JP2012092179A - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能に優れ、低発熱性でかつ高弾性であるゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム50質量%以上を含むゴム成分(A)と、ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物(B)と、下記の方法で測定した前記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が40%以上である熱可塑性樹脂(C)とを含有し、前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が前記ゴム成分(A)100質量部に対して8質量部以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、天然ゴムや合成イソプレンゴムに、それに対して非相溶な熱可塑性樹脂を配合することで、乾燥路面での操縦安定性(以下、ドライグリップ性能と云うことがある。)及び湿潤路面での制動性能(以下、ウェットグリップ性能と云うことがある。)に優れ、低発熱性でかつ高弾性であるゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年、自動車の性能向上、道路の舗装化及び高速道路網の発達に伴い、高運動性能を備えた空気入りタイヤの要求が強まっている。この高運動性能が高いほど、より高速で正確且つ安全に走行することが可能となる。とりわけ、加速性能やブレーキ性能に代表されるグリップ性能は重要な要求特性である。
タイヤのトレッドゴム、特に小型タイヤのトレッドゴムに対しては、ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能が要求されるために、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)にオイルをブレンドしたゴム組成物が多く用いられている。しかしながら、このSBR/オイル系のゴム組成物では、ガラス転移温度(Tg)の高さから、ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能は確保できるものの、低発熱性とのバランスを両立するのが難しいという問題がある。
例えば、低発熱性の問題については、天然ゴムやブタジエンゴムなどの低Tgゴムとブレンドする手法があるが、この場合ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能が低下してしまうという問題が生じる。また、オイルを増量する手法があるが、この場合、ドライグリップ性能が低下するという問題が生じる。さらに、充填材を減量することも考えられるが、この場合も、ドライグリップ性能が低下するという問題が生じる。このように、いずれの手法でも、低発熱性と、ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能とを、高いレベルでバランスよく向上させることは困難であるのが実状であった。
一方、ゴム成分に樹脂を配合してなるゴム組成物が種々提案されている。具体的には、優れたグリップ性能を発揮し得る、タイヤトレッドに用いるゴム組成物として、例えばスチレン・ブタジエン共重合体ゴムを40質量部以上含むゴム成分に対して、アルキルフェノール樹脂から選ばれる1種以上の樹脂(A)と、テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂から選ばれる1種以上の樹脂(B)とが配合されてなることを特徴とするゴム組成物(特許文献1参照)、及びゴム成分に対して、層状粘土鉱物と、フェノール系樹脂とが配合されてなることを特徴とするゴム組成物(特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、これらの技術は、いずれも高いグリップ性能は得られるものの、低発熱性とグリップ性能を両立させ得る技術ではない。
また、10重量%以上の共役ジエン系ゴム成分と残部がガラス転移温度(Tg)100〜140℃の樹脂成分とよりなるゴム強化熱可塑性樹脂を、ゴム分100重量部に対して2〜50重量部配合したゴム組成物を用いた空気入りタイヤが開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この空気入りタイヤに用いられるゴム組成物は、悪路や建設現場など、外傷を受けやすい路面で使用される空気入りタイヤ用であって、低発熱性とグリップ性能を両立させるものではない。
さらに従来、タイヤのカーカス部材等には高弾性なゴムが用いられており、ゴムを高弾性化する手段としては、カーボンブラック等の充填剤を増量したり(例えば、特許文献4参照)、加硫剤の硫黄を増量して架橋点を増やす等の手法が知られているが、カーボンブラック等の充填剤を増量した場合、ゴム組成物の工場作業性や破断時伸び等の耐破壊性が悪化したり、ゴム組成物の発熱特性が悪化したりするという課題がある。さらにまた、加硫剤の硫黄を増量した場合も、破断時伸びが低下し、熱劣化による物性変化が大きくなるという課題がある。
これに対して、ゴム組成物の破断時伸びの低下を抑えながら高弾性化する手段として、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合反応させて得られる未変性のノボラック型フェノール系樹脂や、トール油あるいはカシュー油等の不飽和油、またはキシレンあるいはメシチレン等の芳香族炭化水素で変性した変性ノボラック型フェノール系樹脂と、これらの樹脂を硬化させるヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として添加する方法が提案されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
特開2008−208265号公報 特開2008−189725号公報 特開平8−208888号公報 特開平9−272307号公報 特開平5−98081号公報 特開2001−226528号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能に優れ、低発熱性でかつ高弾性であるゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムや合成イソプレンゴムに、それに対して特定の樹脂化合物及び熱可塑性樹脂を所定の割合で配合することにより、その目的に適合し得るゴム組成物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
より詳細には、本発明は以下の構成を有する。
[1]天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム50質量%以上を含むゴム成分(A)と、
ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物(B)と、下記の方法で測定した前記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が40%以上である熱可塑性樹脂(C)とを含有し、前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が前記ゴム成分(A)100質量部に対して8質量部以上であることを特徴とするゴム組成物。
<ヘイズ値測定方法>
テトラヒドロフラン50mL中に、合成イソプレンゴム3gとサンプルの熱可塑性樹脂1.125gを温度25℃で溶解してなる溶液をキャスト成形して得られた厚さ600μmのフィルムのヘイズ値を、JIS K 6714に基づいて測定する。
[2]上記ノボラック型レゾルシン系樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものであることを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[3]上記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下であることを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物、
[4]上記樹脂組成物(B)におけるノボラック型レゾルシン系樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下であることを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[5]上記樹脂組成物(B)の含有量が、上記ゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする上記[4]に記載のゴム組成物、
[6]上記樹脂組成物(B)が、予め充填剤を含むことを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物、
[7]上記充填剤が、乾式シリカであることを特徴とする上記[1]記載のゴム組成物。
[8]上記ゴム成分(A)が、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを70〜100質量%の割合で含むことを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[9]上記熱可塑性樹脂(C)が、上記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が80%以上であることを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[10]上記熱可塑性樹脂(C)の含有量が、上記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[11]前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする上記[10]に記載のゴム組成物、
[12]前記熱可塑性樹脂(C)が、C9系樹脂、C5〜C9系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂及びテルペン−芳香族化合物系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]記載のゴム組成物。
[13]さらに、補強用充填材(D)を含むことを特徴とする上記[1]に記載のゴム組成物。
[14]前記補強用充填材(D)がカーボンブラック及び/又はシリカであり、かつその含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部であることを特徴とする上記[13]に記載のゴム組成物。
[15]本発明にかかるゴム組成物を構成部材に用いることを特徴とする空気入りタイヤ。
[16]乗用車用ラジアルタイヤであることを特徴とする上記[15]に記載の空気入りタイヤ。
本発明によれば、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能に優れ、低発熱性でかつ高弾性であるゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
まず、本発明のゴム組成物について説明する。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、(A)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム50質量%以上を含むゴム成分と、ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物(B)と、下記の方法で測定した前記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が40%以上である熱可塑性樹脂(C)とを含有し、前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が前記ゴム成分(A)100質量部に対して8質量部以上であることを特徴とする。
(ゴム成分(A))
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)として、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム50質量%以上を含むゴム成分が用いられる。
ゴム成分(A)として天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを用いることにより、そのTgの低さに起因する低発熱性を実現できる 。
この天然ゴムや合成イソプレンゴムに特に制限はなく、従来公知のものの中から適宜選択することができる。合成イソプレンゴムとしては、重量平均分子量4×105以上でシ
ス結合含有量が95%以上であるものが好ましい。この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定されるポリスチレン換算の値である。
本発明においては、当該ゴム成分(A)中の上記天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムの含有量は、良好な低発熱性、ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能をバランスよく発揮し得るゴム組成物を得る観点から、50質量%以上であることを要し、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、さらに好ましくは実質上100%である。
また、当該ゴム成分(A)において、上記天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムと50質量%以下、好ましくは30〜0質量%、より好ましくは10〜0質量%の割合で併用できるゴム成分としては、例えばブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム及びこれらの混合物などが挙げられる。また、その一部が多官能型、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
