JP6274466B1 - センサレスモータの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
Description
区間1はU相からV相に、区間2はU相からW相に、区間3はV相からW相に、区間4はV相からU相に、区間5はW相からU相に、区間6はW相からV相に、矩形波通電される。各相は2か所の60°無通電区間があり、誘起電圧ゼロクロス点はこの無通電区間の中央で発生し励磁切り替え点とは30°位相差がある。
下段の実線HU〜HWはモータに内蔵されるホールセンサの出力波形であり、従来の位置センサ付きブラシレスDCモータはこの信号に基づいて励磁切り替えが行われる。
コンパレータ回路53の出力は位置信号としてMCU51に送出される。MCU51はコンパレータ出力のエッジからゼロクロス点を検出しさらにタイマーにより30°遅延したのちインバータ回路52の励磁相を切り替える。
なお静止時は誘起電圧が発生しないことからオープンループのランプスタートが行われており、回転が上がると初めて前記コンパレータ出力が有効となる。確実に位置を検出するためにはコンパレータヒステリシス電圧の5倍以上の誘起電圧が必要であり、ランプスタートの最終回転数は数百rpm〜1krpmとかなり高いものとなる。
図14に従来の位置検出方式による励磁切り替えタイミングを図示する(なお、以下の説明では誘起電圧波形を直線近似して図示する場合がある)。−30°位相から0°位相まで回転する速度に対し、0°位相から30°位相まで回転する間に速度変化があった場合を示す。図中の点A(E1、T1)は加速した場合、点B(E2,T2)は一定速度の場合、点C(E3,T3)は減速した場合の波形である。
従って、励磁切り替えタイミングは回転速度に追従して変化しなくてはならないが、従来の遅延タイマー方式は時間をT2に固定しているため30°区間内の加減速に対して励磁切り替え角度の誤差が発生する。誤差が小さい場合はトルクやモータ効率の低下で済むが、誤差が大きい場合の加速時は位相が遅れすぎてデッドロックし、減速時は位相が進みすぎトルクが低下し脱調に至る。
このように従来方式は、回転子角度という位置情報を時間軸により推定していることから速度変化には追従不可能であり、等速時しか正しい位置を推定できず加速時及び減速時は大きな角度推定誤差が発生している。即ち、回転子角度を時間により推定していることが原因で、モータ効率やトルクの低下や振動・脱調・電流増大・騒音の発生といった諸問題が発生していた。
また、上述した特許文献1,2のモータ駆動方法を含めて他にも様々な方法が提案されているが、いずれもタイマー等で励磁切り替えタイミングを調整する手法であり、回転子角度という位置情報を時間軸により推定していることから速度変化には追従できない。
従って、課題解決のための手段として、時間軸によらず回転子角度を検出すればよい。そこで、回転子速度を時間積分すれば回転子位置が求まることから、角速度即ち誘起電圧を時間積分し回転子角度を求めることとする。この位置検出方法を誘起電圧時間積分法と定義する。以下、詳述する。
(注:誘起電圧の検出方法;1)中性点電位と無通電相電位の差分 2)中性点電位とコモン電位との差分 3)コモン電位と無通電相電位の差分のいずれかで検出する。但し、中性点電位は相間電圧の2分の1である。)
これにより、進み角及び遅れ角の位相誤差に応じた補正を繰り返すことで、常に誘起電圧交点付近のわずかに進角の設けられた理想的な位置で励磁切り替えが行われる。また、位相誤差補正が的確に行われるとトルクリップルが減ることからトルクが増加し、あたかも速度制御をしているかのような効果がある。
これにより、進み角位相時の励磁区間ごとに中性点電位のオフセット誤差を補正することができる。
これにより、励磁区間終了側の位相角を補正して前回励磁区間との平均角度とし、振動や長周期励磁区間の発生を防止することができる。
この進角制御を行うことにより、スパイク電流や騒音が低減される効果がある。
