JP7456834B2 - モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法 Download PDF

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Description

本開示は、モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法に関する。
1シャント電流検出方式でロータの磁極位置を検出する技術において、モータの起動前に風によってロータが空転することにより発生する誘起電圧を検出することで、ロータの磁極位置と回転速度を検出することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007-166695号公報
停止中の永久磁石同期モータを起動させる場合、いわゆるインダクティブセンシングを用いてロータ磁石の磁極位置を検出してモータを起動させることが多い。しかしながら、ロータが空転している状態では、インダクティブセンシングによる磁極位置の推定が困難である。
本開示は、ロータの空転時の磁極位置などの空転状態を推定可能なモータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法を提供する。
本開示の一実施の形態に係るモータ制御装置は、
モータのロータの空転時のγ軸誘起電圧及びδ軸誘起電圧を推定し、前記γ軸誘起電圧と前記δ軸誘起電圧から、dq軸とγδ軸との位相差を導出する導出部と、
前記位相差から前記ロータの空転状態を推定する推定部と、を備え
前記推定部は、前記位相差の周期から、前記ロータの空転速度を推定する
本開示によれば、ロータの空転時の磁極位置などの空転状態を推定できる。
本開示の実施の形態1に係るモータシステムの構成例を示す図である。 複数のPWM信号の波形と、これらのPWM信号の一周期当たりのキャリアの波形と、各相の相電圧指令の波形とを例示する図である。 通電時の各アームのスイッチング状態の一例を示す図である。 非通電時の各アームのスイッチング状態の一例を示す図である。 いずれもデューティ比が50%の各相のPWM信号に従ってインバータの全アームのうち一部のアームをオンさせることで電流検出器に流れる各相のオフセット電流を例示するタイミングチャートである。 いずれかのデューティ比が50%とは異なる各相のPWM信号に従ってインバータがロータを回転させている時に図5と同じ一部のアームをオンさせることで電流検出器に流れる各相の相電流を例示するタイミングチャートである。 ベクトル制御部で実行されるセンサレスベクトル制御で使用される座標系を例示する図である。 位置・速度推定部におけるオブザーバの構成の一例を示す図である。 磁極位置が増加方向の空転時の位相差の挙動を示す図である。 磁極位置が減少方向の空転時の位相差の挙動を示す図である。 磁極位置が増加方向の空転時における、誘起電圧、位相差及び磁極位置の関係を示すタイミングチャートである。 磁極位置が減少方向の空転時における、誘起電圧、位相差及び磁極位置の関係を示すタイミングチャートである。 ウィンドミル始動機能の処理の流れの一例を示す図である。 磁極位置推定系の一例を示すブロック線図である。 速度推定値が安定するまでの推定時間を例示するタイミングチャートである。
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態に係るモータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法について詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係るモータシステム1-1の構成例を示す図である。図1に示されるモータシステム1-1は、モータ4の回転動作を制御する。モータシステム1-1が搭載される機器は、例えば、コピー機、パーソナルコンピュータ、冷蔵庫、ポンプ等であるが、当該機器は、これらに限られない。モータシステム1-1は、モータ4と、モータ制御装置100-1とを少なくとも備える。
モータ4は、複数のコイルを有する永久磁石同期モータである。モータ4は、例えば、U相コイルとV相コイルとW相コイルとを含む3相コイルを有する。モータ4の具体例として、3相のブラシレス直流モータなどが挙げられる。モータ4は、少なくとも一つの永久磁石が配置されるロータと、そのロータの軸回りに配置されるステータとを有する。モータ4は、ロータの磁石の角度位置(磁極位置)を検出する位置センサを使用しないセンサレス型のモータである。モータ4は、例えば、送風用のファンを回すファンモータである。
モータ制御装置100-1は、3相ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を3相のPWM信号を含む通電パターンに従いオンオフ(ON、OFF)制御することで、直流を3相交流に変換するインバータを介してモータを駆動する。モータ制御装置100-1は、インバータ23、電流検出部27、電流検出タイミング調整部34、駆動回路33、通電パターン生成部35、キャリア発生部37、及びクロック発生部36を備える。
インバータ23は、直流電源21から供給される直流を複数のスイッチング素子のスイッチングによって3相交流に変換し、3相交流の駆動電流をモータ4に流すことによって、モータ4のロータを回転させる回路である。インバータ23は、通電パターン生成部35によって生成される複数の通電パターン(より具体的には、通電パターン生成部35内のPWM信号生成部32によって生成される3相のPWM信号)に基づいて、モータ4を駆動する。PWMとは、Pulse Width Modulation(パルス幅変調)を意味する。
