JP6603638B2 - モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、回転速度が速い場合でも、ロータの停止位置を正確に制御することができるステッピングモータの制御方法が開示されている。
そこで、本発明は、モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法について、モータの回転停止位置を短時間で正確に制御することを課題とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
図1において、ステッピングモータ120は、バイポーラ型2相ステッピングモータであり、永久磁石を有し回動自在に設けられた回転子126と、回転子126の周囲の周回方向4等分位置に設けられた固定子とを有している。これらの固定子は、X相の固定子122XP,122XNと、Y相の固定子122YP,122YNとからなる。これらの固定子には各々巻線が巻回されている。固定子122YP,122YNに巻回された巻線は直列に接続されており、両巻線を合わせて「固定子巻線124Y」という。同様に、固定子122XP,122XNに巻回された巻線は直列に接続されており、両巻線を合わせて「固定子巻線124X」という。固定子巻線124Y,124Xは、モータコイルの一例である。
Hブリッジ回路20Xは、接続点Mout0を介してX相の固定子122XNの巻線(モータコイルの一例)と接続され、更に接続点Mout1を介してX相の固定子122XPの巻線(モータコイルの一例)と接続される。コイル電流IMout1−0は、接続点Mout1から接続点Mout0へ流れる電流である。
Hブリッジ回路20Yは、接続点Mout2を介してY相の固定子122YPの巻線(モータコイルの一例)と接続され、更に接続点Mout3を介してY相の固定子122YNの巻線(モータコイルの一例)と接続される。コイル電流IMout3−2は、接続点Mout3から接続点Mout2へ流れる電流である。
次に、図2を参照し、モータ制御装置100の詳細を説明する。なお、図1には2系統の固定子巻線124X,124Yと、2系統のHブリッジ回路20X,20Yを示したが、図2では、これらをまとめて1系統の固定子巻線124と、1系統のHブリッジ回路20として示している。
CPU101は、ステッピングモータ120を1相励磁方式かつ位置センサレスで駆動制御し、BEMF検出部118によって検知された逆起電圧のゼロクロスに基づいて転流し、駆動電圧と負荷に応じた回転速度によってステッピングモータ120の駆動制御を行うとともに、後述するように、ステッピングモータ120の駆動を停止する際には、算出された減速開始ステップから所望の位置で停止可能な所定回転速度以下に低下するまで、ステップ毎の転流時間の延長制御を行う。
図3(a)〜(d)と図4(e),(f)とは、Hブリッジ回路の動作モードの説明図である。これら説明図を参照し、Hブリッジ回路20の動作モードを説明する。
図3(a)は、斜めに対向する2つのFETがオン(ON)状態にされて、固定子巻線124に流れるモータ電流の絶対値を増加させてゆく場合を示している。図3(a)に示した例では、FET4,6がオン状態であり、FET2,8がオフ(OFF)状態である。この図3(a)では、モータ電流の絶対値の増加を、黒色の矢印で示している。この状態では、FET6→固定子巻線124→FET4を介して破線で示す方向にモータ電流が流れると共に、当該モータ電流が増加してゆく。この動作モードのことを、チャージモードという。
逆起電圧モードとは、FET2,4,6,8がオフ状態であり、Hブリッジ回路20に電流が流れなくなり、かつ逆起電圧が発生しているモードである。フリーモードとは、FET2,4,6,8がオフ状態であり、Hブリッジ回路20に電流が流れなくなり、かつ逆起電圧がゼロクロスした後のモードである。
コイル電流が最大電流以内の通常の場合、Hブリッジ回路20は、チャージモード→貫通防止モード→フライバック対応モード→フリーモードの順で遷移する。
すなわち、電流制限時において、Hブリッジ回路20は、PWM周期毎にチャージモードと低速減衰モードとを繰り返したのち、貫通防止モード→フライバック対応モード→フリーモードの順で遷移する。低速減衰モードを使用することで電流の減衰は、高速減衰モードより小さくなる。よって、モータの回転駆動力および保持力が維持され、チャージモードと低速減衰モードの繰り返しによる電流リップルが小さくなる。
低速減衰モードは、非同期の低速減衰モードだけで対応する場合と、非同期の低速減衰モードの後に同期の低速減衰モードに移行する場合が可能である。
第1象限の時刻t10において、X相のHブリッジ回路20Xはチャージモードに移行し、Y相のHブリッジ回路20Yはフライバック対応モードに移行する。図6に示すように、ステッピングモータ120はX+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout1である。
