JP6274466B1 - センサレスモータの駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の時間軸による回転子位置推定方式とは異なり、角度軸による回転子位置推定を行なって速度変化に追従して常に最適な角度で励磁切り替えが実現できるセンサレスモータの駆動方法を提案する。【解決手段】MCU5は、励磁区間開始点にてコイルへの励磁を開始し、一定周期通電してコイルに発生する誘起電圧成分を測定して積算し、やがて積算値がゼロとなったら励磁区間終了位置とする。そして、次の励磁区間の励磁パターンに切り替え、同様の積算動作を繰り返してモータを連続回転させる。【選択図】図9

Description

本発明は、三相ブラシレスDCモータをセンサレスで矩形波駆動する際に、時間軸によらず回転子角度から回転子位置を検出して駆動するセンサレスモータの駆動方法に関する。
位置センサを持たない永久磁石界磁型三相同期モータの通電方式には主にサイン波駆動と矩形波駆動とがある。その中で代表的なサイン波駆動であるセンサレスベクトル制御方式はFOC(フィールドオリエンテッドコントロール)等から高度な制御が必要な用途に用いられるが高性能なA/DコンバータやPWM制御が必要でありCPUの演算負荷も極めて大きいという問題がある。それに対し代表的な矩形波駆動であるセンサレス120°通電方式は制御が容易でローコストであることから小型モータ等を中心に普及している。
前記センサレス120°通電方式において励磁切り替え位置の検出は、UVW相それぞれに60°の無通電区間を設けて相間電圧の1/2電位と交差する誘起電圧ゼロクロス点を検出し、そこからタイマーを用いて30°ディレー時間を置くことで行われる。誘起電圧ゼロクロス点は励磁切り替え点とは30°位相差がありそのままでは励磁切り替えできない。
図11に三相ブラシレスDCモータの駆動方式の代表的な例として120°通電のタイミングチャートを示す。上段のU、V、Wは実線が通電波形、破線が誘起電圧波形を表し、U相に対してV相及びW相は±120°位相差を持つ。
区間1はU相からV相に、区間2はU相からW相に、区間3はV相からW相に、区間4はV相からU相に、区間5はW相からU相に、区間6はW相からV相に、矩形波通電される。各相は2か所の60°無通電区間があり、誘起電圧ゼロクロス点はこの無通電区間の中央で発生し励磁切り替え点とは30°位相差がある。
下段の実線HU〜HWはモータに内蔵されるホールセンサの出力波形であり、従来の位置センサ付きブラシレスDCモータはこの信号に基づいて励磁切り替えが行われる。
図12に位置センサを備えないセンサレスモータの一例として三相ブラシレス直流(DC)モータの構成例を示す。回転子軸1を中心に回転する回転子2にはS極とN極で一対の永久磁石3が設けられている。永久磁石界磁の磁極構造(IPM,SPM)あるいは極数等は様々である。固定子4には120°位相差で設けられた極歯に電機子巻線(コイル)U,V,Wが配置され、中性点(コモン)Cを介してスター結線されている。モータ外部にコイル線のみを引き出す3線式タイプと、コモン線も引き出す4線式タイプがある。
図13に、従来の三相センサレスモータ駆動装置のブロックダイアグラムの一例を示す。MCU51はマイクロコントローラ(Micro-Control Unit:制御回路)である。MCU51は、三相コイル(U,V,W)に対する6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間(区間1〜区間6)を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラ50からの回転指令に応じてモータ駆動回路をスイッチング制御して励磁状態を任意に切り替える。また励磁切り替えタイミングを30°遅延するタイマーを内蔵している。
インバータ回路52(INV:モータ駆動回路)は、MCU51からの制御信号を電力増幅して三相コイルに通電し、モータトルクを制御するために励磁相切り替えあるいはPWM制御などのスイッチング動作を行う。電源ライン及び接地ラインに任意に接続可能なハーフブリッジ型スイッチング回路が三相分設けられ、出力素子(FET等)を駆動するプリドライブ回路も内蔵されている。
コンパレータ回路53(ZERO)は、コモン電圧COMと各コイル電圧UVWの電圧を比較する3個のコンパレータで構成される。コモン電圧は、三相を抵抗で合成して生成している。図示しないが、ヒステリシス設定抵抗、出力レベル整合抵抗、保護素子、ノイズ除去素子、等多くのディスクリート部品で構成される。
コンパレータ回路53の出力は位置信号としてMCU51に送出される。MCU51はコンパレータ出力のエッジからゼロクロス点を検出しさらにタイマーにより30°遅延したのちインバータ回路52の励磁相を切り替える。
なお静止時は誘起電圧が発生しないことからオープンループのランプスタートが行われており、回転が上がると初めて前記コンパレータ出力が有効となる。確実に位置を検出するためにはコンパレータヒステリシス電圧の5倍以上の誘起電圧が必要であり、ランプスタートの最終回転数は数百rpm〜1krpmとかなり高いものとなる。
従来のセンサレス120°通電方式においてゼロクロス点を検出後タイマーで励磁切り替え位置を推定する方法には励磁切り替えタイミングに大きな問題があり、以下に詳述する。誘起電圧Eは回転角速度ωに比例し周期Tは1/ωであるからE×T=定数である。
図14に従来の位置検出方式による励磁切り替えタイミングを図示する(なお、以下の説明では誘起電圧波形を直線近似して図示する場合がある)。−30°位相から0°位相まで回転する速度に対し、0°位相から30°位相まで回転する間に速度変化があった場合を示す。図中の点A(E1、T1)は加速した場合、点B(E2,T2)は一定速度の場合、点C(E3,T3)は減速した場合の波形である。
30°区間に対する誘起電圧E×時間T=定数であるから、E1×T1=E2×T2=E3×T3であり、点A〜点Cを通るET積は双曲線(破線)を描く。
従って、励磁切り替えタイミングは回転速度に追従して変化しなくてはならないが、従来の遅延タイマー方式は時間をT2に固定しているため30°区間内の加減速に対して励磁切り替え角度の誤差が発生する。誤差が小さい場合はトルクやモータ効率の低下で済むが、誤差が大きい場合の加速時は位相が遅れすぎてデッドロックし、減速時は位相が進みすぎトルクが低下し脱調に至る。
このように従来方式は、回転子角度という位置情報を時間軸により推定していることから速度変化には追従不可能であり、等速時しか正しい位置を推定できず加速時及び減速時は大きな角度推定誤差が発生している。即ち、回転子角度を時間により推定していることが原因で、モータ効率やトルクの低下や振動・脱調・電流増大・騒音の発生といった諸問題が発生していた。
上記課題を解決するためのモータ駆動方法が種々提案されており、例えば、脱調監視回路がモータの脱調の予兆を検出したら通電制御回路の出力を停止して空走状態とした後、再度回転させることで脱調を防止しようとするものである(引用文献1参照)。或いは、モータの励磁電流切り替え点である誘導電圧ゼロクロス点から一定電気角だけ遅延させて通電方向を切り換える切換え点の一定時間前から固定子巻線に印可する電力を抑制するというものである(引用文献2参照)。
