JP5082348B2 - 新規樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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ここで「シクロペンタジエン系炭化水素」とは、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、これらのアルキル置換誘導体(例えば、メチルシクロペンタジエン)及びこれらの2量体(これには、例えば、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエンなどの共2量化物が含まれる)、3量体(例えば、トリシクロペンタジエン)などの多量体を指す。
この(B)成分は、文字通り、フェノール類とホルムアルデヒドを公知の方法及び公知の反応条件で反応させることによって得ることができる。一般的には、フェノール類とホルムアルデヒドをアルカリ性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなど)又は酸性触媒(硫酸、p−トルエンスルホン酸など)の存在下、無溶剤又は溶剤中で反応させ、得られた反応混合物を、必要に応じて、中和及び/又は水洗することで得ることができる。反応に際して、ホルムアルデヒド/フェノール類のモル比は、1.0〜3.0の範囲で選ばれる。
反応に供するフェノール類としては、石炭酸、クレゾール、アミルフェノール、ビスフェノールA、p−アルキル置換されているフェノール類などが何れも使用できるが、なかでも炭素数4〜12のp−アルキル置換されているフェノール類である、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノールの使用が好ましい。
反応に供する多価アルコールとしては、2価以上のアルコール性水酸基を有するものであればいずれも使用可能であって、具体的には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールなどが例示できる。
本発明の(D)成分は、単一種のロジン類及び/又はその多価アルコールエステル化物であっても、また、その混合物であっても差し支えないが、いずれのロジン類及び/又はその多価アルコールエステル化物でも、反応して得られる樹脂組成物の酸価が1〜50の範囲になるように、随時適量使用することが好ましい。
(C)成分の添加は、(A)及び(D)成分と(B)成分との反応前乃至反応後に、好ましくは(B)成分1モルあたり、(C)成分の1級及び2級アミノ基0.01〜0.8モル当量の範囲で添加する。(C)成分の反応に対する関与は明白ではないが、おそらく、その反応性から主として(B)成分のアルコール性水酸基であるメチロール基(反応後であればその残基)に対し脱水反応し、樹脂骨格中へ導入されているのではないかと推測する。反応前に予め添加する場合であっても、反応後添加する場合であっても、0.01モル当量未満ではその添加による流動性への寄与効果があまり認められず、また0.8モル当量を超えて添加した場合、予め添加する場合においては、(B)成分の(A)、(D)成分との反応部位を大幅に減ずるためか所望の樹脂が得られなかったり、反応後添加する場合においては、その増量に見合った効果の向上が期待できなかったりする虞がある。添加の時期の差については、(C)成分の添加量が同量の場合、予め添加しておく方が反応後に添加するよりも流動性に寄与する傾向が認められる。
攪拌機、還流冷却器、温度計付きセパラブルフラスコに、トルエン1430部、p−オクチルフェノール2060部、92%パラホルムアルデヒド652.2部からなる混合物を収めて52〜57℃に加熱し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液50部を添加した。発熱反応で反応混合物は昇温するが、これを水浴及び湯浴にて75℃に保持しながら6時間反応させた。反応終了後、反応器に濃塩酸63部、水200部を加えて攪拌し、冷却後反応器を静置した。上澄み層を分液ロートで分離し、不揮発分65%のレゾール型初期縮合物4090部を得た。
酸価:JIS K−5902 ロジン酸価測定法に準拠。
亜麻仁油ワニス粘度:亜麻仁油と樹脂とを重量比65:35で混合し、220℃で30分加熱溶解したものを、落球粘度計で測定。測定粘度:25℃
攪拌機、リービッヒ冷却器、温度計付きセパラブルフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)1000部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(C)成分としてアミノエチルピペラジン21.9部(レゾールの0.19モル当量)を添加した。添加してから30分後(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液724部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1350部を得た。この樹脂の亜麻仁油ワニス粘度43.4Pa・sであった。
実施例1と同様のフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)900部と、(D)成分としてロジン100部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(C)成分としてアミノエチルピペラジン19.0部(レゾールの0.19モル当量)を添加した。添加してから30分後(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液628部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1320部を得た。この樹脂の酸価9.8、亜麻仁油ワニス粘度11.5Pa・sであった。
(C)成分の仕込み量を87.9部(レゾールの0.77モル当量)にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形樹脂1410部を得た。この樹脂の亜麻仁油ワニス粘度4.3Pa・sであった。
(C)成分の仕込み量を2.9部(レゾールの0.03モル当量)にした以外は、実施例2と同様の操作を行い、固形樹脂1300部を得た。この樹脂の酸価9.6、亜麻仁油ワニス粘度46.5Pa・sであった。
(C)成分をアミノエチルピペラジンに代えて、モノエタノールアミン18.0部(レゾールの0.19モル当量)にした以外は、実施例2と同様の操作を行い、固形樹脂1290部を得た。この樹脂の酸価8.4、亜麻仁油ワニス粘度12.4Pa・sであった。
(C)成分をアミノエチルピペラジンに代えて、ジエチレントリアミン10.0部(レゾールの0.19モル当量)にした以外は、実施例2と同様の操作を行い、固形樹脂1310部を得た。この樹脂の酸価16.2、亜麻仁油ワニス粘度6.0Pa・sであった。
(C)成分をアミノエチルピペラジンに代えて、イソホロンジアミン25.1部(レゾールの0.19モル当量)にした以外は、実施例2と同様の操作を行い、固形樹脂1310部を得た。この樹脂の酸価10.5、亜麻仁油ワニス粘度15.4Pa・sであった。
