JP2786996B2 - 光学部品の製造方法 - Google Patents

光学部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、石英ガラスより成るプ
リズム同志を、接着して貼り合せることにより光学部品
を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】可視光線領域から紫外線領域に亘り高い
光透過率を示すガラスとして石英ガラスがある。この石
英ガラスより成るプリズム同志を貼り合せてビームスプ
リッター等の光学部品を製造する際に、オプティカルコ
ンタクトによりプリズム同志を貼り合せる方法がとられ
ている。オプティカルコンタクトを行う時には、接着面
の表面粗さを波長の1/100程度の非常に小さい値に
する必要があり、そのため、接着面を十分平滑になるよ
うに研磨するか、接着面上に薄膜を設けなければならな
い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着面
を十分平滑になるように研磨する場合は光学部品の製造
に手間がかかり、接着面上に薄膜を設ける場合には張り
合せの際の接着性が悪くなるという問題が生じる。そこ
で本発明の目的は、接着面の表面粗さの影響を受けにく
い、石英ガラスより成るプリズム同志を貼り合せる工程
を有する光学部品の製造方法を提供することにある。 【0004】 【課題を達成するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、石英ガラスより成るプリズム同志を貼り合
せる工程を有する光学部品の製造方法において、前記プ
リズム同志の接着を、シリコンアルコレートの加水分解
生成物により行なうことを特徴とする光学部品の製造方
法を提案するものである。 【0005】 【実施例】以下、実施例に従い本発明を詳しく説明す
る。 【0006】図1はプリズム・タイプの偏光ビーム・ス
プリッターを示す模式図である。この偏光ビーム・スプ
リッターは、偏光ビーム・スプリッター膜3が成膜され
たプリズム1ともう一つのプリズム2とがSi−アルコ
レートの加水分解生成物4により接着されて形成された
ものである。 【0007】各プリズムは合成石英から成り、一方のプ
リズム1上に設けられた偏光ビーム・スプリッター膜3
は誘電体の多層膜から成り、真空蒸着、スパッター、イ
オンプレーティング等により形成されたものである。こ
の偏光ビーム・スプリッターの分光特性を図2に示す。
図2で、5は反射率のP成分、6は反射率のS成分を示
す。なお、この偏光ビーム・スプリッターはKrF・エ
キシマ・レーザー用のものである。 【0008】上記偏光ビーム・スプリッターの両プリズ
ムを接着するために本発明ではSi−アルコレートを用
いる。Si−アルコレートは、加水分解されることによ
り、ガラス状のSiO2 となり接着能を呈するので接着
剤として利用できる。しかもSi−アルコレートの加水
分解生成物とプリズムを構成する石英ガラスとは同じ成
分であるので、両者の屈折率が一致もしくはほぼ一致す
る上に両者の親和性も高く強い接着力を示す。 【0009】Si−アルコレートは種々のものが利用で
きるけれども、例えばエチルシリケートSi54(OC
2512等を選択すればよい。ただし他にもシリコン
テトラエトキサイド:Si(OC254 等のSin
n-1(OC252n+2に代表されるSinn-1(OR)
2n+2(Rは置換または非置換の炭化水素基、nは1以
上)やRnSi(OR)4-n 等のSiアルコラートが使
用できる。 【0010】上に例示されたようなSi−アルコレート
の加水分解の条件、触媒は特に制限はなく、常法に従っ
て加水分解を実施すればよい。 【0011】加水分解後には溶媒のアルコール、もしく
はエステルが残留するが、低沸点のアルコール、エステ
ル、(例えば、エチルアルコール、硫酸エステル等)
は、接着後揮発する。より積極的にこれを除去するなら
ば、加熱するか真空にすることで処理できる。また接着
に際して接着面にゴミ、ホコリ等の異物や不純物が存在
すると、接着強度が低下したり、レーザー損傷の原因に
なることから、接着においては、接着面を十分クリーニ
ングするとともに、接着剤をロ過して用いるなど、不純
物の除去が必要である。特に作業環境としては、クリー
ンルームが適している。 【0012】両プリズムを接着するために、Si−アル
コレートの加水分解生成物を両プリズムの貼り合わせ面
にコーティングする必要があるが、そのために例えば
り合せの面に滴下、塗布して接着するなどの一般的な方
法も利用できるけれども、接着層を1μm程度にまで薄
くするために次の方法が好適である。即ち、両プリズム
を接合し、その隙間にSiアルコレートの加水分解生成
物を注射器等を利用して注入して、毛細管現象により両
プリズムの接合面全体に加水分解生成物を行き渡らせる
方法である。この方法において、Siアルコレートを接
合面上にうまく広げ、かつ膜厚、膜の形成速度をコント
ロールするためにはSi−アルコレートに適当な粘性を
もたらすことが必要である。これは金属アルコレートを
適当に選択した溶液に溶解することにより実現できる。
この溶液としては、例えばブチルアルコール等の高沸点
アルコールやエステルが利用できる。 【0013】一般にSi−アルコレートは、加水分解
後、加熱することによって、脱水、重合が進みSiO2
非晶質膜へ変化し、光学部品の材料により近いものとな
る。しかし、本発明、特にこの実施例では、加熱を行な
わなくても、接着層は加熱をした場合と同等の光学的特
性を示し且つ実用上十分な接着能を呈するので、加熱の
必要はない。 【0014】本発明を、グラン・トムソン、グラン・テ
ィラー、ウォラストン・プリズム等の製造に適用し、そ
の構成部品をSi−アルコレートの加水分解生成物によ
り接着することにより、従来よりも短波長領域側へより
広い波長領域において使用できる各種のプリズムを提供
することができる。 【0015】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、石英ガラス
より成るプリズム同志の貼り合せに、接着剤としてSi
−アルコレートの加水分解生成物を用いた本発明では、
接着力が強く、しかも接着層と接着基体との屈折率が調
和する。また、本発明では、オプティカルコンタクトを
利用した場合に比べて、光学部品同志の接着力が接着面
の粗さに影響を受けにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例により製造されたプリズム・
タイプの偏光ビーム・スプリッターの断面図である。 【図2】図1の偏光ビーム・スプリッターの分光特性を
示す図である。 【符号の説明】 1,2 プリズム 3 プリズム1上に形成された偏光ビーム・スプリッタ
ー膜 4 Si−アルコレートの加水分解生成物の層 5 反射率のP成分 6 反射率のS成分

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.石英ガラスより成るプリズム同志を貼り合せる工程
    を有する光学部品の製造方法において、前記プリズム同
    志の接着を、シリコンアルコレートの加水分解生成物に
    より行なうことを特徴とする光学部品の製造方法。
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