JP5820287B2 - モータ駆動制御装置およびその動作方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3相直流モータを駆動するモータ駆動制御装置およびその動作方法に関し、特に広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において種々の種類のモータを確実に起動するのに有効な技術に関するものである。
ハードディスク装置(HDD)の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータとしてはブラシレスの3相直流モータが使用され、スピンドルモータによって磁気ディスクを高速で回転させ、回転中の磁気ディスクの表面にリード/ライト用の磁気ヘッドを近接させ磁気ディスクの径方向に磁気ヘッドを移動することで磁気ディスクの情報の書き込みと磁気ディスクの情報の読み出しとが実行される。
従来のブラシレスの3相直流モータの駆動制御には、ホール素子を使用して、ロータ(回転子)とステータ(固定子)との位置関係を検出して、検出された位置関係から3相のコイル相のうち通電を開始する相を決定することによってモータの逆転を防止していた。しかし、ホール素子を使用したロータ位置検出器をモータに設けると装置の小型化が困難となるので、ハードディスク装置ではセンサレスの直流モータが多用されるようになった。このようなセンサレスの直流モータでは、回転を開始する際にロータとステータとの位置関係が判らないと、ロータが逆転する可能性がある。
下記特許文献1には、ブラシレスモータの各相の界磁コイルにロータが反応しない程度の短いパルス電流を順方向と逆方向とに順次供給して、非通電相に現れる順方向供給時の誘起電圧と逆方向供給時の誘起電圧を合成して、合成誘起電圧の極性の判定結果に基づいて通電開始相を決定することが記載されている。尚、誘起電圧は、ロータの磁石とステータの界磁コイルとの位置関係によって、ロータの磁石の磁力線によってステータの界磁コイルに誘起される電圧を示すものである。3相のうちの2相の界磁コイルに流す電流を順方向と逆方向とに変化させて、それぞれの誘起電圧を比較することで、2相の界磁コイルのいずれに対してロータの磁石の極が近いか、またその極がS極かN極かを判定することができる。一方、モータの逆起電圧は、ステータの界磁コイルの磁界中でのロータの磁石の回転により回転数に比例してステータの界磁コイルに発生する電圧であり、モータの誘起電圧とモータの逆起電圧とは本質的に異なったものである。
更に、下記特許文献2の図13および関連説明には、3相センスによる初期ロータ位置の特定および通電相の決定、通電によるモータ駆動、3相センスによるロータの移動の確認、通電によるモータ駆動、3相センスによるロータの移動の確認、通電によるモータ駆動のシーケンスを含むモータの起動制御が記載されている。3相センスは、ロータが反応しないような短いパルス電流を2相の界磁コイルに順方向と逆方向とに流して、残りの1相の非通電相に現れる誘起電圧のA/D変換結果を積算レジスタで累積することによって実行される。
初期ロータ位置の特定のための最初の3相センスでは、3相の全ての非通電相での誘起電圧の極性が判定され、判定された3相の誘起電圧の極性に基づき通電開始相が決定される。最初の通電によるモータ駆動では、最初の3相センスで決定された通電開始相である2相の界磁コイルに比較的短い所定時間の通電が行われて、モータの最初の初期加速が実行される。2回目と3回目との各3相センスでは、通電開始相から決定される次期検出相に関する誘起電圧の極性反転が判定される。
また更に、下記特許文献3の図3および関連説明には、下記特許文献2に記載された初期加速のための3相センスの検出期間とモータ駆動の通電期間との合計期間で決定されるモータ起動時の騒音を防止して起動時間を短縮するためのモータ起動方法が記載されている。すなわち、1回の3相センスにより下記特許文献2と同様に3相の全ての非通電相での誘起電圧の極性が判定され、判定された3相の起電圧の極性に基づき通電開始相が決定される。その後のモータ駆動のための通電のPWM駆動では、非通電相に発生する誘起電圧が検出され、誘起電圧のピークを検出することに応答して通電相が切り替えられる。通電相を切り替えた後も、引き続きモータ駆動中の非通電相に現れる誘起電圧のピークを検出して、これを相切り替えのタイミングに使用してモータを加速するものである。
特開2001−275387号 公報 特開2006−115599号 公報 特開2008−113506号 公報
本発明者は本発明に先立って、広範囲の動作条件において、種々の種類のモータを起動することが可能なハードディスク装置(HDD)の磁気ディスクを回転させるためのモータドライバICと呼ばれる半導体集積回路の開発に従事した。
この開発では、広い温度変化および広い電源電圧の変化があっても種々の種類のモータを確実に起動することが要求された。しかし、本発明者はこの開発において、上記特許文献3に記載のモータ起動方法では、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において、種々の種類のモータを確実に起動することが困難であることを見出したものである。
図13は、本発明に先立って本発明者によって検討された3相直流モータを駆動するモータ駆動制御装置の構成を示す図である。
図13に示したように、モータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの一端には、それぞれ逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)を等価的に示す電圧源が接続されている。尚、モータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの他端は、中点として共通接続される。
図13に示したモータ駆動制御装置は、仮想中点生成部2、誘起電圧検出部3、A/D変換部4、初期加速制御部5、出力駆動制御部6A、PWM変調器6B、駆動電圧発生器6C、パラメータ設定レジスタ7A、シリアルポート7B、出力ドライバ8、電流検出部9A、センス増幅器9Bを含んでいる。
3相のモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWは、出力ドライバ8によってPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)駆動される。すなわち、出力ドライバ8は、スピンドル出力プリドライバ81、プルアップパワーMOSFETM1、M2、M3、プルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6により構成されている。モータ(MT)1のU相のステータコイルLUはプルアップパワーMOSFETM1とプルダウンパワーMOSFETM4とによって駆動され、モータ(MT)1のV相のステータコイルLVはプルアップパワーMOSFETM2とプルダウンパワーMOSFETM5とによって駆動され、モータ(MT)1のW相のステータコイルLWはプルアップパワーMOSFETM3とプルダウンパワーMOSFETM6とによって駆動される。またスピンドル出力プリドライバ81は、出力駆動制御部6Aから生成される出力制御信号UPWM、UHIZ、VPWM、VHIZ、WPWM、WHIZによって駆動される。
3相のモータ(MT)1のモータ駆動電流は、直流シャント抵抗Rsnsによって構成された電流検出部9Aを使用して検出される。直流シャント抵抗Rsnsの一端は出力ドライバ8の3個のプルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6の共通ソースに接続されて、直流シャント抵抗Rsnsの他端は接地電圧に接続される。従って、出力ドライバ8の3個のプルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6の共通ソースに流れるモータ駆動電流ISENSEは、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって電圧に変換され、この電圧はセンス増幅器9Bによって増幅されて、センス増幅器9Bの電流検出電圧CRNTOUTはA/D変換部4のセレクタ4Aを介してA/Dコンバータ4Bに供給される。A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号とパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値の誤差が駆動電圧発生器6Cによって計算され、この誤差に応答する駆動電圧VDRVが駆動電圧発生器6Cの出力からPWM変調器6Bの入力に供給される。駆動電圧VDRVに応答してPWM変調器6BはPWM信号を出力駆動制御部6Aの入力に供給するので、出力駆動制御部6Aは出力ドライバ8のパワーMOSFETをPWM駆動する出力制御信号UPWM、UHIZ、VPWM、VHIZ、WPWM、WHIZを生成する。尚、パラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値は、シリアルポート7Bを介して、図13のモータ駆動制御装置の外部のマイクロコントローラ等から設定することが可能とされる。
その結果、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって検出されるモータ駆動電流ISENSEがパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値よりも小さい場合には、駆動電圧発生器6Cの出力のVDRV信号が大きくなるように駆動電圧発生器6Cが制御され、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが大きくされ、モータ駆動電流が増加される。その反対に、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって検出されるモータ駆動電流がパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値よりも大きい場合には、駆動電圧発生器6Cの出力のVDRV信号が小さくなるように駆動電圧発生器6Cが制御され、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが小さくされ、モータ駆動電流が減少される。すなわち、電流検出部9Aによって検出されるモータ駆動電流ISENSEとパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値との差が検出され、その差がゼロとなるようにPWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが調整され、出力駆動制御部6Aにより出力ドライバ8のパワーMOSFETを駆動するPWM駆動制御信号が生成されて、モータ駆動電流ISENSEの電流制御が実行される。
仮想中点生成部2は3個の抵抗R、R、Rを含み、3個の抵抗R、R、Rの一端はモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWの一端に接続される。仮想中点生成部2の3個の抵抗R、R、Rの抵抗値が等しい抵抗Rに設定されることによって、3個の抵抗R、R、Rの他端の電圧はモータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの共通接続された他端の中点電位と実質的に等しい仮想中点電圧となる。
誘起電圧検出部3は、セレクタ31と増幅器32とサンプル/ホールド回路33とによって構成される。セレクタ31の第1スイッチSW1の一端はモータ(MT)1のU相のステータコイルLUの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端に接続され、第2スイッチSW2の一端はモータ(MT)1のV相のステータコイルLVの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端とに接続され、第3スイッチSW3の一端はモータ(MT)1のW相のステータコイルLWの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端とに接続される。セレクタ31の第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と第3スイッチSW3の3個の他端は増幅器32の非反転入力端子+に共通接続され、増幅器32の反転入力端子−には仮想中点生成部2の3個の抵抗R、R、Rの共通接続された他端の仮想中点電圧が供給される。また、セレクタ31の第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と第3スイッチSW3のオン・オフ制御は、初期加速制御部5の誘起電圧判定部51から生成される選択信号SELによって制御される。誘起電圧検出部3の増幅器32の出力信号はサンプル/ホールド回路33の入力端子に供給され、サンプル/ホールド回路33の出力端子のサンプル/ホールド出力信号である誘起検出電圧VMOUTはA/D変換部4のセレクタ4Aを介してA/Dコンバータ4Bに供給される。
初期加速制御部5は、誘起電圧判定部51とデコーダ52とシーケンサ53とによって構成される。誘起電圧判定部51は、誘起電圧検出部3とA/D変換部4とによって生成されるモータ(MT)1のU相とV相とW相の各相の誘起電圧の極性を判定して更に所定の基準値VTHのレベルよりも大きいか小さいかを判定する。誘起電圧判定部51の出力から、モータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが生成される。