(樹脂組成物(B))
本発明のゴム組成物において、樹脂組成物(B)は、ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含むことを特徴とする。
ゴム組成物の弾性率を増大させるため熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂組成物を配合することは有効であるが、上記ノボラック型レゾルシン系樹脂単独では、末端にメチロール基がないので硬化剤なしで硬化することができない。一方、レゾール型フェノール系樹脂は末端等にメチロール基を有するので、硬化剤がなくても硬化することができる。ただし、レゾール型フェノール系樹脂単独では樹脂の硬化性が遅く、ゴムの加硫時に樹脂の硬化が十分に進行しない。そのため、本実施形態においては、ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を樹脂組成物に含有させることにより、硬化剤を用いることなくゴム組成物における弾性率を増大させ、しかも大きな破断時伸びをも得られることを見出した。すなわち、上記ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を併用することで、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン系樹脂との反応により嵩高い硬化物となり、これがゴム成分中での擬似架橋構造として高弾性化と高破断伸び化に有効に作用していると考えられる。
なお、本実施形態において上記「フェノール系樹脂」とは、フェノールのみを原料とする重縮合物のみでなく、クレゾール及びキシレノールなどのフェノール類を原料とする重縮合物を含めた広範なフェノール樹脂を意味するものである。
また、上記レゾール型フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて合成される。実際には上記レゾール型フェノール系樹脂は、硬化前の前駆体として得られるが、上記反応においてアルカリ触媒を用いると主に付加反応が進行して低重合度のレゾール型フェノール系樹脂となる。
上記レゾール型フェノール系樹脂に用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾ−ル類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、プロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類;などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、経済的に有利なフェノール、クレゾール類、及びビスフェノールAから選ばれるものが好ましい。
上記レゾール型フェノール系樹脂及びノボラック型レゾルシン系樹脂に用いるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアルデヒド類の中でも、反応性が優れ、安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドから選ばれるものが好ましい。
上記レゾール型フェノール系樹脂は、上述したフェノール類及びアルデヒド類を、アルカリ金属やアミン類、二価金属塩などの触媒の存在下で反応させることによって合成することができる。
上述の合成をする際に用いる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類;酢酸マグネシウムや酢酸亜鉛などの二価金属塩;などの物質を単独または2種以上併用することができる。
上記レゾール型フェノール系樹脂の合成において、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比としては、フェノール類1モルに対して、アルデヒド類を0.80モル以上2.50モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.00モル以上2.30モル以下とする。モル比が上記範囲であると、反応制御が容易でありレゾール型フェノール系樹脂を確実に得ることができる。
また、上記レゾール型フェノール系樹脂のジメチレンエーテル基量は、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、25モル%以上75モル%以下であることがより好ましい。ジメチレンエーテル基量が上記範囲にあると、硬化性が良好で、かつ熱安定性に優れ品質ばらつきのないフェノール系樹脂組成物を得ることができる。
なお、上記レゾール型フェノール系樹脂における結合基の比率は、1H−NMR法に準拠して測定したものである。具体的には、レゾール型フェノール樹脂をピリジン触媒中、無水酢酸で処理して、メチロール基をアセチル化し、このアセチル化物の1H−NMRを測定した。
各結合基量は、測定されたスペクトルからアセトンのピーク(2.04ppm)を基準に、各々メチレン基(約3.8ppm)、ジメチレンエーテル基(約4.5ppm)、メチロール基(約5.0ppm)とし、これらピークの積分強度比を、メチレン基、メチロール基については1/2倍、ジメチレンエーテル基については1/4倍とした値の比率より、アルデヒド類に由来する全結合基量(メチレン基量、ジメチレンエーテル基量及びメチロール基量の和)に対するジメチレンエーテル基量の比率(モル%)を算出した。
また、測定装置は、日本電子社製NMR測定装置「JNM−AL300」(周波数:300MHz)を使用した。ここで、上記測定方法については、レゾール型フェノール系樹脂の原料としてフェノールとホルムアルデヒドとを用いた場合であるが、これ以外のフェノール類及びアルデヒド類を用いた場合でも、基本的に同じ原理で測定することができる。
一方、上記ノボラック型レゾルシン系樹脂に用いるレゾルシン類としては、例えば、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン及び2,5−ジメチルレゾルシン
等のメチルレゾルシン類、4−エチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、2−ニトロレゾルシン、4−ブロモレゾルシン、4−n−へキシルレゾルシンなどが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
これらのレゾルシン類の中でも、経済的に有利なレゾルシン及びメチルレゾルシン類から選ばれるものが好ましい。
上記ノボラック型レゾルシン系樹脂は、レゾルシン及び上述したアルデヒド類を、酸性触媒の存在下で反応させた後、脱水工程により水を除去して合成することができる。また、ノボラック型レゾルシン系樹脂の合成に用いる触媒としては、シュウ酸、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸類を、単独または2種類以上併用して使用できる。また、レゾルシンそのものが酸性を示すため、無触媒でも合成することができる。
