JP2000162402A - 接合光学物品およびその製造方法 - Google Patents

接合光学物品およびその製造方法

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JP2000162402A JP10352093A JP35209398A JP2000162402A JP 2000162402 A JP2000162402 A JP 2000162402A JP 10352093 A JP10352093 A JP 10352093A JP 35209398 A JP35209398 A JP 35209398A JP 2000162402 A JP2000162402 A JP 2000162402A
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Mitsuharu Sawamura
光治 沢村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンズ、プリズム、平板等の接合光学物品の
製造方法において、基材への光学膜の形成から接合まで
の工程中に発生する、膜特性の変化、外観変化、膜表面
の汚れ等の劣化を減少させて、接合光学物品の品質向
上、コストの低減を図ることができる接合光学物品の製
造方法を提供する。 【解決手段】 反射防止膜2が形成されている平板やレ
ンズあるいはプリズム等の基材1の上に、真空蒸着法に
より、ダイクロイック膜等の光学膜3を形成するととも
に、光学膜3の上に、同一真空中で連続して、パーフル
オロ基を含む有機珪素化合物を電子銃により蒸着して撥
水膜4を形成する。その後、洗浄工程を通し、基材1の
接合前に、UVオゾン洗浄により撥水膜4を除去し、光
学膜3を接合面にして、UV硬化型の接着剤5を介して
他の基材にUV接合を行ない、接合光学物品を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学膜を有する基
材と他の基材を接着剤を介して接合して構成するレン
ズ、プリズム、平板等の接合光学物品、およびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学膜を有する基材と他の基材を接着剤
を介して接合して、レンズ、プリズム、平板等の接合光
学物品を製造する際に、従来、光学膜を真空蒸着等の方
法で形成してから接合までの間に、品質の検査や保管等
のための放置時間と洗浄工程が設けられるのが通常であ
った。さらに、光学膜面の形成が2面の場合は、各膜形
成工程の間にさらに放置時間と洗浄工程が必要とされて
いる。
【0003】また、硝子基材の表面や反射防止膜の表面
に撥水膜を設けて、曇りや汚れの付着を防止し、あるい
は汚れ等の除去を容易ならしめる方法は、従来から知ら
れている。例えば、SiO2 を最表面とする反射防止膜
上に疎水性基を有するシラン化合物を脱離反応により膜
表面の水酸基と反応結合させる方法が、特許第2590
310号公報に開示されている。また、強固な撥水膜を
形成するために、撥水膜形成前に真空中でイオンビーム
等の活性化処理方法を用いて活性化処理を行なって撥水
膜を形成することにより、該撥水膜が基材表面の汚染防
止に長時間有効であることが知られている(特開平08
−143332号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の接合光
学物品の製造技術においては、光学膜形成から接合まで
の工程において、放置時間と洗浄工程は省くことができ
ず、蒸着等の方法で形成された光学膜の場合は、次のよ
うな問題点があった。
【0005】(1)蒸着膜自体の密度が低いため、成膜
直後から徐々に時間とともに水分が膜中に浸透し、これ
に伴ない、反射や透過の光学特性が変化する。特に、こ
れは特性の長波長方向へのシフトとして顕著である。そ
のため、いつ接合するかのタイミングが問題となる。
【0006】(2)また、上記水分の浸透は形成された
膜全面において一様に起こらず、外観上の色むらが生じ
てしまい不良が発生する場合がある。
【0007】(3)同一基材の他の面にさらに膜形成を
行なう前に、あるいは接合前に、純水を含む洗浄工程を
通すと、(1)および(2)の現象が加速される。
【0008】(4)接合方法としては、現在、UV硬化
型の接着剤を用いるUV接合が多用されているが、Ti
2 を含む光学膜の場合、UV接合時透過率が低下する
という現象が生じる。これは、検討の結果、膜中の水分
により一層促進されることが分かっている。
【0009】(5)光学膜形成後の基材のハンドリング
の際に、光学膜表面に指紋や水滴等の汚れが付着する機
会が多くなり、これらの汚れは一度付着すると洗浄工程