初期加速制御部5のデコーダ52は、電圧判定部51の出力から生成される出力信号Dmodeをデコードすることによってモータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの通電相を指示する初期加速出力信号UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNONを生成する。
初期加速制御部5のシーケンサ53は、パラメータ設定レジスタ7Aから供給される3相のモータ(MT)1の回転開始のスタート信号Startに応答して、誘起電圧検出部3による3相の誘起電圧の検出動作を指示するセンス信号SENSEを電圧判定部51に供給する。またシーケンサ53は、電圧判定部51の出力から生成される出力信号Dmodeに応答して、モータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの6個の通電状態を示す初期加速通電モード信号Smodeを電圧判定部51に供給する。
図13に示した本発明に先立って本発明者によって検討されたモータ駆動制御装置では、上記特許文献2と上記特許文献3に記載されたように、3相のモータ(MT)1の初期加速のために誘起電圧検出部3による3相の誘起電圧の極性判定に基づき初期ロータ位置が特定され、通電開始相が決定される。この通電開始相は、誘起電圧判定部51の出力端子から生成される通電相を指示する出力信号Dmodeによって示される。従って、この初期通電相の決定結果に従って、図13に示したモータ駆動制御装置は、通電(モータ駆動)を開始して、3相のモータ(MT)1のPWM駆動を開始する。
図13に示したモータ駆動制御装置によるこのPWM駆動中において、上記特許文献3に記載されたように非通電相に発生する誘起電圧が検出され、誘起電圧のピークを検出して通電相が切り替えられ、通電相を切り替えた後も引き続きモータ駆動中の非通電相に現れる誘起電圧のピークを検出して、これを相切り替えのタイミングに使用してモータが加速される。
しかし、上述したように本発明者はこの開発において、図13に示したモータ駆動制御装置によるモータ起動方法では、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において種々の種類のモータを確実に起動することが困難であることを見出したものである。
図14は、図13に示した本発明に先立って本発明者により検討されたモータ駆動制御装置によるPWM駆動中に非通電相に発生する誘起電圧の駆動電流およびPWM駆動信号のデューティに対する依存性を示した図である。尚、図14の駆動電流とPWM駆動信号のデューティは、それぞれPWM駆動中の駆動電流とPWM駆動信号のハイレベル期間の比率である。
図14(A)の縦軸と横軸は、PWM駆動信号のデューティが一定の条件でのPWM駆動中の非通電相に発生する誘起電圧とPWM駆動中の駆動電流をそれぞれ示したものである。従って、図14(A)より、PWM駆動信号のデューティが一定の条件では、駆動電流の増加に比例して誘起電圧が増加することが理解される。
図14(B)の縦軸と横軸は、PWM駆動中の駆動電流が一定の条件でのPWM駆動中の非通電相に発生する誘起電圧とPWM駆動信号のデューティをそれぞれ示したものである。従って、図14(B)より、PWM駆動中の駆動電流が一定の条件では、PWM駆動信号のデューティ(PWM駆動信号のハイレベル期間の比率)の増加に反比例して誘起電圧が減少することが理解される。
図13に示したモータ駆動制御装置においては、初期加速用の3相の誘起電圧の極性判定に基づいた初期ロータ位置の特定後の通電開始時においては、出力ドライバ8の電源電圧Vspnの異常な低下、温度上昇による出力ドライバ8のパワーMOSFETM1〜M6のオン抵抗の増大、モータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWの高抵抗値の寄生抵抗等の原因によって、PWM駆動中の駆動電流ISENSEが低下する。
更に図13に示したモータ駆動制御装置においては、初期加速の通電(モータ駆動)によってモータ(MT)1が回転を開始するので、通電状態の2相のステータコイルに逆起電圧B−emfが発生する。その結果、この状態のPWM駆動中の駆動電流ISENSEは、出力ドライバ8の電源電圧Vspnから通電状態の2相のステータコイルの逆起電圧B−emfの差電圧を減算して、この減算電圧を出力ドライバ8のパワーMOSFETM1〜M6のオン抵抗とモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWの寄生抵抗の合計抵抗で除算することで算出される。モータ(MT)1の加速に従って通電状態の2相のステータコイルの逆起電圧B−emfの差電圧が増大するので、初期加速中のPWM駆動中の駆動電流ISENSEは低下する。
以上説明した種々の理由によって、図13に示したモータ駆動制御装置においては初期加速のための通電開始時のPWM駆動中の駆動電流ISENSEは、パラメータ設定レジスタ7Aの電流指示値よりも低下するものとなる。その結果、電流検出部9Aによって検出されるモータ駆動電流ISENSEがパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示値よりも低下しているので、駆動電圧発生器6Cの出力のVDRV信号は大きくなり、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティを増加して、モータ駆動電流を増加しようとする。
しかし、PWM駆動信号のデューティが増加すると、図14(B)に示したように、PWM駆動信号のデューティの増加に反比例して誘起電圧が減少することになる。従って、図13に示した本発明に先立って本発明者によって検討されたモータ駆動制御装置では、誘起電圧判定部51がモータ(MT)1のU相とV相とW相の各相の誘起電圧の極性を判定して更に所定の基準値VTHのレベルよりも大きいか小さいかを判定することが困難となる。その結果、誘起電圧判定部51の出力からモータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが生成されなくなって、モータ(MT)1を確実に起動することが困難なことが、本発明に先立った本発明者による検討によって明らかとされた。特に、3相直流モータであるモータ(MT)1の種類によっては、ステータコイルLU、LV、LWの寄生抵抗値が高いものがあるので、ステータコイルLU、LV、LWの寄生抵抗値が高いモータ(MT)1であっても、モータ(MT)1を確実に起動することが必要となる。
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等による検討の結果、なされたものである。
従って、本発明の目的とするところは、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において種々の種類のモータを確実に起動することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によるモータ駆動制御装置は、電圧検出部(3)と、A/D変換部(4)と、初期加速制御部(5)と、出力駆動制御部(6A、6B、6C)と、出力ドライバ(8)と、電流検出部(9A)とを具備する。
前記出力ドライバ(8)は、多相直流モータ(1)を駆動する複数のパワートランジスタ(M1〜M6)と、前記複数のパワートランジスタの複数の入力電極を駆動する出力プリドライバ(81)とを含む。
前記電流検出部(9A)は、前記多相直流モータ(1)に流れるモータ駆動電流(ISENSE)を検出可能とされる。
前記電流検出部(9A)によって検出される前記モータ駆動電流の検出情報は、前記A/D変換部(4)により電流検出デジタル信号(ADCOUT)に変換される。
前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)は、電流指示信号と前記電流検出デジタル信号(ADCOUT)との誤差が最小となるようなPWM駆動のためのPWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)を前記出力プリドライバ(81)に供給する。
前記電圧検出部(3)は、前記多相直流モータ(1)の各相のステータコイル(LU、LV、LW)に生成される誘起電圧を検出して、検出誘起電圧(VMOUT)を生成することが可能とされる。
前記初期加速制御部(5)は、前記多相直流モータ(1)の起動時に動作状態に制御され、前記電圧検出部(3)から生成される前記検出誘起電圧(VMOUT)に応答して前記多相直流モータ(1)の初期加速のための通電相を指示する複数の初期加速出力信号(UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNON)を前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に供給する。
前記初期加速制御部(5)と前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)と前記出力ドライバ(8)とは、前記多相直流モータ(1)の前記起動時に前記検出誘起電圧(VMOUT)と前記誤差とにそれぞれ応答して前記通電相の切り替えと前記PWM駆動によって前記多相直流モータ(1)の前記初期加速を行うものである。
前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)から前記出力プリドライバ(81)に供給される前記PWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)のデューティの上限値が、前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に任意に設定可能とされたことを特徴とするものである(図1参照)。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、本発明によれば、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において種々の種類のモータを確実に起動することができる。
図1は、本発明の実施の形態1による3相直流モータを駆動するためのモータ駆動制御装置の構成を示す図である。 図2は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、3相のモータ(MT)1の初期加速に先立ってモータ(MT)の初期ロータ位置を特定する誘起電圧検出部3によって誘起電圧を検出するために、ロータが応答しないような短いパルス電流を2相の界磁コイルに流す様子を示す図である。 図3は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、3相のモータ(MT)1の回転によってモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWにそれぞれ発生する逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)の波形を示す図である。 図4は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、図2(A)に示す順方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm+と図2(B)に示す逆方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm−との和の正規化された誘起電圧の波形を示す図である。 図5は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の初期加速制御部5の誘起電圧判定部51の構成を示す図である。 図6は、図1と図5に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置におけるモータ(MT)1の3相のステータコイルLU、LV、LWの逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)と3相の加算誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)、(Vmv+)+(Vmv−)、(Vmw+)+(Vmw−)と絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTの波形を示す図である。 図7は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の駆動電圧発生器6Cの構成を示す図である。 図8は図1に示した本発明の実施の形態1による初期加速のための通電開始時におけるモータ駆動制御装置のPWM変調器6Bおよび出力駆動制御部6Aの構成を示す図である。 図9は、図8に示した本発明の実施の形態1による初期加速のための通電開始時におけるモータ駆動制御装置のPWM変調器6Bおよび出力駆動制御部6Aの動作を説明するための波形図である。 図10は、図1と図7に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によって実行される3相センスによるロータの位置特定動作と初期加速のための通電動作との動作シーケンスを説明する図である。 図11は、図1に示したモータ駆動制御装置の初期加速制御部5の誘起電圧判定部51の本発明の実施の形態2による構成を示す図である。 図12は、図11に示した本発明の実施の形態2による誘起電圧判定部51を含んだ図1に示したモータ駆動制御装置におけるモータ(MT)1の3相のステータコイルLU、LV、LWの逆起電圧と3相の加算誘起電圧と絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTと比較出力信号COMと極性判定信号POLの波形を示す図である。 図13は、本発明に先立って本発明者によって検討された3相直流モータを駆動するモータ駆動制御装置の構成を示す図である。 図14は、図13に示した本発明に先立って本発明者により検討されたモータ駆動制御装置によるPWM駆動中に非通電相に発生する誘起電圧の駆動電流およびPWM駆動信号のデューティに対する依存性を示した図である。