上記ノボラック型レゾルシン系樹脂の合成において、レゾルシンとアルデヒド類との反応モル比としては、レゾルシン1モルに対して、アルデヒド類を0.40モル以上0.80モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、アルデヒド類を0.45モル以上0.75モル以下とする。モル比が上記範囲あると、反応の制御や樹脂の取り扱いが容易となる。
上記樹脂組成物(B)におけるノボラック型レゾルシン系樹脂の含有量としては、樹脂組成物全体に対して、18質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上45質量%以上とすることがより好ましい。
ノボラック型レゾルシン系樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、本実施形態における樹脂成分の硬化性を向上させることができ、高弾性で発熱性の低いゴム組成物を得ることができる。
さらに、上記樹脂組成物(B)には、それ自身の放置によるブロッキング性を改良するために、予め充填剤を添加することも可能である。上記充填剤としては、種々のものが使用できるが、例えば、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、黒鉛等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でもシリカを用いることが好ましく、特に乾式シリカであることが、ゴム組成物としたときの物性に対するデメリットが少ない点で好ましい。
上記充填剤の添加量としては、上記樹脂組成物(B)100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましい。これにより、ゴム組成物の弾性率や破断時伸びを阻害することなく、樹脂組成物の放置によるブロッキング性を改善することができる。
本実施形態における上記樹脂組成物(B)を得るため、上記レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン系樹脂とを混合する方法は、両成分が均一に混合分散し得る方法であればよく、特に限定されない。例えば、反応途中のレゾール型フェノール系樹脂中にノボラック型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、反応途中のノボラック型フェノール系樹脂中にレゾール型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、あるいは、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型フェノール系樹脂とを単に粉砕混合する方法、さらには、二軸押出機やオープンロール、加圧式混練機で混練する方法等がある。
また、上記樹脂組成物(B)は、その形状は粉末または固形であることが好ましい。形状が粉末または固形でなく、半固形または液状の場合、成形品への配合時に作業性が劣るという問題を生じるため好ましくない。
さらに、上記樹脂組成物(B)の含有量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上30質量部以下とすることが好ましく、5質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。含有量が上記範囲にあると、高弾性で破断時伸びの高いゴム組成物を得ることができる。
(熱可塑性樹脂(C))
本発明のゴム組成物において、熱可塑性樹脂(C)は、下記の方法で測定した上記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が40%以上であることを要する。
<ヘイズ値測定方法>
テトラヒドロフラン50mL中に、合成イソプレンゴム3gとサンプルの熱可塑性樹脂1.125gを温度25℃で溶解してなる溶液をキャスト成形して得られた厚さ600μmのフィルムのヘイズ値を、JIS K 6714に基づいて測定する。
上記天然ゴムや合成イソプレンゴムに、非相溶性な樹脂をブレンドすることにより、該樹脂が相溶せずに高温まで残ることにより、30℃における貯蔵弾性率E’を高くすることができ、ドライグリップ性能が向上する。つまり、天然ゴムや合成イソプレンゴムに非相溶な樹脂をブレンドすることにより、低発熱性及びウェットグリップ性能を確保すると共に、該樹脂の作用で、ドライグリップ性能に優れるゴム組成物を得ることができる。
このヘイズ値は、高いほど濁り度が大きく、非相溶性度が高くなる。該ヘイズ値が40%未満の場合には、上記ゴム成分(A)との非相溶性度が低下し、本発明の目的を達することができない。該ヘイズ値は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
上記熱可塑性樹脂(C)としては、上記ヘイズ値が40%以上となるものであれば特に制限はされず、種々の熱可塑性樹脂を挙げることができる。例えば、C9系樹脂、C5〜C9系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、及びテルペン−芳香族化合物系樹脂などの中から、該ヘイズ値が40%以上となる樹脂を、適宜1種以上選択して用いることができる。
ここで、C9系樹脂とは、C9系合成石油樹脂を指し、C9留分をAlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用い、重合して得られた固体重合体であり、インデン、メチルインデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体等が挙げられる。
また、C5〜C9系樹脂とは、C5〜C9系合成石油樹脂を指し、C5〜C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ触媒を用いて重合して得られる固体重合体であり、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。本発明においては、このC5〜C9樹脂として、C9以上の成分の多い樹脂が、ゴム成分(A)との非相溶性の観点から好ましい。
一方、ロジン系樹脂としては、天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油レジン、ウッドロジンなどがあり、変性ロジン、ロジン誘導体、変性ロジン誘導体として、例えば重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジンなどがある。
また、アルキルフェノール系樹脂としては、例えばp−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
テルペン−芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン−フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン−フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、あるいはさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。本発明においては、フェノール成分の比率の多いテルペン−フェノール樹脂が好適である。
