好ましく、80%以上で且つ100%以下であることが更に好ましい。
また、上記ジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸を含むことができる。テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸またはイソフタル酸のエステル形成性誘導体や、テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も含むことができる。本発明において、エステル形成性誘導体には、カルボン酸の酸無水物やアルキルエステル等が含まれる。なお、テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸モノマーを用いる場合、該ジカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジカルボン酸モノマーと共に、3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いてもよい。3価以上のポリカルボン酸モノマーとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が使用できる。3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いる場合、該ポリカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジオールモノマーは、エチレングリコールを主成分として含む。ここで、ジオールモノマーに占めるエチレングリコールのモル含有率は、70%以上で且つ100%以下であることが好ましく、80%以上で且つ100%以下であることが更に好ましい。
また、上記ジオールモノマーは、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等を含むことができる。エチレングリコール以外のジオールモノマーを用いる場合、該ジオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のトナーに用いる非晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造できる。例えば、ジカルボン酸モノマーと、ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを用いて、窒素ガス雰囲気中、190〜240℃の温度にて重縮合反応を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂を合成することができる。
上記重縮合反応において、ジオールモノマーと、カルボン酸モノマー(ジカルボン酸モノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを含む)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]:[COOH]として、1.3:1〜1:1.2が好ましい。また、上記重縮合反応において、カルボン酸モノマーに占めるジカルボン酸モノマーのモル含有率は、80〜100%であることが好ましい。更に、上記重縮合反応においては、必要に応じてジブチルスズオキシドやチタンアルコキシド(例えばテトラブトキシチタネート)等のエステル化触媒を使用することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性、保存性及び耐久性等の観点から、50〜70℃が好ましい。一方、ガラス転移温度がこの範囲を外れると、定着性、保存性及び耐久性のバランスが崩れることがある。
上記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、100〜150℃が好ましい。一方、軟化点がこの範囲を外れると、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスが崩れることがある。
上記非晶性ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(Mp)が、トナーの耐熱性、熱保存性及び低温定着性の両立の観点から、3000〜10500が好ましい。一方、ピークトップ分子量が3000〜10500の範囲から外れると、トナーの耐熱性、熱保存性と低温定着性のバランスが崩れることがある。
GPCでは、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、標準物質にはポリスチレンが使用される。なお、ピークトップ分子量とは、GPCの測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。
上記非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、帯電特性の観点から、0〜60mgKOH/gが好ましく、上記非晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、耐ホットオフセット性の観点から、0〜50mgKOH/gが好ましい。一方、酸価が60mgKOH/gより大きいと、帯電性能が劣る場合があり、水酸基価が50mgKOH/gより大きくなると、耐ホットオフセット性が不十分となる場合がある。
上記非晶性ポリエステル樹脂のSP値(ソルビリティーパラメーター)は、10.5〜12.5が好ましい。
本発明のトナーにおいて、非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中50〜80質量%であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂である。直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成されることで、この結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂が相溶しにくくなる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジカルボン酸モノマーは、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含む。ここで、ジカルボン酸モノマーに占める炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸のモル含有率は、80%以上で且つ100%以下であることが好ましい。
