JP7095715B2 - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Description
ビード部はビードコアとその外周上の断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラーとを備えてなる。
したがって、高硬度、高破断強度および低発熱性を同時に達成するのは当業界において困難な事項であった。
すなわち本発明は以下の通りである。
2.前記フェノール樹脂が、分子中に下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有することを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
5.前記フェノール樹脂に対し、さらに、メチレンドナーを5~15質量%配合してなることを特徴とする前記1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
6.前記メチレンドナーが、ヘキサメチレンテトラミンまたは多価メチロールメラミン誘導体であることを特徴とする前記5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
7.タイヤビードフィラー用である、前記1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
8.前記1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をビードフィラーに用いてなるタイヤ。
本発明において、特定のフェノール樹脂を配合することにより、カーボンブラックとフェノール樹脂におけるアルキレンアミン由来の構造単位とが相互作用し、高硬度、高破断強度および低発熱性を同時に達成できるものと推測される。
また本発明では、必要に応じてスチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を配合することができる。SBRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに例えば0~50質量部であり、5~35質量部が好ましい。
なお、NR、IR、SBR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えばブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が25~85m2/gであり、30~75m2/gであることが好ましい。
窒素吸着比表面積(N2SA)が25m2/g未満の場合、破断強度や破断伸びが悪化する。逆に85m2/gを超える場合、発熱性が悪化する。
なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217-2に準拠して求めた値である。
本発明で使用されるフェノール樹脂は、分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を、少なくとも1個以上有するものである。
エチレンアミン由来構造の含有率は、以下の式に基づいて算出できる。式中の含窒素量(質量%)は、元素分析法により測定できる。
エチレンアミン由来構造の含有率=含窒素量×(43/14)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が25~85m2/gのカーボンブラックを60~90質量部、および分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を1~20質量部配合してなることを特徴とする。
カーボンブラックの配合量が60質量部未満であると貯蔵弾性率が低下する。逆に90質量部を超えると発熱性が悪化する。
前記フェノール樹脂の配合量が1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると破断強度および発熱性が悪化する。
前記フェノール樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、8~18質量部であることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
この形態において、加硫ゴムのJISA硬度(20℃)は、75超ないし90以下であることが好ましい。
また本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
また本発明のゴム組成物は、従来のタイヤ、例えば空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造することができる。
(製造例1)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液561部、トリエチレンテトラアミン55部を仕込み、還流条件下で2時間反応させた。ついで水を蒸留除去しながら200℃で3時間反応させた。さらに所定の水分、遊離モノマー量になるまで減圧下で水、未反応モノマーの蒸留除去を行った後、反応器から取り出し、フェノール樹脂1を得た。
フェノール樹脂1の、軟化点は110℃であり、含窒素量は2.2質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は6.8質量%であった。
37%ホルマリン水溶液の配合量を518部、トリエチレンテトラアミンの配合量を110部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂2を得た。
フェノール樹脂2の、軟化点は108℃であり、含窒素量は4.1質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は12.6質量%であった。
37%ホルマリン水溶液の配合量を500部、トリエチレンテトラアミンの配合量を165部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂3を得た。
フェノール樹脂3の、軟化点は102℃であり、含窒素量は6.4質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は19.7質量%であった。
サンプルの調製
表1、2に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
破断強度(TB):JIS K 6251に従い、20℃で試験した。結果は、各標準例の値を100として指数で示した。この値が大きいほど、高破断強度であることを示す。
発熱性(tanδ60℃):(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、各標準例の値を100として指数で示した。この値が小さいほど、低発熱性であることを示す。
結果を表1、2に併せて示す。
*2:SBR(日本ゼオン株式会社製Nipol 1502)
*3:カーボンブラックHAF(キャボットジャパン社製N330T、窒素吸着比表面積(N2SA)=70m2/g)
*4:カーボンブラックGPF(キャボットジャパン社製N660、窒素吸着比表面積(N2SA)=36m2/g)
*5:カーボンブラックISAF(キャボットジャパン社製N234、窒素吸着比表面積(N2SA)=118m2/g)
*6:ストレートフェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR50731。アルキレンアミン由来の構造単位を持たない。)
*7:フェノール樹脂1(前記製造例1で製造したフェノール樹脂1)
*8:フェノール樹脂2(前記製造例2で製造したフェノール樹脂2)
*9:フェノール樹脂3(前記製造例3で製造したフェノール樹脂3)
*10:メチレンドナー(大内新興化学工業株式会社製ヘキサメチレンテトラミン)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*12:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*13:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*14:硫黄(細井化学工業株式会社製油処理イオウ)
*15:加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ-G)
これに対し、比較例1、6は特定のフェノール樹脂を配合していないので、硬度が低下した。
比較例2、7は、特定のフェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、破断強度が改善されず、発熱性が悪化した。
比較例3、8は、カーボンブラックの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、発熱性が悪化した。
比較例4、9は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する範囲外であるので、破断強度が悪化した。
比較例5、10は、NRの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、破断強度が悪化した。
Claims (7)
- 天然ゴムおよび合成イソプレンゴムからなる群より選択された少なくとも1種を50~100質量部かつスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを0~50質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が25~85m2/gのカーボンブラックを60~90質量部、および分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を1~20質量部配合してなり、
前記フェノール樹脂中における前記アルキレンアミン由来の構造単位の含有比率が、3質量%以上50質量%以下である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記フェノール樹脂に対し、さらに、メチレンドナーを5~15質量%配合してなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記メチレンドナーが、ヘキサメチレンテトラミンまたは多価メチロールメラミン誘導体であることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- タイヤビードフィラー用である、請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をビードフィラーに用いてなるタイヤ。
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