JP2017003788A - トナー及びその製造方法、並びに冷却装置 - Google Patents

トナー及びその製造方法、並びに冷却装置 Download PDF

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【課題】耐トナー凝集性に優れ且つフィルミングの発生を防止することが可能な混練粉砕法トナー及び該トナーの製造方法に用いる冷却装置を提供する。【解決手段】非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含む混練粉砕法トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が0以上10以下であることを特徴とする混練粉砕法トナーである。また、上記結着樹脂を含むトナー材料混合物を溶融混練してなるトナー材料混練物を圧延する圧延部と、前記圧延部により圧延されたトナー材料混練物を冷却固化する冷却部とを備える冷却装置1であって、前記冷却部が、互いに対向して配置される一対の無端状冷却ベルト3a,3bを備えており、該無端状冷却ベルト3a,3bはそれぞれが複数の駆動ローラ4a〜4dによって張架されていることを特徴とする冷却装置1である。【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、該トナーの製造方法及び該製造方法に用いる冷却装置に関し、特には、電子写真方式の画像形成装置に用いるトナーに関するものである。
トナーの低温定着性を向上させるために、結晶性ポリエステル樹脂を非晶性ポリエステル樹脂中に分散させた結着樹脂の使用が知られており、例えば、特開2012−32639号公報(特許文献1)においては、結着樹脂として、テレフタル酸やイソフタル酸を主成分として含む多価カルボン酸とエチレングリコールを主成分として含むジオールとを縮重合させることにより得られる非晶性ポリエステル樹脂と、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールとを縮重合させることにより得られる結晶性ポリエステル樹脂とを用いて、混練粉砕法によりトナーを作製することが提案され、該混練粉砕法トナーの使用により、トナーの保存安定性(耐トナー凝集性)と低温定着性を両立させている。
特開2012−32639号公報
しかしながら、特許文献1に記載される混練粉砕法トナーを用いても耐トナー凝集性については依然として改善の余地がある。また、特許文献1に記載される混練粉砕法トナーを用いると、現像ローラ表面でフィルミングが発生し、画像品質が低下するといった問題もある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、耐トナー凝集性に優れ且つフィルミングの発生を防止することが可能な混練粉砕法トナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、該トナーの製造方法及び該製造方法に用いる冷却装置を提供することにある。
本発明者は、まず、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度について検討した。結晶性ポリエステル樹脂は、主として低温定着性を向上させる観点から使用される樹脂であるものの、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度によってはトナーの性能に影響を及ぼす場合もあるからである。例えば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が低すぎると、トナーが凝集し易くなる傾向にある。一方、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が高すぎると、トナー粒子から結晶性ポリエステル樹脂が遊離してしまう傾向にあり、この遊離した結晶性ポリエステル樹脂が現像ローラ表面に付着することが発端となってフィルミングが起こるものと推定される。
このため、本発明者は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度に着目したところ、混練粉砕法によって製造されるトナーにおいては、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきが大きいことが分かった。つまり、混練粉砕法トナーは、主としてトナー粒子から構成されるが、これらトナー粒子には、結晶化度の低い結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子や、結晶化度の高い結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子が含まれており、トナーの凝集やフィルミングの発生についての課題が生じているものと推定される。
このような状況下、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、混練粉砕法によるトナーの製造方法において、特定の冷却装置によりトナー材料混練物を冷却固化することによって、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきが小さいトナーを提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の混練粉砕法トナーは、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含む混練粉砕法トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が0以上10以下であることを特徴とする。
また、本発明の冷却装置は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料混合物を溶融混練してなるトナー材料混練物を圧延する圧延部と、前記圧延部により圧延されたトナー材料混練物を冷却固化する冷却部とを備える冷却装置であって、前記冷却部が、互いに対向して配置される一対の無端状冷却ベルトを備えており、該無端状冷却ベルトはそれぞれが複数の駆動ローラによって張架されていることを特徴とする。
更に、本発明の混練粉砕法トナーの製造方法は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料を混合してトナー材料混合物を調製する混合工程と、前記トナー材料混合物を溶融混練してトナー材料混練物を調製する混練工程と、上記の冷却装置によって前記トナー材料混練物を冷却固化し、トナー材料固形物を調製する冷却工程と、前記トナー材料固形物を粉砕してトナー粒子を調製する粉砕工程とを含むことを特徴とする。
本発明の混練粉砕法トナーによれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきが小さいため、耐トナー凝集性に優れ且つフィルミングの発生を防止することが可能な混練粉砕法トナーを提供することができる。
本発明の冷却装置及び本発明の混練粉砕法トナーの製造方法によれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきが小さい混練粉砕法トナーを提供することができる。
本発明の冷却装置の一実施態様である冷却装置1の断面図である。 図1に示す冷却装置1の斜視図である。 図1に示す冷却装置1の分解斜視図である。 本発明の冷却装置に使用できる冷却ローラ10の一例の斜視図である。 図4に示す冷却ローラ10の断面図である。
[トナー]
以下に、本発明の混練粉砕法トナー(以下、単に本発明のトナーとも称する)を詳細に説明する。本発明の混練粉砕法トナーは、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含む混練粉砕法トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が0以上10以下であることを特徴とする。本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値;coefficient of variation)が0以上10以下であるため、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきが小さいトナー粒子から構成されており、耐トナー凝集性を向上させ且つフィルミングの発生を防止することができる。また、上記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数は0以上5以下であることが好ましい。なお、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数を上記特定した範囲内に調整することは、後述する本発明の冷却装置を用いる本発明の混練粉砕法トナーの製造方法によって達成できる。