上記炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アゼライン酸、ゼバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸モノマーは、これら脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も含むことができる。なお、これらジカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジカルボン酸モノマーと共に、3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いてもよい。3価以上のポリカルボン酸モノマーとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が使用できる。3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いる場合、該ポリカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジオールモノマーは、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含む。ここで、ジオールモノマーに占める炭素数2〜10の脂肪族ジオールのモル含有率は、80%以上で且つ100%以下であることが好ましい。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。なお、これらジオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジオールモノマーと共に、3価以上のポリオールモノマーを用いてもよい。3価以上のポリオールモノマーとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が使用できる。3価以上のポリオールモノマーを用いる場合、該ポリオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造できる。例えば、ジカルボン酸モノマーと、ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーや3価以上のポリオールモノマーとを用いて、窒素ガス雰囲気中、190〜240℃の温度にて重縮合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂を合成することができる。
上記重縮合反応において、ポリオールモノマー(ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリオールモノマーとを含む)の水酸基と、カルボン酸モノマー(ジカルボン酸モノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを含む)のカルボキシル基との当量比(OH基/COOH基)は、保存性の観点等から、0.83〜1.3が好ましい。また、上記重縮合反応において、カルボン酸モノマーに占めるジカルボン酸モノマーのモル含有率は、90〜100%であることが好ましい。該ジカルボン酸モノマーのモル含有率が小さい程、結晶化の割合や速度が低くなり、耐トナー凝集性が不十分になる。更に、上記重縮合反応において、ポリオールモノマーに占めるジオールモノマーのモル含有率は、80〜100%であることが好ましい。なお、上記重縮合反応においては、必要に応じてジブチルスズオキシドやチタンアルコキシド(例えばテトラブトキシチタネート)等のエステル化触媒を使用することができる。
上記結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tmp)は、40℃以上が好ましく、定着性、保存性及び耐久性等の観点から、60〜90℃が更に好ましい。融点が40℃未満だと、耐久性が不十分となる場合がある。また、融点が90℃以上だと、定着性が不十分となる場合がある。
上記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性及び耐ブロッキング性の観点から、65〜110℃が好ましい。一方、軟化点がこの範囲を外れると、低温定着性、耐ブロッキング性が不十分となる。
上記結晶性ポリエステル樹脂は、結晶化速度及び耐ブロッキング性の観点から、軟化点(Tm)と融点(Tmp)の比(Tm/Tmp)が1.0〜1.4であることが好ましい。一方、軟化点と融点の比がこの範囲を外れると、結晶化速度や耐ブロッキング性が不十分となる場合がある。
上記結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(Mp)が、保存性及び低温定着性等の観点から、10000〜90000が好ましい。GPCでは、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、標準物質にはポリスチレンが使用される。なお、ピークトップ分子量とは、GPCの測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。一方、ピークトップ分子量が上記の範囲を外れると、保存性及び低温定着性が不十分となる場合がある。
上記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、帯電特性の観点から、0〜60mgKOH/gが好ましく、上記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、耐ホットオフセット性の観点から、0〜40mgKOH/gが好ましい。一方、酸価が60mgKOH/gより大きいと、帯電性能が劣る場合があり、水酸基価が40mgKOH/gより大きくなると、耐ホットオフセット性が不十分となる場合がある。
上記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(ソルビリティー パラメーター)は、9.3〜10.0が好ましい。該SP値が9.3未満では、非晶性ポリエステル樹脂に対する相溶性が低くなりすぎ、耐久性が不十分となる場合がある。一方、該SP値が10.0を超えると、結着樹脂のTgが低下し、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明のトナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中10〜30質量%あることが好ましい。
離型剤
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させるときに、トナーに離型性を付与するために添加される。本発明のトナーにおいては、離型剤が非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。
本発明によるトナーに用いる離型剤は、特に制限されるものではなく当該分野で常用されるものを使用でき、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、合成エステル系ワックス等が使用できる。合成エステル系ワックスとしては、ニッサンエレクトールワックス(日油社製;WEP−2、WEP−3、WEP−4、WEP−5、WEP−6、WEP−7、WEP−8、WEP−9、WEP−10)等が挙げられる。
なかでも、モノエステル系ワックスが好ましい。例えばニッサンエレクトールワックス(日油社製;WEP−2、WEP−3等、中京油脂製、N-252、272等)が好ましい。
