JP6605913B2 - トナー - Google Patents
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Description
前記トナー中の前記結晶性ポリエステル樹脂の分散径が100nm以上300nm以下であり、前記モノエステル系ワックスの分散径が200nm以上800nm以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との質量比が5:95〜50:50であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値差(ΔSP値)が1.4〜2.2(cal/cm 3 ) 1/2 であり、
前記モノエステル系ワックスの融点が68℃以上75℃未満であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である
ことを特徴とするトナーが提供される。
本発明によるトナーは、2成分現像装置内で長期間撹拌しても現像ローラ表面にトナーが融着せず、時間の経過とともに現像ローラ表面全体がトナー構成成分で覆われる焼き付き現象を生じず、画像濃度も生じず長期間に亘って鮮明な画像を安定して提供できる。
また、本発明によるトナーは、2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂が分散したトナーにおいて、メイン樹脂との分散性が良好であり、結晶性樹脂とも相溶化しにくいエステルワックスを使用することにより、トナー表面に存在する結晶性ポリエステルやワックスを減少させ、現像ローラの焼きつきを防止させることができる。
以下に、本発明のトナーを詳細に説明する。本発明のトナーは、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、外添剤とを含むトナーにおいて、前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂であり、前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であり、前記外添剤が、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子を含むことを特徴とする。
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、上記非晶性ポリエステル樹脂及び上記結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含む。なお、結晶性ポリエステル樹脂や、離型剤、着色剤、帯電制御剤等の内添剤は、非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。
上記のジカルボン酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
また、上記のジカルボン酸に加え、トリメリト酸または無水トリメリト酸等のトリカルボン酸を用いることもできる。
2価のアルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
このようにして、ポリエステル樹脂が得られる。
なお、上記の総炭素数1〜28のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルアルコキシ基、t−ブチルアルコキシ基、ペントキシ基などを用いることが出来る。
本発明のトナーに用いる非晶性ポリエステル樹脂は、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である。
上記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、100〜150℃が好ましい。一方、軟化点がこの範囲を外れると、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスが崩れることがある。
本発明のトナーにおいて、非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中50〜80質量%であることが好ましい。
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂である。直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成されることで、この結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂が相溶しにくくなる。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。なお、これらジオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性及び耐ブロッキング性の観点から、65〜110℃が好ましい。一方、軟化点がこの範囲を外れると、低温定着性、耐ブロッキング性が不十分となる。
本発明のトナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中10〜30質量%あることが好ましい。
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させるときに、トナーに離型性を付与するために添加される。本発明のトナーにおいては、離型剤が非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。
本発明によるトナーに用いる離型剤は、特に制限されるものではなく当該分野で常用されるものを使用でき、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、合成エステル系ワックス等が使用できる。合成エステル系ワックスとしては、ニッサンエレクトールワックス(日油社製;WEP−2、WEP−3、WEP−4、WEP−5、WEP−6、WEP−7、WEP−8、WEP−9、WEP−10)等が挙げられる。
なかでも、モノエステル系ワックスが好ましい。例えばニッサンエレクトールワックス(日油社製;WEP−2、WEP−3等、中京油脂製、N-252、272等)が好ましい。
一方、ジエステル系ワックスはモノエステル系に比べ、構造的に不安定な状態で存在する。加熱するとエネルギー的に安定状態になろうとするため、ブリードアウト現象が起こり、熱耐性に劣る。
本発明によるトナーにおいて、離型剤の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中1〜5質量%であることが好ましい。
着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。具体的には、以下の着色剤が使用できる。
黒トナー用着色剤としては、カーボンブラックやマグネタイト等が使用できる。
本発明のトナーにおいて、着色剤の含有量は、特に限定されないが、トナー母粒子中2〜10質量%であることが好ましい。
帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加され得る。本発明によるトナーに使用できる帯電制御剤としては、正電荷制御用又は負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。
正電荷制御用の帯電制御剤としては、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等を挙げることができる。
帯電化剤は1種を単独で使用できるが、必要に応じて2種以上を併用できる。
本発明によるトナーには、外添剤が添加されてもよい。
