JP6521699B2 - インキ用樹脂およびインキ - Google Patents

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Description

本発明は、インキ用樹脂およびインキに関し、詳しくは、インキ用樹脂、および、そのインキ用樹脂を含有するインキに関する。
従来、オフセット印刷などに用いられる印刷インキは、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、マレイン酸樹脂、石油系樹脂、アルキッド樹脂などのインキ用樹脂を含むワニスと、着色料(顔料)とを含有している。
具体的には、例えば、フェノール平均核体数が6〜10であるレゾール樹脂(a成分)と、ロジンおよび/またはロジンと不飽和カルボン酸との縮合生成物(b成分)と、多価アルコール(c成分)との反応生成物で、かつ重量平均分子量が40,000〜200,000であるロジン変性フェノール樹脂(d成分)を含有するワニス、および、そのワニスを含有する印刷インキが、提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−322411号公報
一方、インキには、使用時に飛散しないこと、すなわち、耐ミスチング性が要求される。使用時における飛散(ミスチング)は、通常、インキの弾性および粘性が低い場合に生じやすくなるため、優れた耐ミスチング性を得るには、インキにある程度の弾性および粘性が要求される。しかしながら、インキの粘性(タック)が過度に高い場合には、印刷特性(光沢など)に劣るという不具合がある。
本発明の目的は、優れた印刷特性を確保しながら、耐ミスチング性の向上を図ることができるインキ用樹脂、および、そのインキ用樹脂を含有するインキを提供することにある。
本発明のインキ用樹脂は、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類と、ロジン系樹脂と、多価アルコールとの反応により得られることを特徴としている。
また、本発明のインキ用樹脂は、前記リグニン、前記フェノール類および前記アルデヒド類の反応により得られるリグニン含有レゾール型フェノール樹脂と、前記ロジン系樹脂と、前記多価アルコールとの反応により得られることが好適である。
また、本発明のインキ用樹脂では、前記リグニン含有レゾール型フェノール樹脂が、前記リグニンと前記フェノール類とを、酸触媒の存在下において反応させた後、得られるフェノール変性リグニンと前記アルデヒド類とを、アルカリ触媒の存在下において反応させることにより得られることが好適である。
また、本発明のインキ用樹脂では、前記リグニンが、酢酸により変性されたリグニンであることが好適である。
また、本発明のインキは、上記のインキ用樹脂を含有することを特徴としている。
本発明のインキ用樹脂およびインキによれば、優れた印刷特性を確保するとともに、耐ミスチング性の向上を図ることができる。
本発明のインキ用樹脂は、リグニンと、フェノール類と、アルデヒド類と、ロジン系樹脂と、多価アルコールとの反応により得られる。
リグニンは、グアイアシルリグニン(G型)、シリンギルリグニン(S型)、p−ヒドロキシフェニルリグニン(H型)などの基本骨格からなる高分子フェノール性化合物であって、植物全般に含まれている。このような天然リグニンを工業的に取り出したものとしては、例えば、植物原料からパルプをソーダ法、亜硫酸法、クラフト法などによって製造する際、排出される廃液(黒液)中に含まれるソーダリグニン、サルファイトリグニン、クラフトリグニンなどが知られている。
リグニンとして、具体的には、木本系植物由来リグニン、草本系植物由来リグニンが挙げられる。
木本系植物由来リグニンとしては、例えば、針葉樹(例えば、スギなど)に含まれる針葉樹系リグニン、例えば、広葉樹に含まれる広葉樹系リグニンなどが挙げられる。このような木本系植物由来リグニンは、H型を基本骨格とするリグニンを含まず、例えば、針葉樹系リグニンはG型を基本骨格とし、広葉樹系リグニンは、G型およびS型を基本骨格としている。
草本系植物由来リグニンとしては、例えば、イネ科植物(麦わら、稲わら、とうもろこし、タケなど)に含まれるイネ系リグニンなどが挙げられる。このような草本系植物由来リグニンは、H型、G型およびS型の全てを基本骨格としている。
これらのリグニンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
リグニンとして、好ましくは、草本系植物由来リグニン、より好ましくは、コーンストーバー(とうもろこしの芯、茎、葉など)に由来する草本系植物由来リグニンが挙げられる。
また、リグニンとして、好ましくは、反応性の観点から、H型の基本骨格を3質量%以上、より好ましくは、9質量%以上、さらに好ましくは、14質量%以上の割合で含有することが挙げられる。
また、リグニンは、好ましくは、カルボン酸により変性される。すなわち、リグニンとして、好ましくは、カルボン酸により変性されたリグニン(以下、カルボン酸変性リグニンと称する場合がある。)が用いられる。
カルボン酸変性リグニンにおいて、カルボン酸としては、例えば、カルボキシ基を1つ有するカルボン酸(以下、単官能カルボン酸と称する場合がある。)が挙げられ、具体的には、例えば、飽和脂肪族単官能カルボン酸、不飽和脂肪族単官能カルボン酸、芳香族単官能カルボン酸などが挙げられる。
飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸などが挙げられる。
不飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、リノール酸などが挙げられる。
芳香族単官能カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸などが挙げられる。
これらカルボン酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボン酸として、好ましくは、飽和脂肪族単官能カルボン酸、より好ましくは、酢酸が挙げられる(換言すれば、リグニンとして、酢酸により変性されたリグニンが用いられる。)。上記のカルボン酸を用いれば、カルボン酸変性リグニンを簡易に得ることができ、また、得られるカルボン酸変性リグニンは、後述するように、有機溶媒に対する溶解性が比較的高く、また、比較的低温(100〜200℃程度)において溶融可能であるため、取扱性にも優れる。
また、カルボン酸は、水溶液として調製することができる。そのような場合、カルボン酸水溶液の濃度は、特に制限されず、適宜設定される。
カルボン酸変性リグニンの製造方法は、特に制限されず、公知の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、リグニンの原料となる植物材料(例えば、針葉樹、広葉樹、イネ科植物など)を、カルボン酸(好ましくは、酢酸)を用いて蒸解することによって、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンを得ることができる。