モノエステル系ワックスが好ましい理由は、当該ワックスは極性が高く、非晶性ポリエステル樹脂となじみ易く、構造的に安定しているからである。そのため、加熱しても構造的に安定し、熱耐性に優れるという特徴を有する。
一方、ジエステル系ワックスはモノエステル系に比べ、構造的に不安定な状態で存在する。加熱するとエネルギー的に安定状態になろうとするため、ブリードアウト現象が起こり、熱耐性に劣る。
本発明によるトナーにおいて、離型剤の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中1〜5質量%であることが好ましい。
着色剤
着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。具体的には、以下の着色剤が使用できる。
黒トナー用着色剤としては、カーボンブラックやマグネタイト等が使用できる。
イエロートナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー93、同155等の縮合モノアゾ系黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー180、同150、同185等のその他黄色顔料、C.I.ソルベント・イエロー19、同77、同79、C.I.ディスパース・イエロー164等の黄色染料等が使用できる。
マゼンタトナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同5、同146、同184、同238、C.I.ピグメント・バイオレット19等の赤色又は紅色顔料;C.I.ソルベント・レッド49、同52、同58、同8等の赤色系染料等が使用できる。
シアントナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・ブルー15:3、同15:4等の銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)等の緑色顔料等が使用できる。
本発明のトナーにおいて、着色剤の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中2〜10質量%であることが好ましい。
帯電制御剤
帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加され得る。本発明によるトナーに使用できる帯電制御剤としては、正電荷制御用又は負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。
正電荷制御用の帯電制御剤としては、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等を挙げることができる。
負電荷制御用の帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、ナフトール酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、ベンジル酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩等を挙げることができる。本発明のトナーにおいて、帯電制御剤の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中0.5〜5質量%であることが好ましい。
帯電化剤は1種を単独で使用できるが、必要に応じて2種以上を併用できる。
外添剤
本発明によるトナーには、外添剤が添加されてもよい。
外添剤としては、当該技術分野で常用される外添剤を用いることができ、例えば、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。これらの中でもトナー同士の付着防止の観点から、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などにより表面処理(疎水化処理)されている上記の外添剤が好ましい。
本発明においては、上記の外添剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、平均粒子径が異なる複数の外添剤を併用するのが好ましい。転写効率の向上の観点から、複数の外添剤のうち少なくとも1種は、0.1μm以上の平均粒子径を有し、複数の外添剤の平均粒子径が0.2μm以下であるのが好ましい。
例えば、平均粒子径の異なる2種類の外添剤を用いる場合、小さい方が0.007〜0.5μmの平均粒子径を有し、大きい方が0.5〜0.2μmの平均粒子径を有し、小さい方の平均粒子径と大きい方の平均粒子径との比率が1:5〜1:20であるのが好ましい。
外添剤の添加量は特に限定されないが、トナー母粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部であるのが好ましく、0.5〜10重量部であるのが特に好ましい。
外添剤の添加量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度および画質品位を有する画像を形成することができる。
トナー製造方法
次に、本発明のトナーを製造する方法について説明する。本発明のトナーは、混練粉砕法や凝集法等の公知の方法によって製造できる。例えば、本発明のトナーを混練粉砕法によって製造する場合、まず、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、必要に応じて適宜選択される離型剤、着色剤、帯電制御剤等の内添剤とをヘンシェルミキサ等の気流混合機により混合し、得られる原料混合物を2軸混練機やオープンロール混練機等の溶融混練機により100〜180℃程度の温度で混練する。そして、得られる溶融混練物を冷却固化し、固化物をジェットミル等のエア式粉砕機により粉砕し、必要に応じて分級等の粒度調整を行うことにより、トナー母粒子を製造する。また、外添剤の添加方法としては、トナー母粒子と外添剤とをヘンシェルミキサ等の気流混合機で混合する方法が一般的である。
キャリア芯材(「コア粒子」ともいう)
キャリア芯材としては、当該技術分野で常用されるものであれば特に限定されず、例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルトなどの磁性金属、フェライト、マグネタイトなどの磁性金属酸化物などが挙げられる。これらのキャリア芯材であれば、磁気ブラシ現像法に用いる現像剤に好適なキャリアが得られる。
これらの中でも、フェライト成分を含む粒子が好ましい。フェライトは、飽和磁化が高く、密度の小さいコートキャリアを得ることができるので、現像剤におけるその使用により、感光体へのコートキャリア付着が起こり難く、ソフトな磁気ブラシが形成されてドット再現の高い画像が得られる。
フェライトとしては、例えば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム−ストロンチウム系フェライトなどが挙げられる。