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号は、それが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態によるモータ駆動制御装置は、電圧検出部(3)と、A/D変換部(4)と、初期加速制御部(5)と、出力駆動制御部(6A、6B、6C)と、出力ドライバ(8)と、電流検出部(9A)とを具備する。
前記出力ドライバ(8)は、多相直流モータ(1)を駆動する複数のパワートランジスタ(M1〜M6)と、前記複数のパワートランジスタの複数の入力電極を駆動する出力プリドライバ(81)とを含む。
前記電流検出部(9A)は、前記多相直流モータ(1)に流れるモータ駆動電流(ISENSE)を検出可能とされる。
前記電流検出部(9A)によって検出される前記モータ駆動電流の検出情報は、前記A/D変換部(4)により電流検出デジタル信号(ADCOUT)に変換される。
前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)は、電流指示信号と前記電流検出デジタル信号(ADCOUT)との誤差が最小となるようなPWM駆動のためのPWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)を前記出力プリドライバ(81)に供給する。
前記電圧検出部(3)は、前記多相直流モータ(1)の各相のステータコイル(LU、LV、LW)に生成される誘起電圧を検出して、検出誘起電圧(VMOUT)を生成することが可能とされる。
前記初期加速制御部(5)は、前記多相直流モータ(1)の起動時に動作状態に制御され、前記電圧検出部(3)から生成される前記検出誘起電圧(VMOUT)に応答して前記多相直流モータ(1)の初期加速のための通電相を指示する複数の初期加速出力信号(UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNON)を前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に供給する。
前記初期加速制御部(5)と前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)と前記出力ドライバ(8)とは、前記多相直流モータ(1)の前記起動時に前記検出誘起電圧(VMOUT)と前記誤差とにそれぞれ応答して前記通電相の切り替えと前記PWM駆動によって前記多相直流モータ(1)の前記初期加速を行うものである。
前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)から前記出力プリドライバ(81)に供給される前記PWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)のデューティの上限値が、前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に任意に設定可能とされたことを特徴とするものである(図1参照)。
前記実施の形態によれば、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において、種々の種類のモータを確実に起動することができる。
好適な実施の形態では、前記電圧検出部(3)から生成される前記検出誘起電圧(VMOUT)は、前記A/D変換部(4)により誘起電圧検出デジタル信号(ADCOUT)に変換される。
前記初期加速に先立って、前記初期加速制御部(5)は前記多相直流モータ(1)の前記各相の前記誘起電圧検出デジタル信号(ADCOUT)の極性情報の組み合わせから前記多相直流モータ(1)のロータの位置を特定可能とされたことを特徴とするものである(図6参照)。
他の好適な実施の形態では、前記初期加速に先立って特定された前記ロータの位置に基づいて、前記初期加速制御部(5)は前記初期加速のための最初の通電相を決定することを特徴とするものである(図6参照)。
更に他の好適な実施の形態では、前記初期加速のための前記最初の通電相への通電の後に、前記誘起電圧検出デジタル信号(ADCOUT)が所定の基準値(VTH)に到達することに応答して、前記初期加速制御部(5)は前記通電相の前記切り替えを実行することを特徴とするものである(図6参照)。
より好適な実施の形態では、前記モータ駆動制御装置は、前記モータ駆動制御装置の外部からの制御信号を受信可能な入力回路(7A、7B)を更に具備する。
前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部(6A、B、C)から前記出力プリドライバ(81)に供給される前記PWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)の前記デューティの前記上限値を任意に設定するためのデューティ制御信号(CLPWM)が、前記モータ駆動制御装置の前記外部から前記入力回路(7A、7B)を介して前記出力駆動制御部(6A、B、C)に供給可能とされたことを特徴とする(図1参照)。
他のより好適な実施の形態では、前記初期加速制御部(5)は前記入力回路(7A、7B)から供給される前記多相直流モータ(1)の回転開始のスタート信号(Start)に応答して、前記初期加速の期間にクランプ許可信号(CLENA)を生成する。
前記初期加速の期間において、前記初期加速制御部(5)から生成される前記クランプ許可信号(CLENA)に応答して、前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)は前記出力プリドライバ(81)に供給する前記PWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)の前記デューティの前記上限値を前記デューティ制御信号(CLPWM)に従って設定することを特徴とするものである(図1、図7参照)。
更に他のより好適な実施の形態では、前記初期加速制御部(5)は、前記誘起電圧検出デジタル信号(ADCOUT)が所定のタイミングで前記所定の基準値(VTH)に到達しないことを検出して、当該非到達の検出信号(COM)を生成する。
前記初期加速制御部(5)は、前記非到達の検出信号(COM)に応答して、前記所定の基準値(VTH)のレベルよりも低レベルのサブ基準値(VTHSUB)を生成する。
前記初期加速制御部(5)は、前記誘起電圧検出デジタル信号(ADCOUT)が前記低レベルのサブ基準値(VTHSUB)に到達することに応答して、前記通電相の切り替えを実行することを特徴とする(図11、図12参照)。
別のより好適な実施の形態においては、前記所定の基準値(VTH)は、前記モータ駆動制御装置の前記外部から前記入力回路(7A、7B)を介して前記初期加速制御部(5)に供給可能とされたことを特徴とするものである(図1参照)。
具体的な実施の形態では、前記電圧検出部(3)と前記A/D変換部(4)と前記初期加速制御部(5)と前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)と前記出力ドライバ(8)は、半導体集積回路の半導体チップに集積化されたことを特徴とするものである(図1参照)。
最も具体的な実施の形態では、前記半導体集積回路の前記半導体チップに集積化された前記電圧検出部(3)と前記A/D変換部(4)と前記初期加速制御部(5)と前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)と前記出力ドライバ(8)はハードディスク装置の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータとしての3相直流モータである前記多相直流モータ(1)を駆動可能とされたことを特徴とするものである(図1参照)。
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態は、電圧検出部(3)とA/D変換部(4)と初期加速制御部(5)と出力駆動制御部(6A、6B、6C)と出力ドライバ(8)と電流検出部(9A)を具備するモータ駆動制御装置の動作方法である。
前記出力ドライバ(8)は、多相直流モータ(1)を駆動する複数のパワートランジスタ(M1〜M6)と、前記複数のパワートランジスタの複数の入力電極を駆動する出力プリドライバ(81)とを含む。
前記電流検出部(9A)は、前記多相直流モータ(1)に流れるモータ駆動電流(ISENSE)を検出可能とされる。
前記電流検出部(9A)によって検出される前記モータ駆動電流の検出情報は、前記A/D変換部(4)により電流検出デジタル信号(ADCOUT)に変換される。
前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)は、電流指示信号と前記電流検出デジタル信号(ADCOUT)との誤差が最小となるようなPWM駆動のためのPWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)を前記出力プリドライバ(81)に供給する。
前記電圧検出部(3)は、前記多相直流モータ(1)の各相のステータコイル(LU、LV、LW)に生成される誘起電圧を検出して、検出誘起電圧(VMOUT)を生成することが可能とされる。
前記初期加速制御部(5)は、前記多相直流モータ(1)の起動時に動作状態に制御され、前記電圧検出部(3)から生成される前記検出誘起電圧(VMOUT)に応答して前記多相直流モータ(1)の初期加速のための通電相を指示する複数の初期加速出力信号(UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNON)を前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に供給する。
前記初期加速制御部(5)と前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)と前記出力ドライバ(8)とは、前記多相直流モータ(1)の前記起動時に前記検出誘起電圧(VMOUT)と前記誤差とにそれぞれ応答して前記通電相の切り替えと前記PWM駆動によって前記多相直流モータ(1)の前記初期加速を行うものである。
前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)から前記出力プリドライバ(81)に供給される前記PWM駆動出力信号(UPWM、VPWM、WPWM)のデューティの上限値が、前記出力駆動制御部(6A、6B、6C)に任意に設定可能とされたことを特徴とするものである(図1参照)。
前記実施の形態によれば、広い温度変化および広い電源電圧の動作条件において、種々の種類のモータを確実に起動することができる。
2.実施の形態の詳細
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
[実施の形態1]
《モータ駆動制御装置の本質的な構成》
図1は、本発明の実施の形態1による3相直流モータを駆動するためのモータ駆動制御装置の構成を示す図である。
図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置と図13に示した本発明に先立って本発明者によって検討されたモータ駆動制御装置との本質的な相違は、下記の点である。
すなわち、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置では、初期加速制御部5のシーケンサ53からクランプイネーブル信号CLENAが駆動電圧発生器6Cに供給され、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMが駆動電圧発生器6Cに供給される。
すなわち、クランプイネーブル信号CLENAは、誘起電圧検出部3による初期ロータ位置の特定後での初期加速のための通電開始時における出力駆動制御部6Aから生成されるPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティの増大をクランプ可能とするための信号である。更にPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMは、クランプイネーブル信号CLENAによって可能となったPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティクランプ動作におけるPWMデューティ上限値を指定するための信号である。このPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMの上限設定値は、シリアルポート7Bを介して外部のマイクロコントローラもしくは中央処理ユニット(CPU)から任意の値に設定可能とされる。更に、クランプイネーブル信号CLENAは後に説明するスタート信号Startのローレベルからハイレベルの変化タイミングから初期加速期間に対応する遅延時間の間に、初期加速制御部5のシーケンサ53によってハイレベルに維持される。初期加速期間に対応する遅延時間が経過すると、クランプイネーブル信号CLENAは初期加速制御部5のシーケンサ53によってハイレベルからローレベルに変更される。
