JP2012158697A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Daisuke Nakagawa
大助 中川
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Abstract

【課題】硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることなく、低発熱、高弾性で破断伸びが大きい優れた破壊特性を有するゴム組成物からなるタイヤであり、ゴム成分としてタイヤの低燃費性を向上させ、かつタイヤに十分な耐摩耗性及び耐破壊特性を付与することが可能である上、良好なグリップ性能も付与し得るゴム組成物を与えるエラストマー組成物、そのフィラー含有エラストマー組成物を効果的に製造する方法、該フィラー含有エラストマー組成物を用いた前記の性能を有するゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とするものである。
【解決手段】ゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物構成するゴム成分が、(A)主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーと、(B)前記(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマーとを混合することで得られたことを特徴とするゴム組成物を用いたタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、高弾性で、破断伸びが大きくかつタイヤの補強性や耐摩耗性、低発熱性などの向上を図ることのできるゴム組成物を用いたタイヤに関する。
従来、タイヤのゴム部材等には高弾性なゴムが用いられている。ゴムを高弾性化する手段としては、カーボンブラック等の充填剤を増量したり(例えば、特許文献1参照)、加硫剤の硫黄を増量して架橋点を増やす等の手法が知られているが、カーボンブラック等の充填剤を増量した場合、ゴム組成物の工場作業性や破断時伸び等の耐破壊性が悪化したり、ゴム組成物の発熱特性が悪化したりするという課題がある。
これに対して、ゴム組成物の破断時伸びの低下を抑えながら高弾性化する手段として、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合反応させて得られる未変性のノボラック型フェノール系樹脂や、トール油あるいはカシュー油等の不飽和油、またはキシレンあるいはメシチレン等の芳香族炭化水素で変性した変性ノボラック型フェノール系樹脂と、これらの樹脂を硬化させるヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
しかしながら、これらの方法において、硬化剤として一般的に用いられるヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンは、混練り時や加硫工程において分解温度以上に加熱されるとアンモニウムガスやホルムアルデヒド等の揮発性のガスを発生する。アンモニウムガスはタイヤのようなスチールコードや有機繊維コードを含むゴム部材の場合には、ゴムとコードとの接着性低下を引き起こす原因となる。また、ヘキサメチレンテトラミンではゴムの加硫促進剤でもあるため添加量が多いとゴムがスコーチしやすくなる欠点がある。
また、ホルムアルデヒドについては、環境安全性の点から職域における屋内空気中の濃度について指定値が定められており、その数値以下になるように努めなければならない。
これらの理由により、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いる場合は、その配合量や適用する部材に制約がある。
一方、ゴム成分にカーボンブラックやシリカ等の補強性充填材を配合したゴム組成物の低ロス性、耐摩耗性及び破壊特性を改良するには、ゴム組成物中の補強性充填材とゴム成分との親和性を向上させることが有効である。
例えば、ゴム組成物中の補強性充填材とゴム成分との親和性を向上させ、補強性充填材による補強効果を向上させるために、末端変性により補強性充填材との親和性を向上させた合成ゴム(例えば、特許文献4〜8参照)や、主鎖の変性により補強性充填材との親和性を向上させた合成ゴム(例えば、特許文献9及び10参照)等が開示されている。
しかしながら、上記特許文献4〜10に記載の変性合成ゴムを用いたゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性については、一般的な合成ゴムを用いたゴム組成物に比べて低発熱性、耐摩耗性及び破壊特性に優れるものの、高弾性化については未だ十分とは言えず、依然として改良の余地がある。
特開平9−272307号公報 特開平5−98081号公報 特開2001−226528号公報 国際公開第2003/046020号パンフレット 特表2004−513987号公報 特開平11−29603号公報 特開2003−113202号公報 特公平6−29338号公報 特表2003−534426号公報 特開2002−201310号公報
本発明のタイヤは、このような状況下になされたもので、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることなく、高弾性で破断伸びが大きい特性を有するゴム組成物からなるタイヤであり、ゴム成分としてタイヤの低燃費性を向上させ、かつタイヤに十分な耐摩耗性及び耐破壊特性を付与することが可能である上、良好なグリップ性能も付与し得るゴム組成物を与えるエラストマー組成物、そのフィラー含有エラストマー組成物を効果的に製造する方法、そのエラストマー組成物にフィラーを混練りしたフィラー含有エラストマー組成物を用いた前記の性状を有するゴム組成物を用いたタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることのない特定の樹脂組成物と、ゴム成分として、主鎖上に反応性官能基を有するエラストマー、好ましくはエポキシ化ジエン系エラストマーと、該主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマー、好ましくは低分子量の末端変性ポリマーとを混合し、さらにフィラーを混練りしたフィラー含有エラストマー組成物を用いることにより、上記課題を解決し、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] ゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物を構成するゴム成分が、(A)主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーと、(B)前記(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマーとを混合することで得られたエラストマー組成物を含むことを特徴とするゴム組成物を用いたタイヤ、
[2] (A)成分の主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基が、エポキシ基である上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[3] (A)成分のエラストマーが、ジエン系エラストマーである上記[1]又は[2]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[4] ジエン系エラストマーが、エポキシ化天然ゴムである上記[3]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[5] ジエン系エラストマーが、エポキシ化ポリブタジエン又はエポキシ化スチレン−ブタジエン共重合体である上記[3]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[6] ジエン系エラストマーが、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体である上記[3]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[7] (B)成分の変性ポリマーが、末端変性ポリマーである[1]〜[6]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[8] (B)成分の変性ポリマーが、共役ジエン系重合体である上記[1]〜[7]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[9] (B)成分の変性ポリマーが、芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体又は芳香族ビニル化合物単独重合体である上記[1]〜[7]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[10] (B)成分の変性ポリマーにおける変性基が、活性水素含有基を有する官能基又は保護された活性水素含有基を有する官能基である上記[1]〜[9]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[11] 活性水素含有基又は保護された活性水素含有基が、カルボキシ基、第一アミノ基、第二アミノ基、ヒドロキシ基、酸アミド基、N−モノ置換酸アミド基、イミダゾール残基、4,5−ジヒドロイミダゾール残基、シラノール基及びこれらを加水分解性の保護基で保護した基から選択される基である上記[10]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[12] (B)成分の変性ポリマーが、重量平均分子量2000以上50万以下のものである上記[1]〜[11]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[13] (B)成分の変性ポリマーが、(A)成分のエラストマーと相溶するものである上記[1]〜[12]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[14] (B)成分の変性ポリマーが、(A)成分のエラストマーと非相溶である上記[1]〜[12]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[15] 上記[1]〜[14]いずれかに記載のゴム組成物に用いられるエラストマー組成物の製造方法であって、(A)成分と(B)成分とを溶液中で反応もしくはラテックス中で反応して、又は(A)成分と(B)成分とを混練りして得た後、これに(C)フィラーを配合することを特徴とするフィラー含有エラストマー組成物の製造方法、