混練粉砕法トナーは、主としてトナー粒子から構成されるが、トナー粒子を構成する結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度には、ばらつきがある。本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布とは、トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度(トナー単位質量あたりの溶融エネルギー)の分布を意味し、その変動係数(CV値)は、トナー粒子群における結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度の標準偏差を平均値で割ることで求められる。
本発明のトナーは、結着樹脂を含むトナー粒子と、必要に応じて該トナー粒子の表面に外添される外添剤とからなるが、トナー粒子には、一般に、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の内添剤が更に含まれる。また、本発明のトナーは、体積平均粒子径が5μm〜10μmであることが好ましい。
[結着樹脂]
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含む。なお、結晶性ポリエステル樹脂や、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の内添剤は、非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。
本発明において、非晶性樹脂と結晶性樹脂は、結晶性指数により区別され、結晶性指数が0.6〜1.5の範囲にある樹脂を結晶性樹脂とし、結晶性指数が0.6未満であるか又は1.5を超える樹脂を非晶性樹脂とする。結晶性指数が1.5を超える樹脂は非晶性であり、また、結晶性指数が0.6未満である樹脂は結晶性が低く、非晶性部分が多い。
なお、結晶性指数とは、樹脂の結晶化の度合いの指標となる物性であり、軟化温度と吸熱の最高ピーク温度の比(軟化温度/吸熱の最高ピーク温度)により定義されるものである。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性ポリエステル樹脂においては、最高ピーク温度を融点とし、非結晶性ポリエステル樹脂においては、最も高温側にあるピークをガラス転移点とする。
結晶化の度合いは、原料モノマーの種類及び比率、並びに製造条件(例えば反応温度、反応時間、冷却速度)等を調整することで制御できる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)の質量比(A/B)は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜調整できるものの、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、20/80〜50/50が好ましい。
[非晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いる非晶性ポリエステル樹脂は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸又はイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。なお、本発明において、ジカルボン酸モノマーの主成分及びジオールモノマーの主成分とは、それぞれを構成するモノマーの中で最大のモル含有率を示すモノマーを言うが、単一のモノマーである場合(即ち、テレフタル酸、イソフタル酸、又はエチレングリコールのモル含有率が100%である場合)も含まれる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸又はイソフタル酸を主成分として含むことが好ましい。ここで、ジカルボン酸モノマーに占めるテレフタル酸又はイソフタル酸のモル含有率は、70%以上で且つ100%以下であることが好ましく、80%以上で且つ100%以下であることが更に好ましい。
また、上記ジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸を含むことができる。テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸モノマーは、テレフタル酸又はイソフタル酸のエステル形成性誘導体や、テレフタル酸及びイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も含むことができる。本発明において、エステル形成性誘導体には、カルボン酸の酸無水物やアルキルエステル等が含まれる。なお、テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸モノマーを用いる場合、該ジカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジカルボン酸モノマーと共に、3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いてもよい。3価以上のポリカルボン酸モノマーとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が使用できる。3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いる場合、該ポリカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジオールモノマーは、エチレングリコールを主成分として含むことが好ましい。ここで、ジオールモノマーに占めるエチレングリコールのモル含有率は、70%以上で且つ100%以下であることが好ましく、80%以上で且つ100%以下であることが更に好ましい。
また、上記ジオールモノマーは、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等を含むことができる。エチレングリコール以外のジオールモノマーを用いる場合、該ジオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のトナーに用いる非晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造できる。例えば、ジカルボン酸モノマーと、ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを用いて、窒素ガス雰囲気中、190〜240℃の温度にて重縮合反応を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂を合成することができる。
上記重縮合反応において、ジオールモノマーと、カルボン酸モノマー(ジカルボン酸モノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを含む)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、1.3/1〜1/1.2が好ましい。また、上記重縮合反応において、カルボン酸モノマーに占めるジカルボン酸モノマーのモル含有率は、80〜100%であることが好ましい。更に、上記重縮合反応においては、必要に応じてジブチルスズオキシドやチタンアルコキシド(例えばテトラブトキシチタネート)等のエステル化触媒を使用することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性、保存性及び耐久性等の観点から、50〜70℃が好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、100〜150℃が好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(Mp)が、トナーの耐熱性、熱保存性及び低温定着性の両立の観点から、3000〜10500が好ましい。GPCでは、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、標準物質にはポリスチレンが使用される。なお、ピークトップ分子量とは、GPCの測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。
上記非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、帯電特性の観点から、0〜60mgKOH/gが好ましく、上記非晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、耐ホットオフセット性の観点から、0〜50mgKOH/gが好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂のSP値(ソルビリティーパラメーター)は、10.5〜12.5が好ましい。
本発明のトナーにおいて、非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー粒子中60〜85質量%であることが好ましい。
