JP6555531B2 - 樹脂組成物、およびゴム組成物 - Google Patents

樹脂組成物、およびゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明は、リグニン誘導体を用いた樹脂組成物及びそれらを用いたゴム組成物に関する。
樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材(バイオマス)は、これまでその多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質の主要成分は、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体およびリグニン誘導体である。このうち、約30%の割合で含まれるリグニンは、芳香環を豊富に含む構造を有しているため、樹脂原料として利用した樹脂組成物およびタイヤ等が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、リグニン誘導体は、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基を豊富に含む極性の高い構造を有しているため、粘着性付与剤および酸化防止剤として利用した組成物およびタイヤが開示されており(例えば、特許文献3参照)、また、ゴム組成物の補強材としての性能も期待されている。
特表2011−522085号公報 特開2008−285626号公報 特表2012−229330号公報 特開2004−352978号公報
しかしながら、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを含む黒液にリグニン誘導体を溶解し、該リグニン誘導体が溶解した黒液からリグニン誘導体を回収した場合、リグニン誘導体は熱溶融性が悪く成形加工に適さないことがある。また、得られたリグニン誘導体は、配合した場合のゴム組成物の機械的強度が低下している。(例えば、特許文献1参照)。
フェノールと濃硫酸と処理して得られたフェノールを付加したリグノフェノールの場合、(例えば、特許文献2参照)についても検討されているが、フェノールを多く含有するため植物由来度が低くなる。
また、特許文献2において、種々のリグノフェノール誘導体を用いた系が示されているが、ゴム組成物としての特性が十分でない。
また、植物油等で変性したフェノール化バイオマス樹脂(例えば、特許文献4)が開示されているが、フェノールを多く含むことから植物由来度が低く、さらにはセルロース等の脂肪族成分を多く含むために、リグニンが有する耐熱性や機械的強度を低下させる恐れがあり、またゴム補強効果に対する記載はなかった。
このように、リグニン誘導体を使用して高いゴム補強効果を得ることは困難であり、さらには高い植物由来度と高いゴム補強効果の高度な両立はより難しかった。また、成形品を得る場合にも、リグニン誘導体を使用すると成形が難しくなることや、機械的強度が低くなることがあった。
本発明の目的の1つは、植物由来化合物で変性されたリグニンを提供することであり、それによって硬化性に優れる、また高いゴム補強効果を有する変性リグニンを提供することにある。さらには、高い植物由来度を維持しながら、成形特性、又は弾性率を向上させるゴム組成物を提供することにあり、高い植物由来度を維持しながら、成形性、及び、機械的強度に優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明は以下の通りである。
(1)変性リグニン誘導体であって、リグニン誘導体に、植物由来化合物を用いて変性したことを特徴とする変性リグニン誘導体。
(2)前記植物由来化合物が、フェノール構造を含有する物質、ロジン酸を含有する物質、不飽和結合を有する物質よりなる群から選択される1種以上を含有する(1)記載の変性リグニン誘導体。
(3)前記フェノール構造含有する物質が、カシューオイル、ウルシ抽出物、カルダノール、カードル、メチルカードル、アナカルド酸、ウルシオール、ラッコール、チチオール及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種以上を含むものである、(2)に記載の変性リグニン誘導体。
(4)前記ロジン酸を含有する物質が、テルペン油、トール油、ガムロジン、ウッドロジン、及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種以上を含むものである、(2)または(3)に記載の変性リグニン誘導体。
(5)前記不飽和結合を有する物質が、桐油、亜麻仁油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油、及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種以上を含むものである、(2)ないし(4)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体。
(6)前記リグニン誘導体100重量部に対して、植物由来化合物を0.01〜300重量部を用いて変性させたものである(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の変性リグニン誘導体。
(7)リグニン誘導体を、前記植物由来化合物とフェノール類とを用いて変性した、(1)ないし(6)にいずれかに記載の変性リグニン誘導体。
(8)前記リグニン誘導体が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものを含有するものである(1)から(7)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体。
(9)前記リグニン誘導体の軟化点が200℃以下であることを特徴とする(1)ないし(8)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体。
(10)ゴム補強、又は、成形材料に用いるための、(1)ないし(9)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体。
(11)(1)ないし(10)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(12)(1)ないし(10)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体と、ジエン系ゴムを含むことを特徴とするゴム組成物。
(13)さらに、充填剤を含有するものである(12)に記載のゴム組成物。
(14)前記充填剤は、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものである、(12)または(13)に記載のゴム組成物。
(15)(12)ないし(14)のいずれかに記載のゴム組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
(16)(1)ないし(10)のいずれかに記載の変性リグニン誘導体を含む、成形材料。
本発明により、植物由来化合物で変性されたリグニンを開発し、それによって硬化性に優れる、また高いゴム補強効果を有する変性リグニンを提供することができた。さらには、高い植物由来度を維持しながら、成形性、及び、機械的強度に優れた樹脂組成物、又は弾性率を向上させるゴム組成物を提供することが可能となった。
本発明の変性リグニン誘導体は、リグニン誘導体に、植物由来化合物を用いて変性したことを特徴としており、前記フェノール構造の付加(導入)が、リグニン誘導体とフェノール含有化合物とを化学結合により結合させたものである。
