JP2004078247A - 位相差フィルムの製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来とは異なる光学特性を有する位相差フィルムを、効率的に、かつ工業的にも有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムを、(1) Tg<Tp≦(Tg+100℃)〔ここにTgは熱可塑性樹脂のガラス転移温度、Tpは予熱温度〕を満たす温度範囲Tpにおいて予熱し、(2) Tg<Ts≦(Tg+100℃)〔ここにTsは延伸温度〕を満たす温度範囲Tsにおいて、延伸軸と直交する方向における長さの収縮を起こさないようにして変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍で一軸延伸し、次いで(3) (Ts−50℃)≦Ths≦Ts〔ここにThsは熱処理温度〕を満たす温度範囲Thsにおいて熱処理することにより、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下である位相差フィルムを製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムを、(1) Tg<Tp≦(Tg+100℃)〔ここにTgは熱可塑性樹脂のガラス転移温度、Tpは予熱温度〕を満たす温度範囲Tpにおいて予熱し、(2) Tg<Ts≦(Tg+100℃)〔ここにTsは延伸温度〕を満たす温度範囲Tsにおいて、延伸軸と直交する方向における長さの収縮を起こさないようにして変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍で一軸延伸し、次いで(3) (Ts−50℃)≦Ths≦Ts〔ここにThsは熱処理温度〕を満たす温度範囲Thsにおいて熱処理することにより、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下である位相差フィルムを製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、位相差フィルムの製法に関するものである。
位相差フィルムはSTN型液晶表示装置の光学補償層として一般に使用されているが、近年ではSTN型のみならず、それ以外の方式の液晶表示装置に対する光学補償層としても種々の応用が検討されている。例えば、最近、STN及びTN型液晶表示装置等において、用途に応じて特殊な視野角特性が要求される場合があり、その結果、それぞれの用途に応じて種々の光学特性を有する位相差フィルムが必要とされるようになっている。
しかし、現状で開発されている位相差フィルムは、前述のSTN型液晶表示装置に用いられている一軸配向性に近い特性を持つもの、及び EP-A-0541308 号公報に記載されているような面内の屈折率と厚み方向の屈折率が異なる無機層状化合物層からなる完全二軸配向性に近い特性を有するものの2種に限られ、たとえそれらを組み合わせても、これら2種の位相差フィルムの中間の特性を有するような位相差フィルムはこれまで開発されていなかった。
また、ユーロディスプレイ'93の予稿集p.149においては、ベンド配向型のOCBモードの液晶表示装置(πセル)に対する光学補償層として、 nX =1.618、nY =1.606、nZ =1.493、フィルム厚み 9.296μm という屈折率構造を有する位相差フィルムが有効であろうとのシミュレーションがなされている。これから計算される位相差フィルムの面内レターデーション値は112nm、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.101である。
しかし、これまでのSTN型液晶表示装置に用いられてきた位相差フィルムは、一軸配向性のため、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が2.0以上であり、一方、EP-A-0541308 号公報に記載されているような面内の屈折率と厚み方向の屈折率が異なる無機層状化合物層からなる位相差フィルムでは、面内のレターデーションが0〜50nmのものしか得られないため、現在量産可能な位相差フィルムとして開発されているものからは、例えば上記のπセルの光学補償層として使用可能な特性を有する位相差フィルムを得ることはできない。このため、従来とは異なる光学特性を有する位相差フィルムの開発が必要であり、特に軽量な熱可塑性樹脂を用いた位相差フィルムの開発、及びかかる位相差フィルムを効率的にしかも工業的にも有利に製造する方法の開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下である光学特性を有する位相差フィルムの開発に成功し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下である熱可塑性樹脂フィルムからなる位相差フィルムの製法に係るものであって、この方法は、熱可塑性樹脂フィルムを次の各工程に付すことからなる。
(1) 下記温度範囲
Tg<Tp≦(Tg+100℃)
(Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度)
(Tp:予熱温度)
において予熱し、
(2) 下記温度範囲
Tg<Ts≦(Tg+100℃)
(Ts:延伸温度)
において、延伸軸と直交する方向における長さの収縮を起こさないようにして、変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍で一軸延伸し、
(3) 下記温度範囲
(Ts−50℃)≦Ths≦Ts
(Ths:熱処理温度)
において熱処理する。
(1) 下記温度範囲
Tg<Tp≦(Tg+100℃)
(Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度)
(Tp:予熱温度)
において予熱し、
