JP2018505277A - ゴム組成物、その製造方法、及びそれから製造される物品 - Google Patents

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Abstract

ゴム組成物は、官能化エラストマーを含むエラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を含む。官能化エラストマーは、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む。ヒドロキシ官能基とC1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基はビシナル官能基である。

Description

車両の燃料消費の約20〜30%は、そのタイヤに関連している。車両用タイヤは、少なくとも一部には、それが転がる道路に対するタイヤゴムの接着性に起因して、動作中に、転がりに対して抵抗する傾向を有する。車両は、より多くのエネルギーを生成すること、すなわち、より多くの燃料を燃焼させることによって、タイヤの転がり抵抗を克服する。転がり抵抗の低いタイヤは、タイヤが転がるときに、より少ないエネルギーしか必要とせず、よって、車両の燃料効率が増加する。したがって、タイヤにおける転がり抵抗の低下は、燃料消費の低下及び二酸化炭素の排出の低減についての今日のますます高まる要求基準を満たすように構成された車にとって、望ましいことである。
タイヤ製造業者によって、転がり抵抗の低いタイヤの開発及び製造に向けて多くの取り組みがなされてきた。例えば、車両用ゴムタイヤへの官能化エラストマーの導入により、タイヤの性能特性を改善することができる。官能基は、エラストマーと、タイヤ内にも存在する充填剤、主にシリカとの相互作用を改変するように作用しうる。エラストマーの官能化は、重合の間又は重合後のいずれかに達成されうる。重合の間の官能化には、官能性モノマー、開始剤、又は停止剤が用いられる。重合の間の官能化、すなわち、共重合及び/又は鎖末端官能化は、幾つかの既知の欠点を有する。例えば、共重合は、官能性モノマーを作出するために、しばしば、複雑な合成を必要とする。官能基は、重合開始剤と反応しないものに限られることから、重合の間の官能化のための適切な官能基の選択が、さらなる制限となる。鎖末端官能化は実現可能だが、タイヤゴムが比較的高分子量であることにより、末端基の主鎖に対する重量比が低くなりすぎる場合があり、したがって、末端基はエラストマー−充填剤相互作用に有意な影響を与えない。
ポスト重合官能化は、さまざまな方法によって達成されうる。例えば、シランカップリング剤をシリカ充填剤と組み合わせて使用してもよい。しかしながら、シランの使用により、タイヤ製造の間に、組成物粘度の望ましくない増加をもたらしうる。
上述の技術的課題を克服することができる改善されたゴム、特に、タイヤの性能特性を改善することができる官能化エラストマーを含むゴム組成物は、当技術分野において依然として必要とされている。
ゴム組成物は、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及び、C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む官能化エラストマーであって、該ヒドロキシ官能基と該C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基がビシナル官能基である、官能化エラストマーを含むエラストマー成分;補強充填剤;及び、カップリング剤を含む。
ゴム組成物を調製する方法は、エラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を混合して、ゴム組成物を形成する工程を含む。
ゴム組成物を含む物品、特に、ゴム組成物を含むタイヤ部品についても開示される。
上記及び他の特徴は、以下の詳細な説明によって例証される。
本発明者らは、官能化エラストマーを含むエラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を含むゴム組成物を発見した。官能化エラストマーは、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む。官能化エラストマーのヒドロキシ官能基と置換チオ官能基は隣接する炭素原子上にある、すなわち、それらはビシナルである。
このようなゴム組成物は、非官能化エラストマーを用いたゴム組成物と比較して、0℃及び60℃におけるタンジェントδ値の低下を生じる。0℃におけるタンジェントδの低下は、このようなゴム組成物を用いて生成されたタイヤのウェットグリップの改善に寄与することから分かるように、望ましいことである。60℃におけるタンジェントδの低下は、このようなゴム組成物を用いて生成されたタイヤの転がり抵抗の低下に寄与することから分かるように、望ましいことである。これは、充填剤とエラストマー成分との相互作用の改善に起因すると考えられる。タンジェントδは、ASTM D5992に準拠する動的機械分析によって決定されうる。
官能化エラストマーは、車両用タイヤを含む、さまざまな用途を有する。本明細書に開示されるゴム組成物は、有利に、低い転がり抵抗及び改善された湿潤性牽引を示す。したがって、ゴム組成物は、例えば、改善されたタイヤトレッドの製造に有用でありうる。
ゴム組成物は、官能化エラストマーを含有するエラストマー成分を含む。官能化エラストマーは、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む。幾つかの実施形態では、ヒドロキシ官能基と置換チオ官能基は隣接する炭素上にある、すなわち、それらはビシナルである。官能化エラストマーは、エポキシ化エラストマーが、例えばC〜C32ヒドロカルビル置換チオールなどの置換チオールを用いたエポキシ開環に供される、ポスト重合官能化法に従って調製されうる。
エポキシ化エラストマーは、合成することも、商業的に得ることもできる。エラストマーをエポキシ化する方法は、一般的に知られており、例えば、不飽和エラストマーの過酸化物介在性のエポキシ化が挙げられる。エポキシ化エラストマーは、エポキシ化の結果として、エポキシ(オキシラン)官能基を含む。ゴムとしても知られるエラストマーは、非晶質の粘弾性ポリマーである。不飽和エラストマーは、複数の炭素−炭素二重結合を有する。不飽和度は、モルパーセント(mol%)不飽和で表されうる。例えば、エラストマーは、少なくとも0.1mol%、少なくとも0.5mol%、少なくとも1mol%、少なくとも2mol%、又は少なくとも5mol%の不飽和度、最大で80mol%の不飽和度を有しうる。例えば、不飽和度は、0.1〜60mol%、又は0.1〜50mol%、又は0.1〜40mol%でありうる。