インバータ23は、3相ブリッジ接続された複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnを有する。上アームUp,Vp,Wpは、それぞれ、直流電源21の正極側に正側母線22aを介して接続されるハイサイドスイッチング素子である。下アームUn,Vn,Wnは、それぞれ、直流電源21の負極側(具体的には、グランド側)に接続されるローサイドスイッチング素子である。複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnは、それぞれ、上述の通電パターンに含まれるPWM信号に基づいて駆動回路33から供給される複数の駆動信号のうち、対応する駆動信号に従って、オン又はオフとなる。以下では、複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnを、特に区別しない場合には、単にアームと称する場合がある。
U相上アームUpとU相下アームUnとの接続点は、モータ4のU相コイルの一端に接続される。V相上アームVpとV相下アームVnとの接続点は、モータ4のV相コイルの一端に接続される。W相上アームWpとW相下アームWnとの接続点は、モータ4のW相コイルの一端に接続される。U相コイルとV相コイルとW相コイルとのそれぞれの他端は、互いに接続されている。
アームの具体例として、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。しかしながら、アームは、これらに限られない。
電流検出器24は、インバータ23の直流側に接続され、インバータ23の直流側に流れる電流の電流値に対応する検出信号Sdを出力する。図1に示される電流検出器24は、負側母線22bに流れる電流の電流値に対応する検出信号Sdを発生させる。電流検出器24は、例えば、負側母線22bに配置される電流検出素子であり、より具体的には、負側母線22bに挿入されるシャント抵抗である。シャント抵抗等の電流検出素子は、自身に流れる電流の電流値に対応する電圧信号を検出信号Sdとして発生する。
電流検出部27は、通電パターン生成部35によって生成される複数の通電パターン(より具体的には、3相のPWM信号)に基づいて、検出信号Sdを取得することによって、モータ4に流れるU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。より詳細には、電流検出部27は、複数の通電パターン(より具体的には、3相のPWM信号)に同期する取得タイミングで検出信号Sdを取得することによって、モータ4に流れるU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。検出信号Sdの取得タイミングは、電流検出タイミング調整部34により設定される。
例えば、電流検出部27は、電流検出器24で発生するアナログ電圧の検出信号Sdを、電流検出タイミング調整部34により設定される取得タイミングでAD(Analog to Digital)変換器に取り込む。当該AD変換器は、電流検出部27に設けられている。そして、電流検出部27は、取り込んだアナログの検出信号Sdをデジタルの検出信号SdにAD変換し、AD変換後のデジタルの検出信号Sdをデジタル処理することによって、モータ4のU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。電流検出部27により検出された各相の相電流Iu,Iv,Iwの検出値は、通電パターン生成部35に供給される。
クロック発生部36は、内蔵する発振回路により所定周波数のクロックを生成し、生成したクロックをキャリア発生部37へ出力する回路である。なお、クロック発生部36は、例えば、モータ制御装置100-1の電源が投入されると同時に、動作を開始する。
キャリア発生部37は、クロック発生部36により生成されるクロックに基づいて、キャリアCを生成する。キャリアCは、レベルが周期的に増減する搬送波信号である。
通電パターン生成部35は、インバータ23を通電させるパターン(インバータ23の通電パターン)を生成する。インバータ23の通電パターンは、モータ4を通電させるパターン(モータ4の通電パターン)と言い換えてもよい。インバータ23の通電パターンには、インバータ23を通電させる3相のPWM信号が含まれる。通電パターン生成部35は、電流検出部27により検出されるモータ4の相電流Iu,Iv,Iwの検出値に基づいて、モータ4が回転するようにインバータ23を通電させる3相のPWM信号を生成するPWM信号生成部32を有する。
通電パターン生成部35は、インバータ23の通電パターンをベクトル制御により生成する場合、ベクトル制御部30を更に有する。なお、本実施の形態においてはベクトル制御によってインバータの通電パターンを生成している。
ベクトル制御部30は、外部からモータ4の回転速度指令ωrefが与えられると、モータ4の回転速度の測定値又は推定値と、回転速度指令ωrefとの差分に基づいて、トルク電流指令Iqrefと励磁電流指令Idrefを生成する。ベクトル制御部30は、モータ4のU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwに基づいて、ロータ位置θを用いたベクトル制御演算により、トルク電流Iq及び励磁電流Idを算出する。ベクトル制御部30は、トルク電流指令Iqrefとトルク電流Iqとの差分に対して例えばPI制御演算を行い、電圧指令Vqを生成する。ベクトル制御部30は、励磁電流指令Idrefと励磁電流Idとの差分に対して例えばPI制御演算を行い、電圧指令Vdを生成する。ベクトル制御部30は、電圧指令Vq,Vdを上記のロータ位置θを用いてU,V,W各相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する。ロータ位置θは、モータ4のロータの磁極位置を表す。