(2) 下記温度範囲
Tg<Ts≦(Tg+100℃)
(Ts:延伸温度)
において、延伸軸と直交する方向における長さの収縮を起こさないようにして、変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍で一軸延伸し、
(3) 下記温度範囲
(Ts−50℃)≦Ths≦Ts
(Ths:熱処理温度)
において熱処理する。
熱可塑性樹脂としては、透明性に優れているものが好ましく用いられる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、二酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレートなどが挙げられる。中でも、ポリカーボネート系樹脂又はポリサルフォンがより好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては通常、溶剤キャスト法を用いて製造されたものが用いられる。熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、例えば、50〜300μm であり、好ましくは、100〜200μm である。
本発明において、位相差フィルムは以下の方法で製造される。溶剤キャスト法により製造された熱可塑性樹脂フィルムには、予熱部、延伸部及び熱処理部を連続して備えたテンター内において、予熱、一軸延伸及び熱処理が連続して施される。まず、予熱とは、次の延伸処理において良好に延伸できるよう、予め熱可塑性樹脂フィルムを加熱により軟化させておく処理をいう。装置内に導入された熱可塑性樹脂フィルムは、
Tg<Tp≦(Tg+100℃)
(但し、Tgは熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示し、Tpは予熱温度を示す)の温度範囲Tpで予熱される。予熱時間は、樹脂を必要なだけ軟化させ、かつ必要以上の変形を抑制するために、通常は0.1分〜1分間であるのが好ましい。
Tg<Tp≦(Tg+100℃)
(但し、Tgは熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示し、Tpは予熱温度を示す)の温度範囲Tpで予熱される。予熱時間は、樹脂を必要なだけ軟化させ、かつ必要以上の変形を抑制するために、通常は0.1分〜1分間であるのが好ましい。
次いで、予熱されたフィルムは延伸部に導入され、
Tg<Ts≦(Tg+100℃)
(但し、Tsは延伸温度を示す)の温度範囲Tsで、延伸軸と直交する方向の収縮を起こさないようにした状態で、変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍でフィルムの進行方向と直交する方向へ横一軸延伸される。ここで、延伸温度、変形速度及び延伸倍率は、原反として用いる熱可塑性樹脂フィルムの種類や厚み、及び必要とされる位相差フィルムの面内のレターデーション値、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値、厚み等により適宜選択される。例えば、ポリカーボネートフィルムを用いる場合には、延伸温度190〜220℃、変形速度150〜600%/分、延伸倍率2〜3倍とするのが好ましい。一般的には、延伸温度を低下させるか、変形速度を上昇させるか、あるいは延伸倍率を増加させると、面内のレターデーション値は増加する傾向にあり、また、延伸倍率を増加させることにより、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値は大きくなる傾向にある。
Tg<Ts≦(Tg+100℃)
(但し、Tsは延伸温度を示す)の温度範囲Tsで、延伸軸と直交する方向の収縮を起こさないようにした状態で、変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍でフィルムの進行方向と直交する方向へ横一軸延伸される。ここで、延伸温度、変形速度及び延伸倍率は、原反として用いる熱可塑性樹脂フィルムの種類や厚み、及び必要とされる位相差フィルムの面内のレターデーション値、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値、厚み等により適宜選択される。例えば、ポリカーボネートフィルムを用いる場合には、延伸温度190〜220℃、変形速度150〜600%/分、延伸倍率2〜3倍とするのが好ましい。一般的には、延伸温度を低下させるか、変形速度を上昇させるか、あるいは延伸倍率を増加させると、面内のレターデーション値は増加する傾向にあり、また、延伸倍率を増加させることにより、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値は大きくなる傾向にある。
さらに、一軸延伸されたフィルムは熱処理部に導入され、フィルムの配向を固定するなどの目的で、延伸後のチャック幅(延伸軸方向の幅)を保った状態にて、
(Ts−50℃)≦Ths≦Ts
(但し、Thsは熱処理温度を示す)の温度範囲Thsで、 0.1分〜1分間、保温される。この保温を通常、熱処理と称する。このとき、必要な場合には、フィルムを延伸軸方向に0〜10%の範囲で収縮させてもよい。収縮させるには、例えば、チャック幅を所要の収縮率となるように狭めればよい。前記したテンターによる予熱、一軸延伸及び熱処理の連続処理方法以外で行うこともできるが、工業的な製造においては、テンターを用いる方法が好ましい。
(Ts−50℃)≦Ths≦Ts
(但し、Thsは熱処理温度を示す)の温度範囲Thsで、 0.1分〜1分間、保温される。この保温を通常、熱処理と称する。このとき、必要な場合には、フィルムを延伸軸方向に0〜10%の範囲で収縮させてもよい。収縮させるには、例えば、チャック幅を所要の収縮率となるように狭めればよい。前記したテンターによる予熱、一軸延伸及び熱処理の連続処理方法以外で行うこともできるが、工業的な製造においては、テンターを用いる方法が好ましい。