特開2008−141828号公報 特開2000−184775号公報
従来のセンサレス駆動は、ゼロクロス検出とタイマー等による励磁切り替え方式であったため、モータに負荷がかかり減速すると励磁切り替え位相が早くなりトルクが低下し、その後負荷が解放されると加速し今度は励磁切り替え位相が遅れやはりトルクが低下していた。切削加工や移動装置など多くの用途で実働時は微小な負荷変動が発生しており、その都度位相進みと位相遅れが繰り返され、従来のセンサレス駆動ではほとんどの稼働時間帯で大幅にトルク発生効率が低下している。加えて脱調などの問題もあり負荷変動の大きな粘性負荷用途ではセンサレスモータはあまり使用されておらず、負荷変動の少ないハードディスクドライブのスピンドルモータなど慣性負荷用途が主流であった。
また、上述した特許文献1,2のモータ駆動方法を含めて他にも様々な方法が提案されているが、いずれもタイマー等で励磁切り替えタイミングを調整する手法であり、回転子角度という位置情報を時間軸により推定していることから速度変化には追従できない。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、三相永久磁石界磁型ブラシレスDCモータを位置センサなしで回転駆動する際に、従来の時間軸による回転子位置推定方式とは異なり、角度軸による回転子位置推定を行なって速度変化に追従して常に最適な角度で励磁切り替えが実現できるセンサレスモータの駆動方法を提案するものである。
従って、課題解決のための手段として、時間軸によらず回転子角度を検出すればよい。そこで、回転子速度を時間積分すれば回転子位置が求まることから、角速度即ち誘起電圧を時間積分し回転子角度を求めることとする。この位置検出方法を誘起電圧時間積分法と定義する。以下、詳述する。
三相ブラシレスDCモータを位置センサレスにて駆動制御するセンサレスモータの駆動方法であって、三相コイルのうちいずれか二相コイルに通電する三相ブリッジ回路を含むモータ駆動回路と、上位コントローラからの回転指令により前記モータ駆動回路を駆動制御する制御回路と、前記モータ駆動回路により通電されたコイル電圧を測定する電圧測定回路と、を具備し、前記電圧測定回路は、前記モータ駆動回路により通電された各相コイル電圧を必要に応じて測定可能な入力範囲に整合させる分圧回路と、前記分圧回路を通じて入力された各相コイル電圧を測定するA/Dコンバータと、測定された各相コイル電圧に含まれる誘起電圧成分を積算する積算カウンターと、を備えており、前記制御回路は、回転子が誘起電圧を検出可能な回転数以上で回転中に前記積算カウンターが励磁区間開始位置を検出するステップと、前記積算カウンターが前記励磁区間開始位置を検出したら、前記モータ駆動回路による通電相を今回励磁区間に対応した通電パターンに切り替えて通電を開始するステップと、前記モータ駆動回路による通電開始直後に前記積算カウンターをリセットするステップと、前記A/Dコンバータを用いて一定の測定周期でコイル電圧を測定するステップと、前記A/Dコンバータで測定されたコイル電圧から誘起電圧成分を抽出して、該誘起電圧成分を前記積算カウンターにて積算するステップと、前記積算カウンターによる積算開始後に積算値がゼロまたはゼロを超えたら当該励磁区間を終了するステップと、を含みこれら繰り返し実行することで、モータを連続回転させることを特徴とする。
(注:誘起電圧の検出方法;1)中性点電位と無通電相電位の差分 2)中性点電位とコモン電位との差分 3)コモン電位と無通電相電位の差分のいずれかで検出する。但し、中性点電位は相間電圧の2分の1である。)
上記センサレスモータの駆動方法を用いれば、時間軸によらずに回転子角度を検出することで、速度変化に追従して常に最適な角度で励磁切り替えが行われるので、モータ効率が大幅に向上する。また、トルクリップルが減ることで出力が増加し、同時に消費電流は小さくなり、モータ発熱も低減される。特に、ホールセンサを搭載した小型ブラシレスDCモータではセンサ誤差や着磁誤差などの影響が大きくなるが、センサレス駆動であれば影響を受けず、ホールセンサ付きモータ以上の高効率運転が可能となる。
前記制御回路は、励磁切り替え時に、前回励磁区間の最終誘起電圧Va<今回励磁区間の最初の誘起電圧Vb、となる進み位相の場合には、誘起電圧の理論的交点電圧VcをVa+(Vb−Va)/2にて求め、誘起電圧測定値がVc以下になるまで積分値をリセットするリセット期間を設け、前記励磁切り替え時に、Va>Vbとなる遅れ位相の場合には、最初のVb測定時から積分を開始する第一の方法、積分を行わず、閾値Vdを−(Va+Vb)/2にて求め、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替える第二の方法、積分を行わず、閾値Vd=−Vbとして、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替える第三の方法のうち、いずれかを選択して実行し、以上の進み角時と遅れ角時の位相誤差を補償するステップを含み、以後の励磁切り替えごとに同様の補償を繰り返すことが望ましい。
これにより、進み角及び遅れ角の位相誤差に応じた補正を繰り返すことで、常に誘起電圧交点付近のわずかに進角の設けられた理想的な位置で励磁切り替えが行われる。また、位相誤差補正が的確に行われるとトルクリップルが減ることからトルクが増加し、あたかも速度制御をしているかのような効果がある。
前記制御回路は、励磁切り替え時に進み位相の場合には、リセット期間終了時に中性点電位オフセット電圧を(Vb−Vc)/(リセット期間の測定周期数)にて求め、中性点電位に加算することが好ましい。
これにより、進み角位相時の励磁区間ごとに中性点電位のオフセット誤差を補正することができる。
前記制御回路は、前回励磁区間の誘導電圧成分の積分ピーク値を記憶しておき、今回励磁区間の誘導電圧成分の積分値ピークを検出したら、前回ピーク値と今回ピーク値の平均値を演算して区間角度移動平均を求め、積分値の区間終了判定閾値とし、それに基づいて励磁切り替えして区間終了位相を補正し、以後も励磁区間を歩進しながら上記と同様に2区間の区間角度移動平均を求めて区間終了位相を補正することが好ましい。
これにより、励磁区間終了側の位相角を補正して前回励磁区間との平均角度とし、振動や長周期励磁区間の発生を防止することができる。
前記制御回路は、積分開始位置を所定時間遅らせる、あるいは励磁区間終了判定の基準となる積分閾値を所定値だけシフトして、励磁切り替えの位相角を前方にシフトさせ進角制御を行うようにしてもよい。
この進角制御を行うことにより、スパイク電流や騒音が低減される効果がある。
前記制御回路は、始動時に前記回転子が励磁区間の開始角度近傍に位置したら、少なくとも最初の励磁区間はPWM制御のオンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動にて直流通電して始動し、誘起電圧の測定及び積分動作を行うようにしてもよい。
本願発明に係る駆動方法は、回転子の位置検出は回転速度には依存しないことから、徐々に増加する誘起電圧あるいは間歇的に誘起電圧が発生しても使用することができ、しかも検出された微小な誘起電圧は積分動作により累積されて大きな積分値となるため、回転子の安定した位置検出を行うことができる。
