JP6402276B1 - 電動機の界磁位置検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】当該通電区間の任意のタイミングで電圧測定部57により三相コイル端子電圧を測定し、MPU51は、通電相間電圧の1/2を中性点電位として開放相測定電圧と中性点電位の差分を演算し、開放相誘起電圧が単調減少する通電区間は符号を反転して開放相電圧を求め、計時部56により当該通電区間の区間始点時刻から三相コイル端子電圧の測定までの経過時間を計測し、計測時間を6倍しその逆数を仮想回転数とし、仮想回転数に基づいて当該通電区間内の所望の所定位相角における開放相電圧を演算して仮想開放相電圧とする。MPU51は、開放相電圧と仮想開放相電圧とを大小比較し、開放相電圧が仮想開放相電圧と一致あるいは超えるまで測定及び演算を繰り返し、一致あるいは超えたら所定位相角と判定する動作を繰り返すことで、仮想開放相電圧を通電時間の経過に応じて減少させながら開放相電圧と比較して所定位相角を検出する。
【選択図】図8
Description
また、一般的に広く用いられている30°遅延法においてはゼロクロス点と励磁切り替え点との30°位相差をタイマーという時間要素により整合させていることから速度依存性があり、速度変動時は大きな位置検出誤差が生じてトルクが低下しさらに加速度が大きい場合は脱調し再始動モードに入ってしまう等の問題がある。この30°遅延法における重大な欠点によりセンサレスモータの用途が限られている。
またシンプルな単一アルゴリズムで制御できソフト開発の負荷を大幅に低減できる。従来のセンサレス駆動方式の多くは回転速度に応じて複数の位置検出プログラムを切り替える必要があったが、本案は位置検出プログラムが一つで済み切り替えも不要である。また速度検出・マスク処理・30°遅延などのプログラムも不要で制御ソフトが簡略化される。また自動的に所定位相角に一次遅れ特性でスムーズに収束し位相誤差補正プログラムも省略できる。
これらの特長から位置検出に要求される演算量が少なく高速処理できることから超高速回転も可能であり、さらにソフト・ハードのリソースを抑えることでローコスト化及び低消費電力化を図ることができる。
駆動方式としては120°通電バイポーラ矩形波励磁を想定している。
MOTORは三相センサレスモータである。MPU51はマイクロコントローラ(制御部)である。MPU51は、三相コイル(U,V,W)に対する6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間(区間1〜区間6)を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラ50からの回転指令RUNに応じて後述する出力部をスイッチング制御して励磁状態を任意に切り替える。
タイマー回路56(TMR:計時部)は、当該通電区間の始点時刻等から後述する電圧測定部により三相コイル端子電圧を測定するまでの経過時間を計測し、測定結果をMPU51(制御部)に送出する。通常タイマー回路56はMPU51に内蔵されている。
A/D変換回路57(ADC:電圧測定部)は、コイル出力端子U,V,Wと接続され、MPU51(制御部)からの変換開始信号により三相それぞれのコイル電圧を同時サンプリングし、順次アナログ・デジタル変換し、変換結果をMPU51に送出する。通常ADC57はMPU51に内蔵されており、内蔵ADCを利用する場合は最大入力電圧が低いため抵抗による分圧回路RAを設けることが望ましい。
通電時間から通電区間終点の開放相電圧(図1VZ′)を演算し、実際の開放相電圧(図1VZ1)と一致したら区間終点と判定する。120°通電方式は6区間で1電気角回転することから、区間時間をtとするとレシプロカル法により電気角の回転数n=1/(6t)と表せる。ここで実際の回転数に関わりなく区間始点時刻からの任意の経過時間t′ですでに1区間分の位相角60°回転したものと仮定すると、経過時間t′の瞬時回転数を仮想回転数n′としてn′=1/(6t′)であり、さらに仮想回転数n′に基づいて所定位相角における仮想開放相電圧VZ′を次式にて求めることができる。
VZ′=(Ke×sin(θ′)×1.5)/(6t′) ・・・式(1)
但しKeは誘起電圧定数でその値は既知とする。θ′は区間中点を0°とする界磁角度で、0°から電気角30°以内の所望の所定位相角とする。例えば所望の所定角度が区間終点の場合ならば30°である。なおコモン電圧を加算するため係数1.5を掛けている。以上から式(1)右辺の分子(Ke×sin(θ′)×1.5)は定数であり、仮想開放相電圧VZ′は経過時間t′に反比例し経過時間とともに指数カーブを描いて単調減少する。