本願発明に係る駆動方法は、回転子の位置検出は回転速度には依存しないことから、徐々に増加する誘起電圧あるいは間歇的に誘起電圧が発生しても使用することができ、しかも検出された微小な誘起電圧は積分動作により累積されて大きな積分値となるため、回転子の安定した位置検出を行うことができる。
これにより、モータ静止時の微小誤差による位置検出誤差を回避することができる。
これにより、積分値以上の大きな信号でなければ積分値が励磁区間終了判定レベルを横切ることはなく、大きな誤信号あるいはノイズによる誤判定を防止できる。判定禁止時間は始動条件等から適切な値をあらかじめ設定すればよく、回転速度に応じて可変することも可能である。
第一の方法によりノイズあるいは想定外の外力あるいは位置推定ミスなどによるデッドロック状態や逆転状態から脱出し正常回転に復帰することができ、第二の方法により逆転の確率を押さえて強制的に回転子を所定位置に停止させ、その位置に対応した励磁を行って始動することができる。
また、モータ特性や負荷電流に依存せずモータや使用条件を選ばず汎用性が高い。またパラメータの設定や調整も不要で使いやすい。
また、ゼロクロスコンパレータやヒステリシス設定回路やコモン生成回路等が不要となり回路が簡略化され、インターフェース部はわずか6個の分圧抵抗のみで構成でき、能動部品が無いことから高電圧系対応も容易であり、故障も減る。
また、制御プログラムが簡略化されソフト開発時間が短縮され、また演算負荷が少ないことから高性能CPUは不要で、ハードソフト両面から駆動回路をローコスト化できる。
また、基本的にノイズに強く、極めて耐ノイズ性の高いシステムを構築でき、しかも始動性も向上し確実な始動が可能である。これにより従来のセンサレス駆動ではほとんど不可能であったノイズ環境下での確実な運転やストール運転あるいは突き当て停止による往復運動などができる。
図12を参照して本発明に係る3相ブラシレスDCモータの一実施例を示す。一例として2極永久磁石ロータと3スロットを設けた固定子4を備えた3相ブラシレスDCモータを例示する。モータはインナーロータ型でもアウターロータ型でもいずれでもよい。
MCU5は、回転子2が誘起電圧を検出可能な回転数以上で回転中に励磁区間開始位置に到達したことを検出したら、インバータ回路7による通電相を今回励磁区間に対応した通電パターンに切り替えて通電を開始する。インバータ回路7による通電開始直後に積算カウンター11のカウント値をリセットする。A/Dコンバータ10を用いて一定の測定周期でコイル電圧を測定する。A/Dコンバータ10で測定されたコイル電圧から誘起電圧成分を抽出して、該誘起電圧成分を積算カウンター11にて積算する。積算カウンター11による積算開始後に、積算値がゼロまたはゼロを超えたら当該励磁区間を終了する。以上の工程を繰り返し実行することで、モータを連続回転させる。
上記センサレスモータの駆動方法を誘起電圧時間積分法と定義し、以下に具体的に説明する。励磁区間の開始位置から誘起電圧Eを時間Tで積分すると、中間位置で誘起電圧符号は切り替わることから積分値は励磁区間終了位置でゼロになる。これにより励磁切り替え位置を知ることができる(以下、60°励磁区間を単に区間と呼ぶ)。
区間ごとに対象となる無通電相は切り替えられ、図1ではまず無通電相としてU相が選択されて0点に対する誘起電圧(高速Eu;太線)が測定され、次の区間ではW相に切り替えられて誘起電圧(高速Ew;太線)が測定されている。参考までに低速時の誘起電圧(低速Eu,低速Ew;細線)も記載する。
一方、コイル印可電圧はPWM駆動時には一定であるが、PAM駆動あるいはリニア駆動時は変化し、それに応じて中性点電位も変化する。しかし中性点電位が変動しても誘起電圧の大きさは変化しない。従って3チャンネル同時サンプリングA/Dコンバータを用いて、無通電相電圧測定と同時に通電2相電圧を測定し平均値を中性点電位とすれば、コイル印可電圧を変化させても影響を受けずに誘起電圧を抽出できる。また電源電圧変動あるいは出力段電圧降下変動等にも対応できる。