前記制御回路は、測定周期ごとに無通電相電圧を測定し、今回測定値が前回測定値と等しいときは今回測定値をゼロとするかあるいは誘導電圧成分の積分動作を実行しないようにしてもよい。
これにより、モータ静止時の微小誤差による位置検出誤差を回避することができる。
前記制御回路は、予め任意の励磁区間に対し所定の時間を区間終了判定の禁止時間に設定しておき、或いは回転が始まったのち励磁切り替え時に異常に短い時間で区間終了点を検出した際は所定の時間の区間終了判定の禁止時間を設け、励磁区間の通電直後は電気的時定数τe程度の測定禁止期間を設け、その後は測定周期ごとに無通電相電圧を測定して積分し、励磁区間終了判定の禁止時間が経過するまでは積分だけを行い励磁区間終了判定をしないことが望ましい。
これにより、積分値以上の大きな信号でなければ積分値が励磁区間終了判定レベルを横切ることはなく、大きな誤信号あるいはノイズによる誤判定を防止できる。判定禁止時間は始動条件等から適切な値をあらかじめ設定すればよく、回転速度に応じて可変することも可能である。
前記制御回路は、当該励磁区間において通電開始後、予め設定された停止判定時間を超えても励磁区間終了点が検出できない場合は、再び初期位置検出を行い、回転子が今回励磁区間・前回励磁区間・次回励磁区間のいずれかにいたら該当する励磁区間の励磁を行い、それ以外の励磁区間であったら再始動する第一の方法又は初期位置検出を行わず現在の励磁パターンで自励位置決めを行い再始動する第二の方法のいずれかを実行するようにしてもよい。
第一の方法によりノイズあるいは想定外の外力あるいは位置推定ミスなどによるデッドロック状態や逆転状態から脱出し正常回転に復帰することができ、第二の方法により逆転の確率を押さえて強制的に回転子を所定位置に停止させ、その位置に対応した励磁を行って始動することができる。
上述したセンサレスモータの駆動方法を用いれば、時間軸によらずに回転子角度を検出することで、速度変化に追従して常に最適な角度で励磁切り替えが行われるので、モータ効率が大幅に向上する。また、トルクリップルが減ることで出力が増加し、同時に消費電流は小さくなり、モータ発熱も低減される。特に、ホールセンサを搭載した小型ブラシレスDCモータではセンサ誤差や着磁誤差などの影響が大きくなるが、センサレス駆動であれば影響を受けず、ホールセンサ付きモータ以上の高効率運転が可能となる。
また、加減速時も正確な進角制御が可能で、励磁切り替え時のスパイクパルスも低減され、それにより高調波も抑制されることから回転音も静音化され特に負荷時の騒音抑制の効果が大きい。また進角制御はリラクタンストルクも有効に引き出すことができ、上述の高効率化に加えてよりトルクアップ・低消費電流化も可能である。さらには、速度に依存せず加速時も減速時も位置を検出するフィールドオリエンテッド制御が行われる為、加速時間が短縮されモータの始動時間が早くなり、またデッドロックや脱調も防止される。
また、位置検出のための演算時間が短いことから誘起電圧の測定周期を早くすることができ、リニア駆動とすればPWM駆動時の数倍もの高速回転も可能である。
また、モータ特性や負荷電流に依存せずモータや使用条件を選ばず汎用性が高い。またパラメータの設定や調整も不要で使いやすい。
また、ゼロクロスコンパレータやヒステリシス設定回路やコモン生成回路等が不要となり回路が簡略化され、インターフェース部はわずか6個の分圧抵抗のみで構成でき、能動部品が無いことから高電圧系対応も容易であり、故障も減る。
また、制御プログラムが簡略化されソフト開発時間が短縮され、また演算負荷が少ないことから高性能CPUは不要で、ハードソフト両面から駆動回路をローコスト化できる。
また、基本的にノイズに強く、極めて耐ノイズ性の高いシステムを構築でき、しかも始動性も向上し確実な始動が可能である。これにより従来のセンサレス駆動ではほとんど不可能であったノイズ環境下での確実な運転やストール運転あるいは突き当て停止による往復運動などができる。
誘起電圧波形図と積分値波形図である。 積算処理の説明図である。 進み角誤差の説明図である。 遅れ角誤差の説明図である。 区間角度移動平均の説明図である。 積分開始遅延による進角の説明図である。 閾値による進角の説明図である。 始動時の誘起電圧波形図と積分値波形図である。 センサレスモータの駆動方法の一例を示すフローチャートである。 モータ駆動装置の一例を示すブロックダイアグラムである。 120°通電方式タイミングチャートである。 三相センサレスモータの説明図である。 従来の三相センサレスモータ駆動装置のブロックダイアグラムである。 従来のセンサレス駆動の励磁切り替えタイミング図である。
以下、本発明に係るセンサレスモータの回転子位置検出方法の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本願発明は、回転子2に永久磁石界磁3を備え、固定子4に巻き線を120°位相差で配置してスター結線し(図12参照)、相端がモータ駆動回路に接続されたセンサレスモータをセンサレス駆動するセンサレス駆動方法に広く適用することができる。
以下では、一例として3相DCブラシレスモータをセンサレス駆動するセンサレスモータの駆動方法について、装置構成と共に説明する。
図12を参照して本発明に係る3相ブラシレスDCモータの一実施例を示す。一例として2極永久磁石ロータと3スロットを設けた固定子4を備えた3相ブラシレスDCモータを例示する。モータはインナーロータ型でもアウターロータ型でもいずれでもよい。
図12において、回転子軸1には回転子2が一体に設けられ、界磁として2極の永久磁石3が設けられている。固定子4には120°位相差で極歯U,V,Wが永久磁石3に対向して配置されている。固定子4の各極歯U,V,Wに巻線u,v,wを設けて相間をコモンCで結線して後述するモータ駆動装置に配線された3相ブラシレスDCモータとなっている。尚、コモン線は、不要であるので省略されている。
次に、センサレスモータの駆動方法を適用するモータ駆動装置の一例を図10のブロックダイアグラムに示す。励磁方式は1相120°バイポーラ矩形波通電方式若しくはこれに準ずる通電方式である。MCU5(Micro-Control Unit:制御回路)は、CPUコア、各種プログラムを格納するメモリ(ROM、フラッシュメモリ等)、一以上のタイマー(設定可能なものとウォッチドッグタイマー)、外部周辺機器と通信するための入出力部等を備えている。MCU5は、上位コントローラ6からの回転指令(RUN)によりモータ駆動信号を出力端子OUT1〜OUT6から後述するインバータ回路7(INV:モータ駆動回路)へ出力制御する。また、MCU5は、上位コントローラ6に回転子位置情報や回転方向情報を送出する。
通常、インバータ回路7はモータトルクを制御するために励磁相切り替えあるいはPWM制御などのスイッチング動作を行う。インバータ回路7は、スイッチング素子に逆並列に接続されるダイオードを備え、正極電源ライン及び接地電源ラインに任意に接続可能なハーフブリッジ型スイッチング回路を相ごとに設けられている(三相ブリッジ回路)。MCU5は上位コントローラ6からの回転指令により三相コイルのうちいずれか二相コイルに通電するようにインバータ回路7を駆動制御する。
