JP5655081B2 - グリセロールおよび官能基化エラストマーを含有するゴム組成物およびタイヤ用トレッド - Google Patents
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Description
ヒステリシスの低下のこの目的を達成するために多数の解決策がすでに実験されてきた。特に、このようにして変性されるポリマーと、カーボンブラックか補強無機充填剤との間の良好な相互作用を得ることを目的として、官能基化剤、カップリング剤または星状分岐剤によって重合の終わりにジエンポリマーやコポリマーの構造を変性することを挙げることができる。
補強無機充填剤に関するこの先行技術の例示として、鎖末端アルコキシシラン官能基を含む官能基化ポリマーが記載されている、例えば、欧州特許第0 299 074号明細書を挙げることができる。
また、エポキシ化アルコキシシラン官能基を含む変性剤によって鎖末端でカップリングされ、星状分枝され、官能基化されるポリマーが記載されている、欧州特許第0 692 492号明細書および同第0 692 493号明細書を挙げることができる。
ジエンエラストマーの他の変性は、例えば、欧州特許第0 270 071号明細書または特開2001/158834号公報に記載されているものである。これは、アミン含有アルコキシシラン官能基を含む変性剤によってリビングジエンエラストマーを鎖末端官能基化することからなる。これらのアミン基は、第三級、第二級または第一級でもよい。後者の場合、国際公開第2003/029299号パンフレットには、その変性剤によってジエンエラストマーのカップリングが記載されている。
また、出願人である会社によって、それを含有するゴム組成物のヒステリシスを低下させるように、補強充填剤、特に無機充填剤に結合することができる他の官能基をもつ鎖末端官能基化された、カップリングされたまたは星状分枝されたエラストマーが記載された。例えば、エポキシ化アルコキシシランタイプの物質によるジエンエラストマーの変性に関する欧州特許出願公開第0 692 492号明細書および同第0 692 493号明細書を挙げることができる。近年、国際公開第09/055061号パンフレットには、第三級または第二級アミン官能基をもつアルコキシシランタイプの物質によるジエンエラストマーのカップリングが記載されている。
また、出願人である会社によって、全体として上述の変性エラストマーで達成されたものに匹敵するヒステリシスレベルを達成することができるポリマー鎖の末端にまたは鎖の中央に少なくとも1つの極性ブロックを含むブロックエラストマーが記載された。例えば、欧州特許出願公開第1 127 909号明細書、国際公開第09/000750号パンフレットおよび同第09/000752号パンフレットを挙げることができる。
これらの変性エラストマーは、先行技術においてヒステリシスを低下させるのに効果的であると記載されており、タイヤトレッドを構成することを意図した組成物における使用を特に推奨している。
理想的には、タイヤトレッドは、自動車のロードハンドリングの非常に良好なレベルをタイヤに与えつつ、多数の技術的要求を満たさなければならない。
ロードハンドリングを改善するために、トレッドの剛性が望ましいことが知られている。しかしながら、補強充填剤との良好な結合のために変性されるジエンエラストマーによって見られるヒステリシスの増加が、通常はキュア状態での剛性の低下を伴う結果になる。
この目的は、発明者らがその研究の間に、極性セグメントとグリセロールを含む変性ジエンエラストマーに基づく特定のゴム組成物が、変性エラストマーを含まない組成物に相対して剛性を改善しつつヒステリシスの低下を有するゴム組成物を得ることを可能にすることを発見したという点で達成される。特性におけるこれらの著しい改善は、その組成物に基づくトレッドを含むタイヤの転がり抵抗とロードハンドリングの間の妥協の非常に良好なレベルを達成することを可能にする。
本発明の他の主題は、少なくとも部分的に、そのゴム組成物から形成されるタイヤトレッドである。
本発明の他の主題は、本発明のトレッドを含む場合のタイヤ自体である。
本発明の他の主題は、本発明のタイヤトレッドの調製方法である。
語句“に基づく”組成物は、本説明において、用いられる種々の成分の混合物および/またはその場反応生成物を含む組成物を意味すると理解されなければならず、これらのベース成分(例えば、カップリング剤、メチレン受容体、メチレン供与体)の一部は、トレッドの製造のさまざまな相の間に、特にその加硫(キュアリング)の間に、少なくとも部分的に、相互に反応することができるかまたは相互に反応することを意図する。
本説明において、特にことわらない限り、示されるすべてのパーセント(%)は質量%である。さらに、語句“aとbの間”によって示される値の範囲は、aよりも多くbよりも少ない範囲にある値の領域を示し(すなわち限度aとbを除く)、語句“aからbまで”によって示される値の範囲は、aからbまでの範囲にある値の領域を示す(すなわち厳密な限度aとbを含む)。
この基は、鎖の末端に位置することができる。そのとき、ジエンエラストマーは、鎖末端官能基化されると言われる。
この基は、線状エラストマー主鎖に位置することができる。そのとき、ジエンエラストマーは、基がエラストマー鎖の中央に正確に位置しないとしても、“鎖の末端”位置と対照的に、鎖の中央でカップリングされるあるいは官能基化されると言われる。
この基は中心にあってもよく、その場合、nエラストマー鎖(n > 2)が結合して、星状構造のエラストマーが形成される。そのとき、ジエンエラストマーは、星状分枝されると言われる。本発明によれば、官能基化ジエンエラストマーのこの概念は、官能基によるエラストマー鎖に沿った官能基化を含まない。