[結晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステル樹脂は、特に限定されるものではないが、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。なお、本発明において、ジカルボン酸モノマーの主成分及びジオールモノマーの主成分とは、それぞれを構成するモノマーの中で最大のモル含有率を示すモノマーを言うが、単一のモノマーである場合(即ち、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸、又は炭素数2〜10の脂肪族ジオールのモル含有率が100%である場合)も含まれる。
一般に、結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と比較して、トナーの機械的強度を低下させることなく、トナーの軟化温度や溶融粘度を下げることができるため、結晶性ポリエステル樹脂を非晶性ポリエステル樹脂と併用すると、トナーの低温定着性を向上できることが知られている。更に、結晶性ポリエステル樹脂が炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であり、非晶性ポリエステル樹脂がテレフタル酸又はイソフタル酸を主成分として含むジカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含むジオールモノマーとを重縮合させて得られる非晶性ポリエステル樹脂である場合、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂のジカルボン酸モノマーの主成分が異なり、場合によってはジオールモノマーの主成分さえも異なるため、両樹脂の相溶化をより確実に抑えることができ、低温定着性の向上効果が大きい。しかしながら、これら樹脂の相溶化を確実に抑えることで、結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂から遊離しやすくなるため、フィルミングの発生を防止することが非常に有効になる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジカルボン酸モノマーは、炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むことが好ましい。ここで、ジカルボン酸モノマーに占める炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸のモル含有率は、80%以上で且つ100%以下であることが好ましい。
上記炭素数9〜22の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アゼライン酸、ゼバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸モノマーは、これら脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も含むことができる。なお、これらジカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジカルボン酸モノマーと共に、3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いてもよい。3価以上のポリカルボン酸モノマーとしては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が使用できる。3価以上のポリカルボン酸モノマーを用いる場合、該ポリカルボン酸モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用されるジオールモノマーは、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分として含むことが好ましい。ここで、ジオールモノマーに占める炭素数2〜10の脂肪族ジオールのモル含有率は、80%以上で且つ100%以下であることが好ましい。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。なお、これらジオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成においては、上記ジオールモノマーと共に、3価以上のポリオールモノマーを用いてもよい。3価以上のポリオールモノマーとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が使用できる。3価以上のポリオールモノマーを用いる場合、該ポリオールモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のトナーに用いる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造できる。例えば、ジカルボン酸モノマーと、ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーや3価以上のポリオールモノマーとを用いて、窒素ガス雰囲気中、190〜240℃の温度にて重縮合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂を合成することができる。
上記重縮合反応において、ポリオールモノマー(ジオールモノマーと、場合により3価以上のポリオールモノマーとを含む)の水酸基と、カルボン酸モノマー(ジカルボン酸モノマーと、場合により3価以上のポリカルボン酸モノマーとを含む)のカルボキシル基との当量比(OH基/COOH基)は、保存性の観点等から、1.01〜1.14が好ましい。また、上記重縮合反応において、カルボン酸モノマーに占めるジカルボン酸モノマーのモル含有率は、90〜100%であることが好ましい。該ジカルボン酸モノマーのモル含有率が小さい程、結晶化の割合や速度が低くなり、耐トナー凝集性が不十分になる。更に、上記重縮合反応において、ポリオールモノマーに占めるジオールモノマーのモル含有率は、80〜100%であることが好ましい。なお、上記重縮合反応においては、必要に応じてジブチルスズオキシドやチタンアルコキシド(例えばテトラブトキシチタネート)等のエステル化触媒を使用することができる。
上記結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tmp)は、40℃以上が好ましく、定着性、保存性及び耐久性等の観点から、60〜90℃が更に好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は、低温定着性及び耐ブロッキング性の観点から、65〜110℃が好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂は、結晶化速度及び耐ブロッキング性の観点から、軟化点(Tm)と融点(Tmp)の比(Tm/Tmp)が1.0〜1.4であることが好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピークトップ分子量(Mp)が、保存性及び低温定着性等の観点から、10000〜90000が好ましい。GPCでは、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、標準物質にはポリスチレンが使用される。なお、ピークトップ分子量とは、GPCの測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。
上記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、帯電特性の観点から、0〜60mgKOH/gが好ましく、上記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、耐ホットオフセット性の観点から、0〜40mgKOH/gが好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(ソルビリティー パラメーター)は、9.3〜10.0が好ましい。該SP値が9.3未満では、非晶性ポリエステル樹脂に対する相溶性が低くなりすぎ、耐久性が不十分となる場合がある。一方、該SP値が10.0を超えると、結着樹脂のTgが低下し、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明のトナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、トナー粒子中10〜30質量%であることが好ましい。
[離型剤]