を通しても容易に除去できない。
【0010】前記の問題点(1)〜(4)はともに膜密
度が低いことに起因しているといわれており、現在で
は、イオンビームアシスト法や各種イオンプレーティン
グ法による緻密な膜の形成による対策がとられている。
しかしながら、TiO2 膜等の吸収が発生しやすい膜の
場合は、前記の問題点に対しては効果があるが、光学膜
形成時に透過率が低下するため未だ完全な実用化には至
っていない。また、前記の問題点(5)の場合、上記の
ような成膜方法の変更だけでは解決できなかった。
【0011】そこで、本発明は、上記の従来技術の有す
る未解決の課題に鑑みてなされたものであって、レン
ズ、プリズム、平板等の接合光学物品の製造方法におい
て、基材への光学膜の形成から接合までの工程中に発生
する、膜特性の変化、外観変化、膜表面の汚れ等の劣化
を減少させて、接合光学物品の品質向上、コストの低減
を図ることができる接合光学物品およびその製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、光学膜形成
から接合までの光学特性の変動および外観劣化の問題点
を解決するための検討を重ねた結果、光学膜形成後に光
学膜上に撥水膜を設けることにより放置時間や洗浄工程
に関わらず前記問題点を解決できることを見出だし、さ
らには、接合前にUVオゾン洗浄により撥水膜を除去す
ることにより安定した接合を行なうことが可能であるこ
とを見出だし、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】すなわち、本発明は、光学膜を有する基材
と他の基材を接着剤を介して接合して光学物品を製造す
る方法において、真空中で基材表面に光学膜を形成する
工程と、その後前記光学膜上に撥水性膜を形成する工程
と、接合前にUVオゾン洗浄により前記撥水性膜を除去
する工程と、前記光学膜を形成した基材を他の基材に接
着剤を介して接合する工程とを含むことを特徴とする接
合光学物品の製造方法である。
【0014】そして、本発明の接合光学物品の製造方法
においては、光学膜上に撥水性膜を形成する工程を、同
一基材の他の面に光学膜を形成するために洗浄処理を含
んで複数回繰り返して行なうこともでき、また、前記撥
水性膜は、パーフルオロ基を含む有機珪素化合物の薄膜
であることが好ましい。
【0015】さらに、本発明の接合光学物品は、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法により製造
されたことを特徴とする。
【0016】
【作用】基材表面に形成した光学膜の上に真空蒸着等に
よりパーフルオロ基を含む有機珪素化合物の撥水膜を形
成することにより、光学膜形成から接合までの放置時間
や洗浄工程に関わらず、膜特性の変動や外観変化を抑制
することができ、また、膜表面の汚れ等の劣化を減少さ
せることができ、表面に付着する指紋や汚れも容易に除
去することができる。
【0017】そして、光学膜を形成した基材を他の基材
に接合する前に、撥水膜をUVオゾン洗浄により除去す
ることにより、安定した接合を行なうことができる。
【0018】このように、本発明によれば、基材への光
学膜の形成から接合までの工程中に発生する膜特性の変
化や外観変化、あるいは膜表面の汚れ等の劣化を減少さ
せて、接合光学物品の品質向上およびコストの低減を図
ることができ、光学特性や外観の面で高品質な接合光学
物品を安定して得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の接合光学物品およ
びその製造方法に関して図面に基づいて説明する。図1
は、本発明における光学接合物品の概略的な構成の模式
図である。
【0020】接合するレンズやプリズム等の基材1の表
面上に、反射防止膜2やダイクロイック膜等の光学膜3
を設け、さらに、光学膜3上に撥水膜4を形成する。こ
の撥水膜4の形成は、好ましくは、光学膜3の形成と同
一バッチで連続して撥水膜4を設ける。あるいはまた、
光学膜3の形成後、一旦基材1を大気中に取り出した
後、撥水膜4を形成してもよい。撥水膜4は、通常、パ
ーフルオロ基を含む有機珪素化合物を用い、有機珪素化
合物は、光学膜表面のOH基と加水分解可能な基が結合
し撥水膜を形成する。
【0021】撥水膜4の形成方法としては、固形化され
た有機珪素化合物を真空中で蒸発気化して基材1の光学
膜3上に付着形成させてもよく、また、真空中に有機珪
素化合物ガスを導入しRF高周波放電により基材1の光
学膜3に付着形成させることもできる。また、撥水膜4
の付着力を高めるため、光学膜3の表面を、イオンビー
ム、イオンプレーティング等の手法で、Ar、酸素、水