PWM信号生成部32は、ベクトル制御部30により生成される相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を、キャリア発生部37により生成されるキャリアCのレベルと比較することによって、3相のPWM信号を含む通電パターンを生成する。PWM信号生成部32は、上アーム駆動用の3相のPWM信号を反転させた下アーム駆動用のPWM信号も生成し、必要に応じてデッドタイムを付加した後、生成したPWM信号を含む通電パターンを駆動回路33に出力する。
駆動回路33は、与えられたPWM信号を含む通電パターンに従い、インバータ23に含まれる6つのアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnをスイッチングさせる駆動信号を出力する。これにより、3相交流の駆動電流がモータ4に供給され、モータ4のロータが回転する。
電流検出タイミング調整部34は、キャリア発生部37から供給されるキャリアCと、PWM信号生成部32により生成されるPWM信号を含む通電パターンとに基づいて、電流検出部27がキャリアCの1周期内で3つ相の相電流のうちのいずれかの相の相電流を検出するための取得タイミングを決定する。
電流検出部27は、電流検出タイミング調整部34により決定される複数の取得タイミングで検出信号Sdを取得することによって、相電流Iu,Iv,Iwを検出する。電流検出部27は、一つの電流検出器24から複数の相電流を検出する方式(いわゆる、1シャント電流検出方式)で、相電流Iu,Iv,Iwを検出する。
ところで、センサレス型の永久磁石同期電動機が停止しているときにロータの磁極位置(初期位置)を推定する方法として、インダクティブセンシングと呼ばれる手法がある。インダクティブセンシングとは、永久磁石同期モータのロータ磁石の磁極位置をインダクタンスのロータ位置依存性を利用して検出する手法である。この位置検出手法は、モータの誘起電圧を使用しないため、モータのロータが停止又は極低速の状態でもロータ磁石の磁極位置を検出できる。ロータが極低速の状態とは、モータ制御装置が誘起電圧を検出できない程度にロータが低速で回転している状態をいう。本明細書では、説明の便宜上、"ロータが停止又は極低速の状態"を、単に、"ロータの停止状態"という。
本実施の形態1に係るモータ制御装置100-1は、インダクティブセンシングによって、モータのロータの停止状態での磁極位置である初期位置θsを推定する初期位置推定部38を備える。通電パターン生成部35は、初期位置推定部38により推定された初期位置θsを用いて、モータ4のロータを回転させるPWM信号を含む通電パターンを駆動回路33に出力する。ベクトル制御部30は、初期位置推定部38により推定された初期位置θsをロータ位置θの初期値として用いて、電圧指令Vδ,Vγを相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する。なお、本開示において、初期位置θsは一例として30度の幅を持った値となる。このような場合、初期位置θsに基づき定めた所定の値を用いて、モータ4の制御が行われる。
図2は、複数のPWM信号U,V,Wの波形と、これらのPWM信号の一周期当たりのキャリアCの波形と、各相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の波形とを例示する図である。
PWM信号生成部32は、各相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*とキャリアCのレベルとの大小関係に基づいて、複数のPWM信号U,V,Wを生成する。
PWM信号Uは、U相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子を駆動するためのPWM信号である。この例では、PWM信号Uがローレベルのとき、U相の下アームのスイッチング素子がオン(U相の上アームのスイッチング素子がオフ)となり、PWM信号Uがハイレベルのとき、U相の下アームのスイッチング素子がオフ(U相の上アームのスイッチング素子がオン)となる。PWM信号Uのレベルの変化に対して、U相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子は相補的にオンオフ動作する。
PWM信号Vは、V相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子を駆動するためのPWM信号である。この例では、PWM信号Vがローレベルのとき、V相の下アームのスイッチング素子がオン(V相の上アームのスイッチング素子がオフ)となり、PWM信号Vがハイレベルのとき、V相の下アームのスイッチング素子がオフ(V相の上アームのスイッチング素子がオン)となる。PWM信号Vのレベルの変化に対して、V相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子は相補的にオンオフ動作する。
PWM信号Wは、W相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子を駆動するためのPWM信号である。この例では、PWM信号Wがローレベルのとき、W相の下アームのスイッチング素子がオン(W相の上アームのスイッチング素子がオフ)となり、PWM信号Wがハイレベルのとき、W相の下アームのスイッチング素子がオフ(W相の上アームのスイッチング素子がオン)となる。PWM信号Wのレベルの変化に対して、W相の上下アームを構成する2つのスイッチング素子は相補的にオンオフ動作する。