従って、初期加速制御部5のシーケンサ53からハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAが駆動電圧発生器6Cに供給されて、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限値が例えば80%を示したPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMが駆動電圧発生器6Cに供給される場合を想定する。A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号とパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値の誤差が駆動電圧発生器6Cによって計算され、この誤差の最大値の80%に対応する駆動電圧VDRVが駆動電圧発生器6Cの出力からPWM変調器6Bの入力に供給される。この最大誤差の80%に対応する駆動電圧VDRVに応答してPWM変調器6Bは最大電圧振幅が80%に制限されたPWM信号を出力駆動制御部6Aの入力に供給するので、出力駆動制御部6Aから生成されるPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティの増加の上限がPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMによって指定された80%にクランプされる。
従って、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によれば、図14(B)に示すPWM駆動信号のデューティの増加がPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMによって指定された80%にクランプされるので、誘起電圧の減少もクランプされる。
その結果、モータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWの寄生抵抗が高い等の原因によって、初期加速中のPWM駆動電流ISENSEがパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示値よりも低い状態においても、誘起電圧判定部51がモータ(MT)1のU相とV相とW相の各相の誘起電圧の極性を判定して更に所定の基準値VTHのレベルより大きいか小さいかを判定することが可能となる。従って、誘起電圧判定部51の出力からモータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが生成されて、モータ(MT)1を確実に起動することが可能となる。
以下に、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の具体的な構成を説明する。
《モータ駆動制御装置の具体的な構成》
図1に示したように、モータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの一端には、それぞれ逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)を等価的に示す電圧源が接続されている。尚、モータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの他端は、中点として共通接続される。
図1に示したモータ駆動制御装置は、仮想中点生成部2、誘起電圧検出部3、A/D変換部4、初期加速制御部5、出力駆動制御部6A、PWM変調器6B、駆動電圧発生器6C、パラメータ設定レジスタ7A、シリアルポート7B、出力ドライバ8、電流検出部9A、センス増幅器9Bを含んでいる。
尚、図1に示したモータ駆動制御装置において、電流検出部9A以外の仮想中点生成部2、誘起電圧検出部3、A/D変換部4、初期加速制御部5、出力駆動制御部6A、PWM変調器6B、駆動電圧発生器6C、パラメータ設定レジスタ7A、シリアルポート7B、出力ドライバ8、センス増幅器9BはモータドライバICと呼ばれる半導体集積回路の半導体チップに集積化されている。更に図1に示したモータドライバICと呼ばれる半導体集積回路によって構成されたモータ駆動制御装置は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータとしての3相直流モータである3相のモータ(MT)1を駆動するものである。
《出力ドライバ》
3相のモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWは、出力ドライバ8によってPWM駆動される。すなわち、出力ドライバ8は、スピンドル出力プリドライバ81と、プルアップパワーMOSFETM1、M2、M3と、プルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6とによって構成されている。モータ(MT)1のU相のステータコイルLUはプルアップパワーMOSFETM1とプルダウンパワーMOSFETM4とによって駆動され、モータ(MT)1のV相のステータコイルLVはプルアップパワーMOSFETM2とプルダウンパワーMOSFETM5とによって駆動され、モータ(MT)1のW相のステータコイルLWはプルアップパワーMOSFETM3とプルダウンパワーMOSFETM6とによって駆動される。またスピンドル出力プリドライバ81は、出力駆動制御部6Aから生成される出力制御信号UPWM、UHIZ、VPWM、VHIZ、WPWM、WHIZによって駆動される。
《電流検出部およびセンス増幅器》
3相のモータ(MT)1のモータ駆動電流は、直流シャント抵抗Rsnsによって構成された電流検出部9Aを使用して検出される。直流シャント抵抗Rsnsの一端は出力ドライバ8の3個のプルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6の共通ソースに接続されて、直流シャント抵抗Rsnsの他端は接地電圧に接続される。
従って、出力ドライバ8の3個のプルダウンパワーMOSFETM4、M5、M6の共通ソースに流れるモータ駆動電流ISENSEは、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって電圧に変換され、この電圧はセンス増幅器9Bによって増幅されて、センス増幅器9Bの電流検出電圧CRNTOUTはA/D変換部4のセレクタ4Aを介してA/Dコンバータ4Bに供給される。
《駆動電圧発生器、PWM変調器および出力駆動制御部》
A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号とパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値との誤差が駆動電圧発生器6Cによって計算され、この誤差に応答する駆動電圧VDRVが駆動電圧発生器6Cの出力からPWM変調器6Bの入力に供給される。駆動電圧VDRVに応答してPWM変調器6BはPWM信号を出力駆動制御部6Aの入力端子に供給するので、出力駆動制御部6Aは出力ドライバ8のパワーMOSFETをPWM駆動する出力制御信号UPWM、UHIZ、VPWM、VHIZ、WPWM、WHIZを生成する。尚、パラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値は、シリアルポート7Bを介して図1のモータ駆動制御装置の外部のマイクロコントローラ等から設定することが可能とされる。更に通電相の切り替えのためにパラメータ設定レジスタ7Aから初期加速制御部5の誘起電圧判定部51に設定される所定の基準値VTHも、シリアルポート7Bを介して図1のモータ駆動制御装置の外部のマイクロコントローラ等からパラメータ設定レジスタ7Aに設定することが可能とされる。
その結果、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって検出されるモータ駆動電流ISENSEがパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値よりも小さい場合には、駆動電圧発生器6Cの出力のVDRV信号が大きくなるように駆動電圧発生器6Cが制御され、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが大きくされ、モータ駆動電流が増加される。その反対に、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsによって検出されるモータ駆動電流がパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値よりも大きい場合には、駆動電圧発生器6Cの出力のVDRV信号が小さくなるように駆動電圧発生器6Cが制御され、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが小さくされ、モータ駆動電流が減少される。すなわち、電流検出部9Aによって検出されるモータ駆動電流ISENSEとパラメータ設定レジスタ7Aの電流指示の値との差が検出され、その差がゼロとなるようにPWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが調整され、出力駆動制御部6Aにより出力ドライバ8のパワーMOSFETを駆動するPWM駆動制御信号が生成されて、モータ駆動電流ISENSEの電流制御が実行される。
《仮想中点生成部》
仮想中点生成部2は3個の抵抗R、R、Rを含み、3個の抵抗R、R、Rの一端はモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWの一端に接続される。仮想中点生成部2の3個の抵抗R、R、Rの抵抗値が等しい抵抗Rに設定されることによって、3個の抵抗R、R、Rの他端の電圧はモータ(MT)1のU相のステータコイルLUとV相のステータコイルLVとW相のステータコイルLWの共通接続された他端の中点電位と実質的に等しい仮想中点電圧となる。
《誘起電圧検出部およびA/D変換部》
誘起電圧検出部3は、セレクタ31と増幅器32とサンプル/ホールド回路33とによって構成される。セレクタ31の第1スイッチSW1の一端はモータ(MT)1のU相のステータコイルLUの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端に接続され、第2スイッチSW2の一端はモータ(MT)1のV相のステータコイルLVの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端とに接続され、第3スイッチSW3の一端はモータ(MT)1のW相のステータコイルLWの一端と仮想中点生成部2の抵抗Rの一端とに接続される。セレクタ31の第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と第3スイッチSW3の3個の他端は増幅器32の非反転入力端子+に共通接続され、増幅器32の反転入力端子−には仮想中点生成部2の3個の抵抗R、R、Rの共通接続された他端の仮想中点電圧が供給される。また、セレクタ31の第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と第3スイッチSW3のオン・オフ制御は、初期加速制御部5の誘起電圧判定部51から生成される選択信号SELによって制御される。誘起電圧検出部3の増幅器32の出力信号はサンプル/ホールド回路33の入力端子に供給され、サンプル/ホールド回路33の出力端子のサンプル/ホールド出力信号である誘起検出電圧VMOUTはA/D変換部4のセレクタ4Aを介してA/Dコンバータ4Bに供給される。
《初期加速制御部》
初期加速制御部5は、誘起電圧判定部51とデコーダ52とシーケンサ53とによって構成される。誘起電圧判定部51は、誘起電圧検出部3とA/D変換部4とによって生成されるモータ(MT)1のU相とV相とW相の各相の誘起電圧の極性を判定して更に所定の基準値VTHのレベルよりも大きいか小さいかを判定する。誘起電圧判定部51の出力から、モータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが生成される。
初期加速制御部5のデコーダ52は、電圧判定部51の出力から生成される出力信号Dmodeをデコードすることによってモータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの通電相を指示する初期加速出力信号UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNONを生成する。
初期加速制御部5のシーケンサ53は、パラメータ設定レジスタ7Aから供給される3相のモータ(MT)1の回転開始のスタート信号Startに応答して、誘起電圧検出部3による3相の誘起電圧の検出動作を指示するセンス信号SENSEを電圧判定部51に供給する。またシーケンサ53は、電圧判定部51の出力から生成される出力信号Dmodeに応答して、モータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの6個の通電状態を示す初期加速通電モード信号Smodeを電圧判定部51に供給する。
図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置では、上記特許文献2と上記特許文献3に記載されたように3相のモータ(MT)1の初期加速のために誘起電圧検出部3による3相の誘起電圧の極性判定に基づき初期ロータ位置が特定されて、通電開始相が決定される。この通電開始相は、誘起電圧判定部51の出力端子から生成される通電相を指示する出力信号Dmodeによって指示される。従って、この初期通電相の決定結果に応答して、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置は、通電(モータ駆動)を開始して、3相のモータ(MT)1のPWM駆動を開始する。
図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によるPWM駆動中においては、上記特許文献3に記載されたように非通電相に発生する誘起電圧が検出され、誘起電圧が所定の基準値VTHを超えた際に通電相が切り替えられる。更に通電相を切り替えた後も引き続きモータ駆動中の非通電相に現れる誘起電圧が所定の基準値VTHを超えるタイミングが検出されて、これを相切り替えのタイミングに使用してモータが加速される。
《誘起電圧の検出》