[16] 上記[15]の製造方法で得られたフィラー含有エラストマー組成物を含有するゴム組成物を用いたタイヤ、
[17] フィラーが補強性充填材であり、かつその含有量が、全ゴム成分合計量100質量部に対して、20〜120質量部である上記[16]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[18] 補強性充填材が、シリカ及び/又はカーボンブラックである上記[17]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[19] 前記ノボラック型レゾルシン樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものである上記[1]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[20] 前記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下である上記[1]または[19]のゴム組成物を用いたタイヤ、
[21] 前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下である上記[1]または[19]〜[20]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[22] 前記樹脂組成物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である上記[1]または[19]〜[21]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
[23] 前記樹脂組成物が、予め充填剤を含む上記[1]または[19]〜[22]いずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、及び
[24] 前記充填剤が、乾式シリカである上記[23]のゴム組成物を用いたタイヤ、
を提供するものである。
<エラストマー組成物の効果>
また、本発明のタイヤに用いられるエラストマー組成物は
(1)タイヤの低燃費性を向上する。
(2)タイヤに十分な耐摩耗性及び耐破壊特性を付与することができる。
(3)良好なグリップ性能を付与し得るゴム組成物を与えるエラストマー組成物を提供する。
(4)そのフィラー含有エラストマー組成物を効果的に製造する方法を提供する。(5)該フィラー含有エラストマー組成物を用いた前記の性状を有するゴム組成物を提供する。
(6)該ゴム組成物を用いた上記性能を有するタイヤを提供することができる。
<樹脂組成物の効果>
(1)本発明のタイヤに用いられる樹脂組成物は、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることなく、高弾性でかつ破断伸びが大きい特性が得られる。
(2)樹脂組成物の硬化時の反応制御が容易であり、取り扱いや力学特性に優れる。
(3)硬化性が良好で、かつ熱安定性に優れ品質ばらつきのない樹脂組成物が得られ、特性が安定している。
(4)樹脂組成物の硬化性を向上させることができ、高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られる。
(5)放置によるブロッキング製が改善されるなどの効果を有する。
上記エラストマー組成物と樹脂組成物を組み合わせたゴム組成物は、タイヤの低燃費性、耐摩耗性、耐破壊特性及びグリップ性能を向上し、高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られる。
(A)成分と(B)成分とが相溶する場合における、(A)成分の主鎖に対する(B)成分の結合を示す一例の模式図である。 (A)成分と(B)成分とが非相溶の場合における、(A)成分の主鎖に対する(B)成分の結合を示す一例の模式図である。
まず、本発明のゴム成分として用いられるエラストマー組成物について説明する。
[エラストマー組成物]
本発明のゴム成分として用いられるエラストマー組成物は、(A)主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーと、(B)前記(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマーとを混合することで得られたことを特徴とする。
((A)主鎖上に反応性官能基を有するエラストマー)
本発明のゴム成分として用いられるエラストマー組成物において、(A)成分として用いられるエラストマーは、主鎖上に反応性官能基を有するものであって、主鎖上の反応性官能基を導入する前のエラストマーとしては特に制限はないが、ジエン系エラストマーが好ましく、具体的には天然ゴムを始め、合成ジエン系ゴム、例えばポリイソプレン(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエン共重合体(NBR)等、さらにはジエン系三元ブロック共重合体、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン三元共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン三元共重合体(SIS)等を用いることができる。
これらの中で、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)及びスチレン−ブタジエン−スチレン三元共重合体(SBS)が好ましく、前記エラストマー組成物を、本発明のゴム組成物の調製に用いる場合には、天然ゴム、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)がより好ましく、特に天然ゴムが好ましい。
前記SBRは、溶液重合又は乳化重合により製造されたものを用いることができ、例えば溶液重合SBRとして、JSR社製の「JSR SL563」や「JSR SL552」等が上市されており、乳化重合SBRとして、JSR社製の「JSR 1500」等が上市されている。
また、前記SBSとしては、例えば旭化成ケミカルズ社製の「タフプレン・アサプレンT」等が上市されている。
前記エラストマーに導入される主鎖上の反応性官能基に特に制限はないが、導入の容易さ及び反応性等の観点から、エポキシ基が好ましい。したがって、本発明のエラストマー組成物においては、(A)成分として、エポキシ化天然ゴム(エポキシ化NR)、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合体(エポキシ化SBR)及びエポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレン三元共重合体(エポキシ化SBS)が好ましく用いられる。これらは一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、前記エラストマー組成物を、本発明のゴム組成物の調製に用いる場合には、性能の面から、エポキシ化NR及びエポキシ化SBRが好ましく、エポキシ化NRが特に好ましい。
これらのエポキシ化ジエン系エラストマーにおけるエポキシ基含有量は、本発明の目的が効果的に達成し得る観点から、1〜70モル%が好ましく、5〜65モル%がより好ましく、10〜60モル%がさらに好ましい。
<ジエン系エラストマーのエポキシ化>
ジエン系エラストマーのエポキシ化としては、分子内にエチレン性二重結合を有する化合物において、該エチレン性二重結合をエポキシ化して、1,2−エポキシドを生成する従来公知の方法を用いることができる。
下記式(1)に、エポキシ化されたジエン系エラストマーの二重結合部分の構造を示す。
Figure 2012158697
式中、Rは水素原子又は1価の炭化水素基であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
ジエン系エラストマーをエポキシ化する方法は特に限定されず、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等の方法が挙げられる。具体的には、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素等の不活性有機溶媒中において、有機過酸を用いて行われる。有機過酸としては、例えば過安息香酸、過酢酸、過ギ酸、過フタル酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸等を用いることができ、これらの中では、入手性及び工業的な観点から、過酢酸が好適である。
エポキシ化NRの場合、例えば天然ゴムラテックスに、過酢酸、又はギ酸とH22との混合物を適当な条件で反応させることにより、不安定なエポキシ開環反応物を含まない再現性の良いエポキシ化NRを得ることができる。
また、エポキシ化NRの市販品としては、具体的には、例えば、マレーシアンラバーボード(MRB)製のENR−25(エポキシ基含有量:25モル%)、ENR−50(エポキシ基含有量:50モル%)、ENR−60(エポキシ基含有量:60モル%)等が挙げられる。
((B)変性ポリマー)
本発明のエラストマー組成物において、(B)成分として用いられる変性ポリマーは、前述した(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマーである。
当該変性ポリマーにおいては、該変性基は、一分子当たり、平均1個以下であることを要する。これは、(A)成分のエラストマーにおいては、主鎖上の反応性官能基を、通常複数有しているため、これと反応する(B)成分の変性基が複数存在するとゲル化が生じやすいからである。
当該変性ポリマーは、得られるエラストマー組成物の性能の観点から、末端変性ポリマーであることが好ましい。また、重量平均分子量は、2,000以上50万以下が好ましい。この重量平均分子量が2,000以上であれば、本発明のゴム組成物の動的弾性率(E’)の低下を抑制し得ると共に損失正接(tanδ)の上昇を抑制することができる。重量平均分子量が50万以下であれば、ゴム組成物調製時の作業性が良好となる。好ましい重量平均分子量は5,000以上30万以下であり、より好ましくは5000以上25万以下である。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定した標準ポリスチレン換算の値である。
前述した(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基がエポキシ基である場合、当該(B)成分の変性ポリマーにおける変性基としては、該エポキシ基と反応し得る官能基であることを要することから、活性水素含有基を有する官能基又は保護された活性水素含有基を有する官能基であることが好ましい。