従って、本発明の第1の主題は、(a)少なくとも1つの酸素原子を含む極性官能基を含有する単一基によって鎖末端官能基化されるか、カップリングされるかまたは星状分枝されるエラストマーおよび少なくとも1つの極性ブロックを含むジエンブロックエラストマーより選ばれる極性セグメントをもつ少なくとも1つの変性ジエンエラストマー、(b)グリセロールおよび(c)無機充填剤を含む少なくとも1つの補強充填剤に基づく補強されたゴム組成物に関する。
本発明によれば、官能基化ジエンエラストマーは、少なくとも1つの酸素原子を含む極性官能基を含有する単一基によって鎖末端官能基化されるか、カップリングされるかまたは星状分枝されるエラストマーより選ばれてもよい。この極性官能基は、例えば、シラノール、アルコキシシラン、アミン基をもつアルコキシシラン、エポキシド、エーテル、エステル、ヒドロキシル、カルボン酸等のタイプの官能基より選ばれてもよい。この官能基は、特に、無機充填剤を含む補強充填剤とエラストマーの間の相互作用を改善する。その官能基化エラストマーは、それ自体で知られており、先行技術に記載されている。
より詳しくは、本発明の官能基化ジエンエラストマーの中で、以下を挙げることができる:
- シラノール官能基をもつエラストマー、シラノール官能基は鎖の末端か、または鎖の中央に位置する。鎖の末端に位置する場合、シラノール官能基はポリシロキサンブロックによって支持され得る。より詳しくは、シラノール末端基を有するポリシロキサンブロックとして、本発明によれば、下記の一般式に対応するものが適切である:
- R1およびR2は、同一かまたは異なり、炭素原子1から10個までを有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基またはビニル基、好ましくは炭素原子1から6個までを有するアルキル基を示し、
- xは、1から1500まで、好ましくは1から50までの範囲にある整数である)。
このタイプの官能基化エラストマーは、例えば、欧州特許出願公開第0 778 311号明細書、同第0 786 493号明細書および国際公開第08/141702号パンフレットに記載されている。
- 下記一般式に対応する物質によってジエンエラストマーの官能基化から得られる鎖末端官能基化されるか、カップリングされるか、または星状分枝されるエラストマー:
(Y)m−R1−Si(OR2)3-n−R3 n
(式中、
- R2は、炭素原子1から12個までを有するアルキル残基、アリール残基、シクロアルキル残基、アルカリール残基またはアラルキル残基を示し、
- R3は、炭素原子1から12個までを有するアルキル残基、アリール残基またはアルカリール残基を示し、
- R4は、炭素原子1から6個までの炭化水素系残基を示し、これは炭化水素系鎖に1つ以上の酸素原子を含んでもよく、
- nは、数値0または1より選ばれる整数であり、
- mは、数値1または2より選ばれる整数であり、
- pおよびqは、数値0、1、2、3または4より選ばれる整数であり、p + qの和が2から5までの整数を示さなければならないことは理解される)。
このタイプの官能基化エラストマーは、例えば、欧州特許出願公開第0 692 492号明細書および同第0 692 493号明細書に記載されている。
- 環状または非環状の第三級、第二級または第一級アミン基をもつアルコキシシランタイプの物質によるジエンエラストマーの変性から得られる鎖末端官能基されたまたはカップリングされたエラストマー。このタイプの官能基化エラストマーは、例えば、米国特許出願第2005/0203251号明細書、特開2001158834号公報、同第2005232367号公報、欧州特許出願公開第1 457 501号公報および国際公開第09/055061号パンフレットに記載されている。有利には、このようにして官能基化されたジエンエラストマーは、ケイ素原子を経てジエンエラストマーに結合されかつアミン基をもつアルコキシシラン基によってカップリングされる。
本発明の一好適変形例によれば、ジエンエラストマーは、シラノール官能基をもつ基によって官能基化またはカップリングされる。より好ましくは、この変形例によれば、ジエンエラストマーは、鎖の末端に、シラノール官能基またはシラノール末端基を有するポリシロキサンブロックをもっている。
知られていているように、語句“ジエンエラストマー”は、ジエンモノマー(共役されていても共役されていなくてもよい2つの炭素-炭素二重結合をもつモノマー)から少なくとも部分的に(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)得られるエラストマー(1つ以上が理解される)を意味すると理解されなければならない。より詳しくは、語句“ジエンエラストマー”は、炭素原子4〜12個を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られるホモポリマー、または1つ以上の共役ジエンと相互にまたは炭素原子8から20個までを有する1つ以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られるコポリマーを意味すると理解される。コポリマーの場合、これらは、20%から99質量%までのジエン単位と、1%から80質量%までのビニル芳香族単位を含有する。
本発明のプロセスに使用し得る適切な共役ジエンは、特に、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1-C5)アルキル-1,3-ブタジエン、例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエンまたは2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン等である。