なお、図2では、上下アームの短絡防止のためのデッドタイムの図示が省略されている。また、図2では、PWM信号がハイレベルのとき、そのPWM信号に対応する相の上アームがオン、PWM信号がローレベルのとき、そのPWM信号に対応する相の下アームがオンと定義している。しかしながら、PWM信号の論理レベルと各アームのオンオフとの関係は、回路構成等を考慮して、反対に定義されてもよい。
複数のPWM信号U,V,Wのそれぞれの1周期Tpwmは、キャリアCの周期(キャリア周波数の逆数)に相当する。変化点(t1~t6)は、PWM信号の論理レベルが遷移するタイミングを表す。
PWM信号生成部32は、図2に示すように、各相で共通の一つのキャリアCを用いて、各相のPWM信号を生成してもよい。位相tbを中心とする左右対称の三角波をキャリアCとしているため、各相のPWM信号の波形生成の回路構成を簡素化できる。キャリアCのカウンタは、位相taまでダウンカウント中であり、位相taから位相tbまでアップカウント中であり、位相tbからダウンカウント中である。このように、カウントアップ期間とカウントダウン期間とが繰り返される。なお、PWM信号生成部32は、各相のそれぞれに対応する複数のキャリアCを用いて各相のPWM信号を生成してもよいし、他の公知の方法で、各相のPWM信号を生成してもよい。
図2は、第1電流検出タイミングTm1が通電期間T21に設定され、第2電流検出タイミングTm2が通電期間T22に設定される場合を例示する。なお、第1電流検出タイミングTm1及び第2電流検出タイミングTm2が設定される通電期間は、これらの期間に限られない。
インバータ23がPWM変調された3相交流を出力している状態では、電流検出部27は、上アームUp,Vp,Wpに対する通電パターンに応じて、特定の相の電流を検出できる。あるいは、インバータ23がPWM変調された3相交流を出力している状態では、電流検出部27は、下アームUn,Vn,Wnに対する通電パターンに応じて、特定の相の電流を検出してもよい。
例えば図2のように、通電時間T21において、電流検出器24の両端に発生する電圧の電圧値は、モータ4のU相端子から流出する正のU相電流"+Iu"の電流値に対応する。通電時間T21は、t4からt5までの時間である。通電時間T21は、下アームUn及び上アームVp,Wpがオン且つ残りの3つのアームがオフの状態の期間に相当する。したがって、電流検出部27は、通電時間T21内の第1電流検出タイミングTm1で検出信号Sdを取得することによって、モータ4のU相端子から流出する正のU相電流"+Iu"の電流値を検出できる。
電流検出タイミング調整部34は、PWM信号の内の1相が他の2相と異なる論理レベルに遷移する時(例えば、U相のPWM信号がV相及びW相と同じハイレベルから、V相及びW相と異なるローレベルに遷移するタイミング:t4)から所定の遅延時間td経過時に第1電流検出タイミングTm1を設定する。このとき、電流検出タイミング調整部34は、通電時間T21内に、第1電流検出タイミングTm1を設定する。
また、例えば図2のように、通電時間T22において、電流検出器24の両端に発生する電圧の電圧値は、モータ4のW相端子から流入する負のW相電流"-Iw"の電流値に対応する。通電時間T22は、t5からt6までの時間である。通電時間T22は、下アームUn,Vn及び上アームWpがオン且つ残りの3つのアームがオフの状態の期間に相当する。したがって、電流検出部27は、通電時間T22内の第2電流検出タイミングTm2で検出信号Sdを取得することによって、モータ4のW相端子から流入する負のW相電流"-Iw"の電流値を検出できる。
電流検出タイミング調整部34は、PWM信号の内の1相が他の2相と異なる論理レベルに遷移する時(例えば、V相のPWM信号がW相と同じハイレベルから、U相と同じローレベルに遷移したことで、W相がU相及びV相と異なる論理レベルとなるタイミング:t5)から、所定の遅延時間td経過時に、第2電流検出タイミングTm2を設定する。このとき、電流検出タイミング調整部34は、通電時間T22内に、第2電流検出タイミングTm2を設定する。
同様に、電流検出部27は、他の相電流の電流値も検出できる。
このように、3相のPWM信号を含む通電パターンに応じて相電流Iu,Iv,Iwのうち、2相の相電流を順次検出して記憶すれば、3相分の電流を時分割で検出することが可能となる。3相の相電流の総和が零であることから(iu+iv+iw=0)、電流検出部27は、3相の相電流うち2相の相電流を検出できれば、残り1相の相電流も検出できる。
図3は、通電時の各アームのスイッチング状態の一例を示す図である。図4は、非通電時の各アームのスイッチング状態の一例を示す図である。図3に示すように、上アームUp及び下アームVn,Wnがオン且つ残りの3つのアームがオフの状態の通電期間では、電流検出部27は、モータ4のU相端子から流入する負のU相電流"-Iu"の電流値を検出できる。一方、図4に示すように、全ての上アームUp,Vp,Wpがオン且つ全ての下アームUn,Vn,Wnがオフの状態では、電流が電流検出器24に流れないため、電流検出部27は、各相の相電流を検出できない。全ての上アームUp,Vp,Wpがオフ且つ全ての下アームUn,Vn,Wnがオンの状態でも、電流が電流検出器24に流れないため、電流検出部27は、各相の相電流を検出できない。
このように、1シャント電流検出方式では、通電区間(通電時間)を設けなければ、各相の相電流を検出できない。1シャント電流検出方式では、一つの通電時間で検出できる相電流は1相分だけであるので、PWM信号の1周期の間に少なくとも2つの通電時間を設けて(図2参照)、式(iu+iv+iw=0)に基づいて3相の相電流を区別して検出する。しかしながら、各相の相電流を区別して検出するために通電時間を設けると、電流検出器24に流れる電流は増幅されてしまうので、電流検出部27は、電流検出器24に流れる電流が零のときに各相の相電流の検出値に含まれる検出誤差をそれぞれ測定できない。