VZ=(Ke×sin(θ)×1.5)/(6t) ・・・式(2)
但しtは区間時間であり回転数により決定され等速回転であることから一定値となり、従って式(2)右辺の分母(6t)は定数である。θは区間中点を0°または180°とする界磁角度であり、等速回転時の開放相電圧VZはサインカーブを描く。またコモン電圧を加算するため係数1.5を掛けている。なお演算の便宜上、開放相誘起電圧が単調減少する区間(奇数番号区間)は符号を反転する。これにより6区間とも区間中点を0°として扱うことができ、すべての区間で開放相電圧VZはサインカーブを描いて単調増加する。
従来の30°遅延法では開放相電圧と比較する電圧を中性点電位である0Vに固定して位相角0°を検出していたため励磁切り替え点30°を検出できなかったが、本案は従来中性点電位に固定されていた比較電圧即ち閾値を仮想開放相電圧VZ′に置き換えて時間に応じて変化させることで励磁切り替え点を直接検出することに特徴がある。従って30°の遅延処理は不要であり遅延タイマーに起因していたセンサレス駆動の問題点を一掃できる。
尚、所定位相角は一つに限らず、複数設定しそれぞれで仮想開放相電圧を演算することで複数の位相角を検出することができる。さらに時間測定開始時刻も複数とすることができる。
所定位相角を励磁切り替え位置としておき、所定位相角を検出したら励磁パターンを歩進すれば連続回転できる。本案による界磁位置検出処理において従来必要であった速度検出、ゼロクロス点検出、30°遅延処理等は行われていない。当然これらの処理に含まれていた遅延要素も無く位相遅れも発生しない。従って位置検出プログラムは単純化され高精度回転と一次遅れ系の素直な応答性が得られる。
これに対し、例えば区間始点で前回区間時間などから回転数を求め区間終点の開放相電圧VZを推定する方法は当該区間内では閾値Vthが一定であり、区間内で速度が半分以下に減速した場合は開放相電圧のピーク値でさえ閾値Vthに到達しなくなり位置検出できなくなる。参考までにVZ1に対する閾値Vth(水平点線)を図示するが減速率50%に相当するVZ2が減速時の限界速度であることが判る。つまり減速に対する許容範囲が狭い。
高速側の限界はコイル電圧の測定周期によって決まり、例えば5us周期で測定できるものとし区間あたり最低5回の測定を行うことを限界条件とした場合、電気角周期は5us×5回×6区間=150usとなり6.7krpsまたは400krpm(2極モータ換算)まで適用でき、本案は低速回転領域のみならず高速回転領域においても広い許容範囲を持っている。
隣接区間の開放相誘起電圧が一致する位相角が理論的な区間始点である。しかしコイル電流遅れの補償あるいはリラクタンストルク利用のために5°〜15°程度理論的な区間始点より前方で励磁切り替えすることが広く行われておりこれを進角制御という。
しかし本案は穏やかな位相誤差の収束性(後述「誤差補償」で詳述する)を備えており、特段の位相補償をしなくとも前記の進角誤差は4区間ほどで自動的に0に収束し所望通りの進角値となる。従って理論的な区間終点位相角30°から所望の進角量を減算した角度を所定位相角として設定すれば次区間の区間始点は理論的な区間始点より進角量だけ位相が進み、前記の仮想開放相電圧VZ′自体が小さくなることと区間始点の位相が理論的な区間始点時刻t0より進むことの双方の効果により進角誤差のほとんどない設定値通りの進角制御が実現できる。例えば10°の進角制御をする場合は、30°−10°=20°であるから所定位相角を20°に設定すればよい。
また、パルス幅変調(以後PWMと呼ぶ)などパルス通電時の開放相電圧VZは、開放相の誘起電圧に通電2相のインダクタンス偏差によるインダクタンス起電圧が重畳し、インダクタンス起電圧は界磁位相角に応じて変化する。そこで仮想開放相電圧VZ′に所定位相角θ′におけるインダクタンス起電圧を重畳させれば、仮想開放相電圧VZ′と開放相電圧VZの交点において双方のインダクタンス起電圧は等しくなり交点の電圧レベルがシフトするだけで位相角は変化せず、正確な所定位相角の検出が可能となる。
なお、所定位相角におけるインダクタンス起電圧はあらかじめ測定するかあるいは演算により求めて記憶しておくことが可能であり、インダクタンス起電圧値は既知量として扱うことができる。