活性水素含有基としては、例えばカルボキシ基、第一アミノ基、第二アミノ基、ヒドロキシ基、酸アミド基、N−モノ置換酸アミド基、イミダゾール残基、4,5−ジヒドロイミダゾール残基又はシラノール基等を挙げることができる。
また、保護された活性水素含有基としては、共役ジエン系重合体の活性末端に変性反応を施した後、例えば、加水分解反応を行うことにより、上記の活性水素含有基に変換されるものであれば良い。例えば、第一アミノ基又は第二アミノ基の保護基としてトリメチルシリル基が挙げられる。
なお、(B)ポリマーの機能によりその主鎖構造は自由に選べるが、相溶性を狙う場合は(A)成分と相溶する構造が好ましい。また、(A)成分と非相溶であってミクロ相分離による機能発現を狙う場合はポリエチレン等のTgの高いセグメントを主鎖としても良い。
<(B)変性ポリマーの製造>
当該(B)成分の変性ポリマーは、末端変性ポリマーであることが好ましく、共役ジエン単独重合体、芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体等の共役ジエン系重合体であっても良いし、芳香族ビニル化合物単独重合体であっても良い。
一例として、(B)がジエン系エラストマーの場合、まず活性末端を有する共役ジエン系重合体を得た後、この共役ジエン系重合体の該活性末端に、前記変性基をもつ変性剤を反応させることにより、目的の末端変性ポリマーを製造することができる。また、Tgの高いセグメントを主鎖とする場合も同様である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合により重合したもの、又は希土類金属化合物を重合開始剤として配位重合により重合したものであることが好ましい。
重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであっても良い。
上記共役ジエン系重合体に用いられる共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いても良いが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良いが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
更に、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さ等の実用性面、及びアニオン重合特性がリビング性等の点で優れること等から、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は0〜55質量%の範囲が好ましい。
《アニオン重合》
アニオン重合により、活性末端を有する重合体を得る方法としては、例えば共役ジエン系重合体の場合、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させる方法を用いることができる。
有機アルカリ金属化合物としては、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物又は第1族金属アルコキシドを用いることが好ましい。第1族金属アルコキシドの第1族金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。重合開始剤としてヒドロカルビルリチウム化合物を用いる場合、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。一方、重合開始剤としてリチウムアミド化合物を用いる場合は、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
なお、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物等の有機リチウム化合物又は第1族金属アルコキシドの、重合開始剤としての使用量は、単量体100g当り0.2〜20ミリモル(mmol)の範囲が好ましい。
上記ヒドロカルビルリチウム化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、上記リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
上記リチウムアミド化合物は、二級アミンとリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いても良いが、重合系中で生成させても良い。ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン等の他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2−(2−エチルヘキシル)ピロリジン、3−(2−プロピル)ピロリジン、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピペリジン、4−フェニルピペリジン、7−デシル−1−アザシクロトリデカン、3,3−ジメチル−1−アザシクロテトラデカン、4−ドデシル−1−アザシクロオクタン、4−(2−フェニルブチル)−1−アザシクロオクタン、3−エチル−5−シクロヘキシル−1−アザシクロヘプタン、4−ヘキシル−1−アザシクロヘプタン、9−イソアミル−1−アザシクロヘプタデカン、2−メチル−1−アザシクロヘプタデセ−9−エン、3−イソブチル−1−アザシクロドデカン、2−メチル−7−t−ブチル−1−アザシクロドデカン、5−ノニル−1−アザシクロドデカン、8−(4'−メチルフェニル)−5−ペンチル−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1−ブチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8−エチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−プロピル−3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3−(t−ブチル)−7−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5−トリメチル−3−アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンが挙げられる。一方、リチウム化合物としては、上記ヒドロカルビルリチウム化合物を用いることができる。
本発明においては、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物として、アルキルリチウムを用いることが好ましい。また、上記有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、アニオン重合により活性末端を有する共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物単独で、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物を重合させることで共役ジエン系重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
上記アニオン重合は、ランダマイザーの存在下で実施しても良い。該ランダマイザーは、共役ジエン化合物のミクロ構造を制御することができ、例えば、単量体としてブタジエンを用いた重合体のブタジエン単位の1,2−結合含量を制御したり、単量体としてスチレンとブタジエンを用いた共重合体のブタジエン単位とスチレン単位とをランダム化する等の作用を有する。
上記ランダマイザーとしては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−アミレート等が挙げられる。これらランダマイザーの使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1モル当り0.01〜100モル当量の範囲が好ましい。
上記アニオン重合の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧するのが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いるのが好ましい。
《配位重合》
一方、希土類金属化合物を重合開始剤として、配位重合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を製造する場合は、下記(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分を組み合わせて用いるのが更に好ましい。
上記配位重合に用いる(イ)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。上記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(イ)成分として、具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリネオデカノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリn−ブトキシド等が挙げられる。これら(イ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
上記配位重合に用いる(ロ)成分は、有機アルミニウム化合物から選択される。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、式:R21 3Alで表されるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物、式:R21 2AlH又はR21AlH2で表されるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(式中、R21は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基である)、炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物等が挙げられる。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサン等が挙げられる。これらの化合物は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。なお、(ロ)成分としては、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物とを併用するのが好ましい。