本発明の組成物のジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマーの群より選ばれる。
一具体的実施態様によれば、ジエンエラストマーは、エマルジョンにおいて調製されたSBR(“ESBR”)にしても溶液において調製されたSBR(“SSBR”)にしても、SBRである。特に、例えば、20質量%と35質量%の間の中程度のスチレン含量、または、例えば、35%から45%までの高スチレン含量、15%と70%の間のブタジエン部分のビニル結合の含量、15%と75%の間のトランス-1,4-結合の含量(モル%)および-10℃と-55℃の間のTgを有するSBRが使われ; そのSBRは、有利には、好ましくは90%(モル%)よりも多いシス-1,4-結合を有するBRとの混合物として使用し得る。
他の具体的実施態様によれば、ジエンエラストマーは、イソプレンエラストマーである。語句“イソプレンエラストマー”は、既知の方法で、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、言い換えれば、合成ポリイソプレン(IR)、種々のイソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群より選ばれるジエンエラストマーを意味すると理解される。特に、イソプレンコポリマーの中で、イソプレン/スチレン(SIR)、イソプレン/ブタジエン(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレン(SBIR)コポリマーが挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、合成シス-1,4-ポリイソプレン、好ましくは90%よりも多く、より好ましくは98%よりも多いシス-1,4-結合の含量(モル%)を有するポリイソプレンである。
ジエンモノマーの重合は、開始剤によって開始される。重合開始剤として、使用は、既知の単官能性または多官能性アニオンまたは非アニオン開始剤を使うことができる。しかしながら、好ましくは、リチウムのようなアルカリ金属またはバリウムのようなアルカリ土類金属を含有する開始剤が用いられる。適切な有機リチウム開始剤は、特に、1つ以上の炭素-リチウム結合を含むものである。代表的な化合物は、脂肪族有機リチウム化合物、例えば、エチルリチウム、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、イソブチルリチウム、ジリチウムポリメチレン、例えば1,4-ジリチオブタンである。
上記のように官能基に結合されず、極性ブロックにも結合されない鎖の一端または両端にアミン基を有するポリマーが生じるので、リチウムアミドもまた、好適な開始剤である。リチウムアミドは、非環式または環式の第二級アミンから得られ、後者の場合、ピロリジンやヘキサメチレンイミンが非常に好ましい; 仏国特許発明第2 250 774号明細書に記載されるように、溶媒和剤、例えばエーテルの併用使用のために前記アミドが炭化水素系溶媒に可溶性になることが可能である。
有利には、本発明によれば、ジエンモノマーの重合は、エラストマーの追加のアミノ鎖末端官能基化を導入するためにリチウムアミドタイプの開始剤によって開始される。
重合は、それ自体既知であるので、好ましくは不活性溶媒の存在下で行われ、これは、例えば、脂肪族または脂環式炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンまたはシクロヘキサンまたは芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンであり得る。
重合は、連続してまたはバッチ式で行うことができる。重合は、一般的には、20℃と120℃の間の温度で、好ましくは30℃〜90℃の近くで行われる。金属交換反応剤は、もちろん、リビング鎖末端の反応性を変化させるために、重合の終わりに添加されてもよい。
本発明に用いられる少なくとも1つの酸素原子を含有する極性官能基を含む基によって鎖末端官能基化されるか、カップリングされるかまたは星状分枝されるジエンエラストマーは、特に上述した先行技術に記載されている、それ自体で既知である種々のプロセスによって、例えば、重合から得られるリビングジエンエラストマーと、ジエンエラストマーの所望の官能基化によっては官能基化剤、カップリング剤または星状分岐剤との反応によって得ることができる。
本発明の組成物が極性セグメントをもつこれらの変性ジエンエラストマーの1つ以上を含むことができることは理解されなければならない。したがって、語句“極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマー”にもまた、これらのエラストマーの混合物が含まれる。
本発明によれば、極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマーは、変性ジエンエラストマーと同一かまたは異なるマクロ構造および/またはミクロ構造で、鎖末端官能基化されるか、カップリングされるかまたは星状分枝されるにしてもされないにしても、組成物において単独でまたは、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物より選ばれる、慣用のジエンエラストマーとのブレンドとして用いることができる。
