JP6284207B1 - 電動機の界磁位置検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンプルなハード及びソフトによりローコスト化を図り、瞬時に永久磁石界磁位置を検出する。【解決手段】MPU51は、三相コイルに対するセンシング通電直前にインバータ回路52の出力をすべて遮断しすべてのコイルに蓄積されたエネルギーを放出させてから、三相コイルのうち中性点で分岐のない1相通電となる相を測定対象相として、6通りの通電パターンから順次一つを選択して三相コイルにセンシング通電し電流センサ53で検出されるコイル電流が電流閾値に到達するまでのパルス幅時間をタイマー回路56により測定して記憶する。測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択して通電し、残る二相についても同様の通電パターンを繰り返すことで合計6通りの通電パターンについて通電して、通電時間を記憶し、対応する通電時間のうち最小値となる通電パターンに対応する界磁位置情報から永久磁石界磁位置を特定する。【選択図】図7

Description

本発明は、センサレスモータやリニアアクチュエータなどの電動機の界磁位置検出方法に関する。
従来、小型直流モータはブラシ付きDCモータが用いられてきたが、ブラシ音・電気ノイズ・耐久性等に問題がありブラシレスDCモータが登場した。さらに最近では小型軽量化・堅牢化・ローコスト化等の観点から位置センサを持たないセンサレスモータが注目され、まず情報機器分野のハードディスクドライブ等に採用されたがベクトル制御技術の発展により家電・車載分野でも採用され始めた。
図8に位置センサを備えないセンサレスモータの一例として3相ブラシレス直流(DC)モータの構成を示す。回転子軸1を中心に回転する回転子2にはS極とN極で一対の永久磁石3が設けられている。永久磁石界磁の磁極構造(IPM,SPM)あるいは極数等は様々である。固定子4には120°位相差で設けられた極歯に電機子巻線(コイル)U,V,Wが配置され、中性点(コモン)Cを介してスター結線されている。
図9に従来のセンサレス駆動回路例のブロックダイアグラムを示す。MOTORは3相センサレスモータである。MPU51はマイクロコントローラ(制御手段)である。INV52は、3相ハーフブリッジ構成のインバータ回路(出力手段)である。RS53は電流センサである。ADC54は電流値をデジタル値に変換するA/Dコンバータである。なお実際の回路にはこのほかに電源部、位置センサ入力部あるいはゼロクロスコンパレータとダミーコモン生成部、ホストインターフェース部等が必要であるが煩雑化を避けるため省略してある。
図10に3相ブラシレスDCモータの駆動方式の代表的な例として120°通電のタイミングチャートを示す。区間1はU相からV相に、区間2はU相からW相に、区間3はV相からW相に、区間4はV相からU相に、区間5はW相からU相に、区間6はW相からV相に、矩形波通電される。破線は誘起電圧波形である。HU〜HWはモータに内蔵されるホールセンサの出力波形であり、従来の位置センサ付きブラシレスDCモータはこの信号に基づいて励磁切り替えが行われる。
センサレス駆動では誘起電圧から回転子位置を検出するが、零速時は誘起電圧が発生しないため回転子位置が判らず始動できない。静止時の回転子位置を検出するために図9に示したようにコイル電流センサと電流検出回路を設け、インバータを用いてPWM駆動によりコイルにサイン波状のコイル電流を流して電流応答から位置を推定する方法がある。電流センサ及び電流検出回路を備えてコイル電流を検出している先行技術として以下の文献が知られている。
特開2006−254626号公報 特開2014−503170号公報
センサレス駆動では静止時及び低速回転時の回転子位置を検出できないことから、固定励磁にて強制的に回転子を位置決めしたのちオープンループで回転数を上昇させるセットアップ始動法が広く行われている。しかしこの方法は大電流で位置決めしなければならず、また位置決めに多大な時間を要し始動が遅れる欠点がある。また停止位置によっては位置決め時に大きな逆転が発生することから用途が限定され、往復運動機構あるいは外力で回転する用途では使用できないことが多い。さらに粘性負荷や負荷変動に弱く脱調しやすいといった問題がある。
そこで上述の背景技術に示したように、回転子位置を検出するために大電流サイン波等のセンシングパルスを印可してコイル電流プロファイルから回転子位置を推定する高周波注入法が考案されている。しかしこの方法においては電流プロファイルを作成するために3個の電流センサと3相同時サンプリングの超高速A/Dコンバータが必要でありさらに高精度測定のためには差動アンプなども必要となり検出回路は複雑化しがちである。また位置推定演算のために数学モデルを用いることから高い演算処理能力を持つMPU(マイクロプロセッサ)も要求される。そのためこの方法及び装置は複雑化し高価格化する。さらにセンシング電流が大きい、位置検出に数十msかかる等の課題がある。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、シンプルなハード及びソフトによりローコスト化を図り、瞬時に永久磁石界磁位置を検出可能な電動機の界磁位置検出方法を提供することにある。