官能化エラストマーの調製に用いられる不飽和エラストマーは、骨格又は側鎖内に不飽和を有する、架橋されていない、架橋された、加硫化された等の単独重合体又は共重合体(例えば加硫ゴム)でありうる。エラストマーは、ASTM D7426−08(2013)に準拠して決定して、例えば、−110℃〜20℃又は−90℃〜−10℃など、20℃未満又は0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有しうる。エラストマーは、天然由来であっても合成であってもよく、1つ以上の共役ジオレフィンを、必要に応じて、モノビニルアレーン、C〜Cアルキル(メタ)アクリレートなどの1つ以上のエチレン性不飽和コモノマーと組み合わせて、例えば、溶液重合、乳化重合又は気相重合することによって得ることもできる。
不飽和エラストマーの例としては、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
特定のエラストマーとしては、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、好ましくはポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。例えば、幾つかの実施形態では、官能化エラストマーは、10〜60モルパーセントのビニル含量及び5〜50モルパーセントのスチレン含量を有する、官能化ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴムである。
不飽和エラストマーのエポキシ化は、例えば、ペルオキシ酸、過酸、無機ペルオキシ酸、有機ペルオキシ酸などの過酸化物を含むエポキシ化剤の使用によって、達成されうる。好ましい無機ペルオキシ酸は、ペルオキシ一硫酸、ペルオキシリン酸、過ホウ酸、過ホウ酸塩などである。有機ペルオキシ酸の中でもとりわけ、過酢酸、ペルオキシ安息香酸、又はm−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)が用いられうる。
エポキシ化における過酸化物の量は、所望のエポキシ化度を達成するように選択され、過度の試験をせずに、当業者によって決定されうる。例えば、過酸化物の量は、不飽和エラストマーの質量に基づいて、5〜100質量%(wt.%)であってよく、又は、不飽和エラストマーの質量に基づいて、20〜90質量%、又は30〜80質量%、又は40〜80質量%でありうる。
好ましくは、エポキシ化は、溶媒の存在下で行われる。溶媒は、用いられる場合には、不飽和エラストマーを溶解するように選択される。適切な溶媒の例としては、脂肪族、環式脂肪族、ハロゲン化された脂肪族又は環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族の溶媒が挙げられ、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、o−、m−、p−キシレンを含むキシレン、クメン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せである。エラストマーは、溶媒中、1〜22%(質量/容積(w/v))、1〜20%(w/v)、1〜18%(w/v)、2〜16%(w/v)、2〜12%(w/v)の濃度、好ましくは2〜10%(w/v)、さらに好ましくは2〜8%(w/v)の濃度を有しうる。当然ながら、他の濃度も用いられうる。
エポキシ化の条件は、例えば、0〜100℃、好ましくは20〜80℃、又は20〜40℃の温度で、1〜6時間、大気圧下でなど、過度の実験をせずに、決定することができる。
幾つかの実施形態では、エラストマーの官能化の間に不飽和基のすべてが反応するのではなく、よって、官能化エラストマー内に二重結合が依然として存在する。例えば、エポキシ化エラストマーは、1〜50mol%、1〜40mol%、1〜30mol%、2〜40mol%、2〜30mol%、又は3〜30mol%のエポキシ化度を有しうる。
官能化エラストマーを形成するため、エポキシ化エラストマーを置換チオールと反応させて一部のエポキシ基を開環し、ビシナルなヒドロキシ基と置換チオ基を提供する。本明細書で用いられる「ビシナル」とは、各開環によって生じるヒドロキシ基と置換チオ基が、2つの異なる隣接する炭素原子に結合していることを意味する。
置換チオールはC〜C32ヒドロカルビル置換チオールであり、該C〜C32ヒドロカルビルは、置換又は非置換のC〜C32アルキル基、置換又は非置換のC〜C32アルケニル基、置換又は非置換のC〜C18シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18アリール基、若しくは、置換又は非置換のC〜C18ヘテロアリール基でありうる。
好ましくは、C〜C32ヒドロカルビル置換チオール基は、置換又は非置換のC〜C16アルキル基、置換又は非置換のC〜C16シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16アリール基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せである。
ある実施形態では、C〜C32ヒドロカルビル置換チオール基は、置換又は非置換のC〜C12アルキル基であり、さらに好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基であり、最も好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基である。
置換チオールは、例えば、1−プロパンチオール、メチル−3−メルカプトプロピオナート、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、4−シアノ−1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオナート、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、2−エチルヘキサンチオール、1−ノナンチオール、tert−ノニルメルカプタン、1−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、tert−ドデシルメルカプタン、1−テトラデカンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、cis−9−オクタデセン−1−チオール、1−オクタデセンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、2−フェニルエタンチオール、フェニルチオール、ハロゲン化フェニルチオール、ニトロフェニルチオール、メトキシフェニルチオール、2−プロペン−1−チオール、2−フランメタンチオール、2−メチル−3−フランチオール、2−(トリメチルシリル)エタンチオール、1−アダマンタンチオール、2−プロペン−1−チオール、又はそれらの組合せから選択されうる。好ましくは、置換チオールは、1−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、1−ペンタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、2−エチルヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、2−フェニルエタンチオール、フェニルチオール、2−プロペン−1−チオール、2−フランメタンチオール、又はそれらの組合せから選択される。