この組成物において、本発明の変性エラストマーの割合が高い場合、本発明の組成物のヒステリシス特性の改善がさらに高くなることは留意すべきである。本発明の一好適変形例によれば、このことが、補強されたゴム組成物が主として本発明の極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスに基づく理由である。用語“主として”は、マトリックスの最高質量画分、特にマトリックスの質量と相対して少なくとも50%の質量画分を意味すると理解される。好ましくは、エラストマーマトリックスは、本発明の極性セグメントまたは基をもつこの変性ジエンエラストマーを60phr(全エラストマーの100質量部に対する質量部)以上、より好ましくは80phr以上の量で、または100phr、最大エラストマー含量に等しい含量を有する唯一のジエンエラストマーとしてさえ含む。
欧州特許第0 761 734号明細書によって記載されているように、グリセロールを含むある種のポリオールをその中に組み入れることによって慣用の未変性エラストマーに基づくゴム組成物の粘度を低下させることが知られている。
ポリマー鎖に沿って本質的にニトリル基のようないくつかの極性基を含むジエンエラストマーに基づくゴム組成物を組み入れているタイヤの濡れた地面に対するグリップを改善するためにポリオールタイプの極性化合物を用いることも知られている。欧州特許第1 253 167号明細書には、この先行技術が例示されている。
それにもかかわらず、これらの先行技術文献のいずれにも、グリセロールと本発明の極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマーの特定の組み合わせを含むゴム組成物も、キュア状態で剛性を改善しつつまたはせめて満足なレベルで維持しつつ、その組成物のヒステリシス特性の改善も言及されていない。
有利には、グリセロールは、1から10phrまでの範囲にある、好ましくは1から5phrまでの範囲にある量で補強されたゴム組成物中に存在する。
本発明のゴム組成物の他の構成成分は、無機充填剤を含む補強充填剤である。
本発明の極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマーは、シリカのような補強無機充填剤を主として含むゴム組成物を構成するために用いられる特定の適性を有する。用語“主として”は、全補強充填剤に相対して最高質量画分、好ましくはこの補強充填剤の質量に相対して少なくとも50%、または少なくとも70%もの質量画分を意味すると理解される。
補強無機充填剤が供給される物理的状態は、それが粉末でも、ミクロビーズでも、顆粒でも、ボールでもまたは他の適切な高密度化の形でも、重要でない。もちろん、語句“補強無機充填剤”は、また、特に、後述される高度に分散可能なシリカ質および/またはアルミナの充填剤の、種々の補強無機充填剤の混合物を意味すると理解される。
適切な補強無機充填剤は、特にシリカ質タイプ、特にシリカ(SiO2)、またはアルミニウムタイプ、特にアルミナ(Al2O3)の鉱物充填剤である。用いられるシリカは、当業者に知られている補強シリカ、特にBET表面積とCTAB比表面積がいずれも450m2/g未満、好ましくは30から400m2/gまでの沈降シリカまたはフュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)、例えば、Degussa製のUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ、Rhodia製のZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ、PPG製のHi-Sil EZ150Gシリカ、Huber製のZeopol 8715、8745および8755シリカまたは国際公開第03/16837号パンフレットに記載される高比表面積を有するシリカが挙げられる。
用いられる補強無機充填剤は、特にそれがシリカである場合には、好ましくは45と400m2/gの間、より好ましくは60と300m2/gの間のBET表面積を有する。
無機充填剤の他に、補強充填剤は、有機充填剤、例えば、カーボンブラック、例えば、少数質量画分、すなわち、厳密には補強充填剤の全量の50質量%未満、または30%未満でさえ含有し得る。
カーボンブラック以外の有機充填剤の例として、国際公開第2006/069792号パンフレットや同第2006/069793号パンフレットに記載されている官能基化芳香族ビニルポリマー有機充填剤、あるいは国際公開第2008/003434号パンフレットや同第2008/003435号パンフレットに記載されている官能基化非芳香族ビニルポリマー有機充填剤を挙げることができる。
好ましくは、全補強充填剤の含量は、50と200phrの間、より好ましくは60と140phrの間、より好ましくはさらに70と130phrの間であり、最適は既知のように目標とされる個々の用途によって異なる: 例えば、自転車タイヤに関して予想される補強レベルは、もちろん、持続した方法で高速で走行できるタイヤ、例えば、オートバイタイヤ、乗用車用のタイヤまたは多用車用のタイヤ、例えば、重量車に関して必要とされるものより低い。
補強無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングするために、既知のように、無機充填剤とジエンエラストマーの間に、化学的および/または物理的性質の満足な結合を与えることを意図した少なくとも二官能性カップリング剤(または結合剤)、特に二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサンが使われる。
特に、例えば、国際公開第03/002648号パンフレット(または米国特許出願公開第2005/016651号明細書)や国際公開第03/002649号パンフレット(または米国特許出願公開第2005/016650号明細書)に記載されている、個々の構造によっては“対称”または“非対称”と呼ばれるシランポリスルフィドが使われる。
下記の一般式(I)に対応する対称シランポリスルフィドは、以下の定義が特に適切であるが、これに限定されない:
(I) Z - A' - Sx - A' - Z、式中:
- xは、2から8まで(好ましくは2から5まで)の整数であり;
- A'は、二価の炭化水素系基(好ましくはC1-C18アルキレン基またはC6-C12アリーレン基、より詳しくはC1-C10アルキレン、特にC1-C4アルキレン、特にプロピレン)であり;
- Zは、下記の式の1つに対応する:
- 置換または無置換R'2基は、相互に同一であるかまたは異なり、C1-C18アルコキシル基またはC5-C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1-C8アルコキシルおよびC5-C8シクロアルコキシルより選ばれる基、より好ましくはC1-C4アルコキシルより選ばれる基、特にメトキシルおよびエトキシルより選ばれる基)を示す。
より詳しくは、シランポリスルフィドの例として、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが使われる。特に、これらの化合物の中で、TESPTと略記されるビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、またはTESPDと略記されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが使われる。また、好適な例として、国際公開第02/083782号パンフレット(または米国特許出願公開第2004/132880号明細書)に記載されているように、ビス(モノ(C1-C4)アルコキシルジ(C1-C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、より詳しくはビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
特に、アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤として、二官能性POS(ポリオルガノシロキサン)あるいはヒドロキシシランポリスルフィド、例えば国際公開第02/30939号パンフレット(または米国特許第6 774 255号明細書)や国際公開第02/31041号パンフレット(または米国特許出願公開第2004/051210号明細書)に記載されているものあるいはアゾジカルボニル官能基をもつシランまたはPOS、例えば、国際公開第2006/125532号パンフレット、同第2006/125533号パンフレット、同第2006/125534号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
他の種類、特に有機質の補強充填剤が、本項に記載される補強無機充填剤に等価な充填剤として用いられることを当業者は理解するであろう。但し、この補強充填剤が無機層、例えばシリカで覆われているか、あるいはその表面に官能部位、特にヒドロキシル部位を含み、充填剤とエラストマーの間の結合を形成するためにカップリング剤の使用を必要とする。
本発明のゴム組成物は、また、カップリング剤に加えて、カップリングアクチベータ、無機充填剤を覆うための物質またはより一般的には、既知の方法で、ゴムマトリックス中の充填剤の分散および組成物の粘度の低下の改善によって未キュア状態で加工の容易さを改善することができる加工助剤を含有することができ、これらの物質または助剤は、例えば、加水分解性シラン、例えば、アルキルアルコキシシラン、ポリオール、ポリエーテル、第一級、第二級または第三級アミン、またはヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
本発明のゴム組成物は、また、タイヤの製造を意図するエラストマー組成物に通例用いられる通常の添加剤の全てまたは一部、例えば、国際公開第02/10269号パンフレット等に記載されている色素、非補強充填剤、保護剤、例えば抗オゾンワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、抗疲労剤、可塑剤、補強樹脂、可塑化樹脂、メチレン受容体(例えば、フェノール-ノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M)、硫黄または硫黄供与体および/またはペルオキシドおよび/またはビスマレイミドに基づく架橋系、加硫促進剤、加硫アクチベータを含むことができる。
その好適な可塑剤の全体の含量は、好ましくは5と50phrの間、より好ましくは10と40phrの間、特に15から35phrの範囲にある。
可塑剤が0℃より高いTgを有する炭化水素系樹脂である場合、好ましくは下記の特徴の少なくともいずれか1つ、より好ましくは3つすべてを有する:
- 20℃よりも高い、より好ましくは30℃よりも高いTg;
- 400と2000 g/モルの間、より好ましくは500と1500g/モルの数平均分子量(Mn);
- 3未満、より好ましくは2未満の多分散度指数(Ip)(注意: Ip = Mw/Mn、ここで、Mwは質量平均分子量)。
炭化水素系樹脂は、脂肪族または芳香族あるいは脂肪族/芳香族タイプ、すなわち脂肪族および/または芳香族モノマーに基づいてもよい。これは、天然または合成であってもよく、石油系でなくてもよい(その場合には、石油樹脂の名前として知られている)。
適切な芳香族モノマーは、例えば: スチレン、α-メチルスチレン、オルト、メタおよびパラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、C9留分に由来するビニル芳香族モノマー(またはより一般的にはC8留分〜C10留分)である。好ましくは、ビニル芳香族モノマーは、スチレンまたはC9留分(またはより一般的にはC8留分〜C10留分)に由来するビニル芳香族モノマーである。好ましくは、ビニル芳香族モノマーは、問題のコポリマーにおいて少数モノマーであり、モル分率として表される。