以下、樹脂組成物の各成分について順次説明する。
<リグニン誘導体>
まず、リグニン誘導体について説明する。リグニンは、セルロースおよびヘミセルロースとともに、リグノセルロースとして存在する植物体の骨格を形成する主要成分であり、かつ、自然界に最も豊富に存在する物質の1つである。なかでもリグニン誘導体は、フェノール誘導体を単位構造とする化合物であり、この単位構造は、化学的および生物学的に安定な炭素−炭素結合や炭素−酸素−炭素結合を有するため、化学的な劣化や生物的分解を受け難い。このため、リグニン誘導体は、樹脂原料として有用とされる。
本発明に用いられるリグニン誘導体は、バイオマスを分解して得られたものである。バイオマスとは、植物または植物の加工品であるが、これらは光合成の過程で大気中の二酸化炭素を取り込み固定化してなるものであるため、大気中の二酸化炭素の増加抑制に寄与している。このため、バイオマスを工業的に利用することによって、地球温暖化の抑制に寄与することができる。
本発明で用いられるバイオマスを分解してリグニン誘導体を得る処理方法としては、例えば、植物または植物加工品を、薬品処理する方法、加水分解処理する方法、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法、硫酸クレゾール法、パルプ製造法及びバイオ燃料製造法の副産物、などが挙げられる。環境負荷の点から、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法が好ましい。得られるリグニン誘導体の純度の点から、水蒸気爆砕法、亜臨界水処理法が更に好ましい。
リグニン誘導体の具体例としては、下記式(1)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(2)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(3)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。なお、針葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造が、広葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造およびシリンギルプロパン構造が、草本類からは主にグアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造および4−ヒドロキシフェニルプロパン構造がそれぞれ抽出される。
Figure 0006555531
また、本発明におけるリグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているものが好ましい。このようなリグニン誘導体は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、水酸基での反応において立体障害が低減できることになるため、反応性に優れたものとなる。
ここでリグニン誘導体とは、リグニン骨格を有する化合物を主成分としつつ、リグニン分解物、セルロース分解物およびヘミセルロース分解物を含んでいてもよい。
また、リグニン誘導体は、上記基本構造の他、リグニン誘導体に官能基を有するもの(リグニン二次誘導体)であってもよい。
リグニン二次誘導体が有する官能基としては、特に限定されないが、例えば2個以上の同じ官能基が互いに反応し得るもの、または他の官能基と反応し得るものが好適である。具体的には、エポキシ基、メチロール基の他、炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。このうち、メチロール基を導入した(メチロール化した)リグニン誘導体が好ましく用いられる。このようなリグニン二次誘導体は、メチロール基同士の自己縮合反応により自己架橋が生じるとともに、下記架橋剤中のアルコキシメチル基や水酸基に対してより架橋するものとなる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
また、本発明におけるリグニン誘導体の数平均分子量は特に限定されないが、通常の変性工程の作業性が良くなることから、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものが好ましく、300〜3000であるものがより好ましい。このような数平均分子量のリグニン誘導体を用いて変性された変性リグニン誘導体は、その反応性(硬化性)と溶融性または溶解性とをより高度に両立するものとなる。したがって、硬化後の耐溶剤性と成形性とを高度に両立する樹脂組成物が得られる。
前記ゲル浸透クロマトグラフィーによって分子量を測定する方法の一例について説明する。
本発明におけるリグニン誘導体を溶媒に溶解させ、測定サンプルを調製する。このときに用いられる溶媒は、リグニン誘導体を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定精度の観点から、例えば、テトラヒドロフランが好ましい。
次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続する。
このGPCシステムに、前記の測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)、および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定する。別途作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量の関係を示した検量線から、前記リグニン誘導体の数平均分子量を算出することができる。
検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンの分子量としては、特に限定されるものではないが、例えば、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)のものを用いることができる。
さらに、本発明におけるリグニン誘導体は、カルボキシル基を有することがある。前記カルボキシル基を有する場合は、下記に記載する架橋剤と架橋することがあり、架橋点が増加することにより架橋密度を向上させることができるため、耐溶剤性に優れる。また架橋剤の触媒として作用することもあり、リグニン誘導体と架橋剤の架橋反応を促進させることが出来るため、耐溶剤性や硬化速度に優れる。
なお、上述したリグニン誘導体中がカルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基は、カルボキシル基に帰属する13C−NMR分析に供されたとき、172〜174ppmのピークの吸収の有無によって確認することができる。
本発明のリグニン誘導体の軟化点は、特に限定されないが、通常の変性工程の作業性が良くなることから、200℃以下であることが好ましく、さらに下限も併せて規定すると80〜160℃であることが好ましく、85〜150℃であるものがより好ましく、90〜140℃であることがさらに好ましい。軟化点が前記範囲を下回ると、熱溶融性、流動性がありすぎて成形時にバリが多く発生し、また樹脂組成物、及びゴム組成物にする際にハンドリング性が悪いため、製造時のロスが大きい事がある。また、軟化点が前記範囲を上回ると、熱溶融性、流動性が悪く、成形ができない事がある。軟化点は前記揮発成分量を一定範囲に制御することと、バイオマスの分解温度によってリグニン誘導体の平均分子量を制御することと、リグニン誘導体の一部を前記その他の樹脂成分に置き換えることによって変化させることができる。なお、本発明のリグニン誘導体は一部溶媒不溶分が含まれていても、上記の範囲内で同様に樹脂組成物、ゴム組成物にすることが出来る。
