JP2018207612A - モータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法 - Google Patents

モータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】負荷変動があっても、容易に適切な進角制御を行うことができるモータ駆動制御装置を提供する。
【解決手段】モータ駆動制御装置は、モータ20の進角制御を行ってモータ20を駆動させるための駆動制御信号Sdを出力する制御回路部4と、駆動制御信号Sdに基づいた位相で、モータ20に駆動信号を出力してモータ20を駆動させるモータ駆動部2と、モータ20のコイル電流に対応する電圧値である検出電圧信号Vdを検出する電流検出回路6とを備える。制御回路部4は、電流検出回路6により検出された検出電圧信号Vdと、第1基準電圧値Va,第2基準電圧値Vbのそれぞれとのクロスタイミングを検出し、クロスタイミングの検出結果に基づいて進角制御を行い、コイル電流の位相を調整する。
【選択図】図2

Description

この発明は、モータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法に関し、特に、モータの進角制御を行うモータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法に関する。
モータ駆動制御装置によるモータ(例えば、ファンモータや扇風機用のモータとして使用されるブラシレスDCモータなど)の回転速度の制御方式として、外部から指令信号を入力し、モータの回転速度がその指令信号に応じたものになるように制御を行うものがある。このようなモータ駆動制御装置は、モータの駆動にあたり、モータトルクを最大限に引き出すために、いわゆる進角制御を行う。進角制御では、モータの回転位相に対して、モータの駆動電流の位相の調整が行われる。
ところで、例えば120度通電方式でモータを駆動する場合等において、急激な負荷変動等の何らかの要因により、位相が最適ではなくなることがある。位相が適切ではない場合、コイルに余分な電流が流れて、駆動効率が悪化するという問題がある。
このような問題に関し、下記特許文献1には、進角基準電位と端子間電圧とのクロスタイミングによって位相信号を生成して進角制御を行うブラシレスDCモータの駆動装置において、直流電源からインバータ回路へ流れる負荷電流の値が低くなったときに進角基準電位を上昇させ、負荷電流の値が高くなったときに進角基準電位を下降させることが開示されている。
特開2005−312217号公報
ところで、上記の特許文献1に記載されているブラシレスDCモータの駆動装置では、負荷電流の値が予め設定した電流基準値を超えたかどうかで位相調整が行われるが、電流基準値の設定の仕方によって位相調整を行うか否かの判断が変化するため、正確な進角制御を行うことが困難である。
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、負荷変動があっても、容易に適切な進角制御を行うことができるモータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、モータ駆動制御装置は、モータの進角制御を行ってモータを駆動させるための駆動制御信号を出力する制御回路部と、制御回路部から出力された駆動制御信号に基づいた位相で、モータに駆動信号を出力してモータを駆動させるモータ駆動部と、モータの駆動電流に対応する電圧値を検出する電流検出回路とを備え、制御回路部は、電流検出回路により検出された電圧値と、2つ以上の基準電圧値のそれぞれとのクロスタイミングを検出し、クロスタイミングの検出結果に基づいて進角制御を行い、駆動電流の位相を調整する。
好ましくは、制御回路部は、電圧値が上昇するときに、電圧値と第1基準電圧値とがクロスする第1クロスタイミングと、電圧値と第1基準電圧値より大きい第2基準電圧値とがクロスする第2クロスタイミングとを検出し、電圧値が下降するときに、電圧値と第2基準電圧値とがクロスする第3クロスタイミングと、電圧値と第1基準電圧値とがクロスする第4クロスタイミングとを検出し、第1クロスタイミングから第2クロスタイミングまでの第1の間隔と、第3クロスタイミングから第4クロスタイミングまでの第2の間隔とを比較し、第1の間隔と第2の間隔との比較結果に基づいて、進角制御を行う。
好ましくは、制御回路部は、第2の間隔が第1の間隔に第1所定値を乗じた値よりも大きいとき、進角制御を行って駆動電流の位相を遅角させる。
好ましくは、制御回路部は、第1の間隔が第2の間隔に第2所定値を乗じた値よりも大きいとき、進角制御を行って駆動電流の位相を進角させる。
好ましくは、制御回路部は、第1クロスタイミングと第4クロスタイミングとが検出され、第2クロスタイミングと第3クロスタイミングとが検出されないとき、進角制御を行わない。
好ましくは、制御回路部は、2つ以上の基準電圧値を、それぞれ独立して設定する。
好ましくは、制御回路部は、モータの回転数に関する回転数指令情報に基づいて、駆動制御信号を出力し、回転数指令情報に基づいて、2つ以上の基準電圧値の設定を行う。
この発明の他の局面に従うと、モータの駆動制御方法は、モータの進角制御を行ってモータを駆動させるための駆動制御信号を出力し、駆動制御信号に基づいた位相で、モータに駆動信号を出力してモータを駆動させるモータの駆動制御方法であって、モータの駆動電流に対応する電圧値を検出する電流検出ステップと、電流検出ステップにより検出された電圧値と、2つ以上の基準電圧値のそれぞれとのクロスタイミングを検出するクロスタイミング検出ステップと、クロスタイミング検出ステップによるクロスタイミングの検出結果に基づいて進角制御を行い、駆動電流の位相を調整する進角制御ステップとを備える。