エポキシ開環は、溶媒の存在下で行われうる。溶媒の例としては、脂肪族、環式脂肪族、ハロゲン化された脂肪族又は環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族の溶媒、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、o−、m−、p−キシレンを含むキシレン、クメン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せがある。
エポキシ化エラストマーは、溶媒中、1〜22%(w/v)の濃度を有しうる。例えば、エポキシ化エラストマーは、2〜16%(w/v)、2〜12%(w/v)、2〜10%(w/v)、2〜8%(w/v)、又は2〜6%(w/v)の濃度を有しうる。
溶媒中の置換チオールの濃度は、エポキシ化エラストマーの質量に基づいて、5〜70質量%、10〜70質量%、5〜60質量%、10〜60質量%、15〜60質量%、又は好ましくは15〜50質量%でありうる。
幾つかの実施形態では、エポキシ開環は、エポキシ環を開き同時に置換チオールの付加を促進することができる触媒の存在下で行われる。触媒は、例えば過塩素酸などの酸性であっても、求核塩基であってもよい。例示的な塩基としては、アルカリ又はアルカリ土類の酸化物又は水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化カルシウムなど、水酸化ランタン又は水酸化セリウムなどの希土類水酸化物、テトラ(C〜C)アルキルアンモニウムヒドロキシド(例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド)などの有機水酸化物、若しくは、第三級アミンなどの有機塩基(例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミン、ピリジン等)が挙げられる。さまざまな塩基の組合せを使用してもよい。好ましくは、塩基は、水酸化カリウム又はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドである。幾つかの実施形態では、反応混合物のpHを、塩基を用いて調整することができる。例えば、pHを、pH9〜14、10〜13、又は10〜12に調整することができる。
好ましくは、塩基は、該塩基がエポキシ開環に用いられる溶媒との均質媒質を形成するように選択される。溶媒が塩基と非混和性であるか、又は塩基と低混和性である場合、不均質混合物が形成されうる。不均質混合物が形成される場合、エポキシ開環は遅くなりうる。よって、ある実施形態では、アルコール性、例えばメタノール性の塩基溶液が用いられる。アルコール性塩基溶液は、アルコール中に0.1〜10モーラー(M)のモル濃度の塩基を有しうる。例えば、アルコール溶液は、0.2〜10M、0.3〜9M、0.5〜8M、1〜5M、又は1〜3Mでありうる。ある実施形態では、エポキシ開環は、溶媒としてのTHF中で、メタノール性塩基を用いて行われ、均質媒質をもたらす。
エポキシ開環は、0〜100℃、例えば20〜80℃、例えば20〜60℃の温度で行われる。有効時間は、出発材料の反応性、温度、及び他の反応条件に応じて、1時間〜5日間でありうる。大気圧又はそれより大きい圧力が用いられうる。単離は、メタノールなどの非溶媒を用いて、沈殿によって行われうる。沈殿後、官能化エラストマーは、例えば濾過によって回収されうる。
官能化エラストマーは、1〜15mol%、1〜12mol%、さらに好ましくは1〜10mol%のヒドロキシ、置換チオ、及びエポキシ基の合計の官能化を有しうる。加えて、官能化エラストマーは、不飽和を含む。ヒドロキシ基、エポキシ基、チオ基、及び不飽和基の各々の相対比率は、官能化エラストマーの特性を調整するために、エポキシ化及びエポキシ開環条件を変動させることによって変化させることができる。例えば、官能化された基の総数に基づいて、エラストマーは、1〜30%のエポキシ基、0.1〜30%のヒドロキシル基、0.1〜30%の置換チオ基、及び20〜89.7%の不飽和基を含んでよく、より詳細には、1〜20%のエポキシ基、0.1〜20%のヒドロキシル基、0.1〜20%の置換チオ基、及び20〜80%の不飽和基を含みうる。
官能化エラストマーは、ASTM D7426−08(2013)に準拠して決定して、例えば−110℃〜20℃又は−90℃〜−10℃など、20℃未満又は0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有しうる。
官能化エラストマーは、ゴム組成物の総重量に基づいて、10〜70質量%(wt.%)、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜60質量%の量でゴム組成物中に存在しうる。
幾つかの実施形態では、エラストマー成分は、該エラストマー成分の総重量に基づいて、10〜100質量%の官能化エラストマーを含む。
エラストマー成分は、必要に応じて、官能化エラストマーとは異なるエラストマーをさらに含む。幾つかの実施形態では、官能化エラストマーとは異なるエラストマーは、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基、又はそれらの組合せを有しない。例えば、官能化エラストマーとは異なるエラストマーは、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基の組合せを有しなくてよい。官能化エラストマーとは異なるエラストマーは、骨格又は側鎖内に不飽和を有する、架橋されていない、架橋された、加硫化された等の単独重合体又は共重合体(例えば、加硫ゴム)でありうる。エラストマーは、例えば−110℃〜20℃又は−90℃〜−10℃など、20℃未満又は0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有しうる。エラストマーは、天然由来であっても合成であってもよく、1つ以上の共役ジオレフィンを、必要に応じて、モノビニルアレーン、C〜Cアルキル(メタ)アクリレートなどの1つ以上のエチレン性不飽和コモノマーと組み合わせて、例えば、溶液重合、乳化重合又は気相重合することによって得られうる。
幾つかの実施形態では、官能化エラストマーとは異なるエラストマーは、例えば、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せでありうる。幾つかの実施形態では、官能化エラストマーとは異なるエラストマーとしては、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、好ましくはポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せが挙げられうる。
存在する場合には、官能化エラストマーとは異なるエラストマーは、エラストマー成分の総重量に基づいて、1〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜60質量%の量でありうる。