励磁切り替え位置が±30°ずれるとトルクはピークトルクの50%に低下するが多くの用途でこの程度の誤差を瞬時最大許容誤差と考えることができ、一方、定常回転時の許容誤差としては±1°程度であれば充分な高精度と考えられる。位置検出誤差の要因としては位相誤差と変速誤差があげられるが、本案は閾値である仮想開放相電圧VZ′が時間とともに減少してゆく特性を備えていることから、位相誤差あるいは変速誤差が発生しても誤差は比較的小さく抑えられ、さらに所望の位相角を検出するごとに位相誤差が補償され数区間で所定位相角に収束し収束までの挙動も滑らかで急減速時にも脱調しない堅牢性を備えていると言える。
従来の30°遅延法では閾値を中性点とし固定していることからゼロクロス点ごとに位相補償され1区間で誤差はキャンセルされる。それに対し本案は閾値を変化させており閾値の変化分が位相補償となることから区間ごとの位相補償量は少なく、誤差がほぼ0に収束するのに4区間程度要する。しかしこの穏やかな位相補償特性は実用上においては区間ごとに周期変動を繰り返す微小振動の抑制に効果的であり、実機モータによる検証でも微小振動が抑制され区間周期が非常に安定することを確認している。この特性により低振動性や効率向上また高速回転域の拡大が期待できる。
位置検出誤差の要因としては位相誤差と変速誤差があげられる。以下それぞれの誤差と低減対策について詳述する。
まず経過時間の計測開始が区間始点時刻からずれる位相誤差がある。計測開始が早すぎると仮想開放相電圧波形VZ′の位相も早くなり、交点位相も進む。あるいは計測開始が遅れると交点位相も遅れる。式(1)の区間始点時刻の前提条件が崩れることから発生する誤差である。
図4に位相誤差シミュレーション波形を図示する。横軸は時間でt0は区間始点時刻、縦軸は電圧である。VZ(実線)は開放相電圧、VZ′及びVZ′1〜VZ′2(破線)は仮想開放相電圧波形で、VZ′は区間始点時刻t0から、VZ′1は区間始点時刻t0より30°前から、VZ′2は区間始点時刻t0より30°過ぎてから時間測定を開始した波形例である。VZとVZ′の交点X0が正確な所定位相角であり、X0に対するVZ′1交点の差分ER1あるいはVZ′2交点の差分ER2が位相誤差である。
このように本案は所定位相角に自動的に収束する特性を備えていることから、位相誤差に対して堅牢と言える。
次に変速時に位相がずれる変速誤差がある。式(2)の等速回転の前提条件が崩れることから発生する誤差である。
従来の30°遅延法では加速時は大きな遅角となり効率低下と騒音発生を招き、減速時は大きな進角となりトルクが低下しさらに脱調等の問題があったが、本案では閾値である仮想開放相電圧VZ′が大きな値から指数カーブで単調減少することから加速時及び減速時も誤差が小さくトルク低下が抑えられ、またすでに説明したようにパルス通電時は零速まで位置検出できることから脱調しない。
以上の位相誤差及び変速誤差に対する考察から本案は従来の30°遅延法に比べて高精度で位置検出可能であることが判る。
上述のとおり変速時は区間内で速度が変化し変速誤差が発生するが、変速誤差は時間測定期間の長さにほぼ比例すると考えられ時間測定期間を短くすれば変速誤差を低減できる。そこで経過時間の測定開始時刻を区間始点時刻ではなく区間中点時刻(ゼロクロス点時刻)とすれば確率的に変速誤差は概ね1/2に低減できると考えられる。
そのためにはゼロクロス点の検出が必要であり、リニヤ駆動時は三相のコイル電圧を測定し通電2相間電圧/2を中性点電位とし、開放相が中性点電位を横切る点を検出すればゼロクロス点を検出できる。パルス駆動時はインダクタンス起電圧が重畳するため通電2相間電圧/2の基準電圧に区間中点におけるインダクタンス起電圧を加算して中性点電位とし、そのうえで開放相電圧が中性点電位を横切る点を検出してゼロクロス点とする。
またパルス駆動時は前述のように仮想開放相電圧VZ′に所望の所定位相角におけるインダクタンス起電圧を加算する必要がある。
ゼロクロス点を検出したら、ゼロクロス点時刻から経過時間の測定を開始し、上述と同様に3相のコイル電圧測定及び仮想回転数と仮想開放相電圧の演算等を行い所定位相角を検出する。その際の時間測定する対象区間は30°であり1電気角は12区間となることから仮想回転数は1/12t′とし、区間始点時刻から時間測定する場合の半分の速度として演算する。
区間始点時刻から時間計測した仮想開放相電圧VZ′は変速誤差EA4及びEA5が発生するが、ゼロクロス点時刻から時間計測した仮想開放相電圧波形VZZ′は理論値X4及びX5にて交差し誤差0である。つまり時間測定をゼロクロス点時刻から開始した場合は区間前半における変速誤差が影響せず、区間始点時刻から位置検出した場合に比べて変速誤差は低減されることが判る。