これらの発明に従うと、負荷変動があっても、容易に適切な進角制御を行うことができるモータ駆動制御装置及びモータの駆動制御方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の1つにおけるモータ駆動制御装置の回路構成を示すブロック図である。 制御回路部の構成を示すブロック図である。 モータのコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値及び第2基準電圧値との関係について説明する図である。 コイル電流の位相が理想的になっていない場合におけるモータのコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値及び第2基準電圧値との関係について説明する第1の図である。 コイル電流の位相が理想的になっていない場合におけるモータのコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値及び第2基準電圧値との関係について説明する第2の図である。 制御回路部の動作を示すフローチャートである。 位相制御処理の動作を示すフローチャートである。 時間測定処理の動作を示すフローチャートである。 位相調整処理を示すフローチャートである。 電源電流が理想的な位相である場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。 電源電流が理想的な位相よりも遅れている場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。 電源電流が理想的な位相よりも進んでいる場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態におけるモータ駆動制御装置について説明する。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるモータ駆動制御装置の回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、モータ駆動制御装置1は、モータ20を例えば120度通電方式により駆動させるように構成されている。本実施の形態において、モータ20は、例えば3相のブラシレスモータである。モータ駆動制御装置1は、ロータの回転位置信号に基づいて、モータ20の電機子コイルLu,Lv,Lwに例えば矩形波状の駆動電流を流すことで、モータ20を回転させる。本実施の形態において、ロータの回転位置信号は、ホール(HALL)素子の出力信号から、ロータの回転位置を推定した信号である(不図示)。
モータ駆動制御装置1は、インバータ回路2a及びプリドライブ回路2bを有するモータ駆動部2と、制御回路部4とを有している。また、モータ20には、電流検出回路6が設けられている。なお、図1に示されているモータ駆動制御装置1の構成要素は、全体の一部であり、モータ駆動制御装置1は、図1に示されたものに加えて、他の構成要素を有していてもよい。
本実施の形態において、モータ駆動制御装置1は、その全部がパッケージ化された集積回路装置(IC)である。なお、モータ駆動制御装置1の一部が1つの集積回路装置としてパッケージ化されていてもよいし、他の装置と一緒にモータ駆動制御装置1の全部又は一部がパッケージ化されて1つの集積回路装置が構成されていてもよい。
インバータ回路2aは、プリドライブ回路2bとともに、モータ駆動部2を構成する。インバータ回路2aは、プリドライブ回路2bから出力された出力信号に基づいてモータ20に駆動信号を出力し、モータ20が備える電機子コイルLu,Lv,Lwに通電する。インバータ回路2aは、例えば、直流電源Vccの両端に設けられた2つのスイッチ素子の直列回路の対が、電機子コイルLu,Lv,Lwの各相(U相、V相、W相)に対してそれぞれ配置されて構成されている。2つのスイッチ素子の各対において、スイッチ素子同士の接続点に、モータ20の各相の端子が接続されている(不図示)。
プリドライブ回路2bは、制御回路部4による制御に基づいて、インバータ回路2aを駆動するための出力信号を生成し、インバータ回路2aに出力する。出力信号としては、例えば、インバータ回路2aの各スイッチ素子に対応するVuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlの6種類の信号が出力される。これらの信号が出力されることで、それぞれの信号に対応するスイッチ素子がオン、オフ動作を行い、モータ20に駆動信号が出力されてモータ20の各相に電力が供給される。
本実施の形態において、制御回路部4には、回転数信号Srと、回転速度指令信号(回転数指令情報の一例)Scと、スタート信号Ssとが入力される。
回転数信号Srは、モータ20から制御回路部4に入力される。回転数信号Srは、例えば、モータ20のロータの回転に対応するFG信号である。FG信号は、ロータの側にある基板に設けたコイルパターンを用いて生成される信号(パターンFG)であってもよいし、モータ20に配置されたホール(HALL)素子の出力を用いて生成される信号(ホールFG)であってもよい。なお、モータ20の各相(U,V,W相)に誘起する逆起電圧を検出する回転位置検出回路を設け、検出された逆起電圧に基づき、モータ20のロータの回転位置と回転数とを検出するようにしてもよいし、モータ20の回転数や回転位置を検出するエンコーダなどのセンサ信号を用いてもよい。
回転速度指令信号Scは、例えば、制御回路部4の外部から入力される。回転速度指令信号Scは、モータ20の回転数に関する信号であって、例えば、モータ20の目標回転速度に対応するクロック信号である。
スタート信号Ssは、例えば、制御回路部4の外部から入力される。スタート信号Ssは、モータ20の駆動制御を行うか、駆動制御を行わないスタンバイ状態となるかを設定するための信号である。
制御回路部4は、例えば、マイクロコンピュータやデジタル回路等で構成されている。制御回路部4は、回転数信号Srと、回転速度指令信号Scと、スタート信号Ssとに基づいて、駆動制御信号Sdをプリドライブ回路2bに出力する。制御回路部4は、駆動制御信号Sdを出力することで、モータ20が回転速度指令信号Scに対応する回転数で回転するようにモータ20の回転制御を行う。すなわち、制御回路部4は、モータ20を駆動させるための駆動制御信号Sdをモータ駆動部2に出力し、モータ20の回転制御を行う。また、詳細は後述するが、本実施形態におけるモータ駆動制御方法は、モータ20の進角制御を行ってモータ20を駆動させるための駆動制御信号Sdを出力し、駆動制御信号Sdに基づいた位相で、モータ20に駆動信号を出力してモータ20を駆動させるとともに、モータ20の駆動電流に対応する電圧値を検出する電流検出ステップと、電流検出ステップにより検出された電圧値と、2つ以上の基準電圧値のそれぞれとのクロスタイミングを検出するクロスタイミング検出ステップと、クロスタイミング検出ステップによるクロスタイミングの検出結果に基づいて進角制御を行い、駆動電流の位相を調整する進角制御ステップとを備えている。