蒸解方法としては、特に制限されないが、例えば、リグニンの原料となる植物材料と、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、500質量部以上、好ましくは、900質量部以上であり、例えば、30000質量部以下、好ましくは、15000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このような蒸解によって、パルプが得られるとともに、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンが得られる。
次いで、この方法では、濾過などの公知の分離方法によってパルプを分離し、濾液(パルプ廃液)を回収し、必要により、未反応のカルボン酸を、例えば、ロータリーエバポレーター、減圧蒸留などを用いた公知の方法により除去(留去)する。その後、大過剰の水を添加してカルボン酸変性リグニンを沈殿させ、濾過することによって、固形分としてカルボン酸変性リグニンを回収する。
また、カルボン酸変性リグニンを得る方法は、上記に限定されず、例えば、カルボン酸により変性されていないリグニン(以下、未変性リグニン)とカルボン酸とを反応させることにより、カルボン酸変性リグニンを得ることもできる。
このような方法では、未変性リグニンとして、好ましくは、粉末状の未変性リグニンが挙げられる。
粉末状の未変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
平均粒子径が上記範囲であれば、未変性リグニンの凝集を抑制して、未変性リグニンをカルボン酸に対して良好に分散することができる。
なお、粉末状の未変性リグニンは、塊状の未変性リグニンを公知の方法で乾燥および粉砕することにより得ることができ、また、市販品を用いることもできる。
未変性リグニンとカルボン酸とを反応させる方法としては、例えば、未変性リグニンと、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、300質量部以上、好ましくは、500質量部以上であり、例えば、15000質量部以下、好ましくは、10000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このようなカルボン酸変性リグニンは、取扱性に優れる。
すなわち、カルボン酸により変性されていないリグニンは、有機溶媒に対する溶解性が比較的低く、また、溶融しないため、用途によっては、取扱性に劣る場合がある。
一方、上記のようにカルボン酸により変性されたリグニンは、有機溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、メタノールなどの脂肪族アルコール類、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノールAなどのフェノール類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、その他、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性溶媒など)に対する溶解性が比較的高く、溶融温度が比較的低温(100〜200℃程度)において溶融可能であるため、取扱性に優れる。
そのため、カルボン酸変性リグニンは、上記の有機溶媒の溶液として用いることもできる。そのような場合、溶液におけるカルボン酸変性リグニンの濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上である。
また、カルボン酸変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、2cm以下、好ましくは、1cm以下である。
また、リグニン(好ましくは、カルボン酸変性リグニン)のフェノール性水酸基当量は、例えば、100g/eq以上、好ましくは、300g/eq以上であり、例えば、1700g/eq以下、好ましくは、1350g/eq以下である。
なお、フェノール性水酸基当量は、後述する実施例に準拠して求められる。
また、カルボン酸変性リグニンは、上記の有機溶媒(好ましくは、酢酸エチル)により溶解可能な成分(可溶成分)と、上記の有機溶媒によって溶解不能な成分(不溶成分)との混合物として得られる場合がある。
このような場合、カルボン酸変性リグニンとして、可溶成分と不溶成分との混合物(粗カルボン酸変性リグニンと称する。)を用いることができる。
また、可溶成分と不溶成分とを分離して、可溶成分のみを用いることもでき、また、不溶成分のみを用いることもできる。さらには、分離された可溶成分と不溶成分とを、混合して用いることもできる。
可溶成分と不溶成分とを分離する方法としては、例えば、上記した有機溶媒による抽出法などが採用される。
なお、抽出条件は、使用される有機溶媒、および、粗カルボン酸変性リグニンの物性などに応じて、適宜設定される。
リグニンとして、カルボン酸変性リグニンを用いれば、耐ミスチング性の向上を図ることができ、さらに、速乾性、耐摩擦性、光沢性の向上を図ることができる。
フェノール類は、フェノールおよびその誘導体であって、例えば、フェノール、さらには、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、フェニルフェノール、クミルフェノール、オクチルフェノール(p−tert−オクチルフェノールなど)、ノニルフェノール、2,4−または2,6−キシレノールなどの2官能性フェノール誘導体、例えば、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性フェノール誘導体、例えば、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性フェノール誘導体などが挙げられる。また、例えば、塩素、臭素などのハロゲンにより置換されたハロゲン化フェノール類なども挙げられる。これらフェノール類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
フェノール類として、好ましくは、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、ノニルフェノールが挙げられる。光沢性の観点から、より好ましくは、ノニルフェノールの単独使用が挙げられる。また、速乾性および耐ミスチング性の観点から、より好ましくは、p−tert−ブチルフェノールとノニルフェノールとの併用、p−tert−オクチルフェノールとノニルフェノールとの併用が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド(n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド)フルフラール、グリオキサール、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンなどが挙げられる。また、アルデヒドの一部が、フルフリルアルコールなどに置換されていてもよい。これらアルデヒド類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルデヒド類として、好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが挙げられる。