エラストマー成分に加えて、ゴム組成物はさらに、補強充填剤を含む。補強充填剤は、有機充填剤、無機充填剤(例えば、鉱物充填剤)、又はそれらの組合せを含みうる。例示的な補強充填剤としては、例えばケイ酸塩溶液の沈殿又はハロゲン化ケイ素の火炎加水分解によって調製されたシリカ、シリカと他の金属酸化物(例えば、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、又はTi酸化物)との混合酸化物、合成ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム)、アルカリ土類金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸マグネシウム又はケイ酸カルシウム)、天然のケイ酸塩(例えば、カオリン及び他の天然型のシリカ)、ガラス繊維及びガラス繊維製品(例えば、マット、ストランドなど)、ガラスマイクロビーズ、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、又は酸化アルミニウム)、金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は炭酸亜鉛)、金属水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム)、ゴムゲル(例えば、ポリブタジエン系ゴムゲル、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレン)、例えば、フレームブラック(flame-black)法、チャネルブラック法、ファーネスブラック法、ガスブラック法、サーマルブラック法、アセチレンブラック法又はアーク法によって調製されるカーボンブラック(例えば超耐摩耗性(SAF)、準SAF、準SAF低ストラクチャ(ISAF−LS)、準SAF高弾性率(ISAF−HM)、準SAF低弾性率(ISAF−LM)、準SAF高ストラクチャ(ISAF−HS)、導電性ファーネス(CF)、超導電性ファーネス(SCF)、高耐摩耗性ファーネス(HAF)、高耐摩耗性ファーネス低ストラクチャ(HAF−LS)、HAF−HS、ファインファーネス高ストラクチャ(FF−HS)、中補強性ファーネス(SRF)、極導電性(extra conductive)ファーネス(XCF)、良押出性ファーネス(FEF)、良押出性ファーネス低ストラクチャ(FEF−LS)、良押出性ファーネス高ストラクチャ(FEF−HS)、汎用性ファーネス(GPF)、GPF−HS、多目的(all purpose)ファーネス(APF)、SRF−LS、SRF−LM、SRF−HS、SRF−HM及び中粒熱分解(MT)カーボンブラック、又はASTMの分類に従った次のタイプのもの:N110、N219、N220、N231、N234、N242、N294、N326、N327、N330、N332、N339、N347、N351、N356、N358、N375、N472、N539、N550、N568、N650、N660、N754、N762、N765、N774、N787及びN990カーボンブラック)、又は上記充填剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられうる。幾つかの実施形態では、充填剤は無機充填剤であり、例えば該充填剤はシリカを含む。幾つかの実施形態では、充填剤は、40〜400平方メートル/g(m/g)、好ましくは80〜300m/gの表面積を有する。幾つかの実施形態では、充填剤は、40〜400m/g、好ましくは80〜300m/gの表面積を有するシリカである。幾つかの実施形態では、ゴム組成物は、カーボンブラックを含む充填剤を有しておらず、例として、該ゴム組成物は、例えば0.5質量%のカーボンブラック、例えば0.1質量%のカーボンブラックなど、1質量%未満のカーボンブラックを含む。
ゴム組成物は、エラストマー成分の100重量部に基づいて、20〜120重量部、好ましくは50〜100重量部の量の補強充填剤を含みうる。
ゴム組成物はまた、例えばシランカップリング剤などのカップリング剤も含む。例示的なシランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリラートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリラートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリル・テトラスルフィドなど、及びそれらの組合せが挙げられうる。幾つかの実施形態では、シランカップリング剤は、ポリスルフィド架橋を形成する2〜4個の硫黄原子を有する、ポリスルフィドシランカップリング剤である。例えば、カップリング剤は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジ−、トリ−、又はテトラスルフィド、好ましくはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを含みうる。
カップリング剤は、補強充填剤の総重量に基づいて、5〜10質量%の量でゴム組成物中に存在しうる。
本明細書に開示されるゴム組成物は、添加剤の存在がゴム組成物の特性に悪影響を及ぼさないことを条件として、必要に応じて添加剤をさらに含みうる。添加剤としては、抗酸化剤、加硫剤、促進剤、熱安定剤、光安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、活性剤、又は上記添加剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられうる。
添加剤は、有効であると一般的に知られている量でゴム組成物中に存在しうる。例えば、粘着付与剤の典型的な量は、100重量部ゴムあたり(phr)、約0.5〜約10重量部であってよく、例えば、約1〜約5phrでありうる。可塑剤の典型的な量は、約1〜約50phrでありうる。可塑剤には、例えば、芳香族、ナフテン系、及び/又はパラフィン系の加工油が含まれうる。抗酸化剤の典型的な量は、約1〜約5phrでありうる。オゾン亀裂防止剤の典型的な量は、約1〜5phrでありうる。脂肪酸(例えばステアリン酸)の典型的な量は、約0.5〜約3phrでありうる。酸化亜鉛の典型的な量は、約2〜約5phrでありうる。ワックス(例えばマイクロクリスタリンワックス)の典型的な量は、約1〜約5phrでありうる。ペプタイザ(例えば、ペンタクロロチオフェノール及びジベンズアミドジフェニルジスルフィド)の典型的な量は、約0.1〜約1phrでありうる。
ゴム組成物の加硫化処理は、加硫剤、概して硫黄加硫剤の存在下で行われる。適切な硫黄加硫剤の例としては、元素硫黄(遊離硫黄)、又は、例えば、アミンジスルフィド、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性加硫剤が挙げられうる。幾つかの実施形態では、硫黄加硫剤は元素硫黄である。硫黄加硫剤は、約0.5〜約8phr、又は例えば0.5〜約4phr、又は例えば約1.5〜約2.5phrの量で存在しうる。