の反応ガスを用いたプラズマ活性化処理を前もって行な
ってもよい。
【0022】上記のように形成される撥水膜4の厚みは
10nm程度と推測されるが、水に対する接触角は10
0度〜120度であり、水の光学膜3中への浸透を十分
防止しあるいは遅らせることができる。したがって、従
来技術における、光学膜形成から接合までの放置時間や
洗浄による特性変動を予測して行なう光学膜の形成条件
の制御、および接合までの特性変動の経過を把握して接
合するという作業が、不要となる。すなわち、撥水膜形
成後の特性が目標値を満たせば、接合までの時間は任意
となる。また、水の浸透により発生する他の問題点(前
記の(2)、(3)および(4))に対しても同様に効
果がある。また、指紋等の光学膜上に付着する汚れに関
しても撥水膜があるためアルコール等の溶剤で軽く拭き
取ることが可能であり、また、接合前の通常の洗浄でも
除去可能となる。
【0023】光学膜3を形成した基材1を接着剤5を介
して他の基材に接合する際に、前もって撥水膜4を除去
することが必要である。撥水膜4が除去されない場合、
接着剤のぬれ性が悪く接合時接着剤のヒケを生じたり、
接合強度が低下する。撥水膜の除去方法としては、UV
オゾン洗浄(低圧水銀灯)が簡便な方法である。〜20
mW/cm2 程度の照度で約10分処理することによ
り、撥水膜4が除去され、水の接触角は10度程度まで
低下する。そして、撥水膜4の除去後、光学膜3を有す
る基材1を他の基材に対し、UVランプ(主にi線)に
よりUV硬化型接着剤5(フォトボンド等)を用いて接
合する。
【0024】以上のように、本発明に基づき接合光学物
品を製造することにより、光学膜を通常の真空蒸着で形
成しても、1)接合のタイミングにとらわれず、2)色
むらなどの外観不良がなく、また、3)洗浄工程に対し
ても光学特性や外観の変化がなく、4)TiO2 を含む
多層膜でもUV接合時に透過率の劣化が少なく、さら
に、5)基材のハンドリング時に付着する汚れなどの除
去が容易であって、従来より高品質な接合光学物品を安
定して得ることができる。また、光学膜の製法として、
より緻密な膜が得られるイオンビームアシスト法やイオ
ンプレーティング法等を用いることなく、これらと同等
の効果を得ることができる。勿論、前記の緻密な膜が得
られるイオンビームアシスト法やイオンプレーティング
法等と本発明を併用しうることはいうまでもないところ
である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0026】(実施例1)図2は、本発明の実施例1に
おける平板を基材とする光学接合物品の概略的な構成の
模式図である。
【0027】裏面に反射防止膜12が設けられている平
板基材11の上に、真空蒸着法により、高屈折率膜とし
てTiO2 膜を用い、低屈折率膜としてSiO2 膜を用
いて、20層からなる赤カットトリミングフィルター
(赤トリミング膜)13を形成した。
【0028】そして、同一真空中で連続して、撥水処理
剤としてのC613(CH22 Si(NH23 で表
される有機珪素化合物(オプトロン製蒸発剤OF11
0)を、電子銃により蒸着し、撥水膜14を形成した。
赤トリミング膜13および撥水膜14の形成後、基材1
2を大気に取り出し、透過率が50%になる半値波長、
波長550nmでの吸収量および外観を評価した。
【0029】その後、洗浄工程を通し、UVオゾン洗浄
(20mW/10分)で撥水膜14を除去した後、赤ト
リミング膜13を接合面にして、UV硬化型接着剤(フ
ォトボンド)を用いて、5mW/60分の条件でUV接
合を行なった。接合後、同様に半値波長、吸収量(波長
550nm)および外観の評価を行なった。
【0030】本実施例1では、初期評価から接合後の評
価まで約2日であった。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 (実施例2)図3は、本発明の実施例2におけるプリズ
ムを基材とする光学接合物品の概略的な構成の模式図で
ある。
【0032】反射防止膜22が既に設けられているプリ
ズム21の他面に、真空蒸着法により、高屈折率膜とし
てTiO2 膜を用い、低屈折率膜としてSiO2 膜を用
いて、20層からなる赤ダイクロイックミラー(赤ダイ
クロイック膜)23を形成した。但し、各層の膜厚は、
前述した実施例1に比較して、45度の入射角にあわせ
て調整してある。半値波長の目標値は実施例1と同様で
ある。
【0033】そして、同一真空中で連続して、撥水処理
剤としてのC613(CH22 Si(NH23 で表
される有機珪素化合物(オプトロン製蒸発剤OF11
0)を、電子銃により蒸着し、撥水膜24を形成した。
赤ダイクロイック膜23および撥水膜24の形成後、プ
