JP6595935B2 - ガラス用接着剤、ガラス用接着剤の製造方法及びガラス接着体の製造方法 - Google Patents
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Description
シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と
を含むものであることを特徴とするガラス用接着剤を提供する。
R2 aSi(OR1)4−a…(1)
(式中、R1は同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
シランカップリング剤又はその加水分解生成物と
を含むガラス用接着剤を製造する方法であって、前記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して前記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して前記ガラス用接着剤を製造することを特徴とするガラス用接着剤の製造方法を提供する。
テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と
により行うことが好ましい。
テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と、
該加熱後の溶液に、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を前記テトラアルコキシシラン100質量部に対し0.01〜3質量部添加する工程と
により行うことが好ましい。
上記のように、本発明のガラス用接着剤は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物とを含む。そして、上記のように、シランカップリング剤又はその加水分解生成物のガラス用接着剤への配合割合は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対し、シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部を満たさなければならない。シランカップリング剤又はその加水分解生成物の配合量が0.01質量部未満では硬化時に接着層にクラックが入りやすく、接着性が低下する。上記配合量が3質量部よりも大きな値では、加熱処理後に除去される有機物の割合が増えるため、加熱処理後に接着強度が低下する。すなわち、耐熱性が低下する。
本発明に使用するテトラアルコキシシランとしては特に限定されないが、例えば、下記一般式(2):
Si(OR1)4…(2)
(式中、R1は同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
で表されるテトラアルコキシシランが挙げられる。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
本発明で使用されるシランカップリング剤としては、無機質材料と化学結合する縮合反応性基及び有機質材料と化学結合する反応性基を有する有機珪素化合物であれば特に限定はされないが、例えば、下記一般式(1):
R2 aSi(OR1)4−a…(1)
(式中、R1は同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤が挙げられる。R1の具体例としては、上記一般式(2)におけるR1の例示と同様の基が挙げられる。R2の具体例としては、3−グリシドキシプロピル基、p−スチリル基、3−メタクリロキシプロピル基、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
本発明のガラス用接着剤は、加水分解を行うために水及びアルコールを含むものであることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール等が挙げられる。アルコールとしてはテトラエトキシシランを使用する場合はエタノールが好ましく、テトラブトキシシランを使用する場合はn−ブタノールが好ましい。水の配合量は特に限定されないが、例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して5〜1000質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。また、アルコールの配合量は特に限定されないが、例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して0〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜250質量部である。なお、上記加水分解のための水の他に、接着剤を希釈するために別途水を添加してもよい。
本発明のガラス用接着剤のpHは2以上8以下であることが好ましく、より好ましくはpHが2以上5未満である。pHを酸性から弱アルカリ性、特には酸性とすることで、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解反応が比較的ゆるやかに進行するため、コントロールしやすく均一な溶液を作製することができる。
また、本発明のガラス用接着剤には、上記成分以外の他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、乾燥制御剤、シリカ等の酸化物粒子等が挙げられる。その他の成分として有機物を含む成分を用いる場合は、本発明のガラス用接着剤が硬化する過程で揮発する成分を用いることが好ましい。
本発明のガラス用接着剤は、ガラスを接着するために使用する。ガラスの具体例としては、石英ガラス等が挙げられるが、ケイ酸塩ガラス等、他のガラス材にも適用できる。本発明のガラス用接着剤であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分を含まないものとすることができるため石英ガラスへの応用も可能である。なお、本発明のガラス用接着剤は、ガラス同士を接着する際に好適に用いることができるが、ガラスと金属のような異種間接着にも適用することができる。
次に、本発明のガラス用接着剤の製造方法について説明する。本発明のガラス用接着剤の製造方法は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物とを含むガラス用接着剤を製造する方法であって、上記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して上記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して上記ガラス用接着剤を製造することを特徴とする。これにより、接着性及び耐熱性に優れたガラス用接着剤を製造することができる。より具体的には、以下の2つの製造方法が挙げられるが、本発明のガラス用接着剤の製造方法はこれらに限定されない。
第一の製造方法においては、まず、テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する。すなわち、第一の製造方法においては、準備する溶液にシランカップリング剤又はその加水分解生成物を添加する。上記準備する溶液は、加水分解後のテトラアルコキシシランを含む溶液と比べて低極性であるため、この方法は、原料として水に溶けにくいシランカップリング剤(例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を用いる際に好適に用いることができる。
第二の製造方法においては、まず、テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する。第二の製造方法においても、第一の製造方法と同様に、準備する溶液を、アルコールを含むものとすることが好ましい。なお、準備する溶液にその他の成分を添加することもできる。
更に本発明では、上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いてガラス体同士を接着し、ガラス接着体を製造することを特徴とするガラス接着体の製造方法を提供する。このようなガラス接着体の製造方法であれば、接着剤として上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いるため、耐熱性に優れたガラス接着体を製造することができる。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.5質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。次に、この混合物を室温まで冷却した後にシランカップリング剤としてN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩1質量部を添加し、軽く攪拌することで接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。次に、この混合物を室温まで冷却した後にシランカップリング剤としてN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩0.02質量部を添加し、軽く攪拌することで接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
<加熱条件>
300℃×5時間、500℃×5時間、700℃×5時間、900℃×5時間、1100℃×10時間
<エキシマランプ照射条件>
172nm、175mW/cm2、100時間
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラメトキシシランに、エタノールを、メタノールに、加熱条件を、80℃で20分間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラプロポキシシランに、エタノールを、n−プロパノールに、加熱条件を220℃で4時間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラブトキシシランに、エタノールを、n−ブタノールに、加熱条件を240℃で4時間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
Claims (14)
- テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物:100質量部と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と
を含むものであることを特徴とするガラス用接着剤。 - 前記シランカップリング剤が、下記一般式(1):
R2 aSi(OR1)4−a…(1)
(式中、R1は同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載のガラス用接着剤。 - 更に、水及びアルコールを含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガラス用接着剤。
- 前記ガラス用接着剤のpHが2以上8以下であることを特徴とする請求項3に記載のガラス用接着剤。
- 前記ガラス用接着剤の硬化物が透明であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガラス用接着剤。
- 石英ガラス同士を接着するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガラス用接着剤。
- テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物と
を含むガラス用接着剤を製造する方法であって、前記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して前記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して前記ガラス用接着剤を製造することを特徴とするガラス用接着剤の製造方法。 - 前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と
により行うことを特徴とする請求項7に記載のガラス用接着剤の製造方法。 - 前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と、
該加熱後の溶液に、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を前記テトラアルコキシシラン100質量部に対し0.01〜3質量部添加する工程と
により行うことを特徴とする請求項7に記載のガラス用接着剤の製造方法。 - 前記準備する溶液を、アルコールを含むものとすることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のガラス用接着剤の製造方法。
- 前記加熱を250℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のガラス用接着剤の製造方法。
- 請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いてガラス体同士を接着し、ガラス接着体を製造することを特徴とするガラス接着体の製造方法。
- 前記ガラス接着体に対し、更に、加熱処理を施すことを特徴とする請求項12に記載のガラス接着体の製造方法。
- 前記ガラス体を石英ガラスとすることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のガラス接着体の製造方法。
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