JP2014205928A - 繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすとともに、天然素材の配合比率を高めた繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋した澱粉誘導体とフェノール類とを反応させたフェノール樹脂0.5〜5質量部、硬化剤1〜10質量部、および窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gのカーボンブラック30〜70質量部を配合してなることを特徴とする繊維被覆用ゴム組成物と、該繊維被覆用ゴム組成物をカーカス層および/またはベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすとともに、天然素材の配合比率を高めた繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
自動車用タイヤには強い衝撃や大きな荷重がかかるため、補強材として例えば繊維が使用されている。
該繊維としては、カーカス層やベルト層のような複数本のスチールコードが挙げられ、これらコードは通常、ゴムにより被覆されている。
また、近年においてタイヤの使用期間が長期化する中、前記の繊維を被覆するゴムにおいても補強効果を損なうことなく、耐久性を向上することが求められている。
すなわち、繊維を被覆するゴムには、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすことが求められている。
該繊維としては、カーカス層やベルト層のような複数本のスチールコードが挙げられ、これらコードは通常、ゴムにより被覆されている。
また、近年においてタイヤの使用期間が長期化する中、前記の繊維を被覆するゴムにおいても補強効果を損なうことなく、耐久性を向上することが求められている。
すなわち、繊維を被覆するゴムには、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすことが求められている。
一方、現在市販されているタイヤの多くは、主に石油などの化石燃料由来の原材料を使用して製造されており、その製造時や廃棄時に地球温暖化の原因となるCO2が発生するという問題がある。地球温暖化が社会的問題となっている今日、主な原材料に植物由来の天然素材を用いることによって、CO2排出量の増加を抑え、環境に優しい空気入りタイヤ(エコタイヤ)を提供するという提案がなされている。
なお、下記特許文献1は、澱粉誘導体と、植物由来不飽和アルキルフェノール類及び化石燃料由来フェノール類を含有するフェノール類とを、酸性触媒存在下で反応させて得られるバイオマスフェノール樹脂の製造方法を開示している。しかしながら特許文献1は、特定の組成のゴム成分に下記の本発明における特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合し、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすという見地が何ら開示または示唆されていない。
本発明の目的は、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすとともに、天然素材の配合比率を高めた繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のゴム成分に下記の本発明における特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋した澱粉誘導体とフェノール類とを反応させたフェノール樹脂0.5〜5質量部、硬化剤1〜10質量部、および窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gのカーボンブラック30〜70質量部を配合してなることを特徴とする繊維被覆用ゴム組成物。
2.前記フェノール樹脂の重量平均分子量が1500〜4500であることを特徴とする前記1に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
3.前記硬化剤が、メトキシメチロールメラミン誘導体であることを特徴とする前記1または2に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載の繊維被覆用ゴム組成物をカーカス層および/またはベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。
2.前記フェノール樹脂の重量平均分子量が1500〜4500であることを特徴とする前記1に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
3.前記硬化剤が、メトキシメチロールメラミン誘導体であることを特徴とする前記1または2に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載の繊維被覆用ゴム組成物をカーカス層および/またはベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の組成のゴム成分に下記の本発明における特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合したので、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすとともに、天然素材の配合比率を高めた繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)を必須成分とする。NRの配合量は、本発明の効果の観点から、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、30〜80質量部が好ましく、40〜60質量部がさらに好ましい。なお、NR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)を必須成分とする。NRの配合量は、本発明の効果の観点から、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、30〜80質量部が好ましく、40〜60質量部がさらに好ましい。なお、NR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
(フェノール樹脂)
本発明で使用されるフェノール樹脂は、澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋した澱粉誘導体とフェノール類とを反応させて得られる(以下、特定フェノール樹脂という)。
特定フェノール樹脂は、例えば前述の特許文献1に記載され公知であるが、以下、説明する。
本発明で使用されるフェノール樹脂は、澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋した澱粉誘導体とフェノール類とを反応させて得られる(以下、特定フェノール樹脂という)。
特定フェノール樹脂は、例えば前述の特許文献1に記載され公知であるが、以下、説明する。