促進剤は、加硫化処理に必要な時間及び/又は温度を制御するため、かつ、加硫物の特性を改善するために含まれてよく、例えば、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカーバメート、及びキサンテートが挙げられうる。幾つかの実施形態では、主な促進剤はスルフェンアミドである。促進剤は、例えば約0.8〜約2phrなど、約0.5〜約4phrの量で存在しうる。
幾つかの実施形態では、ゴム組成物は、ゴムの100重量部に基づいて、2〜70重量部の量で添加剤を含む。
ゴム組成物は、官能化エラストマーの代わりに非官能化エラストマーを用いたこと以外は同一のゴム組成物と比較する動的機械分析を使用して測定して、60℃において、より低いタンデルタ(タンジェントδ)値を有しうる。低いタンジェントδ値は、ゴム組成物が、官能化エラストマーの代わりに非官能化エラストマーを用いたこと以外は同一のゴム組成物と比較して、より低い転がり抵抗を有することを示唆する。
本明細書で開示されるゴム組成物は、既知の一般的な技法に従ったさまざまな方法で調製されうる。ゴム組成物は、概して、該ゴム組成物を形成するために、エラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を、必要に応じて添加剤と共に化合することによって製造されうる。該化合する工程は、例として、例えば熱機械的混合工程による、ゴム組成物の成分を混合する工程を含みうる。熱機械的混合工程は、概して、140℃〜160℃のゴム温度を生成するのに適した所定の時間にわたる、ミキサ又は押出機での機械的作業を含む。熱機械的作業の適切な持続時間は、動作条件、並びに、成分の容積及び性質に応じて変動する。例えば、熱機械的作業は1〜20分間行われうる。ゴム組成物の成分を化合し、例えば、バンバリー式ミキサ、実験室用ミキサ、ゴム用ロール機、押出機などにおいてゴムを混合するのに適した任意の混合装置で混合されうる。
幾つかの実施形態では、ゴム組成物の成分は、例えば非生産的段階と生産的段階など、少なくとも2つの段階で合わされうる。例えば、ゴム組成物は、通常「非生産的」混合段階と称される機械的ミキサを用いた混合工程において、例えば、約140℃〜約160℃の温度に約1〜約6分間、ゴム硬化剤を除く、エラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を混合し、その後、硫黄などの硬化剤、促進剤、及び他の添加剤が添加され、例えば、約90℃〜約125℃の温度に約1〜約4分間、それらとともに混合される、最終的な混合段階によって調製されうる。用語「非生産的」及び「生産的」混合段階は、ゴム混合分野の当業者によく知られている。幾つかの実施形態では、ゴム組成物は、混合段階と次の混合段階との間に、通常の方法で約40℃未満の温度に冷却される。
ゴム組成物の加硫化処理は、例として、例えば約130℃〜約200℃の温度でなど、一般的に知られる条件下で行われうる。好ましくは、加硫化処理は、例えば、約140℃〜約190℃の温度で行われる。プレス又は成形内での加熱、過熱蒸気又は熱風を用いた加熱、若しくは塩浴中での加熱など、通常のあらゆる加硫化処理方法を利用することができる。
本明細書に記載されるゴム組成物を含む物品は、本開示の別の態様を表す。ゴム組成物は、例えばさまざまな工業ゴム製品など、さまざまなゴム製品に適用されうる。例えば、ゴム組成物は、タイヤ部品;タイヤトレッド;例えば、靴、ホース、チューブ、ベルト、エンジンマウント、シール、ガスケットなどの部品を含む物品に用いられうるが、それらに限られない。
好ましい実施形態では、ゴム組成物を含む物品は、例えば乗用車、トラックなどの車両用のタイヤ部品(例えばタイヤトレッド)である。理論に縛られるわけではないが、ゴム組成物の官能化エラストマーの官能基、特にヒドロキシ官能基は、タイヤトレッドにおけるエラストマーと充填剤との相互作用を改質しうると考えられる。加えて、官能化による不飽和のロスは、架橋又は加硫化処理に関与しうるが、これはC〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基の存在によって補なわれうる。したがって、ゴム組成物を含むタイヤトレッドは、低下した転がり抵抗を有しうる。
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに例証される。
以下の実施例に用いられる材料を表1に提供する。
Figure 2018505277
官能化されたブタジエンゴム(「F−BR」)を、以下の手順に従って調製した。98%の1,4−cis含量を有するポリブタジエンゴムの5%(w/v)溶液をテトラヒドロフラン中で調製した。次に、40質量%のm−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)を溶液に加え、反応混合物を、23℃で3時間、攪拌した。完了後、反応混合物を、メタノール中、1.5モーラーのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)溶液を用いてクエンチ処理した。この混合物に、メタノール中、プロパンチオールの30%(w/v)溶液を加えた。反応混合物を、50〜55℃で7時間、攪拌し、次に23℃まで冷却し、過剰のメタノールに注いだ(例えば、反応混合物:メタノールの容積比1:2.5)。沈殿が形成され、これを単離し、23℃で乾燥させた。
濾過生成物をH NMR及び赤外線(IR)分光法によって特徴付けした。官能化エラストマーは、下記式:
Figure 2018505277
に示される単位を含み、ここで、Rはn−プロピルである。例えば、1,2−付加によって生じる単位など、他の単位もエラストマー内に存在しうる。
さまざまなレベルの官能性を有する官能化エラストマーを調製した。以下の実施例に用いられた官能化エラストマーが表2に記載されている。
Figure 2018505277
比較例1及び実施例1〜3
ゴム組成物を、表3にまとめたように調製した。約70℃の初期温度で、1.6リットル(フィルファクタは約0.75である)の密閉式(internal)バンバリーミキサを使用して、成分を混合することによって、組成物を調製した。最初に、ポリマーを1分間、ブレンドした。シリカ、カップリング剤及び他の添加剤をミキサに加え、60rpmの速度で4分間、混合し、150〜160℃の温度で最終的に排出した。添加剤(例えば、促進剤、硫黄)を混合物に加え、該混合物を、90〜100℃の温度でさらに3〜4分間、混合した。
表3に示される各成分の量は、ゴム成分100重量部当たりの重量部で示されている。ゴム組成物の各々の動的機械試験を、ASTM D5992に準拠して、Dynamic Mechanical Analyzer(DMA VA4000)を用いて行った。試験条件は、0.1%の歪み、11ヘルツの周波数、及び2℃/分において−70℃〜80℃の温度スイープであった。動的機械試験の結果も表3にまとめられている。
Figure 2018505277
実施例1〜3(E1〜E3)のゴム組成物を、さまざまな量のエポキシ及びスルフィド官能化を有する官能化ブタジエンゴムを使用して調製するとともに、比較例1(CE1)のゴム組成物を、非官能化ブタジエンゴムを使用して調製した。