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させるときに、トナーに離型性を付与するために添加される。本発明のトナーにおいては、離型剤が非晶性ポリエステル樹脂中に分散している。本発明のトナーに使用できる離型剤は、特に制限されるものではないが、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、合成エステル系ワックス等が使用できる。合成エステル系ワックスとしては、ニッサンエレクトールワックス(日油社製;WEP−2、WEP−3、WEP−4、WEP−5、WEP−6、WEP−7、WEP−8、WEP−9、WEP−10)等を挙げることができる。本発明のトナーにおいて、離型剤の含有量は、特に限定されないが、トナー粒子中1〜5質量%であることが好ましい。
[着色剤]
着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。具体的には、以下の着色剤が使用できる。
黒トナー用着色剤としては、カーボンブラックやマグネタイト等が使用できる。
イエロートナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー93、同155等の縮合モノアゾ系黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー180、同150、同185等のその他黄色顔料、C.I.ソルベント・イエロー19、同77、同79、C.I.ディスパース・イエロー164等の黄色染料等が使用できる。
マゼンタトナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同5、同146、同184、同238、C.I.ピグメント・バイオレット19等の赤色又は紅色顔料;C.I.ソルベント・レッド49、同52、同58、同8等の赤色系染料等が使用できる。
シアントナー用着色剤としては、C.I.ピグメント・ブルー15:3、同15:4等の銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)等の緑色顔料等が使用できる。
本発明のトナーにおいて、着色剤の含有量は、特に限定されないが、トナー粒子中2〜10質量%であることが好ましい。
[帯電制御剤]
帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加される。本発明のトナーに使用できる帯電制御剤としては、正電荷制御用又は負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等を挙げることができる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、ナフトール酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、ベンジル酸又はその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体又は塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩等を挙げることができる。本発明のトナーにおいて、帯電制御剤の含有量は、特に限定されないが、トナー粒子中0.5〜5質量%であることが好ましい。
[外添剤]
本発明のトナーに使用できる外添剤は、現像ローラ表面へトナー構成成分が融着する焼き付き現象を防止する観点から、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子を少なくとも含むことが好ましい。なお、かかるシリカ微粒子の一次粒子径は、疎水化処理後のシリカ微粒子の平均一次粒子径を指す。
(大粒径シリカ微粒子)
本発明のトナーにおいて外添剤として使用できる大粒径シリカ微粒子は、その一次粒子径が75nm〜220nmである限り特に制限されるものではないが、ゾルゲル法で製造されたシリカ微粒子であることが好ましい。ゾルゲル法で製造されるシリカ微粒子は、粒度分布がシャープになることから、高い掻き取り効果を得ることができる。ゾルゲル法によるシリカ微粒子の製造方法としては、例えば、特開2013−249215号公報に記載される方法等が挙げられる。
(ゾルゲル法によるシリカ微粒子の製造方法)
ゾルゲル法によるシリカ微粒子の製造方法としては、例えば、アルカリ触媒を含むアルコール溶媒中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給してシリカ微粒子を形成させた後、このシリカ微粒子の分散液から、溶媒を除去し、解砕する方法等が挙げられる。アルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等が使用でき、必要に応じて水、ケトン等を加えた混合溶媒が使用できる。アルカリ触媒は、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素等が使用できる。テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の、下記一般式(1):
Si(OR14 ・・・(1)
(式中、Rは、互いに同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基である)に示されるケイ素アルコキシドが使用できる。溶媒除去方法としては、例えば、濾過、遠心分離、蒸留等が挙げられ、溶媒の除去後に、真空乾燥機等によりシリカ微粒子を乾燥させるのが好ましい。解砕方法としては、例えば、ジェットミル、振動ミル等の乾式粉砕装置を用いて行うことができる。
(疎水化処理)
疎水化処理方法としては、シリカ微粒子表面に疎水化剤を反応させる方法が使用できる。具体的には、撹拌部材及び温度計を備え、疎水化剤及び窒素ガス等の不活性ガスを導入する導入管が挿通された四つ口フラスコに、シリカ微粒子を入れ、120〜350℃に保つように撹拌しながら、疎水化剤と不活性ガスを導入し、所定時間(例えば2〜8時間)反応させることによってシリカ微粒子を疎水化することができる。疎水化剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン等のシランカップリング剤や、シリコーンオイル、シリコーンワニス等が使用でき、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。また、疎水化処理されたシリカ微粒子(以下、疎水性シリカ微粒子ともいう)は、疎水率が95%以上100%以下であることが好ましい。ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理された疎水率が95%以上100%以下であるシリカ微粒子は、現像ローラに結晶性ポリエステル樹脂が付着していても、該結晶性ポリエステル樹脂に引っ付きにくいため、現像ローラ表面に固定され難くなる。更に、疎水化処理されたシリカ微粒子は、乾燥減量が0.8質量%以下であることが好ましい。
本発明のトナーにおいて、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子の添加量は、特に限定されないが、トナー粒子100質量部に対して0.5〜3質量部であるのが好ましい。
(その他の外添剤)
本発明のトナーに使用できる外添剤は、疎水化処理された一次粒子径が75nm〜220nmの大粒径シリカ微粒子以外の外添剤(以下、他の外添剤ともいう)を含んでもよい。例えば、トナーに流動性を付与する目的で、平均粒子径が7nm〜50nmの無機微粒子が使用できる。該無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子や、該無機微粒子をシランカップリング剤、チタンカップリング剤又はシリコーンオイルにより表面処理(疎水化処理)したものが挙げられる。本発明のトナーにおいて、他の外添剤の添加量は、特に限定されないが、トナー粒子100質量部に対して0.8〜2質量部であるのが好ましい。
本発明のトナーは、一成分現像剤として使用できるが、本発明のトナーとキャリアの混合物を二成分現像剤として使用することもできる。
[二成分現像剤]
以下に、本発明のトナーを二成分現像剤に利用する場合について説明する。上記二成分現像剤は、上述の本発明のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とし、例えば、ナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)等の混合機を用いて、トナーとキャリアとを混合することによって製造できる。また、トナーとキャリアの配合比としては、例えば10:90〜5:95の質量比であることが好ましい。
[キャリア]
キャリアとしては、体積平均粒子径が20〜45μmの磁性体粒子を使用できる。キャリアの体積平均粒子径が20μm未満では、現像時に現像ローラから感光体にキャリアが移動することにより、得られる画像に白抜けが発生する場合がある。また、45μmを超えると、ドット再現性が悪くなり、画像が粗くなる。なお、本発明において、キャリアの体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置HELOS(SYMPATEC社製)に乾式分散装置RODOS(SYMPATEC社製)を用いて、分散圧3.0barの条件下で測定したときの値である。