電圧測定回路8は、インバータ回路7により通電されたコイル電圧を測定する。電圧測定回路8は、インバータ回路7により通電された各相コイル電圧を必要に応じて測定可能な入力範囲に整合させる分圧回路9(RA)を通じてMCU5と接続されている。MCU5内には、分圧回路9を通じて入力された各相コイル電圧を測定するA/Dコンバータ10(ADC)と、各相コイル電圧に含まれる誘起電圧成分を積算する積算カウンター11(CNT)が設けられている。
従来のブロックダイアグラム(図13)と異なるのはゼロクロスコンパレータ(ZERO)が無くなり、代わりに分圧回路9(RA)によりコイル電圧を入力範囲に調整(コンディショニング)させてMCU5に内蔵のA/Dコンバータ10に入力する点である。またコモン電圧は使わないのでモータは3線式でよい。
分圧回路9(RA)は、2個の直列抵抗(r1,r2)で構成される分圧抵抗であって3組(r1,r2)、(r3,r4)、(r5,r6)設けられる。分圧抵抗の一端はコイルに他端は接地に接続され、共通接続点はA/Dコンバータ10に各々出力される。出力電圧は分圧比(r2/(r1+r2)、r4/(r3+r4)、r6/(r5+r6))に応じて小さくなりA/Dコンバータ10の入力レンジに整合される。分圧値を大きくすれば高電圧の駆動回路にも対応できる。例えば分圧値が1:99であればコイル電圧は1/100になり、3.3VフルレンジのA/Dコンバータ10用いて330Vまで測定できる。
MCU5には3チャンネルのA/Dコンバータ10が内蔵され、コイル電圧を測定することができる。また、コイル電圧の測定値を積算する積分カウンター11(CNT)も内蔵される。A/Dコンバータ10は一定周期で各相の電圧測定し、サンプルホールド回路を1チャンネル備えた標準的なものでも使用可能であるが、測定タイミング誤差を無くすためにはサンプルホールド回路を3回路備えた3チャンネル同時サンプリングタイプが好ましい。
上記MCU5は、以下のセンサレスモータの駆動制御を行う。
MCU5は、回転子2が誘起電圧を検出可能な回転数以上で回転中に励磁区間開始位置に到達したことを検出したら、インバータ回路7による通電相を今回励磁区間に対応した通電パターンに切り替えて通電を開始する。インバータ回路7による通電開始直後に積算カウンター11のカウント値をリセットする。A/Dコンバータ10を用いて一定の測定周期でコイル電圧を測定する。A/Dコンバータ10で測定されたコイル電圧から誘起電圧成分を抽出して、該誘起電圧成分を積算カウンター11にて積算する。積算カウンター11による積算開始後に、積算値がゼロまたはゼロを超えたら当該励磁区間を終了する。以上の工程を繰り返し実行することで、モータを連続回転させる。
(誘起電圧時間積分法)
上記センサレスモータの駆動方法を誘起電圧時間積分法と定義し、以下に具体的に説明する。励磁区間の開始位置から誘起電圧Eを時間Tで積分すると、中間位置で誘起電圧符号は切り替わることから積分値は励磁区間終了位置でゼロになる。これにより励磁切り替え位置を知ることができる(以下、60°励磁区間を単に区間と呼ぶ)。
図1に角度軸表記により120°通電時の誘起電圧波形(実線)とその積分値波形(破線)を示す。横軸は回転子角度θを表す角度軸、縦軸は誘起電圧及び積分値(ET積)を表し0点は中性点電位である。図1は回転子2が等速回転状態の波形を示しており、以後も特に断りのない場合は、等速時の波形を図示する。
区間ごとに対象となる無通電相は切り替えられ、図1ではまず無通電相としてU相が選択されて0点に対する誘起電圧(高速Eu;太線)が測定され、次の区間ではW相に切り替えられて誘起電圧(高速Ew;太線)が測定されている。参考までに低速時の誘起電圧(低速Eu,低速Ew;細線)も記載する。
積分値は微小な測定周期ごとに誘起電圧を積算した値である。Euの積分値波形を見るとゼロから始まりマイナスに振れて、励磁切り替え点で再びゼロに戻っていることが判る。同様にEwの積分値波形もゼロから始まりプラスに振れて、励磁切り替え点でゼロに戻っている。つまり積分値はゼロクロス点を中心に等しい角度の2点でゼロとなるから、区間開始点から積分すれば次にゼロとなる位置が区間終了点即ち励磁切り替え点である。これが誘起電圧時間積分法の回転子位置検出原理である。
積分は微小な一定時間ごとに誘起電圧を測定し積算することで実現することができる。図2は積算処理の説明図であり、時間軸表記により等速時の誘起電圧測定値Eu及びEwとその積算値を示す。縦軸は誘起電圧値及び積算値、横軸は時間で測定周期tは例えばPWMキャリア周期などである。積算値波形は測定周期tごとに誘起電圧値e1〜enを積算したもので、リーマン積分波形となる。なお量子化誤差により積算値はゼロを超えるので励磁切り替え時にリセットする。
本発明は、まず区間開始点にて励磁を開始し、一定周期で誘起電圧を測定して積算し、やがて積算値がゼロとなったら区間終了位置とする。そして次の区間の励磁パターンに切り替え、同様の積算動作を繰り返せばモータを連続回転させることができる。積算を継続すると誤差は累積するが、励磁切り替え時に積算値をゼロにリセットすれば解消できる。このように誘起電圧時間積分法は、誘起電圧を検出可能な回転数で回転中に、区間開始点に同期して適用開始する。積算値のゼロ点しか扱わない事から回転速度に依存せず時定数調整は不要である。
なお、誘起電圧は中性点電位(通電相間電圧の1/2)に対する無通電相電圧またはコモン電圧、あるいはコモン電圧に対する無通電相電圧の差分から抽出できる。
一方、コイル印可電圧はPWM駆動時には一定であるが、PAM駆動あるいはリニア駆動時は変化し、それに応じて中性点電位も変化する。しかし中性点電位が変動しても誘起電圧の大きさは変化しない。従って3チャンネル同時サンプリングA/Dコンバータを用いて、無通電相電圧測定と同時に通電2相電圧を測定し平均値を中性点電位とすれば、コイル印可電圧を変化させても影響を受けずに誘起電圧を抽出できる。また電源電圧変動あるいは出力段電圧降下変動等にも対応できる。
(位相補償)
位相補償について説明する。MCU5は励磁切り替え時に、前回区間の最終誘起電圧Va<今回区間の最初の誘起電圧Vb、となる進み位相の場合には、誘起電圧の理論的交点電圧VcをVa+(Vb−Va)/2にて求め、誘起電圧測定値がVc以下になるまで積分値をリセットするリセット期間を設け、あるいは前記励磁切り替え時に、Va>Vbとなる遅れ位相の場合には、第一の方法として最初のVb測定時から積分を開始し、第二の方法として積分を行わず、閾値Vdを−(Va+Vb)/2にて求め、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替えし、第三の方法として積分を行わず、閾値Vd=−Vbとして、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替えし、いずれかの方法を選択して実行する。以上により、進み角時と遅れ角時の位相誤差を補償し、以後も励磁切り替えごとに同様の補償を繰り返す。
前述した誘起電圧時間積分法は、一定の区間角度に収束する力を持たないため、区間角度に誤差が発生すると長周期・短周期の区間を繰り返し振動やトルク低下を招く。常に理想的な位置で励磁切り替えすれば振動は抑制されることから、位相誤差の補正を行う。補正は区間単位で行っても誤差は実用の範囲内に収まるので区間開始時に1回行えばよい。なお本案適用開始の最初の1区間は比較データが無いため補正対象としない。