永久磁石界磁を有する回転子とスター結線された三相コイルを有する固定子を備え、定電圧直流電源を供給して120°矩形波通電により始動する電動機の界磁位置検出方法であって、三相ハーフブリッジ型インバータ回路を介して三相コイルに通電する出力手段と、前記三相コイルに正方向通電及び逆方向通電の合計6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラからの回転指令に応じて前記出力手段をスイッチング制御して励磁状態を切り替える制御手段と、前記出力手段の接地側端子と接続し、コイル電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出されたコイル電流に対応する検出電圧と界磁極性による磁気抵抗変化を検出可能な電流閾値に対応するリファレンス電圧を比較して前記コイル電流が電流閾値に到達したことを検出するコンパレータ手段と、前記三相コイルに対するセンシング通電開始から前記コンパレータ手段により検出されるコイル電流が電流閾値に到達するまでのパルス幅時間を測定するタイマー手段と、を備え、前記三相コイルに対するセンシング通電直前に前記出力手段の出力をすべて遮断しすべてのコイルに蓄積されたコイル蓄積エネルギーを放出させてコイル電流ゼロ状態とする期間を設ける通電オフステップと、前記三相コイルのうち中性点で分岐のない1相通電となる相を測定対象相として、前記制御手段は6通りの通電パターンから順次一つを選択して前記出力手段から前記三相コイルにセンシング用の定電圧矩形波パルス電圧を印加し、前記電流検出手段で検出されたコイル電流が前記電流閾値に到達するまでのパルス幅時間を前記タイマー手段により測定し、測定データとして記憶する測定ステップと、前記測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択して通電し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し合計6通電パターンについてセンシング通電とパルス幅時間の測定を繰り返し、測定データとして記憶する作業を繰り返すステップと、を含み、前記制御手段は、6通りの通電パターンに対応する通電時間の測定データのうち最小値となる通電パターンに対応する前記界磁位置情報から永久磁石界磁位置を特定することを特徴とする。
これにより、モータ静止状態で、三相コイルに三相センシングパルス(定電圧矩形波パルス)電圧を順次加えて測定対象相となるコイルへの通電時間を測定することで瞬時に永久磁石界磁の静止位置を特定することができる。よって、静止状態にある永久磁石界磁位置に対して120°矩形波による二相通電を行って始動することができ、簡易な駆動回路及び制御ソフトにより低コストで電動機を静止状態から閉ループ制御で始動することができる。
他の電動機の界磁位置検出方法としては、三相ハーフブリッジ型インバータ回路を介して三相コイルに通電する出力手段と、三相コイルに正方向通電及び逆方向通電の合計6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラからの回転指令に応じて前記出力手段をスイッチング制御して励磁状態を切り替える制御手段と、前記出力手段の接地側端子と接続し、コイル電流を検出する電流検出手段と、前記三相コイルに対するセンシング通電開始から界磁極性による磁気抵抗変化を検出可能な電流値に到達するまでの所定のセンシング通電時間を測定するタイマー手段と、前記電流検出手段の出力からコイル電流値を測定可能なA/Dコンバータ手段と、を備え、前記三相コイルに対するセンシング通電直前に前記出力手段の出力をすべて遮断しすべてのコイルに蓄積されたコイル蓄積エネルギーを放出させてコイル電流ゼロ状態とする通電オフステップと、前記三相コイルのうち中性点で分岐のない1相通電となる相を測定対象相として、前記制御手段は6通りの通電パターンから順次一つを選択し前記三相コイルに定電圧矩形波パルスを所定のセンシング通電時間だけ印可し、前記A/Dコンバータ手段によりセンシング通電終了直前のピークコイル電流値を測定して測定データとして記憶する測定ステップと、前記測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し合計6通電パターンについて通電オフとセンシング通電によるピークコイル電流値の測定を繰り返し、各センシング通電終了直前のピークコイル電流値を測定して測定データとして記憶するステップと、前記制御手段は、6通電パターンの測定データのうち測定値が最大となる通電パターンを選択し、最大通電パターンに対応する前記界磁位置情報から永久磁石界磁位置を特定することを特徴とする。
これにより、モータ静止状態で、三相コイルに三相センシングパルス(定電圧矩形波パルス)電圧を順次加えて測定対象相となるコイルへのピークコイル電流を測定することで瞬時に永久磁石界磁の静止位置を特定することができる。また、既存回路への組み込みが容易であり、特にコイル電流測定手段をすでに備えているモータ駆動回路の場合はプログラムの変更だけで組み込むことができる。
前記制御手段は、前記通電時間が最小となる通電パターンに隣接する通電パターンどうしの測定データを大小比較することで、最小となる通電パターンから特定される60°電気角の界磁位置情報を二分して電気角30°単位で永久磁石界磁位置を特定するようにしてもよい。