キャリアの飽和磁化については、飽和磁化が低いほど感光体と接する磁気ブラシ(現像ローラ表面に形成される)が柔らかくなるので、静電潜像に忠実な画像が得られるが、飽和磁化が低すぎると、感光体表面にキャリアが付着し、白抜け現象が発生しやすくなる。一方、飽和磁化が高すぎると、磁気ブラシの剛直化により、静電潜像に忠実な画像が得られにくくなる。このため、キャリアの飽和磁化は、30〜100emu/gの範囲内にあるのが好ましい。
このようなキャリアとして、磁性を有するコア粒子表面に被覆層を設けた被覆キャリアが一般的によく使用される。コア粒子としては公知の磁性粒子が使用できるが、フェライト系粒子が好ましい。フェライト系粒子を用いると、飽和磁化の高いキャリアが得られ、感光体へのキャリア付着量を低減できる。フェライト系粒子としては公知のものを使用でき、例えば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライト等が挙げられる。
これらのフェライト系粒子は、公知の方法で作製できる。例えば、FeやMg(OH)等のフェライト原料を混合し、この混合粉を加熱炉で加熱して仮焼する。得られた仮焼品を冷却した後、振動ミルでほぼ1μmの粒子となるように粉砕し、粉砕粉に分散剤と水を加えてスラリーを作製する。このスラリーを湿式ボールミルで湿式粉砕し、得られる懸濁液をスプレードライヤーで造粒乾燥することによって、フェライト粒子が得られる。
上記キャリアの被覆層を構成する被覆材としては、公知の樹脂材料が使用でき、例えば、アクリル樹脂やシリコーン樹脂等が挙げられる。特に、シリコーン樹脂で被覆した被覆キャリア、即ちシリコーン樹脂の被覆層を有する被覆キャリアが好ましい。シリコーン樹脂の被覆層を有する被覆キャリアを用いると、結晶性ポリエステル樹脂や離型剤等のトナー成分がキャリア表面に付着し難くなり、キャリア汚染を抑え、帯電安定性に優れる。
シリコーン樹脂としては公知のものが使用できる。また、シリコーン樹脂は、例えばワニスの形態等で市販されており、これらを好適に使用できる。具体例としては、シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR115、TSR114、TSR102、TSR103、YR3061、TSR110、TSR116、TSR117、TSR108、TSR109、TSR180、TSR181、TSR187、TSR144、TSR165、信越化学工業株式会社製:KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR267、KR269、KR211、KR212)、アルキッド変性シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR184、TSR185)、エポキシ変性シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR194、YS54)、ポリエステル樹脂変性シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR187)、アクリル変性シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR170、TSR171)、ウレタン変性シリコーンワニス(株式会社東芝製:TSR175)、反応性シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製:KA1008、KBE1003、KBC1003、KBM303、KBM403、KBM503、KBM602、KBM603)等が挙げられる。
上記被覆材には、キャリアの体積抵抗率値を制御するため、導電材が添加されることが好ましい。導電材としては、例えば、酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの導電材の中でも、作製安定性、コスト、電気抵抗の低さという観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの種類は特に限定されないが、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が90〜170ml/100gの範囲にあるものが、作製安定性に優れる点で好ましい。また、一次粒子径として100nm以下のものが分散性に優れるため特に好ましい。これら導電材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。導電材の添加量は、被覆材100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。
被覆材でキャリア粒子を被覆するには、公知の方法が採用できる。例えば、被覆材の有機溶媒溶液中にキャリア粒子を浸漬させる浸漬法、被覆材の有機溶媒溶液をキャリア粒子に噴霧するスプレー法、キャリア粒子を流動エアにより浮遊させた状態で被覆材の有機溶媒溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア粒子と被覆材の有機溶媒溶液とを混合し、有機溶媒等の溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。ここで、上記被覆材の有機溶媒溶液は、導電材を含むことが好ましい。
[トナーの製造方法]
次に、本発明のトナーを製造する方法について詳細に説明する。本発明のトナーの製造方法は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料を混合してトナー材料混合物を調製する混合工程と、前記トナー材料混合物を溶融混練してトナー材料混練物を調製する混練工程と、後述する本発明の冷却装置によって前記トナー材料混練物を冷却固化し、トナー材料固形物を調製する冷却工程と、前記トナー材料固形物を粉砕してトナー粒子を調製する粉砕工程とを含むことを特徴とする混練粉砕法トナーの製造方法である。本発明のトナーの製造方法によれば、上記冷却工程を経ることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきを抑えることができ、本発明のトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法において、混合工程では、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料を混合してトナー材料混合物を調製する。ここで、トナー材料には、結着樹脂の他、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の内添剤が必要に応じて含まれる。混合機としては公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法において、混練工程では、上記混合工程で得たトナー材料混合物を溶融混練してトナー材料混練物を調製する。溶融混練時のトナー材料混練物の温度は100〜180℃であることが好ましい。混練機としては公知のものを使用でき、例えば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミル等の一般的な混練機を使用できる。更に具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)等の1軸又は2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、日本コークス工業株式会社製)等のオープンロール方式の混練機が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法において、冷却工程では、上記混練工程で得たトナー材料混練物を後述する本発明の冷却装置によって冷却固化し、トナー材料固形物を調製する。なお、冷却工程の条件については、本発明の冷却装置の説明において詳細に述べる。
本発明のトナーの製造方法において、粉砕工程では、上記冷却工程で得たトナー材料固形物を粉砕し、必要に応じて分級等の粒度調整を行って、トナー粒子を調製する。粉砕には、例えば、超音速ジェット気流を利用するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機等を用いることができる。分級には、遠心力による分級及び風力による分級によって過粉砕トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等を使用することができる。
また、本発明のトナーの製造方法においては、上記粉砕工程で得たトナー粒子に外添剤を添加する場合もある。外添剤の添加方法としては、トナー粒子と外添剤とをヘンシェルミキサ等の気流混合機で混合する方法が一般的である。
[冷却装置]
