JP6582392B2 - 車載周辺物体報知システム、物体報知システム、報知制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されて、この車両の周辺に物体が存在することを報知する車載周辺物体報知システム、物体報知システム、報知制御装置に関する。
車両の周辺に存在する物体を検出し、その物体の存在を車両のドライバに報知する装置が知られている。たとえば、特許文献1では、ミリ波レーダにより、自車が走行する車線、その車線の右車線と左車線に存在する物体を検出する。そして、検出した物体が報知対象領域内に位置していれば、その物体の存在を報知する。
特開2003−118523号公報
しかし、報知対象領域内で検出したすべての物体の存在を報知してしまうと、ドライバが煩わしく感じる恐れがある。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、ドライバに与える煩わしさを低減できる車載周辺物体報知システム、物体報知システム、報知制御装置を提供することにある。
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するための車載周辺物体報知システムに係る第1発明は、車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)と、車両のドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、視線検出部が検出した視線に基づいて定まる認識方向範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、周辺物体検出装置が検出した物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、物体が存在することを報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)と、車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)とを備え、報知制御部は、境界線検出部が車両が走行する車線の車線境界線を検出している場合、基準報知範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、車線境界線により定まる車両の走行車線内に限定し、境界線検出部が車両が走行する車線の車線境界線を検出していない場合、基準報知範囲から認識方向範囲を除外した範囲を報知範囲とすることを特徴とする車載周辺物体報知システムである。
車載周辺物体報知システムに係る第2発明は、車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)と、車両のドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、視線検出部が検出した視線に基づいて定まる認識方向範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、周辺物体検出装置が検出した物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、物体が存在することを報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)とを備え、報知制御部は、視線検出部が逐次検出した視線を最新のものから規定数用いて認識方向範囲を決定するようになっており、かつ、規定数を、車両の車速に応じて2種類以上に異ならせ、車速が相対的に速い場合、車速が相対的に遅い場合よりも、規定数を少なくし、車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)をさらに備え、報知制御部は、境界線検出部が車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、基準報知範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、車線境界線により定まる車両の走行車線内に限定することを特徴とする車載周辺物体報知システムである。
また、上記目的を達成するための報知制御装置に係る第1発明は、車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)とともに車載周辺物体報知システムに用いられる報知制御装置(70)であって、車両のドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、視線検出部が検出した視線に基づいて定まる認識方向範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、周辺物体検出装置が検出した物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、物体が存在することを報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)と、車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)とを備え、報知制御部は、境界線検出部が車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、基準報知範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、車線境界線により定まる車両の走行車線内に限定することを特徴とする。