実施例1と同様のフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)1000部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液724部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、(C)成分としてアミノエチルピペラジン21.9部(レゾールの0.19モル当量)を添加した。更に1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1350部を得た。この樹脂の亜麻仁油ワニス粘度63.2Pa・sであった。
実施例1と同様のフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)1000部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液628部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1300部を得た。この樹脂の亜麻仁油ワニス粘度52.2Pa・sであった。
実施例1と同様のフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)900部と、(D)成分としてロジン100部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液628部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1290部を得た。この樹脂の酸価8.5、亜麻仁油ワニス粘度45.2Pa・sであった。
実施例1と同様のフラスコに、(A)成分としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン PA−140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)900部と、(D)成分としてロジン100部を仕込んで加熱し、220℃で溶解させ、(C)成分としてトリエチルアミン29.7部(レゾールの0.19モル当量)を添加した。添加してから30分後(B)成分として上記の製造例で得たレゾール型初期縮合物の65%トルエン溶液628部を3時間かけて滴下した。滴下終了1時間後、フラスコ内を10hPaで1時間減圧することにより揮発成分を留去した後、反応生成物を取り出し冷却して固形樹脂1300部を得た。この樹脂の酸価7.8、亜麻仁油ワニス粘度88.5Pa・sであった。
(C)成分をトリエチルアミンに代えて、N,N−ジエチルエタノールアミン34.5部(レゾールの0.19モル当量)にした以外は、比較例3と同様の操作を行い、固形樹脂1310部を得た。この樹脂の酸価9.0、亜麻仁油ワニス粘度65.3Pa・sであった。
上記の実施例及び比較例で得られた固形樹脂のそれぞれを顔料分散剤として用い、樹脂成分だけが異なる複数種の顔料分散物を次に示す方法で調製した。
攪拌機、水分離冷却器及び温度計付きセパラブルフラスコに、顔料分散剤として上記の実施例及び比較例で得られた固形樹脂38部、大豆油30部、非芳香族石油系溶剤(商品名:AF6号ソルベント、新日本石油株式会社製)20部を仕込み、窒素気流下220℃で1時間混合した後、135℃まで冷却し、次いでこれにゲル化剤であるアルミニウムキレート(商品名: ALCH、川研ファインケミカル株式会社製)をゲルワニス粘度が25〜35Pa・s程度になるように0〜7.0部、または非芳香族石油系溶剤を5〜12部添加して160℃まで加熱して30分間保持することで顔料分散用樹脂ワニス(実施例:G−1〜G−8、比較例:H−1〜H−4)を得た。
タック値は、顔料分散物1.3mlをインコメーター(東洋精機株式会社製)のロールに展色して400rpmで回転させ、回転開始後1分後の値を測定した。
顔料分散用樹脂ワニス 72〜82部
顔料 18部
AF6号ソルベント 0〜10部
上記のようにして調製された各顔料分散物の流動性を次の方法で評価した。結果を表1に示す。
流動性:顔料分散物1.3mlをガラス板にのせ、70度に傾け、1日後の流れた距離を読み取った。顔料分散が良好であるほどチキソ性がなくなり、より流動するので、流動距離が長いものほど顔料分散がよい。
Claims (8)
- シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物をカチオン重合させて得た数平均分子量(Mn)が800以上、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが2以上の石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)と、分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)とを、反応させて得られることを特徴とする樹脂組成物。
- シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物をカチオン重合させて得た数平均分子量(Mn)が800以上、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが2以上の石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)と、分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)と、ロジン類及び/又はその多価アルコールエステル化物(D)とを、反応させて得られることを特徴とする、酸価1〜50mgKOH/gを有する樹脂組成物。
- 分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)の添加量が、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)1モルあたり、該アミノ基0.01〜0.8モル当量の範囲である、請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)が、2価以上の多価アミンである、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)が、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミンから選ばれる少なくとも1種の多価アミンである請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 反応に供せられる(B)の量が、(A)と(D)との合計量100重量部あたり、20〜150重量部の範囲である、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有してなる顔料分散剤。
- シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する数平均分子量(Mn)が800以上、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが2以上の炭化水素混合物をカチオン重合させて得た石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)と、分子内に少なくとも1つの1級及び/又は2級アミノ基を有するアミン類(C)と、必要によりさらにロジン類及び/又はその多価アルコールエステル化物(D)とを、反応させて得られる樹脂組成物の製造方法であって、(A)及び(D)と(B)との反応前乃至反応後に、(C)を添加する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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