そこで、モータが停止中の時、いずれもデューティ比が同一値の各相のPWM信号に従ってインバータ23の全アームのうち一部のアームをオンさせることで電流検出器24に流れる各相の電流をオフセット電流と定義する場合がある。この場合、電流検出部27は、いずれもデューティ比が同一値の各相のPWM信号に従ってインバータ23の全アームのうち一部のアームをオンさせることで電流検出器24に流れる各相のオフセット電流の電流値をオフセット電流値(検出誤差)として検出する。
図5は、一例としていずれもデューティ比が50%の場合の各相のPWM信号に従ってインバータ23の全アームのうち一部のアームをオンさせることで電流検出器24に流れる各相のオフセット電流を例示するタイミングチャートである。図6は、いずれかのデューティ比が50%とは異なる各相のPWM信号に従ってインバータ23がロータを回転させている時に図5と同じ一部のアームをオンさせることで電流検出器24に流れる各相の相電流を例示するタイミングチャートである。
図5において、電流検出部27は、インバータ23がロータを回転させる前(モータ4の起動前)に、PWM信号の1周期ごとに少なくとも2回の電流検出を行うことで、3相のオフセット電流の各々の電流値を検出する。電流検出部27は、検出した各々の電流値を3相のオフセット電流値としてメモリに記憶する。図5は、電流検出部27が正のU相電流"Iu"と負のW相電流"-Iw"の各々のオフセット電流値を検出し、それらの検出結果から残りのV相電流のオフセット電流値を検出(演算)し、検出した3相のオフセット電流値をメモリに記憶する場合を例示する。3相のオフセット電流値がメモリに記憶された後、モータ4がインバータ23により起動し、インバータ23がロータを回転させる。
図6において、電流検出部27は、いずれかのデューティ比が50%とは異なる各相のPWM信号に従ってインバータ23がロータを回転させている時に、PWM信号の1周期ごとに図5と同じ通電パターンで少なくとも2回の電流検出を行うことで、3相の相電流の各々の電流値を検出する。電流検出部27は、PWM信号の1周期ごとに検出される3相の相電流の各々の電流値から、メモリに事前に記憶した3相のオフセット電流値を、PWM信号の1周期ごとに差し引くことで、3相の相電流Iu,Iv,Iwのそれぞれの電流検出値を演算する。これにより、3相の相電流Iu,Iv,Iwの各々の電流検出値から検出誤差が除去される。PWM信号生成部32は、検出誤差が除去された3相の相電流Iu,Iv,Iwの各々の電流検出値に基づいて、インバータ23がロータを回転させている時の3相のPWM信号を生成することで、モータ4の回転をインバータ23により高精度に制御できる。
ところで、インバータ23がロータを3相の交流電流で回転させていない状態でも、ロータは、風などの外乱により空転していることがある。特に、摩擦抵抗が比較的小さいファンなどの回転体を回転させるロータは、空転しやすい。
永久磁石同期モータを起動させる場合、インダクティブセンシングを用いてロータ磁石の磁極位置を検出してモータを起動させるか、磁極位置を検出せずに任意の方向に速度オープンループ制御でモータを起動させることが多い。しかしながら、ロータが空転している状態ではインダクティブセンシングによる磁極位置の推定が困難なため、空転中の磁極位置や空転速度を検出せずにモータを起動すると、モータに異音などの異常が発生するおそれがある。ロータの空転時における滑らかな起動を行うためには、インダクティブセンシング以外の手法で空転時の磁極位置を検出し、モータの空転速度を検出することが求められる。
図1に示す本開示の実施の形態1におけるモータ制御装置100-1の通電パターン生成部35は、ロータの空転時の磁極位置及び回転速度を推定する位置・速度推定部45を備える。空転時の磁極位置を、"空転位置"と称し、空転時の回転速度を、"空転速度"と称することがある。空転位置及び空転速度は、それぞれ、ロータの空転状態を表す指標の一つである。位置・速度推定部45により推定されたロータの空転位置及び空転速度は、例えば、モータ4の起動における初期値としてベクトル制御部30で利用される。
図7は、ベクトル制御部で実行されるセンサレスベクトル制御で使用される座標系を例示する図である。
d軸は、ロータの実際の磁極位置を表す実角度方向(ロータの磁石により発生する磁束の方向)に伸びる実軸であり、q軸は、d軸から電気角で90°進んだ(増加)方向に伸びる実軸である。d軸及びq軸は、合わせて、dq軸と称することがある。dq軸は、センサレスベクトル制御におけるモデル上の軸である。ロータの磁極位置θは、モータの基準コイル(例えば、U相コイル)の位置を基準に、d軸が進む角度で表される。d-q座標系は、基準コイルからθだけ進んでいる。
γ軸は、ロータの推定された磁極位置を表す推定角度方向に伸びる制御軸であり、δ軸は、γ軸から電気角で90°進んだ(増加)方向に伸びる制御軸である。γ軸及びδ軸は、合わせて、γδ軸と称することがある。γδ軸は、センサレスベクトル制御におけるモデル上の軸である。ロータの推定磁極位置θは、モータの基準コイル(例えば、U相コイル)の位置を基準に、γ軸が進む角度で表される。γ-δ座標系は、基準コイルからθだけ進んでいる。
位相差Δθは、実軸(dq軸)と制御軸(γδ軸)との位相差である。位相差Δθは、q軸とδ軸との位相差又はd軸とγ軸との位相差で表される。位相差Δθが零のとき、γ-δ座標系は、d-q座標系に一致する。