ゴム組成物の動的機械試験は、E2及びE3の組成物が、0℃におけるタンジェントδ値0.413、及び60℃におけるタンジェントδ値0.103を有するCE1のゴム組成物と比較して、0℃において劇的に高いタンジェントδ値(それぞれ0.475及び0.52)を示し、かつ、60℃において0.09のより低いタンジェントδ値を示したことを実証した。この結果は、タイヤに用いられた場合に、非官能化ゴムのみを含む場合と比較して、改善されたウェットグリップ及びより低い転がり抵抗を有しうることを示唆している。E2及びE3のゴム組成物のこの有利な特徴は、ゴムにおける官能性の存在によるシリカ充填剤とゴム成分との相互作用の改善に起因すると考えられる。ASTM D7426−08(2013)に準拠して決定される、E1〜E3のゴム組成物のガラス転移温度(Tg)は、CE1のTg(−10.8℃)と比較して、官能化されたゴムに存在する官能性の量が増加するにつれて、増加することが観察された。
比較例2及び実施例4〜7
組成物中の官能化されたSBRの量の変動の影響を実証するために、追加的なゴム組成物を調製した。ゴム組成物を、表4に示されるように調製した。CE1及びE1〜E3について上述した方法と同じ方法に従って、ゴム組成物を調製した。表4に示される各成分の量は、ゴム成分100重量部あたりの重量部(phr)で示されている。ゴム組成物の各々を、動的機械特性についてさらに評価した。動的機械試験の結果も、これらの組成物について表4にまとめられている。
Figure 2018505277
実施例4〜7(E4〜E7)のゴム組成物は、ゴム組成物の動的機械特性が、組成物に導入される官能化されたスチレン−ブタジエンゴム(F−SBR)の量を変化させることによって調整可能であることを実証している。特に、60℃におけるタンジェントδ値は、官能化されたゴム成分の量が増加するにつれて低下した。例えば、102phrの最高量の官能化されたゴムが導入されたE7の組成物では、0.106の60℃におけるタンジェントδ値が得られたのに対し、CE2のゴム組成物は、0.116の60℃におけるタンジェントδ値を実証した。これは、E4〜E7のゴム組成物が、CE2の組成物と比較して、より低い転がり抵抗を有するであろうことを示唆している。CE2のゴム組成物はまた、0℃における最高のタンジェントδ値0.615も実証した。E4〜E7の組成物についての60℃におけるタンジェントδ値は、官能化されたゴム成分の量が増加するにつれて低下した。
本発明の組成物、方法、及び物品を、非限定的な以下の実施形態によって、さらに例証する。
実施形態1.ゴム組成物であって、官能化エラストマーを含むエラストマー成分、補強充填剤、及びカップリング剤を含み、前記官能化エラストマーが、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含み、前記ヒドロキシ官能基と前記C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基がビシナル官能基である、ゴム組成物。
実施形態2.前記ゴム組成物が、前記官能化エラストマーの代わりに非官能化エラストマーを用いたこと以外は同一のゴム組成物と比較する動的機械分析を使用して測定して、60℃において、より低いタンジェント・デルタ値を有することを特徴とする、実施形態1に記載のゴム組成物。
実施形態3.前記官能化エラストマーが、ASTM D7426−08(2013)に準拠して特定して、−10〜−90℃のガラス転移温度を有することを特徴とする、実施形態1から2の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態4.前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC〜C32アルキル基、置換又は非置換のC〜C32アルケニル基、置換又は非置換のC〜C18シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18アリール基、若しくは、置換又は非置換のC〜C18ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり;好ましくは、置換又は非置換のC〜C16アルキル基、置換又は非置換のC〜C16シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16アリール基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり;さらに好ましくは、置換又は非置換のC〜C12アルキル基であり;より好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基であり、さらに一層好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基であることを特徴とする、実施形態1から3の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態5.前記官能化エラストマーが、官能化された不飽和エラストマーであり、前記不飽和エラストマーが、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含み、好ましくは、前記不飽和エラストマーが、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)ゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、好ましくはポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする、実施形態1から4の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態6.前記官能化エラストマーが、合計で1〜15モルパーセント、好ましくは1〜12モルパーセント、さらに好ましくは1〜10モルパーセントのヒドロキシ、エポキシ、及びチオの官能化を有することを特徴とする、実施形態1から5の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態7.前記官能化エラストマーが、10〜60モルパーセントのビニル含量及び5〜50モルパーセントのスチレン含量を有する官能化ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴムであることを特徴とする、実施形態1から6の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態8.前記官能化エラストマーが、不飽和をさらに含むことを特徴とする、実施形態1から7の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態9.前記ゴム組成物の総重量に基づいて、10〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜60質量%の前記官能化エラストマーを含むことを特徴とする、実施形態1から8の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態10.前記エラストマー成分が、該エラストマー成分の総重量に基づいて、10〜100質量%の前記官能化エラストマーを含むことを特徴とする、実施形態1から9の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態11.前記エラストマー成分の総重量に基づいて、1〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜60質量%の前記官能化エラストマーとは異なるエラストマーを含むことを特徴とする、実施形態1から10の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態12.前記官能化エラストマーとは異なる前記エラストマーが、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基の組合せを有しないことを特徴とする、実施形態11に記載のゴム組成物。