報知制御装置に係る第2発明は、車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)とともに車載周辺物体報知システムに用いられる報知制御装置(70)であって、車両のドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、視線検出部が検出した視線に基づいて定まる認識方向範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、周辺物体検出装置が検出した物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、物体が存在することを報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)とを備え、報知制御部は、視線検出部が逐次検出した視線を最新のものから規定数用いて認識方向範囲を決定するようになっており、かつ、規定数を、車両の車速に応じて2種類以上に異ならせ、車速が相対的に速い場合、車速が相対的に遅い場合よりも、規定数を少なくし、車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)をさらに備え、報知制御部は、境界線検出部が車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、基準報知範囲を、周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、車線境界線により定まる車両の走行車線内に限定することを特徴とする。
これら車載周辺物体報知システム、報知制御装置に係る発明によれば、報知制御部は、視線検出部が検出した視線に基づいて定まる認識方向範囲を除外して報知範囲を設定する。これにより、ドライバが視線を向けて認識した物体の存在を報知してしまうことが抑制できる。したがって、ドライバが認識している物体の存在を報知してしまい、ドライバに煩わしさを与えてしまうことを抑制できる。
また、上記目的を達成するための物体報知システムに係る発明は、第1車両に搭載された車載周辺物体報知システムである第1車載周辺物体報知システムと、第2車両に搭載された車載周辺物体報知システムである第2車載周辺物体報知システムと、を備えた物体報知システムであって、第2車載周辺物体報知システムは、他車両との間で、無線により信号の送受信を行う車車間通信装置(50)と、現在位置を検出する位置検出装置(40)と、第2車両の進行方位を取得する方位取得部(S304)と、位置検出装置が検出した現在位置と、方位取得部が取得した進行方位と、視線検出部が検出した視線、または、それらから定まる第2車両のドライバの認識方向範囲を表す情報である認識方向情報を、車車間通信装置から送信させる送信制御部(S302、S306)とを備え、
第1車載周辺物体報知システムは、車車間通信装置と、位置検出装置と、車車間通信装置が認識方向情報を受信した場合、受信した認識方向情報に基づいて定まる第2車両のドライバの認識方向範囲と、位置検出装置が検出した第1車両の現在位置に基づいて、第2車両のドライバが第1車両を認識しているか否かを決定する自車認識状態決定部(S308、S310)とを備え、報知制御部は、第2車両が認識方向範囲内に存在しているか否か、および、自車認識状態決定部が、第2車両のドライバが第1車両を認識しているか否かに基づいて、第2車両が存在することを報知装置に報知させるか否かを決定する。
この物体報知システムに係る発明によれば、第1車載周辺物体報知システムは、第2車両が認識方向範囲内に存在しているか否かに加えて、第2車両のドライバが第1車両を認識しているか否かも、第2車両が存在することを報知するか否かを決定する条件とする。そのため、第2車両が認識方向範囲内に存在していても、第2車両のドライバが第1車両を認識していない場合には、第2車両が存在することを報知装置に報知させることができる。