上記配位重合に用いる(ハ)成分は、加水分解可能なハロゲンを有する化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物;三級アルキルハライド、ベンジルハライド又はアリルハライドを有する有機ハロゲン化物;非配位性アニオン及び対カチオンからなるイオン性化合物等から選択される。かかる(ハ)成分として、具体的には、アルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化ケイ素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これら(ハ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
上記重合開始剤は、上記の(イ),(ロ),(ハ)成分以外に、必要に応じて、重合用単量体と同じ共役ジエン化合物及び/又は非共役ジエン化合物を用いて予備的に調製しても良い。また、(イ)成分又は(ハ)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いても良い。上記各成分の使用量は、適宜設定することができるが、通常、(イ)成分は単量体100g当たり0.001〜0.5ミリモル(mmol)である。また、モル比で(ロ)成分/(イ)成分は5〜1,000、(ハ)成分/(イ)成分は0.5〜10が好ましい。
上記配位重合における重合温度は、−80〜150℃の範囲が好ましく、−20〜120℃の範囲が更に好ましい。また、配位重合に用いる溶媒としては、上述のアニオン重合で例示した反応に不活性な炭化水素溶媒を用いることができ、反応溶液中の単量体の濃度もアニオン重合の場合と同様である。更に、配位重合における反応圧力もアニオン重合の場合と同様であり、反応に使用する原材料も、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものが望ましい。
当該活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、有機アルカリ金属化合物、特にアルキルリチウムを用いてアニオン重合してなるものが好ましい。
このようにして、活性末端を有し、かつ変性後の変性ポリマーの重量平均分子量が、好ましくは2,000以上50万以下になるように分子量が調整された共役ジエン系重合体(以下、LM−共役ジエン系重合体と称することがある。)が得られる。
《変性反応》
本発明においては、(B)成分の変性ポリマーとして、前述した(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基、好ましくはエポキシ基に対して、結合反応性をもつ変性基、好ましくは活性水素含有基を有する官能基又は保護された活性水素含有基を有する官能基を、一分子当たり、平均1個以下有する、低分子量変性共役ジエン系重合体を製造する。
そのためには、前述のようにして得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、活性水素含有基に変換し得る官能基を有する変性剤を反応させた後、該官能基を活性水素含有基に変換する反応を行うことが好ましい。
活性水素含有基が第一アミノ基である場合、変性剤として、加水分解により第一アミノ基を生成し得る前駆体官能基を有する単官能シラン化合物が用いられる。このようなシラン化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)メトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)エトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)プロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジエチル)メトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジエチル)エトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジエチル)プロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジメチル)メトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジメチル)エトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジメチル)プロポキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジエチル)メトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジエチル)エトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル(ジエチル)プロポキシシラン等を挙げることができる。これらの中で、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)メトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)エトキシシラン及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)プロポキシシランが好適である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、上記のようなシラン化合物を反応させ、さらに加水分解することにより、下記一般式(2)
Figure 2012158697
(R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜18の一価の炭化水素基、A1は炭素数2〜10の二価の炭化水素基、Polymはポリマー鎖を示す。)
で表される、末端に第一アミノ基含有変性基を有する、(B)成分の変性共役ジエン系重合体が得られる。この場合、変性共役ジエン系重合体中の変性基の数は、一分子当たり、平均1個以下となる。
また、活性水素含有基が第二アミノ基(環状イミノ基も含む)である場合、変性剤として、加水分解により第二アミノ基を生成し得る前駆体官能基を有する単官能シラン化合物が用いられる。このようなシラン化合物の具体例としては、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(ジメチル)エトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(ジメチル)エトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(ジメチル)エトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(ジメチル)エトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(ジメチル)エトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(ジメチル)メトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(ジメチル)エトキシシラン等を挙げることができる。
活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、上記のようなシラン化合物を反応させ、さらに加水分解することにより、下記一般式(3)、(4)で表される末端に第二アミノ基含有変性基を有する、(B)成分の変性共役ジエン系重合体が得られる。
Figure 2012158697
(式中、R3〜R7は、それぞれ独立に炭素数1〜18の一価の炭化水素基、A2及びA3は、それぞれ独立に炭素数2〜10の二価の炭化水素基、Zは環内にイミノ基を有する環状有機化合物残基、Polymはポリマー鎖を示す。)
上記一般式(4)におけるZで表される環内にイミノ基を有する環状有機化合物残基としては、例えばヘキサメチレンイミン残基、ピロリジン残基、ピペリジン残基、イミダゾール−2−イル基、4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル基等が挙げられる。
上記一般式(3)、(4)で表される末端に第二アミノ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体においては、その中の変性基の数は、一分子当たり、平均1個以下となる。
活性水素含有基がカルボキシ基である場合、変性剤として、加水分解によりカルボキシ基を生成し得る前駆体官能基を有する単官能シラン化合物が用いられる。このようなシラン化合物の具体例としては、メチル3−[(ジメチル)メトキシシリル]プロポキシアセテート、メチル3−[(ジメチル)エトキシシリル]プロポキシアセテート、メチル3−[(ジエチル)メトキシシリル]プロポキシアセテート、メチル3−[(ジエチル)エトキシシリル]プロポキシアセテート、メチル2−[(ジメチル)メトキシシリル]エトキシアセテート、メチル2−[(ジメチル)エトキシシリル]エトキシアセテート、メチル2−[(ジエチル)メトキシシリル]エトキシアセテート、メチル2−[(ジエチル)エトキシシリル]エトキシアセテート、メチル3−[3−[(ジメチル)メトキシシリル]プロポキシ]プロピオネート、メチル3−[3−[(ジメチル)エトキシシリル]プロポキシ]プロピオネート、メチル3−[3−[(ジエトキシ)メトキシシリル]プロポキシ]プロピオネート、メチル3−[3−[(ジエチル)エトキシシリル]プロポキシ]プロピオネート、メチル3−[2−[(ジメチル)メトキシシリル]エトキシ]プロピオネート、メチル3−[2−[(ジメチル)エトキシシリル]エトキシ]プロピオネート、メチル3−[2−[(ジエチル)メトキシシリル]エトキシ]プロピオネート、メチル3−[2−[(ジエチル)エトキシシリル]エトキシ]プロピオネート等を挙げることができる。
活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、上記のようなシラン化合物を反応させ、さらに加水分解することで、カルボン酸エステル基を遊離のカルボキシ基とすることにより、下記一般式(5)で表される末端にカルボキシ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体が得られる。
Figure 2012158697
(式中、R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R10は炭素数1〜5の二価の炭化水素基、A4は、炭素数2〜10の二価の炭化水素基、Polymはポリマー鎖を示す。)