前記軟化点を測定する方法はJIS K2207に準じて、環球式軟化点試験機(メルテック(株)製ASP−MG2型)を用いた。
本発明の樹脂組成物として、バイオマスを分解して得られたリグニン誘導体を用いる場合は、低分子量の成分が多量に混入することがあり、加熱時の揮発分や臭気、軟化点の低下を引き起こすことがある。これらの成分は、そのまま利用することも出来るし、リグニン誘導体の加熱、乾燥等によって除去し、軟化点や臭気をコントロールすることが出来る。
<植物由来化合物>
本発明において用いる植物由来化合物は、フェノール構造を含有する物質、ロジン酸を含有する物質、不飽和結合を有する油等の植物由来成分を指す。
前記フェノール構造を含有する物質は、カシューオイル、ウルシ抽出物、カルダノール、カードル、メチルカードル、アナカルド酸、ウルシオール、ラッコール、チチオール及びそれらの精製物を示し、前記ロジン酸を含有する物質が、テルペン油、トール油、ガムロジン、ウッドロジン、及びそれらの精製物を示す。さらに、前記不飽和結合を有する油が、桐油、亜麻仁油、芥子油、紫蘇油、胡桃油、荏油、紅花油、向日葵油、及びそれらの精製物を示す。
前記植物由来物質は、各々選ばれる少なくとも1種以上を含むものを使用することができる。
特に、本発明において、変性に用いる植物由来化合物は、バイオマス由来である桐油、亜麻仁油、トール油、カシューオイルが実用状の観点から好ましい。また植物油は長鎖アルキル基を持つ脂肪族酸やロジン酸系化合物を含むために、成形材料に用いる場合、特に摩擦材や鋳物等のように結合剤として用いる場合の成形性に優れる。また、ゴムに配合した場合の、ゴムとの相溶性やゴムの作業性に優れる。同様に、カシューオイル類は長鎖のアルケニル基を有するフェノール化合物であるカルダノールやカルドールを含むので、リグニン誘導体の変性剤として使用したときに長鎖のアルキル基またはアルケニル基が存在する変性リグニン誘導体を得ることができる。そのため、ゴムに配合した場合、ゴムとの相溶性に優れており、弾性率を向上する等の効果がある。また、成形材料に用いる場合は、成形性を付与するとともに、架橋剤の反応点であるフェノール化合物であり、アルケニル基の不飽和結合をもつために機械強度が高くなる。
<アルデヒド類>
本発明において、リグニン及び/又はフェノール構造含有化合物と反応可能であるアルデヒド類等を用いて変性することが出来る。触媒としては、ノボラック型になる酸触媒、レゾール型になるアルカリ触媒が用いられるが、ノボラック型は保存性に優れるため酸触媒による変性が望ましい。また用いるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられ、同様にフェノール類を付加させ変性させる化合物として糖類、フルフラール、フルフリルアルコール等も用いることが出来る。
<変性リグニン誘導体合成方法>
前記変性リグニン誘導体を合成する方法としては特に限定されないが、例えば、反応装置にリグニン誘導体、フェノール含有化合物として植物油類、酸性触媒を仕込み、還流条件下でアルデヒド類を逐次添加しながら反応させる方法、あるいは、反応装置にリグニン誘導体、酸性触媒を仕込み、還流条件下で植物油類を逐次添加しながら反応させる方法、などが挙げられる。なお、不飽和結合有する植物由来化合物を使用する場合は、予め植物由来化合物と酸を仕込みで重合を行ってから、リグニン誘導体を投入し、上記の方法のように変性させることも出来る。
変性リグニン誘導体合成においては、前記リグニン誘導体100重量部に対して、前記植物由来化合物を0.01〜300重量部を用いて変性させることが好ましく、さらに好ましくは5〜200重量部、もっとも好ましくは10〜150重量部である。
前記範囲以下であれば変性の効果が見られない。また範囲以上である場合、固着する可能性があり、ハンドリング性が悪くなることが生じる。
また、変性リグニン誘導体を合成する際にホルムアルデヒド類を使用する場合、リグニン及び植物由来化合物に含まれるフェノール類構造(P)及び、とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては、反応条件によって調節することが出来るため、特に限定されない。またリグニン誘導体や植物油来化合物は混合物であることが多いために、厳密に計算することは難しく、参考ではあるが0.1〜3.0が好ましく、0.4〜2.5がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5である。反応モル比が、上記下限値未満であると変性の効果が充分に発現しないことがあり、上記上限値を超えると反応条件によってはゲル化することがある。
なお、前記フェノール類構造の反応モル数(P)は、フェノール類の官能基モル数を示すもので、リグニン誘導体の場合、水酸基当量の逆数を用いて計算することが出来る。またフェノール骨格を持つ植物油類を用いる場合は、そのフェノール類構造の官能基モル数も、前記フェノール類構造の反応モル数(P)に加えて計算する。なお、一般に植物油は混合物であるために厳密に計算することは難しいが、混合成分比の中央値から計算して算出することが出来る。例えば、本発明の実施例で用いたカシューオイルの場合、約0.0032(mol/g)となる。
なお、本発明に用いられるリグニン誘導体の水酸基当量は、例えば、以下の方法によって測定することができる。共栓三角フラスコに前記リグニン誘導体試料1.0g、無水酢酸/ピリジン(1/3容量比)混合溶液4.0gと、を入れて溶解させ、この溶液を60℃で3時間保持した後、純水1mlを添加する。このようにして得られた溶液を、pH=10を終点として、0.1mol/LのNaOH水溶液で滴定し、次式によって水酸基当量を求めることができる。
水酸基当量(g/eq)=1000*W/(((TB*f*S/SB)−(T*f))*N)
式中の各記号の意味は次の通り。
W :試料重量(g)
TB:ブランクの滴定量(ml)
SB:ブランクの無水酢酸−ピリジン混合液の量(g)
T :試料入りの滴定量(ml)
S :試料入りで加えた無水酢酸−ピリジン混合液の量(g)
f :水酸化ナトリウム標準水溶液のファクタ−
N: 水酸化ナトリウム標準水溶液の規定度
上記変性リグニン誘導体において、変性率としては、特に限定されないが、変性リグニン誘導体全体に対して、10〜70重量%を用いたものであることが好ましく、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜45重量%である。
変性率が上記下限値より少ないと、変性の効果が充分に発現しないことがある。一方、上記上限値を越えると、変性リグニン誘導体が固形化しにくく、取扱いが難しくなったり、反応が制御しにくくなりゲル化物を生成したりすることがある。
上記変性リグニン誘導体を合成する際に用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類、蓚酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、有機ホスホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、蓚酸、または硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸などの硫酸またはスルホン酸系物質、リン酸、亜リン酸などのリン酸系物質が好ましく、これらの中でも蓚酸、硫酸またはスルホン酸系物質が好ましい。