また、アルデヒド類は、例えば、水溶液として用いることができる。そのような場合において、アルデヒド類の濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン誘導体が挙げられる。
ロジン類は、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジンであり、また、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、あるいは、その他の化学的に修飾されたロジン、またはこれらの精製物を含む概念である。
また、ロジン誘導体としては、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、あるいは、ロジン変性フェノール類、ロジン類や不飽和カルボン酸で変性したロジン類のカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類などが挙げられる。
ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類と多価アルコール(後述)とを、公知のエステル化法により反応させることによって、得ることができる。
ロジン類と多価アルコール(後述)との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、多価アルコール(後述)の水酸基のモル比(OH/COOH)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール(後述)との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
不飽和カルボン酸変性ロジン類は、例えば、上記したロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を公知の方法により反応させることによって、得ることができる。
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、および、その酸無水物などが挙げられ、具体的には、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらα,β−不飽和カルボン酸類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との配合割合は、ロジン類1モルに対して、α,β−不飽和カルボン酸類が、例えば、1モル以下である。また、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、1〜24時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類に、上記した多価アルコール(後述)、および、上記したα,β−不飽和カルボン酸類を順次または同時に反応させることにより、得ることができる。
上記成分を順次反応させる場合は、まず、ロジン類と多価アルコール(後述)とを反応させ、その後、α,β−不飽和カルボン酸類を反応させるか、または、まず、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とを反応させ、その後、多価アルコール(後述)を反応させる。ロジン類と多価アルコール(後述)とのエステル化反応や、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との変性反応における反応条件は、上記と同様とすることができる。
また、ロジン誘導体としては、さらに、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
ロジンのアミド化合物は、例えば、上記したロジン類と、アミド化剤とを反応させることによって、得ることができる。
アミド化剤としては、例えば、1級および/または2級ポリアミン化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
1級および/または2級ポリアミン化合物は、1分子中に1級および/または2級アミノ基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との縮合反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリアミン化合物として、具体的には、例えば、エチレンジアミン、N−エチルアミノエチルアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミンなどの鎖状ジアミン類、例えば、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)−プロパン、ホモピペラジンなどの環状ジアミン類、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどのポリアミン類、さらには、これらのハロゲン化水素酸塩などが挙げられる。
これら1級および/または2級ポリアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオキサゾリン化合物は、1分子中にポリオキサゾリン環を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。
これらポリオキサゾリン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加縮合脱炭酸反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)、4,4’−トルイジンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)など)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどのジイソシアネート、さらには、これらの誘導体(例えば、多量体、ポリオール付加体など)などが挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらアミド化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン類とアミド化剤との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、アミド化剤の活性基(1級および/または2級アミノ基、ポリオキサゾリン環、イソシアネート基)のモル比(OH/活性基)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール(後述)との反応では、反応温度が、例えば、120〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
ロジンのアミン塩は、ロジン類に含有されるカルボキシル基を、3級アミン化合物で中和することにより、得ることができる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−4アルキルアミン、例えば、モルホリンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。