車載周辺物体報知システム1を搭載した車両C1、C2A、C2Bが走行している状態を示す図である。 車載周辺物体報知システム1の構成を示すブロック図である。 図2の演算装置70が実行する処理を示すフローチャートである。 図3のステップS100の詳細処理を示すフローチャートである。 図3のステップS200の詳細処理を示すフローチャートである。 認識方向範囲の候補となる候補方向範囲D、報知範囲を分割した小報知範囲Rを例示する図である。 図2のメモリ71に蓄積した視線方向を概念的に示す図である。 図3のステップS300の詳細処理を示すフローチャートである。 図3のステップS400の詳細処理を示すフローチャートである。 小報知範囲Rの他の例である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、車両C1、C2A、C2Bが走行している状態を示している。これら3台の車両C1、C2A、C2Bには、いずれも図2に示す車載周辺物体報知システム1が搭載されている。以下では、車両C1を中心に説明する。車両C1は請求項の第1車両に相当し、車両C1に搭載されている車載周辺物体報知システム1が請求項の第1車載周辺物体報知システムに相当する。車両C2A、車両C2Bは、いずれも請求項の第2車両に相当し、これらの車両C2A、車両C2Bに搭載されている車載周辺物体報知システム1が請求項の第2車載周辺物体報知システムに相当する。また、車両C1に搭載されている車載周辺物体報知システム1と、車両C2A、車両C2Bに搭載されている車載周辺物体報知システム1により、物体報知システムが構成される。
車両C2Aは、車両C1の隣車線を車両C1と同一方向に走行しており、車両C2Bは、車両C1、C2Aとは反対方向の車線を走行している。
(車載周辺物体報知システム1の構成)
図2に示すように、車載周辺物体報知システム1は、ドライバカメラ10、フロントカメラ20、周辺物体検出装置30、位置検出装置40、車車間通信装置50、報知装置60、演算装置70を備える。
ドライバカメラ10は、車室内において、運転席に座っているドライバの顔を撮影可能な位置に固定されており、ドライバの顔を含む画像を逐次撮影する。
フロントカメラ20は、車線境界線などを検出するために車両前端面や車室内の前端部に配置されて、自車両の前方を撮影する。
周辺物体検出装置30は、自車両の周辺に存在する物体を検出する装置である。本実施形態では、たとえば、赤外線センサを自車両の前後端面、側面、コーナ部などに複数配置することで、図1に示すように、自車両の周囲360度にわたる物体検出範囲2を形成する。図1に例示した物体検出範囲2は、自車両の側面、前端面、後端面からの距離が数m〜10m程度に設定された検出限界距離以下の範囲である。
周辺物体検出装置30は、この物体検出範囲2に存在する物体までの距離と、物体が存在する方向を検出する。なお、これらの距離、方向は、赤外線センサなどのセンサの取り付け位置を基準とした距離、方向であるが、センサの取り付け位置を基準とした距離、方向を、車両の前後および左右の中心や、運転席など、車両の所定位置を基準とした距離、方向に変換してもよい。
位置検出装置40は、自車両の現在位置を逐次検出する装置であり、たとえば、衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS受信機を備えている。このGNSS受信機が受信した信号に基づいて、現在位置を検出する。
車車間通信装置50は、他車両に備えられた車車間通信装置50との間で無線通信を行う装置であり、たとえば、5.8GHz帯や700MHz帯など所定の周波数帯の電波を用いて無線通信を行う。
報知装置60は、音により報知を行う構成としてアンプ61とスピーカ62を備え、振動により報知を行う構成として、モータドライバ63と、運転シート64に埋め込まれた複数の振動モータ65とを備える。複数の振動モータ65は、モータドライバ63により、周辺物体検出装置30が検出した物体の方向に対応するものが選択的に振動させられる。なお、アンプ61、スピーカ62と、モータドライバ63、振動モータ65のいずれかのみを備えていてもよいし、これらに代えて、表示装置を備えていてもよい。
演算装置70は、請求項の報知制御装置に相当しており、メモリ71と制御部72を備えた構成である。メモリ71は書き込み可能な構成であり、ドライバの視線方向を逐次記憶する。制御部72は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行することで、制御部72は、図3に示す処理を実行する。なお、制御部72が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
この制御部72には、ドライバカメラ10、フロントカメラ20がそれぞれ撮像した画像を表す信号、周辺物体検出装置30が検出した信号、位置検出装置40が検出した信号が入力される。また、制御部72は、車車間通信装置50との間で信号の送受信を行う。
また、制御部72は、アンプ61に、スピーカ62に音を発生させるための電気信号を出力し、モータドライバ63に、複数の振動モータ65のうちのどの振動モータ65を振動させるかを指示する信号を出力する。
さらに、制御部72は、車内LAN80を介して、自車両に搭載された種々の機器との間でも信号の送受信を行う。車内LAN80を介して取得する信号としては、車速信号がある。