リズム22を大気に取り出し、透過率が50%になる半
値波長、波長550nmでの吸収量および外観を評価し
た。
【0034】その後、洗浄工程を通し、UVオゾン洗浄
(20mW/10分)で撥水膜24を除去した後、赤ダ
イクロイック膜23を接合面にして、UV硬化型接着剤
(フォトボンド)を用いて、5mW/60分の条件で他
のプリズムとUV接合を行なった。接合後、同様に半値
波長、吸収量(波長550nm)および外観の評価を行
なった。
【0035】本実施例2では、初期評価から接合後の評
価まで約7日であった。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】 (実施例3)実施例2と同様に赤ダイクロイックミラー
(赤ダイクロイック膜)をプリズムの同じ面に形成し
た。但し、反射防止膜が形成されていないプリズムを用
いた。半値波長の目標値は実施例2と同様である。
【0037】赤ダイクロイック膜を形成した後、一旦大
気中に取り出し、他の装置を用いて、実施例2と同様に
撥水膜を形成した。そして、撥水膜の形成後、大気に取
り出し、透過率が50%になる半値波長、波長550n
mでの吸収量および外観を評価した。
【0038】その後、洗浄工程を通し、プリズムの他面
に反射防止膜(プリズムの第2面)を形成して同様の評
価を行なった。
【0039】さらに、洗浄工程を通し、UVオゾン洗浄
(20mW/10分)で撥水膜を除去した後、赤ダイク
ロイック膜を接合面にして、UV硬化型接着剤(フォト
ボンド)を用いて、5mW/60分の条件で他のプリズ
ムとUV接合を行なった。接合後、同様に半値波長、吸
収量(波長550nm)および外観の評価を行なった。
【0040】本実施例3では、初期評価から接合後の評
価まで約7日であった。その結果を表3に示す。
【0041】
【表3】 (比較例1)実施例1と同様に、裏面に反射防止膜が設
けられている平板基材の上に、真空蒸着法により、高屈
折率膜としてTiO2 膜を用い、低屈折率膜としてSi
2膜を用いて、20層からなる赤カットトリミングフ
ィルター(赤ダイクロイック膜)を形成した。
【0042】赤ダイクロイック膜の形成後、基材を大気
に取り出し、透過率が50%になる半値波長、波長55
0nmでの吸収量および外観を評価した。
【0043】その後、洗浄工程を通し、赤ダイクロイッ
ク膜を接合面にして、5mW/60分の条件でUV接合
を行なった。接合後、同様に半値波長、吸収量(波長5
50nm)および外観の評価を行なった。
【0044】本比較例1では初期評価から接合後の評価
まで約2日であった。その結果を表4に示す。本比較例
1においては、表4に示すように、実施例1に比較し
て、半値波長、吸収量とも変動量が大きく、外観上も2
日間の放置時間では軽減される傾向にはあるものの、色
むらは解消されなかった。
【0045】
【表4】 (比較例2)実施例2と同様にして、反射防止膜が既に
設けられているプリズムの他面に、真空蒸着法により、
高屈折率膜としてTiO2 膜を用い、低屈折率膜として
SiO2 膜を用いて、20層からなる赤ダイクロイック
ミラー(赤ダイクロイック膜)を形成した。
【0046】赤ダイクロイック膜の形成後、プリズムを
大気に取り出し、透過率が50%になる半値波長、波長
550nmでの吸収量および外観を評価した。
【0047】その後、洗浄工程を通し、赤ダイクロイッ
ク膜を接合面にして、5mW/60分の条件で他のプリ
ズムとUV接合を行なった。接合後、同様に半値波長、
吸収量(波長550nm)および外観の評価を行なっ
た。
【0048】本比較例2では、初期評価から接合後の評
価まで約7日であった。その結果を表5に示す。本比較
例2においては、表5に示すように、実施例2に比較し
て、半値波長、吸収量とも変動量が大きく、また、比較
例1に比較して、接合までの放置時間に依存する水の浸
透量の差と推測されるが、変動量が大きい。なお、初期
の色むらは接合までの7日放置後には消失した。
【0049】
【表5】 (比較例3)実施例3と同様にして、赤ダイクロイック
ミラー(赤ダイクロイック膜)をプリズムの同じ面に形
成した。但し、反射防止膜が形成されていないプリズム
を用いた。
【0050】赤ダイクロイック膜を形成した後、プリズ
ムを大気に取り出し、透過率が50%になる半値波長、
波長550nmでの吸収量および外観の評価を行なっ
た。その後、洗浄工程を通し、プリズムの他面に反射防
止膜(プリズムの第2面)を形成して同様の評価を行な
った。
【0051】さらに、洗浄工程を通し、赤ダイクロイッ
ク膜を接合面にして、5mW/60分の条件で他のプリ
ズムとUV接合を行なった。接合後、同様に半値波長、
吸収量(波長550nm)および外観の評価を行なっ
た。