実施形態13.前記官能化エラストマーとは異なる前記エラストマーが、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする、実施形態11又は12に記載のゴム組成物。
実施形態14.前記補強充填剤が、40〜400m/g、好ましくは80〜300m/gの表面積を有することを特徴とする、実施形態1から13の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態15.前記補強充填剤がシリカを含むことを特徴とする、実施形態1から14の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態16.前記補強充填剤を、前記エラストマー成分100重量部あたり、20〜120重量部、好ましくは50〜100重量部の量で含むことを特徴とする、実施形態1から15の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態17.前記カップリング剤がポリスルフィドシランカップリング剤であることを特徴とする、実施形態1から16の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態18.前記ポリスルフィドシランカップリング剤が、ポリスルフィド架橋を形成する2〜4個の硫黄原子を有するビス(3−エトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを含むことを特徴とする、実施形態17に記載のゴム組成物。
実施形態19.前記補強充填剤の総重量に基づいて、5〜10質量%の前記カップリング剤を含むことを特徴とする、実施形態1から18の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態20.抗酸化剤、加硫剤、促進剤、熱安定剤、光安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、活性剤、又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含む添加剤までもさらに含むことを特徴とする、実施形態1から19の1つ以上に記載のゴム組成物。
実施形態21.前記エラストマー成分、前記補強充填剤、及び前記カップリング剤を組み合わせて、前記ゴム組成物を形成する工程を含むことを特徴とする、実施形態1から20の1つ以上に記載のゴム組成物を調製する方法。
実施形態22.実施形態1から20の1つ以上に記載のゴム組成物を含む物品。
実施形態23.前記物品がタイヤ部品であることを特徴とする、実施形態22に記載の物品。
実施形態24.前記物品がタイヤトレッドであることを特徴とする、実施形態22に記載の物品。
本明細書に開示されるすべての範囲は端点を包含し、該端点は、独立して互いに組合せ可能である。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包含する。さらには、本明細書における用語「第1」、「第2」などは、順序、量、又は重要度を意味するのではなく、むしろ、ある構成要素と別の構成要素とを区別する意味で用いられる。本明細書で用いられる用語「a」及び「an」及び「the」は、本明細書に別記されない限り、又は文脈に明確に矛盾しない限り、量の制限を意味するのではなく、単数及び複数の両方に及ぶと解釈されるべきである。本明細書で用いられる接尾語「(s)」は、それが修飾する用語の単数及び複数の両方を含み、したがって、その用語を1つ以上含むことが意図されている。明細書全体を通じて「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」などについての言及は、その実施形態に関連して記載される特定の構成要素が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に包含され、かつ、他の実施形態には存在しても存在しなくてもよいことを意味する。加えて、記載される構成要素は、さまざまな実施形態と任意の適切な態様で組み合わせ可能であるものと解されるべきである。
本明細書で用いられる用語「ヒドロカルビル」は、炭素、水素、及び必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子(例えば、ハロゲン、O、N、S、P、又はSiなどの1、2、3、又は4つの原子)を含む基を包含し、1つ以上の官能基として存在しうる。「アルキル」とは、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、及びn−ブチルなど、分岐鎖又は直鎖の一価の飽和炭化水素基を意味する。「アルキレン」とは、直鎖又は分岐鎖の二価の飽和炭化水素基(例えば、メチレン(−CH−)又はプロピレン(−(CH−))を意味する。「アルケニル」及び「アルケニレン」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、それぞれ、一価又は二価の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基(例えば、エテニル(−HC=CH)又はプロペニレン(−HC(CH)=CH−))を意味する。「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の一価の炭化水素基(例えば、エチニル)を意味する。「アルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、及びsec−ブチルオキシなど、酸素を介して連結されたアルキル基(すなわち、アルキル−O−)を意味する。「シクロアルキル」及び「シクロアルキレン」とは、それぞれ、式−C2n−x及び−C2n−2x−の一価及び二価の環状炭化水素基を意味し、ここで、xは環化の数である。「アリール」とは、一価の単環式又は多環式の芳香族基(例えば、フェニル又はナフチル)を意味する。「アリーレン」とは、二価の単環式又は多環式の芳香族基(例えば、フェニレン又はナフチレン)を意味する。接頭語「ハロ」とは、同一であっても異なっていてもよい、1つ以上のハロゲン(F、Cl、Br、又はI)置換基を含む基又は化合物を意味する。接頭語「ヘテロ」とは、ヘテロ原子(例えば、1つ、2つ、又は3つのヘテロ原子)である、少なくとも1つの環員を含む基又は化合物を意味し、各ヘテロ原子は独立してN、O、S、又はPである。