フェライトは、公知の方法で作製できる。例えば、FeやMg(OH)などのフェライト原料を混合し、この混合粉を加熱炉で加熱して仮焼する。得られた仮焼品を冷却後、振動ミルでほぼ1μm程度の粒子となるように粉砕し、粉砕粉に分散剤と水を加えてスラリーを作製する。このスラリーを湿式ボールミルで湿式粉砕し、得られる懸濁液をスプレードライヤーで造粒乾燥することによって、フェライトの粒子が得られる。
キャリア芯材の平均粒子径は、25〜100μmであるのが好ましく、25〜90μmであるのがより好ましい。
キャリア芯材の平均粒子径が上記の範囲であれば、感光体に形成された静電潜像にトナーを安定して搬送することができると共に、長期間にわたって高精細な画像を形成することができる。
キャリア芯材の平均粒子径が25μm未満では、キャリア付着のコントロールが困難になることある。一方、キャリア芯材の平均粒子径が100μmを超えると、高精細な画像を形成できないことがある。
キャリア用樹脂
樹脂層を形成する樹脂としては、当該技術分野で常用される樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
本発明においては、上記の樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン-メタクリレート共重合体、スチレン-ブチルメタクリレート共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
市販のアクリル樹脂としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の製品名:ダイヤナールSE-5437、積水化学工業株式会社製の製品名:エスレックPSE-0020、三洋化成工業株式会社製の製品名:ハイマーST95、三井化学株式会社製の製品名:FM601などが挙げられる。
他の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アセタール樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、これらの共重合体樹脂、配合樹脂などが挙げられ、これらの中でも帯電能が高い点でアクリル樹脂が好ましい。例えば、シリコーン樹脂(特に架橋型シリコーン樹脂)により形成される樹脂層の耐湿性、離型性などをさらに向上させるために、二官能性シリコーンオイルを含んでいてもよい。
磁性微粒子
磁性微粒子としては、キャリア芯材と同様の材質の磁性微粒子が用いられる。
本発明の磁性微粒子は、上記のような特定の物性を有するが、このような物性を有さない磁性微粒子を用いる場合には、表面酸化処理のような高抵抗化処理に付すことにより本発明の磁性微粒子を得ることができる。
表面酸化処理としては、例えば、250〜500℃、空気中のような酸化雰囲気での流動酸化が挙げられる。
磁性微粒子は、0.05〜0.8μmの平均粒子径を有するのが好ましく、0.08〜0.5μmの平均粒子径を有するのがより好ましい。
磁性微粒子の平均粒子径が上記の範囲であれば、キャリア芯材の表面に樹脂層を形成する際、磁性微粒子が樹脂層中およびキャリア間で偏在化することを安定して防ぐことができると共に、磁性微粒子によって樹脂層の表面に凹凸が形成されることがないので、均一な樹脂層を形成することができる。この理由は定かではないが、小さな金属酸化微粒子が互いの磁力によって均一に保持されるためではないかと推察される。
原料となる磁性微粒子が適度な平均粒子径を有さない場合には、予め上記の高抵抗化処理の前にサンドミルのような公知の装置を用いて粉砕処理や分級処理に付してもよい。具体的な処理ついては実施例において説明する。
磁性微粒子の配合量は特に限定されないが、キャリア芯材1000重量部に対して0.05〜65重量部であるのが好ましく、0.5〜40重量部であるのがより好ましい。
磁性微粒子の配合量が上記の範囲であれば、本発明の優れた効果が発揮される。
すなわち、樹脂層中の磁性微粒子の配合量は、樹脂100重量部に対して1〜183重量部であるのが好ましく、10〜133重量部であるのがより好ましい。
磁性微粒子の配合量が1重量部未満では、磁性微粒子の効果が充分に得られないことがある。一方、磁性微粒子の配合量が183重量部を超えると、樹脂層を均一に形成できないことがある。
導電性微粒子
樹脂層は、導電性微粒子を含むのが好ましい。
樹脂層が導電性微粒子を含有することにより、より安定してキャリアのトナーへの帯電付与能力を向上させることができる。すなわちキャリアをチャージアップさせないことができる。
導電性微粒子としては、当該技術分野で常用される導電性微粒子であれば特に限定されず、例えば、導電性カーボンブラック、導電性酸化チタンおよび酸化スズなどの酸化物が挙げられる。
カーボンブラックは、少ない添加量で導電性を発現させることができ、ブラックトナーには好適である。一方、樹脂層からのカーボンブラックの脱離が懸念されることから、カラートナーにはアンチモンをドープさせた導電性酸化チタンなどが好適である。
導電性微粒子の配合量は特に限定されないが、樹脂100重量部に対して1〜25重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
導電性微粒子の配合量が1重量部未満では、効果が得られないことがある。一方、導電性微粒子の配合量が25重量部を超えると、樹脂層を均一にできないことがある。
キャリアの製造
本発明のキャリアは、キャリア芯材の表面に、上記の樹脂層の構成材料を溶剤中に溶解または分散させた樹脂液を塗布した後、溶剤を揮発除去して塗布層を形成し、さらに乾燥時または乾燥後に塗布層を加熱硬化または単に硬化させることによって製造することができる。
溶剤としては、使用する樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、高級アルコール類のような有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができる。
キャリア芯材の表面に樹脂液を塗布する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、樹脂液中にキャリア芯材を浸漬させる浸漬法、樹脂液をキャリア芯材に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアにより浮遊させた状態で樹脂液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と樹脂液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法などが挙げられる。中でも、磁性コア粒子の露出を最小限に抑えることができるスプレー法が望ましい。
塗布液層の乾燥には、乾燥促進剤を用いてもよい。