或いは前記制御手段は、前記ピークコイル電流値が最大となる通電パターンに隣接する通電パターンどうしの測定データを大小比較することで、最大となる通電パターンから特定される60°電気角の界磁位置情報を二分して電気角30°単位で永久磁石界磁位置を特定するようにしてもよい。
これにより、60°電気角で特定される永久磁石界磁位置情報の区間中央に二相コイルの通電時間の交点があり大小関係が反転するため、隣接する最小通電パターン若しくは最大通電パターン双方の測定データを大小比較することで電気角30°ピッチで回転子位置をより細かく判別することができる。
永久磁石界磁を有する回転子が始動した後、現在区間及び回転方向に隣接する区間に対応する2個の通電パターンについてセンシングを行い、双方の測定データの大小比較により次に出現する励磁区間境界点を検出するようにしてもよい。
永久磁石界磁を有する回転子が始動した後、現在区間及び正転方向及び逆転方向に隣接する区間に対応する3個の通電パターンについてセンシングを行い、それぞれの測定データの大小比較により次に出現する励磁区間境界点を検出し回転方向も判別するようにしてもよい。
前記制御手段は、W相を正側電源に接続しU相及びV相を接地側に接続する通電パターン1と界磁位置情報(電気角30°〜90°)、W相及びU相を正側電源に接続しV相を接地側に接続する通電パターン2と界磁位置情報(電気角90°〜150°)、U相を正側電源に接続しV相及びW相を接地側に接続する通電パターン3と界磁位置情報(電気角150°〜210°)、U相及びV相を正側電源に接続しW相を接地側に接続する通電パターン4と界磁位置情報(電気角210°〜270°)、V相を正側電源に接続しU相及びW相を接地側に接続する通電パターン5と界磁位置情報(電気角270°〜330°)、V相及びW相を正側電源に接続しU相を接地側に接続する通電パターン6と界磁位置情報(電気角330°〜30°)、からなる6個の三相通電パターンとそれぞれに対応する120°通電の励磁切り替え区間を指定する界磁位置情報を記憶していることが望ましい。
電動機の界磁位置検出方法を用いれば、センサレス駆動において閉ループ制御で始動が可能となりセンサレスモータやリニアアクチュエータなど電動機の用途を拡大することができる。また、測定原理が明快で駆動回路もシンプルなことから既存回路への組み込みも容易である。
従来の大電流低周波数のサイン波通電に比べ本案は短時間の矩形波パルスを印可するため、電流波形は鋸波となり投入エネルギーを抑制でき、また急速にエネルギーを放出する期間を設けることとあいまって初期位置検出時間を1ms程度と大幅に短縮することができる。
センシング通電を同一相にて正方向通電・逆方向通電と連続して行うことでセンシング通電による微振動を打ち消し、それにより測定誤差が低減され高精度測定ができる。
永久磁石界磁極性によるインダクタンス変化を検出することから従来は位置検出が困難であった突極比が小さくリラクタンス変化がほとんどない表面磁石型モータやスロットレスモータでも位置検出でき、各種の幅広い範囲のセンサレスモータあるいはリニアアクチュエータについて、静止時の永久磁石界磁位置を電気角60°または電気角30°単位で特定することができる。
モータ駆動電圧に無関係に数Vの低電圧領域で測定でき、測定回路は低電圧回路で構成でき複雑な位置推定演算も不要である。よってハード・ソフトの両面からローコストな駆動回路を実現できる。
さらに始動時の低速回転域に本案を適用することでクローズドループ制御により誘起電圧を検出可能な回転数まで立ち上げる事ができる。また、過負荷あるいは停止位置にて静止した場合でも励磁を継続でき脱調を防止できる。さらに正逆回転が可能なことから従来のセンサレス駆動では不可能であった突き当て停止を含む往復運動にも使用することができる。
電流波形図である。 6通電パターン測定時の電流波形図である。 小電流通電時の到達時間図である。 大電流通電時の到達時間図である。 第一の方法による大電流通電時の到達時間の実測図である。 3パターンの到達時間図である。 第一の方法の実施回路図例である。 スター結線された3相ブラシレスDCモータの構成図である。 従来のモータ駆動回路のブロックダイアグラムである。 120°通電タイミングチャートである。 第二の方法による電流値実測図である。 第二の方法の実施回路図例である。
以下、本発明に係る電動機の界磁位置検出方法の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本願発明は、電動機の一例として、回転子に永久磁石界磁を備え、固定子に巻き線を120°位相差で配置してスター結線し、相端がモータ出力手段に接続されたセンサレスモータを用いて説明する。尚、モータによりアクチュエータを往復動させるリニアアクチュエータに用いることも可能である。
以下では、一例として3相DCブラシレスモータをセンサレス駆動するセンサレスモータの永久磁石界磁位置検出方法について、センサレスモータ駆動装置の構成と共に説明する。
図8を参照して本発明に係る3相ブラシレスDCモータの一実施例を示す。一例として2極永久磁石ロータと3スロットを設けた固定子4を備えた3相ブラシレスDCモータを例示する。モータはインナーロータ型でもアウターロータ型でもいずれでもよい。また、永久磁石型界磁としては永久磁石埋め込み型(IPM型)モータや表面永久磁石型(SPM型)モータのいずれであってもよい。