澱粉誘導体としては、各種澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋したものである。各種澱粉のエステル化した澱粉誘導体としては、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉が挙げられ、各種澱粉をエーテル化した澱粉誘導体としては、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉が挙げられ、各種澱粉を酸化した澱粉誘導体としては酸化澱粉が挙げられ、各種澱粉を架橋した澱粉誘導体としては、リン酸架橋澱粉が挙げられる。また各種澱粉について、エステル化、エーテル化、酸化、架橋反応のいずれかを2種以上行った澱粉誘導体である複合澱粉としては、酢酸アジピン酸架橋澱粉、酢酸リン酸化架橋澱粉、酢酸酸化澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉が挙げられる。これら各種澱粉誘導体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール類としては特に限定されないが、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、フェノール、クレゾール、ビスフェノールAが好ましい。
特定フェノール樹脂を製造する際、前記澱粉誘導体と前記フェノール類との使用割合は、前者固形分を1としたときに、フェノール類が1〜20(質量比率)であることが好ましく、2〜8であることがより好ましい。
前記澱粉誘導体と前記フェノール類とを反応させる際には、酸性触媒が用いられる。酸性触媒としては、例えば、鉱酸類(例えば、塩酸、硫酸等)、有機酸類(例えば、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等)などが使用される。酸性触媒の使用量は、澱粉誘導体固形分とフェノール類との合計を100質量%とした際に0.1〜50質量%であることが好ましく、0.2から10質量%であることがより好ましい。
反応温度は20〜200℃であることが好ましく、120〜160℃であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であれば、充分に反応させることができ、200℃以下であれば過分解を抑制できる。
反応時間は0.5〜20時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、高い収率で樹脂を得ることができ、20時間以下であれば、生産性の低下を抑制できる。
この反応により、酸性触媒によって、澱粉誘導体からヒドロキシメチルフルフラールが生成し、そのヒドロキシメチルフルフラールとフェノール類とが酸性触媒によって反応することによって、特定フェノール樹脂が生成する。
反応温度は20〜200℃であることが好ましく、120〜160℃であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であれば、充分に反応させることができ、200℃以下であれば過分解を抑制できる。
反応時間は0.5〜20時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、高い収率で樹脂を得ることができ、20時間以下であれば、生産性の低下を抑制できる。
この反応により、酸性触媒によって、澱粉誘導体からヒドロキシメチルフルフラールが生成し、そのヒドロキシメチルフルフラールとフェノール類とが酸性触媒によって反応することによって、特定フェノール樹脂が生成する。
得られた特定フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1500〜4500の範囲であることが好ましい。Mwが1500未満であると、発熱性が悪化する傾向にあり、4500を超えると、破断特性が悪化する恐れがある。さらに好ましいMwは、2500〜4000である。なおMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
(硬化剤)
本発明のゴム組成物に用いられる硬化剤は、例えば本発明の効果の観点から、メトキシメチロールメラミン誘導体が好ましく、具体的にはHMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物に用いられる硬化剤は、例えば本発明の効果の観点から、メトキシメチロールメラミン誘導体が好ましく、具体的にはHMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)等が挙げられる。
(カーボンブラック)
本発明で使用されるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gであることが必要である。窒素吸着比表面積(N2SA)が20m2/g未満では、補強性が乏しく破断強度が悪化する。逆に40m2/gを超えると、発熱性が悪化する。なお窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
本発明で使用されるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gであることが必要である。窒素吸着比表面積(N2SA)が20m2/g未満では、補強性が乏しく破断強度が悪化する。逆に40m2/gを超えると、発熱性が悪化する。なお窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
(充填剤)
本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、上記以外に各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えばシリカ、無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、上記以外に各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えばシリカ、無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
(繊維被覆用ゴム組成物の配合割合)
本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、特定フェノール樹脂を0.5〜5質量部、硬化剤を1〜10質量部および窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部配合してなることを特徴とする。
前記特定フェノール樹脂の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に5質量部を超えると繊維に対する接着性が低下する。
前記硬化剤の配合量が5質量部未満であると樹脂の硬化が進行しない恐れがある。逆に10質量部を超えると破断強度、破断伸びが悪化する。
前記カーボンブラックの配合量が30質量部未満であると破断強度が悪化する。逆に70質量部を超えると発熱性、破断伸びが悪化する。
本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、特定フェノール樹脂を0.5〜5質量部、硬化剤を1〜10質量部および窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gのカーボンブラックを30〜70質量部配合してなることを特徴とする。
前記特定フェノール樹脂の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に5質量部を超えると繊維に対する接着性が低下する。
前記硬化剤の配合量が5質量部未満であると樹脂の硬化が進行しない恐れがある。逆に10質量部を超えると破断強度、破断伸びが悪化する。