電流検出回路6は、モータ20の駆動電流に対応する電圧値を検出する(モータ20の駆動制御方法における電流検出ステップに対応する)。本実施の形態では、モータ20のコイル電流に対応する検出電圧信号Vdをモータ20の駆動電流に対応する電圧値として検出している。すなわち、モータ20の電機子コイルLu,Lv,Lwの各相に流れたコイル電流はインバータ回路2aを通り、電流検出抵抗を通って、GNDへ流れるので、電流検出回路6は、電流検出抵抗の両端の電圧から、モータ20のコイル電流を電圧値として検出することができる。電流検出回路6は、検出結果である検出電圧信号(電圧値の一例)Vdを出力する。検出電圧信号Vdは、制御回路部4に入力される。
[制御回路部4の説明]
ここで、制御回路部4は、モータ20の進角制御を行ってモータ20を駆動させるための駆動制御信号Sdを出力する。具体的には、制御回路部4は、モータ20の進角に関する進角補正値情報S10に基づいて、駆動制御信号Sdを出力する。モータ駆動部2は、駆動制御信号Sdに基づいた位相で、モータ20に駆動信号を出力してモータ20を駆動させる。すなわち、制御回路部4は、進角制御を行って、モータ20のコイル電流の位相を調整する。詳細は後述するが、制御回路部4は、電流検出回路6により検出された検出電圧信号Vdと、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vb(2つ以上の基準電圧値の一例)のそれぞれとのクロスタイミングを検出し、クロスタイミングの検出結果に基づいて進角制御を行うことにより、コイル電流の位相を調整する。
図2は、制御回路部4の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御回路部4は、速度制御回路31と、位相調整回路33と、制御信号生成回路35と、位相判定回路41とを含む。図2において、各回路間での信号や情報等の送受は、主に、後述の進角補正値情報S10の生成に関する説明に係るものが示されている。
速度制御回路31には、回転数信号Srと、回転速度指令信号Scとが入力される。速度制御回路31は、回転数信号Srと回転速度指令信号Scとに基づいて、モータ20が回転速度指令信号Scに対応する回転数で回転するように速度制御信号S1を出力する。
位相判定回路41には、電流検出回路6の検出電圧信号Vdが、電流検出抵抗を用いて入力される。位相判定回路41は、検出電圧信号Vdが入力される電圧比較回路43と、時間測定回路45と、時間比較回路47とを含んでいる。
位相判定回路41に入力された検出電圧信号Vdは、電圧比較回路43で第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbと比較され、それぞれの比較結果が時間測定回路45に入力される。第1基準電圧値Vaは、第2基準電圧値Vbよりも小さい値である。
電圧比較回路43には、第1コンパレータC1と、第2コンパレータC2とが設けられている。第1コンパレータC1と、第2コンパレータC2とのそれぞれには、検出電圧信号Vdが入力される。第1コンパレータC1は、検出電圧信号Vdを第1基準電圧値Vaと比較する。第2コンパレータC2は、検出電圧信号Vdを第2基準電圧値Vbと比較する。第1コンパレータC1の出力すなわち検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとの比較結果は、時間測定回路45に入力される。また、第2コンパレータC2の出力すなわち検出電圧信号Vdと第2基準電圧値Vbとの比較結果は、時間測定回路45に入力される。
本実施の形態において、制御回路部4は、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbを、それぞれ独立して設定する。また、前述したように、制御回路部4は、回転速度指令信号Scに基づいて、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbを設定する。基本的に、モータ20の回転速度が高くなれば高くなるほど、モータ20のコイル電流は大きくなるため、それに応じて第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbが設定される。
なお、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbは、例えば、PWM信号により生成した電圧を平滑することにより細かく変更可能に設定することができる。基準電圧値Va,Vbの設定方法はこれに限られず、予め設定された複数の電圧値のうち用いるものをスイッチ等により切り替える方法等、種々の方法を用いることができる。
時間測定回路45は、電圧比較回路43の比較結果に基づいて計時を行うことにより、検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとのクロスタイミングt1,t4(第1クロスタイミングt1、第4クロスタイミングt4)と、検出電圧信号Vdと第2基準電圧値Vbとのクロスタイミングt2,t3(第2クロスタイミングt2、第3クロスタイミングt3)とを検出する(モータ20の駆動制御方法におけるクロスタイミング検出ステップに対応する)。
そして、時間測定回路45は、第1の間隔dT1(第1クロスタイミングt1から第2クロスタイミングt2までの時間間隔)と第2の間隔dT2(第3クロスタイミングt3から第4クロスタイミングt4までの時間間隔)とを測定する。計時は、クロック信号等を係数すること等により行われる。測定された第1の間隔dT1及び第2の間隔dT2の情報は、時間比較回路47に送られる。
時間比較回路47は、時間測定回路45により測定された第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とに基づいて、位相調整に関する調整要求信号S3を出力する。時間比較回路47は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とを比較した結果に基づいて、調整要求信号S3を出力する。換言すると、時間比較回路47は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とが、所定の関係に該当するか否かを判断し、その判断結果に基づいて、調整要求信号S3を出力する。調整要求信号S3は、例えば、モータ20に出力されるコイル電流の位相を進角させることを要求する信号であったり(進角要求イベント)、コイル電流の位相を遅角させることを要求する信号であったり(遅角要求イベント)する。
本実施の形態においては、時間比較回路47は、次の第1の式が成立するか否かを判断する。
dT2>K*dT1(第1所定値Kは1以上の定数)