上記の樹脂は、当業者に周知であり、市販されている。可塑剤が“低Tg可塑剤”とも呼ばれる20℃において液体である、すなわち、定義により、-20℃よりも低い、好ましくは-40℃よりも低いTgを有する可塑剤である場合、芳香族性にしても非芳香族性にしてもエクステンダー油、およびジエンエラストマーに関してその可塑化特性が知られている液体可塑剤が使用し得る。ナフテン油、特に水素化ナフテン油、パラフィン油、MES油、TDAE油、エステルおよびエーテル可塑剤、ホスフェートおよびスルホネート可塑剤、特にエステル可塑剤、例えば、グリセロールトリオレエート、より詳しくはオレインヒマワリ油、およびこれらの化合物の混合物によって形成される群より選ばれる液体可塑剤が特に適切である。
本発明の他の主題は、本発明の補強されたゴム組成物の調製方法である。このプロセスは:
(i)130℃と200℃の最高温度で、架橋系を除いて、本発明の極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマー、グリセロールおよび補強充填剤を含む、架橋系を除いて、前記組成物の必要なベース成分の熱機械的加工(しばしば“非生産”相として記載される)の第一工程を行う工程、
(ii)次に前記第一工程の前記最高温度よりも低い温度、好ましくは120℃未満の温度で、その間に前記架橋系が組み入れられている機械的加工の第二工程を行う工程
を含む。
このプロセスは、また、上述した段階(i)および(ii)を行う前に、上記の本発明の極性セグメントをもつ変性ジエンエラストマーを調製する段階を含むことができる。
本発明の他の主題は、その構成成分の少なくとも1つにおいて、本発明の補強されたゴム組成物、より詳しくはこの組成物を含むタイヤの半仕上げ製品を組み入れているタイヤである。
加硫状態の本発明の補強されたゴム組成物を特徴づける低ヒステリシスと高剛性のため、本組成物を含むトレッドを有するタイヤが、自動車に対するロードハンドリングの非常に良好なレベルをタイヤに与えつつ、有利には低転がり抵抗を有することが留意されなければならない。それ故、本発明の他の主題は、本発明の架橋可能なまたは架橋された補強ゴム組成物を含むようなものであるか、あるいはこの組成物、更に、上記の段階(i)および(ii)の他に、このようにして得られたゴム組成物を、タイヤトレッドの形に押出しまたはカレンダー加工することからなる段階(iii)を含むその製造プロセスから構成されるようなものであるタイヤトレッドである。
本発明の上述した特徴等は、例示として示されるとともに限定を意味しない、本発明のいくつかの例示的実施態様の下記の説明を読み取る際により良く理解されるであろう。
トレッドおよびこれらのトレッドの成分であるゴム組成物は、キュアリングの前後に以下に示されるように特徴づけられる。
I-1. ムーニー可塑度
フランス規格NF T 43-005(1980年11月)に記載されている振動式コンシストメーターを使う。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って行われる: キュアされていない状態(即ち、キュアリング前)の組成物を100℃に加熱した円筒状チャンバ内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験試料片の中で2rpmに回転し、4分間回転させた後にこの運動を維持するための作動トルクを測定する。ムーニー可塑度(ML 1+4)は、“ムーニー単位”(MU、ここで、1 MU = 0.83 ニュートンメートル)で表される。
I-2. ショアA硬度
キュアリング後の組成物のショアA硬度は、規格ASTM D 2240-86に従って評価する。
I-3. 引張試験
これらの試験は、弾性応力および破断点特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF T 46-002に従って行われる。2回目の伸びにおいて(すなわち、順応サイクル後)ノミナルセカント係数(または見掛け応力、MPa)は、100%伸び(Ma100)で測定される。これらの引張測定はすべて、フランス規格NF T 40-101(1979年12月)に従い、標準温度(23±2℃)および標準湿度(50±5%相対湿度)下で行われる。引張強さ(MPa)および破断点伸び(%)も23℃で測定される。
I-4. 動的特性
動的特性G*とtan(δ)maxは、規格ASTM D 5992-96に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)で測定する。単純な交互正弦剪断応力に10Hzの周波数で標準温度条件(40℃)に供した加硫組成物の試料(厚さ4mmと400mm2の断面積を有する円筒状試験片)の応答を規格ASTM D 1349-99に従って記録する。0.1%から50%まで(フォワードサイクル)、次に50%から1%まで(リターンサイクル)の範囲にある歪み振幅によるスキャンを記録する。集めた結果は、複素動的剪断弾性率(G*)と損失係数(tan(δ))である。リターンサイクルについて、0.15%歪み値と50%歪み値間で観察されたtan(δ)の最高値(tan(δ)max)(パイネ効果)が示される。
この実施例において2つのエラストマーを試験する。これらは、25%のスチレン割合と58%の1,2-ビニル割合を有する2つのSBRである。これらは、ともに官能基化される。
1) SiOH鎖末端官能基化コポリマーAの調製:
シクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを100/11/3.2/0.037のそれぞれの質量流量に従って、タービン型撹拌機を備えた32.5リットルのリアクタに連続して導入する。吸い込み管路内に存在する種々の成分によって導入されるプロトン系不純物を中和するために、100gのモノマーに充分なn-ブチルリチウム(n-BuLi)を吸い込み管路に導入する。反応器入口で、100gのモノマーにつき530μモルのn-BuLiを導入する。