これら3級アミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらロジン系樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、この方法においては、ロジン系樹脂をそのまま用いることもできるが、必要に応じて、例えば、ロジンエマルション、ケン化ロジンなどとして用いることもできる。
ロジンエマルションは、例えば、溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法、転相乳化法、あるいはその他の公知の乳化法により製造される。
乳化法は、特に制限されないが、例えば、特開2008−303269の段落番号[0024]〜[0025]に記載の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、溶剤型乳化法では、まず、ロジン系樹脂を、例えば、メチレンクロライドなどの塩素系炭化水素溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、メチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、その他ロジン系樹脂を溶解可能な溶剤などの有機溶剤に溶解させ、ロジン系樹脂溶液を得る。次いで、別途、乳化剤および水を混合および溶解させた乳化水を用意し、その乳化水と上記のロジン系樹脂溶液とを予備混合して、粗粒子の水性エマルション(予備乳化物)を調製する。その後、得られた水性エマルションを、各種ミキサー、コロイドミル、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いて微細乳化した後、常圧または減圧下で加熱しながら、有機溶剤を除去する。
また、無溶剤乳化法では、例えば、常圧または加圧下で、溶融したロジン系樹脂と乳化水とを予備混合し、粗粒子の水性エマルションを調製した後、各種乳化分散機を用いて上記と同様に微細乳化させる。
また、転相乳化法では、常圧または加圧下でロジン系樹脂を加熱溶融した後、撹拌しながら乳化水を徐々に加えることにより、まず、油中水型エマルションを得た後、その水中油型エマルションに相反転させる。なお、この方法は、溶剤法、無溶剤法いずれの方法でも採用することができる。
上記した乳化法において使用される乳化剤としては、例えば、ノニオン性乳化剤、両性乳化剤、合成高分子系乳化剤などが挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。
両性乳化剤としては、例えば、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとアルキルアミンまたはジアミンとの生成縮合物の硫酸化、あるいはスルホン酸化付加物などが挙げられる。
合成高分子系乳化剤としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステル類、アクリルアマイド、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの重合性モノマーを2種以上重合させて得られる重合体を、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ類で塩形成させ、水に分散または可溶化させた水分散性重合体などが挙げられる。これら乳化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジンエマルションは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジンエマルションにおいて、ロジン系樹脂の固形分濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、例えば、99質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
ケン化ロジンは、ロジン系樹脂をケン化剤でケン化することにより得ることができる。
ケン化剤としては、特に制限されず、公知のケン化剤を用いることができる。具体的には、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属類や、アンモニアなどが挙げられる。これらケン化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ケン化ロジンのケン化率は、例えば、1%以上、好ましくは、10%以上であり、通常、100%以下である。
なお、ロジン系樹脂とケン化剤との配合割合は、ケン化率が上記範囲となるように、ロジン系樹脂およびケン化剤の種類などに応じて、適宜設定される。
また、ケン化反応では、反応温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、10℃以上であり、例えば、150℃以下、好ましくは、120℃以下である。また、反応時間が、例えば、1分以上、好ましくは、5分以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、18時間以下である。
この反応により、ケン化ロジンを得ることができる。
ケン化ロジンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ケン化ロジンは、無溶剤で用いることができ、また、溶剤に溶解させて、ケン化ロジン溶液として用いることができる。
溶剤としては、特に制限されないが、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などが挙げられ、好ましくは、水、アルコール類、エーテル類が挙げられ、より好ましくは、水が挙げられる。
これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ケン化ロジン溶液において、ケン化ロジンの固形分濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、99質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
多価アルコールは、2つ以上の水酸基を1分子中に有する有機化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタンなどの3価アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの4価アルコール、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコールなどが挙げられる。これら多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
多価アルコールとして、好ましくは、3価アルコール、4価アルコールが挙げられ、より好ましくは、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられ、さらに好ましくは、グリセリンが挙げられる。