図2は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、3相のモータ(MT)1の初期加速のためにモータ(MT)の初期ロータ位置を特定するための誘起電圧検出部3によって誘起電圧を検出するために、ロータが応答しないような短いパルス電流を2相の界磁コイルに流す様子を示す図である。
図2(A)は、モータ(MT)1のV相からW相へ順方向に短いパルス電流を流すことによって、非通電相のU相にロータの磁石とステータの磁界コイルとの位置関係に依存する誘起電圧Vm+が生成される様子を示す図である。
図2(B)は、モータ(MT)1のW相からV相へ逆方向に短いパルス電流を流すことによって、非通電相のU相にロータの磁石とステータの磁界コイルとの位置関係に依存する誘起電圧Vm−が生成される様子を示す図である。
《逆起電圧》
図3は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、3相のモータ(MT)1の回転によってモータ(MT)1のステータコイルLU、LV、LWにそれぞれ発生する逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)の波形を示す図である。
ステータコイルLUに発生する逆起電圧B−emf(U)は黒い丸が付された線で示され、ステータコイルLVに発生する逆起電圧B−emf(V)は黒い四角が付された線で示され、ステータコイルLWに発生する逆起電圧B−emf(W)は黒い三角が付された線で示されている。
《和の正規化誘起電圧》
図4は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置において、図2(A)に示す順方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm+と図2(B)に示す逆方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm−との和の正規化された誘起電圧の波形を示す図である。
図4において、図2(A)に示した順方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm+は黒い四角が付された線で示され、図2(B)に示した逆方向の短パルス電流通電により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vm−は白い三角が付された線で示され、誘起電圧Vm+と誘起電圧Vm−との和による正規化された誘起電圧は太い実線で示されている。図4で太い実線で示された正規化誘起電圧の極性は電気角180°毎に切り替えられて、図4で太い実線で示された非通電相のU相に生成される正規化誘起電圧の位相は図3の黒い丸が付された線で示されたステータコイルLUに発生する逆起電圧B−emf(U)の位相よりも電気角90°進んだ関係となる。
《誘起電圧判定部》
図5は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の初期加速制御部5の誘起電圧判定部51の構成を示す図である。
図5に示すように誘起電圧判定部51は、センス相デコーダ511、誘起電圧格納レジスタ512、加算部513、絶対値回路514、比較器515、通電相デコーダ516によって構成される。
センス相デコーダ511は、図1のシーケンサ53から供給される3相の誘起電圧の検出動作を指示するセンス信号SENSEとモータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの6個の通電状態を示す初期加速通電モード信号Smodeとに応答して、誘起電圧格納レジスタ512に供給される6個の格納イネーブルenを生成する。
誘起電圧格納レジスタ512の6個のレジスタ5121〜5126と絶対値回路514の入力端子には、図1のA/D変換部4のA/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTからの誘起電圧デジタル変換信号が供給される。
第1レジスタ5121はセンス相デコーダ511の第1格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のV相からW相へ順方向に流される短いパルス電流により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vmu+のデジタル変換信号を格納する。第2レジスタ5122はセンス相デコーダ511の第2格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のW相からV相へ逆方向に流される短いパルス電流により非通電相のU相に生成される誘起電圧Vmu−のデジタル変換信号を格納する。
第3レジスタ5123はセンス相デコーダ511の第3格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のU相からW相へ順方向に流される短いパルス電流により非通電相のV相に生成される誘起電圧Vmv+のデジタル変換信号を格納する。第4レジスタ5124はセンス相デコーダ511の第4格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のW相からU相へ逆方向に流される短いパルス電流により非通電相のV相に生成される誘起電圧Vmv−のデジタル変換信号を格納する。
第5レジスタ5125はセンス相デコーダ511の第5格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のU相からV相へ順方向に流される短いパルス電流により非通電相のW相に生成される誘起電圧Vmw+のデジタル変換信号を格納する。第6レジスタ5126はセンス相デコーダ511の第6格納イネーブルenのタイミングにおいて、モータ(MT)1のV相からU相へ逆方向に流される短いパルス電流により非通電相のW相に生成される誘起電圧Vmw−のデジタル変換信号を格納する。
加算部513は、第1加算器5131と第2加算器5132と第3加算器5133とを含んでいる。
第1加算器5131は第1レジスタ5121の格納情報である誘起電圧Vmu+のデジタル変換信号と第2レジスタ5122の格納情報である誘起電圧Vmu−のデジタル変換信号とを加算することによって、和の誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)のデジタル変換信号を生成する。
第2加算器5132は第3レジスタ5123の格納情報である誘起電圧Vmv+のデジタル変換信号と第4レジスタ5124の格納情報である誘起電圧Vmv−のデジタル変換信号とを加算することによって、和の誘起電圧(Vmv+)+(Vmv−)のデジタル変換信号を生成する。
第3加算器5133は第5レジスタ5125の格納情報である誘起電圧Vmw+のデジタル変換信号と第6レジスタ5126の格納情報である誘起電圧Vmw−のデジタル変換信号とを加算することによって、和の誘起電圧(Vmw+)+(Vmw−)のデジタル変換信号を生成する。
絶対値回路514の出力端子に生成されるA/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの誘起電圧デジタル変換信号の絶対値と図1のパラメータ設定レジスタ7Aから供給される所定の基準値VTHのデジタル値とが比較器515によって比較され、比較出力信号COMは通電相デコーダ516に供給される。
通電相デコーダ516は、3相の誘起電圧の検出動作を指示するセンス信号SENSEと加算部513からのデジタル変換信号(Vmu+)+(Vmu−)、(Vmv+)+(Vmv−)、(Vmw+)+(Vmw−)と6個の通電状態を示す初期加速通電モード信号Smodeと比較器515の比較出力信号COMとに応答して、通電相指示出力信号Dmodeを生成する。従って、通電相デコーダ516は、誘起電圧検出部3とA/D変換部4とによって生成されるモータ(MT)1のU相とV相とW相の各相の加算誘起電圧の極性を判定して更に所定の基準値VTHのレベルよりも大きいか小さいかを判定する。このようにして、誘起電圧判定部51は、モータ(MT)1のU相とV相とW相とのプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeを生成する。
《ロータの位置の特定》
図6は、図1と図5に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置におけるモータ(MT)1の3相のステータコイルLU、LV、LWの逆起電圧B−emf(U)、B−emf(V)、B−emf(W)と3相の加算誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)、(Vmv+)+(Vmv−)、(Vmw+)+(Vmw−)と絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTの波形を示す図である。
図6の下部のテーブルに示したように、3相の加算誘起電圧の極性情報(正/負)の組み合わせから、電気角60°ステップでロータの位置を特定することが可能となる。例えは、U相とV相とW相の加算誘起電圧の極性が(正、正、負)である場合には、ロータは電気角で0〜60°の位置であることが特定されて、U相からV相へ駆動電流を通電することによって、正転トルクが発生してロータを正転させることが可能となる。
上述したように、図1と図5に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の誘起電圧判定部51によって判定された3相の加算誘起電圧の極性情報に基づきモータ(MT)1の初期加速の通電開始相が決定されるので、次のモータ(MT)1の初期加速ではこの決定された通電開始相への通電が開始される。
更に、図6に示したように、3相の加算誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)、(Vmv+)+(Vmv−)、(Vmw+)+(Vmw−)に対応する絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHに到達することによって、通電相の切り替えが行われ、モータ(MT)1の初期加速が行われる。
《初期加速のための駆動電圧発生器》
図7は、図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置の駆動電圧発生器6Cの構成を示す図である。
図7に示した駆動電圧発生器6Cは、上述の初期加速の正転トルクを決定するための駆動電圧VDRVを生成するものである。
図7に示したように、駆動電圧発生器6Cは、デジタル減算器6C1とデジタル位相補償器6C2とデジタルクランプ回路6C3とデジタル乗算器6C4とによって構成されている。
デジタル減算器6C1においては、パラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値からA/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号が減算される。従って、A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号とパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値の誤差に対応するデジタル誤差出力信号がデジタル減算器6C1から、デジタル位相補償器6C2の入力端子に供給される。
デジタル位相補償器6C2はデジタル減算器6C1から供給されるデジタル誤差出力信号のデジタル積分処理を実行することによって、デジタル位相補償器6C2の出力端子からは上述した初期加速の正転トルクを決定するPWM駆動のデューティを指示するデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyが生成される。
デジタルクランプ回路6C3には、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限値が例えば、80%であることを示したPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMと初期加速制御部5のシーケンサ53からハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAとデジタル位相補償器6C2からデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyとが供給される。その結果、デジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyが指示するPWM駆動のデューティがPWMデューティ上限値80%未満である場合には、80%未満のデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyが、デジタルクランプ回路6C3の出力端子から生成される。一方、デジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyが指示するPWM駆動のデューティがPWMデューティ上限値80%よりも大きい場合には、PWMデューティ上限クランプ信号CLPWMによって指示されるPWMデューティ上限値の80%が、デジタルクランプ回路6C3の出力端子から生成される。また、ローレベルのクランプイネーブル信号CLENAが初期加速制御部5のシーケンサ53からデジタルクランプ回路6C3に供給される場合には、0%〜100%の範囲のデューティを有するデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyが、クランプされずに直接、デジタルクランプ回路6C3の出力端子から生成される。
デジタル乗算器6C4は、デジタルクランプ回路6C3のデジタル出力信号とPWM周期カウント数とを乗算することによって、デジタル駆動電圧VDRVを生成する。