(制御部72の処理)
制御部72は、図3に示す処理を、所定の条件が成立しているとき、たとえば、イグニッションオンの間、あるいは、前進走行している間、周期的に実行する。
ステップS100では、報知車線限定処理を行う。この処理は、物体が存在していることを報知する範囲を、自車両が走行している車線に限定する処理であり、詳しくは、図4に示す処理を実行する。なお、図4において、ステップS102、S104は境界線検出部としての処理であり、ステップS106〜S110は報知制御部としての処理である。
ステップS102では、フロントカメラ信号を取得する。ステップS104では、フロントカメラ信号に対して公知の境界線検出処理を行うことで、車線境界線の位置を検出する。ステップS106では、ステップS104の処理の結果、自車両の走行車線の境界を示す車線境界線が検出できたか否かを判断する。ステップS106の判断がNOであればステップS108に進む。
ステップS108では、周辺物体検出装置30の物体検出範囲2を、そのまま、基準報知範囲とする。一方、ステップS106の判断がYESであれば、ステップS110に進む。
ステップS110では、基準報知範囲を、図1に例示している車線内範囲3に限定する。図1に示している車線内範囲3は、物体検出範囲2のうち、車幅方向を自車両の走行車線に限定し、前後方向を自車両の前端および後端から、物体検出範囲2を超えない所定の距離までとした範囲である。なお、図1の例とは異なり、前後方向の境界は、物体検出範囲2の境界をそのまま用いてもよい。
説明を図3に戻す。ステップS200では、視線方向除外処理を行う。視線方向除外処理は、ステップS100で決定した基準報知範囲、すなわち、物体検出範囲2あるいは車線内範囲3から、さらに、ドライバの視線に基づいて定まる認識方向範囲を除外する処理である。
視線方向除外処理は、詳しくは図5に示している。図5において、ステップS202〜S21、S220、S222は報知制御部としての処理であり、ステップS214〜S218は視線検出部としての処理である。
ステップS202では、車速信号を取得する。ステップS204では、ステップS202で取得した車速信号から定まる車速が、20km/h以上であるか、20km/h未満であるかを判断する。車速が20km/h以上であればステップS206に進み、視線方向を蓄積する数を意味する規定数を50とし、車速が20km/h未満であればステップS208に進み、規定数を100とする。なお、20km/h、規定数に設定する50、100は一例である。これらは、実験に基づいて適宜、数値を調整してもよい。また、規定数の値によらず、視線方向の算出周期は一定とする。この算出周期は、たとえば、10回/秒である。
ステップS210では、メモリ71に蓄積されている視線方向の蓄積数が、規定数以上であるか否かを判断する。この判断がYESであればステップS212に進み、最も古い視線方向を削除する。
ステップS210の判断がNOであった場合、または、ステップS212を実行した場合は、ステップS214に進む。ステップS214では、ドライバカメラ信号を取得する。
続くステップS216では、ドライバカメラ信号を、公知の視線検出処理を用いて解析して、ドライバの視線方向を算出する。なお、ドライバカメラ10は車室内に固定されているので、ここで算出する視線方向は、ドライバの視線が、自車両の所定方向、たとえば、車両前後方向を基準として、どの方向に向かっているかを表す。また、視線方向の基点はドライバの目の位置である。
ステップS218では、ステップS216で算出した視線方向を、メモリ71に追加保存する。このステップS218を実行することにより、最大で、ステップS206またはステップS208で設定した規定数の視線方向がメモリ71に記憶される。
ステップS220では、メモリ71に記憶されている視線方向に基づいて、認識方向範囲を決定する。図6に示す候補方向範囲D1〜D12は、ステップS220で決定する認識方向範囲の候補である。候補方向範囲D1〜D12は、方向の範囲を定めるが、自車両からの距離は定めていない。
候補方向範囲D1〜D6は、ドライバよりも自車両の前方向の範囲であり、運転席の位置から延びる30度ごとの境界線により、隣接する候補方向範囲D1〜D6と区分されている。
候補方向範囲D7〜D12は、ドライバよりも自車両の後方向の範囲である。候補方向範囲D8、D11は、サイドミラー91、92(図7参照)によりドライバが視認できる角度範囲であり、候補方向範囲D9、D10は、ルームミラー90(図7参照)により視認できる角度範囲を左右2つに分けた範囲である。候補方向範囲D7、D12は、ドライバよりも後方の範囲であって、ミラーで確認できる候補方向範囲D8〜D11以外の角度範囲である。これら候補方向範囲D1〜D12のうち、メモリ71に記憶した視線方向が属している範囲を認識方向範囲とする。