第1の式が成立するとき、時間比較回路47は、コイル電流の位相を遅角させることを要求する調整要求信号S3を出力する。これにより、後述のように、進角制御が行われる(モータ20の駆動制御方法における進角制御ステップに対応する)。すなわち、制御回路部4は、第2の間隔dT2が第1の間隔dT1に第1所定値Kを乗じた値よりも大きいとき、進角制御を行ってコイル電流の位相を遅角させる。
また、時間比較回路47は、次の第2の式が成立するか否かを判断する。
dT1>L*dT2(第2所定値Lは1以上の定数)
第2の式が成立するとき、時間比較回路47は、コイル電流の位相を進角させることを要求する調整要求信号S3を出力する。これにより、後述のように、進角制御が行われる(モータ20の駆動制御方法における進角制御ステップに対応する)。すなわち、制御回路部4は、第1の間隔dT1が第2の間隔dT2に第2所定値Lを乗じた値よりも大きいとき、進角制御を行ってコイル電流の位相を進角させる。
なお、第1所定値Kや第2所定値Lは、適宜設定され、予め時間比較回路47に記憶されている。第2所定値Lは、第1所定値Kと同じ値であってもよいし、第1所定値Kとは異なる値であってもよい。第1所定値Kと第2所定値Lとは、適宜、設定できる。例えば、位相調整を頻繁に行うほうが好ましい場合には、第1所定値Kや第2所定値Lを比較的小さい値に設定すればよい。また、コイル電流の位相のずれが比較的大きい場合にのみ位相調整を行うほうが好ましい場合には、第1所定値Kや第2所定値Lを比較的大きい値に設定すればよい。なお、所定値K,Lは、適切な位相調整を行うための係数として、予め設定されていてもよいし、制御回路部4において、回転速度指令信号Scや実際のモータ20の回転数などに応じて、自動的に設定されるようにしてもよい。
制御回路部4において、位相調整回路33は、時間比較回路47から出力された調整要求信号S3が入力される。位相調整回路33は、調整要求信号S3に基づいて、進角補正値情報S10を生成し、制御信号生成回路35に出力する。進角補正値情報S10は、例えば、進角する角度に対応するデジタル信号である。位相調整回路33は、コイル電流の位相を進角させることを要求する調整要求信号S3が入力されたとき、それまでよりも所定の角度だけコイル電流の位相を進角させるように、進角補正値情報S10を出力する。また、位相調整回路33は、コイル電流の位相を遅角させることを要求する調整要求信号S3が入力されたとき、それまでよりも所定の角度だけコイル電流の位相を遅角させるように、進角補正値情報S10を出力する。コイル電流の位相を一度に変化させる量は進角させる場合と遅角させる場合とで異なっていてもよいし、同じであってもよい。
制御信号生成回路35は、駆動信号の通電相を次の通電相に切り替えるための通電切替要求に合わせて駆動制御信号Sdを生成し、モータ駆動部2に出力する。制御信号生成回路35は、入力された進角補正値情報S10と速度制御信号S1とに基づいて、駆動制御信号Sdを生成する。すなわち、駆動制御信号Sdは、ロータの回転位置信号と、進角補正値情報S10と、回転速度指令信号Scとに基づいて生成される。コイル電流の位相を進角させたり遅角させたりする進角補正値情報S10が入力されたとき、それに応じて駆動制御信号Sdが出力される。換言すると、制御信号生成回路35は、位相調整回路33から出力された指示(進角補正値情報S10)に従い、位相調整された駆動制御信号Sdを生成する。駆動制御信号Sdに基づいてモータ駆動部2から出力される駆動信号は、進角制御が行われることによって位相調整された信号となる。
ここで、本実施の形態においては、モータ20のコイル電流に対応する電圧値である検出電圧信号Vdと、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbとがクロスするときのタイミングを、以下のように区別する。第1クロスタイミングt1は、モータ20のコイル電流に対応する電圧値が上昇するときの検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとがクロスするタイミングである。第2クロスタイミングt2は、モータ20のコイル電流に対応する電圧値が上昇するときの検出電圧信号Vdと第2基準電圧値Vbとがクロスするタイミングである。第3クロスタイミングt3は、モータ20のコイル電流に対応する電圧値が下降するときの検出電圧信号Vdと第2基準電圧値Vbとがクロスするタイミングである。第4クロスタイミングt4は、モータ20のコイル電流に対応する電圧値が下降するときの検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとがクロスするタイミングである。以上のように、本実施の形態においては、制御回路部4は、検出電圧信号Vdが上昇するときに、検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとがクロスする第1クロスタイミングt1と、検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaより大きい第2基準電圧値Vbとがクロスする第2クロスタイミングt2とを検出し、検出電圧信号Vdが下降するときに、検出電圧信号Vdと第2基準電圧値Vbとがクロスする第3クロスタイミングt3と、検出電圧信号Vdと第1基準電圧値Vaとがクロスする第4クロスタイミングt4とを検出し、第1クロスタイミングt1から第2クロスタイミングt2までの第1の間隔dT1と、第3クロスタイミングt3から第4クロスタイミングt4までの第2の間隔dT2とを比較し、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2との比較結果に基づいて、進角制御を行う。
図3は、モータ20のコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbとの関係について説明する図である。
図3から後述する図6までにおいて、横軸は時間を示し、縦軸はモータ20のコイル電流に対応する電圧値(検出電圧信号Vd)を示す。波形は、モータ20の1つの通電相について通電が行われる場合のコイル電流の推移を示すものである。図3においては、コイル電流の位相が理想的になっているときのモータ20のコイル電流の推移が示されている。