図5に示すように、X相のHブリッジ回路20Xは、チャージモードにおいて、電圧VMout1が電圧MVdd、電圧VMout0がGND(グランド)に切り替わる。X相の固定子巻線124Xに電圧MVddが印加され、X相のコイル電流IMout1−0が次第に増加する。
なお、X相のコイル電流IMout1−0の絶対値が予め設定した最大電流を超過した場合、Hブリッジ回路20Xは、PWM周期毎にチャージモードから低速減衰モードに切り替わることで、コイル電流IMout1−0の絶対値を最大電流未満に維持する。
フリーモードにおいて、Y相のHブリッジ回路20Yには、キックバックの逆方向に逆起電圧が出現する。CPU101は、この逆起電圧のゼロクロスをトリガに転流させて、次の第2象限に移行する。キックバックの発生時間および逆起電圧は、モータの駆動電圧、モータの駆動負荷、および回転速度で変化する。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
第2象限の時刻t14において、X相のHブリッジ回路20Xはフライバック対応モードに移行し、Y相のHブリッジ回路20Yはチャージモードに移行する。図6に示すように、ステッピングモータ120はY+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout3である。
図5に示すように、X相のHブリッジ回路20Xには、直前の第1象限で印加された電圧の逆方向に発生するフライバックパルス(キックバック)が発生する。Hブリッジ回路20Xは、フライバック電圧が立ち下がり、更にコイル電流IMout1−0が0になると、フリーモードに移行する。Hブリッジ回路20Xがフリーモードに移行するのは、時刻t15である。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
なお、Y相のコイル電流IMout3−2の絶対値が予め設定した最大電流を超過した場合、Hブリッジ回路20Yは、PWM周期毎にチャージモードから低速減衰モードに切り替わることで、コイル電流IMout3−2の絶対値を最大電流未満に維持する。
第3象限の時刻t18において、X相のHブリッジ回路20Xは、コイル電流IMout1−0が第1象限とは逆方向に流れるチャージモードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yは、コイル電流IMout3−2が第1象限とは逆方向に流れるフライバック対応モードに移行する。図6に示すように、ステッピングモータ120はX−相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout0である。
Y相のHブリッジ回路20Yには、直前の第2象限で印加された電圧の逆方向に発生するフライバックパルス(キックバック)が発生する。Hブリッジ回路20Yは、フライバック電圧が立ち下がり、更にコイル電流IMout3−2が0になると、フリーモードに移行する。Hブリッジ回路20Yがフリーモードに移行するのは、時刻t19である。
この第3象限の動作は、電流の流れる方向以外は、第1象限と同様である。
第4象限の時刻t22において、X相のHブリッジ回路20Xはフライバック対応モードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yはチャージモードに移行する。図6に示すように、ステッピングモータ120はY−相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout2である。
図5に示すように、X相のHブリッジ回路20Xには、直前の第3象限で印加された電圧の逆方向に発生するフライバックパルス(キックバック)が発生する。Hブリッジ回路20Xは、フライバック電圧が立ち下がり、更にコイル電流IMout1−0が0になると、フリーモードに移行する。Hブリッジ回路20Xがフリーモードに移行するのは、時刻t23である。
第4象限の動作は、電流の流れる方向以外は、第2象限と同様である。
《以降の象限》
Hブリッジ回路20X,20Yは、上記した第1〜第4象限と同様な動作を、順々に切り替えながら動作する。
第1象限において、CPU101は、PWM周期毎の最大デューティを設定し、遅延タイマに値を設定(処理S10)し、X相のHブリッジ回路20Xは、通電期間に移行する。この通電期間において、X相のHブリッジ回路20Xは、チャージモードに移行する。
CPU101は、接続点Mout1のハイサイド(HS)側であるFET2をターンオンし、更に接続点Mout0のロウサイド(LS)側であるFET8をターンオンする(処理S11)。続いて、CPU101は、通電タイマを開始する(処理S12)。