上記一般式(5)で表される末端にカルボキシ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体においては、その中の変性基の数は、一分子当たり、平均1個以下となる。
活性水素含有基がヒドロキシ基である場合、変性剤としてエチレンオキシド、プロピレンオキシドを用いることにより末端にヒドロキシ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体が得られる。
また、変性剤としてグリシジル基を有する単官能シラン化合物を用い、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に反応させた後、該グリシジル基に、例えばアルコール類を反応させることにより、下記一般式(6)で表される末端にヒドロキシ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体が得られる。
Figure 2012158697
(式中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R13は炭素数1〜10の一価の炭化水素基、A5は、炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。)
上記の変性剤として用いるグリシジル基を有する単官能シラン化合物としては、例えば(2−グリシドキシエチル)ジメチルメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)ジメチルエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)ジエチルメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)ジエチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジエチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジエチルエトキシシラン等を挙げることができる。
また、このグリシドキシ基に反応させる上記アルコール類としては、例えばR18OH(R18は、炭素数1〜10の一価の炭化水素基である)を用いることができる。
このようにして得られた上記一般式(6)で表される末端にヒドロキシ基含有変性基を有する(B)成分の変性共役ジエン系重合体においては、その中の変性基の数は、一分子当たり、平均1個以下となる。
本発明においては、前記変性剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
この変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていても良い。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でも良い。
この変性反応においては、使用する共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時又は製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、所望の性状を有する変性基含有変性共役ジエン系重合体が得られる。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
本発明においては、このようにして共役ジエン系重合体の活性末端に変性反応を施した後、加水分解反応を行うことにより、前駆体官能基を第一アミノ基含有変性基、第二アミノ基含有変性基、カルボキシ基含有変性基に変換する。
加水分解反応は、酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件でも行うことができるが、使用する変性剤の種類に応じて、適宜条件を選定すれば良い。
なお、変性剤としてグリシジル基を有する単官能シラン化合物を用いて、末端変性を行った場合、変性反応後、アルコール類等を加え、該グリシジル基の開環反応を行い、末端にヒドロキシ含有変性基を有する共役ジエン系重合体とする。
このようにして、(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基であるエポキシ基に対して、結合反応性をもつ変性基である活性水素含有変性基を、一分子当たり、平均1個以下有する変性共役ジエン系重合体からなる、(B)成分の変性ポリマーが得られる。
((B)変性ポリマーの性状)
(B)成分の変性ポリマーとしては、前述したように、末端変性共役ジエン系重合体であることが好ましく、またその重量平均分子量が、前述したように2,000以上50万以下の範囲にある低分子量末端変性共役ジエン系重合体(LM−末端変性共役ジエン系重合体)であることがより好ましい。
当該共役ジエン系重合体が、例えばポリブタジエンの場合、ゴム弾性を確保する等の観点から、ビニル結合含有量は0〜80モル%が好ましく、0〜65モル%がより好ましい。また、シス−1,4結合含有量は、通常0〜100モル%程度、好ましくは20〜100モル%である。
一方、SBRである場合、工業性の観点から、ブタジエン部分のビニル結合含有量は5〜80モル%が好ましく、8〜65モル%がより好ましい。また、結合スチレン含量は、ゴム組成物の動的弾性率(E’)の向上と、損失正接(tanδ)の低減を十分に両立させる観点から、5〜80質量%であることが好ましく、8〜40質量%であることがより好ましい。
なお、変性ポリマーにおけるシス−1,4結合含有量及びビニル結合含有量はフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)で測定し、結合スチレン量は1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。FT−IR法は特開2005−15590に記載された方法による。
(A)成分エラストマーにおける主鎖上の反応性官能基としては、エポキシ基が好ましく、したがって、(B)成分の変性ポリマーである前記末端変性共役ジエン系重合体としては、変性基として、活性水素含有変性基を末端に、一分子当たり1個以下有する変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。
(エラストマー組成物の調製)
本発明に用いられるエラストマー組成物は、前述した(A)成分である主鎖上の反応性官能基、好ましくはエポキシ基を有するエラストマーと、(B)成分である前記(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基、好ましくはエポキシ基に対して、結合反応性をもつ変性基、好ましくは活性水素含有変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマー、好ましくはLM−末端変性共役ジエン系重合体とを混合することにより調製することができる。
前記(A)成分と(B)成分との混合は、溶液中での反応もしくはラテックス中での反応により、又はドライ混練することにより行われ、その混合割合は、所望の(A)成分に対する(B)成分の結合割合により左右されるが、反応性官能基のモル比で[{(A)成分の反応性官能基}:{(B)成分}]=(0.01:1)〜(100:1)の割合が好ましく、(0.1:1)〜(10:1)の割合がより好ましく、(0.7:1)〜(1.3:1)の割合がさらに好ましい。
(A)成分に対する(B)成分の結合割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。
(B)成分の変性ポリマーにおいては、変性基同士が自己縮合するおそれがあるので、この自己縮合をできるだけ抑え、(A)成分のエポキシ基との開環反応を促進させるような条件で、ドライ混練を行うことが有利である。混練り時の温度は、好ましくは30〜180℃、より好ましくは70〜170℃、さらに好ましくは80〜160℃である。
(A)成分である主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーが、該主鎖上の反応性官能基としてエポキシ基を有し、一方(B)成分である結合反応性をもつ変性基が第一アミノ基含有変性基である場合、(A)成分と(B)成分との結合様式は、下記式(7)に示すようになる。式中のR1、R2、A1及びPolymは前記と同じであり、R20は水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。
Figure 2012158697
本発明のエラストマー組成物において、(A)成分と(B)成分とが相溶する場合と、非相溶の場合とで、当該エラストマー組成物をゴム組成物に用いた際に、その作用効果が異なる。
例えばA成分とB成分とが相溶する場合、(A)成分の主鎖に対して(B)成分は、図1の模式図に示すような結合となる。図1においてA−Polymは(A)成分のポリマーを、B−Polymは(B)成分のポリマーを表す。(A)成分の主鎖に対して、(B)成分のポリマーが図1に示すように結合することにより、微小変形弾性率(E’)が高くなり、グリップ性が向上すると共に、損失正接(tanδ)が低減する。
一方、(A)成分と(B)成分とが非相溶の場合、(A)成分の主鎖に対して、(B)成分は図2の模式図に示すような結合となる。図2において、A−Polymは(A)成分のポリマーを、B−Polymは(B)成分のポリマーを表す。(A)成分のポリマーと(B)成分のポリマーに、界面はできるが、結合しているため、ミクロ相分離構造となって分散性が良好となり、耐疲労性が向上する。(A)成分と(B)成分とが結合せず、バラバラの状態で存在すると、(A)成分と(B)成分の相分離が大きくなり、疲労性が悪化する。
前記(A)成分と(B)成分の相溶、非相溶は、粘弾性測定、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の顕微鏡観察により判断することができる。より実用的には、架橋後の試料の145℃以上でのせん断変形による動的粘弾性温度分散が単分散であるか否かにより判別すれば良い。
次に、本発明に用いられるフィラー含有エラストマー組成物の製造方法について説明する。
[フィラー含有エラストマー組成物の製造方法]
本発明に用いられるフィラー含有エラストマー組成物の製造方法は、前述した本発明に用いられるエラストマー組成物の製造方法であって、(A)成分と(B)成分とを溶液中で反応もしくはラテックス中で反応して、又は(A)成分と(B)成分とを混練りして得た後、これに(C)フィラーを配合することを特徴とする。