位相補償について説明する。MCU5は励磁切り替え時に、前回区間の最終誘起電圧Va<今回区間の最初の誘起電圧Vb、となる進み位相の場合には、誘起電圧の理論的交点電圧VcをVa+(Vb−Va)/2にて求め、誘起電圧測定値がVc以下になるまで積分値をリセットするリセット期間を設け、あるいは前記励磁切り替え時に、Va>Vbとなる遅れ位相の場合には、第一の方法として最初のVb測定時から積分を開始し、第二の方法として積分を行わず、閾値Vdを−(Va+Vb)/2にて求め、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替えし、第三の方法として積分を行わず、閾値Vd=−Vbとして、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁切り替えし、いずれかの方法を選択して実行する。以上により、進み角時と遅れ角時の位相誤差を補償し、以後も励磁切り替えごとに同様の補償を繰り返す。
θaは位相誤差(進み角)、Vaは区間1の誘起電圧最終測定値、Vbは区間2の最初の誘起電圧測定値、Vcは理論的な誘起電圧交点電圧でVa+(Vb−Va)/2である。Voffは中性点電位0のオフセットである(次項で説明する)。
位相誤差がある場合、VaはVbに跳躍する。前回区間より今回区間の誘起電圧のほうが大きい場合が進み角であり、進み角時にはVbから誘起電圧交点電圧Vcまでのθa期間は位相誤差期間であるので積分してはならない。そこで進み角位相誤差を補正するには誘起電圧測定値が誘起電圧交点電圧Vcを超えるまでのθa期間は積分値をゼロとし積算しないリセット期間とする。誘起電圧交点電圧VcはVc=Va+(Vb−Va)/2で求められる。これにより区間終点の位相が前方の誘起電圧交点位相にまで進むことから進み角の位相誤差は補正される。なお図3では誤差補正されない場合の誘起電圧波形及び励磁切り替え点を示してある。
図4は遅れ角誤差の説明図である。符号は前図を援用する。積分値波形を点線で示す。Vc′は前回の誘起電圧交点電圧、Vdは区間終了を判定する誘起電圧閾値である。図4から判るように、遅れ角時は、誘起電圧の交点Vc′はすでに通過していて検出できず位相誤差補正には使えない。
Vd=−Vc′=−(Va+Vb)/2
図4の区間2終了側の誘起電圧波形及び励磁切り替え点は、この第二の方法による励磁切り替え角度を図示してある。
しかし等速という仮定をいれたため速度が変化し遅くなると区間が長くなりすぎる。そこで減速時などの速度低下を考慮してVdを小さくすれば区間が長くなることを防止できる。
Vd=−Vc′×低減率 ;但し低減率は1以下
これにより速やかに遅れ角を解消し進み角に持ってゆくことができる。
これにより演算を簡略化しなおかつ速やかに遅れ角を解消し進み角に持ってゆくことができる。遅れ角時は上記のいずれかひとつの方法を選択すればよい。
位相誤差補正が的確に行われるとトルクリップルが減ることからトルクが増加し、あたかも速度制御をしているかのような効果がある。そしてコイル電流は減少する。
オフセット誤差補正について以下に説明する。MCU5は励磁切り替え時に進み位相の場合には、リセット期間終了時に中性点電位オフセット電圧を(Vb−Vc)/(リセット期間の測定周期数)にて求め、中性点電位に加算する。
特に1チャンネルサンプリングA/Dコンバータを用いて区間開始時のみに通電相間電圧から中性点を求める場合などにオフセットが大きくなる。従って回転時はオフセット誤差を逐次補正し正確な中性点電位を得なければならない。
図3に中性点電位Vrefのオフセット誤差Voffを図示する。但し、θa=積分値リセット期間、Va=前回区間最終測定値、Vb=今回区間最初の測定値である。
ここで、進み角位相時のオフセット誤差Voff=((Vb−Va)/2)/(リセット期間の測定周期数)とする。そして前記リセット期間を超えたらVref=Vref+Voffとする。これにより進み角位相時の区間ごとに中性点電位のオフセット誤差を補正することができる。
区間角度移動平均による位相補償について以下に説明する。制御回路は、前回区間の積分ピーク値を記憶しておき、今回の積分ピーク値を検出したら、前回積分ピーク値と今回積分ピーク値の平均値を演算して区間角度移動平均を求め、積分値の区間終了判定閾値とし、それに基づいて励磁切り替えして区間終了位相を補正し、以後も区間を歩進しながら上記と同様に2区間の区間角度移動平均を求めて区間終了位相を補正する。