図3に示されるように、各通電相に切り替わったときに検出電圧信号Vdは上昇し、その後、他の通電相への切り替えが行われるときに検出電圧信号Vdが下降する。第1基準電圧値Vaは、例えば、コイル電流の位相が理想的になっているときでも、検出電圧信号Vdが第1基準電圧値Vaを超えるような値に設定されている。他方、第2基準電圧値Vbは、例えば、コイル電流の位相が理想的になっているときには、検出電圧信号Vdが第2基準電圧値Vbを超えないような値に設定されている。
この場合、時間測定回路45は、第1クロスタイミングt1と第4クロスタイミングt4とを検出し、第2クロスタイミングt2と第3クロスタイミングt3とを検出しない。この場合、効率の良い状態でモータ20が駆動されており、コイル電流の位相調整をする必要がないことから、制御回路部4は、位相調整を行わない。すなわち、位相調整回路33は、コイル電流の位相を変化させるための進角補正値情報S10を出力しない。
図4は、コイル電流の位相が理想的になっていない場合におけるモータ20のコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbとの関係について説明する第1の図である。
図4においては、コイル電流の位相が理想的な位相よりも遅れているときのモータ20のコイル電流の推移が示されている。
図4に示されるように、コイル電流の位相が理想的な位相よりも遅れている場合には、各通電相に切り替わったときから徐々に検出電圧信号Vdが上昇し、その後、他の通電相への切り替えが行われる直前まで検出電圧信号Vdが上昇傾向にある。そして、他の通電相への切替えが行われるときに、検出電圧信号Vdが下降する。このとき、モータ20のコイル電流に対応する電圧値である検出電圧信号Vdは、第2基準電圧値Vbを超える。すなわち、この場合、時間測定回路45は、第1クロスタイミングt1、第2クロスタイミングt2、第3クロスタイミングt3、第4クロスタイミングt4を順に測定する。
コイル電流の位相が理想的な位相よりも遅れている場合には、各通電相での通電期間において、徐々にコイル電流が上昇する。そのため、第2基準電圧値Vbに検出電圧信号Vdが達するタイミングは、各通電相での通電期間の終期に比較的近いタイミングとなる。すなわち、第1の間隔dT1よりも、第2の間隔dT2のほうが短くなる。
図5は、コイル電流の位相が理想的になっていない場合におけるモータ20のコイル電流に対応する電圧値と、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbとの関係について説明する第2の図である。
図5においては、コイル電流の位相が理想的な位相よりも進んでいるときのモータ20のコイル電流の推移が示されている。
図5に示されるように、コイル電流の位相が理想的な位相よりも進んでいる場合には、各通電相に切り替わったときには急激に検出電圧信号Vdが上昇し、最大値となった後で、他の通電相への切り替えが行われる直前まで検出電圧信号Vdが徐々に下降する。このとき、モータ20のコイル電流に対応する電圧値である検出電圧信号Vdは、第2基準電圧値Vbを超える。すなわち、この場合も、時間測定回路45は、第1クロスタイミングt1、第2クロスタイミングt2、第3クロスタイミングt3、第4クロスタイミングt4を順に測定する。
コイル電流の位相が進んでいる場合には、各通電相での通電期間において、モータ20のコイル電流は、急激に増大した後で、徐々に小さくなる。そのため、第2基準電圧値Vbに検出電圧信号Vdが達するタイミングは、各通電相での通電期間の始期に比較的近いタイミングとなる。すなわち、第1の間隔dT1よりも、第2の間隔dT2のほうが長くなる。
このように、コイル電流の位相が、理想的な位相に対して遅れている場合や、進んでいる場合には、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とに差が生じる。本実施の形態においては、制御回路部4は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2との差が、第1所定値Kや第2所定値Lにより定まる所定の程度を超えたことを検出することで、コイル電流の位相が理想的な位相に対して進んでいたり遅れていたりすることを検出できる。制御回路部4は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2との差が、所定の程度を超えたことを検出したとき、進角制御動作を行い、コイル電流の位相を調整する。
図6は、制御回路部4の動作を示すフローチャートである。
図6に示されるように、制御回路部4は、モータ20の駆動を開始すると、以下のように制御動作を行う。
ステップS11において、制御回路部4の制御信号生成回路35は、通電切替要求があるか否かを判断する。通電切替要求があれば(YES)、ステップS12に進み、通電切り替えを行う。通電切替要求がないとき(NO)、通電切替要求があるまで繰り返しステップS11の処理を行う。
ステップS13において、制御回路部4は、後述のように位相制御処理を行う。
位相制御処理が終了すると、ステップS14において、制御信号生成回路35は、次の通電切替要求が既に来ているか否かを判断する。通電切替要求が既に来ていれば(YES)、ステップS16に進み、そうでなければ(NO)、ステップS15に進む。
ステップS15において、制御信号生成回路35は、通電切替要求があるか否かを判断する。通電切替要求があると(YES)、ステップS16に進む。通電切替要求がないとき(NO)、通電切替要求があるまで繰り返しステップS15の処理を行う。
ステップS16において、制御信号生成回路35は、通電切り替えを行って駆動制御信号Sdを出力する。
ステップS17において、制御回路部4は、停止要求があるか否かを判断する。停止要求があれば(YES)、一連の処理を終了し、モータ20を停止させる。停止要求がなければ(NO)、ステップS13以降の処理を再度行う。
図7は、位相制御処理の動作を示すフローチャートである。
図7に示されるように、ステップS21において、時間測定回路45は、クロスタイミングt1,t2,t3,t4の測定値をクリアする。測定値は、例えば制御回路部4内のメモリ等に記憶されている。
ステップS22において、電圧比較回路43は、回転速度指令信号Scを読み込む。
ステップS23において、電圧比較回路43は、回転速度指令信号Scに応じて、第1基準電圧値Vaを設定する。
ステップS24において、電圧比較回路43は、回転速度指令信号Scに応じて、第2基準電圧値Vbを設定する。
ステップS25において、時間測定回路45は、後述のように時間測定処理を行い、クロスタイミングt1,t2,t3,t4を測定する。