乾燥促進剤としては公知のものを使用でき、例えば、ナフチル酸、オクチル酸などの鉛、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛塩などの金属石鹸、エタノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。乾燥促進剤は1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができる。その添加量は、溶剤100重量部に対して0.1〜5重量部程度である。
塗布液層の硬化は、樹脂や溶剤の種類に応じて加熱温度を適宜設定すればよく、例えば、150〜280℃程度の加熱が挙げられる。樹脂として常温硬化型シリコーン樹脂を用いる場合には、加熱を必要としないが、形成される樹脂層の機械的強度を向上させること、硬化時間を短縮することなどを目的として、150〜280℃程度に加熱してもよい。
樹脂液の全固形分濃度は特に限定されないが、キャリア芯材への塗布作業性などを考慮して、硬化後の樹脂層の膜厚が通常5μm以下、好ましくは0.1〜3μm程度になるように調整すればよい。
このようにして得られるキャリアは、高電気抵抗でかつ球形であることが好ましいが、導電性または非球形であっても本発明の効果が失われるものではない。
2成分現像剤
以下に、本発明のキャリアを2成分現像剤に利用する場合について説明する。上記2成分現像剤は、上述の本発明のトナーとキャリアとを含むことを特徴とし、例えば、ナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)等の混合機を用いて、トナーとキャリアとを混合することによって製造できる。
また、トナーとキャリアの配合比としては、例えば10:90〜5:95の質量比であることが好ましい。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
結着樹脂、粉砕助剤樹脂の軟化点(Tm)の決定
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製製、フローテスター、型番:CFT−100C)を用いて、試料1gを昇温速度6℃/分で加熱しながら、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与え、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させる。試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とする。
結着樹脂、粉砕助剤樹脂のガラス転移温度Tgの測定
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、(現セイコーインスツル株式会社製)、型番:DSC220)を用いて、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じて、試料1gを昇温速度10℃/分で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
離型剤の融点の測定
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、(現セイコーインスツル株式会社製)、型番:DSC220)を用いて、試料1gを温度20℃から昇温速度10℃/分で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定する。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とする。
トナー母粒子の体積平均粒径の決定
電解液(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:ISOTON−II)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(アズワン株式会社製、卓上型2周波超音波洗浄器、型式:VS−D100)を用いて周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を得る。得られた測定用試料を、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、型式:Multisizer3)を用いて、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定し、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径を求める。
凝集体の分散径の決定
作成したトナーをエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトーム(Reichert社製、商品名:ウルトラカットN)で面出しを行い、試料を作成した。得られた試料を、走査透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:S-4800)でワックス分散径、結晶性ポリエステル分散径を観察した。この電子顕微鏡写真データから無作為に200〜300個の離型剤粒子を抽出し、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析し円相当径を求めた。
SP値の測定
SP値の測定方法としては、スー、クラーク(SUH,CLARKE)の方法(スー、クラーク(K.W.Suh,D.H.Clarke)著、「Cohesive Energy Densities of Polymers from Turbidimetric Titrations」、Journal of Polymer Science、A−1、vol.5、1967年、p.1671−1681)に従って、次のようにして測定した。
測定する離型剤0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒(ジオキサンおよびアセトンの混合溶液)10mlをホールピペットにて加え、マグネチックスターラーにより撹拌して溶解し、これに、疎水性溶媒(n−ヘキサンおよびイオン交換水の混合溶液)を、50mlビュレットを用いて滴下し、測定温度20℃で、濁りが生じた点を滴下量とした。
測定値から、離型剤のSP値δは、下記式(3)によって求めた。
δ=(Vl/2δl+Vh/2δh)/(Vl/2+Vh/2) (3)
式(3)中、Vlは、低SP溶媒(疎水性溶媒)混合系における溶媒の分子容(ml/mol)であり、Vhは、高SP溶媒(良溶媒)混合系における溶媒の分子容(ml/mol)であり、δlは、低SP溶媒(疎水性溶媒)混合系における溶媒のSP値であり、δhは、高SP溶媒(良溶媒)混合系における溶媒のSP値である。
製造例1
非晶性ポリエステル樹脂A1の調製
反応槽中に、テレフタル酸440g(2.7モル)、イソフタル酸235g(1.4モル)、アジピン酸7g(0.05モル)、エチレングリコール554g(8.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103g(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは219g(3.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA1とした。非晶性ポリエステル樹脂PA1は、Tgが56℃、Tmが135℃、Mpが4800、酸価が37mgKOH/g、水酸基価が50mgKOH/gであった。