そして、リグニン、フェノール類、アルデヒド類、ロジン系樹脂および多価アルコールを反応させることにより、インキ用樹脂を得ることができる。
インキ用樹脂の調製では、例えば、上記各成分(リグニン、フェノール類、アルデヒド類、ロジン系樹脂および多価アルコール)を一括処方し、加熱および加圧して、反応させることができる。また、上記各成分を順次処方し、加熱および加圧して、反応させることもできる。
設備コストおよび生産コストの観点から、好ましくは、上記各成分を順次処方して反応させる。
このような場合、具体的には、まず、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類を反応させることにより、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を調製し、次いで、得られたリグニン含有レゾール型フェノール樹脂と、ロジン系樹脂と、多価アルコールとを反応させる。
リグニン含有レゾール型フェノール樹脂の調製では、好ましくは、まず、リグニンとフェノール類とを、酸触媒の存在下において反応させる。
酸触媒としては、例えば、有機酸、無機酸などが挙げられる。
有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などのスルホン酸化合物、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有するリン酸エステル類、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸などのカルボン酸類などが挙げられる。
無機酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
これら酸触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸触媒として、好ましくは、無機酸、より好ましくは、硫酸が挙げられる。
各成分の配合割合は、リグニン100質量部に対して、フェノール類が、例えば、50質量部以上、好ましくは、150質量部以上、より好ましくは、200質量部以上、さらに好ましくは、400質量部以上であり、例えば、1500質量部以下、好ましくは、800質量部以下である。
換言すれば、リグニンに対するフェノール類の質量比(フェノール類/リグニン)が、例えば、0.5以上、好ましくは、1.5以上、より好ましくは、2.0以上、さらに好ましくは、4.0以上であり、例えば、15以下、好ましくは、8以下である。
リグニンに対するフェノール類の質量比が上記範囲であれば、インキ用樹脂の溶剤や植物油(後述)への溶解度の向上を図ることができる。
また、リグニン100質量部に対して、酸触媒が、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、70℃以上、好ましくは、110℃以上であり、例えば、180℃以下、好ましくは、150℃以下である。
また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
これにより、リグニンがフェノール類で変性され、フェノール変性リグニンが得られる。
次いで、この方法では、得られた反応物(すなわち、フェノール変性リグニン)と、アルデヒド類とを、アルカリ触媒の存在下において反応させる。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物が挙げられ、さらには、例えば、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族アミン、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、その他、2価金属のナフテン酸、2価金属の水酸化物などが挙げられる。これらアルカリ触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルカリ触媒として、好ましくは、水酸化ナトリウムが挙げられる。
各成分の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、アルデヒド類が、例えば、15質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
また、フェノール類100質量部に対して、アルカリ触媒が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、2.0質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、100℃以下である。
また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、例えば、15時間以下、好ましくは、10時間以下である。
これにより、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂が得られる。
また、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得る方法としては、上記に限定されず、リグニン、フェノール類およびアルデヒド類を一括処方し、上記したアルカリ触媒の存在下において、一括反応させることもできる。
このような場合、各成分の配合割合は、リグニン100質量部に対して、フェノール類が、例えば、50質量部以上、好ましくは、190質量部以上であり、例えば、1500質量部以下、好ましくは、770質量部以下である。
また、フェノール類100質量部に対して、アルデヒド類が、例えば、15質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
また、フェノール類100質量部に対して、アルカリ触媒が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、2.0質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、100℃以下である。
また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、例えば、15時間以下、好ましくは、10時間以下である。
これにより、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂が得られる。
リグニン含有レゾール型フェノール樹脂の調製において、好ましくは、まず、リグニンとフェノール類とを、酸触媒の存在下において反応させ、その後、得られた反応物(フェノール変性リグニン)と、アルデヒド類とを、アルカリ触媒の存在下において反応させる。
このような方法によれば、まず、リグニンがフェノール類により変性されるため、リグニンの反応性を向上させることができ、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂の製造効率の向上を図ることができる。
次いで、この方法では、得られたリグニン含有レゾール型フェノール樹脂と、ロジン系樹脂と、多価アルコールとを反応させ、インキ用樹脂を得る。