ベクトル制御部30は、速度制御部、電流制御部、出力変換部及び入力変換部などの公知の構成を有する。簡単に説明すると、速度制御部は、外部からの回転速度指令ωrefと位置・速度推定部45によって推定された速度推定値ωとの差が零に収束するように、γ-δ座標系におけるγ軸電流指令値Iγ 及びδ軸電流指令値Iδ を生成する速度制御系である。電流制御部は、速度制御部により生成されたγ軸電流指令値Iγ と入力変換部により生成されたγ軸検出電流値Iγとの差が零に収束するようにγ軸電圧指令値Vγを生成する。電流制御部は、速度制御部により生成されたδ軸電流指令値Iδ と入力変換部により生成されたδ軸検出電流値Iδとの差が零に収束するように、δ軸電圧指令値Vδを生成する。出力変換部は、位置・速度推定部45によって推定された推定磁極位置θを用いて、γ軸電圧指令値Vγ 及びδ軸電圧指令値Vδ を、U,V,W各相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する。入力変換部は、位置・速度推定部45によって推定された推定磁極位置θを用いて、電流検出部27により検出された3相の相電流Iu,Iv,Iwを、2相のγ軸検出電流値Iγ及びδ軸検出電流値Iδに、変換する。
位置・速度推定部45は、入力変換部により生成されたγ軸検出電流値Iγ及びδ軸検出電流値Iδと、電流制御部により生成されたγ軸電圧指令値Vγ及びδ軸電圧指令値Vδとに基づいて、推定磁極位置θ及び速度推定値ωを推定する。位置・速度推定部45は、推定磁極位置θを推定する位置推定部と、速度推定値ωを推定する速度推定部とを含む。位置・速度推定部45は、モータ4がインバータ23により起動し、インバータ23がロータを回転させている状態では、公知の推定方法により、推定磁極位置θ及び速度推定値ωを推定する。
本開示の実施の形態1における位置・速度推定部45は、ロータの空転位置及び空転速度を推定する、いわゆるウィンドミル始動機能を更に有する。ウィンドミル始動機能は、ロータの空転状態(例えば、空転時の位相(空転位置)、空転速度、空転時の回転方向(空転方向)など)を位相差Δθから推定し、ロータの空転時のスムーズな回転制御を実現する。例えば、位置・速度推定部45は、インダクティブセンシングの前にロータの空転状態を推定し、停止中か空転中かを判別する。停止中と判別された場合、初期位置推定部38がインダクティブセンシングによりロータの停止中の磁極位置などを推定し、空転中と判別された場合、位置・速度推定部45がウィンドミル始動機能によりロータの空転位置及び空転速度などを推定する。
本開示に係るウィンドミル始動機能には、複数の方式がある。一つ目は、位相差Δθの周期性を利用して導出した推定磁極位置θと速度推定値ωを、起動時の初期値としてベクトル制御部30に入力することで、センサレスベクトル制御に移行させる方式である(以下、ウィンドミル始動機能1と称する)。二つ目の方式は、位置・速度推定部45の磁極位置推定系に位相差Δθを入力することで導出した推定磁極位置θと速度推定値ωを、導出したそれらが安定してからベクトル制御部30に入力することでセンサレスベクトル制御に移行させる方式である(以下、ウィンドミル始動機能2と称する)。両機能は、オブザーバで位相差Δθを検出(推定)する点が同じであるが、センサレスベクトル制御に移行する方法が異なる。
<ウィンドミル始動機能1>
ウィンドミル始動機能1の処理内容について、図8~13を参照して説明する。
ウィンドミル始動機能1では、ベクトル制御部30は、推定磁極位置θが零の位置にγ軸及びδ軸を固定し、且つ、γ軸電流指令値Iγ 及びδ軸電流指令値Iδ を零に固定して、電流制御部に電流制御を開始させる。そして、ベクトル制御部30は、このように電流制御を開始させてから、電流制御部から出力される電圧指令値(γ軸電圧指令値Vγ,δ軸電圧指令値Vδ)と入力変換部から出力される検出電流値(γ軸検出電流値Iγ,δ軸検出電流値Iδ)を位置・速度推定部45におけるオブザーバに入力する。
図8は、位置・速度推定部におけるオブザーバの構成の一例を示す図である。図8に示すオブザーバ48は、位置・速度推定部45に備えられる。オブザーバ48は、ロータの空転によりモータ4のコイルに発生する誘起電圧e(γ軸誘起電圧eγ,δ軸誘起電圧eδ)を推定する。γ軸誘起電圧eγは、誘起電圧eのγ軸上の誘起電圧成分であり、δ軸誘起電圧eδは、誘起電圧eのδ軸上の誘起電圧成分である。オブザーバ48は、第1オブザーバ46及び第2オブザーバ47を有する。第1オブザーバ46は、ウィンドミル始動機能1により入力されるγ軸電圧指令値Vγ及びγ軸検出電流値Iγから、ロータの空転時のγ軸誘起電圧eγを推定する。第2オブザーバ47は、ウィンドミル始動機能1により入力されるδ軸電圧指令値Vδ及びδ軸検出電流値Iδから、ロータの空転時のδ軸誘起電圧eδを推定する。第1オブザーバ46及び第2オブザーバ47の具体例として、公知の拡張誘起電圧オブザーバがあるが、オブザーバ48は、拡張誘起電圧オブザーバとは異なる方式でモータのロータの空転時のγ軸誘起電圧eγ及びδ軸誘起電圧eδを推定してもよい。
なお、位置・速度推定部45は、オブザーバを用いずに、一般的な電圧方程式による算出によって誘起電圧を求めてもよい。
オブザーバ48は、γ軸誘起電圧eγ及びδ軸誘起電圧eδから、dq軸とγδ軸との位相差Δθを導出する導出部を有する。例えば、オブザーバ48は、図8に示す逆正接関数に、γ軸誘起電圧eγ及びδ軸誘起電圧eδの推定値を代入することで、位相差Δθを算出する。
図9は、磁極位置θが増加方向の空転時の位相差Δθの挙動を示す図である。図10は、磁極位置θが減少方向の空転時の位相差Δθの挙動を示す図である。位相差Δθは、推定磁極位置θが零の位置に固定されたγ軸に対する実際の磁極位置(d軸)の位相差を示しており、-90°~90°の周期的な鋸波形状で検出される。鋸波2周期でロータの1回転に相当する。位置・速度推定部45は、このような位相差Δθの周期性を利用して、ロータ1回転に要した時間(鋸波2周期分の時間)から空転速度を推定し、空転速度の推定値を位相差Δθが零の時に初期値としてベクトル制御部30の速度制御部に入力する。これにより、ベクトル制御部30は、空転中のロータを滑らかに動かしながらセンサレスベクトル制御で制御できる。次に、図11,12を参照して、より詳細に説明する。