外添剤としては、当該技術分野で常用される外添剤を用いることができ、例えば、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。これらの中でもトナー同士の付着防止の観点から、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などにより表面処理(疎水化処理)されている上記の外添剤が好ましい。
本発明においては、上記の外添剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、平均粒子径の異なる2種類の外添剤を用いる場合、小さい方が0.007〜0.5μmの平均粒子径を有し、大きい方が0.5〜0.2μmの平均粒子径を有し、小さい方の平均粒子径と大きい方の平均粒子径との比率が1:5〜1:20であるのが好ましい。
外添剤の添加量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度および画質品位を有する画像を形成することができる。
次に、本発明のトナーを製造する方法について説明する。本発明のトナーは、混練粉砕法や凝集法等の公知の方法によって製造できる。例えば、本発明のトナーを混練粉砕法によって製造する場合、まず、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、必要に応じて適宜選択される離型剤、着色剤、帯電制御剤等の内添剤とをヘンシェルミキサ等の気流混合機により混合し、得られる原料混合物を2軸混練機やオープンロール混練機等の溶融混練機により100〜180℃程度の温度で混練する。そして、得られる溶融混練物を冷却固化し、固化物をジェットミル等のエア式粉砕機により粉砕し、必要に応じて分級等の粒度調整を行うことにより、トナー母粒子を製造する。また、外添剤の添加方法としては、トナー母粒子と外添剤とをヘンシェルミキサ等の気流混合機で混合する方法が一般的である。
キャリア芯材としては、当該技術分野で常用されるものであれば特に限定されず、例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルトなどの磁性金属、フェライト、マグネタイトなどの磁性金属酸化物などが挙げられる。これらのキャリア芯材であれば、磁気ブラシ現像法に用いる現像剤に好適なキャリアが得られる。
キャリア芯材の平均粒子径が上記の範囲であれば、感光体に形成された静電潜像にトナーを安定して搬送することができると共に、長期間にわたって高精細な画像を形成することができる。
キャリア芯材の平均粒子径が25μm未満では、キャリア付着のコントロールが困難になることある。一方、キャリア芯材の平均粒子径が100μmを超えると、高精細な画像を形成できないことがある。
樹脂層を形成する樹脂としては、当該技術分野で常用される樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
本発明においては、上記の樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性微粒子としては、キャリア芯材と同様の材質の磁性微粒子が用いられる。
本発明の磁性微粒子は、上記のような特定の物性を有するが、このような物性を有さない磁性微粒子を用いる場合には、表面酸化処理のような高抵抗化処理に付すことにより本発明の磁性微粒子を得ることができる。
表面酸化処理としては、例えば、250〜500℃、空気中のような酸化雰囲気での流動酸化が挙げられる。
磁性微粒子の平均粒子径が上記の範囲であれば、キャリア芯材の表面に樹脂層を形成する際、磁性微粒子が樹脂層中およびキャリア間で偏在化することを安定して防ぐことができると共に、磁性微粒子によって樹脂層の表面に凹凸が形成されることがないので、均一な樹脂層を形成することができる。この理由は定かではないが、小さな金属酸化微粒子が互いの磁力によって均一に保持されるためではないかと推察される。
磁性微粒子の配合量が上記の範囲であれば、本発明の優れた効果が発揮される。
すなわち、樹脂層中の磁性微粒子の配合量は、樹脂100重量部に対して1〜183重量部であるのが好ましく、10〜133重量部であるのがより好ましい。
磁性微粒子の配合量が1重量部未満では、磁性微粒子の効果が充分に得られないことがある。一方、磁性微粒子の配合量が183重量部を超えると、樹脂層を均一に形成できないことがある。
樹脂層は、導電性微粒子を含むのが好ましい。
樹脂層が導電性微粒子を含有することにより、より安定してキャリアのトナーへの帯電付与能力を向上させることができる。すなわちキャリアをチャージアップさせないことができる。
導電性微粒子としては、当該技術分野で常用される導電性微粒子であれば特に限定されず、例えば、導電性カーボンブラック、導電性酸化チタンおよび酸化スズなどの酸化物が挙げられる。
導電性微粒子の配合量は特に限定されないが、樹脂100重量部に対して1〜25重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
導電性微粒子の配合量が1重量部未満では、効果が得られないことがある。一方、導電性微粒子の配合量が25重量部を超えると、樹脂層を均一にできないことがある。
本発明のキャリアは、キャリア芯材の表面に、上記の樹脂層の構成材料を溶剤中に溶解または分散させた樹脂液を塗布した後、溶剤を揮発除去して塗布層を形成し、さらに乾燥時または乾燥後に塗布層を加熱硬化または単に硬化させることによって製造することができる。
溶剤としては、使用する樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、高級アルコール類のような有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができる。
乾燥促進剤としては公知のものを使用でき、例えば、ナフチル酸、オクチル酸などの鉛、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛塩などの金属石鹸、エタノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。乾燥促進剤は1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができる。その添加量は、溶剤100重量部に対して0.1〜5重量部程度である。
このようにして得られるキャリアは、高電気抵抗でかつ球形であることが好ましいが、導電性または非球形であっても本発明の効果が失われるものではない。
以下に、本発明のキャリアを2成分現像剤に利用する場合について説明する。上記2成分現像剤は、上述の本発明のトナーとキャリアとを含むことを特徴とし、例えば、ナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)等の混合機を用いて、トナーとキャリアとを混合することによって製造できる。
また、トナーとキャリアの配合比としては、例えば10:90〜5:95の質量比であることが好ましい。
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製製、フローテスター、型番:CFT−100C)を用いて、試料1gを昇温速度6℃/分で加熱しながら、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与え、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させる。試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、(現セイコーインスツル株式会社製)、型番:DSC220)を用いて、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じて、試料1gを昇温速度10℃/分で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、(現セイコーインスツル株式会社製)、型番:DSC220)を用いて、試料1gを温度20℃から昇温速度10℃/分で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定する。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とする。