図8において、回転子軸1には回転子2が一体に設けられ、界磁として2極の永久磁石3が設けられている。固定子4には120°位相差で極歯U,V,Wが永久磁石3に対向して配置されている。固定子4の各極歯U,V,Wに巻線u,v,wを設けて相間をコモンCでスター結線して後述するモータ駆動装置に配線された3相ブラシレスDCモータとなっている。尚、コモン線は、不要であるので省略されている。
次に、三相センサレスモータのモータ駆動回路の一例を図7に示す。
始動時の駆動方式としては120°通電バイポーラ矩形波励磁を想定している。
MOTORは三相センサレスモータである。MPU51はマイクロコントローラ(制御手段)である。MPU51は、三相コイル(U,V,W)に対する6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間(区間1〜区間6)を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラ50からの回転指令に応じて出力手段をスイッチング制御して励磁状態を任意に切り替える。
インバータ回路52(INV:出力手段)は、三相コイルに通電し、モータトルクを制御するために励磁相切り替えあるいはPWM制御などのスイッチング動作を行う。インバータ回路52は、スイッチング素子に逆並列に接続されるダイオードを備え、正極電源ライン及び接地電源ラインに任意に接続可能なハーフブリッジ型スイッチング回路が3相分設けられている。
インバータ回路52の共通接地側端子には電流センサ53(RS:電流検出手段)が直列に接続されている。電流センサ53は、コンパレータ54(COMP:コンパレータ手段)の入力端子に接続されている。尚、本実施例では、電流センサ53としてシャント抵抗rを用いた。
また、分圧回路55(REF)は、界磁極性による磁気抵抗変化を検出可能な電流閾値に対応するリファレンス電圧(電圧基準値)を発生させる。分圧回路55の出力端子は、コンパレータ54のリファレンス側入力端子に接続されている。尚、本実施例では、分圧回路に固定抵抗を用いたがD/Aコンバータを用いることもでき、任意の閾値を設定することができる。
本実施例では回転子位置センシングのため、三相コイルに対して同時にオンオフ通電し、ピーク電流を検出する必要がある。そこで、図9の従来のモータ駆動回路のコイルごとに直列に挿入する電流センサのかわりに、インバータ回路52の共通接地側端子と接地間にシャント抵抗r1個による電流センサ53を設ける。シャント抵抗rには電圧降下分の数Vといった低電圧しか印可されないため、コイル印可電圧が数百Vといった高電圧駆動回路でも使用できる。
コンパレータ54は、電流センサ53により検出されるコイル電流に対応する検出電圧と、電流閾値に対応するリファレンス電圧を比較してコイル電流が電流閾値に到達したか否かを検出する。ピーク電流の検出にはA/Dコンバータも可能であるが、より簡単に高性能を発揮できるコンパレータ54を用いることとした。コンパレータ54の入力端子には前述の電流センサ53から出力される検出電圧が入力する。リファレンス端子には、分圧回路55の出力であって、界磁極性による磁気抵抗変化を検出できる大きさの電流閾値に相当するリファレンス電圧を入力する。コンパレータ54の出力はMPU51のタイマー回路56に送出され、電流閾値を超えるとLレベルからHレベルに切り替わる。
タイマー回路56(TMR:タイマー手段)は、インバータ回路52から出力されたセンシングパルスによる通電開始からコイル電流が電流閾値に到達するまでのパルス幅時間を測定する。タイマー回路56はMPU51に内蔵されており、センシングパルス通電開始からコイル電流が電流閾値を超えるまでの時間を測定する。計時クロックとしてMPUクロックを利用できるので10nsオーダーの高精度測定ができ、また24ビット以上の広いダイナミックレンジを持つことも容易である。測定データはMPU51のメモリーに送出する。タイマー回路56で測定されたパルス幅時間は、MPU51からのリセット信号にてリセットされる。
MPU51は、タイマー回路56からの各相測定対象コイルの測定データを記憶し、位置検出処理を行う。具体的な位置検出処理例としては、三相コイルのうち中性点を介して1相通電となる相を測定対象相として正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択して通電し、残る二相についても同様の通電パターンを繰り返すことで合計6通りの通電パターンについて通電して、通電時間を測定データとして記憶するステップを繰り返す。
そして、MPU51は、三相通電の6通電パターンについて到達時間測定を行い、最小の測定データから最小パターンを検出し、それに対応するあらかじめ記憶されている永久磁石界磁位置情報を回転子位置とする。
以上の実施例では、電流閾値を一定として到達時間をタイマー回路56で測定する方法を述べてきたが、パラメータを入れ替えてセンシングパルス時間を一定としてピーク電流をA/Dコンバータで測定しても同様の効果が得られ、測定データの大小関係を反転させれば同様の原理で界磁位置検出が可能である。
ここで、永久磁石界磁位置の検出原理について説明する。
コイルに定電圧パルスを印可した時の電流は次式で上昇する。
I(t)=(L/R)・(1−e(tR/L)
但し、Iはコイル電流、Lはコイルインダクタンス、Rはコイル抵抗
図1にてコイルに定電圧矩形波パルスを印可したときの電流波形模式図を示す。