PWM変調器6Bは、駆動電圧発生器6Cのデジタル乗算器6C4から生成されるデジタル駆動電圧VDRVに応答して、デジタル駆動電圧VDRVによって指定されたデューティに対応するPWM信号を出力駆動制御部6Aの入力端子に供給する。
その結果、ハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAがデジタルクランプ回路6C3に供給されている場合には、PWM変調器6Bから生成されるPWM信号はPWMデューティ上限値の80%未満となる。一方、ローレベルのクランプイネーブル信号CLENAがデジタルクランプ回路6C3に供給されている場合には、PWM変調器6Bから生成されるPWM信号は0%〜100%の範囲のデューティとなる。
出力駆動制御部6Aから生成されるPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティは、PWM変調器6Bから生成されるPWM信号のデューティで決定され、初期加速制御部5の初期加速出力信号UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNONによって出力駆動制御部6AからPWM駆動制御信号を出力する相が選択される。
その結果、ハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAがデジタルクランプ回路6C3に供給されている場合には、PWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティはPWMデューティ上限値の80%未満のデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyに対応するものとなる。一方、ローレベルのクランプイネーブル信号CLENAがデジタルクランプ回路6C3に供給されている場合には、PWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティは0%〜100%の範囲のデューティを有するデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyに対応するものとなる。
出力ドライバ8のパワーMOSFETを通電したモータ駆動電流ISENSEは、電流検出部9Aの直流シャント抵抗Rsnsにより電圧に変換され、この電圧はセンス増幅器9Bにより増幅され、センス増幅器9Bの電流検出電圧CRNTOUTはA/D変換部4のA/Dコンバータ4Bに供給される。A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号は、駆動電圧発生器6Cのデジタル減算器6C1に供給される。
《初期加速のための通電開始》
図8は図1に示した本発明の実施の形態1による初期加速のための通電開始時におけるモータ駆動制御装置のPWM変調器6Bおよび出力駆動制御部6Aの構成を示す図である。
図8に示すように、PWM変調器6Bは、減算器6B1、加算器6B2、PWM周期カウンタ6B3、除算器6B4、比較器6B5、6B6、AND回路6B7によって構成されている。駆動電圧発生器6Cから生成されるデジタル駆動電圧VDRVは減算器6B1と加算器6B2とに供給され、PWM周期カウント数は減算器6B1とPWM周期カウンタ6B3に供給され、PWM周期カウンタ6B3はPWM周期カウント数に応答してカウント出力CNTを生成する。減算器6B1によるデジタル駆動電圧VDRVとPWM周期カウント数との減算結果は除算器6B4によって1/2のデジタル値のPST信号に変換され、PST信号は加算器6B2と比較器6B6とに供給され、加算器6B2でのデジタル駆動電圧VDRVとPST信号の加算によるPED信号が比較器6B5に供給される。PWM周期カウンタ6B3からのカウント出力CNTは比較器6B5、6B6に供給されているので、比較器6B5、6B6はカウント出力CNTとPED信号、PST信号とのデジタル比較を実行する。比較器6B5、6B6のデジタル比較結果はAND回路6B7の2個の入力端子に供給され、AND回路6B7の出力端子からPWM変調器6Bの出力のPWM信号が生成される。
図8に示すように、出力駆動制御部6Aは、AND回路6A1、6A3、6A5とNOR回路6A2、6A4、6A6によって構成されている。出力駆動制御部6AのAND回路6A1、6A3、6A5とNOR回路6A2、6A4、6A6の複数の入力端子には、初期加速制御部5のデコーダ52から生成される初期加速出力信号UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNONが供給される。出力駆動制御部6AのAND回路6A1、6A3、6A5とNOR回路6A2、6A4、6A6の複数の出力端子からは、出力駆動制御部6Aの出力制御信号UPWM、UHIZ、VPWM、VHIZ、WPWM、WHIZが生成される。
初期加速出力信号UPONがハイレベル“1”の場合には、PWM変調器6Bの出力のPWM信号は出力駆動制御部6AのAND回路6A1によって選択され、AND回路6A1の出力端子から出力制御信号UPWMがPWM選択出力信号として生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM選択出力信号としての出力制御信号UPWMに応答して図1に示した出力トライバ8のU相のプルダウンパワーMOSFETM4がPWM駆動によってオン状態に制御され、U相のモータ(MT)1の通電が実行される。初期加速出力信号UPON、UNONの両者がローレベル“0”の場合には、AND回路6A1から出力制御信号UPWMがPWM選択出力信号として生成されずに、NOR回路6A2の出力端子からは出力制御信号UHIZが生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM非選択出力信号としての出力制御信号UHIZに応答して、図1に示した出力トライバ8のU相のプルアップパワーMOSFETM1とプルダウンパワーMOSFETM4とがオフ状態に制御され、U相のモータ(MT)1の通電は実行されない。
初期加速出力信号VPONがハイレベル“1”の場合には、PWM変調器6Bの出力のPWM信号は出力駆動制御部6AのAND回路6A3によって選択され、AND回路6A3の出力端子から出力制御信号VPWMがPWM選択出力信号として生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM選択出力信号としての出力制御信号UPWMに応答して図1に示した出力トライバ8のV相のプルダウンパワーMOSFETM5がPWM駆動によってオン状態に制御され、V相のモータ(MT)1の通電が実行される。初期加速出力信号VPON、VNONの両者がローレベル“0”の場合には、AND回路6A3から出力制御信号VPWMがPWM選択出力信号として生成されずに、NOR回路6A4の出力端子からは出力制御信号VHIZが生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM非選択出力信号としての出力制御信号VHIZに応答して、図1に示した出力トライバ8のV相のプルアップパワーMOSFETM2とプルダウンパワーMOSFETM5とがオフ状態に制御され、V相のモータ(MT)1の通電は実行されない。
初期加速出力信号WPONがハイレベル“1”の場合には、PWM変調器6Bの出力のPWM信号は出力駆動制御部6AのAND回路6A5によって選択され、AND回路6A5の出力端子から出力制御信号WPWMがPWM選択出力信号として生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM選択出力信号としての出力制御信号WPWMに応答して図1に示した出力トライバ8のW相のプルダウンパワーMOSFETM6がPWM駆動によってオン状態に制御され、W相のモータ(MT)1の通電が実行される。初期加速出力信号WPON、WNONの両者がローレベル“0”の場合には、AND回路6A5から出力制御信号WPWMがPWM選択出力信号として生成されずに、NOR回路6A6の出力端子からは出力制御信号WHIZが生成される。従って、出力駆動制御部6AのPWM非選択出力信号としての出力制御信号WHIZに応答して、図1に示した出力トライバ8のW相のプルアップパワーMOSFETM3とプルダウンパワーMOSFETM6とがオフ状態に制御され、W相のモータ(MT)1の通電は実行されない。
以上、説明したように初期加速制御部5のデコーダ52から生成される初期加速出力信号UPON、UNON、VPON、VNON、WPON、WNONに出力駆動制御部6Aが応答して、3相のモータ(MT)1の通電を実行して初期加速を行うものである。
図9は、図8に示した本発明の実施の形態1による初期加速のための通電開始時におけるモータ駆動制御装置のPWM変調器6Bおよび出力駆動制御部6Aの動作を説明するための波形図である。
図9には、減算器6B1とPWM周期カウンタ6B3に供給されるPWM周期カウント数と、加算器6B2での加算によるPED信号と、PWM周期カウンタ6B3のカウント出力CNTと、除算器6B4によるPST信号と、AND回路6B7の出力端子から生成されるPWM変調器6Bの出力のPWM信号が示されている。
図9の一番左に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より高くまた高レベルのPED信号よりも低い場合には、比較器6B6の出力はハイレベル“1”となり、比較器6B5の出力mハイレベル“1”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号もハイレベル“1”となる。
図9の左から2番目に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より高く更に高レベルのPED信号よりも高い場合には、比較器6B6の出力はハイレベル“1”となり、比較器6B5の出力はローレベル“0”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はローレベル“0”となる。
図9の左から3番目に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より低く更に高レベルのPED信号よりも低い場合には、比較器6B6の出力はローレベル“0”となり、比較器6B5の出力はハイレベル“1”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はローレベル“0”となる。
図9の左から4番目に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より高くまた高レベルのPED信号よりも低い場合には、比較器6B6の出力はハイレベル“1”となり、比較器6B5の出力はハイレベル“1”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はハイレベル“1”となる。
図9の左から5番目に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より高く更に高レベルのPED信号よりも高い場合には、比較器6B6の出力はハイレベル“1”となり、比較器6B5の出力はローレベル“0”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はローレベル“0”となる。
図9の左から6番目に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より低く更に高レベルのPED信号よりも低い場合には、比較器6B6の出力はローレベル“0”となり、比較器6B5の出力はハイレベル“1”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はローレベル“0”となる。
図9の一番右に示すように、カウント出力CNTのレベルが低レベルのPST信号より高くまた高レベルのPED信号よりも低い場合には、比較器6B6の出力はハイレベル“1”となり、比較器6B5の出力はハイレベル“1”となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号はハイレベル“1”となる。
従って図9に示すように、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のハイレベル“1”の期間(デューティ)は、駆動電圧発生器6Cから生成されるデジタル駆動電圧VDRVによって決定される。しかし、駆動電圧発生器6Cから生成されるデジタル駆動電圧VDRVがPWM周期カウント数と等しくなると、PST信号はゼロとなって、PED信号はデジタル駆動電圧VDRV、すなわちPWM周期カウント数となるので、PWM変調器6Bの出力のPWM信号のデューティが100%となる危険性がある。
その結果、このような場合にはモータ(MT)1の非通電相に発生する誘起電圧は図14(B)に示したように、PWM信号のデューティが100%では発生しないため、誘起電圧判定部51が所定の基準値VTHのレベルより大きいか小さいかの判定が不可能となる。その結果、誘起電圧判定部51の出力からモータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが切り替わらなくなり、モータ(MT)1を確実に起動することが困難となる。
このような状況において、初期加速のための通電開始動作のために、図1と図7に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置においては、初期加速制御部5のシーケンサ53からクランプイネーブル信号CLENAが駆動電圧発生器6Cに供給されて、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMが駆動電圧発生器6Cに供給される。