インキ用樹脂の調製では、好ましくは、まず、上記で得られたリグニン含有レゾール型フェノール樹脂と、ロジン系樹脂とを反応させる。
各成分の配合割合は、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、ロジン系樹脂が、例えば、20質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、例えば、1000質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、230℃以下である。
また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
次いで、この方法では、さらに、多価アルコールを添加し、反応させる。
各成分の配合割合は、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、多価アルコールが、例えば、7質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、25質量部以下、好ましくは、22質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、350℃以下、好ましくは、300℃以下である。
また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
これにより、インキ用樹脂が得られる。
また、インキ用樹脂を得る方法としては、上記に限定されず、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂、ロジン系樹脂および多価アルコールを一括処方し、反応させることもできる。
このような場合、各成分の配合割合は、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、ロジン系樹脂が、例えば、20質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、例えば、1000質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。
また、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、多価アルコールが、例えば、7質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、25質量部以下、好ましくは、22質量部以下である。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、350℃以下、好ましくは、300℃以下である。
また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
これにより、インキ用樹脂が得られる。
また、インキ用樹脂の調製では、必要に応じて、触媒を添加することができる。
触媒としては、例えば、公知のエステル化触媒が挙げられ、具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの金属酸化物、例えば、ブレンステッド酸、ルイス酸などの公知の酸触媒などが挙げられる。
触媒として、好ましくは、金属酸化物が挙げられ、より好ましくは、酸化亜鉛が挙げられる。
触媒の添加割合は、ロジン系樹脂100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.2質量部以上であり、例えば、2.5質量部以下、好ましくは、1.0質量部以下である。
そして、このようなインキ用樹脂によれば、優れた印刷特性を確保するとともに、耐ミスチング性の向上を図ることができる。さらに、上記のインキ用樹脂によれば、優れた光沢性を得ることができる。
そのため、インキ用樹脂は、印刷インキなどのインキにおいて、好適に用いられる。
インキは、上記のインキ用樹脂を含有している。より具体的には、インキは、上記のインキ用樹脂、植物油および溶剤を含有するワニスと、着色剤とを含有している。
植物油としては、例えば、あまに油、桐油、サフラワー油などの乾性油、例えば、大豆油、ナタネ油、コーン油などの半乾性油、例えば、ヒマシ油、オリーブ油などの不乾性油、例えば、脱水ヒマシ油、熱重合油などの合成乾性油、および、これらの混合物、再生油などが挙げられる。
これら植物油は、単独使用または2種類以上併用することができる。
植物油として、好ましくは、半乾性油、より好ましくは、大豆油が挙げられる。
溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、例えば、パラフイン系溶剤、ナフテン系溶剤、アロマ系溶剤などの石油系溶剤などが挙げられる。
また、溶剤は、市販品としても入手することができ、具体的には、例えば、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、6号ソルベント、インキオイル35(以上、JX日鉱日石エネルギー社製)などが挙げられる。
これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ワニスにおいて、インキ用樹脂、植物油および溶剤の配合割合は、インキ用樹脂、植物油および溶剤の総量100質量部に対して、インキ用樹脂が、例えば、20〜60質量部、植物油が、例えば、20〜40質量部、溶剤が、例えば、20〜40質量部である。
また、ワニスは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、公知のインキ用樹脂(石油樹脂、アルキッド樹脂、ギルソナイト樹脂など)を含有することができる。
このような場合、公知のインキ用樹脂の含有割合は、上記したインキ用樹脂100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、ワニスは、必要に応じて、ゲル化剤を含有することができる。ワニスは、ゲル化剤を含有することにより、ゲルワニスとして調製される。
ゲル化剤としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムイソプロピレート、ステアリン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウムなどが挙げられる。
これらゲル化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6Bなどの溶性アゾ顔料、例えば、アリリド系顔料、アセト酢酸アリリドジスアゾ系顔料、ピラゾロン系顔料などの不溶性アゾ顔料、例えば、銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、キナクリドン系顔料、ジオサジン系顔料、ピラントロン系顔料、インダストロン系顔料、チオインジゴ系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン系顔料、金属錯塩系顔料、キノフタロン系顔料などの多環式および複素環式顔料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、亜鉛華、紺青、群青、弁柄などが挙げられる。