リアクタ内の平均滞留時間が40分であるように種々の流量を調節する。温度を70℃に維持する。
リアクタ出口で引き出される試料について測定される転化率は、98%である。
最後に、リアクタ出口で、100gのモノマーにつき265マイクロモルのヘキサメチルシクロトリシロキサンをシクロヘキサンの溶液中で、リビングポリマー溶液に添加する(インライン静止混合器による)。次に、コポリマーを0.8phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)および0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニルp-フェニレンジアミンを用いて抗酸化処理にかける。
このように処理されたコポリマーをその溶液から水蒸気ストリッピング操作によって分離し、次に、SiOH鎖末端官能基化コポリマーを得るために、開放型ロール機により100℃で20分間乾燥する。
このコポリマーAのML粘度は、53である。慣用のSECによって測定されるコポリマーの分子量は、123 000 g/モルである。
このコポリマーAのミクロ構造を13C核磁気共鳴によって求める。
このコポリマーAのSBRブロックは、25(質量)%のスチレン、およびそのブタジエン部分については、58%のビニル単位、21%のシス-1,4-単位および21%のトランス-1,4-単位を含有する。
2D 1H-29Si NMR分析は、SBR(CH3)2SiOH鎖末端官能基の存在が決定されることを可能にする。コポリマーAについて1H NMRによって求められる(CH3)2Si官能基の含量は、5.85ミリモル/kgである。
シクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを100/11/3.2/0.037のそれぞれの質量流量に従って、タービン型撹拌機を備えた32.5リットルのリアクタに連続して導入する。吸い込み管路内に存在する種々の成分によって導入されるプロトン系不純物を中和するために、100gのモノマーに充分なn-ブチルリチウム(n-BuLi)を吸い込み管路に導入する。反応器入口で、100gのモノマーにつき950μモルのn-BuLiを導入する。
リアクタ内の平均滞留時間が40分であるように種々の流量を調節する。温度を70℃に維持する。
リアクタ出口で引き出される試料について測定される転化率は、98%である。
リチウムに相対して過剰量のメタノールで停止した、リアクタ出口で引き出される試料に対する、トルエン中0.1g/dlで25℃において測定されるインヘレント粘度は1.35dl/gである。
最後に、リアクタ出口で、100gのモノマーにつき475マイクロモルの3-(グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランをシクロヘキサンの溶液中で、リビングポリマー溶液に添加する(インライン静止混合器による)。次に、コポリマーを0.8phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)および0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニルp-フェニレンジアミンを用いて抗酸化処理にかける。
このように処理されたコポリマーをその溶液から水蒸気ストリッピング操作によって分離し、次に、コポリマーBを得るために、開放型ロール機により100℃で20分間乾燥する。
このコポリマーBのML粘度は、55である。慣用のSECによって測定されるコポリマーの分子量は、126 000 g/モルである。
インヘレント粘度の上昇(3-(グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランの注入後の粘度と3-(グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランの注入前の粘度との比率)は1.33である。
このコポリマーBのミクロ構造を13C核磁気共鳴によって求める。
このコポリマーBのSBRブロックは、25(質量)%のスチレン、およびそのブタジエン部分については、58%のビニル単位、21%のシス-1,4-単位および21%のトランス-1,4-単位を含有する。
本実施例において、2つのエラストマーSBR AおよびSBR Bは、溶解したSBRである。これらは、ネオジム触媒作用によって得られた主としてシスミクロ構造のBRとのブレンドとして、4つのゴム組成物A、A+G、BおよびB+Gの調製に用いられる。他の組成物と比較して、組成物A+GおよびB+Gは、グリセロールも含む。まとめの表(表1)は、試験した組成物の正確な組成物を示す。
(1)エラストマーAは、25%のスチレンパーセント、58%の1,2-ビニルパーセントを有し、シラノールタイプの化学官能基によって鎖の末端に官能基化されるスチレンおよびブタジエンに基づくエラストマーである;
(2)エラストマーBは、25%のスチレンパーセント、58%の1,2-ビニルパーセントを有し、シリルグリシジルエーテルタイプの化学官能基によって鎖の末端に官能基化されるスチレンおよびブタジエンに基づくエラストマーである;
(3) 4.3%の1,2-単位; 2.7%のトランス単位; 93%の1,4-シス単位を有するBR(Tg =-106℃);
(4)カーボンブラック: N234(ASTMグレード);
(5)シリカ(Rhodia製の“Zeosil 1165 MP”、“HD”タイプ)-(BETおよびCTAB: 約160m2/g);