上記酸性触媒の添加量は特に限定されないが、リグニン誘導体100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲内が好ましく、特に0.3〜2.5重量部が好ましい。
酸性触媒の添加量が上記下限値より少ないと、反応が十分に進行しないことがある。一方、上記上限値を越えると、反応モル比が高い場合と同様、反応条件によってはゲル化物を生成することがある。
上記変性リグニン誘導体を合成する際には、反応溶媒を用いることができる。この反応溶媒としては特に限定されず、水、有機溶媒などを用いることができるが、通常は水またはメタノールが用いられる。また、アルデヒド類としてパラホルムアルデヒドを用いて反応溶媒を用いずに行ってもよい。有機溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
なお、一又は複数の実施形態において、リグニン誘導体を、前記植物由来化合物に加えてフェノール類を併用して変性して変性リグニン誘導体を合成してもよい。
前記フェノール類は、具体的には、フェノールやアルキルフェノールであって、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等の長鎖アルキルフェノール類などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
フェノール類の添加量は、一又は複数の実施形態において、リグニン誘導体100重量部に対して5重量部以上、20重量部以上、又は30重量部以上であり、また500重量部以下、300重量部以下、200重量部以下、100重量部以下、又は80重量部以下である。
上記変性リグニン誘導体の分子量としては特に限定されないが、数平均分子量で400〜5000であることが好ましく、より好ましくは500〜3000である。数平均分子量が上記範囲内であると、樹脂の取扱い性が良好である。数平均分子量が上記下限値を下回ると高粘度な粘凋の物質になったり、固形化しても夏期貯蔵時に固結する物質になったりすることがあり、取扱い性が低下することがある。また、上記上限値を上回ると溶剤類に溶解しにくくなったり、配合物との相溶性が低下したりすることがある。
なお、上記数平均分子量は、前記リグニン誘導体と同様の方法を用いて分析することが出来る。なお、変性条件によっては、一部が溶剤不溶成分になることがある。その場合は大部分の溶解成分を分析すればよいが、不溶成分が多い場合は適した溶媒に変更することが望ましい。
本発明の組成物で用いられる変性リグニン誘導体の形態としては特に限定されないが、微粉末状、もしくは粒状、ペレット状、ワニス状のものが考えられる。ゴムに混練する際のハンドリング性から、粒状、ペレット状を使うことが好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記変性リグニン誘導体、これ以外に、フェノール系樹脂、後述する充填剤、架橋剤等を含んでも良い。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、リグニン誘導体とフェノール系樹脂を混練する工程を含んでもよい。なお、必要に応じて、任意成分を予備混合した後に混練してもよい。また、充填剤、架橋剤、老化防止剤、およびその他の添加剤を含む場合も、その混練の順番は、特に限定されるものではない。
ここに、混練機としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、二軸混練機類などを挙げることができる。
また、混練するときには、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。また、樹脂組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として60〜98質量%程度とされ、好ましくは70〜95質量%程度とされる。
変性リグニン誘導体とフェノール系樹脂を用いる場合は、上記の通り混練しても良いが、フェノール系樹脂を反応して得た後の反応器等に変性リグニン誘導体を投入し、溶融混合しても良く、また変性リグニン誘導体を反応させて得た後、反応器等にフェノール系樹脂を投入して溶融混合させる。なお、その他添加物に関しても同様に予め混合することが出来る。
製造方法の一例としては、リグニン誘導体とフェノール系樹脂を、熱板、ミキサーやロールなどの混合機により混合して、混合樹脂として得ることが出来る。
<ゴム組成物>
本発明に記載した、変性リグニン誘導体は、ゴム組成物として使用することが可能である。この場合、ゴム組成物に関しては、前記の変性リグニン誘導体、ジエン系ゴムを含むことを特徴とする。さらに、上記組成物にフェノール系樹脂を含むことも可能である。
<ゴム組成物の製造方法>
ゴム組成物の製造方法としては、原料ゴムと、変性リグニン誘導体を混練する工程を含む。なお、必要に応じて、原料ゴムおよび任意成分を予備混合した後に混練してもよい。また、例えば、フェノール系樹脂、充填剤、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、およびその他の添加剤を含む場合も、その混練の順番は、特に限定されるものではない。
ここに、混練機としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール類などを挙げることができる。
また、混練するときには、必要に応じて、有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。また、ゴム組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として60〜98質量%程度とされ、好ましくは70〜95質量%程度とされる。
変性リグニン誘導体とフェノール系樹脂を用いる場合は、上記の通り混練しても良いが、フェノール系樹脂を反応して得た後の反応器等に変性リグニン誘導体を投入し、溶融混合しても良く、また変性リグニン誘導体を反応させて得た後、反応器等にフェノール系樹脂を投入して溶融混合させる。なお、その他添加物に関しても同様に予め混合することが出来る。
<原料ゴム>
本発明において使用できる原料ゴムとしては、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を例示でき、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に、耐外傷性、耐摩耗性、耐疲労特性および耐屈曲亀裂成長性等の特性に優れることから、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)のうち1種以上のゴムが好ましく、さらに、入手のしやすさの点で、天然ゴムおよび/またはブタジエンゴム(BR)がより好ましい。
上記のスチレンブタジエンゴム(SBR)の結合スチレン量は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。結合スチレン量が10%以上である場合、本発明ゴム組成物をたとえばタイヤのキャップトレッド用として用いた場合のグリップ性能が特に良好である。また、結合スチレン量は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
ブタジエンゴム(BR)は、ブタジエンユニットの結合のうち90%以上がシス1,4−結合である高シスBRであることが好ましい。該高シスBRを配合することにより、ヒステリシスロスを低減して燃費を改善することが可能である。また、耐摩耗性、耐屈曲亀裂成長性および耐老化性能を良好に改善することができる。