これら着色剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
着色剤は、目的および用途に応じて、適宜選択されるが、上記インキ用樹脂が黒色である場合などには、好ましくは、黒色顔料が選択される。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。
インキにおいて、ワニスおよび着色剤の配合割合は、ワニスおよび着色剤の総量100質量部に対して、ワニスが、例えば、70〜90質量部であり、着色剤が、例えば、10〜30質量部である。
また、インキは、必要に応じて、添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、皮張り防止剤、ワックスコンパウンド、難燃剤、充填剤、安定剤などが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。添加剤の含有量は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、目的および用途に応じて、適宜設定される。
添加剤は、例えば、上記のワニスに添加されていてもよく、また、顔料と混合されていてもよく、また、ワニスと顔料との混合時に同時に添加されていてもよく、さらには、ワニスと顔料との混合物に、別途添加されていてもよい。
このようにして得られるインキは、上記のインキ用樹脂を含有しているため、印刷特性および耐ミスチング性に優れる。
換言すれば、上記のインキは、印刷特性を満足するように、上記の植物油および上記の溶剤により濃度調整され、粘度およびタック(粘り気)が調整される場合においても、優れた耐ミスチング性を有する。
なお、印刷特性の観点から、インキの25℃における粘度は、例えば、4Pa・s以上、好ましくは、10Pa・s以上であり、例えば、200Pa・s以下、好ましくは、150Pa・s以下である。
なお、粘度は、JIS K−5701(2000年)に準拠して測定することができる。
また、タック値(400rpm)が、例えば、4以上、好ましくは、4.5以上であり、例えば、9.5以下、好ましくは、8以下である。
なお、タック値は、JIS K−5701(2000年)に準拠して測定することができる。
そして、上記のインキは、粘度およびタック(粘り気)が上記範囲に調整される場合にも、耐ミスチング性に優れ、さらに、速乾性、耐摩擦性、光沢性にも優れる。
そのため、上記のインキは、オフセット印刷などにおける印刷インキとして、好適に用いられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<酢酸変性リグニンの製造>
製造例1
コーンストーバー100質量部を、95質量%の酢酸1000質量部および硫酸3質量部と混合し、還流下において4時間反応させた。反応後、濾過してパルプを除去し、パルプ廃液を回収した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いてパルプ廃液中の酢酸を除去し、体積が1/10になるまで濃縮した後、その濃縮液の10倍量(質量基準)の水を添加し、濾過することにより、固形分として酢酸変性リグニンを得た。
得られた酢酸変性リグニンのフェノール性水酸基当量は、435.9g/eqであった。
なお、フェノール性水酸基当量は、以下の方法により求めた。
すなわち、まず、酢酸変性リグニン試料10mgを、2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)10mLに溶解させ、種試料とした。
次に、種試料1mLを2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)にて希釈して10mLとし、試料1とした。
さらに、種試料1mLを2−メトキシエタノール/2N水酸化ナトリウム水溶液(1/1、w/w)にて希釈して10mLとし、試料2とした。
そして、得られた2種類の試料(試料1および試料2)を、以下に示す吸光度測定に供した。
より具体的には、まず、前後のセルに2−メトキシエタノール/水(1/1、w/w)を入れてベースラインをとり、次いで、試料1をリファレンス側、また、試料2を試料側にセットして、296nmおよび366nmの吸収(吸光度)を測定した。
なお、296nmの吸収(吸光度)は下記式(1)の構造に起因し、また、フェノール性水酸基濃度に関するモル吸光係数は、4100L/(mol・cm)である。
また、366nmの吸収(吸光度)は、下記式(2)の構造に起因し、フェノール性水酸基濃度に関するモル吸光係数は、37250L/(mol・cm)である。
そして、上記の2つの波長における吸収(吸光度)およびモル吸光係数から、試料中のフェノール性水酸基濃度を求め、フェノール性水酸基当量に換算した。
Figure 0006521699
<未変性リグニンの製造>
製造例2
麦わらのアルカリ蒸解パルプ廃液(黒液)を中和した後、濾過することにより、固形分として未変性リグニンを得た。
<インキ用樹脂の調製>
実施例1
・リグニン含有レゾール型フェノール樹脂の合成(リグニンのフェノール変性あり)
室温下で1Lのフラスコに616g(2.8mol)のノニルフェノールを入れ、250rpmにて撹拌した。次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン60g(0.4mol)を添加し、2.4gの濃硫酸(98%溶液)を添加した。その後、130℃まで昇温し、水抜き管を付け、窒素雰囲気下で2.5時間反応させた。これにより、フェノール変性リグニンを得た。
その後、フェノール変性リグニンを50℃まで降温させ、182.6gのパラホルムアルデヒド(92%溶液)を添加し、4.4gの水酸化ナトリウムを加えた。1.0℃/minの昇温速度で95℃まで昇温させた後、95℃、250rpm下にて5時間反応させた。
これにより、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。
・インキ用樹脂の調製
1Lの反応フラスコに、515gの中国ガムロジンを入れた後、加熱して徐々に溶融させるとともに、撹拌速度を250rpmまで少しずつ上げた。210℃まで昇温後、10.3gの無水マレイン酸を添加し、30分反応させた。これにより、不飽和カルボン酸変性ロジンを得た。
次いで、2.6gの酸化亜鉛を添加し、次に、滴下漏斗にて上記のリグニン含有レゾール型フェノール樹脂360gを、3ml/minの滴下速度にて2時間かけて滴下した。
その後、57gのグリセリンを添加し、0.3℃/minの昇温速度で250℃まで昇温した。さらに、250℃にて5時間反応させた。
これにより、インキ用樹脂を得た。
実施例2〜3
表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を合成し、その後、実施例1と同様にして、インキ用樹脂を調製した。
実施例4
・リグニン含有レゾール型フェノール樹脂の合成(リグニンのフェノール変性なし)
室温下で1Lのフラスコに616g(2.8mol)のノニルフェノールを入れ、250rpmにて撹拌した。次いで、製造例1で得られた酢酸変性リグニン60g(0.4mol)を添加し、50℃まで昇温した。