図11は、磁極位置θが増加方向の空転時における、誘起電圧e、位相差Δθ及び磁極位置θの関係を示すタイミングチャートである。図12は、磁極位置θが減少方向の空転時における、誘起電圧e、位相差Δθ及び磁極位置θの関係を示すタイミングチャートである。
位置・速度推定部45は、オブザーバ48により導出された位相差Δθの周期から、ロータの空転速度を推定する。位相差Δθの鋸波2周期分が電気角1周に相当するため、位置・速度推定部45は、位相差Δθの鋸波2周期分の時間を測定することで、その測定値を空転速度として導出(推定)する。
位置・速度推定部45は、オブザーバ48により導出された位相差Δθの漸増又は漸減から、ロータの空転の向きを推定する。例えば、位置・速度推定部45は、位相差Δθが図11のように漸減している場合、ロータは磁極位置θが増加する方向に空転していると判定し、位相差Δθが図12のように漸増している場合、ロータは磁極位置θが減少する方向に空転していると判定する。
位置・速度推定部45は、オブザーバ48により導出された位相差Δθと第1オブザーバ46により推定されたγ軸誘起電圧eγの符号と第2オブザーバ47により推定されたδ軸誘起電圧eδとの関係から、ロータの空転時の磁極位置(空転位置)を推定する。
例えば図11のように、磁極位置θが増加方向に空転しているとき、誘起電圧eの推定値の符号が(eγ=正かつeδ=正)から(eγ=負かつeδ=正)に変わるタイミングで、磁極位置θは零である。位置・速度推定部45は、空転速度の推定値をそのタイミングでベクトル制御部30の速度制御部に初期値として入力することで、そのタイミングでロータの速度制御をベクトル制御部30の速度制御部に開始させる。
一方、例えば図12のように、磁極位置θが減少方向に空転しているとき、誘起電圧eの推定値の符号が(eγ=正かつeδ=負)から(eγ=負かつeδ=負)に変わるタイミングで、磁極位置θは零である。位置・速度推定部45は、空転速度の推定値をそのタイミングでベクトル制御部30の速度制御部に初期値として入力することで、そのタイミングでロータの速度制御をベクトル制御部30の速度制御部に開始させる。
また、位置・速度推定部45は、空転速度の推定値を、ベクトル制御部30の速度制御部における回転速度指令ωref及び速度推定値ωの各々の初期値として、並びに位置・速度推定部45の磁極位置推定系50(図14参照)の積分制御52の初期値として入力する。これにより、ベクトル制御部30は、空転中のロータを滑らかに動かしながらセンサレスベクトル制御を開始できる。
図13は、ウィンドミル始動機能の処理の流れの一例を示す図である。図13は、ウィンドミル始動機能1だけでなく、ウィンドミル始動機能2にも適用される。
位置・速度推定部45は、位相差Δθが変化しているか否かによってロータが空転中か否かを判定する(ステップS10)。位置・速度推定部45は、位相差Δθの変化が鋸波状でない場合、ロータが停止中と判定する(ステップS10,NO)。この場合、インダクティブセンシングの後、ベクトル制御部30は、速度オープンループ制御を実行し(ステップS20)、ロータを正転方向に回転させる速度制御を実行する(ステップS30)。一方、位置・速度推定部45は、位相差Δθの変化が鋸波状である場合、ロータが空転中と判定する(ステップS10,YES)。この場合、位置・速度推定部45は、位相差Δθからロータの空転方向を推定する(ステップS40,S60)。
なお、正転とは、回転させたい方向(指令回転方向)に回転している状態をいい、逆転とは、回転させたい方向(指令回転方向)とは逆の方向に回転している状態をいう。正転方向に空転とは、回転させたい方向(指令回転方向)に空転している状態をいい、逆転方向に空転とは、回転させたい方向(指令回転方向)とは逆の方向に空転している状態をいう。
位置・速度推定部45は、ロータの空転方向が正転方向と判定した場合(ステップS40,YES)、ウィンドミル始動機能を用いて空転位置及び空転速度を推定する。ベクトル制御部30は、その推定値を初期値として、ロータを正転方向に回転させる速度制御を実行する(ステップS50)。
位置・速度推定部45は、ロータの空転方向が正転方向でも逆転方向でもないと判定した場合(ステップS60,NO)、外部に異常を知らせるエラー情報を出力する(ステップS70)。
位置・速度推定部45は、ロータの空転方向が逆転方向と判定した場合(ステップS60,YES)、ウィンドミル始動機能を用いて空転位置及び空転速度を推定する。ベクトル制御部30は、その推定値を初期値として、ロータを逆転方向に回転させる速度制御を実行し、減速する(ステップS80)。その後に、ベクトル制御部30は、速度オープンループ制御を実行し(ステップS90)、ロータを正転方向に回転させる速度制御を実行する(ステップS100)。
このような制御を行うことで、正転方向又は逆転方向に空転していたとしても、滑らかに所望の方向に起動させることができる。
<ウィンドミル始動機能2>
ウィンドミル始動機能2の処理内容について、図8,14,15を参照して説明する。
ウィンドミル始動機能2では、図8を参照して説明した通り、位相差Δθを推定するまでの方法は、ウィンドミル始動機能1と同じでよい。ウィンドミル始動機能2では、オブザーバ48により推定された位相差Δθが位置・速度推定部45の磁極位置推定系50(図14参照)に入力される。推定された位相差Δθが位置・速度推定部45の磁極位置推定系50に入力されると、磁極位置推定系50は、位相差Δθが零になるように推定磁極位置θと速度推定値ωを制御して出力する。