スチレンブタジエンゴム(SBR)および/またはブタジエンゴム(BR)を配合する場合、SBRおよび/またはBRの含有率は、ゴム成分中で50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。SBRおよび/またはBRの含有率が50質量%以下である場合、ゴム成分中の石油資源比率を低く抑え、環境への負荷をより小さくすることができる。
本発明のゴム成分は、アルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む官能基含有天然ゴム(改質天然ゴム)および/または官能基含有ジエン系ゴムを含むことが出来る。天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムがこれらの官能基を含む場合、シリカやカーボンブラック等の充填剤の表面と反応または相互作用してこれらの充填剤の分散性が良好となる。
官能基含有天然ゴム(改質天然ゴム)および/または官能基含有ジエン系ゴムを含む場合は、アルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基は、官能基含有天然ゴム中または官能基含有ジエン系ゴム中に0.001〜80モル%の範囲内で含まれることが好ましい。官能基の含有量が0.001モル%以上であれば、上記のシリカやカーボンブラックの表面と反応または相互作用する効果が良好に得られ、80モル%以下であれば未加硫ゴム組成物の製造時の粘度上昇が抑えられ、加工性が良好となる。かかる官能基の含有量は、0.01〜50モル%の範囲内、さらに0.02〜25モル%の範囲内であることがより好ましい。
天然ゴムおよび/またはジエン系ゴムにアルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有させる方法としては、たとえば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム開始剤を用いて重合されたスチレン−ブタジエン共重合体の重合末端に官能基を導入する方法や、天然ゴムあるいはジエン系ゴムをクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等の方法によりエポキシ化する方法等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分中の含有量が50〜100質量%の範囲内となるように天然ゴムおよび/または改質天然ゴム、またはスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)を含むことが好ましい。
上記の含有量が50質量%以上である場合、E’(貯蔵弾性率)の向上効果および60℃付近のtanδの低減効果が特に顕著に発現する。
なお、ゴム成分の100質量%を天然ゴムおよび/または改質天然ゴムが占めることが環境への負荷が小さい点で好ましいが、たとえば上記のスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等の他のゴムを組合せることによって、より高い耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が必要な場合、これらの性能を調整できる点で好都合である。
前記ゴム化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、変性リグニン誘導体100質量部に対して、100重量部以上、10000質量部以下であるのが好ましく、200重量部以上、5000質量部以下であるのがより好ましく、300重量部以上、2000質量部以下であるのがさらに好ましい。前記ゴム化合物の含有量が少なすぎる場合は、硬度が高くなりすぎて切断時の伸びが少なくなり、多すぎる場合は、補強効果が少なくなる。
(充填剤)
次に、充填剤について説明する。
本発明においては、さらに充填剤を用いても良い。
充填剤としては、樹脂組成物またはゴム組成物において通常用いられるものを採用できる。充填剤としては、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものを使用することが好ましく、特に無機充填剤が好ましい。特に、シリカおよびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。シリカを用いるとtanδの低減効果が良好に得られるが、特に本発明の樹脂組成物とシリカとを組合せて用いる場合、E’(貯蔵弾性率)の向上効果と60℃付近でのtanδの低減効果とが特に良好となる。
充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部の範囲内であることが好ましい。充填剤の該含有量が10質量部以上である場合、タイヤ用ゴム組成物のE’(貯蔵弾性率)の向上効果が良好であり、該含有量が150質量部以下である場合、E’(貯蔵弾性率)が過度に上昇するおそれが少なく、ゴム組成物の調製時の加工性が良好であるとともに、ゴム組成物中の充填剤の分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸び等の低下、および70℃付近でのtanδの不必要な増大とそれによる燃費の悪化、を招くおそれが少ない。
充填剤としてシリカが配合される場合、ゴム成分の100質量部に対して、シリカを10〜150質量部の範囲内、およびシランカップリング剤を該シリカの含有量に対して1〜20質量%の範囲内となるようにそれぞれ配合することが好ましい。タイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10質量部以上である場合、タイヤ用ゴム組成物のE’(貯蔵弾性率)の向上効果が良好であり、150質量部以下である場合、E’(貯蔵弾性率)が過度に上昇するおそれが少なく、タイヤ用ゴム組成物の調製時の加工性が良好である。また、ゴム組成物中のシリカの分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸びの低下、および70℃付近でのtanδの不必要な増大とそれによる燃費の悪化、を招くおそれを少なくできる。シリカの該含有量は、さらに20質量部以上、さらに30質量部以上であることがより好ましく、また、さらに100質量部以下、さらに80質量部以下であることが好ましい。
シリカとしては、従来ゴム補強用として慣用されているものが使用でき、たとえば乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等の中から適宜選択して用いることができる。特に、窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜600m2/gの範囲内、さらに40〜500m2/gの範囲内、さらに50〜450m2/gの範囲内であるものを用いることが好ましい。シリカのN2SAが20m2/g以上である場合タイヤ用ゴム組成物に対する補強効果が大きい点で好ましく、600m2/g以下である場合タイヤ用ゴム組成物中での該シリカの分散性が良好で、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤの使用時における発熱性の増大を防止できる点で好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、用途により、前記以外の充填剤を含むことが出来る。充填剤を添加する場合は、その充填剤としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスのようなケイ酸塩、酸化チタン、アルミナのような酸化物、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような炭酸塩、酸化亜鉛、酸化マグネシウムのような酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムのような硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物等の粉末、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維片といった無機充填剤の他、木粉、パルプ粉砕粉、セルロースファイバー、布粉砕粉、熱硬化性樹脂硬化物粉、アラミド繊維、タルクのような有機充填剤等が挙げられる。