隣接する区間の誘起電圧交点にて励磁切り替えすることを目標値として、誘起電圧交点位相で励磁切り替えされる場合を誤差なし状態とし、誘起電圧交点から外れて励磁切り替えされる場合の位相差を位相誤差と定義する。位相誤差には励磁切り替えが誘起電圧交点より前で発生する進み角誤差と、交点より後で発生する遅れ角誤差とがあり、本案ではそれぞれについて異なる補正を施す。
図3は進み角誤差の説明図である。誘起電圧波形(実線)とその積分値波形(破線)及び誤差補正を施した補正積分値波形(細い破線)を示す。誤差無し時の誘起電圧交点で区切られる区間を理想的な区間角度として表示してある。
θaは位相誤差(進み角)、Vaは区間1の誘起電圧最終測定値、Vbは区間2の最初の誘起電圧測定値、Vcは理論的な誘起電圧交点電圧でVa+(Vb−Va)/2である。Voffは中性点電位0のオフセットである(次項で説明する)。
図3にて、区間1から区間2へ励磁を切り替えた時、位相誤差がない場合(前回区間1の最終誘起電圧Vaと今回区間2の最初の誘起電圧Vbが一致)は励磁切り替え点が誘起電圧交点Vcに位置しているということであり補正の必要はない。
位相誤差がある場合、VaはVbに跳躍する。前回区間より今回区間の誘起電圧のほうが大きい場合が進み角であり、進み角時にはVbから誘起電圧交点電圧Vcまでのθa期間は位相誤差期間であるので積分してはならない。そこで進み角位相誤差を補正するには誘起電圧測定値が誘起電圧交点電圧Vcを超えるまでのθa期間は積分値をゼロとし積算しないリセット期間とする。誘起電圧交点電圧VcはVc=Va+(Vb−Va)/2で求められる。これにより区間終点の位相が前方の誘起電圧交点位相にまで進むことから進み角の位相誤差は補正される。なお図3では誤差補正されない場合の誘起電圧波形及び励磁切り替え点を示してある。
引き続き遅れ角時の補正について説明する。
図4は遅れ角誤差の説明図である。符号は前図を援用する。積分値波形を点線で示す。Vc′は前回の誘起電圧交点電圧、Vdは区間終了を判定する誘起電圧閾値である。図4から判るように、遅れ角時は、誘起電圧の交点Vc′はすでに通過していて検出できず位相誤差補正には使えない。
遅れ角補正の第一の方法としては、励磁が切り替わり最初のVbを測定後すぐに積分を開始する。この場合は補正後の区間角度は小さくなり次の区間は進み角となる。
遅れ角補正の第二の方法として、遅れ角区間は等速という仮定条件を入れて、すでに通過している前回誘起電圧の交点電圧Vc′と次の交点電圧Vdが等しくなるという前提のもとに励磁切り替え位相を決定することとする。即ち遅れ角時は、積分を行わず、誘起電圧レベルが前回交点電圧Vc′と等しい値だけ基準電圧Vrefを超えた点Vdを閾値として励磁切り替えする。閾値は次式で求められる。
Vd=−Vc′=−(Va+Vb)/2
図4の区間2終了側の誘起電圧波形及び励磁切り替え点は、この第二の方法による励磁切り替え角度を図示してある。
しかし等速という仮定をいれたため速度が変化し遅くなると区間が長くなりすぎる。そこで減速時などの速度低下を考慮してVdを小さくすれば区間が長くなることを防止できる。
Vd=−Vc′×低減率 ;但し低減率は1以下
これにより速やかに遅れ角を解消し進み角に持ってゆくことができる。
遅れ角補正の第3の方法として、前記と同様に遅れ角区間は等速という仮定条件を入れて、Vd=−Vbとする。
これにより演算を簡略化しなおかつ速やかに遅れ角を解消し進み角に持ってゆくことができる。遅れ角時は上記のいずれかひとつの方法を選択すればよい。
これらの進み角及び遅れ角の位相誤差に応じた補正を繰り返すことで、常に誘起電圧交点付近のわずかに進角の設けられた理想的な位置で励磁切り替えが行われる。
位相誤差補正が的確に行われるとトルクリップルが減ることからトルクが増加し、あたかも速度制御をしているかのような効果がある。そしてコイル電流は減少する。
(オフセット誤差補正)
オフセット誤差補正について以下に説明する。MCU5は励磁切り替え時に進み位相の場合には、リセット期間終了時に中性点電位オフセット電圧を(Vb−Vc)/(リセット期間の測定周期数)にて求め、中性点電位に加算する。
励磁区間の周期が振動する主な原因は中性点電位のオフセットである。中性点電位は誘起電圧測定の基準電圧であり高精度が求められる。コモン線が無い3線式モータでは通電2相のコイル電圧を測定し相間電圧/2を中性点電位とする必要がある。しかし抵抗値偏差あるいは電源電圧変動等により中性点電位は変動し、中性点電位を固定値とするとオフセット誤差が発生し振動の要因となる。
特に1チャンネルサンプリングA/Dコンバータを用いて区間開始時のみに通電相間電圧から中性点を求める場合などにオフセットが大きくなる。従って回転時はオフセット誤差を逐次補正し正確な中性点電位を得なければならない。
そこで区間ごとに中性点電位を固定値とする場合のオフセット調整法を説明する。
図3に中性点電位Vrefのオフセット誤差Voffを図示する。但し、θa=積分値リセット期間、Va=前回区間最終測定値、Vb=今回区間最初の測定値である。
ここで、進み角位相時のオフセット誤差Voff=((Vb−Va)/2)/(リセット期間の測定周期数)とする。そして前記リセット期間を超えたらVref=Vref+Voffとする。これにより進み角位相時の区間ごとに中性点電位のオフセット誤差を補正することができる。
(区間角度移動平均による位相補償)
区間角度移動平均による位相補償について以下に説明する。制御回路は、前回区間の積分ピーク値を記憶しておき、今回の積分ピーク値を検出したら、前回積分ピーク値と今回積分ピーク値の平均値を演算して区間角度移動平均を求め、積分値の区間終了判定閾値とし、それに基づいて励磁切り替えして区間終了位相を補正し、以後も区間を歩進しながら上記と同様に2区間の区間角度移動平均を求めて区間終了位相を補正する。
区間相互の角度偏差は1区間内の判定だけでは解消することが困難な場合がある。そこで2区間の積分ピーク値の移動平均をとり区間角度を平均値に補正する。積分値波形の勾配が変化した点が積分ピーク値であることから、測定周期ごとにそれ以前の積分ピーク値と大小比較して最大値を記憶しておけば区間内の積分ピーク値を求めることができる。積分ピーク値は励磁区間により正側と負側の場合がある。
まず、MCU5は当該励磁区間が終了する時点で積分ピーク値を前回区間の積分ピーク値として記憶しておく。次に、励磁切り替え後の今回区間内で測定周期ごとに積分値を大小比較して積分ピーク値を検出する。積分ピーク値を検出したらただちに今回区間積分ピーク値とし、記憶されている前回区間積分ピーク値と今回区間積分ピーク値の平均を求め、区間終了判定の積分値閾値とする。
ピーク点以後の区間後半では前記閾値を超えたか判定を開始し、閾値を超えたら区間終了位置と判定して励磁切り替えする。以後の区間でも同様に区間角度を補正する。
なお本案適用の最初の励磁区間は前回積分値がないので補正しない。
図5に区間角度移動平均の説明図を示す。PK1は前回区間の積分ピーク値、PK2は今回区間の積分ピーク値、閾値は(PK1+PK2)/2である。本例では区間終了点が補正量だけ前方に移動することになる。
これにより区間終了側の位相角を補正して前回区間との平均角度とし、振動や長周期区間の発生を防止する。
(進角制御)