ここでコイル抵抗Rは一定でありピーク電流値I(t)を所定値とすれば通電開始t0からピーク電流値I(t)に到達するまでの到達時間tはインダクタンスLを反映する。或いは、パルス時間tを所定値とすれば、ピーク電流値I(t)はインダクタンスLを反映する。
また三相モータの三相通電パターンは以下の6種類である。
表1
図2に、三相コイルに出力オフ期間を置きコイル電流ゼロ状態として上記6個の三相通電パターンを順次選択して高周波定電圧矩形波パルスを印可した時の電流波形を示す。上記センシングパルスにより回転子位置を検出する方法としては、ピーク電流値を所定の一定値としてパルス時間tを測定する第一の方法と、パルス時間tを所定の一定値としてピーク電流値を測定する第二の方法がある。
まずピーク電流値を所定値としてパルス時間を測定する第一の方法について説明する。小さな一定電流値に到達するまでの時間t1〜t6はリラクタンスの影響で永久磁石界磁位置に応じて変化する。永久磁石界磁位置に対する到達時間変化は2周期性をもち1相に関して以下の式で近似できる。
Δta=−cos2θ、−cos(2θ+π)(但しθ=界磁位置)
他の2相についてはθを+120°、−120°すれば得られる。
図3に小電流時の界磁位置に対する到達時間変化の近似値波形を示す。
さらに大きな一定電流値に到達するまでの時間t1〜t6は界磁極性により磁気抵抗が変化し界磁位置に応じて変化する。界磁位置に対する到達時間変化は1周期性で1相に関して以下の式で概略近似できる。
Δtb=−cos2θ、−cos(2θ+π)(但しθ=界磁位置:θが0〜π/2及び3π/2〜2πはΔtb=1とする)
他の2相についてはθを+120°、−120°すれば得られる。
図4に大電流時の界磁位置に対する到達時間変化の近似値波形を示す。
大電流時はリラクタンス変化と磁気抵抗変化の双方が反映すると考えられることから到達時間変化をΔt=Δta+Δtbと近似する。
図5に大電流時の到達時間変化の実測波形を示す。1°ごとに三相通電パターン6個それぞれについて所定電流までの到達時間を測定し、合計2160データをプロットしたものである。図中のアンダーバー表記は逆方向通電相を表す。本例はハードディスクドライブのスピンドルモータを測定したものであるが、リラクタンスによる変化よりも磁気抵抗変化のほうが優勢で2周期性成分はほとんど表れていない。図示しないがIPMモータあるいはスロットレスモータなど磁気抵抗変化が比較的少ないモータではリラクタンス変化による2周期性が優勢となるが、磁気抵抗変化による1周期性成分が重畳することから必ず最大値ピークは1か所となり位置検出が可能である。
図4及び図5から明らかなように、到達時間最小の通電パターンは120°通電の励磁区間である60°ピッチで切り替わる。従って到達時間最小の通電パターンが判れば一義的に回転子位置が決定でき、120°矩形波通電にて始動できる。
最小通電パターンと永久磁石界磁位置情報の関係を下方の表2に示す。なお最小通電パターンの表記は例えばW相を正側電源に接続し、U相及びV相を接地側(負側)に接続する場合を「W−UV」と表記する。また参考までに該当する120°通電方式の励磁パターンを付記した。記載された励磁パターンで二相に通電すれば正転し、通電方向を逆にすれば逆転する。
表2
表2を用いて回転子位置を特定する具体的な方法を説明する。
静止時に三相通電の6パターンについてそれぞれ通電し一定電流に到達する時間を測定する。通電パターンの順序は表1に準ずる。その結果例えばU−VW通電時の到達時間が最小であったとすると、表2より界磁は電気角150°〜210°の区間に位置していると判る。そして120°矩形波通電方式にてV相を正側電源に接続しW相を接地側に接続するV−W励磁を行えば回転子は正転方向に始動し、逆方向のW−V励磁を行えば回転子は逆転する。このように本案によれば極めて容易に位置検出を行うことが可能となる。
次にパルス時間tを所定値としてピーク電流を測定する第二の方法について説明する。インダクタンスが小さい位置では電流増加率が大きく、インダクタンスが大きい位置では電流増加率は小さい。従って、回転子位置に応じた電流変化は前記ピーク電流を一定としたときのパルス時間変化とは反対となる。短時間パルスを与えたときのピーク電流値I1〜I6はリラクタンスの影響で界磁位置に応じて変化する。界磁位置に対するピーク電流変化は2周期性をもち1相に関して以下の式で近似できる。
ΔIa=cos2θ、cos(2θ+π)(但しθ=界磁位置)
他の2相についてはθの値を+120°、−120°とすれば得られる。
さらに長い時間のパルスを与えた時のピーク電流I1〜I6は界磁極性により磁気抵抗が変化し界磁位置に応じて変化する。界磁位置に対する電流変化は1周期性で1相に関して以下の式で概略近似できる。
ΔIb=cos2θ、cos(2θ+π)(但しθ=界磁位置:θが0〜π/2及び3π/2〜2πはΔIb=−1とする)
他の2相についてはθの値を+120°、−120°とすれば得られる。
長い時間のパルス印可時はリラクタンス変化と磁気抵抗変化の双方が反映すると考えられることから電流変化をΔI=ΔIa+ΔIbと近似する。
図11に長い時間のパルスを印可時の電流変化の実測波形を示す。1°ごとに三相通電パターン6個それぞれについて所定時間のパルスを印可してピーク電流を測定し、合計2160データをプロットしたものである。使用したモータは図5と同じハードディスクドライブのスピンドルモータである。