図7に、メモリ71に蓄積した視線方向を概念的に示す。図7の例では、視線方向は、ルームミラー90の右半分、右サイドミラー91、フロントウィンドシールド93のうち運転席正面方向から右端までの範囲に向いている。この場合、候補方向範囲D2、D3、D10、D11が認識方向範囲となる。
ステップS222では、ステップS220で決定した認識方向範囲に対応する小報知範囲Rを無効化する。無効化は、小報知範囲Rに物体が存在していても、物体が存在することを報知しないようにすることである。
図6に例示しているように、小報知範囲Rは、物体検出範囲2あるいは車線内範囲3が、候補方向範囲D1〜D12により区分されることにより生成する範囲である。したがって、図6の例では、12の小報知範囲R1〜R12が設定されている。
ステップS220において、候補方向範囲D2、D3、D10、D11を認識方向範囲とした場合、小報知範囲R2、R3、R10、R11を無効化することになる。
説明を図3に戻す。ステップS300では、相互認識判定処理を行う。相互認識判定処理は、この車載周辺物体報知システム1を搭載した車両を運転しているドライバが、互いに相手車両を認識しているかを判定する処理である。
相互認識判定処理は、詳しくは図8に示している。図8において、ステップS302、S306は、送信制御部としての処理であり、ステップS304は方位取得部としての処理であり、ステップS308、S310は自車認識状態決定部としての処理である。ステップS312〜S318は報知制御部としての処理である。
ステップS302では、位置検出装置40から現在位置を取得する。ステップS304では、自車両の進行方位を取得する。進行方位は、車内LAN80を用いて、ジャイロセンサから取得してもよいし、自車位置の変化から定まる走行軌跡から決定してもよい。
ステップS306では認識方向情報を、車車間通信装置50から自車両の周囲に送信する。送信方式は、通信相手を特定しないブロードキャスト方式でも、通信相手を特定する方式でもよい。
認識方向情報は、ドライバの認識方向範囲を、道路を基準として表す情報である。図5で決定した認識方向範囲は、車両を基準としてドライバの認識方向範囲を表している。以下では、ステップS220で決定した認識方向範囲を車両基準認識方向範囲とし、道路を基準とする認識方向範囲を道路基準認識方向範囲とする。車両基準認識方向範囲と、車両の現在位置と、車両の進行方位により、道路基準認識方向範囲を決定することができる。そこで、本実施形態では、車両基準認識方向範囲と、ステップS302、S304で取得した現在位置、進行方位とを含む情報を、認識方向情報として送信する。他車両である車両C2A、C2Bに搭載されている車載周辺物体報知システム1も、この認識方向情報を送信する。
ステップS308では、車両C2A、C2Bなどの他車両から認識方向情報を受信したか否かを判断する。この判断がNOであれば図8の処理を終了し、YESであればステップS310に進む。
ステップS310では、他車両から受信した認識方向情報から、その他車両の道路基準認識方向範囲を決定する。そして、決定した他車両の道路基準認識方向範囲と、自車両の現在位置から、他車両のドライバが自車両を認識しているか否かである自車認識状態を決定する。
ステップS312では、他車両の現在位置と、ステップS220で決定した認識方向範囲から、自車両のドライバが、他車両を認識しているか否かを決定する。
ステップS314では、ステップS310で決定した他車両のドライバが自車両を認識しているか否か、および、ステップS312で決定した自車両のドライバが他車両を認識しているか否かから、互いに相手車両を認識しているか否かを判断する。
自車両のドライバおよび他車両のドライバ、いずれか一方でも、相手車両を認識していない場合にはステップS314の判断はNOになる。ステップS314の判断がNOであればステップS316に進む。ステップS316では、他車両の存在する方向の小報知範囲Rを有効化する。
ステップS314の判断がYESであれば、ステップS318に進む。ステップS318では、他車両の存在する方向の小報知範囲Rを無効化する。なお、ステップS310〜S318の処理は、認識方向情報を受信した他車両ごとに行う。
説明を再び図3に戻す。ステップS400では報知処理を実行する。報知処理は詳しくは図9に示している。図9の処理は全て報知制御部としての処理である。
ステップS402では、周辺物体検出装置30が物体を検出したか否かを判断する。この判断がNOであれば図9の処理を終了する。一方、ステップS402の判断がYESであれば、ステップS404に進む。
ステップS404では、物体を検出した方向が、有効な小報知範囲Rであるか否かを判断する。この判断がNOである場合も図9の処理を終了する。一方、ステップS404の判断がYESであればステップS406に進む。
ステップS406では、センサ検知レベルを算出する。このセンサ検知レベルは、物体までの距離を表す。続くステップS408では、ステップS406で算出したセンサ検知レベル、および、物体が存在している方向に応じた報知態様で、報知装置60から、物体が存在していることを報知させる。具体的な報知態様を例示すると、モータドライバ63と、振動モータ65による報知では、物体が存在している方向により定まる振動モータ65を、物体までの距離に応じた振動強度で振動させる。