また、ゴム成分がエポキシ化天然ゴムを含む場合、シリカとゴム成分とが相互作用し易い点でも好ましい。
(架橋剤)
次に、架橋剤について説明する。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて架橋剤を添加することができる。架橋剤を添加する場合は、その架橋剤は、変性リグニン誘導体またはゴム化合物、およびその両方と架橋し得るものであれば特に限定されないが、下記式(4)で表される化合物を含むものが好ましい。
Figure 0006555531
[式(4)中のZはメラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CH2ORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
このような化合物を含むゴム組成物は、硬化後の機械的特性に優れるとともに、硬化物の耐久性および外観の向上に寄与する。これは、架橋剤中に含まれる上記式(4)で表される化合物が、多官能性の架橋点を形成し得るため、変性リグニン誘導体を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。剛直な骨格によって硬化物の機械的特性および耐久性(耐煮沸性等)が向上するとともに、膨れや亀裂等の発生が抑制されるため硬化物の外観も向上することとなる。
また、−CH2ORは、前述したようにメラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のうちのいずれかに直接結合しているが、同一の窒素原子または炭素原子に2つ以上の「−CH2OR」が結合している場合、そのうちの少なくとも1つの「−CH2OR」が含む「R」はアルキル基であるのが好ましい。これにより、変性リグニン誘導体を確実に架橋させることができる。
なお、本明細書においてメラミン残基とは、下記式(A)で表されるメラミン骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006555531
また、本明細書において尿素残基とは、下記式(B)で表される尿素骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006555531
また、本明細書においてグリコリル残基とは、下記式(C)で表されるグリコリル骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006555531
また、本明細書においてイミダゾリジノン残基とは、下記式(D)で表されるイミダゾリジノン骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006555531
また、本明細書において芳香環残基とは、芳香環(ベンゼン環)を有する基のことをいう。
また、上記式(4)で表される化合物としては、特に、下記式(5)〜(8)のうちのいずれかで表される化合物が好ましく用いられる。これらは、変性リグニン誘導体中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応し変性リグニン誘導体を確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 0006555531
[式(5)中、XはCH2ORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 0006555531
[式(6)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 0006555531
[式(7)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 0006555531
[式(8)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
また、上記式(5)で表される化合物としては、特に、下記式(9)または(10)で表される化合物が好ましく用いられる。これらは、変性リグニン誘導体中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応し変性リグニン誘導体を特に確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、とりわけ均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 0006555531
[式(9)中、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 0006555531
[式(10)中、nは1〜3の整数を表す。]
また、上記架橋剤は、上記式(4)で表される化合物に代えて、またはこの化合物とともに、ヘミサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンのうちの少なくとも1種の化合物を含むものであってもよい。このような架橋剤を含む硬化物は、機械的強度に優れるとともに、耐久性および外観の高いものとなる。これは、ヘキサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンが変性リグニン誘導体を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。
また、架橋剤には、上記化合物以外の架橋剤成分を用いてもよい。上記化合物以外の架橋剤成分としては、例えば、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ化グリセリン、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油のようなエポキシ樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのようなイソシアネート化合物、変性リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラールのようなアルデヒド類、ポリオキシメチレンのようなアルデヒド源、ヘキサメチレンテトラミンの他、レゾール型フェノール樹脂等の通常のフェノール樹脂で公知の架橋剤、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物等を挙げることができる。また、変性リグニン誘導体100質量部に対して上記化合物は5〜150質量部であるのが好ましく、7.5〜50質量部であるのがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、変性リグニン誘導体および充填剤に加え、軟化剤、粘着付与剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、硫黄、その他の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸等、必要に応じた添加剤が適宜配合され得る。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含むものを使用することが可能である。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