ステップS26において、位相調整回路33は、時間測定回路5における時間測定処理の測定結果に基づき時間比較回路47にて生成/出力される調整要求信号に応じた位相調整処理(進角補正値情報S10の出力)を行い、制御信号生成回路35で生成される駆動制御信号Sdの位相が調整される。このように進角制御が行われることで、コイル電流の位相が調整される。
図8は、時間測定処理の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、前述したモータ20の駆動制御方法におけるクロスタイミング検出ステップに対応する。
ステップS41において、時間測定回路45は、第1コンパレータC1の出力結果の監視を開始する。すなわち、第1コンパレータC1の出力電圧に、立上りエッジや立下りエッジが生じるかを監視する。立上りエッジや立下りエッジが生じたとき、時間測定回路45は、それをエッジ割り込みとして検出する。
ステップS42において、時間測定回路45は、第2コンパレータC2の出力結果の監視を開始する。すなわち、第2コンパレータC2の出力電圧に、立上りエッジや立下りエッジが生じるかを監視する。立上りエッジや立下りエッジが生じたとき、時間測定回路45は、それをエッジ割り込みとして検出する。
ステップS43において、時間測定回路45は、コンパレータC1,C2においてエッジ割り込みを検出したか否かを判断する。
第1コンパレータC1で立上りエッジが検出されたとき(ステップS43でYES)、ステップS44において、時間測定回路45は、第1クロスタイミングt1を測定し、制御回路部4内のメモリ等に保存する。その後、ステップS43に戻る。
第2コンパレータC2で立上りエッジが検出されたとき(ステップS43でYES)、ステップS45において、時間測定回路45は、第2クロスタイミングt2を測定し、制御回路部4内のメモリ等に保存する。その後、ステップS43に戻る。
第2コンパレータC2で立下りエッジが検出されたとき(ステップS43でYES)、ステップS46において、時間測定回路45は、第3クロスタイミングt3を測定し、制御回路部4内のメモリ等に保存する。その後、ステップS43に戻る。
第1コンパレータC1で立下りエッジが検出されたとき(ステップS43でYES)、ステップS47において、時間測定回路45は、第4クロスタイミングt4を測定し、制御回路部4内のメモリ等に保存する。ステップS47の処理が行われると、時間測定処理が終了し、図7の処理に戻る。
なお、時間測定処理は、第4クロスタイミングt4の測定が行われなくても、次の通電切替要求があると、終了する。すなわち、ステップS43でエッジ割り込みが検出されない場合(NO)、ステップS48において、次の通電切替要求があると(YES)、時間測定回路45は、時間測定処理を終了し、図7の処理に戻る。換言すると、第4クロスタイミングt4の測定が行われるか、次の通電切替要求があるまでは、エッジ割り込みの検出が継続される。
図9は、位相調整処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、前述したモータ20の駆動制御方法における進角制御ステップに対応する。
図9に示されるように、ステップS61において、時間測定回路45は、クロスタイミングt1,t2,t3,t4の全てを取得済み(測定済み)であるか否かを判断する。クロスタイミングt1,t2,t3,t4の全てを取得済みであれば(YES)、ステップS62の処理に進む。
ステップS61において、クロスタイミングt1,t2,t3,t4の全てを取得済みではなければ(NO)、位相調整処理を終了する。すなわち、この場合、位相調整は行われない。例えば、図3のようにコイル電流の位相が適当である場合には、第1クロスタイミングt1及び第4クロスタイミングt4が測定され、第2クロスタイミングt2及び第3クロスタイミングt3は測定されない。このような場合には、位相調整は行われず、そのままの位相で次の通電相に切り替わることになる。
ステップS62において、時間測定回路45は、第1の間隔dT1を算出する。第1の間隔dT1は、第1クロスタイミングt1から第2クロスタイミングt2までの時間である。
dT1=t2−t1
また、時間測定回路45は、第2の間隔dT2を算出する。第2の間隔dT2は、第3クロスタイミングt3から第4クロスタイミングt4までの時間である。
dT2=t4−t3
ステップS63において、時間比較回路47は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とが、所定の第1の関係を満たすか否かを判断する。より具体的には、時間比較回路47は、第2の間隔dT2が、第1の間隔dT1の第1所定値K倍(Kは1以上の定数)よりも大きい(第1の関係の一例)か否かを判断する。すなわち、次の第1の式が成立するか否かを判断する。
dT2>K*dT1(第1所定値Kは1以上の定数)
第1の関係が満たされたとき、すなわち第1の式が成立するときには(YES)、現在のコイル電流の位相は理想的な位相に対して進角していると判断できる。この場合、ステップS64に進む。第1の関係が満たされないとき、すなわち第1の式が成立しないときには(NO)、ステップS65に進む。
ステップS64において、時間比較回路47は、遅角要求イベントを発行する。すなわち、時間比較回路47は、モータ20に出力されるコイル電流の位相を遅角させることを要求する調整要求信号S3を、位相調整回路33に対して出力する。
ステップS65において、時間比較回路47は、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2とが、所定の第2の関係を満たすか否かを判断する。より具体的には、時間比較回路47は、第1の間隔dT1が、第2の間隔dT2の第2所定値L倍(Lは1以上の定数)よりも大きい(第1の関係の一例)か否かを判断する。すなわち、次の第2の式が成立するか否かを判断する。
dT1>L*dT2(第2所定値Lは1以上の定数)
第2の関係が満たされたとき、すなわち第2の式が成立するときには(YES)、現在のコイル電流の位相は理想的な位相に対して遅角していると判断できる。この場合、ステップS66に進む。第2の関係が満たされないとき、すなわち第1の式が成立しないときには(NO)、位相調整処理を終了する。すなわち、第1の間隔dT1と第2の間隔dT2との関係が、第1の関係と第2の関係とのいずれにも該当しない場合には、現在のコイル電流の位相は理想的な位相に対して進角しているとも遅角しているとも判断されず、位相調整は行われない。