「置換された」とは、化合物又は基が、水素の代わりに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)の置換基で置換されることを意味し、ここで、置換された原子の通常の価数を超えず、かつ、その置換が、化合物の製造、安定性、又は所望の特性に顕著に悪影響を与えないことを条件として、各置換基は、独立して、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、ヒドロキシ(−OH)、ハロゲン、チオール(−SH)、チオシアノ(−SCN)、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ハロアルキル、C1〜9アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、C3〜12シクロアルキル、C5〜18シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン(例えばベンジル)、C7〜12アルキルアリーレン(例えばトルイル)、C4〜12ヘテロシクロアルキル、C3〜12ヘテロアリール、C1〜6アルキルスルホニル(−S(=O)−アルキル)、C6〜12アリールスルホニル(−S(=O)−アリール)、又はトシル(CHSO−)である。化合物が置換されている場合、炭素原子の表示数は、置換基のものを含めた、基内の炭素原子の総数である。

Claims (14)

  1. ゴム組成物であって、
    官能化エラストマーを含むエラストマー成分、
    補強充填剤、及び
    カップリング剤、
    を含み、
    前記官能化エラストマーが、
    エポキシ官能基、
    ヒドロキシ官能基、及び
    〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基
    を含み、かつ、前記ヒドロキシ官能基と前記C〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基とがビシナル官能基である、
    ゴム組成物。
  2. 前記官能化エラストマーが、ASTM D7426−08(2013)に準拠して特定して、−10〜−90℃のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ヒドロカルビル基が、
    置換又は非置換のC〜C32アルキル基、置換又は非置換のC〜C32アルケニル基、置換又は非置換のC〜C18シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C18アリール基、若しくは、置換又は非置換のC〜C18ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり;
    好ましくは、置換又は非置換のC〜C16アルキル基、置換又は非置換のC〜C16シクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC〜C16アリール基、置換又は非置換のC〜C16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり;
    さらに好ましくは、置換又は非置換のC〜C12アルキル基、より好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基であり;
    さらに一層好ましくは、非置換のC〜Cアルキル基である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記官能化エラストマーが、官能化された不飽和エラストマーであり、
    前記不飽和エラストマーが、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含み、
    好ましくは、前記不飽和エラストマーが、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)ゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴムを含み、さらに好ましくは、ポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含む
    ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 前記官能化エラストマーは、合計で1〜15モルパーセント、好ましくは1〜12モルパーセント、さらに好ましくは1〜10モルパーセントのヒドロキシ、エポキシ及びチオの官能化を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  6. 前記官能化エラストマーが、10〜60モルパーセントのビニル含量及び5〜50モルパーセントのスチレン含量を有する官能化ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴムであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  7. 前記ゴム組成物の総重量に基づいて、10〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜60質量%の前記官能化エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  8. 前記補強充填剤が、40〜400m/g、好ましくは80〜300m/gの表面積を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  9. 前記補強充填剤がシリカを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  10. 前記補強充填剤を、前記エラストマー成分100重量部あたり、20〜120重量部、好ましくは50〜100重量部の量で含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  11. 前記カップリング剤が、ポリスルフィド架橋を形成する2〜4個の硫黄原子を有するビス(3−エトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを含むポリスルフィドシランカップリング剤であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  12. 前記補強充填剤の総重量に基づいて、5〜10質量%の前記カップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のゴム組成物を含む物品。
  14. 前記物品が、タイヤ部品、好ましくはタイヤトレッドであることを特徴とする、請求項13に記載の物品。
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