この製造方法において、(C)成分のフィラーを、(A)成分と(B)成分とを溶液中で反応もしくはラテックス中で反応して又は(A)成分と(B)成分とを混練りして得た後に配合するのは、(C)成分フィラーと、(A)成分及び(B)成分の一方のみとが反応してしまうのを防止するためである。
次に、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物の必須成分である樹脂組成物について説明する。
(樹脂組成物)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物を構成する樹脂組成物には、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を必須成分とする樹脂組成物が含有される。ゴム組成物の弾性率を増大させるため熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂組成物を配合することは有効であるが、前記ノボラック型レゾルシン樹脂単独では、末端にメチロール基がないので硬化剤なしで硬化することができない。一方、レゾール型フェノール系樹脂は末端等にメチロール基を有するので、硬化剤がなくても硬化することができる。ただし、レゾール型フェノール系樹脂単独では樹脂の硬化性が遅く、ゴムの加硫時に樹脂の硬化が十分に進行しない。
そこで本発明においては、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を樹脂組成物に含有させることにより、硬化剤を用いることなくゴム組成物における弾性率を増大させ、しかも大きな破断時伸びをも得られることを見出した。すなわち、前記ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を併用することで、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン樹脂との反応により嵩高い硬化物となり、これがゴム成分中での擬似架橋構造として高弾性化と高破断伸び化に有効に作用していると考えられる。
なお、本発明において前記「フェノール系樹脂」とは、フェノールのみを原料とする重縮合物のみでなく、クレゾール及びキシレノールなどのフェノール類を原料とする重縮合物を含めた広範なフェノール樹脂を意味するものである。
本発明のタイヤのゴム組成物に用いるレゾール型フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて合成される。実際には前記レゾール型フェノール系樹脂は、硬化前の前駆体として得られるが、前記反応においてアルカリ触媒を用いると主に付加反応が進行して低重合度のレゾール型フェノール系樹脂となる。
本発明におけるレゾール型フェノール系樹脂に用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾ−ル類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、プロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類;などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、経済的に有利なフェノール、クレゾール類、及びビスフェノールAから選ばれるものが好ましい。
本発明におけるレゾール型フェノール系樹脂及びノボラック型レゾルシン樹脂に用いるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアルデヒド類の中でも、反応性が優れ、安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドから選ばれるものが好ましい。
前記レゾール型フェノール系樹脂は、上述したフェノール類及びアルデヒド類を、アルカリ金属やアミン類、二価金属塩などの触媒の存在下で反応させることによって合成することができる。
前記合成する際に用いる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類;酢酸マグネシウムや酢酸亜鉛などの二価金属塩;などの物質を単独または2種以上併用することができる。
前記レゾール型フェノール系樹脂の合成において、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比としては、フェノール類1モルに対して、アルデヒド類を0.80モル以上2.50モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.00モル以上2.30モル以下とする。モル比が前記範囲であると、反応制御が容易でありレゾール型フェノール系樹脂を確実に得ることができる。
また、本発明において、樹脂組成物に用いるレゾール型フェノール系樹脂のジメチレンエーテル基量は、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、25モル%以上75モル%以下であることがより好ましい。ジメチレンエーテル基量が上記範囲にあると、硬化性が良好で、かつ熱安定性に優れ品質ばらつきのないフェノール系樹脂組成物を得ることができる。
前記レゾール型フェノール系樹脂における結合基の比率は、1H−NMR法に準拠して測定したものである。具体的には、レゾール型フェノール樹脂をピリジン触媒中、無水酢酸で処理して、メチロール基をアセチル化し、このアセチル化物の1H−NMRを測定した。
各結合基量は、測定されたスペクトルからアセトンのピーク(2.04ppm)を基準に、各々メチレン基(約3.8ppm)、ジメチレンエーテル基(約4.5ppm)、メチロール基(約5.0ppm)とし、これらピークの積分強度比を、メチレン基、メチロール基については1/2倍、ジメチレンエーテル基については1/4倍とした値の比率より、アルデヒド類に由来する全結合基量(メチレン基量、ジメチレンエーテル基量及びメチロール基量の和)に対するジメチレンエーテル基量の比率(モル%)を算出した。
装置は、日本電子社製NMR測定装置「JNM−AL300」(周波数:300MHz)を使用した。なお、上記測定方法は、レゾール型フェノール系樹脂の原料としてフェノールとホルムアルデヒドとを用いた場合であるが、これ以外のフェノール類及びアルデヒド類を用いた場合でも、基本的に同じ原理で測定することができる。
一方、前記ノボラック型レゾルシン樹脂に用いるレゾルシン類としては、例えば、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン及び2,5−ジメチルレゾルシン等のメチルレゾルシン類、4−エチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、2−ニトロレゾルシン、4−ブロモレゾルシン、4−n−へキシルレゾルシンなどが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
これらのレゾルシン類の中でも、経済的に有利なレゾルシン及びメチルレゾルシン類から選ばれるものが好ましい。
上記ノボラック型レゾルシン樹脂は、レゾルシン及び上述したアルデヒド類を、酸性触媒の存在下で反応させた後、脱水工程により水を除去して合成することができる。また、ノボラック型レゾルシン樹脂の合成に用いる触媒としては、シュウ酸、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸類を、単独または2種類以上併用して使用できる。また、レゾルシンそのものが酸性を示すため、無触媒でも合成することができる。
前記ノボラック型レゾルシン樹脂の合成において、レゾルシンとアルデヒド類との反応モル比としては、レゾルシン1モルに対して、アルデヒド類を0.40モル以上0.80モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、アルデヒド類を0.45モル以上0.75モル以下とする。モル比が前記範囲あると、反応の制御や樹脂の取り扱いが容易となる。
前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量としては、樹脂組成物全体に対して、18質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上45質量%以上とすることがより好ましい。
ノボラック型レゾルシン樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、本発明における樹脂成分の硬化性を向上させることができ、高弾性で発熱性の低いゴム組成物を得ることができる。
更に、本発明における樹脂組成物には、それ自身の放置によるブロッキング性を改良するために、予め充填剤を添加することも可能である。前記充填剤としては、種々のものが使用できるが、例えば、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、黒鉛等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でもシリカを用いることが好ましく、特に乾式シリカであることが、ゴム組成物としたときの物性に対するデメリットが少ない点で好ましい。
前記充填剤の添加量としては、樹脂組成物100質量部に対して、充填剤を1質量部以上40質量部以下で使用するのが好ましい。これにより、ゴム組成物の弾性率や破断時伸びを阻害することなく、樹脂組成物の放置によるブロッキング性を改善することができる。
本発明における樹脂組成物を得るため、前記レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン樹脂とを混合する方法は、両成分が均一に混合分散し得る方法であればよく、特に限定されない。例えば、反応途中のレゾール型フェノール系樹脂中にノボラック型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、反応途中のノボラック型フェノール系樹脂中にレゾール型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、あるいは、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型フェノール系樹脂とを単に粉砕混合する方法、さらには、二軸押出機やオープンロール、加圧式混練機で混練する方法等がある。
本発明におけるフェノール系樹脂組成物は、その形状は粉末または固形であることが好ましい。形状が粉末または固形でなく、半固形または液状であると、成形品への配合時に作業性が劣るという問題を生じ好ましくない。