ピーク点以後の区間後半では前記閾値を超えたか判定を開始し、閾値を超えたら区間終了位置と判定して励磁切り替えする。以後の区間でも同様に区間角度を補正する。
なお本案適用の最初の励磁区間は前回積分値がないので補正しない。
これにより区間終了側の位相角を補正して前回区間との平均角度とし、振動や長周期区間の発生を防止する。
進角制御について以下に説明する。制御回路は、積分開始位置を所定の時間遅らせる、あるいは区間終了判定の基準となる積分閾値を所定値だけシフトして、励磁切り替えの位相角を前方にシフトさせ進角制御を行う。
進角制御とは区間幅はそのままで区間開始位置及び終了位置を通常よりも前方に位相シフトさせることである。コイル電流はコイル電圧に対して位相が遅れることから誘起電圧交点より早い位相角で励磁切り替えする進角制御が広く行われている。あるいはリラクタンストルクを活用してトルクを増大するために用いられる。また進角制御によりスパイク電流や騒音が低減される効果がある。
モータ始動時の手順について以下に説明する。
MCU5は、始動時に回転子2が励磁区間の開始角度近傍に位置したら、少なくとも最初の励磁区間はPWM制御のオンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動にて直流通電して始動し、誘起電圧の測定及び積分動作を行う。
ΔV=−cos(2θ) :ΔVは電圧変化、θは回転子角度
このΔVは多くの場合に誘起電圧よりも大きく、パルス駆動時の無通電相電圧にはインダクタンス変化による電圧が重畳し正確な誘起電圧を検出できない。
そこで少なくとも最初の励磁区間はPWM制御オンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動による直流通電とする。これにより無通電相電圧にはインダクタンス変化は反映されず微小な誘起電圧の検出が可能となる。
この場合、始動電流あるいは始動トルクの調整はPWM駆動とリニア駆動とに関わらず、インバータ回路7に印可する電源電圧Vを可変して行うこととなる(図10参照)。
Vrefは中性点電位である。始動時の誘起電圧はゼロでありやがてわずかに誘起電圧が発生し始める。本案は速度には依存しないことから徐々に増加する誘起電圧あるいは間歇的に発生する誘起電圧でも利用できる。しかも検出された微小な誘起電圧は積分動作により累積されて大きな積分値となり安定して位置検出ができる。
静止時誤差の積分回避について説明する。
MCU5は、測定周期ごとに無通電相電圧を測定し、今回測定値が前回測定値と等しいとき或いは双方の電位差が量子化誤差以下であるときは、今回測定値をゼロとするかあるいは積分動作を実行しない。量子化誤差を低減するために今回測定値=(前回測定値+今回測定値)/2としてもよい。
この静止時の無通電相電圧の誤差の積分を避けるために、前回と同じ測定値を計測した場合或いは量子化誤差以下の場合は、測定値をゼロとするか積分しないこととする。また測定値に2区間の移動平均処理を行ってもよい。即ち、今回測定値=(前回測定値+今回測定値)/2とすることで、量子化誤差をキャンセルでき、さらに誤差の積分値を低減できる。これにより、モータ静止時の微小誤差による位置検出誤差を回避する。
ノイズ対策について以下に説明する。MCU5は、予め任意の励磁区間に対し所定の時間を区間終了判定の禁止時間に設定しておき、或いは回転が始まったのち励磁切り替え時に異常に短い時間で区間終了点を検出した際は所定の時間の区間終了判定の禁止時間を設け、励磁区間の通電直後は電気的時定数τe程度の測定禁止期間を設け、その後は測定周期ごとに無通電相電圧を測定して積分し、区間終了判定の禁止時間が経過するまでは積分だけを行い区間終了判定をしない。
一方、特にモータ始動時はできるだけ微小な誘起電圧信号を検出した方が低速回転領域を拡大し始動性を向上できることから有利であり、この観点からはノイズ除去のためにローパスフィルターを用いると信号自体も打ち消されてしまい好ましくない。
ノイズは発生状況により電圧レベルも周波数も大きく異なることから一つの方法だけでは除去が困難であり、そこでノイズ発生状況に応じてそれぞれノイズ対策を施すことにする。