(実施形態の効果)
以上、説明した本実施形態によれば、ドライバの視線方向を逐次算出し(S216)、この逐次算出した視線方向からドライバの認識方向範囲を決定している(S220)。認識方向範囲は、ドライバが物体の存在を認識していると推定できる方向を表している範囲である。そこで、認識方向範囲に対応する小報知範囲Rを無効化する(S222)。換言すれば、認識方向範囲に対応する小報知範囲Rを除外して報知範囲を設定することになる。これにより、ドライバが視線を向けて認識した物体の存在を報知してしまうことが抑制できる。したがって、ドライバが認識している物体の存在を報知してしまい、ドライバに煩わしさを与えてしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態では、車線境界線を検出した場合(S106:YES)、基準報知範囲を車線内範囲3に限定する。これにより、車両C1は、この車両C1の走行車線に隣接する同一進行方向車線を走行する車両C2Aや、車両C1とは反対の進行方向車線を走行する車両C2Bの存在を報知してしまうことを抑制できる。したがって、これらの車両C2A、C2Bが、車線境界線を越えずに各車線内を走行している状態で、これらの車両C2A、C2Bの存在を報知してしまうことを抑制できる。
なお、車両C2Aが車線変更を開始して、車両C2Aが車線内範囲3に入った場合には、車両C2Aの存在を報知できるようになる。また、車両C2Bが車線境界線を越えて車線内範囲3に入った場合にも、車両C2Bの存在を報知できるようになる。また、交差点内には、車線境界線は存在しないので、交差点内においては、車両C1、C2A、C2Bが図1に示す位置関係にある場合にも、車両C2A、C2Bの存在を報知できる。したがって、車線境界線がある場合に、基準報知範囲を車線内範囲3に限定しても、報知が必要な状況において、報知が行われないという事態は抑制されている。
また、本実施形態では、車速が相対的に速い場合には、車速が相対的に遅い場合よりも、認識方向範囲の決定に用いる規定数を少なくしている(S204〜S208)。これにより、車速が速い場合に、視線方向を算出する周期を短くしなくても、ある距離を走行する間に算出できる視線方向の数を車速が遅い場合に近づけることができる。視線方向を算出する周期を短くしなくてもよいため、制御部72の処理負荷を軽減することができる。
また、本実施形態では、車両C2A、C2Bが送信した認識方向情報を受信した場合には(S308:YES)、自車認識状態と、自車両のドライバが他車両を認識しているか否かから、互いに相手車両を認識しているか否かを判断する(S314)。いずれか一方でも相手車両を認識していないと判断した場合には、車両C1は、他車両の存在する方向の小報知範囲Rを有効化する(S316)。これにより、車両C2A、C2Bのドライバが車両C1を認識していない場合には、車両C1のドライバは相手車両を認識していても、車両C1において、車両C2A、C2Bの存在を報知することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
<変形例1>
たとえば、前述の実施形態では、自車両よりも前方の小報知範囲Rは30度ずつである一方、自車両よりも後方の小報知範囲Rは、ルームミラー90、サイドミラー91、92により視認できる範囲に基づいて決定されていたため、30度ずつではなかった。しかし、図10に示すように、小報知範囲R1〜R12を、全て30度ずつの範囲に設定してもよい。
<変形例2>
また、小報知範囲Rおよび認識方向範囲を物体の角度範囲に応じて可変にしてもよい。すなわち、ドライバが認識した物体が存在する角度範囲を認識方向範囲とし、その認識方向範囲以外の基準報知範囲を有効な報知範囲としてもよい。
<変形例3>
周辺物体検出装置30は、赤外線センサに限られず、ソナー、ミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラ等、物体を検出することができる公知の種々の装置を用いることができる。
<変形例4−6>
前述の実施形態における報知車線限定処理(S100)を実行しなくてもよい(変形例4)。また、基準報知範囲を車線内範囲3に限定しない場合に限り、相互認識判定処理(S300)を実行してもよい(変形例5)。また、基準方向範囲を車線内範囲3に設定していても、自車両が進路方向変化を検出した場合に、基準方向範囲を物体検出範囲2に変更してもよい(変形例6)。自車両の進路方向変化は、たとえば、右あるいは左の方向指示灯の点灯、単位時間当たりの操舵角の変化量が一定量を超えたことに基づいて判断する。
<変形例7>
前述の実施形態では、認識方向範囲を決定するのに用いる視線方向の数を規定する規定数を、車速が20km/h以上であるか、20km/h未満であるかの2種類の速度範囲で異ならせていた。しかし、これに限られず、3種類以上の速度範囲に対応させて、この規定数を3種類以上の値に変化させてもよい。