製造例2
非晶性ポリエステル樹脂A2の調製
反応槽中に、テレフタル酸310g(1.9モル)、イソフタル酸465g(2.8モル)、アジピン酸36g(0.25モル)、エチレングリコール610g(9.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52g(0.27モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは262g(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA2とした。非晶性ポリエステル樹脂PA2は、Tgが60℃、Tmが150℃、Mpが10500、酸価が10mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/gであった。
製造例3
結晶性ポリエステル樹脂Bの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、10−デカンジカルボン酸230g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Bとした。結晶性ポリエステル樹脂Bは、Tmpが66℃、Tmが73℃(Tm/Tmp=1.1)、Mpが13500であった。
製造例4
結晶性ポリエステル樹脂Cの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、18−オクタデカンジカルボン酸343g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Cとした。
製造例5
結晶性ポリエステル樹脂Dの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール121g(1.03モル)、1、18−オクタデカンジカルボン酸343g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Dとした。
結晶性ポリエステル樹脂Dは、Tmpが73℃、Tmが93℃(Tm/Tmp=1.4)、Mpが90000であった。実施例および比較例において、各物性値を以下に示す方法により測定した。
実施例1
結着樹脂:ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度62℃、軟化点115℃、重量平均分子量65000) 79重量%
着色剤:着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3、DIC製) 7重量%
離型剤:離型剤E(エステル、融点73℃、日油株式会社製、商品名:WEP3)
5重量%
帯電制御剤:サリチル酸系化合物(オリエント化学工業株式会社、商品名:ボントロE84) 1重量%
結晶性ポリエステル樹脂:結晶性ポリエステル樹脂A(融点80℃) 10重量%
ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、上記の離型剤以外Eのトナー原料を5分間、前混合した後、オープンロール型連続混練機(商品名:MOS320−1800、三井鉱山株式会社製)溶融混練した。オープンロールの設定条件は、加熱ロールの供給側温度が130℃、排出側温度が100℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。加熱ロール及び冷却ロールとしては、ともに直径が320mm、有効長が1550mmであるロールを用い、供給側及び排出側におけるロール間ギャップをいずれも0.3mmとした。加熱ロールの回転数を75rpm、冷却ロールの回転数を65rpmとし、トナー原料の供給量を5.0kg/hとした。
得られた溶融混練物を、冷却ベルトで冷却させた後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製、型式:IDS−2)を用いて微粉砕し、さらにエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ−LABO)を用いて分級して、6.7μmのトナー粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、200nmであり、モノエステルワックスEの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
実施例2
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルCに変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、100nmであり、モノエステルワックスEの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は1.3(cal/cm)1/2であった。
実施例3
モノエステルワックスEをモノエステルワックスF(中京油脂製、N-252、融点75℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスFの分散径(平均粒径)は700nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
実施例4
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルCに変えたこと以外は実施例3と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、100nmであり、モノエステルワックスFの分散径(平均粒径)は700nmであった。ΔSP値は1.3(cal/cm)1/2であった。
実施例5
モノエステルワックスEをモノエステルワックスG(中京油脂製、N-272、融点68℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスGの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
比較例1
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルDに変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Dの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、600nmであり、モノエステルワックスEの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は2.3(cal/cm)1/2であった。
比較例2