次に、本発明のトナーの製造方法に用いる冷却装置について詳細に説明する。本発明の冷却装置は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料混合物を溶融混練してなるトナー材料混練物を圧延する圧延部と、前記圧延部により圧延されたトナー材料混練物を冷却固化する冷却部とを備える冷却装置であって、前記冷却部が、互いに対向して配置される一対の無端状冷却ベルトを備えており、該無端状冷却ベルトはそれぞれが複数の駆動ローラによって張架されていることを特徴とする。本発明の冷却装置によれば、圧延部によりトナー材料混練物を薄膜状にし、冷却部により薄膜状トナー材料混練物を厚み方向に均等に冷却することで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布のばらつきを抑えることができ、本発明のトナーを得ることができる。
本発明の冷却装置において、圧延部は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料混合物を溶融混練してなるトナー材料混練物を圧延する。圧延部としては、一対の圧延ローラであることが好ましい。圧延したトナー材料混練物の厚みは、1〜5mmであることが好ましい。
本発明の冷却装置において、冷却部は、上記圧延部により圧延されたトナー材料混練物を冷却固化する。ここで、冷却部は、互いに対向して配置される一対の無端状冷却ベルトを備えており、各無端状冷却ベルトは、複数の駆動ローラによって張架され、駆動ローラの回転に伴って回転する。圧延されたトナー材料混練物が一対の無端状冷却ベルト間を通過することで、該トナー材料混練物を厚み方向に均等に冷却して固化させることができる。
なお、冷却部での冷却開始時のトナー材料混練物の温度は、70〜100℃程度であることが好ましく、冷却部での冷却速度は、50℃/分〜75℃/分であることが好ましい。
以下に、図を参照して本発明の冷却装置を詳細に説明する。図1は、本発明の冷却装置の一実施態様(第1の実施態様)である冷却装置1の断面図である。図2は、図1に示す冷却装置1の斜視図であり、図3は、図1に示す冷却装置1の分解斜視図であり、図4は、本発明の冷却装置に使用できる冷却ローラ10の一例の斜視図であり、図5は、図4に示す冷却ローラ10の断面図である。
図1〜3に示されるように、冷却装置1は、一対の圧延ローラ2a,2bからなる圧延部と、上下に対向するように配置された一対の無端状冷却ベルト3a,3bを備える冷却部とを備えている。
一対の圧延ローラ2a,2bは、トナー材料混練物の搬送方向に垂直な方向に延びるローラであって、下側に位置する無端状冷却ベルト3bの上方で且つトナー材料混練物の搬送方向の上流側に設けられている。また、これら圧延ローラは、図示しない回転機構に接続されており、図1に示す矢印の方向に回転して、トナー材料混練物を圧延する。圧延ローラの間隔を調整することによって、圧延後のトナー材料混練物の厚みを調整することができる。圧延ローラとしては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成された円筒形のローラを使用することができる。なお、圧延ローラ2a,2bは、図4に示す冷却ローラ10の構造と同様な構造を有しており、圧延時にトナー材料混練物を冷却してもよい。
一対の無端状冷却ベルト3a,3bは、それぞれが、トナー材料混練物の搬送方向に垂直な方向に延びる2つの駆動ローラによって張架されている。ここで、上側に位置する無端状冷却ベルト3aの駆動ローラを4a,4bとし、下側に位置する無端状冷却ベルト3bの駆動ローラを4c,4dとする。駆動ローラ4a〜4dは、図示しない回転機構に接続されており、図1に示す矢印の方向に回転し、これに伴って、無端状冷却ベルト3a,3bも回転する。冷却ベルトとしては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成された無端状ベルトを使用することができ、駆動ローラとしては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成された円筒形のローラを使用することができる。なお、駆動ローラ4a〜4dは、図4に示す冷却ローラ10の構造と同様な構造を有しており、無端状冷却ベルト3a,3bの温度調整に利用することができる。
また、無端状冷却ベルト3bは、圧延部により圧延されたトナー材料混練物を受け取るため、トナー材料混練物の搬送方向の下流側に無端状冷却ベルト3aが対向していない非対向領域5を有している。
圧延されたトナー材料混練物は、無端状冷却ベルト間を通過する際、上下に位置する無端状冷却ベルトの両方と接触しながら搬送される。ここで、無端状冷却ベルトの間隔は、例えば1〜5mmであることが好ましい。
無端状冷却ベルト3a,3bの温度は、トナー材料混練物の搬送方向に垂直な方向に延びる冷却ローラの使用によって調整できる。ここで、上側に位置する無端状冷却ベルト3aの4つの冷却ローラを6a,6b,6c,6dとし、下側に位置する無端状冷却ベルト3bの5つの冷却ローラを6e,6f,6g,6h,6iとする。冷却ローラ6a〜6iは、図示しない回転機構に接続されており、冷却ローラ6a〜6dは、駆動ローラ4a,4bと同じ方向に回転し、冷却ローラ6e〜6iは、駆動ローラ4c,4dと同じ方向に回転する。
冷却ローラ6a〜6dは、冷却ベルト3aの内側で且つ駆動ローラ4a,4bの間に設けられており、冷却ベルト3aの内周面と接触している。一方、冷却ローラ6e〜6iは、冷却ベルト3bの内側で且つ駆動ローラ4c,4dの間に設けられており、冷却ベルト3bの内周面と接触している。冷却水等の冷却媒体を冷却ローラ内に供給することで、無端状冷却ベルトの温度を調整することができる。
図4〜5に示す冷却ローラ10は、図1〜3に示される冷却装置1の冷却ローラとして使用でき、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成された円筒形のローラである。図4〜5に示されるように、冷却ローラ10の両端には、該冷却ローラ10と一体的に回転する回転軸11a,11bが設けられ、図示しない駆動モータと回転軸11aに固定された駆動ギア12を介して、冷却ローラ10が回転駆動される。回転軸は、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成された管状の部材であり、回転軸11a,11bの内部を冷却媒体が通過する。
回転軸11bには、ジョイント13bを介して、冷却媒体供給管14が接続され、回転軸11aには、ジョイント13aを介して、冷却媒体排出管15が接続されている。これにより冷却ローラ内に冷却媒体を供給する。
[物性測定方法]
以下に、本発明に関する各物性値の測定方法について説明する。
{樹脂の分子量}
本発明において、ポリエステル樹脂の分子量〔ピークトップ分子量(Mp)及び数平均分子量(Mn)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。また、分子量の測定には、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液として使用する。なお、ピークトップ分子量とは、GPCの測定により得られるクロマトグラムにおいて最大のピーク高さを示す分子量を指す。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25質量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
{樹脂の酸価及び水酸基価}
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定される値とする。なお、試料に架橋に伴う溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
{SP値}
本発明において、SP値は、Fedorsらが提案した「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」に記載される方法によって計算される。
{融点}
示差走査熱量計(例えば、セイコー電子工業社製、DSC220)を用いて、測定試料を200℃まで昇温してから、降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸発熱量の最大ピークに対応する温度を融点(Tmp)とする。
{軟化点}
フローテスター(商品名:CFT−100C、株式会社島津製作所製)を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点(Tm)とする。
{ガラス転移温度}
日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料10mgを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
{樹脂の結晶性指数}
まず、示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料10mgを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線の吸熱ピークの最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