CPU101は、この遅延タイマが0になると共に(処理S16→Yes)、接続点Mout1のハイサイド(HS)側であるFET2と、接続点Mout0のロウサイド(LS)側であるFET8とをターンオフして、通電期間を終了する(処理S17)。
通電期間の終了後、CPU101は、通電タイマを終了して、この通電タイマの値をもとに速度計算し(処理S18)、X相の第1象限における処理を終了する。
Y相の第4象限における処理は、固定子巻線124Y(図1参照)に印加する電圧の方向が異なる他は、X相の第1象限における処理と同様である。
第2象限にて最初、CPU101は、タイマに最大時間を設定する(処理S30)。X相のHブリッジ回路20Xは、フライバック期間に移行する。フライバック期間において、X相のHブリッジ回路20Xは、フライバックモードに移行する。
処理S32,S33の条件が成立した場合と、処理S34の条件が不成立の場合、CPU101は、処理S31に戻り、最大時間の超過を判定する。CPU101は、タイマが最大時間を超過したならば(処理S31→Yes)、動作モードに係わらず、X相の第2象限の処理を終了する。
Y相の第3象限の処理は、Y相の第1象限の処理とはゼロクロスする電圧の方向が異なる他は、同様な処理である。
第1象限の時刻t40において、X相のHブリッジ回路20Xはチャージモードに移行し、Y相のHブリッジ回路20Yはフライバック対応モードに移行する。図10に示すように、ステッピングモータ120はX+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout1である。
なお、X相のコイル電流IMout1−0の絶対値が予め設定した最大電流を超過した場合、Hブリッジ回路20Xは、PWM周期毎にチャージモードから低速減衰モードに切り替わることで、コイル電流IMout1−0の絶対値を最大電流未満に維持する。
フリーモードにおいて、Y相のHブリッジ回路20Yには、キックバックの逆方向に逆起電圧が出現する。CPU101は、この逆起電圧のゼロクロスをトリガに転流させて、次の第2象限に移行する。キックバックの発生時間および逆起電圧は、モータの駆動電圧、モータの駆動負荷、および回転速度で変化する。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
第2象限の時刻t44において、X相のHブリッジ回路20Xはフライバック対応モードに移行し、Y相のHブリッジ回路20Yはチャージモードに移行する。図10に示すように、ステッピングモータ120はY+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout3である。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
なお、Y相のコイル電流IMout3−2の絶対値が予め設定した最大電流を超過した場合、Hブリッジ回路20Yは、PWM周期毎にチャージモードから低速減衰モードに切り替わることで、コイル電流IMout3−2の絶対値を最大電流未満に維持する。
第3象限の時刻t48において、X相のHブリッジ回路20Xは第1象限とは逆方向のチャージモードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yは、コイル電流IMout3−2が第1象限とは逆方向に流れるフライバック対応モードに移行する。この第3象限は、ステッピングモータ120の減速を開始するステップである。図10に示すように、ステッピングモータ120はX−相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout0である。
フリーモードにおいて、Y相のHブリッジ回路20Yには、キックバックの逆方向に逆起電圧が出現する。キックバックの発生時間および逆起電圧は、モータの駆動電圧、モータの駆動負荷、および回転速度で変化する。
CPU101は、タイマで測定された直前のステップの時間と、予め設定した最大速度と、減速ステップ数から、この減速ステップ番目のステップの時間を計算する。CPU101は、逆起電圧のゼロクロスの代りに、この時間をトリガにして転流させて、次の第4象限に移行する。
減速に伴い、X相のコイル電流IMout1−0の絶対値が急峻に増加する場合がある。この場合、Hブリッジ回路20Xは、PWM周期毎に電流制御で低速減衰モードに移行することで、過電流を防止する。ここでは、時刻t50以降、コイル電流IMout1−0の絶対値が、やや増加しているが、Hブリッジ回路20Xは、低速減衰モードに移行していない。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