得られる位相差フィルムの面内のレターデーション値は50nm〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.5以上1.8以下であり、従来の位相差フィルムとは全く異なる光学特性を有している。
面内のレターデーション値及び(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値は、位相差フィルムの用途により適宜選択される。面内のレターデーション値は、好ましくは80nm〜200nmであり、厚み方向のレターデーション値は、好ましくは45nm〜400nmである。位相差フィルムの厚みは、ハンドリング性の点から好ましくは50〜150μm である。
本発明の方法により得られる位相差フィルムは、単独若しくは他の位相差フィルムと組み合わせ、種々の液晶表示装置の光学補償層として使用することができる。例えば、 EP-A-0541308 号公報に記載されている、面内の屈折率と厚み方向の屈折率が異なる無機層状化合物層からなり、面内のレターデーション値が0〜50nmであり、厚み方向のレターデーション値が50nm〜1000nmである位相差フィルムと、組み合わせて用いることができる。
無機層状化合物層からなる位相差フィルムは、例えば、 EP-A-0541308 号公報に記載されているように、無機層状化合物を溶媒に膨潤又は分散させた後、塗布、乾燥させることにより、得ることができる。無機層状化合物としては、例えば、粘土鉱物を用いることができる。好ましくは、化学合成され、不純物の少ないナトリウム4珪酸雲母やスメクタイト族である。スメクタイト族に属するものとしては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びそれらと類似の結晶構造を持つ化学合成品などが例示できる。無機層状化合物を膨潤又は分散させるために用いる溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、水、メタノール、エチレングリコールなどから、適宜選択して用いることができる。
無機層状化合物層を形成するにあたっては、 EP-A-0541308 号公報に記載されているように、製膜性の向上及び無機層状化合物層の割れ防止等の力学的性質の向上のために、無機層状化合物の分散液に光学的に透明な親水性樹脂を混合しておくことが好ましく、無機層状化合物/光学的に透明な樹脂の体積比は、例えば、 0.1〜10程度である。光学的に透明な親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられる。また、光学的に透明な樹脂フィルム上に無機層状化合物層を形成させることによって、光学的に透明な樹脂フィルムで補強された無機層状化合物層からなる位相差フィルムとすることもできる。本明細書においては、かかる態様をも、無機層状化合物層からなる位相差フィルムという。
本発明により製造される位相差フィルムと無機層状化合物層からなる位相差フィルムを積層する方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明により製造される位相差フィルム上に直接、無機層状化合物層を形成させて積層する方法、あるいは EP-A-0541308 号公報に記載されているような、光学的に透明な基板上に無機層状化合物層が形成された無機層状化合物層からなる位相差フィルムと、本発明により製造される位相差フィルムとを、接着剤あるいは粘着剤等により貼合する方法などを用いることができる。積層する各々の位相差フィルムの枚数、及び各々の位相差フィルムの光学特性、すなわち、面内のレターデーション及び(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比の値などは、積層位相差フィルムとして最終的に必要とされる光学特性に応じて、適宜選択される。
また、透明基板上に無機層状化合物層が形成された無機層状化合物層からなる位相差フィルム1枚又は2枚以上と、本発明により製造される位相差フィルム1枚又は2枚以上の積層にあたり、無機層状化合物層からなる位相差フィルムが面内のレターデーションを有する場合には、最終的に必要とされる積層位相差フィルムの光学特性に応じて、無機層状化合物層からなる位相差フィルムの各々の遅相軸と本発明により製造される位相差フィルムの各々の遅相軸を、互いに平行あるいは直交するように積層することにより、最終的に必要とされる光学特性に合うよう調節することができる。本発明により製造される位相差フィルム1枚又は2枚以上と無機層状化合物層からなる位相差フィルム1枚又は2枚以上とを積層した積層位相差フィルムは、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.03以上0.3未満の光学補償層として用いることができる。
本発明によれば、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下という新規な光学特性を有する位相差フィルムが、効率的かつ安定的にしかも量産性よく、すなわち工業的にも極めて有利に製造することができる。この位相差フィルムは、単独若しくは他の位相差フィルムと組み合わせて種々の方式の液晶表示装置に対する光学補償層として用いることができる。さらに、この位相差フィルム1枚又は2枚以上と無機層状化合物層からなる位相差フィルム1枚又は2枚以上とを積層した積層位相差フィルムは、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.03以上0.3未満の光学補償層として用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、面内のレターデーション値は、セナルモンコンペンセーターを装備した偏光顕微鏡を用いて、フィルム面と光学系が垂直となるようにして求めた。また、厚み方向のレターデーション値は、以下の式に従って求めた。