ステップS66において、時間比較回路47は、進角要求イベントを発行する。すなわち、時間比較回路47は、モータ20に出力されるコイル電流の位相を進角させることを要求する調整要求信号S3を、位相調整回路33に対して出力する。
ステップS64又はステップS66の処理が行われると、ステップS67において、進角・遅角調整が行われる。すなわち、位相調整回路33は、時間比較回路47から出力された調整要求信号S3に基づいて、進角補正値情報S10を生成し、制御信号生成回路35に出力する。位相調整回路33は、遅角要求イベントが発行されたときには、それまでよりも所定の角度だけコイル電流の位相を遅角させるように、進角補正値情報S10を出力する。位相調整回路33は、進角要求イベントが発行されたときには、それまでよりも所定の角度だけコイル電流の位相を進角させるように、進角補正値情報S10を出力する。そして、制御信号生成回路35は、進角補正値情報S10に従って、駆動制御信号Sdの位相を進角又は遅角させて、駆動制御信号Sdを出力する。このように進角制御が行われて駆動制御信号Sdが出力されることにより、コイル電流の位相が調整される。
ステップS67の処理が終了すると、位相調整処理が終了する。これにより、図6に示されるように、次の通電切替要求に従って通電相の切り替えが行われる。
以上のように、本実施の形態においては、電流検出回路6にて検出された検出電圧信号Vdと、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbのそれぞれとのクロスタイミングt1,t2,t3,t4に応じて、現在のコイル電流の位相が進角しているか、遅角しているかが判定される。そして、現在のコイル電流の位相が進角していたり、遅角していたりするときには、コイル電流の位相が調整される。したがって、負荷変動があっても、容易に位相調整が必要であるか否かを判定し、適切な進角制御を行うことができる。
図10は、電源電流が理想的なの位相である場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。
本実施の形態においては、電流検出回路6によりモータ20のコイル電流に対応する検出電圧信号Vdをモータ20の駆動電流に対応する電圧値として検出しているが、モータ20の駆動電流に対応する電圧値として、電源Vccから流れる電源電流に対応する電圧値を検出してもよい。すなわち、電源電流に対応する電圧値を2つ以上の基準電圧値と比較することで、現在のコイル電流の位相が進角しているか、遅角しているかを判定するようにしてもよい。
図10及び以下の図11,12においては、電源電流に対応する電圧値を第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbと比較する場合の例が示されている。
図10に示されるように、巻線電圧としては、1つのコイル(例えば、コイルLu)の電圧が示されている。各コイルでは、通電相が切り替えられることにより、電圧が0となる通電相を挟み、正の電圧が印加される通電相と負の電圧が印加される通電相とが交互に繰り返される。
電源電流に対応する電圧値は、通電相が切り替えられる度に、低い値から高い値に上昇し、再び低い値に戻る。
図10では、電源電流に対応する電圧値は、第1基準電圧値Vaを超えるが、第2基準電圧値Vbを超えない。この場合、第1クロスタイミングt1と第4クロスタイミングt4のみが計測され、第2クロスタイミングt2及び第3クロスタイミングt3は計測されない。すなわち、電源電流の位相が理想的な位相であると判定され、位相調整は行われない。換言すると、このように電源電流の位相が理想的な位相である場合に、電源電流に対応する電圧値が第1基準電圧値Vaを超えても第2基準電圧値Vbを超えないように、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbが設定されている。
図11は、電源電流が理想的な位相よりも遅れている場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。
図11に示されるように、電源電流の位相が理想的な位相よりも遅れていると、電源電流に対応する電圧値は、各通電相毎に、初期は小さく、徐々に増大する。そして、第1基準電圧値Vaを超えた後も徐々に増大し、第2基準電圧値Vbも超える。したがって、第1クロスタイミングt1、第2クロスタイミングt2、第3クロスタイミングt3、及び第4クロスタイミングt4が計測され、電源電流の位相が理想的な位相よりも遅れていると判定される。
図12は、電源電流が理想的な位相よりも進んでいる場合の巻線電圧と電源電流との波形例を示す図である。
図12に示されるように、電源電流の位相が理想的な位相よりも進んでいると、電源電流に対応する電圧値は、各通電相毎に、初期に急激に増大し、第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbを超えた後、徐々に減少する。したがって、第1クロスタイミングt1、第2クロスタイミングt2、第3クロスタイミングt3、及び第4クロスタイミングt4が計測され、電源電流の位相が理想的な位相よりも進んでいると判定される。
なお、図11及び図12においては、本実施の形態のような進角制御が行われていない場合の波形が示されている。
以上説明したように、本実施の形態では、負荷変動があっても、容易に、適切に進角制御を行うことが可能になる。モータの駆動電流の波形に基づいて進角、遅角調整の要否を判断することができるので、適切に位相調整を行うことができる。現在の駆動電流の位相の判定すなわち位相調整の要否の判定は、コンパレータC1,C2を使用することで行うことができる。したがって、制御回路部4に用いるマイコンの能力が低くても、適切に位相の判定を行うことができ、モータ駆動制御装置1を安価な構成で実現できる。
第1基準電圧値Va及び第2基準電圧値Vbは、回転速度指令信号Sc等に応じて、それぞれ適切な値に設定される。したがって、幅広い回転速度において適切に進角制御を行うことができ、効率良くモータ20を駆動させることができる。
従来、進角制御を行うことができないため、比較的高い回転速度でモータ20を駆動する場合に備えて、予め進角気味で駆動されるように進角値を固定する場合があった。これに対して、本実施の形態では、自動的なフィードバック制御によって進角制御を行うことができるので、常に適切な位相に位相調整を行うことが可能となり、高い効率でモータ20を駆動することができる。
[その他]