その他、クマロン−インデン樹脂、キシレン系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体なども用いることができる。
本発明のゴム組成物においては、熱可塑性樹脂(C)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前述した(A)ゴム成分100質量部に対して、8質量部以上であることを要する。この含有量が8質量部未満では、本発明の目的が達せられないし、また多過ぎると加工性が低下する。したがって、該熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは15〜50質量部、特に好ましくは20〜50質量部の範囲である。
本発明においては、熱可塑性樹脂(C)を、上記のような量で用いることにより、低発熱性と、ウェットグリップ性能及びドライグリップ性能とを両立し得るゴム組成物を得ることができる。
本発明のゴム組成物においては、さらに、補強用充填材(D)を含むことができる。
(補強用充填材(D))
補強用充填材としては、カーボンブラック及び/又はシリカが好ましく用いられる。
上記カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが用いられ、特に耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが好ましい。このカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。この湿式シリカのBET比表面積は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜300m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)社製「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、デグッサ社製「ウルトラジルVN3」等の市販品を用いることができる。このシリカは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、補強用充填材(D)、好ましくは上記カーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部であることが好ましく、35〜100質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部以上であれば、補強効果が発揮され、一方120質量部以下であれば、転がり抵抗が大きくなりすぎることはない。
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物においては、補強用充填材(D)としてシリカを用いる場合、その補強性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカ100質量部に対して、好ましくは2〜20質量部の範囲で選定される。この量が2質量部未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量部を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量部の範囲である。
(ゴム組成物の調製)
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
更に、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴムマトリックス100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
本発明のゴム組成物は、前述した各成分を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることにより調製することができる。
このようにして調製された本発明のゴム組成物は、低発熱性と、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能を両立することができ、特に空気入りタイヤのトレッド用部材として好適に用いられる。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、前述した本発明のゴム組成物を構成部材に用いることを特徴とする。構成部材については特に限定はされず、例えば、トレッドゴム、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード等に用いることができる。
本発明の空気入りタイヤは、通常の方法によって製造される。例えばトレッド用部材として用いられる場合には、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階で、トレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
なお、本発明の空気入りタイヤは、特に乗用車用ラジアルタイヤとして好適に用いられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお以下の記載において、特に断りのない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を各々意味する。
(レゾール型フェノール樹脂)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部及び37%ホルムアルデヒド水溶液1294部を加え(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=1.50)、さらに酢酸亜鉛5部を加えた。1時間還流させ、反応によって生じる水の真空除去を行い、90℃になった時点でさらに1時間反応させ、常温(25℃)で固形のレゾール型フェノール樹脂1145部を得た。
このレゾール型フェノール樹脂について、前述の条件で1H−NMRにて解析した結果、アルデヒドに由来する全結合基量に対するジメチレンエーテル基量は、45モル%であった。
(ノボラック型レゾルシン樹脂)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、レゾルシン1000部及びシュウ酸3部を加えた。内温が100℃になるまで加熱して、温度到達後、37%ホルムアルデヒド水溶液369部を30分間かけて逐添した(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=0.50)。その後1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を170℃になるまで行い、常温で固形のノボラック型レゾルシン樹脂1040部を得た。
(樹脂組成物(B)の製造)