厚み方向のレターデーション値=((nX+nY)/2−nZ)×d
(但し、nX はフィルム面内の最大屈折率、nY はフィルム面内でnX の垂直方向の屈折率、nZ はフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚みを示す。)
厚み方向のレターデーション値=((nX+nY)/2−nZ)×d
(但し、nX はフィルム面内の最大屈折率、nY はフィルム面内でnX の垂直方向の屈折率、nZ はフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚みを示す。)
また、熱可塑性樹脂フィルムからなる位相差フィルム1枚又は2枚以上と無機層状化合物層からなる位相差フィルム1枚又は2枚以上とを積層した積層位相差フィルムは、その全体を一層の位相差フィルムとみて、上記と同様にして、面内のレターデーション値及び厚み方向のレターデーション値を求めた。
実施例1
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
140μm )を作製した。このフィルムを、予熱部が3m、延伸部が6m、熱処理部が3mであるテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、20秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度200%/分、延伸温度207℃、延伸倍率2.2倍 )、及び熱処理(温度180℃、20秒間、延伸軸方向の収縮率0%)を連続的に行った。得られた位相差フィルムの厚みは58μm 、面内のレターデーション値は101nm、厚み方向のレターデーション値は143nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.706であった。
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
140μm )を作製した。このフィルムを、予熱部が3m、延伸部が6m、熱処理部が3mであるテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、20秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度200%/分、延伸温度207℃、延伸倍率2.2倍 )、及び熱処理(温度180℃、20秒間、延伸軸方向の収縮率0%)を連続的に行った。得られた位相差フィルムの厚みは58μm 、面内のレターデーション値は101nm、厚み方向のレターデーション値は143nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.706であった。
実施例2
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
140μm )を作製した。このフィルムを、実施例1で用いたのと同様のテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、20秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度233%/分、延伸温度200℃、延伸倍率2.4倍 )、及び熱処理(温度180℃、20秒間、延伸軸方向の収縮率8.3% )を連続して施した。得られた位相差フィルムの厚みは60μm 、面内のレターデーション値は117nm、厚み方向のレターデーション値は159nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.736であった。
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
140μm )を作製した。このフィルムを、実施例1で用いたのと同様のテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、20秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度233%/分、延伸温度200℃、延伸倍率2.4倍 )、及び熱処理(温度180℃、20秒間、延伸軸方向の収縮率8.3% )を連続して施した。得られた位相差フィルムの厚みは60μm 、面内のレターデーション値は117nm、厚み方向のレターデーション値は159nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.736であった。
実施例3
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
185μm )を作製した。このフィルムを、実施例1で用いたのと同様のテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、10秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度467%/分、延伸温度208℃、延伸倍率2.4倍 )、及び熱処理(温度200℃、10秒間、延伸軸方向の収縮率0%)を連続して施した。得られた位相差フィルムの厚みは70μm 、面内のレターデーション値は119nm、厚み方向のレターデーション値は143nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.832であった。
溶剤キャスト法により、ポリカーボネート(Tg:148℃)の連続フィルム(厚さ