図8に示すモータ駆動回路によるリニヤ通電時の動作手順について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。図8のモータ駆動回路を用いてリニヤ通電にて120°通電し、区間終点(位相角30°)を検出する。誘起電圧定数Keは既知とする。θ′=30°、sin(θ′)=0.5とする。
MPU51は、区間始点時刻にて、タイマーをクリヤーし計時を開始する(STEP1)。インバータ回路52を通じて三相コイルに通電し、A/D変換回路57にて三相分のコイル電圧を測定する(STEP2)。電圧測定までの時間t′をタイマー回路56から読み出す(STEP3)。MPU51は、VZ=開放相測定電圧−(相間電圧/2)により開放相電圧VZを演算する(STEP4)。このとき単調減少区間ならばVZ=−VZとし単調増加に勾配変換する(STEP5)。MPU51は、VZ′=0.75Ke/(6t′)により仮想開放相電圧VZ′を演算する(STEP6)。MPU51は、開放相電圧VZと仮想開放相電圧VZ′を大小比較し、VZ<VZ′ならSTEP2に戻る。VZ≧VZ′となって区間終点を検出したら励磁切り替えし連続回転する(STEP7)。
次にパルス通電時の動作手順を図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。PWMによるパルス通電時は、コイル電圧測定をPWMオンサイクルの終了時に行えば開放相電圧を測定でき、経過時間t′はPWMキャリア周期単位となる。そのため最高回転数は制約を受けリニヤ通電時より低くなる。またPWM通電時は通電2相間のインダクタンス偏差によるインダクタンス起電圧が重畳するので仮想開放相電圧VZ′に所望の所定位相角におけるインダクタンス起電圧を加算する必要がある。
なおインダクタンス起電圧は零速でも発生することから零速から位置検出が可能となる。従ってパルス通電にてインダクタンス起電圧を検出することで、センサレス駆動において問題となるオープンループ制御による始動をすることなくクローズドループ制御による確実な始動を実現することができ始動性が改善される。
MPU51は、区間始点時刻にてPWMカウンタをクリヤーし計時を開始する(STEP11)。インバータ回路52を通じて三相コイルに通電し、A/D変換回路57にてPWMオンサイクル端にて三相のコイル電圧を測定する(STEP12)。電圧測定までの時間t′をPWMカウンタから読み出す(STEP13)。MPU51は、VZ=開放相測定電圧−(相間電圧/2)に基づいて開放相電圧VZを演算する(STEP14)。このとき単調減少区間ならばVZ=−VZとし単調増加に勾配変換する(STEP15)。MPU51は、VZ′=0.75Ke/(6t′)+VLに基づいて仮想開放相電圧VZ′演算する(STEP16)。MPU51は、開放相電圧VZと仮想開放相電圧VZ′を大小比較し、VZ<VZ′ならSTEP12に戻る。VZ≧VZ′となって区間終点を検出したら励磁切り替えし連続回転する(STEP17)。
上述の実施例1及び2は区間始点時刻から時間測定するため、区間内で速度が変化すると変速誤差が発生する。変速誤差を低減するために区間中点即ち誘起電圧ゼロクロス点時刻から時間測定を開始すれば区間前半における変速は位置推定に影響しないので変速誤差は概ね半分に抑えることができる。
ゼロクロス点の検出に際して、リニヤ駆動時は誘起電圧のみを扱えばよいが零速から低速においては誘起電圧が小さいため位置検出できない。一方パルス駆動時は零速からインダクタンス起電圧が発生し位置検出できるが、開放相電圧にインダクタンス起電圧が重畳するため正確にインダクタンス起電圧を知る必要がある。特に表面永久磁石型(SPM)モータではインダクタンス起電圧が区間内で中性点電位の正側あるいは負側のみにしか発生しない場合も多く、低速時にゼロクロス点自体が発生しない場合はインダクタンス起電圧を加算してオフセット電圧をキャンセルしなければ誘起電圧ゼロクロス点を検出することすらできない。
MPU51は、インバータ回路52を通じて三相コイルに通電し、A/D変換回路57にて区間始点近傍のPWMオンサイクル端にて三相のコイル電圧を測定する(STEP21)。MPU51は、VZ=開放相測定電圧−(相間電圧/2)に基づいて開放相電圧VZを演算する(STEP22)。このとき単調減少区間ならばVZ=−VZとし単調増加に勾配変換する(STEP23)。MPU51は、ゼロクロス点を検出したか否か判定する。即ち、VZ<(相間電圧/2+VL1)ならSTEP21へ戻る。VZ≧(相間電圧/2+VL1)なら区間終点検出動作に移行する(STEP24)。なお、VL1はインダクタンス起電圧値である。