本発明のタイヤに用いられる前記フェノール系樹脂組成物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下とすることが好ましく、5質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。含有量が上記範囲にあると、高弾性で破断時伸びの高いゴム組成物を得ることができる。
[ゴム組成物]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、前述の製造方法で得られたフィラー含有エラストマー組成物と前述の樹脂組成物を含有することを特徴とする。
本発明のゴム組成物においては、必要に応じ、(A)成分及び(B)成分以外のゴム成分を配合することができる。そして、当該ゴム組成物としては、フィラーが補強性充填材であり、かつその含有量が、全ゴム成分合計量100質量部に対して、20〜120質量部であるものが好ましい。
((A)成分及び(B)成分以外のゴム成分)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、前記(A)成分及び(B)成分以外のゴム成分として、例えば天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化メチル基をもつスチレンとイソブチレンとの共重合体等の無変性ゴムの中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
全ゴム成分中の(A)成分と(B)成分との合計量の割合は、本発明の効果を十分に発揮し得る観点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
((C)補強性充填材)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(C)成分の補強性充填材としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることができる。
カーボンブラックとしては特に制限はなく、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、1SAF、SAF等が用いられ、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、グリップ性能及び耐破壊特性の改良効果は大きくなるが、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
一方、シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
本発明においては、(C)補強性充填材として、カーボンブラックのみを用いても良いし、シリカのみを用いても良く、また、カーボンブラックとシリカとを併用しても良い。当該補強性充填材は、補強性とそれによる諸特性の改良効果の観点から、全ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20〜120質量部、より好ましくは25〜100質量部、さらに好ましくは30〜90質量部の割合で配合される。カーボンブラック及び/又はシリカの量を上記範囲にすることによって混練作業性等の工場作業性に優れ、ゴム組成物として、所望の破壊特性を得ることができる。
(シランカップリング剤)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物においては、補強性充填材としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物においては、シランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、このシランカップリング剤のより好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
(配合成分)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
更に、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、前述の製造方法で得られたフィラー含有エラストマー組成物、樹脂組成物、及び所望により用いられる他のゴム成分や各種配合成分を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって調製することができる。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、タイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフィラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。中でも高弾性を必要とする、プライコーティングゴム、ベルトコーテイングゴム、ビードフィラーゴム、トレッドゴム等に最適である。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、フィラー含有エラストマー組成物、樹脂組成物、と共に必要に応じて、上記のように、他のゴム成分や各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドやビードフィラーゴムに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、補強性優れた高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られ、それを用いたタイヤは耐摩耗性や低発熱性や耐久性などに優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
<ゴム組成物の加硫物性>
(1)破断時伸び、破断強度及び100%モジュラス
得られた加硫ゴムを、JISダンベル状3号形に打ち抜いたサンプルについて、JISK6251に準拠して25℃で引っ張り試験を行い、破断時伸びと破断強度とを測定した。結果を第2表に示す。
(2)動的弾性率E’、損失正接tanδ
得られた加硫ゴムについて、東洋精機社製スぺクトロメータを用い、初期荷重100g、歪み2%、測定周波数50Hz、測定温度25℃及び60℃にて動的弾性率E’及び損失正接tanδを測定した。結果を第2表に示す。
<変性ポリマー>
(3)ミクロ構造及び結合スチレン含量
シス−1,4結合含有量及びビニル結合含有量はフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)で測定し、結合スチレン量は1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。FT−IR法は特開2005−15590に記載された方法による。
(4)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8220、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で、単分散ポリスチレン換算により、LM−変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
製造例1 変性剤aの製造
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中に単官能アミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルジメチルエトキシシランを加えた後、さらに保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、さらに得られた反応混合物を665Pa条件下で減圧蒸留することにより、変性剤a{N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン}を40g得た。
製造例2 LM−変性IRの製造
乾燥し、窒素置換した1000mLの耐圧ガラス容器に、脱気したシクロヘキサン360g、イソプレン40gを加え、更にジテトラヒドロフリルプロパン0.04mmol及びn−ブチルリチウム(n−BuLi)4mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として加えた後、35℃で1.5時間重合反応を行い、活性末端を有する低分子量ポリイソプレン(LM−IR)を得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に製造例1で得た変性剤aであるN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシランのリチウム(Li)対比0.9モル当量となる量を加えて、さらに50℃で30分間変性反応を行った。
<その後の工程>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、イソプロパノール中で再沈殿させ、真空乾燥してLM−変性IRを得た。得られたLM−変性IRのビニル結合含量は3モル%、シス−1,4結合含量は88モル%、Mwは4.8万であった。
製造例3 LM−変性SBRの製造
乾燥し、窒素置換した1000mLの耐圧ガラス容器に、脱気したシクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に製造例1で得た変性剤aであるN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシランのリチウム(Li)対比0.9モル当量となる量を加えて、さらに50℃で30分間変性反応を行った。
<加水分解工程及びその後の工程>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥してLM−変性SBRを得た。得られたLM−変性SBRの結合スチレン含量は24.5質量%、ブタジエン部分のビニル結合含量は65モル%、Mwは8万であった。
製造例4 変性ポリスチレンの製造
乾燥し、窒素置換した1000mLの耐圧ガラス容器に、脱気したシクロヘキサン360g、スチレン40gを加え、更にジテトラヒドロフリルプロパン0.034mmol及びn−ブチルリチウム(n−BuLi)3.4mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として加えた後、30℃で1.5時間重合反応を行い、活性末端を有する低分子量ポリスチレンを得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、重合反応系に製造例1で得た変性剤aであるN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシランのリチウム(Li)対比0.9モル当量となる量を加えて、さらに50℃で30分間変性反応を行った。