図11から明らかなように、ピーク電流値最大の通電パターンは120°通電の励磁区間である60°ピッチで切り替わる。従ってピーク電流値最大の通電パターンが判れば一義的に回転子位置が決定でき、120°通電にて始動できる。最大ピーク電流通電パターンと界磁位置情報の関係は表2の最小通電パターンと同一であり、表2の最小通電パターンを最大ピーク電流パターンと読み替えることで判別できる。
表2を用いて永久磁石界磁位置(回転子位置)を特定する具体的な方法を説明する。
静止時に三相通電の6パターンについてそれぞれ一定時間通電しピーク電流を測定する。通電パターンの順序は表1に準ずる。
その結果例えばU−VW通電時のピーク電流値が最大であったとすると、表2より界磁は150°〜210°の区間に位置していると判る。そして120°通電方式にてV相を電源+側にW相を接地側に接続するV−W励磁を行えば正転方向に始動し、逆方向のW−V励磁を行えば逆転する。
さらに電気角30°ピッチでの回転子位置検出も可能である。
図6に第一の方法による最小通電パターンと前後区間の最小通電パターンの3波形のみを記載し残りの3波形を省略した波形を示す。界磁位置が特定されると表2から隣接する区間の最小通電パターンが判る。例えば測定の結果、W−UVパターンが最小値の場合は回転子が30°〜90°の区間に位置していることになり、前方区間電気角330°〜30°の最小通電パターンはWV−Uであり後方区間電気角90°〜150°の最小通電パターンはUW−Vである。
そこでこの前後区間の最小通電パターンの到達時間を比較すると現在区間の中央である電気角60°に交点があり大小関係が反転する(図6の丸印部分)。従って、隣接する最小通電パターン双方の測定データを大小比較することで電気角30°ピッチで回転子位置をより細かく判別することができる。必要な測定データはすでに取得してあることから新たな測定は不要である。また第二の方法による場合も図11から明らかなように、前後に隣接する最大通電パターン双方の測定データを大小比較すれば第一の方法と同様に30°ピッチで判別することができる。
また、本案は静止時のみならず低速回転時の界磁位置検出も可能である。回転時はすでに回転子位置が判っていることから、6パターンについてセンシングする必要はなく、次に出現する励磁切り替え点を検出するだけで回転を継続することができる。励磁切り替え点までは現在の通電状態を続け、励磁切り替え点を検出したら励磁シーケンスを歩進すればよい。
また、測定データのプロファイルは励磁切り替え点で交差する。従って励磁切り替え点の検出は、周期的に現在区間及び回転方向に隣接する区間の2個の通電パターンにてセンシングを行い、得られる2個の測定データ同士を大小比較することで検出できる。図6において、例えば回転子が30°〜90°の区間1に位置していた場合、表2より現在区間の通電パターンはW−UV通電であることが判る。また、回転方向の隣接区間の通電パターンは正転方向であれば区間2のUW−V通電であることも判る。この2パターンにてセンシングすれば回転子が90°を超えた時点で測定データの大小は入れ替わる。よって回転子が区間2まで回転したことを検出できこの時点で励磁パターンを歩進すればよい。同様にして次々と励磁区間の切り替え点を検出しては励磁パターンを歩進してゆけば静止時からシームレスに始動でき、あるいは低速回転やストールトルクを発生し続けることができる。
回転時はセンシング時間をできるだけ短くする必要があるが、上記センシング方法を用いれば静止時の6通電パターンが2通電パターンとなり、測定時間を1/3に短縮できる。測定時間はモータと駆動回路の条件により増減するが概ね300us程度である。
さらに3通電パターンについて測定すれば回転方向の判別も可能である。現在区間及び正転方向及び逆転方向に隣接する区間に対応する3個の通電パターンについて周期的にセンシングを行い、それぞれの測定データの大小比較をすることで次に出現する正転方向あるいは逆転方向の励磁区間境界点を検出し、どちらの励磁境界点を先に検出したかにより回転方向も判別することができる。
図6において、例えば回転子が30°〜90°の区間1に位置していたとすると、正転方向の励磁境界点は90°となり、W−UV通電パターンとUW−V通電パターンの交点である。同様に逆転方向の励磁境界点は30°となり、W−UV通電パターンとWV−U通電パターンの交点である。逆転側の30°交点より先に正転側の90°交点を検出すれば回転子は正転したことが判る。同様に90°交点より先に30°交点を検出すれば回転子は逆転したことが判る。従って、現在区間と前後の隣接区間の3通電パターンにて周期的にセンシングを行えば、励磁区間境界点及び回転方向を知ることができる。
これにより回転方向の制約がなくなり正転・逆転いずれでも回転することが可能となる。また外力で強制的に回転している場合でも位置検出して任意の方向にトルクを発生できる。なお上記センシング方法を用いれば静止時の6パターンが3パターンとなり、測定時間を1/2に短縮することができる。
以下、図7のモータ駆動回路図及び図2の電流波形図を参照しながら、MPU51による回転子位置検出手順の一例について説明する。
あらかじめ6個の三相通電パターンと永久磁石界磁位置情報をメモリーに記憶しておく。電流閾値は分圧回路55の抵抗値(r1,r2)により設定しておく。上位コントローラ50による回転指令等により位置検出開始する。位置検出を開始するときは、三相コイルのすべての出力をオフし所定時間だけ待つ。これにより、コイル電流がゼロ状態となる(通電オフステップ)。