前記カーボンブラックの配合量が30質量部未満であると破断強度が悪化する。逆に70質量部を超えると発熱性、破断伸びが悪化する。
前記特定フェノール樹脂のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜3質量部である。
前記硬化剤のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2〜6質量部である。
前記カーボンブラックのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、40〜60質量部である。
前記硬化剤のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2〜6質量部である。
前記カーボンブラックのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、40〜60質量部である。
本発明に係る繊維被覆用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、充填剤、老化防止剤、可塑剤などの繊維被覆用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすことから、とくに空気入りタイヤに使用される繊維、例えばカーカス層やベルト層を被覆するゴムとして有用である。また、本発明のゴム組成物は、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤに導入することができる。
また本発明の繊維被覆用ゴム組成物は、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性および高い破断物性を同時に満たすことから、とくに空気入りタイヤに使用される繊維、例えばカーカス層やベルト層を被覆するゴムとして有用である。また、本発明のゴム組成物は、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤに導入することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜9
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、約150℃でミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫促進剤および硫黄を加えてオープンロールにて混練し、繊維被覆用ゴム組成物を得た。次に得られた繊維被覆用ゴム組成物を所定の金型中で170℃、10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、約150℃でミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫促進剤および硫黄を加えてオープンロールにて混練し、繊維被覆用ゴム組成物を得た。次に得られた繊維被覆用ゴム組成物を所定の金型中で170℃、10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
破断伸び(室温:%):上記加硫ゴム試験片を用い、JIS K6251に準拠して、JIS3号ダンベルに打抜き、500mm/分の引張速度にて引張試験を行い、室温における破断伸び(%)を測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示し、この数字が高いほど破断伸びが高く良好な結果といえる。
発熱性:(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪=10%、振幅=±2%、周波数=20Hzの条件下でtanδ(60℃)を測定し、この値をもって発熱性を評価した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が高いほど、低発熱性であることを示す。
接着力:JIS K6256の剥離試験に準拠し、たんざく状試験片(25mm幅)を作成し、繊維との接着・剥離試験を行なった。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、ゴム付着力が大きく、ゴムとワイヤの接着性が良いことを示す。
結果を表1および2に併せて示す。
発熱性:(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪=10%、振幅=±2%、周波数=20Hzの条件下でtanδ(60℃)を測定し、この値をもって発熱性を評価した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が高いほど、低発熱性であることを示す。
接着力:JIS K6256の剥離試験に準拠し、たんざく状試験片(25mm幅)を作成し、繊維との接着・剥離試験を行なった。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、ゴム付着力が大きく、ゴムとワイヤの接着性が良いことを示す。
結果を表1および2に併せて示す。
*1:NR(TSR20)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502)
*3:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*4:カーボンブラック−1(タイカーボン社製THAIBLACK N660、N2SA=35m2/g)
*5:カーボンブラック−2(新日化カーボン株)製ニテロン#10S N550、N2SA=45m2/g)
*6:カーボンブラック−3(新日化カーボン株)製ニテロン#200 N330、N2SA=70m2/g)
*7:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*8:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*9:老化防止剤(FLEXSYS製SANTOFLEX 6PPD)
*10:比較フェノール樹脂(住友ベークライト(株)社製PR-NR-1。Mw5000のノボラック型フェノール樹脂)
*11:特定フェノール樹脂(酢酸澱粉1質量部に対し、フェノールを3質量部使用し、濃硫酸の存在下加熱反応させて得られたMw3700のフェノール樹脂)
*12:HMMM(CYTEC INDUSTRIES社製CYREZ 964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)
*13:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20)
*14:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502)
*3:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*4:カーボンブラック−1(タイカーボン社製THAIBLACK N660、N2SA=35m2/g)
*5:カーボンブラック−2(新日化カーボン株)製ニテロン#10S N550、N2SA=45m2/g)
*6:カーボンブラック−3(新日化カーボン株)製ニテロン#200 N330、N2SA=70m2/g)
*7:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*8:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*9:老化防止剤(FLEXSYS製SANTOFLEX 6PPD)