1:車載周辺物体報知システム、 2:物体検出範囲、 3:車線内範囲、 10:ドライバカメラ、 20:フロントカメラ、 30:周辺物体検出装置、 40:位置検出装置、 50:車車間通信装置、 60:報知装置、 61:アンプ、 62:スピーカ、 63:モータドライバ、 64:運転シート、 65:振動モータ、 70:演算装置、 71:メモリ、 72:制御部、 80:車内LAN、 90:ルームミラー、 91:サイドミラー、 92:サイドミラー、 93:フロントウィンドシールド、 C:車両、 D:候補方向範囲、 R:小報知範囲

Claims (7)

  1. 車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、
    前記周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)と、
    前記車両の前記ドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、
    前記視線検出部が検出した前記視線に基づいて定まる認識方向範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、前記周辺物体検出装置が検出した前記物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、前記物体が存在することを前記報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)と、
    車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)とを備え、
    前記報知制御部は、
    前記境界線検出部が前記車両が走行する車線の車線境界線を検出している場合、前記基準報知範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、前記車線境界線により定まる前記車両の走行車線内に限定し、
    前記境界線検出部が前記車両が走行する車線の車線境界線を検出していない場合、前記基準報知範囲から前記認識方向範囲を除外した範囲を前記報知範囲とすることを特徴とする車載周辺物体報知システム。
  2. 車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、
    前記周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)と、
    前記車両の前記ドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、
    前記視線検出部が検出した前記視線に基づいて定まる認識方向範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、前記周辺物体検出装置が検出した前記物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、前記物体が存在することを前記報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)とを備え、
    前記報知制御部は、前記視線検出部が逐次検出した視線を最新のものから規定数用いて前記認識方向範囲を決定するようになっており、かつ、前記規定数を、前記車両の車速に応じて2種類以上に異ならせ、前記車速が相対的に速い場合、前記車速が相対的に遅い場合よりも、前記規定数を少なくし、
    車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)をさらに備え、
    前記報知制御部は、前記境界線検出部が前記車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、前記基準報知範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、前記車線境界線により定まる前記車両の走行車線内に限定することを特徴とする車載周辺物体報知システム。
  3. 第1車両に搭載された請求項1または2に記載の車載周辺物体報知システムである第1車載周辺物体報知システムと、
    第2車両に搭載された請求項1または2に記載の車載周辺物体報知システムである第2車載周辺物体報知システムと、を備えた物体報知システムであって、
    前記第2車載周辺物体報知システムは、
    他車両との間で、無線により信号の送受信を行う車車間通信装置(50)と、
    現在位置を検出する位置検出装置(40)と、
    前記第2車両の進行方位を取得する方位取得部(S304)と、