その後、182.6gのパラホルムアルデヒドを添加し、2.5gの水酸化ナトリウムを加えた。1.0℃/minの昇温速度で95℃まで昇温させた後、95℃にて5時間反応させた。
これにより、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を得た。
・インキ用樹脂の調製
上記のリグニン含有レゾール型フェノール樹脂を用い、表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、インキ用樹脂を得た。
実施例5
酢酸変性リグニンに代えて、製造例2で得られた未変性リグニンを用い、表1に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を合成し、その後、実施例1と同様にして、インキ用樹脂を調製した。
実施例6
酢酸変性リグニンに代えて、製造例2で得られた未変性リグニンを用い、表1に示す配合処方とした以外は、実施例4と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を合成し、その後、実施例4と同様にして、インキ用樹脂を調製した。
実施例7
ノニルフェノール616g(2.8mol)に代えて、ノニルフェノール308g(1.4mol)と、p−tert−オクチルフェノール308gとを用いた(質量比1:1)以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を合成し、その後、実施例1と同様にして、インキ用樹脂を調製した。
実施例8
ノニルフェノール616gに代えて、ノニルフェノール308gとp−tert−ブチルフェノール308gとを用いた(質量比1:1)以外は、実施例1と同様にして、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂を合成し、その後、実施例1と同様にして、インキ用樹脂を調製した。
比較例1
・リグニン不含有レゾール型フェノール樹脂の合成
室温下で1Lのフラスコに700g(2.8mol)のノニルフェノールを入れ、250rpmにて撹拌した。次いで、50℃まで昇温させた後、207.5gのパラホルムアルデヒドを添加し、2.8gの水酸化ナトリウムを加えた。1.0℃/minの昇温速度で95℃まで昇温させた後、95℃にて5時間反応した。
・インキ用樹脂の調製
1Lの反応フラスコに540gの中国ガムロジンを入れた後、加熱して徐々に溶融させるとともに、撹拌速度を250rpmまで少しずつ上げた。210℃まで昇温後、10.8gの無水マレイン酸を添加し、30分反応させた。これにより、不飽和カルボン酸変性ロジンを得た。
次いで、2.7gの酸化亜鉛を添加し、次に、滴下漏斗にて上記のリグニン不含有レゾール型フェノール樹脂360gを、3ml/minの滴下速度にて2時間かけて滴下した。
その後、59.8gのグリセリンを添加し、0.3℃/minの昇温速度で250℃まで昇温した。さらに、250℃にて5時間反応させた。
これにより、インキ用樹脂を得た。
Figure 0006521699
なお、表中において、「リグニン」とは、酢酸変性リグニンまたは未変性リグニンを示し、「レゾール樹脂」とは、リグニン含有レゾール型フェノール樹脂またはリグニン不含有レゾール型フェノール樹脂を示す。
実施例9〜16および比較例2
実施例1〜8および比較例1において得られたインキ用樹脂を用いて、以下の方法により、ワニスおよびインキを調製した。
・ワニスの調製
室温下で250mlの反応フラスコに、54gの大豆油(大豆白絞油)と、45gのインキ用樹脂とを撹拌しながら添加した。なお、撹拌速度は200rpmとした。
次いで、100℃まで昇温し、その直後に、1gのゲル化剤(ケロープ EP−2、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソムロピレート、ホープ社製)を加えた。
その後、30分かけて180℃まで昇温し、さらに、180℃にて1時間加熱した。
その後、120℃まで温度を下げ、サンプリングし、TV−20 EHD型粘度計(東機産業社製)にて粘度を測定した。
そして、サンプルの粘度が100±20Pa・s程度となるように、大豆油(大豆白絞油)を添加した。
・インキの作製
上記のワニス70gに対して、中性カーボン(カーボンブラック)18gと、AFソルベント6号(溶剤、JX日鉱日石エネルギー社製)2gとを添加し、3本ロールにて分散させた。
さらに、インコメーター(東洋精機社製)にて、400rpmにおけるタック値が4〜5になるように、ワニスまたはAFソルベント6号を添加した。
これにより、インキを調製した。
<評価>
各実施例および比較例において得られたインキの物性を、以下の方法により評価した。その結果を、表2に示す。
(1)耐ミスチング性
インキ2.8mlをミスチングテスター(東洋精機社製)のロールに塗り、1000rpmにて1分間ロールを回し、ロール下面と、ロール付近に置いた白色紙上へのインキの飛散状態を観察し、10段階(1:悪−10:良)にて目視評価した。
(2)速乾性
RI−2型印刷適性試験機(IHI機械システム社製)の3分割ロールにて、インキ0.1mlをコート紙に展色した。展色後、展色物を幅1cm程に切り、印刷面をもう1枚のコート紙に貼り合わせた。
この試料について、インキがコート紙に付着しなくなるまでの時間(分)を測定した。
(3)光沢値および耐摩擦性
RI−2型印刷適性試験機(IHI機械システム社製)の2分割ロールにて、インキ0.2mlをコート紙に展色した。展色後、サンプルを25℃で、24時間静置した。
その後、光沢値をマイクロ−トリ−グロス光沢計(ガードナー社製)にて測定角度60°にて測定した。
次に、耐摩擦性をS型摩擦試験機にて、JIS K 5701−1(2000)−P16の方法に準拠して、摩擦実験を実施した。
摩擦回数は、20回と設定し、10段階(1:悪−10:良)にて目視評価した。
Figure 0006521699
なお、略号の詳細を下記する。
NP:ノニルフェノール
POP:p−tert−オクチルフェノール
PTBP:p−tert−ブチルフェノール

Claims (4)

  1. リグニンフェノール類およびアルデヒド類の反応生成物であるリグニン含有レゾール型フェノール樹脂と、
    ロジン系樹脂と、
    多価アルコールとの反応により得られることを特徴とする、インキ用樹脂。
  2. 前記リグニン含有レゾール型フェノール樹脂が、
    前記リグニンと前記フェノール類とを、酸触媒の存在下において反応させた後、
    得られるフェノール変性リグニンと前記アルデヒド類とを、アルカリ触媒の存在下において反応させることにより得られる、請求項に記載のインキ用樹脂。
  3. 前記リグニンが、酢酸により変性されたリグニンである、請求項1または2に記載のインキ用樹脂。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のインキ用樹脂を含有することを特徴とする、インキ。
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