第4象限の時刻t52において、X相のHブリッジ回路20Xは、第2象限とは逆方向のフライバック対応モードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yは、第2象限とは逆方向のチャージモードに移行する。この第4象限は、ステッピングモータ120の減速の第2ステップである。図10に示すように、ステッピングモータ120はY−相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout2である。
CPU101は、タイマで測定された直前のステップの時間と、予め設定した最大速度と、減速ステップ数から、この減速ステップ番目のステップの時間を計算する。CPU101は、逆起電圧のゼロクロスの代りに、この時間をトリガにして転流させて、次の第1象限に移行する。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
第1象限の時刻t56において、X相のHブリッジ回路20Xはチャージモードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yは、フライバック対応モードに移行する。この第1象限は、ステッピングモータ120の減速の第3ステップである。図10に示すように、ステッピングモータ120はX+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout1である。
図9に示すように、X相のHブリッジ回路20Xは、チャージモードにおいて、電圧VMout0が電圧MVdd、電圧VMout1がGNDに切り替わる。X相の固定子巻線124Xに電圧MVddが印加され、X相のコイル電流IMout1−0が次第に増加する。
フリーモードにおいて、Y相のHブリッジ回路20Yには、キックバックの逆方向に逆起電圧が出現する。キックバックの発生時間および逆起電圧は、モータの駆動電圧、モータの駆動負荷、および回転速度で変化する。
ここまでの第1象限の動作は、電流の流れる方向以外は、第3象限と同様である。
CPU101は、タイマで測定された直前の象限ステップの時間と、予め設定した最大速度と、減速ステップ数とから、この減速ステップ番目のステップの時間を計算する。CPU101は、逆起電圧のゼロクロスの代りに、この時間をトリガにして転流させて、次の第4象限に移行する。
減速に伴い、X相のコイル電流IMout1−0の絶対値が急峻に増加する場合がある。この場合、Hブリッジ回路20Xは、PWM周期毎に電流制御で低速減衰モードに移行することで、過電流を防止する。ここでは、時刻t58以降、コイル電流IMout1−0の絶対値が、やや増加しているが、Hブリッジ回路20Xは、低速減衰モードに移行していない。
なお、貫通防止モードは、ハーフブリッジの上下のFETが同時にオンしないように各モード間で必要な場合に挿入されている。これにより、貫通電流を防止できる。
第2象限の時刻t60において、X相のHブリッジ回路20Xは、フライバック対応モードに移行する。Y相のHブリッジ回路20Yは、チャージモードに移行する。この第2象限は、ステッピングモータ120の減速停止ステップである。図10に示すように、ステッピングモータ120はY+相であり、電圧MVddとなるのは電圧VMout3である。
CPU101は、タイマで測定された直前の象限ステップの時間と、予め設定した最大速度と、減速ステップ数とから、この減速ステップ番目のステップの時間を計算する。CPU101は、逆起電圧のゼロクロスの代りに、この時間をトリガにして転流させて、次の第3象限に移行する。
減速に伴い、Y相のコイル電流IMout3−2の絶対値が急峻に増加する場合がある。この場合、Hブリッジ回路20Yは、PWM周期毎に電流制御で低速減衰モードに移行することで、過電流を防止する。ここでは、時刻t62以降、コイル電流IMout3−2の絶対値が、閾値を超えて増加したので、Hブリッジ回路20Yは、周期的に低速減衰モードに移行する。
これにより、ステッピングモータ120は最終停止速度となり、所望の回転位置に停止させることができる。
CPU101は、接続点Mout1のハイサイド(HS)側であるFET2をターンオンし、更に接続点Mout0のロウサイド(LS)側であるFET8をターンオンする(処理S51)。続いて、CPU101は、通電タイマを開始する(処理S52)。
モータの回転位置が(停止制御開始位置+1)未満ならば(処理S53→No)、CPU101は、処理S54に進み、通常の第1象限の処理を行う。
CPU101は、この通電タイマが0になると共に(処理S57→Yes)、処理S60に進み、接続点Mout1のハイサイド(HS)側であるFET2と、接続点Mout0のロウサイド(LS)側であるFET8とをターンオフして、通電期間を終了する。