185μm )を作製した。このフィルムを、実施例1で用いたのと同様のテンター内に導入し、予熱処理(温度220℃、10秒間)、フィルムの進行方向と直交する方向への横一軸延伸処理(変形速度467%/分、延伸温度208℃、延伸倍率2.4倍 )、及び熱処理(温度200℃、10秒間、延伸軸方向の収縮率0%)を連続して施した。得られた位相差フィルムの厚みは70μm 、面内のレターデーション値は119nm、厚み方向のレターデーション値は143nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.832であった。
実施例4(参考)
厚み80μm のトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム株式会社製の“フジタック”)の表面をケン化処理したフィルムの上に、合成ヘクトライト(Laporte 社製の“ラポナイト XLS”)の5%水分散液と、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製の“ポバール 103”、ケン化度98.5%、重合度300)の2.5%水溶液とを3:7(体積比)で混合して得られた水分散液を、乾燥後の膜厚が23μm になるように成膜し、トリアセチルセルロースフィルム上に無機層状化合物層が形成された無機層状化合物層からなる位相差フィルム(以下、フィルムA)を得た。フィルムAの面内のレターデーション値は8nmであり、厚み方向のレターデーション値は370nmであった。また、フィルムAの厚みは103μm であった。
厚み80μm のトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム株式会社製の“フジタック”)の表面をケン化処理したフィルムの上に、合成ヘクトライト(Laporte 社製の“ラポナイト XLS”)の5%水分散液と、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製の“ポバール 103”、ケン化度98.5%、重合度300)の2.5%水溶液とを3:7(体積比)で混合して得られた水分散液を、乾燥後の膜厚が23μm になるように成膜し、トリアセチルセルロースフィルム上に無機層状化合物層が形成された無機層状化合物層からなる位相差フィルム(以下、フィルムA)を得た。フィルムAの面内のレターデーション値は8nmであり、厚み方向のレターデーション値は370nmであった。また、フィルムAの厚みは103μm であった。
2枚のフィルムAを遅相軸が互いに平行になるようアクリル系粘着剤により積層し、実施例2と同様にして作製した位相差フィルムを、その遅相軸がフィルムAの遅相軸と直交するようにアクリル系粘着剤により貼合して、積層位相差フィルムを得た。積層位相差フィルムの厚みは316μm 、面内のレターデーション値は105nm、厚み方向のレターデーション値は1012nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.104であった。
実施例5(参考)
乾燥後の膜厚を16μm とした以外は、実施例4と同様にして、無機層状化合物層からなる位相差フィルム(以下、フィルムB)を得た。フィルムBの面内のレターデーション値は10nmであり、厚み方向のレターデーション値は305nmであった。またフィルムBの厚みは96μm であった。実施例2と同様にして作製した位相差フィルムを、その遅相軸がフィルムBの遅相軸に対して直交するようにアクリル系粘着剤により貼合して、積層位相差フィルムを得た。積層位相差フィルムの厚みは211μm 、面内のレターデーション値は110nm、厚み方向のレターデーション値は545nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.202であった。
乾燥後の膜厚を16μm とした以外は、実施例4と同様にして、無機層状化合物層からなる位相差フィルム(以下、フィルムB)を得た。フィルムBの面内のレターデーション値は10nmであり、厚み方向のレターデーション値は305nmであった。またフィルムBの厚みは96μm であった。実施例2と同様にして作製した位相差フィルムを、その遅相軸がフィルムBの遅相軸に対して直交するようにアクリル系粘着剤により貼合して、積層位相差フィルムを得た。積層位相差フィルムの厚みは211μm 、面内のレターデーション値は110nm、厚み方向のレターデーション値は545nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比は0.202であった。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂フィルムを、
(1) 下記温度範囲において予熱し、
Tg<Tp≦(Tg+100℃)
(Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度)
(Tp:予熱温度)
(2) 下記温度範囲において、延伸軸と直交する方向における長さの収縮を起こさないようにして変形速度150%/分〜1000%/分、延伸倍率2〜3倍で一軸延伸し、
Tg<Ts≦(Tg+100℃)
(Ts:延伸温度)
(3) 下記温度範囲において熱処理する
(Ts−50℃)≦Ths≦Ts
(Ths:熱処理温度)
ことを特徴とする、面内のレターデーション値が50〜300nmであり、(面内のレターデーション値)/(厚み方向のレターデーション値)の比が0.5以上1.8以下である位相差フィルムの製法。 - 熱処理は、延伸軸方向の長さを収縮率10%以下で収縮させながら行われる請求項1記載の方法。
- 熱可塑性樹脂フィルムは、溶剤キャスト法により得られたものである請求項1記載の方法。
- 熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート樹脂又はポリサルフォン樹脂である請求項1記載の方法。
- 得られる位相差フィルムは、面内のレターデーション値が80〜200nmである請求項1記載の方法。
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