次いで、三相通電の所定パターンにてインバータ回路52から三相コイルに対して定電圧矩形波通電とタイマー回路56による測定を開始する。コイル電流が流れ始める。コンパレータ54は出力監視し電流閾値へ到達するまで待つ。コイル電流が増加しコンパレータ54が閾値を超えたことを検出したらタイマー回路56は測定データを記憶する(測定ステップ)。尚、インバータ回路52による三相コイルに対する通電を遮断すると、コイル蓄積エネルギーの放出が始まる。
測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択して通電し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し合計6通電パターンについて定電圧矩形波通電とタイマー回路56による測定動作を繰り返す(図2参照)。MPU51は測定完了すると、6個の測定データから最少通電パターンを探す。最小通電パターンの界磁位置情報を回転子位置として回転子位置検出を終了する。
MPU51は上位コントローラ50からの回転指令に応じてインバータ回路52により三相コイルに対して二相120°矩形波通電で始動開始することができる。インバータ回路52は、回転子の回転方向を付勢するように三相コイルのうち二相を選んで通電する。
次に、所定時間のパルスを印可しコイルのピーク電流値を測定する前記第二の方法により本案を実現するセンサレスモータ駆動回路例を図12に示す。図7と同一の回路構成については同一番号を付して図7の説明を援用するものとする。
電流センサ53(電流検出手段)の出力はA/Dコンバータ57(ADC:Analog-to-Digital Converter,アナログ‐デジタル変換回路、A/Dコンバータ手段)へ送出される。A/Dコンバータ57は、電流センサ53の出力からコイル電流値を測定する。また、センシングパルスの通電時間を測定するタイマー56(TMR:タイマー手段)を設ける。タイマー56は、センシングパルスの所定通電時間の経過を測定する。A/Dコンバータ57とタイマー56は高性能なものは必要なく、低廉なMPU51に内蔵されるもので実用になる。例えば、12ビット、データアクイジョン時間1us、変換時間20us程度のADCは一般的な汎用MPUマイクロプロセッシングユニットに搭載されており本案の目的に対しては充分である。またタイマー56に関しても10MHz程度の低速のMPUクロックでも使用可能である。以上の構成により三相通電の6通電パターンについてピークコイル電流値測定を行い、最大の測定データから最大パターンを検出し、それに対応するあらかじめMPU51に記憶されている界磁位置情報を回転子位置として特定する。
以下、実際に測定する手順を簡単に説明する。まず三相すべての通電をオフとしてコイル電流ゼロとなるまで待つ。次に表1に基づいて6通りの通電パターンから順次一つを選択し三相コイルに定電圧矩形波パルスを印可してセンシング通電を開始しタイマー56により所定時間待つ。所定時間経過したらA/Dコンバータ57で電流センサ53の出力からコイルピーク電流値を測定し、測定データとして記憶する。再び三相すべての通電をオフとしコイル電流がゼロになるまで待つ。
測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し表1に示す合計6通電パターンについて通電オフとセンシング通電によるピークコイル電流値の測定を繰り返す。MPU51は、測定された6つのデータから最大値となる通電パターンを選ぶ。次に表2に基づいて最大通電パターンに対応する界磁位置情報を永久磁石界磁位置と特定する。
なお、モータ駆動回路の構成や制御プログラム構成は様々考えられ、本実施例に開示された態様に限定されるものではなく、本案主旨を逸脱しない範囲で電子回路技術者あるいはプログラマー(当業者)であれば当然なし得る回路構成の変更やプログラム構成の変更も含まれる。
1 回転子軸 2 回転子 3 永久磁石 4 固定子 50 上位コントローラ51 MPU 52 インバータ回路 53 電流センサ 54 コンパレータ 55 分圧回路 56 タイマー回路 57 A/Dコンバータ

Claims (6)

  1. 永久磁石界磁を有する回転子とスター結線された三相コイルを有する固定子を備え、定電圧直流電源を供給して120°矩形波通電により始動する電動機の界磁位置検出方法であって、
    三相ハーフブリッジ型インバータ回路を介して三相コイルに通電する出力手段と、
    前記三相コイルに正方向通電及び逆方向通電の合計6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラからの回転指令に応じて前記出力手段をスイッチング制御して励磁状態を切り替える制御手段と、
    前記出力手段の接地側端子と接続し、コイル電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段により検出されたコイル電流に対応する検出電圧と界磁極性による磁気抵抗変化を検出可能な電流閾値に対応するリファレンス電圧を比較して前記コイル電流が電流閾値に到達したことを検出するコンパレータ手段と、