通電期間の終了後、CPU101は、通電タイマを終了して、この通電タイマの値をもとに速度計算する(処理S61)。更にCPU101は、停止制御開始位置以上ならば(処理S62→Yes)、停止制御タイマを設定する。そしてCPU101は、X相の第1象限における処理を終了する。
ここで「通電」は、PWM周期毎に実施される、1回以上の「通電側PWMサイクル」で構成される。通電側PWMサイクルの処理は、通常時を含む、停止制御時の最大電流制限を行うために常に必要となる。なお、1相励磁駆動では、PWMサイクルを使用しない方法が一般的である。
CPU101は、コイル電流が閾値を超過したならば(処理S72→Yes)、Hブリッジ回路20を低速減衰モードに移行し(処理S73)、処理S74に進む。
CPU101は、コイル電流が閾値を超過していないならば(処理S72→No)、、処理S74に進む。CPU101は、Hブリッジ回路20が低速減衰モードでないならば(処理S74→No)、チャージモードに移行し(処理S75)、Hブリッジ回路20が低速減衰モードであれば(処理S74→Yes)、通電側PWMサイクルの終了判定を行う(処理S76)。
CPU101は、これら処理S72〜S75を、通電側PWMサイクルが終了するまで繰り返す(処理S76→No)。
処理S85において、Hブリッジ回路20は、逆起電圧モードでないか(処理S85→No)、または逆起電圧モードが終了したならば(処理S86→Yes)、フリーモードに移行し(処理S87)、処理S88に進む。Hブリッジ回路20は、逆起電圧モードであり(処理S85→Yes)、かつ逆起電圧モードが継続しているならば(処理S86→No)、処理S88に進む。
CPU101とHブリッジ回路20とは、これら処理S82〜S87を、通電側PWMサイクルが終了するまで繰り返す(処理S88→No)。
本実施形態のモータ制御装置100において、CPU101は、ステッピングモータ120の駆動を停止する際に、算出された減速開始ステップから所望の位置で停止可能な所定回転速度以下に低下するまで、ステップ毎の転流時間の延長制御を行う。具体的にいうと、CPU101は、ステッピングモータ120の駆動を停止する際に、ステッピングモータ120の停止位置精度が確保できる速度まで、下記の減速ステップに従って相切替(転流)時間が長くなる減速制御を行い、少ないステップ数で位置精度を確保する。
CPU101は、減速開始ステップからステッピングモータ120が所定回転速度以下になるまで、逆起電圧のゼロクロスに基づいた転流を中止して、ステップ毎の転流時間を長くする制御を行う。具体的にいうと、CPU101は、減速直前時間の1相励磁の時間を測定し、相切替(転流)時間を徐々に延ばして時間制御することで、モータ回転速度を減速する。この減速方式は、減速ステップ数と時間増加率の調整で位置精度の確保が可能である。時間増加とは、例えば、ステップ毎の転流時間を一定の割合で増加する(例:各ステップで25%ずつ時間を延ばす)ことが考えられる。これを、以下の式(1)に示す。
各ステップの時間増加比率が一定になるように、減速ステップ数と最終ステップの時間を指定する方法である。この減速制御方法による速度と時間との関係を、図14に示す。
この減速制御方法では、減速開始直後の平均速度低下が大きく、減速終了直前の平均速度低下が小さいという特徴がある。
減速度が一定になるように、減速ステップ数と最終ステップの速度を指定する方法である。このとき、速度は時間の一次関数になる。この減速制御方法による速度と時間との関係を、図15に示す。
《最終速度指定+速度テーブルによる減速制御方法》
減速開始ステップ直前の1相励磁の時間を測定し、減速ステップ数と最終ステップ時間を指定して、速度テーブル(台形・S字、直線部あり・なし)で比率計算した減速度で計算した速度から、転流時間を指定して減速する。この減速方法によれば、減速開始時直後と減速終了直前の速度が緩やかになり、負荷への影響が最も小さくなる。
(1) ステップ毎の転流時間の延長制御またはステップ間のゼロクロス間隔の延長制御を行うことにより、変動する電圧あるいはモータの回転により変動する負荷に対して、1相励磁かつ位置センサレスで駆動しているモータを停止させた際の停止位置精度を高めることができる。
(2) 本実施形態による減速制御方法によれば、モータの停止位置をオーバーランさせずに、所望の位置で停止させることができる。
(3) 本実施形態による減速制御方法によれば、駆動電圧あるいは負荷によらず、少ないステップ数かつ短時間で、モータの回転停止位置を正確に制御することができる。
(4) コイル電流が閾値を超過した場合、CPU101は、PWM周期で低速減衰モードを指定する。これにより、コイル電流の減衰を抑制でき、駆動力と保持力は維持できる。また、電磁ノイズの発生を抑制できる。