その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性ポリスチレンを得た。
<フェノール系樹脂の製造>
製造例5 レゾール型フェノール樹脂の製造
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部及び37%ホルムアルデヒド水溶液1294部を加え(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=1.50)、さらに酢酸亜鉛5部を加えた。1時間還流させ、反応によって生じる水の真空除去を行い、90℃になった時点でさらに1時間反応させ、常温(25℃)で固形のレゾール型フェノール樹脂1145部を得た。
このレゾール型フェノール樹脂について、前述の条件で1H−NMRにて解析した結果、アルデヒドに由来する全結合基量に対するジメチレンエーテル基量は、45モル%であった。
製造例6 ノボラック型レゾルシン樹脂の製造
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、レゾルシン1000部及びシュウ酸3部を加えた。内温が100℃になるまで加熱して、温度到達後、37%ホルムアルデヒド水溶液369部を30分間かけて逐添した(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=0.50)。その後1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を170℃になるまで行い、常温で固形のノボラック型レゾルシン樹脂1040部を得た。
製造例7 樹脂組成物の製造
上記で得られた各ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を、表1に示す組み合わせ及び組成にて混合し、衝撃式粉砕機により粉砕して、粉末状の樹脂組成物1〜3を得た。詳細を第1表に示す。
Figure 2012158697
実施例1〜10、比較例1〜19
マトリックスゴムとして天然ゴムと、エポキシ化天然ゴムの組み合わせ又は天然ゴムと無変性の溶液SBRの組み合わせと製造例2〜4で得られたLM−変性IR、LM−変性SBR、変性ポリスチレンを、更に製造例7で得られた樹脂組成物を用い、第2表−1及び第2表−2に示す配合処方に従って各ゴム組成物を調製した。なお、実施例1〜10及び比較例1〜19の各ゴム組成物の中で、エポキシ化天然ゴムと製造例2〜4で得られたポリマーについては、予め140℃の温度で混練りした後、フィラーや他の成分を加え、150〜158℃の温度で混練りし、更に架橋剤を100℃以下の温度で混練りすることにより調製した。
各ゴム組成物を160℃で15分間加硫処理して加硫ゴムを得、該加硫ゴムの損失正接(tanδ)、動的弾性率(E’)、破断時伸び(EB)、破断強度(TB)及び100%モジュラスを求めた。tanδは指数値が低いほど低発熱性であり、E’は指数値が高いほど高弾性であり、ビードフィラーやコーテイングゴムに最適である。
尚、測定結果については第2表−1及び第2表−2に示す。
Figure 2012158697
Figure 2012158697
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は動的弾性率E’が向上すると共にtanδが小さくなり、破断時の強力、破断時伸びなどの耐破壊特性も好適に改良された。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、タイヤの低燃費性を向上させ、かつ高弾性で破断時の強力、破断時伸びなどの優れた破壊特性を付与することが可能であり、タイヤの低発熱性、耐摩耗性及び耐久性が改善される。
本発明に用いられるゴム組成物は、タイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
中でもこの高弾性で破壊特性の優れた低発熱性のゴム組成物はプライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴム、トレッドゴム等に好ましく用いることができる。

Claims (24)

  1. ゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物を構成するゴム成分が、(A)主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーと、(B)前記(A)成分のエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基に対して、結合反応性をもつ変性基を一分子当たり、平均1個以下有する変性ポリマーとを混合することで得られたエラストマー組成物を含むことを特徴とするゴム組成物を用いたタイヤ。
  2. (A)成分の主鎖上に反応性官能基を有するエラストマーにおける主鎖上の反応性官能基が、エポキシ基である請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  3. (A)成分のエラストマーが、ジエン系エラストマーである請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  4. ジエン系エラストマーが、エポキシ化天然ゴムである請求項3に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  5. ジエン系エラストマーが、エポキシ化ポリブタジエン又はエポキシ化スチレン−ブタジエン共重合体である請求項3に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  6. ジエン系エラストマーが、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体である請求項3に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  7. (B)成分の変性ポリマーが、末端変性ポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  8. (B)成分の変性ポリマーが、共役ジエン系重合体である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  9. (B)成分の変性ポリマーが、芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体又は芳香族ビニル化合物単独重合体である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  10. (B)成分の変性ポリマーにおける変性基が、活性水素含有基を有する官能基又は保護された活性水素含有基を有する官能基である請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  11. 活性水素含有基又は保護された活性水素含有基が、カルボキシ基、第一アミノ基、第二アミノ基、ヒドロキシ基、酸アミド基、N−モノ置換酸アミド基、イミダゾール残基、4,5−ジヒドロイミダゾール残基、シラノール基及びこれらを加水分解性の保護基で保護した基から選択される基である請求項10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  12. (B)成分の変性ポリマーが、重量平均分子量2000以上50万以下のものである請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  13. (B)成分の変性ポリマーが、(A)成分のエラストマーと相溶するものである請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  14. (B)成分の変性ポリマーが、(A)成分のエラストマーと非相溶である請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物に用いられるエラストマー組成物の製造方法であって、(A)成分と(B)成分とを溶液中で反応もしくはラテックス中で反応して、又は(A)成分と(B)成分とを混練りして得た後、これに(C)フィラーを配合することを特徴とするフィラー含有エラストマー組成物の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法で得られたフィラー含有エラストマー組成物を含有するゴム組成物を用いたタイヤ。
  17. フィラーが補強性充填材であり、かつその含有量が、全ゴム成分合計量100質量部に対して、20〜120質量部である請求項16に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  18. 補強性充填材が、シリカ及び/又はカーボンブラックである請求項17に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  19. 前記ノボラック型レゾルシン樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものである請求項1に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  20. 前記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下である請求項1または19に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  21. 前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下である請求項1または19〜20のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  22. 前記樹脂組成物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である請求項1または19〜21のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  23. 前記樹脂組成物が、予め充填剤を含む請求項1または19〜22のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
  24. 前記充填剤が、乾式シリカである請求項23に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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