Claims (4)
- 永久磁石界磁を有する回転子と三相コイルを有する固定子を備え、電気角120°通電方式により駆動する電動機の界磁位置検出方法であって、
ハーフブリッジ型インバータ回路を介して前記三相コイルに双方向通電する出力部と、
三相コイル端子電圧をA/D変換して制御部に送出する電圧測定部と、
当該通電区間の区間始点時刻から前記三相コイル端子電圧の測定までの経過時間を計測し前記制御部に送出する計時部と、
上位コントローラからの指令により前記出力部の出力を制御し、連続回転が可能な60°通電区間単位の通電角度情報と通電パターン情報とを記憶しそれに基づいて前記三相コイルへの通電状態を切り替え、前記電圧測定部及び前記計時部の測定値が入力されて前記60°通電区間における界磁位置を判定する前記制御部と、を備え、
当該通電区間の任意のタイミングで前記電圧測定部により前記三相コイル端子電圧を測定し、通電相間電圧の1/2を中性点電位として開放相測定電圧と中性点電位の差分を演算し、開放相誘起電圧が単調減少する通電区間は符号を反転して開放相電圧を求めるステップと、
前記計時部により当該通電区間の区間始点時刻から前記三相コイル端子電圧の測定までの経過時間を計測するステップと、
前記計時部による計測時間を6倍しその逆数を仮想回転数とし、この仮想回転数に基づいて当該通電区間内の中点を0°として0°から電気角30°以内の所望の所定位相角における開放相電圧を演算して仮想開放相電圧とするステップと、を含み、
前記制御部は、前記開放相電圧と前記仮想開放相電圧とを大小比較し、前記開放相電圧が前記仮想開放相電圧と一致あるいは超えるまで前記測定及び演算を繰り返し、一致あるいは超えたら前記所定位相角と判定する動作を繰り返すことで、前記仮想開放相電圧を通電時間の経過に応じて減少させながら前記開放相電圧と比較して前記所定位相角を検出することを特徴とする電動機の界磁位置検出方法。 - 前記制御部は、理論的区間終点位相角である電気角30°から所望の進角角度を減算して所定位相角とし前記所定位相角検出処理を行い、始動時あるいは進角値設定時に進角誤差が発生しても特段の誤差補償を行わず位相誤差の収束性により所望の進角値に正確に一致する進角制御を行う請求項1記載の電動機の界磁位置検出方法。
- 前記制御部は、パルス幅変調(PWM)を含むパルス通電を行う際に、前記仮想開放相電圧に前記所定位相角において通電2相間のインダクタンス偏差により発生するインダクタンス起電圧を加算する請求項1又は請求項2記載の電動機の界磁位置検出方法。
- 前記電圧測定部により区間始点近傍にて三相コイル端子電圧を測定するステップと、
リニヤ通電時は通電二相間電圧の1/2を基準電位aとし、パルス通電時は通電二相間電圧の1/2に区間中点で発生するインダクタンス起電圧を加算して基準電位aとし、開放相測定電圧が前記基準電位aを横切るゼロクロス点を検出するまで上記測定を繰り返すステップと、
ゼロクロス点を検出したら任意のタイミングで前記電圧測定部により前記三相コイル端子電圧を測定するステップと、
リニヤ通電時は通電二相間電圧の1/2を基準電位bとし、パルス通電時は通電二相間電圧の1/2に区間中点で発生するインダクタンス起電圧を加算して基準電位bとし、開放相測定電圧と前記基準電位bの差分を演算し、開放相誘起電圧が単調減少する通電区間は符号を反転して開放相電圧を求めるステップと、
前記計時部により当該通電区間のゼロクロス点検出時刻から前記三相コイル端子電圧の測定までの経過時間を計測し、前記計測時間を12倍しその逆数を仮想回転数とするステップと、
前記仮想回転数に基づいて当該通電区間内の中点を0°として0°から電気角30°以内の所望の所定位相角における開放相電圧を演算して仮想開放相電圧とするステップと、を含み、
前記制御部は、前記開放相電圧と前記仮想開放相電圧とを大小比較し、前記開放相電圧が前記仮想開放相電圧と一致あるいは超えるまで前記三相コイル端子電圧測定及び前記仮想開放相電圧の演算を繰り返し、一致あるいは超えたら前記所定位相角と判定することで、ゼロクロス点検出時刻から前記所定角度の検出を行う請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電動機の界磁位置検出方法。
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