    前記三相コイルに対するセンシング通電開始から前記コンパレータ手段により検出されるコイル電流が電流閾値に到達するまでのパルス幅時間を測定するタイマー手段と、を備え、
    前記三相コイルに対するセンシング通電直前に前記出力手段の出力をすべて遮断しすべてのコイルに蓄積されたコイル蓄積エネルギーを放出させてコイル電流ゼロ状態とする期間を設ける通電オフステップと、
    前記三相コイルのうち中性点で分岐のない1相通電となる相を測定対象相として、前記制御手段は6通りの通電パターンから順次一つを選択して前記出力手段から前記三相コイルにセンシング用の定電圧矩形波パルス電圧を印加し、前記電流検出手段で検出されたコイル電流が前記電流閾値に到達するまでのパルス幅時間を前記タイマー手段により測定し、測定データとして記憶する測定ステップと、
    前記測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択して通電し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し合計6通電パターンについてセンシング通電とパルス幅時間の測定を繰り返し、測定データとして記憶する作業を繰り返すステップと、を含み、
    前記制御手段は、6通りの通電パターンに対応する通電時間の測定データのうち最小値となる通電パターンに対応する前記界磁位置情報から永久磁石界磁位置を特定することを特徴とする電動機の界磁位置検出方法。
  2. 前記制御手段は、前記通電時間が最小となる通電パターンに隣接する通電パターンどうしの測定データを大小比較することで、最小となる通電パターンから特定される60°電気角の界磁位置情報を二分して電気角30°単位で永久磁石界磁位置を特定する請求項1記載の電動機の界磁位置検出方法。
  3. 永久磁石界磁を有する回転子とスター結線された三相コイルを有する固定子を備え、定電圧直流電源を供給して120°矩形波通電により始動する電動機の界磁位置検出方法であって、
    三相ハーフブリッジ型インバータ回路を介して三相コイルに通電する出力手段と、
    三相コイルに正方向通電及び逆方向通電の合計6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間を指定する界磁位置情報を記憶し、上位コントローラからの回転指令に応じて前記出力手段をスイッチング制御して励磁状態を切り替える制御手段と、
    前記出力手段の接地側端子と接続し、コイル電流を検出する電流検出手段と、
    前記三相コイルに対するセンシング通電開始から界磁極性による磁気抵抗変化を検出可能な電流値に到達するまでの所定のセンシング通電時間を測定するタイマー手段と、
    前記電流検出手段の出力からコイル電流値を測定可能なA/Dコンバータ手段と、を備え、
    前記三相コイルに対するセンシング通電直前に前記出力手段の出力をすべて遮断しすべてのコイルに蓄積されたコイル蓄積エネルギーを放出させてコイル電流ゼロ状態とする通電オフステップと、
    前記三相コイルのうち中性点で分岐のない1相通電となる相を測定対象相として、前記制御手段は6通りの通電パターンから順次一つを選択し前記三相コイルに定電圧矩形波パルスを所定のセンシング通電時間だけ印可し、前記A/Dコンバータ手段によりセンシング通電終了直前のピークコイル電流値を測定して測定データとして記憶する測定ステップと、
    前記測定対象相に対する正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し、残る二相についても正方向通電パターンに続いて逆方向通電パターンを選択し合計6通電パターンについて通電オフとセンシング通電によるピークコイル電流値の測定を繰り返し、各センシング通電終了直前のピークコイル電流値を測定して測定データとして記憶するステップと、
    前記制御手段は、6通電パターンの測定データのうち測定値が最大となる通電パターンを選択し、最大通電パターンに対応する前記界磁位置情報から永久磁石界磁位置を特定することを特徴とする電動機の界磁位置検出方法。
  4. 前記制御手段は、前記ピークコイル電流値が最大となる通電パターンに隣接する通電パターンどうしの測定データを大小比較することで、最大となる通電パターンから特定される60°電気角の界磁位置情報を二分して電気角30°単位で永久磁石界磁位置を特定する請求項3記載の電動機の界磁位置検出方法。
  5. 永久磁石界磁を有する回転子が始動した後、現在区間及び回転方向に隣接する区間に対応する2個の通電パターンについてセンシングを行い、双方の測定データの大小比較により次に出現する励磁区間境界点を検出する請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項記載の電動機の界磁位置検出方法。
  6. 永久磁石界磁を有する回転子が始動した後、現在区間及び正転方向及び逆転方向に隣接する区間に対応する3個の通電パターンについてセンシングを行い、それぞれの測定データの大小比較により次に出現する励磁区間境界点を検出し回転方向も判別する請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項記載の電動機の界磁位置検出方法。
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