進角制御について以下に説明する。制御回路は、積分開始位置を所定の時間遅らせる、あるいは区間終了判定の基準となる積分閾値を所定値だけシフトして、励磁切り替えの位相角を前方にシフトさせ進角制御を行う。
進角制御とは区間幅はそのままで区間開始位置及び終了位置を通常よりも前方に位相シフトさせることである。コイル電流はコイル電圧に対して位相が遅れることから誘起電圧交点より早い位相角で励磁切り替えする進角制御が広く行われている。あるいはリラクタンストルクを活用してトルクを増大するために用いられる。また進角制御によりスパイク電流や騒音が低減される効果がある。
進角制御の第一の方法として積分開始位置を任意の時間(測定周期数)だけ遅らせる。これにより区間終了側のゼロを超える位置は積分開始の遅延時間だけ前方にシフトし励磁切り替え位相が進み、進角制御が行われる。進角量は0°から30°近くまで設定可能で、また1区間ごとに進角量を変えることも自由である。
図6に積分開始遅延による進角の説明図を示す。誘起電圧波形(実線)と進角なし時の積分値波形(細い破線)及び進角時の積分値波形(破線)を示す。誘起電圧交点位相よりも積分開始遅延の角度だけ進んだ位相角にて励磁切り替えが行われている。
進角制御の第二の方法として、積分値が次の励磁切り替え点を検出する閾値を変える方法を説明する。進角を設けないとき閾値は0である。閾値で進角を設けるには、積分値が+側にある時は+側、−側にある時は−側の閾値に所望のオフセットを設ける。これにより前方に位相が進んで励磁切り替えが行われる。
図7に閾値による進角の説明図を示す。誘起電圧波形(実線)及び進角制御時の積分値波形(破線)を示す。閾値+及び閾値−は区間終了判定積分値でゼロ以前に励磁切り替えされ、その分が進角となる。
(始動時の手順)
モータ始動時の手順について以下に説明する。
MCU5は、始動時に回転子2が励磁区間の開始角度近傍に位置したら、少なくとも最初の励磁区間はPWM制御のオンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動にて直流通電して始動し、誘起電圧の測定及び積分動作を行う。
本発明は区間開始位置を積分開始位置とすることから始動時から適用する場合、静止時の回転子初期位置を検出し、次の区間開始位置まで最大60°回転させてから本案に切り替えるという手順が必要である。静止時及び極低速時の位置検出方法は様々提案されているのでここでは特に指定しない。図8において、まず初期位置(区間1)を検出し、それに基づいて励磁すれば回転が始まる。そこで周期的に位置検出を行い、次の区間2に到達したか検出する。そして次の区間2の開始位置近傍になったら本発明の制御動作に切り替える。
なお自励位置決めにより区間開始位置に位置決めすることもでき、この場合は初期位置検出を省略でき簡単な手順で始動できる。自励位置決めとは任意相に固定通電し、特定の位置に回転子2を位置決めすることである。図11を参照して説明すると、U相からコモン側に通電すると回転子は180°位相まで回転してそこでトルクゼロとなって静止する。またコモンからV相に通電すると120°で静止する。従ってU相を電源+に、V相をGNDに接続して2相通電すると、U相とV相の合力により回転子2はピークトルクの0.5の保持力で150°の位置で静止する。この位相角は区間3の開始位置である。同様に通電相を適宜選択することで30°から始まる60°ステップで任意の区間開始位置に回転子2を位置決めできる。これが自励位置決めである。初期位置が判らない場合は任意の区間開始点に位置決めすることになり、位置決め時の回転角度は不定でありまた逆転する場合もある。
こうして区間開始点に位置決めされた後、本案が適用されて始動励磁が開始されるが、最初の励磁区間はほぼ零速であるから誘起電圧はほとんど発生していない。この状態でPWM駆動すると、高周波PWMパルスはコイルインダクタンスを測定しているに等しいことになり、励磁電流は回転子角度に応じたインダクタンスを反映して変化し、無通電相電圧も下式により変化する。
ΔV=−cos(2θ) :ΔVは電圧変化、θは回転子角度
このΔVは多くの場合に誘起電圧よりも大きく、パルス駆動時の無通電相電圧にはインダクタンス変化による電圧が重畳し正確な誘起電圧を検出できない。
そこで少なくとも最初の励磁区間はPWM制御オンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動による直流通電とする。これにより無通電相電圧にはインダクタンス変化は反映されず微小な誘起電圧の検出が可能となる。
この場合、始動電流あるいは始動トルクの調整はPWM駆動とリニア駆動とに関わらず、インバータ回路7に印可する電源電圧Vを可変して行うこととなる(図10参照)。
図8に時間軸表記で始動時の誘起電圧波形(実線)とその積分値波形(破線)を示す。
Vrefは中性点電位である。始動時の誘起電圧はゼロでありやがてわずかに誘起電圧が発生し始める。本案は速度には依存しないことから徐々に増加する誘起電圧あるいは間歇的に発生する誘起電圧でも利用できる。しかも検出された微小な誘起電圧は積分動作により累積されて大きな積分値となり安定して位置検出ができる。
(静止時誤差の積分回避)
静止時誤差の積分回避について説明する。
MCU5は、測定周期ごとに無通電相電圧を測定し、今回測定値が前回測定値と等しいとき或いは双方の電位差が量子化誤差以下であるときは、今回測定値をゼロとするかあるいは積分動作を実行しない。量子化誤差を低減するために今回測定値=(前回測定値+今回測定値)/2としてもよい。
本発明をモータ始動時から適用する場合、測定周期ごとに無通電相電圧を測定したとき、零速時の場合は誘起電圧ゼロの値を毎回測定することとなる。あるいは回転状態から停止する場合も同様の状態が発生する。しかし実際には無通電相電圧は完全なゼロではなく、コイル抵抗値偏差による中性点電位のオフセット誤差や量子化誤差などが発生し、わずかな電位を持っている。このわずかな電圧を繰り返し測定し積分すると誤差は累積して無視できないほど大きな値となる。
この静止時の無通電相電圧の誤差の積分を避けるために、前回と同じ測定値を計測した場合或いは量子化誤差以下の場合は、測定値をゼロとするか積分しないこととする。また測定値に2区間の移動平均処理を行ってもよい。即ち、今回測定値=(前回測定値+今回測定値)/2とすることで、量子化誤差をキャンセルでき、さらに誤差の積分値を低減できる。これにより、モータ静止時の微小誤差による位置検出誤差を回避する。
なお上記の前回値と今回値が同じ値ということは回転子が静止しているということである。通常の始動時は数ミリ秒の短時間であるが回転子が外力により固定されていた場合は数秒以上の長時間という場合も発生する。しかしこの対策により静止時間の制約が無くなり、ストール運転などにも対応可能となる。
(ノイズ対策)
ノイズ対策について以下に説明する。MCU5は、予め任意の励磁区間に対し所定の時間を区間終了判定の禁止時間に設定しておき、或いは回転が始まったのち励磁切り替え時に異常に短い時間で区間終了点を検出した際は所定の時間の区間終了判定の禁止時間を設け、励磁区間の通電直後は電気的時定数τe程度の測定禁止期間を設け、その後は測定周期ごとに無通電相電圧を測定して積分し、区間終了判定の禁止時間が経過するまでは積分だけを行い区間終了判定をしない。