次に、上述の測定方法によって得られた軟化点及び樹脂の吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性指数を結晶性の度合いとして算出した。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
{結晶化度の変動係数(CV値)}
まず、トナー100gの中からDSC測定用トナーサンプルとしてトナー10mgを100サンプル準備し、各サンプルを示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、昇温速度毎分5℃で30℃〜150℃まで加熱してDSC曲線を測定する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点における溶解エネルギー(ここでは結晶化度と定義する)を算出し、測定された100サンプルの結晶化度から標準偏差と平均値を算出する。
{トナーの体積平均粒子径}
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、トナー粒子20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用いて、超音波周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料を調製する。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザーII、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布からトナーの体積平均粒子径を求める。
{外添剤の一次粒子径}
本発明において、外添剤の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて外添剤の粒子を撮影し、得られた画像から任意に100個の外添剤の粒子の粒径(長径)を測定し、100個の粒径の平均値を算出し、これを外添剤の一次粒子径とする。
{疎水率}
本発明において、疎水率の測定方法は、以下の方法で測定できる。
疎水性シリカ微粒子のサンプル1gを200mLの分液ロートに計り採り、これに純水100mLを加えて栓をし、ターブラーミキサーで90rpmの撹拌回転数で10分間振盪し、振盪後、10分間静置する。静置後、下層の混合液20〜30mLをロートから抜き取り、その下層の混合液を10mm石英セルに分取し、比色計を用いて純水をブランクとする波長500nmの光透過率(%)を疎水率(%)とする。
{乾燥減量}
本発明において、乾燥減量は、以下の方法で測定できる。
十分に乾燥させた秤量瓶の質量(A)を測定し、その秤量瓶にシリカ微粒子を載せた質量(B)を測定する。秤量瓶とシリカ微粒子を恒温乾燥機で105℃で2時間乾燥させた後、これらをデシケータに移して15分間放冷する。放冷後の秤量瓶とシリカ微粒子の質量(C)を測定し、下記式(2)により乾燥減量(質量%)を算出する。
乾燥減量(質量%)={(B−C)/(B−A)}×100 (2)
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(非晶性ポリエステル樹脂PA1の調製)
反応槽中に、テレフタル酸440g(2.7モル)、イソフタル酸235g(1.4モル)、アジピン酸7g(0.05モル)、エチレングリコール554g(8.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103g(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ、所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは219g(3.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA1とした。非晶性ポリエステル樹脂PA1は、Tgが56℃、Tmが135℃、Mpが4800、酸価が37mgKOH/g、水酸基価が50mgKOH/g、結晶性指数が1.6であった。
(非晶性ポリエステル樹脂PA2の調製)
反応槽中に、テレフタル酸310g(1.9モル)、イソフタル酸465g(2.8モル)、アジピン酸36g(0.25モル)、エチレングリコール610g(9.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5gを入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52g(0.27モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で樹脂を取出した。回収されたエチレングリコールは262g(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを非晶性ポリエステル樹脂PA2とした。非晶性ポリエステル樹脂PA2は、Tgが60℃、Tmが150℃、Mpが10500、酸価が10mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/g、結晶性指数が1.7であった。
(結晶性ポリエステル樹脂PC1の調製)
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、10−デカンジカルボン酸230g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂PC1とした。結晶性ポリエステル樹脂PC1は、Tmpが66℃、Tmが73℃(Tm/Tmp=1.1)、Mpが13500、結晶性指数が1.1であった。
(結晶性ポリエステル樹脂PC2の調製)
反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール132g(1.12モル)、1、18−オクタデカンジカルボン酸343g(1.0モル)、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート3gを入れ、210℃で常圧下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下で反応を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところで樹脂を取出した。得られた樹脂を室温まで冷却した後、粉砕により粒子化した。これを結晶性ポリエステル樹脂PC2とした。結晶性ポリエステル樹脂PC2は、Tmpが68℃、Tmが95℃(Tm/Tmp=1.4)、Mpが20000、結晶性指数が1.4であった。
[実施例1]
(トナーT1の調製)
非晶性ポリエステル樹脂PA1 80質量部
結晶性ポリエステル樹脂PC1 20質量部
ワックス(WEP−5、日油社製) 5質量部
カーボンブラック(MA−100、三菱化学社製) 7質量部
帯電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学社製) 1質量部
上記トナー材料をヘンシェルミキサ(FM20C、日本コークス社製)で5分間撹拌混合して、トナー材料混合物を調製した。
得られたトナー材料混合物をオープンロール型連続混練機(MOS320−1800、三井鉱山社製)で溶融混練してトナー材料混練物を調製した。
得られたトナー材料混練物を、図1に示す冷却装置によって、以下の冷却条件下で冷却固化し、トナー材料固形物を調製した。
<冷却条件>
圧延ローラ直径:150mm
圧延ローラ幅:400mm
圧延ローラ周速:5m/分
圧延ローラ表面温度:70℃
ベルト長:3m
ベルト幅:400mm
ベルト冷却速度:67℃/分
得られたトナー材料固形物をφ2mmのスクリーンを有するスピードミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(IDS−2、日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕し、さらにエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ−LABO)を用いて分級して、体積平均粒子径6.5μmのトナー粒子を得た。
次に、得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ微粒子S1を2質量部、市販のシリカ微粒子(商品名:R976、アエロジル社製、平均一次粒子径7nm)を1.5質量部加えて、撹拌羽根の先端速度を15m/秒に設定した気流混合機(三井鉱山社製、ヘンシェルミキサ)で2分間撹拌することによって、体積平均粒子径6.5μmの実施例1のトナーT1を作製した。
なお、実施例1のトナーT1は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が2であった。
[実施例2]
冷却条件として、ベルト冷却速度を50℃/分に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの実施例2のトナーT2を作製した。