【0052】本比較例3では初期評価から接合後の評価
まで約7日であった。その結果を表6に示す。
【0053】本比較例3においては、表6に示すよう
に、実施例3に比較して、半値波長、吸収量とも変動量
が大きく、また、比較例2に比較して、洗浄工程の回数
に依存する水の浸透量の差と推測されるが、変動量が大
きい。なお、初期の色むらは接合までの7日放置後には
消失した。
【0054】
【表6】
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基材への光学膜の形成から接合までの工程中に発生する
膜特性の変化や外観変化、あるいは膜表面の汚れ等の劣
化を減少させて、接合光学物品の品質向上、およびコス
トの低減を図ることができ、光学特性や外観の面で高品
質な接合光学物品を安定して得ることが可能となる。
【0056】さらに、本発明によれば、光学膜を通常の
真空蒸着で形成しても、接合のタイミングにとらわれ
ず、色むらなどの外観不良がなく、また、洗浄工程に対
しても光学特性や外観の変化がなく、TiO2 を含む多
層膜でもUV接合時に透過率の劣化が少なく、さらに、
基材のハンドリング時に付着する汚れなどの除去が容易
であって、高品質な接合光学物品を低コストで安定して
得ることができる。また、光学膜の製法としてより緻密
な膜が得られるイオンビームアシスト法やイオンプレー
ティング法等を用いることなくこれらと同等の効果を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光学接合物品の概略的な構成を
示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1における平板を基材とする光
学接合物品の概略的な構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例2におけるプリズムを基材とす
る光学接合物品の概略的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基材 2 反射防止膜 3 光学膜 4 (除去される)撥水膜 5 接着剤 11 平板基材 12 反射防止膜 13 赤カットトリミングフィルター(赤トリミング
膜) 14 (除去される)撥水膜 15 接着剤 21 プリズム 22 反射防止膜 23 赤ダイクロイックミラー(赤ダイクロイック
膜) 24 (除去される)撥水膜 25 接着剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学膜を有する基材と他の基材を接着剤
    を介して接合して光学物品を製造する方法において、真
    空中で基材表面に光学膜を形成する工程と、その後前記
    光学膜上に撥水性膜を形成する工程と、接合前にUVオ
    ゾン洗浄により前記撥水性膜を除去する工程と、前記光
    学膜を形成した基材を他の基材に接着剤を介して接合す
    る工程とを含むことを特徴とする接合光学物品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 光学膜上に撥水性膜を形成する工程は、
    同一基材の他の面に光学膜を形成するために洗浄処理を
    含んで複数回繰り返されることを特徴とする請求項1記
    載の接合光学物品の製造方法。
  3. 【請求項3】 撥水性膜はパーフルオロ基を含む有機珪
    素化合物の薄膜であることを特徴とする請求項1または
    2記載の接合光学物品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の製造方法により製造されたことを特徴とする接合光学
    物品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005118502A1 (ja) * 2004-06-01 2005-12-15 Asahi Glass Company, Limited 光学素子製造法
JP2013202929A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Seiko Epson Corp インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
JP2016521871A (ja) * 2013-06-14 2016-07-25 エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) 外側コーティングの性能を改良するケイ素/有機層で被覆された物品

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