その後は、無通電相電圧をローパスフィルターを介さずそのまま積分する。ノイズ成分は正負に対称的に発生する傾向があることからそのまま積分すればノイズ同士でキャンセルされ、一方、誘起電圧は正負どちらかに偏って発生するからキャンセルされることなく有効に積分される。これにより位相遅れもなく大きなSN比のノイズキャンセルが可能となる。
これらの各種の対策により強力にノイズを除去しつつ微小な誘起電圧を検出して正しい位置で励磁切り替えすることができる。
極低速回転及び位置推定エラー対策について以下に説明する。MCU5は、当該励磁区間において通電開始後、予め設定された停止判定時間を超えても区間終了点が検出できない場合は、再び初期位置検出を行い、回転子が今回区間・前回区間・次回区間にいたら該当区間の励磁を行い、それ以外の区間であったら再始動する第一の方法又は、初期位置検出を行わず現在の励磁パターンで自励位置決めを行い再始動する第二の方法のいずれかを実行する。
第一の方法として、モータ始動時と同様の初期位置検出を行い、回転子位置を確認する。初期位置検出中は誘起電圧の測定と積分は行わない。
その結果、今回励磁区間であればそのまま現状の励磁と誘起電圧測定・積分を継続する。もし次の励磁区間に進んでいたら該当区間の励磁パターンに励磁を切り替える。あるいは一つ前の励磁区間に戻っていたら該当区間の励磁パターンに励磁を切り替える。これにより極低速回転を検出し、静止あるいは極低速回転あるいは逆転しても正転トルクを発生するストール運転を可能とする。
また前記以外の3区間であったら位置推定エラーと判定し、再検出された初期位置に基づいて該当区間に対応する自励位置決めを行って再始動し、次区間開始点を検出したら本案を再適用する。なお次区間開始点の検出時間も前記停止判定時間にて監視し、それを超えたら初期位置検出に戻ることもできる。
停止判定時間は使用条件によって適宜設定でき、例えば100msといった値を設定し初期位置検出時間が1ms程度とすれば約100ms周期で初期位置検出が繰り返される。この場合、停止中の通電効率は約99%であり十分なトルクを確保でき、位置検出動作によるセンシング音も10Hzであり可聴域以下の低レベルである。
以上のいずれかの方法を行えばよい。
上位コントローラ6からMCU5に回転指令RUNを与えられてモータが始動し、回転子2が誘起電圧を検出できる回転数に到達したのち励磁区間開始位置を検出したときから本発明が適用され、そのときからの基本的な動作を説明している。
Claims (9)
- 三相ブラシレスDCモータを位置センサレスにて駆動制御するセンサレスモータの駆動方法であって、
三相コイルのうちいずれか二相コイルに通電する三相ブリッジ回路を含むモータ駆動回路と、
上位コントローラからの回転指令により前記モータ駆動回路を駆動制御する制御回路と、
前記モータ駆動回路により通電されたコイル電圧を測定する電圧測定回路と、を具備し、
前記電圧測定回路は、前記モータ駆動回路により通電された各相コイル電圧を必要に応じて測定可能な入力範囲に整合させる分圧回路と、前記分圧回路を通じて入力された各相コイル電圧を測定するA/Dコンバータと、測定された各相コイル電圧に含まれる誘起電圧成分を積算する積算カウンターと、を備えており、
前記制御回路は、回転子が誘起電圧を検出可能な回転数以上で回転中に前記積算カウンターが励磁区間開始位置を検出するステップと、前記積算カウンターが前記励磁区間開始位置を検出したら、前記モータ駆動回路による通電相を今回励磁区間に対応した通電パターンに切り替えて通電を開始するステップと、前記モータ駆動回路による通電開始直後に前記積算カウンターをリセットするステップと、前記A/Dコンバータを用いて一定の測定周期でコイル電圧を測定するステップと、前記A/Dコンバータで測定されたコイル電圧から誘起電圧成分を抽出して、該誘起電圧成分を前記積算カウンターにて積算するステップと、前記積算カウンターによる積算開始後に積算値がゼロまたはゼロを超えたら当該励磁区間を終了するステップと、を含み、これらを繰り返し実行することで、モータを連続回転させることを特徴とするセンサレスモータの駆動方法。 - 前記制御回路は、励磁区間切り替え時に、前回励磁区間の最終誘起電圧Va<今回励磁区間の最初の誘起電圧Vb、となる進み位相の場合には、誘起電圧の理論的交点電圧VcをVa+(Vb−Va)/2にて求め、誘起電圧測定値がVc以下になるまで積分値をリセットするリセット期間を設け、前記励磁切り替え時に、Va>Vbとなる遅れ位相の場合には、最初のVb測定時から積分を開始する第一の方法、積分を行わず、閾値Vdを−(Va+Vb)/2にて求め、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁区間を切り替える第二の方法、積分を行わず、閾値Vd=−Vbとして、誘起電圧測定値がVdと一致あるいは超えたら励磁区間を切り替える第三の方法のうち、いずれかを選択して実行し、進み角時と遅れ角時の位相誤差を補償するステップを含み、以後の励磁区間切り替えごとに同様の位相補償を繰り返す請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、励磁区間切り替え時に進み位相の場合には、リセット期間終了時に中性点電位オフセット電圧を(Vb−Vc)/(リセット期間の測定周期数)にて求め、中性点電位に加算する請求項2記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、前回励磁区間の誘導電圧成分の積分ピーク値を記憶しておき、今回励磁区間の誘導電圧成分の積分値ピークを検出したら、前回積分ピーク値と今回積分ピーク値の平均値を演算して区間角度移動平均を求め、積分値の区間終了判定閾値とし、それに基づいて励磁切り替えして区間終了位相を補正し、以後も励磁区間を歩進しながら同様に2区間の区間角度移動平均を求めて区間終了位相を補正する請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、積分開始位置を所定時間遅らせる、あるいは励磁区間終了判定の基準となる積分閾値を所定値だけシフトして、励磁切り替えの位相角を前方にシフトさせ進角制御を行う請求項4記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、始動時に前記回転子が励磁区間の開始角度近傍に位置したら、少なくとも最初の励磁区間はPWM制御のオンデューティー(on duty)100%あるいはリニア駆動にて直流通電して始動し、誘起電圧の測定及び積分動作を行う請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、測定周期ごとに無通電相電圧を測定し、今回測定値が前回測定値と等しいときは今回測定値をゼロとするかあるいは誘導電圧成分の積分動作を実行しない請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、予め任意の励磁区間に対し所定の時間を区間終了判定の禁止時間を設定しておき、或いは回転が始まったのち励磁区間切り替え時に異常に短い時間で区間終了点を検出した際は所定時間の区間終了判定の禁止時間を設け、励磁区間の通電直後は電気的時定数τe程度の測定禁止期間を設け、その後は測定周期ごとに無通電相電圧を測定して積分し、励磁区間終了判定の禁止時間が経過するまでは積分だけを行い励磁区間終了判定をしない請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
- 前記制御回路は、当該励磁区間において通電開始後、予め設定された停止判定時間を超えても励磁区間終了点が検出できない場合は、再び初期位置検出を行い、回転子が今回励磁区間・前回励磁区間・次回励磁区間のいずれかにいたら該当する励磁区間の励磁を行い、それ以外の励磁区間であったら再始動する第一の方法又は初期位置検出を行わず現在の励磁パターンで自励位置決めを行い再始動する第二の方法のいずれかを実行する請求項1記載のセンサレスモータの駆動方法。
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