なお、実施例2のトナーT2は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が4であった。
[実施例3]
冷却条件として、ベルト冷却速度を75℃/分に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの実施例2のトナーT3を作製した。
なお、実施例3のトナーT3は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が5であった。
[実施例4]
トナー材料として、以下のトナー材料を用いた点を除いて、実施例1と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの実施例4のトナーT4を作製した。
<トナー材料>
非晶性ポリエステル樹脂PA2 80質量部
結晶性ポリエステル樹脂PC2 20質量部
ワックス(WEP−5、日油社製) 5質量部
カーボンブラック(MA−100、三菱化学社製) 7質量部
帯電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学社製) 1質量部
なお、実施例4のトナーT4は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が3であった。
[実施例5]
冷却条件として、ベルト冷却速度を50℃/分に変更した点を除いて、実施例4と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの実施例5のトナーT5を作製した。
なお、実施例5のトナーT5は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が5であった。
[実施例6]
冷却条件として、ベルト冷却速度を75℃/分に変更した点を除いて、実施例4と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの実施例6のトナーT6を作製した。
なお、実施例6のトナーT6は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が5であった。
[比較例1]
図1に示す冷却装置から無端状冷却ベルト3aと冷却ローラ6a,6b,6c,6dを取り外した冷却装置を用いた点と、冷却条件として以下の冷却条件に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法で、冷却体積平均粒子径6.5μmの比較例1のトナーT7を作製した。
なお、比較例1のトナーT7は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が11であった。
<冷却条件>
圧延ローラ直径:150mm
圧延ローラ幅:400mm
圧延ローラ周速:5m/分
圧延ローラ表面温度:50℃
[比較例2]
冷却条件として以下の冷却条件に変更した点を除いて、比較例1と同様の方法で、体積平均粒子径6.5μmの比較例2のトナーT8を作製した。
なお、比較例2のトナーT8は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が12であった。
<冷却条件>
圧延ローラ直径:150mm
圧延ローラ幅:400mm
圧延ローラ周速:5m/分
圧延ローラ表面温度:30℃
(キャリアの調製)
フェライト粒子(体積平均粒径45μm)100質量部
トルエン 15質量部
シリコーン樹脂(数平均分子量:約15000)2質量部
カーボンブラック(一次粒径25nm、吸油量150ml/100g)0.15質量部
オクチル酸 0.1質量部
フェライト粒子を除く上記材料を10分間スターラで撹拌させ、分散した被覆用塗液を調製した後、この被覆用塗液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダに入れ、60℃で25分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることにより、体積平均粒子径が45μm、シリコーン樹脂の被覆率100%、体積抵抗率が2×1011Ω・cm、飽和磁化が65emu/gのキャリアを作製した。
(二成分現像剤D1の調製)
トナーT1(A)と上記キャリア(B)とを6:94の質量比(A:B)でナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、20分間撹拌混合することによって、実施例1の二成分現像剤D1を作製した。
(二成分現像剤D2〜D8の調製)
トナーT1に代えてトナーT2〜T8を用いた以外は、二成分現像剤D1の調製と同様の方法で、実施例2〜6及び比較例1〜2の二成分現像剤D2〜D8を作製した。
(評価)
作製した実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例2のトナーT1〜T8並びに実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例2の二成分現像剤D1〜D8について、下記に示す評価方法に従い、耐トナー凝集性及びフィルミング現象の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(耐トナー凝集性の評価方法)
10gのトナーを100mlのガラス瓶に入れて温度50℃の恒温槽内に24時間放置し、その後、該トナーに対して、400メッシュの超音波フルイで1分間フルイ操作を行い、凝集トナー指標としてメッシュ上に残る凝集トナーの有無を確認した。
耐トナー凝集性の評価基準は次のとおりである。
○:良好。メッシュ上に残る凝集トナーの残存量が0.5質量%未満である。
△:実使用上問題なし。メッシュ上に残る凝集トナーの残存量が0.5質量%以上2質量%未満である。
×:不良。メッシュ上に残る凝集トナーの残存量が2質量%以上である。
(フィルミング現象の評価方法)
作製した上記二成分現像剤及びトナーを、カラー複合機(商品名:MX−2640、シャープ株式会社製)の現像装置及びトナーカートリッジにそれぞれ充填し、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が1cmの正方形のベタ画像(ID=1.45〜1.50)が形成されるように、20℃湿度60%の環境で50000枚の連続プリントテストを行った。
フィルミングの評価基準は以下のとおりである。
○:良好。初期画像から50000枚目画像において濃度低下がなく、かつ、現像ローラ表面にトナーの融着がない。
△:やや不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下はないが、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
×:不良。初期画像から50000枚目画像において濃度低下があり、現像ローラ表面にトナーの融着がある。
Figure 2017003788
表1に示すように、実施例1〜実施例6においては、耐トナー凝集性及びフィルミング現象ともに良好な結果が得られた。一方、比較例1〜比較例2においては耐トナー凝集性及びフィルミング現象ともに不良との結果が得られた。
1 冷却装置
2a,2b 圧延ローラ
3a,3b 無端状冷却ベルト
4a〜4d 駆動ローラ
5 非対向領域
6a〜6i 冷却ローラ
10 冷却ローラ
11a,11b 回転軸
12 駆動ギア
13a,13b ジョイント
14 冷却媒体供給管
15 冷却媒体排出管

Claims (3)

  1. 非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含む混練粉砕法トナーにおいて、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度分布における変動係数(CV値)が0以上10以下であることを特徴とする混練粉砕法トナー。
  2. 非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料混合物を溶融混練してなるトナー材料混練物を圧延する圧延部と、
    前記圧延部により圧延されたトナー材料混練物を冷却固化する冷却部とを備える冷却装置であって、
    前記冷却部が、互いに対向して配置される一対の無端状冷却ベルトを備えており、該無端状冷却ベルトはそれぞれが複数の駆動ローラによって張架されていることを特徴とする冷却装置。
  3. 非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含むトナー材料を混合してトナー材料混合物を調製する混合工程と、
    前記トナー材料混合物を溶融混練してトナー材料混練物を調製する混練工程と、
    請求項2に記載の冷却装置によって前記トナー材料混練物を冷却固化し、トナー材料固形物を調製する冷却工程と、
    前記トナー材料固形物を粉砕してトナー粒子を調製する粉砕工程と
    を含むことを特徴とする混練粉砕法トナーの製造方法。
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