電解液(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:ISOTON−II)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(アズワン株式会社製、卓上型2周波超音波洗浄器、型式:VS−D100)を用いて周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を得る。得られた測定用試料を、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、型式:Multisizer3)を用いて、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定し、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径を求める。
作成したトナーをエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトーム(Reichert社製、商品名:ウルトラカットN)で面出しを行い、試料を作成した。得られた試料を、走査透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:S-4800)でワックス分散径、結晶性ポリエステル分散径を観察した。この電子顕微鏡写真データから無作為に200〜300個の離型剤粒子を抽出し、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析し円相当径を求めた。
SP値の測定方法としては、スー、クラーク(SUH,CLARKE)の方法(スー、クラーク(K.W.Suh,D.H.Clarke)著、「Cohesive Energy Densities of Polymers from Turbidimetric Titrations」、Journal of Polymer Science、A−1、vol.5、1967年、p.1671−1681)に従って、次のようにして測定した。
測定値から、離型剤のSP値δは、下記式(3)によって求めた。
δ=(Vl/2δl+Vh/2δh)/(Vl/2+Vh/2) (3)
式(3)中、Vlは、低SP溶媒(疎水性溶媒)混合系における溶媒の分子容(ml/mol)であり、Vhは、高SP溶媒(良溶媒)混合系における溶媒の分子容(ml/mol)であり、δlは、低SP溶媒(疎水性溶媒)混合系における溶媒のSP値であり、δhは、高SP溶媒(良溶媒)混合系における溶媒のSP値である。
非晶性ポリエステル樹脂A1の調製
反応槽中に、テレフタル酸440g(2.7モル)、イソフタル酸235g(1.4モル)、アジピン酸7g(0.05モル)、エチレングリコール554g(8.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103g(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは219g(3.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA1とした。非晶性ポリエステル樹脂PA1は、Tgが56℃、Tmが135℃、Mpが4800、酸価が37mgKOH/g、水酸基価が50mgKOH/gであった。
非晶性ポリエステル樹脂A2の調製
反応槽中に、テレフタル酸310g(1.9モル)、イソフタル酸465g(2.8モル)、アジピン酸36g(0.25モル)、エチレングリコール610g(9.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52g(0.27モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは262g(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA2とした。非晶性ポリエステル樹脂PA2は、Tgが60℃、Tmが150℃、Mpが10500、酸価が10mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/gであった。
結晶性ポリエステル樹脂Bの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、10−デカンジカルボン酸230g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Bとした。結晶性ポリエステル樹脂Bは、Tmpが66℃、Tmが73℃(Tm/Tmp=1.1)、Mpが13500であった。
結晶性ポリエステル樹脂Cの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、18−オクタデカンジカルボン酸343g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Cとした。
結晶性ポリエステル樹脂Dの調製
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール121g(1.03モル)、1、18−オクタデカンジカルボン酸343g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂Dとした。
結着樹脂:ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度62℃、軟化点115℃、重量平均分子量65000) 79重量%
着色剤:着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3、DIC製) 7重量%
離型剤:離型剤E(エステル、融点73℃、日油株式会社製、商品名:WEP3)
5重量%
帯電制御剤:サリチル酸系化合物(オリエント化学工業株式会社、商品名:ボントロE84) 1重量%
結晶性ポリエステル樹脂:結晶性ポリエステル樹脂A(融点80℃) 10重量%
ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、上記の離型剤以外Eのトナー原料を5分間、前混合した後、オープンロール型連続混練機(商品名:MOS320−1800、三井鉱山株式会社製)溶融混練した。オープンロールの設定条件は、加熱ロールの供給側温度が130℃、排出側温度が100℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。加熱ロール及び冷却ロールとしては、ともに直径が320mm、有効長が1550mmであるロールを用い、供給側及び排出側におけるロール間ギャップをいずれも0.3mmとした。加熱ロールの回転数を75rpm、冷却ロールの回転数を65rpmとし、トナー原料の供給量を5.0kg/hとした。
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルCに変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、100nmであり、モノエステルワックスEの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は1.3(cal/cm3)1/2であった。