上記で得られた各ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を、表1に示す組み合わせ及び組成にて混合し、衝撃式粉砕機により粉砕して、粉末状の樹脂組成物1〜3を得た。
<実施例1〜20及び比較例1〜5>
表3に示す配合処方とした混合物を、バンバリーミキサーを使用して混練りして得られた未加硫のゴム組成物を、厚さ2mmにシーティングした後、145℃で30分間加硫した。得られた加硫ゴムの試験用サンプルに対して以下の方法での各特性を評価した。なお、使用した熱可塑性樹脂(C)の種類は表2に示す。
また、熱可塑性樹脂(C)のゴム成分(A)に対する非相溶性度を示すヘイズ値については、以下の方法で測定を行った。
テトラヒドロフラン50mL中に、合成イソプレンゴム(JSR社製、商品名「JSR IR2209」)3gとサンプルの熱可塑性樹脂1.125gを温度25℃で溶解してなる溶液をキャスト成形し、次いで、100℃、20MPaの条件で熱プレスして得られた厚さ600μmのフィルムのヘイズ値を、日本電色工業社製「TRIBIDIMETER NDH5000W」を用い、JIS K 6714に基づいて測定した。
<評価>
各試験用サンプルについて、以下の評価を行った。
また、各試験用サンプルについて、後述の方法によって、(1)ムーニー粘度(ML1+4)、(2)応力歪み(ゴム硬度(HD)、引張応力(M100)、破断時伸び(EB)及び破断強度(TB)の測定)、並びに、(3)粘弾性(−20℃、25℃、60℃における動的弾性率(E’)の測定、及び、0℃、25℃、60℃における損失正接(tanδ)の測定)の評価を行った。
各評価項目の測定結果については、表3に示す。
(1)ムーニー粘度
加硫前の各実施例及び比較例のゴム組成物のサンプルについて、JIS K 6300に準拠して、ムーニー粘度(ML1+4)の測定を行った。測定結果を表3に示す。
(2)応力歪み特性
各試験用サンプルについて、伸び100%時の引張応力(M100)(MPa)を測定した。
さらに、各試験用サンプルについて、JISダンベル状3号形に打ち抜きを行い、JIS K 6251に準拠して25℃で引張試験を行い、破断時伸び(EB)(%)及び破断強度(TB)(MPa)を測定した。
(3)粘弾性
スペクトロメーター(東洋精機社製)を用い、初期荷重100g、歪み2%、周波数50Hzの条件で、25℃、60℃における貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を測定した。
上記配合に加えて、ステアリン酸:2部、老化防止剤ノクラック6C:1部、酸化亜鉛:4部、加硫促進剤ノクセラーCZ:3部、硫黄:5.6部を含む。
[注]
1)天然ゴム:インドネシア製「SIR20」
2)樹脂組成物(B)の種類:表1に記載
3)熱可塑性樹脂(C)の種類:表2に記載
4)カーボンブラックN339:東海カーボン社製「シーストKH」
表3から、本発明にかかる実施例1〜20については、いずれも、応力歪み特性及び粘弾性について良好な結果が得られていることがわかる。
本発明のゴム組成物は、ドライグリップ性能及びウェットグリップ性能に優れ、低発熱性でかつ高弾性であり、空気入りタイヤの部材などに好適に用いられる。

Claims (16)

  1. 天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム50質量%以上を含むゴム成分(A)と、
    ノボラック型レゾルシン系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物(B)と、
    下記の方法で測定した前記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が40%以上である熱可塑性樹脂(C)とを含有し、
    前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が前記ゴム成分(A)100質量部に対して8質量部以上であることを特徴とするゴム組成物。
    <ヘイズ値測定方法>
    テトラヒドロフラン50mL中に、合成イソプレンゴム3gとサンプルの熱可塑性樹脂1.125gを温度25℃で溶解してなる溶液をキャスト成形して得られた厚さ600μmのフィルムのヘイズ値を、JIS K 6714に基づいて測定する。
  2. 前記ノボラック型レゾルシン系樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 前記樹脂組成物(B)におけるノボラック型レゾルシン系樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記樹脂組成物(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記樹脂組成物(B)が、予め充填剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 前記充填剤が、乾式シリカであることを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 前記ゴム成分(A)が、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを70〜100質量%の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  9. 前記熱可塑性樹脂(C)が、前記ゴム成分(A)との非相溶性度を示すヘイズ値が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  10. 前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  11. 前記熱可塑性樹脂(C)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする請求項10に記載のゴム組成物。
  12. 前記熱可塑性樹脂(C)が、C9系樹脂、C5〜C9系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂及びテルペン−芳香族化合物系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  13. さらに、補強用充填材(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  14. 前記補強用充填材(D)がカーボンブラック及び/又はシリカであり、かつその含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部であることを特徴とする請求項13に記載のゴム組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を構成部材に用いることを特徴とする空気入りタイヤ。
  16. 乗用車用ラジアルタイヤであることを特徴とする請求項15に記載の空気入りタイヤ。
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