(6) TESTPカップリング剤(Degussa製の“Si69”);
(7)炭化水素ベースの樹脂(Exxon製の“Escorez 2101”);
(8)酸化亜鉛(工業グレード-Umicore);
(9) N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(Flexsys製のSantocure CBS);
(10)ジフェニルグアニジン(Flexsys製の“Perkacit DPG”);
(11) N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン(Flexsys製のSantoflex 6-PPD)。
エラストマー、補強充填剤、カップリング剤、可塑剤、抗オゾンワックス、DPG、酸化防止剤、ステアリン酸、グリセロールおよび一酸化亜鉛を、容量が3リットルであり、70%充填され、かつ約60℃の開始温度を有する、“バンバリー”タイプの実験室用内部ミキサーに連続して導入する。
熱機械的加工段階は、約165℃の最高低下温度まで4〜5分間行われる。熱機械的加工の上述した第一工程がこのように行われ、この第一工程の間のブレードの平均速度が50rpmであることが指定されている。
このように得られた混合物を回収し、冷却し、次に、外部ミキサー(ホモフィニッシャ)において、硫黄およびスルフェンアミドを30℃で添加し、合わせた混合物が3〜4分さらに混合される(機械的加工の第2の上述した工程)。
このようにして得られた組成物は、引き続き、物理的または機械的性質の測定のために、ゴムのスラブ(厚みが2から3mmまでの範囲にある)または薄いシートの形に、または所望の寸法に、例えば、タイヤ、特にトレッド用の半仕上げ製品に切断および/またはアセンブルした後に、直接使用し得るプロファイルされた構成要素の形にカレンダー加工される。
架橋は、150℃で40分間行われる。
これらの試験によって、対照試験のトレッドと比較して、ヒステリシスに悪影響を与えずに本発明のタイヤトレッドの組成物の剛性の改善が示される。
組成物の特性に関する結果を下記の表2に記録する。
G*10%によって示される低歪みにおけるせん断弾性率、およびコーナリングスラストは、図1のグラフで示されるように相関している。
このグラフにより、G*10%によるトレッドの剛性の増加が最後にロードハンドリングを改良するタイヤのコーナリングスラストに影響を及ぼすことが認められる。
静的剛性測定と一致して、本発明の主題である組成物A+グリセロールにおいて、3phrのグリセロールを導入することにより、tan(δ)の0.015の低下が見られるのでヒステリシス特性を実質的に改善しつつ、G*10%の0.42MPaの増加によってマトリックスが剛性化することが認められる。
組成物B+グリセロールについては、弾性率の増加がさらに大きく、ヒステリシスに悪影響を与えずにG*10%の0.67MPaが増加し、tan(δ)がほとんど変化していない。
結論として、官能基化ジエンエラストマーに基づく組成物へのグリセロールの導入は、キュア状態において、ヒステリシスに悪影響を与えることなく混合物の剛性を著しく増加させることを可能にする。このことは、変性エラストマーを含まない組成物と相対的に剛性を改善しつつ、実質的にヒステリシスが低下したゴム組成物を有することを可能にする。これらの特性は、その組成物に基づくトレッドを有するタイヤがその他の性能、特にロードハンドリングを実質的に損なうことなく転がり抵抗が低下することを示している。
Claims (3)
- -(a)少なくとも1つの変性ジエンエラストマー、
-(b)グリセロール、および
-(c)無機充填剤を含む少なくとも1つの補強充填剤
に少なくとも基づく補強されたゴム組成物であって、
前記変性ジエンエラストマーが、
シラノール官能基をもつエラストマーより選ばれ、シラノール官能基が鎖の末端に、または鎖の中央に位置しているか、又は
下記一般式に対応する物質によってジエンエラストマーの官能基化から得られる鎖末端官能基化された、カップリングされたまたは星状分枝されたエラストマーより選ばれる前記ゴム組成物:
(Y) m −R 1 −Si(OR 2 ) 3-n −R 3 n
(式中、
- R 2 は、炭素原子1から12個までを有するアルキル残基、アリール残基、シクロアルキル残基、アルカリール残基またはアラルキル残基を示し、
- R 3 は、炭素原子1から12個までを有するアルキル残基、アリール残基またはアルカリール残基を示し、
- R 4 は、炭素原子1から6個までの炭化水素系残基を示し、これは炭化水素系鎖に1つ以上の酸素原子を含んでもよく、
- nは、数値0または1より選ばれる整数であり、
- mは、数値1または2より選ばれる整数であり、
- pおよびqは、数値0、1、2、3または4より選ばれる整数であり、p + qの和が2から5までの整数を示さなければならないことは理解される)。 - 請求項1に記載の組成物を含むタイヤトレッドの調製方法であって、以下の段階:
(i)130℃と200℃の間の最高温度で、架橋系を除き、官能基化ジエンエラストマー、グリセロールおよび補強充填剤を含む、請求項1に記載の、架橋系を除く組成物の必要なベース成分の熱機械的加工の第一工程を行う工程、
(ii)前記第一工程の前記最高温度よりも低い温度で、その間に前記架橋系が組み入れられている機械的加工の第二工程を行う工程、および
(iii)このようにして得られたゴム組成物をタイヤトレッドの形に押出しまたはカレンダー加工する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。 - 請求項1又は2に記載の組成物を含む半仕上げゴム製品を含むことを特徴とするタイヤ。
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