モータ駆動制御装置は、上述の実施の形態やその変形例に示されるような回路構成に限定されない。本発明の目的に適合するように構成された、様々な回路構成が適用できる。
基準電圧値は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。この場合であっても、各基準電圧値とモータの駆動電流に対応する電圧値とがクロスするクロスタイミングを測定し、駆動電流の位相が進んでいるか遅れているかを判断することで、進角制御を行うことができる。
基準電圧値は、回転速度指令信号のみに限られず、モータの実際の回転数も考慮して、設定されるようにしてもよい。例えば、回転速度指令信号とモータの実際の回転数とに対応するテーブルや数式等を予め設定しておき、テーブルや数式等に基づいて基準電圧値を設定するようにしてもよい。また、一定時間定速度でモータが回転したときに、その速度に対応する基準電圧値を設定するようにしてもよい。
制御回路部に入力される回転速度指令信号は、モータ駆動制御装置の内部で生成されたものであってもよい。
本実施の形態のモータ駆動制御装置により駆動されるモータは、3相のブラシレスモータに限られず、他の種類のモータであってもよい。また、モータの相数は、3相に限定されない。
本発明は、120度通電駆動方式によりモータを駆動するモータ駆動制御装置に限られず、他の方式によりモータを駆動するモータ駆動制御装置に適用してもよい。
上述のフローチャートなどは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではなく、例えば、各ステップの順番が変更されたり各ステップ間に他の処理が挿入されたりしてもよいし、処理を並列化してもよい。
上述の実施の形態における処理の一部又は全部が、ソフトウエアによって行われるようにしても、ハードウエア回路を用いて行われるようにしてもよい。例えば、制御部は、マイコンに限定されない。制御部の内部の構成は、少なくとも一部がソフトウエアで処理されるようにしてもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 モータ駆動制御装置
2 モータ駆動部
4 制御回路部
6 電流検出回路
20 モータ
31 速度制御回路
33 位相調整回路
35 制御信号生成回路
41 位相判定回路
43 電圧比較回路
45 時間測定回路
47 時間比較回路
C1 第1コンパレータ
C2 第2コンパレータ
dT1 第1の間隔
dT2 第2の間隔
K 第1所定値
L 第2所定値
Sc 回転速度指令信号(回転数指令情報の一例)
Sd 駆動制御信号
Sr 回転数信号
S1 速度制御信号
S3 調整要求信号
S10 進角補正値情報
t1 第1クロスタイミング
t2 第2クロスタイミング
t3 第3クロスタイミング
t4 第4クロスタイミング
Va 第1基準電圧値(基準電圧値の一例)
Vb 第2基準電圧値(基準電圧値の一例)
Vd 検出電圧信号(電圧値の一例)

Claims (8)

  1. モータの進角制御を行って前記モータを駆動させるための駆動制御信号を出力する制御回路部と、
    前記制御回路部から出力された駆動制御信号に基づいた位相で、前記モータに駆動信号を出力して前記モータを駆動させるモータ駆動部と、
    前記モータの駆動電流に対応する電圧値を検出する電流検出回路とを備え、
    前記制御回路部は、
    前記電流検出回路により検出された前記電圧値と、2つ以上の基準電圧値のそれぞれとのクロスタイミングを検出し、
    前記クロスタイミングの検出結果に基づいて前記進角制御を行い、前記駆動電流の位相を調整する、モータ駆動制御装置。
  2. 前記制御回路部は、
    前記電圧値が上昇するときに、前記電圧値と第1基準電圧値とがクロスする第1クロスタイミングと、前記電圧値と前記第1基準電圧値より大きい第2基準電圧値とがクロスする第2クロスタイミングとを検出し、
    前記電圧値が下降するときに、前記電圧値と前記第2基準電圧値とがクロスする第3クロスタイミングと、前記電圧値と前記第1基準電圧値とがクロスする第4クロスタイミングとを検出し、
    前記第1クロスタイミングから前記第2クロスタイミングまでの第1の間隔と、前記第3クロスタイミングから前記第4クロスタイミングまでの第2の間隔とを比較し、
    前記第1の間隔と前記第2の間隔との比較結果に基づいて、前記進角制御を行う、請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  3. 前記制御回路部は、前記第2の間隔が前記第1の間隔に第1所定値を乗じた値よりも大きいとき、前記進角制御を行って前記駆動電流の位相を遅角させる、請求項2に記載のモータ駆動制御装置。
  4. 前記制御回路部は、前記第1の間隔が前記第2の間隔に第2所定値を乗じた値よりも大きいとき、前記進角制御を行って前記駆動電流の位相を進角させる、請求項2又は3に記載のモータ駆動制御装置。
  5. 前記制御回路部は、前記第1クロスタイミングと前記第4クロスタイミングとが検出され、前記第2クロスタイミングと前記第3クロスタイミングとが検出されないとき、前記進角制御を行わない、請求項2から4のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  6. 前記制御回路部は、前記2つ以上の基準電圧値を、それぞれ独立して設定する、請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  7. 前記制御回路部は、
    前記モータの回転数に関する回転数指令情報に基づいて、前記駆動制御信号を出力し、
    前記回転数指令情報に基づいて、前記2つ以上の基準電圧値の設定を行う、請求項6に記載のモータ駆動制御装置。
  8. モータの進角制御を行って前記モータを駆動させるための駆動制御信号を出力し、前記駆動制御信号に基づいた位相で、前記モータに駆動信号を出力して前記モータを駆動させるモータの駆動制御方法であって、
    前記モータの駆動電流に対応する電圧値を検出する電流検出ステップと、
    前記電流検出ステップにより検出された前記電圧値と、2つ以上の基準電圧値のそれぞれとのクロスタイミングを検出するクロスタイミング検出ステップと、
    前記クロスタイミング検出ステップによる前記クロスタイミングの検出結果に基づいて前記進角制御を行い、前記駆動電流の位相を調整する進角制御ステップとを備える、モータの駆動制御方法。
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