励磁区間切り替え時の通電開始直後はスパイクノイズなどにより電圧が不安定で中性点電圧の誤差が大きいことが多い。また常に回路ランダムノイズや電源ノイズも発生しており、あるいは回転子の微振動やスティックスリップ現象などで誘起電圧が微妙に変化することもある。
一方、特にモータ始動時はできるだけ微小な誘起電圧信号を検出した方が低速回転領域を拡大し始動性を向上できることから有利であり、この観点からはノイズ除去のためにローパスフィルターを用いると信号自体も打ち消されてしまい好ましくない。
ノイズは発生状況により電圧レベルも周波数も大きく異なることから一つの方法だけでは除去が困難であり、そこでノイズ発生状況に応じてそれぞれノイズ対策を施すことにする。
まず通電直後の電気的時定数τe程度のスパイクパルスが発生している不安定期間は誘起電圧の測定はしないこととする。
その後は、無通電相電圧をローパスフィルターを介さずそのまま積分する。ノイズ成分は正負に対称的に発生する傾向があることからそのまま積分すればノイズ同士でキャンセルされ、一方、誘起電圧は正負どちらかに偏って発生するからキャンセルされることなく有効に積分される。これにより位相遅れもなく大きなSN比のノイズキャンセルが可能となる。
さらに積分初期は終了判定閾値以下の値が一瞬でも発生すると区間終了点に到達したものと誤検出して、非常に短い時間で励磁切り替えが発生してしまうという比較的ノイズに敏感な期間である。そこで積分値が充分大きくなるまで積分だけ行い区間終了判定を行わない時間を設けることとする。こうすれば積分値以上の大きな信号でなければ積分値が区間終了判定レベルを横切ることはなく、大きな誤信号あるいはノイズによる誤判定を防止できる。判定禁止時間は始動条件等から適切な値をあらかじめ設定すればよく、回転速度に応じて可変することも可能である。例えば第1励磁区間は固定値(1ms等)とし第2ステップは前回区間時間の25%とし第3ステップ以後は設けない、など任意に設定できる。これにより異常に短い区間の発生を防ぎ最小限の区間幅は確保できる。
また、回転時に異常に短い時間で区間終了を検出した際は、所定の判定禁止時間を設け最低限の区間時間を確保してもよい。例えば前回区間時間の50%といった判定禁止時間を設ける。これにより瞬時に1区間進んでしまい60°近い進角となると言った異常事態を回避し、少なくとも30°程度の区間時間を確保し次の区間から正常な回転に復帰することができる。
これらの各種の対策により強力にノイズを除去しつつ微小な誘起電圧を検出して正しい位置で励磁切り替えすることができる。
(極低速回転及び位置推定エラー対策)
極低速回転及び位置推定エラー対策について以下に説明する。MCU5は、当該励磁区間において通電開始後、予め設定された停止判定時間を超えても区間終了点が検出できない場合は、再び初期位置検出を行い、回転子が今回区間・前回区間・次回区間にいたら該当区間の励磁を行い、それ以外の区間であったら再始動する第一の方法又は、初期位置検出を行わず現在の励磁パターンで自励位置決めを行い再始動する第二の方法のいずれかを実行する。
本案は誘起電圧が検出分解能よりも小さい極低速で回転した場合は回転していることを検出できない。外力等により極低速回転が続くとその区間を超えて次の区間に進んでしまうが回路側では判別不可能であり、やがて自励停止位置まで進むと最大トルクの1/2の保持トルクにて停止してしまうデッドロック状態となる。さらに外力で強制的に回転すると今度は逆転トルクが発生しデッドロック位置へ戻ろうとする。これらの挙動はモータを制御しようとする際には好ましくなく常に一定方向に一定トルクが発生しているようにしなければならない。
そこで、当該励磁区間に通電を開始した後、予め設定された停止判定時間を超えても励磁区間終了点が検出されないときは、
第一の方法として、モータ始動時と同様の初期位置検出を行い、回転子位置を確認する。初期位置検出中は誘起電圧の測定と積分は行わない。
その結果、今回励磁区間であればそのまま現状の励磁と誘起電圧測定・積分を継続する。もし次の励磁区間に進んでいたら該当区間の励磁パターンに励磁を切り替える。あるいは一つ前の励磁区間に戻っていたら該当区間の励磁パターンに励磁を切り替える。これにより極低速回転を検出し、静止あるいは極低速回転あるいは逆転しても正転トルクを発生するストール運転を可能とする。
また前記以外の3区間であったら位置推定エラーと判定し、再検出された初期位置に基づいて該当区間に対応する自励位置決めを行って再始動し、次区間開始点を検出したら本案を再適用する。なお次区間開始点の検出時間も前記停止判定時間にて監視し、それを超えたら初期位置検出に戻ることもできる。
これによりノイズあるいは想定外の外力あるいは位置推定ミスなどによるデッドロック状態や逆転状態から脱出し正常回転に復帰する。
停止判定時間は使用条件によって適宜設定でき、例えば100msといった値を設定し初期位置検出時間が1ms程度とすれば約100ms周期で初期位置検出が繰り返される。この場合、停止中の通電効率は約99%であり十分なトルクを確保でき、位置検出動作によるセンシング音も10Hzであり可聴域以下の低レベルである。
第二の方法として、初期位置検出ができない場合は、停止判定時間を超えたらデッドロック状態にあるとみなす。デッドロック状態は、現在通電中の励磁パターンにて自励位置決めしているとも考えられる。従ってそのままの励磁で所定時間の自励位置決めを行って再始動すればよい。それにより逆転の確率を押さえて強制的に回転子2を所定位置に停止させ、その位置に対応した励磁を行って始動することができる。
以上のいずれかの方法を行えばよい。
以下、モータ駆動装方法一例について図9に示すフローチャートを参照して説明する。
上位コントローラ6からMCU5に回転指令RUNを与えられてモータが始動し、回転子2が誘起電圧を検出できる回転数に到達したのち励磁区間開始位置を検出したときから本発明が適用され、そのときからの基本的な動作を説明している。
モータを始動し、回転子2が誘起電圧を検出できる回転数に到達したあとで、MCU5が励磁区間開始位置を検出したとき、今回励磁区間番号の通電パターンにて励磁を開始する(STEP1)。励磁を開始すると、積算値(CNT)をゼロにリセットする(STEP2)。
MCU5はA/Dコンバータ10を用いて一定の測定周期Tで通電相のコイル電圧をA/D変換して測定する(STEP3)。このとき無通電相電圧Vzと通電相間電圧Vの1/2(V/2:中性点電位)との差分をとって誘起電圧値Eを算出する(STEP4)。積算カウンター11は積算値(CNT)に誘起電圧値Eを加算する(積分処理:STEP5)。コイル電圧から誘起電圧成分を抽出して積算する処理は、PWM割り込み制御等にて一定の測定周期Tで実行する(STEP6)。上位コントローラ6より停止命令が入力されたらMCU5は通電を遮断し当該ルーチンを終了する(STEP7)。また、停止命令が入力されていなければ、積算カウンター11による積算値(CNT)がゼロに到達したか否かを判定する(STEP8:励磁区間終了待ち)。このとき、積算カウンター11による積算値(CNT)がゼロを超えなければSTEP3へ戻って積分処理を続行する。また、積算カウンター11による積算値(CNT)がゼロを超えたら励磁区間を終了し、区間番号を歩進し(STATE+1)STEP1へ戻り次の励磁区間の励磁を開始する(STEP9)。