モノエステルワックスEをモノエステルワックスH(日油製、WEP2、融点60℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスHの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
比較例3
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルDに変えたこと以外は比較例2と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Dの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、600nmであり、モノエステルワックスHの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は2.3(cal/cm)1/2であった。
比較例4
モノエステルワックスEをジエステルワックスI(日油製、WEP8、融点79℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、ジエステルワックスIの分散径(平均粒径)は150nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
比較例5
モノエステルワックスBを炭化水素系ワックスI(日本精蝋製、FNP90、融点90℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、炭化水素系ワックスIの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm)1/2であった。
実施例1〜5および比較例1〜5のトナー母粒子における各種物性を、表1に示す。
また、以下のようにして実施例1〜5および比較例1〜5のトナー母粒子を用いて2成分現像剤を作成した。
2成分現像剤の作製
実施例1〜5および比較例1〜5において得られたトナー(トナー母粒子)100重量部のそれぞれに、シランカップリング剤で疎水化処理された平均一次粒径20nmのシリカ粒子0.7重量部および酸化チタン1重量部を混合して外添トナーを得た。さらに得られた外添トナーと、体積平均粒径40μmのフェライトコアキャリアとを、2成分現像剤全量に対する外添トナーの濃度が7%になるように調整して混合し、トナー濃度7%の2成分現像剤を得た。
表1に、各トナー母粒子の製造工程における粉砕性、および各2成分現像剤を用いて画像形成を行った場合の定着性(焼き付き現象)、熱保存性を評価した結果を、総合評価と共に示す。
トナー製造における粉砕性、2成分現像剤を用いた定着性、熱保存性、および総合評価は、以下のようにして評価した。
焼き付き現象の評価方法
作製した上記2成分現像剤及びトナーを、カラー複合機(商品名:MX−2640、シャープ株式会社製)の現像装置及びトナーカートリッジにそれぞれ充填し、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が1cmの正方形のベタ画像(ID=1.45〜1.50)が形成されるように、30℃湿度80%の環境で50000枚の連続プリントテストを行った。
焼き付き現象の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。初期画像から50000枚目画像において濃度低下がなく、かつ、現像ローラ表面にトナーの融着がない。
△:やや不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下はないが、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
×:不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下があり、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
熱保存性
高温保存後の凝集物の有無によって保存安定性を評価した。トナー20gをポリ容器に密閉し、50℃で72時間放置した後、トナーを取り出して230メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存するトナーの重量を測定し、この重量のトナー全重量に対する割合である残存量を求め、下記の評価基準で評価した。残存量の数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こしておらずトナー母粒子が被覆層で充分に被覆されていることを示す。
評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好(凝集なし。残存量が0.5%未満である)
○:良好 (凝集微量。残存量が0.5%以上2%未満である)
△:やや悪い (凝集少量。残存量が2%以上10%未満である)
×:不良 (凝集多量。残存量が10%以上である)
総合評価
焼き付き現象、保存安定性の結果より総合評価を行った。
◎:非常に良好(いずれの評価も◎である)
○:良好 (いずれの評価も◎または○である)
△:やや悪い (いずれかの評価が△であり、△以上である)
×:不良 (いずれかの評価が×である)
Figure 0006605913
上記の実施例1〜5および比較例1〜5における結果をまとめた表から、C−PES分散径が50〜300nmであり、かつワックス分散径が400〜800nmであるトナーは、焼き付き現象および熱保存性の各評価ならびに総合評価においても良好な結果を示した。
本発明は、2成分現像装置内で長期間撹拌しても現像ローラ表面にトナーが融着せず、時間の経過とともに現像ローラ表面全体がトナー構成成分で覆われる焼き付き現象を生じず、画像濃度も生じない2成分現像剤の提供を可能にする。

Claims (1)

  1. 2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂および剤としてモノエステル系ワックスが分散されたトナーであり
    前記トナー中の前記結晶性ポリエステル樹脂の分散径が100nm以上300nm以下であり、前記モノエステルワックス分散径が200nm以上800nm以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との質量比が5:95〜50:50であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値差(ΔSP値)が1.4〜2.2(cal/cm 3 ) 1/2 であり、
    前記モノエステル系ワックスの融点が68℃以上75℃未満であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂であり、
    前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である
    ことを特徴とするトナー。
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