本発明のゴム組成物は、さらに、ステアリン酸、酸化亜鉛等の、通常ゴム工業にて使用される配合剤を適宜配合することができる。
製造方法の一例を下記に示す。
(1)原料ゴムと、変性リグニン誘導体と、任意成分(加硫剤および加硫促進剤を除く)とを、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機により混練して、加硫系を含有していないゴム組成物を得る。ここに、混練条件(温度・時間)は混練機により異なる。
(2)上記(1)により得られたゴム組成物に、オープンロールなどのロール類や前記混練機を用いて加硫剤および加硫促進剤を添加し、再度混練して、加硫系を含有するゴム組成物を得る。
<ゴム組成物の硬化物およびタイヤの製造方法>
次に、ゴム組成物の硬化物およびタイヤを得る工程について説明する。ゴム組成物の硬化物およびタイヤは、ゴム組成物を成形することによって得ることができる。成形方法としては用途によって異なるため、特に限定されるものではないが、金型を用いて成形する場合は、作製したゴム組成物を、油圧プレスを備えた金型を用いて成形し、ゴム組成物の硬化物を得る。
一例として、本発明のゴム組成物をタイヤのトレッドに用いる場合は、通常の方法により製造される。すなわち、前記ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤのトレッド部の形状に押出し加工し、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り合わせて未加硫タイヤを成形する。該未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧してタイヤを得ることができる。
成形の温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましく、130〜230℃程度であるのがさらに好ましい。成形の温度が230℃を超えるである場合、ゴムの劣化の恐れがあり、また100℃未満の場合は成形が出来ない恐れがある。
<成形材料>
本発明は、その他の態様において、本発明の変性リグニン誘導体を含む成形材料である。本発明の成形材料は、例えば、半導体部品、航空機部品、自動車部品、鋳物、産業用機械部品、電子部品、電気部品、機構部品の用途に適用される。
本発明の成形材料に用いられる樹脂組成物は、上述の通りに前記変性リグニン誘導体、これ以外に、フェノール系樹脂、後述する充填剤、架橋剤等が用いられる。
なお、成形方法は特に限定されず、本発明の成形材料は、公知の成形法、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、キャスト成形法等を用いて成形品とすることができる。このようにして得られる成形品の形態は、どのような形態であってもよく、例えば、成形材料を最終成形品にする前の中間成形品であっても、最終成形品であってもよい。
本発明を実施例により説明する。しかし本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
参考例1)
(1)リグニン誘導体の抽出
スギ木粉(60メッシュアンダー)100部と、純水からなる溶媒400部と、を混合し、これを1Lオートクレーブに導入した。そして内容物を300rpmで攪拌しながら、前処理として室温で15分間撹拌を行い、スギ木粉と溶媒とを十分になじませた後、300℃、10MPaで60分間処理して、スギ木粉を分解した。
次いで、得られた分解物を濾過し、濾別された固形成分を回収した。
次いで、得られた固形成分をアセトン250部に12時間浸漬した。これを濾過し、アセトン可溶成分を回収した。
次いで、前記アセトン可溶成分からアセトンを留去し、乾燥することで、リグニン誘導体15.2部を得た。数平均分子量は410、軟化点は108℃であった。
(2)変性リグニン誘導体の製造
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置にフェノール100部、カシューオイル60部、及びシュウ酸1部を仕込み後、反応装置が110℃に達した時点で反応器をセットした。反応装置の温度が130℃に達してから、37%ホルムアルデヒド水溶液35部を10分間逐添後、50分間還流反応を行った。次いで反応装置を160℃に昇温し、常圧脱水を30分行った。その後30分真空脱水を行い、内容物を反応器より取出して常温で固形の変性リグニンを153部得た。
(3)ゴム組成物の作製
変性リグニン誘導体100部と天然ゴム化合物500部、カーボンブラック400部、樹脂架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン20部、加硫剤として硫黄10部、加硫促進助剤として酸化亜鉛10部、離型剤としてステアリン酸15部を、バンバリーミキサーを100℃加熱して混練し、ゴム組成物を得た。
参考例2)
変性リグニン誘導体の製造において、シュウ酸を3部とした以外は参考例1と同じ。
参考例3)
変性リグニン誘導体の製造において、37%ホルムアルデヒド水溶液を39部とした以外は参考例1に同じ。
参考例4)
変性リグニン誘導体の製造において、カシューオイル40部、37%ホルムアルデヒド水溶液を39部とした以外は参考例1に同じ。
参考例5)
変性リグニン誘導体の製造において、シュウ酸の代わりにパラトルエンスルホン酸(PTSA)を1部加えた以外は、参考例3に同じ。
参考例6)
変性リグニン誘導体の製造において、ホルムアルデヒド水溶液を添加せず、シュウ酸の代わりに硫酸を1部加えた以外は参考例1に同じ。
参考例7)
変性リグニン誘導体の製造において、ホルムアルデヒド水溶液を29部、シュウ酸の代わりに硫酸を1部加えた以外は参考例1に同じ。
参考例8)
リグニン誘導体の抽出において、スギ木粉の代わりに稲わらを用いた以外は参考例1に同じ。なお、リグニン誘導体は、数平均分子量は390、軟化点は98℃であった。
参考例9)
リグニン誘導体の抽出において、スギ木粉の代わりにブナ木粉を用いた以外は参考例1に同じ。なお、リグニン誘導体は、数平均分子量は420、軟化点は110℃であった。
参考例10)
ゴム組成物の作製において、変性リグニン誘導体75重量部とフェノールノボラック樹脂25重量部を用いた以外は参考例1に同じ。
参考例11)
ゴム組成物の作製において、変性リグニン誘導体75重量部とカシューオイル変性ノボラック樹脂25重量部を用いた以外は参考例1に同じ。
参考例12)
ゴム組成物の作製において、カーボンブラック280質量部とシリカ70質量部を用いて、さらにシリカカップリング剤を5部加えた以外は参考例1に同じ。
参考例13)
変性リグニン誘導体の製造において、カシューオイルの代わりにトール油20部を用い、ホルムアルデヒド水溶液を添加せず、シュウ酸の代わりに硫酸を1部加えた以外は参考例1に同じ。
参考例14)
変性リグニン誘導体の製造において、カシューオイルの代わりに亜麻仁油20部を用い、ホルムアルデヒド水溶液を添加せず、シュウ酸の代わりに硫酸を1部加えた以外は参考例1に同じ。
(実施例15〜18)
変性リグニン誘導体の製造において、カシューオイルに加えてフェノールを用いた以外は請求項1に同じ。カシューオイル及びフェノールは、それぞれ、実施例15では20部および60部、実施例16では30部および40部、実施例17では40部および30部、実施例18では60部および20部とした。