以上が基本的な位置検出・通電ルーチンで、PWM割り込みなどの一定周期で誘起電圧を測定して積算し、積算値がゼロを超えたら次の励磁区間に励磁を切り替える、という簡単なものである。従って演算時間が短くて済み、メインルーチンの速度制御処理なども余裕を持って行うことができる。
これに励磁切り替え時の位相補償あるいは進角制御などを必要に応じて追加すれば実用的なプログラムとなる。本案はこれらの追加ソフトも演算負荷が少なくて済むように配慮されている。また初期位置検出及び自励位置決めなどを追加すれば始動時から本案を適用できる。
なお、モータ駆動回路の構成や制御プログラム構成は様々考えられ、本実施例に開示された態様に限定されるものではなく、本案主旨を逸脱しない範囲で電子回路技術者或いはプログラマー(当業者)であれば当然なし得る回路構成の変更やプログラムの変更も含まれる。
以上、説明したように、本発明は、車載・家電・産業・医療の各分野で小型ブラシレスDCモータの需要増加が見込まれる中、ローコスト・耐環境性能・高信頼性・省資源・省エネルギーなど優れた特性を持つセンサレスモータの用途拡大に寄与することができ、社会的な意義も大きいものがある。
1 回転子軸 2 回転子 3 永久磁石 4 固定子 5 MCU 6 上位コントローラ 7 インバータ回路 8 電圧測定回路 9 分圧回路 10 A/Dコンバータ 11 積算カウンター

Claims (9)

  1. 三相ブラシレスDCモータを位置センサレスにて駆動制御するセンサレスモータの駆動方法であって、
    三相コイルのうちいずれか二相コイルに通電する三相ブリッジ回路を含むモータ駆動回路と、
    上位コントローラからの回転指令により前記モータ駆動回路を駆動制御する制御回路と、
    前記モータ駆動回路により通電されたコイル電圧を測定する電圧測定回路と、を具備し、
    前記電圧測定回路は、前記モータ駆動回路により通電された各相コイル電圧を必要に応じて測定可能な入力範囲に整合させる分圧回路と、前記分圧回路を通じて入力された各相コイル電圧を測定するA/Dコンバータと、測定された各相コイル電圧に含まれる誘起電圧成分を積算する積算カウンターと、を備えており、
    前記制御回路は、回転子が誘起電圧を検出可能な回転数以上で回転中に前記積算カウンターが励磁区間開始位置を検出するステップと、前記積算カウンターが前記励磁区間開始位置を検出したら、前記モータ駆動回路による通電相を今回励磁区間に対応した通電パターンに切り替えて通電を開始するステップと、前記モータ駆動回路による通電開始直後に前記積算カウンターをリセットするステップと、前記A/Dコンバータを用いて一定の測定周期でコイル電圧を測定するステップと、前記A/Dコンバータで測定されたコイル電圧から誘起電圧成分を抽出して、該誘起電圧成分を前記積算カウンターにて積算するステップと、前記積算カウンターによる積算開始後に積算値がゼロまたはゼロを超えたら当該励磁区間を終了するステップと、を含み、これらを繰り返し実行することで、モータを連続回転させることを特徴とするセンサレスモータの駆動方法。
  2. 前記制御回路は、励磁区間切り替え時に、前回励磁区間の最終誘起電圧Va<今回励磁区間の最初の誘起電圧Vb、となる進み位相の場合には、誘起電圧の理論的交点電圧VcをVa+(Vb−Va)/2にて求め、誘起電圧測定値がVc以下になるまで積分値をリセットするリセット期間を設け、前記励磁切り替え時に、Va>Vbとなる遅れ位相の場合には、最初のVb測定時から積分を開始する第一の方法、積分を行わず、閾値Vdを−(Va+Vb)/2にて求め、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁区間を切り替える第二の方法、積分を行わず、閾値Vd=−Vbとして、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁区間を切り替える第三の方法のうち、いずれかを選択して実行し、進み角時と遅れ角時の位相誤差を補償するステップを含み、以後の励磁区間切り替えごとに同様の位相補償を繰り返す請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
  3. 前記制御回路は、励磁区間切り替え時に進み位相の場合には、リセット期間終了時に中性点電位オフセット電圧を(Vb−Vc)/(リセット期間の測定周期数)にて求め、中性点電位に加算する請求項2記載のセンサレスモータの駆動方法。
  4. 前記制御回路は、前回励磁区間の誘導電圧成分の積分ピーク値を記憶しておき、今回励磁区間の誘導電圧成分の積分値ピークを検出したら、前回積分ピーク値と今回積分ピーク値の平均値を演算して区間角度移動平均を求め、積分値の区間終了判定閾値とし、それに基づいて励磁切り替えして区間終了位相を補正し、以後も励磁区間を歩進しながら同様に2区間の区間角度移動平均を求めて区間終了位相を補正する請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
  5. 前記制御回路は、積分開始位置を所定時間遅らせる、あるいは励磁区間終了判定の基準となる積分閾値を所定値だけシフトして、励磁切り替えの位相角を前方にシフトさせ進角制御を行う請求項4記載のセンサレスモータの駆動方法。
  6. 前記制御回路は、始動時に前記回転子が励磁区間の開始角度近傍に位置したら、少なくとも最初の励磁区間はPWM制御のオンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動にて直流通電して始動し、誘起電圧の測定及び積分動作を行う請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
  7. 前記制御回路は、測定周期ごとに無通電相電圧を測定し、今回測定値が前回測定値と等しいときは今回測定値をゼロとするかあるいは誘導電圧成分の積分動作を実行しない請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
  8. 前記制御回路は、予め任意の励磁区間に対し所定の時間を区間終了判定の禁止時間を設定しておき、或いは回転が始まったのち励磁区間切り替え時に異常に短い時間で区間終了点を検出した際は所定時間の区間終了判定の禁止時間を設け、励磁区間の通電直後は電気的時定数τe程度の測定禁止期間を設け、その後は測定周期ごとに無通電相電圧を測定して積分し、励磁区間終了判定の禁止時間が経過するまでは積分だけを行い励磁区間終了判定をしない請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
  9. 前記制御回路は、当該励磁区間において通電開始後、予め設定された停止判定時間を超えても励磁区間終了点が検出できない場合は、再び初期位置検出を行い、回転子が今回励磁区間・前回励磁区間・次回励磁区間のいずれかにいたら該当する励磁区間の励磁を行い、それ以外の励磁区間であったら再始動する第一の方法又は初期位置検出を行わず現在の励磁パターンで自励位置決めを行い再始動する第二の方法のいずれかを実行する請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
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