*10:比較フェノール樹脂(住友ベークライト(株)社製PR-NR-1。Mw5000のノボラック型フェノール樹脂)
*11:特定フェノール樹脂(酢酸澱粉1質量部に対し、フェノールを3質量部使用し、濃硫酸の存在下加熱反応させて得られたMw3700のフェノール樹脂)
*12:HMMM(CYTEC INDUSTRIES社製CYREZ 964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)
*13:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20)
*14:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS)
上記の表1から明らかなように、実施例1で調製された繊維被覆用ゴム組成物は、特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合したので、従来の代表的な比較例1に比べて、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性、高い破断物性を同時に向上しているとともに、澱粉誘導体を使用していることから、天然素材の配合比率も高められている。
これに対し、比較例2および3は、特定フェノール樹脂および硬化剤を使用せず、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例4および5は、特定フェノール樹脂を使用しているものの、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
また表2の結果において、実施例1〜4で調製された繊維被覆用ゴム組成物は、特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合したので、従来の代表的な比較例1に比べて、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性、高い破断物性を同時に向上しているとともに、澱粉誘導体を使用していることから、天然素材の配合比率も高められている。
これに対し、比較例6は特定フェノール樹脂の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、繊維との接着性、破断物性が向上していない。
比較例7は、特定フェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化し、繊維との接着性も悪化している。
比較例8は、硬化剤を配合していないので、特定フェノール樹脂が硬化せず、発熱性が悪化し、繊維との接着性も悪化している。
比較例9は、特定フェノール樹脂の代わりに汎用のフェノール樹脂を使用した例である。この結果と実施例1とを比較すると、実施例1におけるゴム組成物は、天然素材の配合比率を高めているにもかかわらず、従来のフェノール樹脂を使用したゴム組成物と同等の性能を発揮していることが分かる。
これに対し、比較例2および3は、特定フェノール樹脂および硬化剤を使用せず、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例4および5は、特定フェノール樹脂を使用しているものの、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
また表2の結果において、実施例1〜4で調製された繊維被覆用ゴム組成物は、特定フェノール樹脂の特定量、硬化剤の特定量および特定の特性を有するカーボンブラックの特定量を配合したので、従来の代表的な比較例1に比べて、発熱性を維持したまま、繊維との良好な接着性、高い破断物性を同時に向上しているとともに、澱粉誘導体を使用していることから、天然素材の配合比率も高められている。
これに対し、比較例6は特定フェノール樹脂の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、繊維との接着性、破断物性が向上していない。
比較例7は、特定フェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化し、繊維との接着性も悪化している。
比較例8は、硬化剤を配合していないので、特定フェノール樹脂が硬化せず、発熱性が悪化し、繊維との接着性も悪化している。
比較例9は、特定フェノール樹脂の代わりに汎用のフェノール樹脂を使用した例である。この結果と実施例1とを比較すると、実施例1におけるゴム組成物は、天然素材の配合比率を高めているにもかかわらず、従来のフェノール樹脂を使用したゴム組成物と同等の性能を発揮していることが分かる。
Claims (4)
- 天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、澱粉をエステル化、エーテル化、酸化および/または架橋した澱粉誘導体とフェノール類とを反応させたフェノール樹脂0.5〜5質量部、硬化剤1〜10質量部、および窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜40m2/gのカーボンブラック30〜70質量部を配合してなることを特徴とする繊維被覆用ゴム組成物。
- 前記フェノール樹脂の重量平均分子量が1500〜4500であることを特徴とする請求項1に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
- 前記硬化剤が、メトキシメチロールメラミン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維被覆用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維被覆用ゴム組成物をカーカス層および/またはベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013082888A JP2014205928A (ja) | 2013-04-11 | 2013-04-11 | 繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013082888A JP2014205928A (ja) | 2013-04-11 | 2013-04-11 | 繊維被覆用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=52119713
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014205928A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019194054A1 (ja) * | 2018-04-02 | 2019-10-10 | 株式会社ブリヂストン | ゴム組成物及びタイヤ加硫用ブラダー |
-
2013
- 2013-04-11 JP JP2013082888A patent/JP2014205928A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019194054A1 (ja) * | 2018-04-02 | 2019-10-10 | 株式会社ブリヂストン | ゴム組成物及びタイヤ加硫用ブラダー |
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