クランプイネーブル信号CLENAは、誘起電圧検出部3による初期ロータ位置の特定後での初期加速のための通電開始時における出力駆動制御部6Aから生成されるPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティの増大をクランプ可能とする。PWMデューティ上限クランプ信号CLPWMは、クランプイネーブル信号CLENAによって可能となったPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティクランプ動作におけるPWMデューティ上限値を指定するための信号である。
従って、初期加速制御部5のシーケンサ53からハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAが駆動電圧発生器6Cに供給されて、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限値が例えば80%を示したPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMが駆動電圧発生器6Cに供給される場合を想定する。A/Dコンバータ4Bの出力ADCOUTの電流検出デジタル信号とパラメータ設定レジスタ7Aから供給される電流指示の値の誤差が駆動電圧発生器6Cにより計算され、この誤差に対応する駆動電圧VDRVが駆動電圧発生器6Cの出力からPWM変調器6Bの入力に供給されるが、その最大値が80%に制限される。
図9に示したように、駆動電圧発生器6Cは最大値が80%に制限されデジタル駆動電圧VDRVを生成することによって、PWM変調器6Bはデューティが80%に制限されたPWM信号を出力駆動制御部6Aの入力に供給する。その結果、出力駆動制御部6Aから生成されるPWM駆動制御信号UPWM、VPWM、WPWMのデューティの増加の上限が、PWMデューティ上限クランプ信号CLPWMによって指定された80%にクランプされることが可能となる。
その結果、図1と図7に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によれば、図9に示した波形図において、PWM変調器6Bから生成されるPWM信号のデューティがPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMにより指定された数値、例えば80%にクランプされるようになる。従って、図1と図7とに示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によれば、誘起電圧判定部51が所定の基準値VTHのレベルより大きいか小さいかの判定が可能となる。その結果、誘起電圧判定部51の出力からモータ(MT)1のU相とV相とW相のプルアップおよびプルダウンの通電相を示す出力信号Dmodeが確実に切り替わり、モータ(MT)1を安定に起動することが可能となる。
《動作シーケンス》
図10は、図1と図7に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によって実行される3相センスによるロータの位置特定動作と初期加速のための通電動作との動作シーケンスを説明する図である。
図10に示したように、パラメータ設定レジスタ7Aから供給される3相のモータ(MT)1の回転開始のスタート信号Startのハイレベルと誘起電圧検出部3による3相の誘起電圧の検出動作を指示するハイレベルのセンス信号SENSEとに応答して、3相センスによるロータの位置特定動作が開始される。
図10の拡大図には、3相センスによるロータの位置特定動作の詳細が示されている。
最初のU相センスでは、U相とV相とW相の3相が全て出力ハイインピーダンス状態Hi−Zとされた後に、オフセットキャリブレーションが実行される。その後に、V相からW相に短いパルス電流が順方向に流されることにより非通電相のU相に生成される誘起電圧Vmu+が測定される。再びU相とV相とW相の3相が全て出力ハイインピーダンス状態Hi−Zとされた後に、W相からV相へ短いパルス電流が逆方向に流されることにより非通電相のU相に生成される誘起電圧Vmu−が測定される。このようにして、U相の和のデジタル誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)が測定されることが可能となる。
その他のV相センスとW相センスに関しても、上述したU相センスと全く同様に出力ハイインピーダンス状態Hi−Zとオフセットキャリブレーションと誘起電圧センスと出力ハイインピーダンス状態Hi−Zとオフセットキャリブレーションと誘起電圧センスとによって、V相の和のデジタル誘起電圧(Vmv+)+(Vmv−)とW相の和のデジタル誘起電圧(Vmw+)+(Vmw−)とが測定されることが可能となる。
図6の下部のテーブルで説明したように、U相とV相とW相との各相の和のデジタル誘起電圧の極性情報(正/負)によって初期ロータ位置を特定して更に正転トルクを発生してロータを正転させるための通電開始相を決定する。
初期加速のための1回目の通電動作では、上述のように決定された通電開始相の2つのステータコイルにPWM駆動電流が通電されて、1回目の初期加速が実行される。この1回目の通電動作のPWM駆動中も、非通電相に発生する誘起電圧が検出される。すなわち、図6で説明したように3相の加算誘起電圧(Vmu+)+(Vmu−)、(Vmv+)+(Vmv−)、(Vmw+)+(Vmw−)に対応する絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHに到達することによって、通電相の切り替えが行われて、モータ(MT)1の初期加速が行われる。この1回目の通電動作の絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHに到達することにより1回目の通電相の切り替えが行われ、初期加速のための2回目の通電動作のPWM駆動が開始される。この2回目の通電動作のPWM駆動中も非通電相に発生する誘起電圧が検出され、2回目の通電動作の絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHに到達することにより2回目の通電相の切り替えが行われて、初期加速のための3回目の通電動作のPWM駆動が開始される。
図1と図5と図7とに示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によれば、図10に示した初期加速のための動作シーケンスにおいて、U相とV相とW相との各相のPWM駆動のデューティの上限値を100%以下の任意の値に可変設定することが可能となる。その結果、誘起電圧判定部51がモータ(MT)1のU、V、W各相の誘起電圧の極性判定と所定の基準値VTHのレベルとの大小判定が可能となって、通電相を示す出力信号Dmodeが確実に生成され、モータ(MT)1を確実に起動することが可能となる。
すなわち、パラメータ設定レジスタ7AからPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMとシーケンサ53からハイレベルのクランプイネーブル信号CLENAとが、駆動電圧発生器6Cに供給される。従って、PWMデューティ上限値を例えば、80%に設定するPWMデューティ上限クランプ信号CLPWMが駆動電圧発生器6Cに供給されることによって、PWM駆動のデューティの上限値を任意に可変設定することが可能となるものである。
図10に示した動作シーケンスの3回目の通電動作のPWM駆動が完了すると、初期加速から最終加速に加速動作が切り替えられる。この切り替えは、モータ(MT)1の回転数が所定値に到達したことを検出することで実行可能であり、またスタート信号STARTのローレベルからハイレベルへの変化タイミングまたはセンス信号SENSEのハイレベルからローレベルへの変化タイミングから所定時間が経過したことを検出することで実行可能である。
切り替えの後の最終加速では、例えば図1に示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置では、誘起電圧検出部3は図3に示した逆起電圧と図4に示した正規化誘起電圧の合成電圧を検出するようになる。その結果、初期加速制御部5の誘起電圧判定部51は上述した合成電圧の絶対値が所定の基準値VTHに到達することで、通電相の切り替えを行い、モータ(MT)1の最終加速が実行されるものである。この最終加速の動作期間では、シーケンサ53から駆動電圧発生器6Cに供給されるクランプイネーブル信号CLENAはローレベルとされる。従って、ローレベルのクランプイネーブル信号CLENAに応答して駆動電圧発生器6Cは、0%〜100%の範囲のデューティを有するデジタルPWMデューティ出力信号PWM Dutyをクランプせずに直接、デジタルクランプ回路6C3の出力端子に生成するものとなる。
デューティが100%になった場合でも最終加速では逆起電圧を検出することになるため問題なく加速を行うことができ、またデューティの制限もなくなることから、大きな加速トルクによってモータ(MT)1の最終加速が安定に行うことが可能となるものとなる。
[実施の形態2]
《モータ駆動制御装置の改良構成》
図1と図5と図7とに示した本発明の実施の形態1によるモータ駆動制御装置によれば、温度が発熱等により上昇するか、電源電圧が低下する等の原因によって、初期加速の途中でモータ(MT)1のU相とV相とW相との各相の誘起電圧が所定の基準値VTHのレベルに到達しなくなり、通電相の切り替えが不可能となり、初期加速が中断され、モータ(MT)1の起動が失敗する可能性を否定できない。
以下に説明する本発明の実施の形態2は、上述したモータ(MT)1の起動が失敗すると言う可能性を低減するのに有効な技術である。
図11は、図1に示したモータ駆動制御装置の初期加速制御部5の誘起電圧判定部51の本発明の実施の形態2による構成を示す図である。
図5に示した本発明の実施の形態1による誘起電圧判定部51と比較すると、図11に示す本発明の実施の形態2による誘起電圧判定部51には基準値切り替え回路517が追加されている。
図11に示す本発明の実施の形態2によれば、絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHのレベルに到達しなくなったような場合には、絶対値回路514の極性判定信号POLの切り替りによって通常の通電相より1つ進んだ通電相に切り替えるように構成する。またその際に基準値切り替え回路517は所定の基準値VTHのレベルよりも低レベルのサブ基準値VTHSUBを比較器515の反転入力端子−に供給するように構成する。所定の基準値VTHに到達できない際の極性判定信号POLの切り替わりは次の通電状態における切り替わりと一致するため、1つ進んだ通電相への切り替えでその後の検出相を正常に戻すことが可能になる。また、一度検出できなかったしきい値VTHよりも低レベルのサブ基準値VTHSUBに切り替えているため、図11に示した本発明の実施の形態2によれば、絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTは低レベルのサブ基準値VTHSUBのレベルに到達するものとなり、通電相の切り替えが可能となり、初期加速が中断されず、モータ(MT)1の起動が失敗する可能性を低減することが可能となる。尚、図11に示す本発明の実施の形態2による誘起電圧判定部51では、比較器515の比較出力信号COMと絶対値回路514の極性判定信号POLとは通電相デコーダ516に供給される。
図12は、図11に示した本発明の実施の形態2による誘起電圧判定部51を含んだ図1に示したモータ駆動制御装置におけるモータ(MT)1の3相のステータコイルLU、LV、LWの逆起電圧と3相の加算誘起電圧と絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTと比較出力信号COMと極性判定信号POLの波形を示す図である。
図12に示したように、絶対値回路514からの絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHのレベルに到達している場合には、正常な比較出力信号COMが比較器515から生成される。しかしながら、図12に示すように絶対値回路514からの絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHのレベルに到達しなくなったような場合には、比較器515から正常な比較出力信号COMが生成されなくなる。すなわち、電気角60度のタイミングにおいて、比較器515から正常なハイレベルの比較出力信号COMが生成されなくなる。
従って、例えば図11に示した本発明の実施の形態2による誘起電圧判定部51の通電相デコーダ516は、時間計測を実行することによって、所定のタイミングで比較器515から正常なハイレベルの比較出力信号COMが供給されなくなったことを検出する。これに応答して通電相デコーダ516は、極性判定信号POLの切り替りで通常の通電相より1つ進んだ通電相に切り替えるように動作する。また、通電相の切り替えの際に、基準値切り替え回路517は所定の基準値VTHのレベルよりも低レベルのサブ基準値VTHSUBを比較器515の反転入力端子−に供給するように構成する。
従って、図12に示したように、何らかの異常によって絶対値回路514からの絶対値出力ADCOUTが所定の基準値VTHのレベルに到達しなくなった場合においても、通電相の切り替えは極性判定信号POLで行うことができ、極性判定信号POLの切り替わりは次の通電状態における切り替わりと一致するため、1つ進んだ通電相への切り替えによってその後の検出相を正常に戻すことが可能になる。また、一度検出できなかったしきい値VTHよりも低レベルのサブ基準値VTHSUBに切り替えているため、絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTは低レベルのサブ基準値VTHSUBのレベルに到達するものとなり、その後の通電相の切り替えも可能となり、初期加速が中断されず、モータ(MT)1の起動が失敗する可能性を低減することが可能となる。