モノエステルワックスEをモノエステルワックスF(中京油脂製、N-252、融点75℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスFの分散径(平均粒径)は700nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm3)1/2であった。
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルCに変えたこと以外は実施例3と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、100nmであり、モノエステルワックスFの分散径(平均粒径)は700nmであった。ΔSP値は1.3(cal/cm3)1/2であった。
モノエステルワックスEをモノエステルワックスG(中京油脂製、N-272、融点68℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスGの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm3)1/2であった。
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルDに変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Dの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、600nmであり、モノエステルワックスEの分散径(平均粒径)は500nmであった。ΔSP値は2.3(cal/cm3)1/2であった。
モノエステルワックスEをモノエステルワックスH(日油製、WEP2、融点60℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、モノエステルワックスHの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm3)1/2であった。
結晶性ポリエステルBを結晶性ポリエステルDに変えたこと以外は比較例2と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Dの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は、600nmであり、モノエステルワックスHの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は2.3(cal/cm3)1/2であった。
モノエステルワックスEをジエステルワックスI(日油製、WEP8、融点79℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、ジエステルワックスIの分散径(平均粒径)は150nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm3)1/2であった。
モノエステルワックスBを炭化水素系ワックスI(日本精蝋製、FNP90、融点90℃)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、トナー母粒子を得た。結晶性ポリエステル樹脂Bの分散径(平均粒径:C−PES分散径)は200nmであり、炭化水素系ワックスIの分散径(平均粒径)は1100nmであった。ΔSP値は1.5(cal/cm3)1/2であった。
また、以下のようにして実施例1〜5および比較例1〜5のトナー母粒子を用いて2成分現像剤を作成した。
実施例1〜5および比較例1〜5において得られたトナー(トナー母粒子)100重量部のそれぞれに、シランカップリング剤で疎水化処理された平均一次粒径20nmのシリカ粒子0.7重量部および酸化チタン1重量部を混合して外添トナーを得た。さらに得られた外添トナーと、体積平均粒径40μmのフェライトコアキャリアとを、2成分現像剤全量に対する外添トナーの濃度が7%になるように調整して混合し、トナー濃度7%の2成分現像剤を得た。
トナー製造における粉砕性、2成分現像剤を用いた定着性、熱保存性、および総合評価は、以下のようにして評価した。
作製した上記2成分現像剤及びトナーを、カラー複合機(商品名:MX−2640、シャープ株式会社製)の現像装置及びトナーカートリッジにそれぞれ充填し、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が1cmの正方形のベタ画像(ID=1.45〜1.50)が形成されるように、30℃湿度80%の環境で50000枚の連続プリントテストを行った。
焼き付き現象の評価基準は以下のとおりである。
○:良好。初期画像から50000枚目画像において濃度低下がなく、かつ、現像ローラ表面にトナーの融着がない。
△:やや不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下はないが、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
×:不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下があり、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
高温保存後の凝集物の有無によって保存安定性を評価した。トナー20gをポリ容器に密閉し、50℃で72時間放置した後、トナーを取り出して230メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存するトナーの重量を測定し、この重量のトナー全重量に対する割合である残存量を求め、下記の評価基準で評価した。残存量の数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こしておらずトナー母粒子が被覆層で充分に被覆されていることを示す。
評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好(凝集なし。残存量が0.5%未満である)
○:良好 (凝集微量。残存量が0.5%以上2%未満である)
△:やや悪い (凝集少量。残存量が2%以上10%未満である)
×:不良 (凝集多量。残存量が10%以上である)
焼き付き現象、保存安定性の結果より総合評価を行った。
◎:非常に良好(いずれの評価も◎である)
○:良好 (いずれの評価も◎または○である)
△:やや悪い (いずれかの評価が△であり、△以上である)
×:不良 (いずれかの評価が×である)
Claims (1)
- 2価のアルコール成分とジカルボン酸成分を重合して得られる非晶性ポリエステル樹脂中に、直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂および離型剤としてのモノエステル系ワックスが分散されたトナーであり、
前記トナー中の前記結晶性ポリエステル樹脂の分散径が100nm以上300nm以下であり、前記モノエステル系ワックスの分散径が200nm以上800nm以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との質量比が5:95〜50:50であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値差(ΔSP値)が1.4〜2.2(cal/cm 3 ) 1/2 であり、
前記モノエステル系ワックスの融点が68℃以上75℃未満であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成される結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である
ことを特徴とするトナー。
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