参考例19)
変性リグニン誘導体の製造において、リグニン誘導体として、アルセル(Alcell(登録商標))法により得られたリグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)を用いて、カシューオイル80部、37%ホルムアルデヒド水溶液を39部とし、酸をパラトルエンスルホン酸(PTSA)とした以外は参考例1に同じ。
(比較例1)
変性リグニン誘導体を用いず、参考例1に従ってゴム組成物を得た。
(比較例2)
変性リグニン誘導体の代わりにフェノールノボラック樹脂を100質量部用いた以外は、比較例1に同じ。
上記実施例で得られた変性リグニン、また比較例の樹脂を用い、表1に示す配合(部)で加熱混練した各種ゴム配合組成物を、油圧プレスにて160℃20分間加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。評価結果を表1に示す。
以下に、実施例および比較例において用いた各種原料について説明する。
天然ゴム:東知製RSS3
硬化剤:ヘキサメチレンテトラミン
カーボンブラック:三菱化学社製、HAF
シリカ:エボニック社製、Ultrasil VN3(BET比表面積:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニック社製、Si−69
酸化亜鉛:堺化学工業社製
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
硫黄:細井化学工業社製、微粉硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業社製、MSA−G
ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製、PR−50731
カシューオイル変性フェノール樹脂:住友ベークライト社製、PR−12686
(a)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠して、東洋精機社製ムーニー粘度計を用いムーニー粘度を測定した。
(b)硬度(タイプD)
JIS K 6253に準拠して、東洋精機社製デュロメーターを用い硬さ(タイプD)を測定した。
(c)切断時引張応力・切断時伸び/JIS K6251に準拠して、東洋精機社製ストログラフを用い、引張速度50mm/分で測定した
(d)貯蔵弾性率、tanδ
TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置を用い、動的歪2%の条件下で、60℃における貯蔵弾性率とtanδを測定した。結果は比較例1のtanδの逆数を100とした場合の、他の実施例および比較例の値を算出した。ここで、tanδの逆数の値が大きいことは、粘弾性特性のtanδが小さいことを意味し、繰返し変形で発生する熱エネルギーを抑えることができ、タイヤ場合は、燃費性能を高めることができるものとなる。
Figure 0006555531
表1から明らかなように、各実施例で得られたゴム組成物の硬化物は、繰返し変形で発生する熱エネルギーの低さの目安であるtanδ値の逆数に優れ、硬度の目安である貯蔵弾性率も高く、さらに、切断時引張応力および切断時伸びが高いものであった。本発明による変性リグニンを用いることで、上記の優れた特性と高い植物由来度を高度に両立することが出来るため、環境負荷が低減することが出来る。
[成形材料としての評価]
参考例1、参考例5、実施例15及び実施例18の変性リグニン誘導体を用いて樹脂成形体を調製し、以下の方法により外観及び曲げ強度の評価を行った(参考例20〜23)。その結果を表2に示す。
<樹脂組成物の調製>
変性リグニン誘導体又はリグニン100質量部にヘキサメチレンテトラミン15質量部を常温で添加し、粉砕混合してリグニン誘導体組成物を調製した。
<樹脂成形体の調製>
リグニン誘導体組成物に対し、ガラス繊維(ガラスミルドファイバー、日東紡績(株)製、基準繊維径10±1.5μm、平均繊維長90μm)を、リグニン誘導体組成物との混合比率で50.5重量%となるように添加した。ラボプラストミルにて90℃50rpmにて混練し、混練したものを175℃3minの条件にて圧縮成形を行い、幅10mm、長さ100mm、高さ4mmの樹脂成形体を得た。
<外観>
得られた樹脂成形体について、外観を目視で確認し、評価した。なお、外観の評価基準は以下のとおりである。
評価基準
○:成形品の表面が平滑で、成形品の表面に肉眼で分かる凹凸が認められない、または、ひずみ、しわ、斑点が1〜2個である。
△:成形品の表面に肉眼で分かる凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が3〜5個である。
×:成形品の表面に肉眼で分かる著しい凹凸が認められる、または、ひずみ、しわ、斑点が6個以上である。
<曲げ強度>
樹脂成形体を用いて、JIS K6911に準拠して曲げ強度を求めた。樹脂成形体を用いて、JIS K6911に準拠して曲げ強度を求めた。具体的には、精密万能試験機(島津製作所社製 オートグラフAG-Xplus)にて、2mm/分の速度で荷重をかけて三点曲げ試験を行った。
Figure 0006555531
表2から明らかなように、変性リグニン誘導体を成形材料として使用した参考例20〜23の成形品は、比較例3及び4に比べて外観及び/又は曲げ強度に優れていた。
本発明の変性リグニン誘導体は、ゴム補強、又は、成形材料の用途に好適である。例えば、本発明の変性リグニン誘導体を含むゴム組成物は、繰返し変形で発生する熱エネルギーが低く、優れた弾性率、切断時引張り応力および切断時伸びが要求される用途、特にタイヤ用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. リグニン誘導体を植物由来化合物とフェノール類とを用いて変性したことを特徴とする変性リグニン誘導体と、
    ジエン系ゴムとを含むゴム組成物であって、
    前記植物由来化合物が、カシューオイル、ウルシ抽出物、カルダノール、カードル、メチルカードル、アナカルド酸、ウルシオール、ラッコール、チチオール及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種以上を含むものであり、
    前記フェノール類が、フェノール又はアルキルフェノールである、ゴム組成物
  2. 前記リグニン誘導体100重量部に対して、植物由来化合物を0.01〜300重量部を用いて変性させたものである請求項1に記載のゴム組成物
  3. 前記リグニン誘導体が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜5000であるものを含有するものである請求項1又は2に記載のゴム組成物
  4. 前記リグニン誘導体の軟化点が200℃以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のゴム組成物
  5. さらに、充填剤を含有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記充填剤は、少なくともカーボンブラック、シリカ、アルミナ、およびセルロースファイバーよりなる群から選択される1種以上を含有するものである、請求項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項ないしのいずれか1項に記載のゴム組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
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