以上説明したように、図11と図12に示した本発明の実施の形態2によれば、初期加速の動作期間中に一時的な異常が発生した場合には、この異常なタイミングの相切り替えをスキップして比較器515の反転入力端子−に供給される基準レベルを所定の値からそれよりも低レベルのサブ基準値に切り替えられるものである。従って、その次のタイミングで絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTは低レベルのサブ基準値に到達して、通電相の切り替えが可能となり、初期加速が中断されず、モータ(MT)1の起動が失敗する可能性が低減されるものである。尚、絶対値回路514の絶対値出力ADCOUTが低レベルのサブ基準値VTHSUBのレベルに所定回数分到達することを検出することに応答して、比較器515の反転入力端子−に供給される基準レベルを低レベルのサブ基準値VTHSUBから所定の基準値VTHのレベルに切り替えられるものである。
以上、本発明者によってなされた発明を種々の実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、出力ドライバ8に含まれたプルアップパワーMOSFETM1、M2、M3はNチャネルMOSFETだけではなく、PチャネルMOSFETを使用することができる。
更に、出力ドライバ8に含まれたプルアップパワーMOSFETM1、M2、M3とプルダウンプパワーMOSFETM4、M5、M6とは、MOSFETだけではなく、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のパワートランジスタを使用することが可能である。
また更に上述した実施の形態では、3相直流モータを駆動制御するモータ駆動制御装置を例に説明したが、本発明はそれ以外に多相直流モータを駆動制御するモータ駆動制御装置に適用することも可能である。
更に本発明は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータだけではなく、ハードディスク装置(HDD)や光ディスク装置の冷却ファンモータを駆動制御するモータ駆動制御装置に適用することも可能である。
1…モータ(MT)
2…仮想中点生成部
3…誘起電圧検出部
4…A/D変換部
5…初期加速制御部
51…誘起電圧判定部
52…デコーダ
53…シーケンサ
6A…出力駆動制御部
6B…PWM変調器
6C…駆動電圧発生器
7A…パラメータ設定レジスタ
7B…シリアルポート
8…出力ドライバ
9A…電流検出部
9B…センス増幅器
UPWM、VPWM、WPWM…PWM駆動制御信号
CLENA…クランプイネーブル信号
CLPWM…PWMデューティ上限クランプ信号

Claims (18)

  1. 電圧検出部と、A/D変換部と、初期加速制御部と、出力駆動制御部と、出力ドライバと、電流検出部と、入力回路とを具備するモータ駆動制御装置であって、
    前記出力ドライバは、多相直流モータを駆動する複数のパワートランジスタと、前記複数のパワートランジスタの複数の入力電極を駆動する出力プリドライバとを含み、
    前記電流検出部は、前記多相直流モータに流れるモータ駆動電流を検出可能とされ、
    前記電流検出部によって検出される前記モータ駆動電流の検出情報は、前記A/D変換部により電流検出デジタル信号に変換され、
    前記出力駆動制御部は、電流指示信号と前記電流検出デジタル信号との誤差が最小となるようなPWM駆動のためのPWM駆動出力信号を前記出力プリドライバに供給して、
    前記電圧検出部は、前記多相直流モータの各相のステータコイルに生成される誘起電圧を検出して、検出誘起電圧を生成することが可能とされ、
    前記初期加速制御部は、前記多相直流モータの起動時に動作状態に制御され、前記電圧検出部から生成される前記検出誘起電圧に応答して前記多相直流モータの初期加速のための通電相を指示する複数の初期加速出力信号を前記出力駆動制御部に供給して、
    前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバとは、前記多相直流モータの前記起動時に前記検出誘起電圧と前記誤差とにそれぞれ応答して前記通電相の切り替えと前記PWM駆動によって前記多相直流モータの前記初期加速を行うものであり、
    前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部から前記出力プリドライバに供給される前記PWM駆動出力信号のデューティの上限値を制限するためのデューティ制御信号が、前記モータ駆動制御装置の外部から前記入力回路に供給される所望の制御信号に基づいて前記出力駆動制御部に供給可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記電圧検出部から生成される前記検出誘起電圧は、前記A/D変換部により誘起電圧検出デジタル信号に変換され、
    前記初期加速に先立って、前記初期加速制御部は前記多相直流モータの前記各相の前記誘起電圧検出デジタル信号の極性情報の組み合わせから前記多相直流モータのロータの位置を特定可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  3. 請求項2において、
    前記初期加速に先立って特定された前記ロータの位置に基づいて、前記初期加速制御部は前記初期加速のための最初の通電相を決定する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記初期加速のための前記最初の通電相への通電の後に、前記誘起電圧検出デジタル信号が所定の基準値に到達することに応答して、前記初期加速制御部は前記通電相の前記切り替えを実行する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  5. 請求項4において、
    前記初期加速制御部は前記入力回路から供給される前記多相直流モータの回転開始のスタート信号に応答して、前記初期加速の期間にクランプ許可信号を生成して、
    前記初期加速の期間において、前記初期加速制御部から生成される前記クランプ許可信号に応答して、前記出力駆動制御部は前記出力プリドライバに供給する前記PWM駆動出力信号の前記デューティの前記上限値を前記デューティ制御信号に従って設定する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  6. 請求項5において、
    前記初期加速制御部は、前記誘起電圧検出デジタル信号が所定のタイミングで前記所定の基準値に到達しないことを検出して、当該非到達の検出信号を生成して、
    前記初期加速制御部は、前記非到達の検出信号に応答して、前記所定の基準値のレベルよりも低レベルのサブ基準値を生成して、
    前記初期加速制御部は、前記誘起電圧検出デジタル信号が前記低レベルのサブ基準値に到達することに応答して、前記通電相の切り替えを実行する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  7. 請求項5において、
    前記所定の基準値は、前記モータ駆動制御装置の前記外部から前記入力回路を介して前記初期加速制御部に供給可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  8. 請求項5において、
    前記電圧検出部と前記A/D変換部と前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバは、半導体集積回路の半導体チップに集積化されたことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  9. 請求項8において、
    前記半導体集積回路の前記半導体チップに集積化された前記電圧検出部と前記A/D変換部と前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバはハードディスク装置の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータとしての3相直流モータである前記多相直流モータを駆動可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  10. 電圧検出部と、A/D変換部と、初期加速制御部と、出力駆動制御部と、出力ドライバと、電流検出部と、入力回路とを具備するモータ駆動制御装置の動作方法であって、
    前記出力ドライバは、多相直流モータを駆動する複数のパワートランジスタと、前記複数のパワートランジスタの複数の入力電極を駆動する出力プリドライバとを含み、
    前記電流検出部は、前記多相直流モータに流れるモータ駆動電流を検出可能とされ、
    前記電流検出部によって検出される前記モータ駆動電流の検出情報は、前記A/D変換部により電流検出デジタル信号に変換され、
    前記出力駆動制御部は、電流指示信号と前記電流検出デジタル信号との誤差が最小となるようなPWM駆動のためのPWM駆動出力信号を前記出力プリドライバに供給して、
    前記電圧検出部は、前記多相直流モータの各相のステータコイルに生成される誘起電圧を検出して、検出誘起電圧を生成することが可能とされ、
    前記初期加速制御部は、前記多相直流モータの起動時に動作状態に制御され、前記電圧検出部から生成される前記検出誘起電圧に応答して前記多相直流モータの初期加速のための通電相を指示する複数の初期加速出力信号を前記出力駆動制御部に供給して、
    前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバとは、前記多相直流モータの前記起動時に前記検出誘起電圧と前記誤差とにそれぞれ応答して前記通電相の切り替えと前記PWM駆動によって前記多相直流モータの前記初期加速を行うものであり、
    前記初期加速の期間に前記出力駆動制御部から前記出力プリドライバに供給される前記PWM駆動出力信号のデューティの上限値を制限するためのデューティ制御信号が、前記モータ駆動制御装置の外部から前記入力回路に供給される所望の制御信号に基づいて前記出力駆動制御部に供給可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  11. 請求項10において、
    前記電圧検出部から生成される前記検出誘起電圧は、前記A/D変換部により誘起電圧検出デジタル信号に変換され、
    前記初期加速に先立って、前記初期加速制御部は前記多相直流モータの前記各相の前記誘起電圧検出デジタル信号の極性情報の組み合わせから前記多相直流モータのロータの位置を特定可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  12. 請求項11において、
    前記初期加速に先立って特定された前記ロータの位置に基づいて、前記初期加速制御部は前記初期加速のための最初の通電相を決定する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  13. 請求項12において、
    前記初期加速のための前記最初の通電相への通電の後に、前記誘起電圧検出デジタル信号が所定の基準値に到達することに応答して、前記初期加速制御部は前記通電相の前記切り替えを実行する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  14. 請求項13において、
    前記初期加速制御部は前記入力回路から供給される前記多相直流モータの回転開始のスタート信号に応答して、前記初期加速の期間にクランプ許可信号を生成して、
    前記初期加速の期間において、前記初期加速制御部から生成される前記クランプ許可信号に応答して、前記出力駆動制御部は前記出力プリドライバに供給する前記PWM駆動出力信号の前記デューティの前記上限値を前記デューティ制御信号に従って設定する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  15. 請求項14において、
    前記初期加速制御部は、前記誘起電圧検出デジタル信号が所定のタイミングで前記所定の基準値に到達しないことを検出して、当該非到達の検出信号を生成して、
    前記初期加速制御部は、前記非到達の検出信号に応答して、前記所定の基準値のレベルよりも低レベルのサブ基準値を生成して、
    前記初期加速制御部は、前記誘起電圧検出デジタル信号が前記低レベルのサブ基準値に到達することに応答して、前記通電相の切り替えを実行する
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  16. 請求項14において、
    前記所定の基準値は、前記モータ駆動制御装置の前記外部から前記入力回路を介して前記初期加速制御部に供給可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  17. 請求項14において、
    前記電圧検出部と前記A/D変換部と前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバは、半導体集積回路の半導体チップに集積化された
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
  18. 請求項17において、
    前記半導体集積回路の前記半導体チップに集積化された前記電圧検出部と前記A/D変換部と前記初期加速制御部と前記出力駆動制御部と前記出力ドライバはハードディスク装置の磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータとしての3相直流モータである前記多相直流モータを駆動可能とされた
    ことを特徴とするモータ駆動制御装置の動作方法。
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