(5) コイル電流が閾値を超過した場合に、CPU101は、チャージモードと低速減衰モードとを繰り返すように制御する。これにより、電流リップルが小さくなる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) モータの種類は、ステッピングモータに限定されず、ブラシレスDCモータも含む。
(b) コイル電流がモータの駆動と最終的な位置保持に影響のない範囲で、オン・デューティを100%から徐々に減らして減速することも可能である。なお、オン・デューティとは、PWM周期毎のFETのオン時間のことをいう。
(c) CPU101は、停止制御タイマによらず、通電タイマに停止制御値を設定してステップ毎の転流時間の延長制御を行ってもよい。
101 CPU (制御手段の一例)
107 ブリッジ制御部
110 ブリッジ制御回路
113 PWM信号発生器
114 比較器
115 D/Aコンバータ
116 電流検出部 (電流検知手段の一例)
118 BEMF検出部 (ゼロクロス検知手段の一例)
120 ステッピングモータ
122XN,122XP,122YN,122YP 固定子
124,124X,124Y 固定子巻線 (モータコイルの一例)
126 回転子
130 上位装置
140 直流電源
142 アース線
20,20X,20Y Hブリッジ回路
2,4,6,8,15,17 FET
12,14,16,18 ダイオード
Icoil 電流測定値
Iref 電流基準値
VM モータ電圧
Mout0,Mout1,Mout2,Mout3 接続点
VMout0,VMout1,VMout2,VMout3 電圧
MVdd 電圧
IMout1−0,IMout3−2 コイル電流
Claims (6)
- モータに設けられたモータコイルの逆起電圧のゼロクロスを検知するゼロクロス検知手段と、
前記モータを1相励磁方式かつ位置センサレスで駆動制御し、前記ゼロクロス検知手段によって検知された前記逆起電圧のゼロクロスに基づいて転流し、駆動電圧と負荷に応じた回転速度によって前記モータの駆動制御を行うと共に、前記モータの駆動を停止する際には、算出された減速開始ステップから所望の位置で停止可能な所定回転速度以下に低下するまで、ステップ毎の転流時間の延長制御を行う制御手段と、
前記モータコイルに接続されたハーフブリッジを組み合わせたHブリッジ回路と、
前記モータコイルに流れるモータ電流を検知する電流検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記減速開始ステップから前記モータが停止するまでの間に、前記電流検知手段によって検知された前記モータ電流が所定の電流値を超過した場合、前記Hブリッジ回路に対して、当該Hブリッジ回路をループする電流を流す低速減衰モードをPWM周期毎に指定する、
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。 - 前記制御手段は、電流制限時の動作モードとして、チャージモードと前記低速減衰モードとを繰り返させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記制御手段は、電流制限時の動作モードとして、PWM周期毎の前記チャージモードと前記低速減衰モードとの繰り返しの後、貫通防止モード、フライバック対応モード、フリーモードの順で遷移させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記制御手段は、前記減速開始ステップから前記モータが前記所定回転速度以下になるまで、前記逆起電圧のゼロクロスに基づいた転流を中止して、前記ステップ毎の転流時間を長くする制御を行う、
ことを特徴とする請求項1から3のうち何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記制御手段は、前記ステップ毎の転流時間を一定の割合で増加させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動制御装置。 - モータに設けられたモータコイルの逆起電圧のゼロクロスを検知し、
前記モータを1相励磁方式かつ位置センサレスで駆動制御し、検知された前記逆起電圧のゼロクロスに基づいて転流し、駆動電圧と負荷に応じた回転速度によって前記モータの駆動制御を行うと共に、前記モータの駆動を停止する際には、算出された減速開始ステップから所望の位置で停止可能な所定回転速度以下に低下するまで、ステップ毎の転流時間の延長制御を行い、
前記減速開始ステップから停止するまでの間に、電流検知手段によって検知されたモータ電流が所定の電流値を超過した場合、Hブリッジ回路に対して、ループする電流を流す低速減衰モードをPWM周期毎に指定する、
ことを特徴とするモータ駆動制御方法。
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