図14は、磁極位置推定系の一例を示すブロック線図である。位置・速度推定部45の磁極位置推定系50は、位相差Δθから比例積分制御51によりロータの空転速度(速度推定値ω)を推定し、推定した速度推定値ωから積分制御52によりロータの空転時の磁極位置(推定磁極位置θ)を推定する。図14において、Kは比例ゲイン、Kは積分ゲイン、sはラプラス演算子を表す。
位置・速度推定部45は、磁極位置推定系50を動作させる前に、オブザーバ48により導出された位相差Δθと第1オブザーバ46により推定されたγ軸誘起電圧eγの符号と第2オブザーバ47により推定されたδ軸誘起電圧eδとの関係から、ロータの空転時の推定磁極位置θを推定する。そして、位置・速度推定部45は、推定した推定磁極位置θが零の時に位相差Δθを比例積分制御51に入力することで、磁極位置推定系50の動作を開始させ、比例積分制御51及び積分制御52を開始させる。これにより、モータ4に流れる電流のハンチングを抑制できる。
位置・速度推定部45は、磁極位置推定系50の動作を開始させた後、磁極位置推定系50の出力である速度推定値ω及び推定磁極位置θが安定したタイミングで、ベクトル制御部30に速度制御を開始させる。これにより、ロータが空転中のモータの滑らかな起動が可能となる。速度推定値ω及び推定磁極位置θが安定するタイミングは、比例積分制御51及び積分制御52のゲインに依存する。
図15は、速度推定値ωが安定するまでの推定時間を例示するタイミングチャートである。ベクトル制御部30の速度制御部(速度制御系)による速度制御の開始タイミングは、比例積分制御51及び積分制御52のゲインに依存して決まる速度推定時間の後になる。位置・速度推定部45は、空転速度の推定値を、ベクトル制御部30の速度制御部における回転速度指令ωref及び速度推定値ωの各々の初期値として入力する。これにより、ベクトル制御部30は、空転中のロータを滑らかに動かしながらセンサレスベクトル制御を開始でき、ロータの速度制御を開始できる。
なお、電流検出部27、通電パターン生成部35、電流検出タイミング調整部34及び初期位置推定部38の各機能は、不図示の記憶装置に読み出し可能に記憶されるプログラムによってCPU(Central Processing Unit)が動作することにより実現される。例えば、これらの各機能は、CPUを含むマイクロコンピュータにおけるハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
以上、モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
例えば、インバータの直流側に流れる電流の電流値に対応する検出信号を出力する電流検出器は、正側母線に流れる電流の電流値に対応する検出信号を出力するものでもよい。また、電流検出器は、CT(Current Transformer)等のセンサでもよい。
1-1 モータシステム
4 モータ
21 直流電源
22a 正側母線
22b 負側母線
23 インバータ
24 電流検出器
27 電流検出部
30 ベクトル制御部
32 PWM信号生成部
33 駆動回路
34 電流検出タイミング調整部
35 通電パターン生成部
36 クロック発生部
37 キャリア発生部
38 初期位置推定部
45 位置・速度推定部
46 第1オブザーバ
47 第2オブザーバ
48 オブザーバ
50 磁極位置推定系
51 比例積分制御
52 積分制御
100-1 モータ制御装置
Up,Vp,Wp,Un,Vn,Wn アーム

Claims (9)

  1. モータのロータの空転時のγ軸誘起電圧及びδ軸誘起電圧を推定し、前記γ軸誘起電圧と前記δ軸誘起電圧から、dq軸とγδ軸との位相差を導出する導出部と、
    前記位相差から前記ロータの空転状態を推定する推定部と、を備え
    前記推定部は、前記位相差の周期から、前記ロータの空転速度を推定する、モータ制御装置。
  2. 前記推定部は、前記位相差と前記γ軸誘起電圧の符号と前記δ軸誘起電圧の符号とから、前記ロータの空転時の磁極位置を推定する、請求項に記載のモータ制御装置。
  3. 前記位相差が零の時の前記空転速度を初期値として、前記ロータの速度制御を開始するベクトル制御部を備える、請求項に記載のモータ制御装置。
  4. 前記推定部は、前記位相差と前記γ軸誘起電圧の符号と前記δ軸誘起電圧の符号とから、前記ロータの空転時の磁極位置を推定する、請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記位相差が零の時に、前記ロータの速度制御を開始するベクトル制御部を備える、請求項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記推定部は、前記位相差の漸増又は漸減から、前記ロータの空転の向きを推定する、請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記γ軸誘起電圧及び前記δ軸誘起電圧は、オブザーバにより推定される、請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置と、前記モータと、を備える、モータシステム。
  9. ロータを有するモータを通電させるモータ制御装置が行うモータ制御方法であって、
    前記ロータの空転時のγ軸誘起電圧及びδ軸誘起電圧を推定し、
    前記γ軸誘起電圧と前記δ軸誘起電圧から、dq軸とγδ軸との位相差を導出し、
    前記位相差の周期から前記ロータの空転速度を推定する、モータ制御方法。
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