    前記位置検出装置が検出した前記現在位置と、前記方位取得部が取得した前記進行方位と、前記視線検出部が検出した前記視線、または、それらから定まる前記第2車両のドライバの前記認識方向範囲を表す情報である認識方向情報を、前記車車間通信装置から送信させる送信制御部(S302、S306)とを備え、
    前記第1車載周辺物体報知システムは、
    前記車車間通信装置と、
    前記位置検出装置と、
    前記車車間通信装置が前記認識方向情報を受信した場合、受信した前記認識方向情報に基づいて定まる前記第2車両のドライバの認識方向範囲と、前記位置検出装置が検出した前記第1車両の現在位置に基づいて、前記第2車両のドライバが前記第1車両を認識しているか否かを決定する自車認識状態決定部(S308、S310)とを備え、
    前記報知制御部は、前記第2車両が前記認識方向範囲内に存在しているか否か、および、前記自車認識状態決定部が、前記第2車両のドライバが前記第1車両を認識しているか否かに基づいて、前記第2車両が存在することを前記報知装置に報知させるか否かを決定することを特徴とする物体報知システム。
  4. 請求項において、
    前記報知制御部は、前記第2車両が前記認識方向範囲内に存在していても、前記自車認識状態決定部が、前記第2車両のドライバが前記第1車両を認識していないと決定している場合、前記第2車両が存在することを報知することを特徴とする物体報知システム。
  5. 請求項またはにおいて、
    前記報知制御部は、前記第2車両が前記認識方向範囲内に存在しており、かつ、前記自車認識状態決定部が、前記第2車両のドライバが前記第1車両を認識していると決定していることに基づいて、前記第2車両が存在することの報知を不要とすることを特徴とする物体報知システム。
  6. 車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、前記周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)とともに車載周辺物体報知システムに用いられる報知制御装置(70)であって、
    前記車両の前記ドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、
    前記視線検出部が検出した前記視線に基づいて定まる認識方向範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、前記周辺物体検出装置が検出した前記物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、前記物体が存在することを前記報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)と、
    車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)とを備え、
    前記報知制御部は、前記境界線検出部が前記車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、前記基準報知範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、前記車線境界線により定まる前記車両の走行車線内に限定することを特徴とする報知制御装置。
  7. 車両の周辺に存在している物体を検出する周辺物体検出装置(30)と、前記周辺物体検出装置が検出した物体の存在をドライバに報知する報知装置(60)とともに車載周辺物体報知システムに用いられる報知制御装置(70)であって、
    前記車両の前記ドライバの視線を逐次検出する視線検出部(S214−S218)と、
    前記視線検出部が検出した前記視線に基づいて定まる認識方向範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲に基づいて定まる基準報知範囲から除外して報知範囲を設定し、前記周辺物体検出装置が検出した前記物体が報知範囲内に存在していることに基づいて、前記物体が存在することを前記報知装置に報知させる報知制御部(S106−S110、S202−S212、S220、S222、S312−S318、S400)とを備え、
    前記報知制御部は、前記視線検出部が逐次検出した視線を最新のものから規定数用いて前記認識方向範囲を決定するようになっており、かつ、前記規定数を、前記車両の車速に応じて2種類以上に異ならせ、前記車速が相対的に速い場合、前記車速が相対的に遅い場合よりも、前記規定数を少なくし、
    車線の境界を表す車線境界線の位置を検出する境界線検出部(S102、S104)をさらに備え、
    前記報知制御部は、前記境界線検出部が前記車両が走行する車線の車線境界線を検出した場合、前記基準報知範囲を、前記周辺物体検出装置の物体検出範囲のうち、前記車線境界線により定まる前記車両の走行車線内に限定することを特徴とする報知制御装置。
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